ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

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真夏に冬の話を書いていると、
なんだか少し悲しくなります。
なんとか暑いのマシになりませんかね…


クリスマスの過ごし方

本格的に冬に入り、ホグワーツの窓から

見える景色も白一色の絶景となっていた。

アミリアとラウラは、共に両親が忙しく、

クリスマス休暇の間もホグワーツに

残ることになっていた。

 

「アミリア、この本はどう?」

 

「ん?『近代魔法史における偉人』か…

よし、見てみよう。」

 

アミリアとラウラの2人は図書室で

ニコラス・フラメルについての本を

探していた。

 

「ふぅ、この本にもニコラス・フラメル

の名は見当たらなかったな…」

 

「うーん…あれからずっと

探し続けてるのに全然見つからないね…」

 

「あぁ…探す範囲を間違っているのか…?

いや、しかしまだ生きているはずだから

近代の人物のはずなのだが…」

 

ハグリッドが名前を言ってしまってから

アミリアとラウラだけでなく、

ハリー達も含めて5人で探していたが、

何百冊と本を探しても見つけられないでいた。

 

「ハリー達もきっと真剣に探している

だろうし、もう図書室の中の

こんなかんじの人が載ってる本は

全部読んじゃってるんじゃないかなぁ?」

 

ラウラがそう言うと、アミリアは

静かに首を横に振る。

 

「いや、この図書室はこの部屋だけで

それこそ何万冊と本がある。

見ていないという可能性はどうしても残るさ。

しかし探している者が

何をした者かわからない以上、

先生の耳には入らんようにしなければならないから

司書のマダム・ピンスに聞くわけにもいかんしな…

ハグリッドはだんまりだったし…」

 

「閲覧禁止の棚は?ハグリッドが

口ごもる人みたいだし…」

 

「それはあるがどんな理由であっても

閲覧の許可は出ないだろう。あそこは

上級生が闇の魔術に対する防衛術の

知識を深めたい時のものだからな。

私たち1年生が知ってはいけない内容の本が

数多く所蔵されているんだろう。」

 

「なんとかして忍び込むとか…」

 

「一応目くらまし術を使えないこともないが

私ではせいぜい2、3分持てばいい方だ。

そんな時間じゃまともに本を探せないよ。」

 

その後も2人は調べ続けたが、

結局ニコラス・フラメルの載っている本が

見つかることはなかった。

 

 

クリスマス休暇に入り、

クリスマス・イブになった。ハーマイオニーは

家に帰っているので、休暇の間は

一旦ニコラス・フラメルを探すのを中断し、

4人で休暇を楽しんでいた。

 

「はぁ…またかぁ…ホグワーツに来てから

増えてるなぁ、これ…

まぁ美味しいのはわかるけど。」

 

「……フフッ…」

 

この日の夕食は休暇中なので

普段はできないことでもある

自分たちでの料理をしようとした。

あまり人のいない談話室の暖炉を使って

具材に火を通したりして食べようとしたが、

アミリアはその匂いのせいで、

ハロウィーンの時の様に(目から光がなくなった状態で)微笑み続けていた。

あまりこの状態を見たことがなかった

ハリーとロンは少しだけ引きつった笑顔を

浮かべてアミリアを見ていたが、

その後ロンは席を立ち、

部屋からあるものを持ってきた。

 

「ロン、何なの?それ。」

 

「魔法使いのチェスだよ。

アミリアは今無理そうだけど…

ハリーとラウラはチェスした事ある?」

 

ロンは部屋からチェスボードと

くたびれた袋に入った駒を持ってきていた。

 

「うーん、

私はやった事ないし、

ルールもわからないよ。

アミリアは強いみたいなんだけど…」

 

「マグルのチェスなら少しだけ。」

 

「ホントかい、ハリー!

じゃあ一度やってみようよ!

ルールはマグルのチェスと変わらない。

駒が意志を持ってて動くだけさ。

あ、でも駒は僕の分しかなかったんだった。」

 

「じゃあシェーマスに借りてくるよ。

確かシェーマスも持ってただろ?」

 

そう言ってハリーはシェーマスに

チェスの駒を借り、ロンと対戦を始めた。

ハリーは全くペースを掴めなかった。

というのも、ハリーが借りてきた駒は

ハリーの言う事をきかず、

駒が取られそうになればその駒自身が

ハリーに文句をいい、ハリーを混乱させたからだ。

 

「フフ…フ……ハッ⁉︎」

 

「あ、アミリア、おはよう。」

 

チェスの対局が終盤に入るところで、

アミリアは目を覚ました。

 

「また意識が飛んでいたか…

まあ仕方ない。美味しそうなのが悪い。

…ん?チェスをしているのか?」

 

「うん、そうだよ。

アミリアも対戦してみるかい?」

 

「あぁ、そうだな。

久しぶりにやってみようか。駒は…

仕方ない、ハリーが今使ってるのを借りよう。」

 

アミリアがそう言うと、

ハリーが止めようとした。

 

「やめといた方がいいよ。

この駒、僕の話を全然聞いてくれないんだ。」

 

「ん…まぁ、大丈夫だろう。

とりあえずハリー、早く考えないと

制限時間が来てしまうぞ?」

 

それを聞いて慌ててハリーは駒を動かしたが、

その後も挽回できる事なく、

ロンに惨敗してしまった。

 

「なかなか強いな、ロン。」

 

「ああ、よく兄貴たちに

一緒にやってもらってるんだ。」

 

そして、ハリーとの対局が終わり、

次はアミリアとロンで対戦を始める。

対戦が始まり、アミリアが駒を進めようとすると

ハリーの時と同じように駒が反対しだした。

 

『ちょっと、私をそこに動かさないで!

あの駒を動かせばいいじゃない!』

 

それを聞いて、アミリアはその駒を見た。

 

「黙れ。とっとと動け。貴様に拒否権などない。」

 

アミリアの殺気が含まれた言葉に、

その駒は一瞬で従う。

それを見ていた他の駒も震え上がり、

アミリアに文句を言う駒はなかった。

 

「チェックだ。」

 

「えっ⁉︎嘘だろ…くそっ、ならこっちだ!」

 

「…!やるな!」

 

アミリアとロンは一進一退の攻防を続ける。

ハリーとラウラはそれをじっと見続けていた。

そしてアミリアの動かすナイトが

ロンのキングに近づいた。

 

「…チェックメイトだ、ロン。」

 

「あっ…負けたかぁ…アミリア凄いね。

僕結構自信あったんだけどなぁ。」

 

「いや、ロンも強かった。いい勝負だったよ。」

 

そうしてみんなでゲームをしたり、

話したりして、その夜は更けていった。

 

 

「おはよう、アミリア!メリークリスマス!」

 

「あぁ…メリー…クリスマス…だ…」

 

「あぁ、ごめんごめん、ちょっと待ってて。」

 

声をかけても目を開けることが

出来ていないアミリアに、

ラウラは紅茶を淹れてきた。

 

「あぁ…すまない…

…よし。ありがとう、ラウラ。

改めてメリークリスマス。」

 

「うん、メリークリスマス!」

 

ラウラの淹れた紅茶で

目が覚めたアミリアと、ラウラは

談話室に降りていった。

談話室にはすでにハリーとロンが

降りてきていて、プレゼントの中身を見ていた。

 

「ハリー、ロン!メリークリスマス!」

 

「2人ともメリークリスマス。」

 

「おはよう。アミリア、ラウラ。

メリークリスマス。」

 

「メリークリスマス!2人にも

僕の家からプレゼントがあるんだ。

ママに手紙でみんなと友達になったって

言ったら全員分送ってくれたんだ!」

 

「ロン、それホント⁉︎」

 

「優しい母上殿だな。」

 

ロンはハリーへの自分の家からの

プレゼントを見て、顔をしかめた。

 

「そんな…あーあ、まさかハリーへ

『ウィーズリー家特製セーター』を送るなんて…」

 

ハリーは包み紙を破って中身を見た。

中にはエメラルドグリーンの厚い手編みの

セーターが入っていた。

 

「わぁ、凄いね!とてもいいじゃない!」

 

「ママは毎年僕たち兄弟のセーターを

編むんだ。僕のはいつだって栗色なんだ。」

 

「いいセーターじゃないか。

そんなことを言わずに大事に着るべきだぞ。」

 

「うん…それはわかってるけど。」

 

アミリアとラウラはそう言ってから、

まず自分たちの家からのプレゼントを確認する。

アミリアにはアミリアの母手作りの

大きめのクリスマスケーキが、友達と食べなさい

という手紙付きで入っていた。

もちろん痛まない様に保存のための

魔法がかけられていた。

ラウラには髪の色によく映える、

黒いマフラーが入れられていた。

 

「やった!母上からのケーキだ!

おい、みんなで食べるぞ!」

 

「わぁ、マフラーだ!

寒くなってたからちょうどよかった!」

 

「なぁ、ハリー。これってホントに

アミリアかい?」

 

「うーん…どうだろ?ロンが疑問に

思うのはわかるけど…」

 

アミリアのいつもの態度とほぼ正反対な

反応に、ハリーとロンはそんなことを言った。

 

「あ、そうだ。アミリアとラウラには

色違いの手袋をママが作ってくれたみたい。

…はい、この袋がそうだよ。」

 

そう言ってロンはプレゼントが

積まれているところから

2つの袋を出し、それぞれに渡した。

アミリアは赤い手袋、ラウラは白い手袋だった。

 

「今度ロンのママに喜んでたって伝えて!

私、すっごく嬉しいよ!」

 

「あぁ、私からも頼む。

それにしても、この色は私たちの髪の色か?」

 

「うん。ママに手紙でどんな子かって

いうのを聞かれたから、たぶん

それを参考にもしたんじゃないかな?」

 

そうして4人はプレゼントを見ていくが、

1つだけ何も書いていない包みが残っていた。

 

「あれ?これなんだろ?」

 

ハリーがその包みを開けると、中から

銀色の液体の様なものがスルリと

床に滑り落ち、光を反射していた。

 

「これはマントかな?」

 

「ハリー、一度来てみなよ。」

 

ロンにそう促され、ハリーはマントを

肩にかけて、体を包み込んだ。

すると、その包み込んだところの体が消え、

向こう側の景色が見えていた。

 

「これはまさか…」

 

「え?アミリア、これなんなの?」

 

「おっどろいたなぁ…僕これ知ってるよ!

これ透明マントだよ!

とっても珍しくて貴重なんだ!

…ハリー!マントから手紙が落ちたよ!」

 

ロンにそう言われ、ハリーは手紙を読んでいた。

ハリー以外の3人はマントを

夢中になって見ていたが、

他の寝室からウィーズリー兄弟の

フレッド、ジョージ、パーシーが入ってきた。

 

「やあ、1年生諸君!」

 

「外に遊びに行かないか?」

 

そのうちの、フレッドとジョージが

談話室にいた4人に声をかけた。

4人はその誘いに乗り、

真っ白な校庭へ向かった。

 

 

「うん、まぁそうなるよね…わかってたよ…」

 

談話室から出た後、ウィーズリー兄弟も

含めた全員で雪合戦をし、

びしょ濡れになって部屋へ戻って

暖炉のそばに座ってパーティーの

時間になるまで温まってから

夕食のクリスマスパーティーに

向かったが、食堂に料理が現れると、

ラウラの予想どおりにアミリアは

席に着いてからひたすらパーティーの

食べ物を食べていた。

 

「うーん…どうしてこれで太ったり

しないのかなぁ?」

 

並んでいる料理を見ながらラウラは

つぶやいていた。

 

「やぁ、ラウラ。弟がいつも世話になってるな。」

 

「あ、えーと…フレッド?」

 

「残念!僕はジョージでこっちがフレッドだ。」

 

「え?でもセーターのイニシャルは…」

 

「ラウラみたいに引っかかる奴がいるから

入れ替えて着てるのさ!」

 

「それにしてもアミリアは大丈夫かい?」

 

「ウフフ…フフッ…フフフフ…」

 

ラウラにフレッドとジョージが

話しかけてきたが、2人は

どこかへ意識を飛ばしているアミリアを見て

ラウラに大丈夫か尋ねた。

 

「あ、はい。アミリアは気にしないで下さい。

全くいつもの通りです。」

 

「あはは、そうなのかい?

いつもは凛々しく振舞ってるけど

こんなに満面の笑みで料理を食べるんだな!」

 

「本人はなんとか抑えようとは

してるみたいなんですけどね〜。」

 

「おっと、俺たちはそろそろ行くよ。

パーシーにもイタズ…もとい、

家族の団欒をしてこないとな!」

 

そう言ってフレッドとジョージは

パーシーのところへ行き、パーシーの

監督生バッチを取ってからかい、

追いかけっこが始まった。

その頃にはパーティーもお開きとなり、

意識が戻ったアミリアとラウラは

引っ張って寝室に向かった。

 

「そういえばアミリア、なんとか

図書室の閲覧禁止の棚に忍び込む

案は見つかった?」

 

「いや、結局いい案は浮かばなかった。

私の場合できるのは目くらまし術を

しばらく姿を消せるように

なるように練習するぐらいか…」

 

「うーん、そっか〜…」

 

「まあいつ役立つかわからんし、

ラウラもやってみるか?

かなり上級呪文だが。」

 

「そうだねー。いざって時に使えると

便利そうだしお願いしよっかな?」

 

「ではとりあえず杖の動かし方は

こうだ。ラウラ、一度やってみろ。」

 

「うん、えっと…こうかな?」

 

すると、ラウラの姿は消え、

5秒ほどでまた現れた。

 

「…そういえばお前はそういうやつ

だったな。使えるようになるまで、

普通は一回どころで

すまないはずなんだがな…」

 

「えへへ〜。」

 

そうして、アミリアとラウラは軽く

目くらまし術の練習をしてから

その日は眠りについた。




これからは基本1日1話ペースで
書いていくことにしました。
まあ話を作るのがうまくいけばですが。

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