先の演習で戦術的敗北を味わい、みんなで入渠して私室に戻ったのだが、俺の心境は最悪そのものだった。何せ、勝てると絶対的に自信のあった一戦だっただけに、この敗北は結構つらい。初めての共同作業だっただけに、少々足並みがそろわなかった部分もあるのだろうが、やはり一番の要因は練度不足に他ならないだろう。だが、どんな訓練をすればいい?ここの神通は建造してすぐに捨てられた
だが、招くにしろ勧誘するにしろ、少なくとも水雷屋と大砲屋、航空隊を指揮できるメンツがほしいところである。だいぶ高望みもいいところだろうが、艦隊を強化するにはこれ以外に方法はないだろう。前者は本土の鎮守府と交渉して教導艦を派遣してもらい、叩き上げで指導してもらえればいいのだが、勧誘となるとまた話が変わってくる。潜水艦組よろしく鎮守府に不満を抱いているような子でもない限り、それは不可能に近い。そんなことを考えていると、菊月が心配そうな表情を浮かべてこちらを見ていることに気付く。少し心配させてしまったか。
「ど、どうした?気分でも、悪いか?」
「すまん、心配させたな。さっきの演習で負けたのがちと悔しくてな……」
「なら、次に勝てばいいだろう。これで終わりというわけではないんだから」
「ああ、そうだな。ところで菊月、これからみんなでパーティーやるんだが、来るか?」
そんな俺の誘いに、菊月は目を輝かせて「行く!!」と答えたため、つい笑ってしまう。やっぱりかわいいな、コイツ。なんていうか、こう、小動物的な感じの愛らしさ。かわいくて寂しがり屋……ウサギかな?こいつ。と、まぁ、菊月に対する評価はさておき、俺は信濃提督と面談する。内容は、先の演習のことなのだろうが、どうも会いたくない。こんな心境で会っては、信濃提督も心配するだろう。しばらく、交代していてもらおう。
「申し訳ない、L.ホークが実弾仕様と気づかず、あわや殺傷事件に発展するところだった」
「その件については、こちらも同罪でしょう。実弾仕様と気づかずに渡してしまったんですから」
信濃提督と綾波が互いに謝り、演習での話題もそこそこに、話は行方不明となった長月にシフトする。どうやらその長月、ケッコンカッコカリを控えていたらしく、それがご破算になってその司令官はたいそう落ち込んでいたようだ。そこでふと、先日――より正確に言うなら、テンリュウたちが来るちょっと前――保護した長月のことを思い出し、彼女のもとへと連れていく。どうやら、
その後は、親に甘える子供よろしく加賀さんに抱きしめられて泣いていた吹雪を呼びに行き、パーティーが始まった。立食パーティー形式で開催され、めいめいに好きな料理を取って談笑しながら食事を楽しんでいる様子を遠巻きに眺めていると、本土の加賀さんが手招きをして呼んでいることに気づき――この時、綾波から交代した――、その呼びかけに応じて行ってみる。
「あなたたち、どうだったかしら?はじめての
「いつも一緒にいたせいか、さほど違和感は感じませんでしたね。むしろ、役割分担をしたおかげで、自分の仕事に専念できました」
「ある意味卑怯ね、
「ないものをねだったところで仕方ないでしょう?」
俺は加賀さんの愚痴にそう突っ込みを入れつつ、ちょっとしたプレゼントを持って五月雨のところへと向かう。以前スプリング・フェスティバルの射的で手に入れたホワイトタイガーのぬいぐるみとレオポンさんのぬいぐるみをプレゼントする。一回目の演習で
その後、信濃提督に食糧不足で悩んでいることを聞き、こちらからの食糧支援を約束してパーティーはお開きとなった。とりあえず、お米と小麦を1㏏程お持ち帰りいただこう。これで、少しは乗り切れるはずだ。
レオポンさん、ぬいぐるみにしたら意外と人気出そうな気がするのは俺だけか。