脱走艦を迎え入れた次の日、俺はヒトマルとナナヨンに貰った戦闘糧食と
そんなことを考えつつ、明石が着任した工廠へとたどり着き、戦闘糧食と徹甲弾を持って明石の元へ。アポなしの訪問だったため、若干迷惑そうな顔で迎えられたがそんなことはどうでもいい。着任した以上はきっちり働いてもらわねば、観光目当てで招いたわけではないのだから。
「来るなら来るで、アポくらい取ってくださいよ。仕事の依頼なら完璧にこなしてみせますから」
「OK、次からは気をつけるよ。とりあえず、このサンプルを元にトーチカ用の新しい砲弾を開発してほしいんだ」
「次から気をつけてくださいね」と呆れた口調で答えつつ、徹甲弾のケースを受け取る明石。中の徹甲弾を見て目を輝かせている明石を横目に、続いて戦闘糧食を持って間宮さんの元へと向かう。携帯性と保存性に秀でた食糧品となれば、給糧艦が食いつかない筈がない。バリエーション豊富なご飯が、前線でいつでも暖かい状態で食べられる。前線の兵士たちにとって、これほど楽しみなモノもないはずだ。
これから完成するモノに期待に胸を踊らせつつ、間宮さんのいる食堂へ。昼食の仕込みを終えたのであろう間宮さんにやや不思議そうな表情で迎えられ、手渡した戦闘糧食を受け取る間宮さん。受け取った当初はただの缶詰とレトルトパックとしか思っていなかったのか、さして興味を示していなかったようだが、その内容物と有用性に気がついた次の瞬間、目を輝かせて矢継ぎ早に質問を繰り出してくる。
「こ、これって、もしかして携帯用の戦闘糧食ですか?っていうか、絶対にそうですよね!?なんで昨日持ってきてくれなかったんですか」
「いや、すまん。昨日持っていく予定だったんだが、脱走艦の相手に手間取っててな。
「羨ましいですね、陸上自衛隊……」と、何に対して羨望心を抱いているのかは不明だが、給糧艦の血が騒いだのだろう、カンメシとパックメシを手に何やら黙考している姿が見える。新作のメニューでも考案しているのだろうか、と声をかけようとしたところ、三笠提督に呼び出され、中止せざるを得なくなった。
どうやら、この続きはだいぶあとになりそうだ。
三笠「ちょっと、話があるんだけどいいかしら?」