特型駆逐艦、綾波(偽)と申します。   作:刹那・F・セイエイ

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お別れ会(するとは言ってない)


俺、お別れ会をします。

 連装砲ちゃんを研究して純正のコア・ドライビアを手に入れた次の日――つまり、シマカゼがこの世界に来て7日目――、俺はシマカゼに用意するための()()()()を受け取るため、ドックへ向かっていた。今回の支援艦隊はハイパーズと第一七駆逐隊……なぁ、北上。第六駆逐隊(いつものチビ共)は?

 

「ああ、この前の問題行動のせいで謹慎中。任務選り好みするような子は、艦隊行動を取るにふさわしくないからね」

「それと、第一七駆逐隊の新人研修もかねて、今回の任務に駆り出したってわけ。ほら、挨拶しなさい」

 

 そう大井に促され、それぞれに挨拶を始める第一七駆逐隊。どうやら、本当に最近着任したばかりらしく、長距離航海演習もかねて今回の遠征任務に任命したとのこと。おそらく、実戦形式の演習なのだろうと俺は予想していたが、しかしそれは大井の次の言葉で否定される。

 

「ああ、それと一七駆の子たち、本日付でここに配属になることになったの。だから、面倒見てあげてくれる?」

 

 つまり、子守を頼まれたわけだ。はいはい、俺が面倒見てやるよ。正直、配属理由がいまいちわからないわけだが、そのへんは教えてくれないのか?そんな俺の疑問に、今度は北上が答える。

 

「ああ、配属理由ね。この子らが「人間のいない基地がいい」って言ったから、希望に沿う基地がここしかなかったってわけ」

 

 つまり、第一七駆逐隊(こいつら)もまた、人間不信の艦娘ということか。賑やかになるのは確かに嬉しいが、もう少し練度の高い子を回してほしいものだ。正直、うちの戦力は建造組を除けば全員がマトモな形で()()していないのだ。脱走艦に元海賊艦、正規軍が聞けば――ここも一応正規軍の仲間入りはしているが、自由奔放すぎてその感覚は薄い――眉を顰めるのを通り越して頭を抱えそうなラインナップである。

 とりあえず、そこの新入りとハイパーズ。もうそろそろ朝飯の時間だし、食って行けばどうだ?俺としては、このまま帰すのも悪い気がするし。それに、手伝ってほしいこともあるし。ってわけで、手ぇ貸してくんない?

 

「んー、わかったよ。何をするのかまでは知らないけど、とりあえず手伝うよ」

「まぁ、あなたのことだし裏があるとは思えないわね。で、何をするつもりなの?」

「ああ、シマカゼのお別れ会。ここへ来た最初の頃に「クリームソーダが食べたい」って言ってたし、せっかくだからご馳走してやろうと思って」

 

 畑へ案内したときに、川内に食わされたであろうピーマンの苦い味を帳消しにしようとして注文したのだろうが、残念ながらそのときはラインナップしておらず――俺が炭酸嫌いなため、頼まれても置く気はなかったが――意図せずして我慢させる羽目になった。なので、今日ばかりは心ゆくまで堪能してもらおう。

 そうと決まれば、準備開始だ。起きて来た艦隊の面々に朝食――今日は支援物資で届いたばかりのコーンフレーク――を渡し、シマカゼが来るのを待つ。そして、寝ぼけ眼のシマカゼに今日の朝食と共にクリームソーダを渡す。何やらちょっと嬉しそうな顔をしているのが見える、おお、よかったよかった。

 さて、俺も飯食ったらシマカゼを送る準備をしないとな。




コラボ回も残り1話、次の章から何しよう……

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