俺、農業します。
俺が綾波となってから今日で六日目、明石や加賀さん、三水戦の一行との出会いと別れを経て、ようやく
そんなウキウキ気分の綾波が暁の空を眺め、水平線から昇る太陽の眩しさに目を細める。そういや、今何時だったか。05:00、昨日までならこの時間から一日がスタートしていた。ならなぜこんな時間に海上を航行しているかというと、自分の艤装が手に入ってテンションフォルテッシモな綾波に叩き起こされ、連れてこられたからに他ならない。綾波、はしゃぐ気持ちはわかったが、もう少し寝かせてくれてもよかったんじゃないか?
――い、いいじゃないですか……ようやく綾波だけの艤装が手に入ったんですから……――
「今日ばかりは昼寝させてもらうからな、綾波はよくても、俺が持たん」
今日は一日畑を耕す日だったのに……とぶつくさ文句を言う綾波を無視して俺はドックへと戻る。交代の引継ぎが済んだのであろう妖精さんたちが、俺たちを出迎えてくれる。何やら張り切っている工廠の妖精さんたちに艤装一式を渡し、朝食を取るために食堂へと向かう。今日の朝食は白米と野菜炒め、魚のオンパレードでないだけまだマシなのだろうと納得させ、妖精さんたちとのひと時を楽しむ。
その後、クワと種芋を満載したリヤカーを引っ張り、三水戦のみんなで開拓した畑へと向かう。畑仕事に精を出すのもいいが、綾波の一方的な理由で叩き起こされて非常に眠い。午前中で全部片付けて、昼飯食ったらとっとと寝てしまおう。土を耕し、間隔を決めて種芋を植えていく。種芋が全部植わるころには、10:00を少々過ぎたころになっていた。まさか、このまま収穫期を迎えるまで待てとか言わんよな……と説明を受けた時に愚痴ったところ、白っぽい水の入ったポリタンクと可愛らしいデザインのじょうろを渡された。
この白っぽい水の正体は昨日引き上げた深海棲艦を粉砕してできた粉を混ぜたもので、なんでも、この水をかけるだけで植物の生長を促進し、一晩で収穫期を迎えるほどに成長するんだそうだ。なんか、似たようなゲームやったことあるなぁ……とボーっと考えつつ、その白っぽい水を種芋を植えた土の上にかけていく。30分ほどかけて全部の畑に水をまき終わり、さぁ、帰ろうかといったところで妖精さんから電話がかかってくる。なんでも、料理長が過労で倒れたそうで、昼食の準備が遅れるとのことらしい。
………俺の昼寝は、少し遅くなりそうだ。
そのうち、田んぼもできそうな予感。