ロイミュードの襲撃を受けた次の日、藤永基地の損傷が気になった俺は日の出を待つことなく基地を飛び出した。昨日の襲撃のせいで、あちこち壊されていないか気になったため、周囲を巡っていたのだが、やはり被害は出ていた。
「実戦データも回収できないままに大破か……」
――あのロイミュードも、大概余計なことばかりしかしませんね……――
『――ここの
「ああ、そうだな」とアヤナミの提案にそう短く返し、次の場所へと向かう。田畑の一部が吹き飛ばされ、収穫予定だった一部の米や野菜が犠牲となってしまっている。それはまぁいいとしても、一番の問題は核融合炉だ。アレは藤永基地の生命線であり、アレがないと俺たちはこの南国で干上がる羽目になる。この基地が稼働できるのは、ひとえに核融合炉のおかげといっても過言ではない。そんな不安を抱えて発電島へと向かうが、どうやら杞憂に終わったようだ。
「損傷なし、よかった……」
ここは特に気合を入れて造った施設のため、どうしても心配になってしまう。だが、何の被害もなかったため、ほっと胸をなでおろしていると、電話がかかってきていることに気付く。誰だ?
『………あやなみ……どこだ……』
………やべ、菊月ほったらかしだった……と電話口の向こうでぐずり泣く菊月をなだめつつ、私室へと戻る。そして、案の定泣きじゃくっていた菊月をなだめつつ、いつの間にか起きていたのであろうシマカゼと共に食堂へと向かう。………道中、なぜかシマカゼが終始ニヤニヤしながらこちらを眺めていたのだが、なぜだろうか?
そんなこんなで朝食も終わり、今日の予定を考える。さて、何をしようか……よし、畑でも耕そう。あそこを早急に修復して、生産ラインを確保しておかないと、食糧不足に陥ってしまう。それに、一昨日建造で仲間入りした鈴谷型の新人研修にも丁度いいだろう。ここでの艦隊業務には、出撃や遠征のほかに、漁業や農作業も含まれている。半月も経てば、鈴谷たちも立派に農作業をやってくれることだろう。
「畑仕事、ですの?」
「自給自足なんだ、ここ」
熊野がどこか不思議そうな口調で聞き、鈴谷が頭の後ろで手を組みながら答える。野菜の収穫は鈴谷たちに任せて、俺は大破した区画の修復に向かうとしよう。
「さて、昼までに片付けてしまうか」
鈴谷改二おめでとう、と言っておく。