特型駆逐艦、綾波(偽)と申します。   作:刹那・F・セイエイ

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どうやらここは、元ブラック鎮守府だった模様。


俺、福利厚生を考えます。

「よっと……これは大収穫どころの話じゃないな、何往復すれは全部回収できるんだ?これ」

 

 昨日植えたじゃがいもが本当に収穫期を迎えているかどうか確かめに行ったところ、本当に収穫期を迎えていたので自分でも驚いていると、綾波に掘り起こすよう促されたため俺は慌ててじゃがいもの収穫作業に入る。元の種芋の何倍もの量になって帰ってきたじゃがいもを次々に掘り起こし、リヤカーに放り込む。リヤカーがいっぱいになったら前線基地跡地に戻り、中身を出して畑に戻るを繰り返す。そうして全部のじゃがいもを収穫し終えた時には、すでに太陽が真上を過ぎていた。

 

――もうお昼過ぎですか、おなかもすくわけです――

 

「昼飯食ったら、妖精さんを集めてどんな福利厚生を受けたいかアンケートを取ろう」

 

 最後のじゃがいもを乗せたリヤカーを引っ張り、前線基地跡地に戻る俺。今日の昼食はなんだったか、と考えていると、希少な卵を使ってオムライスを作ってくれたそうだ。ケチャップやデミグラスソースこそなかったが、代わりにトマトソースを作ってかけてくれていた。なかなか料理スキルが高いな、今日の夕飯は何を頼もうか。そんななかなかの出来栄えのオムライスに舌鼓を打ち、片付けを終えてから妖精さんを食堂へ招集、アンケートを取ることとする。

 

「さて、妖精さんたちに集まってもらったのはほかでもない。今まで満足な福利厚生を受けてこられなかった妖精さんたちに、どんな福利厚生を受けたいか聞きたいんだ」

 

「われらのぷらいべーとなすぺーすがほしいのです」

「ろーてーしょんでおやすみがほしいのです」

「まえここにいたにんげんたちは、われらをどうぐとみなし、なんのけんりもあたえてくれなかったのです」

 

 ………とりあえず、この世界の労働基準法とやらを本気で知りたくなった。百歩譲って月月火水木金金が常識の世界だったとしても、WWⅡ(太平洋戦争)末期の帝国軍よろしく使い捨てにする処遇はいただけない。特攻兵器の場合、一概にどうこう言えるものではないが、こちらは完全に悪意しかない。「この世界には、理由のない悪意などいくらでもある」とどこかの主任も言ってはいたが、この悪意はどう考えても理由だらけで擁護のしようがない。某プロフェッサーもビックリな自己中ぶりである。

 

「わかった、それぞれの班の妖精さんたちのためのプライベート空間を用意しよう。休暇は週に二日、希望があればプラス一日。これでどうかな?」

 

 今までの妖精さんの意見を統合し、新しい福利厚生のプランを提示する。妖精さんたちは納得してくれたのか、全員が賛同してプランを歓迎する。その後、今度はニンジンを植えていき、昨日と同じ白い水を畑にまく。これで明日にはニンジンが収穫期を迎えていることだろう。その後、みんなで夕食を取り、みんなでお風呂に入り、同じ部屋で寝ることにした。




次回は、ちょっと寄り道して加賀さんたちの視点。

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