ありがとう、鳴神さん。
工廠で相変わらずのびっくりドッキリメカを乱発してから60分後、俺は吹雪を連れてトライドロンを駆って海上を爆走していた。理由は……特にない。ただ、俺が吹雪にひとっ走り付き合ってもらいたかっただけだ。テンリュウはブルースペイダーをノリノリで乗り回しているし、信濃提督は三笠提督と会談で忙しそうだし、誘えそうなのが吹雪しかいなかったのも理由のひとつなのだが。
ベルトさんと何やら楽しげに会話する吹雪を横目で見つつ、俺は
「まったく、今後の方針で頭がいっぱいなのはわかるが、運転中は集中してくれ」
「ああ、すまん。って……まずは危うく撥ねそうになった艦娘に謝らないとな」
俺はトライドロンから飛び降りて、その危うく撥ねそうになった艦娘――この時に、島風とわかった――に声をかける。話を聞く限り、よくわからないままにこんな所へ来てしまったらしい。迷子とは少々わけが違うようだが、これからどうしようか……ここに留まっていては、敵対する深海棲艦やロイミュードと会敵する恐れがある。どこか、近い場所にある安全圏――九月コンビを探すときに見つけた島――まで行って、そこで情報を交換し合おう。
近くの島まで赴き、そこで得られた情報を整理するとこうだ。この世界へはよくわからないままに来た、ゆえに現状が把握できていない。自分たちの世界では戦いは終わっており、海に平和を取り戻せている。ドライブ関連のアイテムは自分も持ってはいるが、対ロイミュード以外で絶対使わないと
「すみません、三笠提督。迷子の艦娘をひとり保護したいんですが、よろしいでしょうか?」
『別に今更ひとり増えたところで、どうということはないでしょう?許可するわ』
「ありがとうございます」
迷子じゃないんだけどなぁ、とでも言いたげなシマカゼをトライドロンに乗せ、前線基地へと戻る。テンリュウたちの移送を仁淀に任せ、俺はシマカゼを客室まで案内する。
「あのシマカゼ、泊警部補と会ってるのか……その時の話、ぜひとも聞かせてもらいたいものだ」
そしてコラボ編第二弾、スタート。
よろしく、木端妖精さん。