特型駆逐艦、綾波(偽)と申します。   作:刹那・F・セイエイ

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駆逐艦出んかったから建造再チャレンジ


俺、加賀さんに相談されます。

 建造された戦車娘と八八艦隊の標的艦を眺めつつ、俺と綾波はどうしようかと悩む。最低値で回して強力な味方がついたのはいいが、どちらも遠征要員には向いていない。もう何回か回して、遠征要員のための駆逐艦と軽巡洋艦を建造でもするか?だが、その考えは綾波によって却下される。

 

――ダメです、資材に余裕がない以上、むやみやたらに浪費するわけにはいきません――

 

「それもそうか、資材に十分な余裕があるわけではないし、しばらく建造は控えるか……けど、遠征要員がいないってのは辛いよなぁ……」

 

――はぁ……あと二回ですからね、あと二回で出なかったら本当に諦めてもらいますからね――

 

 呆れた綾波の嘆息に苦笑しつつも、俺はふたつの建造システムに最低値で資材を放り込み、駆逐艦が出ることを祈る。今度こそ遠征要員来てください、お願いします、何でもしますから。その祈りが通じたのか、待望の駆逐艦とご対面ができた。

 

「やっと会えた、陽炎よ」

「不知火です、ご指導、ご鞭撻、よろしくです」

 

 ………やっと駆逐艦が来てくれた、やっと遠征要員が来てくれた。それだけで俺の心は舞い上がりそうだ。綾波の「よかったですね」という賛辞も聞こえないほどに。建造されたばかりの陽炎と不知火に遠征で資材を稼いできてもらおうと思い、指示を出そうとすると、お客さんが来たらしく、中断せざるを得なくなる。今回訪ねてきたのは加賀、瑞鶴、金剛型四姉妹の六人である。しかし、変なメンツだな……と加賀さんたちを眺めていると、瑞鶴が「加賀さんが話があるんですって」と言ってくる。綾波、ちょっと代われ。

 

――面倒くさいからって……――

 

「あの、綾波に何か用ですか?」

「ええ、()()()()に話があって、一昼夜かけてここまで来たの。聞いてくれるかしら?」

「ええ、どうぞ」

 

 その後、加賀さんによって綾波の移籍計画を立てたことを話し、加賀さんはその同意を得るためにここまで来たらしい。確かに、明日の食事も知れないようなサバイバル生活よりはずっとマシなのだろう。だが、綾波がここを離れるということは、ここにいる妖精さんたちを見捨てるということになる。せっかくここまで仲良くなったんだ、見捨てるなどという選択肢はない。妖精さんとともにここに残るか、妖精さんを連れてここから出るか、この二択だけだ。そのことを加賀さんに伝えると、金剛型のうち金剛が難しそうな顔をして悩み、比叡は理解できないといった表情で呆け、榛名はやや辛そうに目を伏せ、霧島は怪訝そうな表情を浮かべて睨みつける。だが、瑞鶴は予想通りとでも言わんばかりの表情で明後日の方向を眺め、加賀さんは淡々と答えを受け止めて何かを考えている。

 

「ここを離れるわけにはいかないのね、なら、鼠輸送での支援はさせてもらうわ」

「………そちらの司令官に、何か言われませんか?」

「長門秘書艦を説得できれば、提督公認となって大々的に支援ができるわ」

 

 どうやら、アニメ艦これ同様秘書艦は長門のようだ。だが、支援をするとはいえ、鎮守府内にも敵は多いはず。たとえば大井っちとか大井っちとか大井っちとか。………っと、そういえば今何時だったっけ。17:30、ちょうど夕飯時か。せっかく遠路はるばる来ていただいたお客様だ、食料にも限りはあるが、それなりにご馳走でも振舞おう。

 

「料理長、今日の夕飯のメニューなんだっけ?」

『にくじゃがとぽてとさらだなのです』

「肉じゃが……気分が高揚します」

 

 「肉じゃが」と聞いて食いついてきた正規空母を無視し、ゲストを食堂へと案内する。その後、スマホで金剛達がはしゃいだり、加賀さんと土佐が鉢合わせになって一悶着あったりしたのは、別のお話。




黒潮「ハブられた……orz」

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