特型駆逐艦、綾波(偽)と申します。   作:刹那・F・セイエイ

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綾波さんは、どうやらシマカゼから何かが欲しいようです。


俺、シマカゼに頼みます。

 シマカゼとのライダーごっこから次の日、俺はあることが気がかりでしょうがなかった。それはレ級ロイミュード襲撃時のシマカゼの反応である。あの時、俺たちは同様に重加速(どんより)が発生した際に、同じように歩いていたはずだ。にもかかわらず、シマカゼは何事もなかったかのように歩いていた。おそらく、シフトカーは持っていなかったはずだし、ほかに対抗できるであろう手段は……と考え、あることを思い出す。そう、シマカゼは泊警部補と出会っていたことがあったのだった。

 泊警部補と出会っている、そうなるとおそらくはロイミュードやシフトカーの動力源ともいえる中枢機関、コア・ドライビアがあのシフトブレスもどきや連装砲ちゃんに搭載されているはずだ。仮面ライダードライブのシフトカーから抽出した以上、間違いなく純正のコア・ドライビアのはずだ。できることなら連装砲ちゃんをバラバラに解体して内部構造をじっくり研究したいところではあるが、シマカゼの友達を無許可でバラバラにしてしまうのはまずいだろう、さすがに。

 

「んんっ…朝潮……」

 

 思い人であろう駆逐艦、朝潮の名前を呼びつつすやすやと眠っているシマカゼの手からシフトブレスもどきを取り外し、研究のために持っていこうとして、しかしそれは突然横合いから掴まれた手によって妨害される。

 

「ダメだよ、人のモノ勝手に盗っちゃ……」

 

 突然起きて妨害してきたシマカゼを見つつ、俺はなんとか弁明……しようとして、ふと違和感に気付く。シマカゼのはずなのに、シマカゼでない何かを感じる。もっとも、こちらで島風に会っていない以上、比較のしようはないが、おそらく今話しているのは島風のほうだろう。

 

「ま、綾波のこともよーく観察してたから知ってるよ。いるんでしょ?()()()()()()()()

「同類だからお見通しってわけね。で、このことをシマカゼは知ってるのか?」

「少なくとも、気づいている素振りはないね。この後教えといたほうがいい?」

 

 俺の多重人格について「教えておいたほうがいいか」と聞かれたが、黙っておいたほうがおもしろかったため「しばらく黙っといてくれるか?」と返す。島風もなんとなく面白そうと感じたのか、シマカゼには黙っておく方向で決まった。そして、島風と入れ替わるようにして目を覚ましたシマカゼに、俺はある頼みをする。

 

「シマカゼ、連装砲ちゃんに搭載されたコア・ドライビア、なんとか研究させてもらえないかな?」




島風、初登場。今後の出番は不明。

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