ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

8 / 76
動きのある場面って
どうやって表現すればいいんだ…
それにしても長さが定まらない…


クィディッチ

ハロウィーンからさらに1カ月経ち、

寒くなってきた11月、アミリアやラウラ、

ロン、そして、特にハリーが楽しみにしていた、

クィディッチシーズンがやってきた。

ハリーのデビュー戦前日は

談話室でいつもの5人で集まり、

アミリアとハーマイオニーで、

ハリー、ロン、ラウラの呪文の宿題の

チェックをしていた。

 

「ハリー、何をそんなにそわそわしているのだ?

明日がデビュー戦だからといって、

宿題を疎かにしていい理由にはならんぞ?」

 

「ううん、違うんだ。

それもあるんだけど実はさっき、

スネイプに、ハーマイオニーに借りた

本を持って行かれたんだ。

校庭で図書室の本を読むなって。」

 

「そうなの?なんの本?」

 

「クィディッチ今昔っていう本だよ。

クィディッチの歴史やある程度のルールが

書いてある本なんだけど…

やっぱり本を返してもらってくる。」

 

ハリーは立ち上がり、部屋から出て行く。

それを見ていた4人は話を始める。

 

「あ、ハリー!

…もう!まだ宿題が終わってないのに…」

 

「まあそう言ってやるなよ。

ハリーはずっとクィディッチを楽しみにしてたし、

あの本も一応君が貸した物だろ?」

 

「それに、ハリーもずっと勉強じゃ

煮詰まっちゃうよ、ハーマイオニー。

でも、スネイプ先生から返してもらえるのかな?」

 

「一応校則では図書室の本を

外で読んでも問題はないはずだがな…」

 

そんな話をしていると、

10分ほどでハリーが息を切らして帰ってきた。

 

「返しても…どうかしたのかい?」

 

ロンは疲れ果てているハリーを見て

声をかけた。

 

「スネイプがあの三頭犬の話をしていたんだ。

3つの頭に同時に注意できないって。

それに、足に酷い傷があったんだ。

もしかしたらハロウィーンの時に

スネイプの歩き方が不自然だったのは

そのせいだったのかも知れない。

きっとあの時、スネイプは三頭犬を

出し抜こうとしていたんだ。」

 

ハリーはマクゴナガルに声をかけられた時、

すぐ後ろに来ていたスネイプの

歩き方が足を引きずるようであったことを

思い出していた。

 

「じゃあスネイプが、あの三頭犬が

守ってるものを狙ってるっていうのかい?」

 

「うーん、スネイプ先生は

怪しいけど、悪いことをするような

先生なのかなぁ?すごくスリザリン贔屓

なのは否定できないけどねー。」

 

「そうよ、そんなはずないわ!」

 

ハリーとロンの意見に、ラウラは軽く、

ハーマイオニーは強く否定する。

 

「先生がみんながみんな聖人君子

とでも思ってるのかい?

おめでたいよ、君は。僕はハリーと

同じ意見だな。」

 

「いや、私はハーマイオニー達に賛成だ。

もしスネイプが本当に狙っているとしたら、

すでにダンブルドア校長にはわかるはずだ。

生徒にも見られるほど雑な行動を

あの方がわからない訳ないだろう?」

 

「うーん、なんだか難しい話だね…

とりあえず今日はこのくらいにして、

そろそろ寝ようよ。

明日はハリーのデビュー戦なんだし、ね?」

 

話が疑問だらけになって来たところで、

ラウラは4人にそう言って

その日は解散して、それぞれの

部屋に戻っていった。

アミリアとラウラもまた、他の3人の

ルームメイトが眠る部屋に静かに入り、

布団に入って眠った。

 

 

次の日の朝、ラウラはアミリアの

暴走を止めることができたことに

安堵しながら、2人でハリーの話をしていた。

 

「ハリー…元気なさそう…」

 

「ん…確かに。朝食にも手が出ていないな。

こんなに美味しいのに。

『イングランドで美味しいものを食べようと

思うなら朝食を3回食べよ』という名言が

あるほどだというのに。」

 

「ちょっと心配だなぁ…」

 

「まあ、ハリーは大丈夫だろう。

トロールの時だってあいつの首に

捕まっていたぐらいだ。

十分に度胸はあるやつだよ。」

 

そんなことを話していると、

一足先にハリーは選手の控え室に

向かうために席を立ち、食堂から出て行く。

もちろんアミリアとラウラも、

先程までハリーと一緒にいた

ロンやハーマイオニーと同じように

ハリーに激励の言葉を送った。

 

 

時刻は11時、クィディッチ競技場の観客席は

たくさんの、旗や双眼鏡を持った生徒や

先生で埋め尽くされていた。

この日の試合はグリフィンドール対スリザリン。

シーズンの始めから因縁の対決ということで、

選手のみならず観客もその試合の始まりを

今か今かと待っていた。

 

アミリアとラウラは、

ハーマイオニーやロンを含む何人かの

同学年のグリフィンドール生と

観客席の最上段に陣取っていた。

『ポッターを大統領に』、そんなことが

書かれている大きな旗は、

何人かのグリフィンドール1年生による、

手作りの特別製の旗だった。もちろん、

アミリアとラウラも制作に携わっており、

ハーマイオニーと絵がいろんな色に

変わるような魔法をかけた。

そして、いよいよ試合開始予定となり、

控え室から両チームの選手が飛び出し、

それぞれのポジションの場所に移動する。

 

「あ、ハリーがあそこにいるよ!」

 

ラウラは興奮した様子でそういって、

アミリアもその言葉に首を縦に振る。

 

「正々堂々お願いします!では、試合始め!」

 

飛行訓練も担当していた、

審判のマダム・フーチが、地面に置いていた

箱から金属できた暴れ玉ー ブラッジャー ーと、

金色の小さな玉ー 金のスニッチ ー

を箱から出した後、赤色の少し大きめな玉

ークァッフルーを垂直に投げ、試合が始まった。

 

「やった!グリフィンドールが

クァッフルをとった!」

 

ラウラは興奮しっぱなしで、

ずっとアミリアを揺さぶり続けようとしていた。

アミリアはそんなラウラを引き離しながら、

試合の行方を見ていた。

 

 

『決まったぁー!グリフィンドール、先取点!』

 

「ちょいと詰めてくれや。」

 

ちょうどグリフィンドールが先取点を決めた頃、

そう言ってアミリアとラウラの隣にやってきたのは

久しぶりに会うハグリッドだった。

 

「あ、ハグリッド!久しぶり!」

 

「ああ、本当に久しいな。

なんだかんだで結局入学式の時以来

会っていなかったんじゃないか?」

 

「ああ、連絡しようとはしたが、

お前さんたちに連絡するには

どこにフクロウを届けりゃええか

わからんくてな。ハリーは

有名だからすぐわかったんだが。」

 

「ハグリッド!」

 

そうして話していると、すぐ横にいたロンと

ハーマイオニーもハグリッドの巨体に気づき、

声をかけにきた。

 

「俺も小屋から見ておったんだが、

観客席で見るのとまた違うんでな。

スニッチはまだ見つからんか、え?」

 

「うん、ハリーは今の所することないよ。」

 

「シーカーはスニッチが見つかるまでは

基本的にあれでいいんだよ、ロン。

始めから攻撃を受けてはいくらハリーと言え

箒の操作に綻びが出てしまうだろう。」

 

そうして話していると、

リー・ジョーダンの実況に会場がざわめく。

 

『ーチェイサーのベルをかわして、

そのままゴールへ…あれはスニッチか⁉︎』

 

「え?どこ?どこ?」

 

「あそこだ、ラウラ!

あのスリザリンのチェイサーの横だ!」

 

アミリアの言葉にラウラや周りの他の

観客もそこを注目し、

そしてすぐ後にハリーとスリザリンの

シーカーのテレンス・ヒッグスを見て

大歓声をあげる。

 

「いけ!ハリー!

そのままスニッチを取りに行け!」

 

ロンがそう言って叫ぶ間にハリーは

テレンスを追い抜かし、スニッチに

手が届きそうなところまで近づいた。

しかし、スリザリンのキャプテン、

マーカス・フリントがハリーに体当たりをし、

そのコースからハリーをはじき出した。

グリフィンドール席からは怒りの声がわきあがる。

 

「あんなの反則よ!」

 

いつもはクィディッチに目も向けない

ハーマイオニーでさえ、マーカスの行いに

怒りをあらわにする。

クィディッチに退場はないにもかかわらず、

どこかから退場させろという声すら聞こえる。

試合はフリーシュートの後、

そのまま続行される。

 

『えー、胸糞悪くなるような反則のー』

 

『ジョーダン…!』

 

『あ、失礼、あからさまで不快なファールのー』

 

『ジョーダン!いい加減にしないとー!』

 

実況をしていたジョーダンでさえ、

マクゴナガルの注意を受けながらも

中立を保てていなかった。

そして、全員が見失ったスニッチを

見つけるため、ハリーとテレンスは

再び上空高く浮かび上がった。

 

「ハリーは一体何しちょるんだ?」

 

「ハリー⁉︎危ないぞ!」

 

「どうしたの⁉︎アミリア!ハグリッド!」

 

自分の双眼鏡を持っていたアミリアと

ハグリッドは上空にとんだハリーの箒が

ジグザグに飛び、グルグル回っているのを見る。

何人かの観客は悲痛な声をあげる。

ラウラとロン、ハーマイオニーもその状況を聞き、

ハリーを心配し、話を始める。

 

「もしかして相手の選手が

ハリーの箒に魔法をかけたんじゃ?」

 

「いや、そんなこたぁありえん。」

 

「あぁ…箒、しかもハリーの箒は最新の

ニンバス2000だ。そんな箒に

一瞬で細工ができる学生が使える魔法なんて、

私の知る限りでは存在していない…!」

 

「アミリアがそう言うなら、

一体ハリーの箒はどうしたの…?」

 

「もしかして…貸して!」

 

ハーマイオニーはハグリッドが

持っていた双眼鏡をとり、

観客席を見回し始める。

 

「もし仮に…いや、ハリーが自分で

危険な状態になるわけがないか…!

ハリーが操作していないのなら、

箒には魔法がかけられているだろう。

しかも、普通の魔法じゃない…

強力な闇の魔術だ…!」

 

アミリアがそこまで説明していると、

ハーマイオニーが声をあげ、

アミリア、ラウラ、ロンに叫ぶ。

 

「思った通りだわ!

スネイプを見て!じっとハリーの箒を見て、

何か箒に呪いをかけてる!」

 

ハーマイオニーのその言葉に、

アミリアもスネイプに双眼鏡を向けると、

確かにハリーから目を離さず、

何かを呟き続けるスネイプが見えた。

 

「そんな!僕たちどうすりゃいいんだよ⁉︎」

 

「私に任せて!」

 

「あ、おい!ハーマイオニー!

まずは落ち着いて私の言うことを…くっ、

行ってしまったか…」

 

ハーマイオニーはそう言って、

アミリアの制止も聞かずに走っていった。

 

「アミリア!スネイプが犯人なの⁉︎」

 

「いや、わからん!

ただ箒を見つめて何かを呟いている、

という状況だけでは、ハーマイオニーの

判断が正しい場合もあるが、もしスネイプが

唱えているものが呪いへの反対呪文なら

まずいことになる可能性が…!」

 

そう話していると、とうとうハリーは

箒から振り落とされ、ギリギリの所でなんとか

箒の柄に片手だけでぶら下がっているのが

観客席から見えた。

 

「ハリー!」

 

「早くしてくれハーマイオニー!」

 

「今は祈るしかないのか…!」

 

アミリアはスネイプのいる

観客席に双眼鏡を向けた。

すると、スネイプが周りの声に

驚いて慌て、周りの観客がパニックになり、

何人かの観客は押し倒されていた。

よく見るとスネイプのローブの裾が

青白い炎で少し燃えていた。

それとほぼ同時に観客席から歓声が聞こえた。

 

「やった!ハーマイオニーうまくやったんだ!

ネビル、もう見ても怖くないよ!」

 

「よかった、ハリー…」

 

「なんとかなったか…」

 

3人は安堵のため息を吐き、ハリーを見ると、

物凄いスピードで急降下を始めた。

 

「えっ?ハリー⁉︎もしかしてまだ箒が…」

 

「いや、スニッチだ!」

 

ラウラが悲鳴をあげそうになるが、

アミリアはスニッチに気づいた。

そして急降下を続けるハリーの横に、

テレンスが並んで互いに急降下を続ける。

スニッチは箒にできない動きで

地面スレスレで方向を変え、水平に飛んでいく。

 

「ハリー!危ない!」

 

「これはチキンレースになるか…!」

 

なおも急降下を続ける2人のシーカー。

地面から10メートルというところで

とうとう状況が動いた。

スリザリンのシーカー、テレンスが

方向を変え、ハリーより先に浮かび上がった。

ハリーはそのまま降下し、

観客席から悲鳴が上がるほど

ギリギリの所で箒の向きをかえ、

スニッチの真後ろにつき、箒の上に立った。

観客席からは悲鳴から一転、大きな歓声があがる。

 

「いけ!ハリー!」

 

それを見て、アミリアも大きな声をだす。

そしてハリーはスニッチが

前から逃げ出そうとしているのを見て、

驚くべき行動に出た。

 

「ハリー⁉︎大丈夫なの⁉︎」

 

ハリーは箒の上からスニッチに

飛び込み、地面に落ち、何メートルか滑った。

ラウラを始めとして、観客席のあちこちから

悲痛な声が聞こえる。

そして、ハリーが上体を起こした。

 

「ハリー、どうしたんだ?」

 

「何か気持ち悪そうにしてるよ…?」

 

ハリーは今にも何かを吐き出そうとしていた。

そして、そのまま何かを吐き出し、

ハリーの手の平にそれが乗り、

光が反射して輝く羽を見て

観客席からその日一番の大歓声が上がった。

 

『ハリー・ポッターがスニッチをとった!

グリフィンドールに150点!』

 

実況のリーが嬉しそうに大声で叫ぶ。

そして、審判のフーチがホイッスルを鳴らし、

正式にグリフィンドールの勝ちを宣言した。

グリフィンドールの観客席は

ある者は叫び、ある者は抱き合い、

嬉しさを表現していた。

 

 

「何?スネイプが箒に魔法を?

バカな、何でスネイプが

そんなことをする必要がある?」

 

試合終了後、帰ってきたハーマイオニーと

ハリーが合流し、5人で少し狭い

ハグリッドの小屋で濃い紅茶を

淹れてもらっていた。

一緒に出てきたロックケーキは、

とても硬く、アミリアですら

一切れ口にした後はそのまま横に置いていた。

 

「でも、ハーマイオニーと僕、

それにアミリアにラウラも見たんだ!

ハリーの箒から目を離さずに

ぶつぶつ呪いをかけてたんだ!」

 

「それにスネイプはハロウィーンの日に

三頭犬の裏をかこうとして噛まれたんだ。

何があるか知らないけどあの犬が

守ってる物をスネイプは…」

 

「待ってくれ、

何でお前さん達フラッフィーを知っとるんだ?」

 

ハリーが三頭犬の話を始めると、

ハグリッドが焦った様子で質問してくる。

 

「フラッフィー?

それって何なの?ハグリッド。」

 

「名前か?まるでペットのようだな。」

 

「そう、あいつの名前だ。

去年パブで会ったギリシャ人から買ったんだ。

俺がダンブルドアに言われて守るために貸して…」

 

そのハグリッドの言葉を聞いて、

ハリーは身を乗り出す。

 

「守るために?」

 

「おっといけねぇ…

重大秘密なんだ、これは。」

 

「だけど、スネイプが盗もうとしたんだよ!」

 

「バカな!スネイプはホグワーツの

教師だ。そんなことする訳なかろう?ん?」

 

ハグリッドが繰り返し否定する。

 

「じゃあどうしてスネイプは

ハリーを殺そうとしたの?

ハグリッド、私呪いをかけてるか

どうかは本をたくさん読んだから一目でわかるわ!

スネイプは瞬き一つしなかったわ!」

 

「お前さんは間違っとる!俺が断言する!」

 

「そうだ、ハーマイオニー。

ただの仮定の話にはなるが、

相手を見続けるというのは、呪いだけでなく

それに対する反対呪文だって眼を離しては

いけないんだ。もしかしたら

スネイプは反対呪文をかけていた可能性もある。」

 

アミリアは落ち着いてハーマイオニーに

可能性を話す。ハーマイオニーは

不服そうに一旦静かにした。

そして、ハグリッドは言葉を続ける。

 

「ええか、ハリーの箒がどうしてあんな

動きをしたのか俺にはわからん。だが、

スネイプは生徒を殺そうとしたりはせん。

それにお前さん達5人とも関係ないことに

首を突っ込んどる!危険だ…

あの犬が守ってるものは忘れるんだ。

あの事を話していいのは、ダンブルドアと、

ニコラス・フラメルだけだ!」

 

「ニコラス・フラメル?」

 

「おっといけねぇ…

もうこれ以上聞かんでくれ!」

 

6人はそうして話して、

その日はそのままお開きとなった。




最近ずっと書くのを忘れてましたが、
感想、質問、批評など、いつでも待っています。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。