特型駆逐艦、綾波(偽)と申します。   作:刹那・F・セイエイ

102 / 121
コラボ編、終了。
ありがとう、鳴神さん。


俺、テンリュウたちとお別れします。

 工廠で相変わらずのびっくりドッキリメカを乱発してから60分後、俺は吹雪を連れてトライドロンを駆って海上を爆走していた。理由は……特にない。ただ、俺が吹雪にひとっ走り付き合ってもらいたかっただけだ。テンリュウはブルースペイダーをノリノリで乗り回しているし、信濃提督は三笠提督と会談で忙しそうだし、誘えそうなのが吹雪しかいなかったのも理由のひとつなのだが。

 ベルトさんと何やら楽しげに会話する吹雪を横目で見つつ、俺は愛車(トライドロン)を走らせる。今後の前線基地の活動方針もそうだが、練度向上のための教導艦をどこから連れてくるかが問題となる。本土に頼むか、放蕩する艦娘をスカウトするか。どちらにせよ、前途多難なのは間違いなさそうだ。そうしてハンドルを握りながら今後の方針について考えていたために、海上を航行していた艦娘に気付くのが遅れ、突然のフルブレーキングに我に返る。

 

「まったく、今後の方針で頭がいっぱいなのはわかるが、運転中は集中してくれ」

「ああ、すまん。って……まずは危うく撥ねそうになった艦娘に謝らないとな」

 

 俺はトライドロンから飛び降りて、その危うく撥ねそうになった艦娘――この時に、島風とわかった――に声をかける。話を聞く限り、よくわからないままにこんな所へ来てしまったらしい。迷子とは少々わけが違うようだが、これからどうしようか……ここに留まっていては、敵対する深海棲艦やロイミュードと会敵する恐れがある。どこか、近い場所にある安全圏――九月コンビを探すときに見つけた島――まで行って、そこで情報を交換し合おう。

 近くの島まで赴き、そこで得られた情報を整理するとこうだ。この世界へはよくわからないままに来た、ゆえに現状が把握できていない。自分たちの世界では戦いは終わっており、海に平和を取り戻せている。ドライブ関連のアイテムは自分も持ってはいるが、対ロイミュード以外で絶対使わないと()()()()約束しているため、あくまで変身するつもりはない。トライドロン2台による、夢のドライブは残念ながら夢のままに終わってしまったようだ。とりあえず、この島風――雰囲気から察するに、むしろシマカゼ――を保護すべく、三笠提督に連絡を取る。

 

「すみません、三笠提督。迷子の艦娘をひとり保護したいんですが、よろしいでしょうか?」

『別に今更ひとり増えたところで、どうということはないでしょう?許可するわ』

「ありがとうございます」

 

 迷子じゃないんだけどなぁ、とでも言いたげなシマカゼをトライドロンに乗せ、前線基地へと戻る。テンリュウたちの移送を仁淀に任せ、俺はシマカゼを客室まで案内する。

 

「あのシマカゼ、泊警部補と会ってるのか……その時の話、ぜひとも聞かせてもらいたいものだ」




そしてコラボ編第二弾、スタート。
よろしく、木端妖精さん。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。