ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

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タイトルの通り例のチート部屋を
ある一人が見つけます。
本人に使う気はあまりありませんけど。

今年最後の投稿です。
この1年間ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。


必要の部屋

寮に戻った後、勝利を祝ってパーティーが

催された。三人はパーティーが始まる前に、

元のクィディッチのチェイサーたち、

アリシア、アンジェリーナ、ケイティに

箒を返したり、激励の言葉を送ったりしてから

一緒にパーティーを楽しんだ。

途中、フレッドとジョージがいつの間にか

いなくなり、再び現れた時には

両手いっぱいのジュースにお菓子を持って来て

さらに盛大なパーティーになった。

いつもは勉強しているハーマイオニーも、

最近余裕ができたのかみんなと一緒になって

楽しんでいる。パーティーは日をまたいでも続き、

最後にはマグゴナガルが

早く寝なさいと命令しに来たほどだった。

三人もその指示に従って部屋に戻ったが、

ラウラがアミリアを見てまた呆れていた。

 

「アミリア、またそんなにお菓子持って来たの?」

 

そんなことを言いながらアミリアが

持っている百味ビーンズの箱から

一粒つまんで食べた。ハッカ味だった。

 

「ああ、せっかくフレッドとジョージが

いろんなお菓子を持って来てくれたからな。

捨てるのももったいないし。ホグズミードに

行ってないからお菓子は貴重じゃないか。

ほら、アイギスも食べてくれ。」

 

「…まあ、もらうがの?

しかし、さらに余ったらどうするのじゃ?

妾としてはもう寝たいところであってな、

あまり量はいらぬのじゃが。」

 

「このケースの中に入れるから問題ない。」

 

そう言ってアミリアはトランクの中から

小さめのトランクケースを取り出す。

黒色でかなり薄く、とてもお菓子が

入るとは思えない。

 

「そんなものに入るのかの?」

 

「まあ、中を見ればわかるか。ほら。」

 

そう言ってアミリアがケースを開くと、

中には謎の真っ黒な空間が広がっていた。」

 

「…少し怖いのじゃが…」

 

「別に入ってしまってもお菓子の

クッションの上に落ちるだけだ。あー…

もしかしたら箱が開いてしまったカエルチョコの

カエルが何匹かいるかもしれんが…」

 

「まあ、アミリアはこうやって

毎年大量のお菓子を持って来てるんだよ。

中身は劣化しないように魔法がかけられてて、

いつまでも保存できるらしいよ。」

 

「勉強やら宿題中に食べているお菓子は、

一体どこから出しておるのかと思えば…」

 

アイギスは若干呆れ気味になりながら、

せっかくだからもらおうと、アミリアが

ベッドに広げているお菓子に手を伸ばした。

その時、静かな夜の空気を切り裂くような

大きな悲鳴が聞こえた。

 

「な、何っ⁉︎今の声!」

 

「…男子の方の寝室からか?」

 

アミリアは窓の外に軽く身を乗り出して、

男子の寝室がある方を見た。一室に

明かりが灯り、中では数人の人影が動いている。

 

「…当たりのようだな。」

 

「悲鳴を聞きつけて談話室に

生徒が集まってくるかもしれん。

気になるし行ってみるかの?」

 

アイギスに言われ、二人は少し考えてから

そうすることにした。談話室に

入ろうかと会談を降りていると、すでに何人かが

談話室で話をしていてずいぶん騒がしく

なっていたようで、マグゴナガルが

厳しい口調で軽く怒鳴っていた。

三人は一旦談話室に入る前に立ち止まった。

 

「…タイミング悪かったかな…」

 

「すまない、少し静かにしてくれ。

何が起こってるか聞いておきたい。」

 

アミリアは耳をすまして

誰が話しているのかを聞こうとした。

 

「悪い夢なんかじゃない!」

 

大きな声が聞こえた。耳をすませるまでもなく

ロンの声だということがわかる。

 

「先生、僕、目が覚めたら、

シリウス・ブラックが、ナイフを持って、

僕の上に立ってたんです!」

 

怯えているのか、途切れ途切れに言葉を続ける。

それを聞いた三人は驚愕した。

 

………………

 

それから城中が捜索されている間、

生徒たちはほぼ全員が眠ることなく

談話室でシリウスが見つかるのを待った。

それぞれが小声で話していたり、

小さく震えている生徒もいる。

 

「…アイギス、どうしてブラックさんは

ここに入ってこれたと思う?

あ、いや、談話室に入ったのはネビルが

落としちゃった合言葉を言ったブラックさんを

ガドガン卿がそのまま通しちゃったからだけど、

学校にはって話ね?」

 

「妾には見当もつかんよ。

そこまでここの仕組みに詳しいわけでもない…

パイプの中も人が自由に行き来できるほど

親切に作られてはおらんしな。

多少なりとも、ある程度予想していそうな

アミリアはこの通り眠っておるし…」

 

「…よく今寝れるよね…寝不足になった

アミリアは色々と大変だから別にいいけど…」

 

そんな中でアミリアは一人寝室から

毛布を持ってきて寝ていたが、周りは

他の人のことを気にする余裕もないので

特に何も言われはしていない。

 

「でも、本当にどうやったんだろう…私は

例外ってことになるとして、少なくとも

ホグワーツに姿現しで来ることは

できないはずでしょ?煙突だって使える

はずがないし…でも、歩いたって飛んだって、

ディメンターがいるから近づいたらすぐに

見つかっちゃうと思うんだよね。

ほら、お腹が空いてる時の動物の勘って

すごいから。ディメンターだって

お腹が空くならそこはおんなじだと思うんだ。

だいぶ前の時、クィディッチの試合に

ずいぶん離れた所にいるはずなのに

集団で現れたぐらいだし。ダンブルドア先生が

怒ってたから、最近ろくに感情を

食べれてなくてお腹が空いてると思う。」

 

「…途中から食欲の話ばかりになっておらんか?

…それはあってるかどうかわからんが…

なんにせよ、ディメンターをかいくぐる方法が

あるのじゃろうな。ブラックとやらは

アズカバンから脱獄して来たのじゃろう?」

 

「それはまあ、そうなんだろうけどね。

ディメンターのことなんて詳しく知らないから

さっぱりだよ。そのあたりも。」

 

誰にも聞こえないように小さな声で

二人が話していると、アミリアが

軽く身体を起こした。

 

「…ん、…」

 

「あれ?アミリア起きたの?」

 

「ここは…部屋じゃないな…?」

 

「談話室。ほら、夜中にブラックが来たって

話があったでしょ?」

 

「あぁ、そういえばそうだったな…

チッ…やつは一体何が目的なんだ?

安眠妨害が目的なら大成功だよ…忌々しい…」

 

「え?ハリーじゃないの?

ヴォル…デモートに従って〜とかなんとか…」

 

「ハリーたち三人の話では、

先生方がそのように話しておったと…」

 

「ほら、その手柄のためとか?」

 

「そうだとしたら迂闊な上に非効率なんだよ。

先生方の話していたことや報道の通りの

人物なら私は理解に苦しむ。確かに

ハリーが死ねばおそらくヴォルデモートは

喜ぶだろう。そのことを踏まえて、

もし目的がハリーをヴォルデモートの

ために殺すことだったとするぞ?

まず何故ロンの上に乗ってナイフを突き立てる

必要がある?寝ていたんだぞ。

何もしなければ起きて騒がれもしないはずだ。

ブラックがイかれた狂人で全員殺さないと

気が済まないとかでもなければ、

そんな必要はない。仮に、もしそうだとしても

部屋もろとも吹き飛ばせば済む話だ。

そういう事件を起こして捕まったんだろう?

間違えただけかもしれんがそれなら

悲鳴をあげられる前に殺して改めて

ハリーを探せばいいだけだ。

…ブラックはヴォルデモートのために

動いていないだろう。私にはそうとしか思えない。」

 

「そ、そうなの…?

…あの、アミリア?少し機嫌悪い?

いつも以上に、なんていうか…」

 

「…ん…ああ…そう、かもしれないな…

…すまない…まあ、この話はこの辺りでいい。

私たちが考えたところでできることは

少ないからな。…そろそろ明け方だが

私はもう一眠りする。悪いがまた起こしてくれ…」

 

そう言って、アミリアは

またすぐに寝息を立て始めた。

 

「…何やら最近アミリアはおかしいのう。

今のも寝起きの割にしっかりしておるかと思えば

ずいぶん口が悪かったとでもいうか…」

 

「…」

 

「…ラウラ?」

 

「え?あ、うん、そうだよね。

なんだかおかしいとは私も思うよ。」

 

「…むぅ?」

 

 

結局シリウスが見つかることはなく、

生徒たちは不安に包まれたままひとまず

学校生活を送っていた。

警備も厳しくなり、戻ってきた太った婦人の

絵の周りには数人のトロールが雇われている。

そして事件が起こった日の翌日、朝食の席で

ハリーの元に、全員でハグリッドが小屋に

遊びにこないかと手紙が来ていた。

その約束の時間の6時になる前に、

談話室でアイギスがロンとハーマイオニーに

事件の時の話をしていた。

 

「…という話をあの時しておっての。

まあアミリアがその後起きた時には

特にいつもと変わらんかったが

あの時アミリアを見たラウラも変じゃったのが

気になって、こうして少し話そうと思うてな。

なかなかこうしてアミリアにラウラ、

それに一応じゃがハリーも

おらんという機会もないことじゃしな。」

 

アイギスはハリーに頼んで、少しだけ

基礎の魔法を教えてあげて欲しいと頼んだので

今二人は寮の近くの空き部屋にいる。

 

「そうは言ってもいつもとそんなに

変わらないんじゃ?アミリアの口が

その時悪かったって言っても元々結構きついだろ?

それに、アミリアが言ったこともわかるよ。

ブラックがトンズラしたのがどうしてかは

僕も不思議に思うし。」

 

「アイギスはラウラが最後に心配そうに

見ていたのが気になったんでしょう?」

 

「うむ…確かにそうじゃ。

妾が思うに、少なくともアミリアの父、

それと母を除けば、おそらく最も

アミリアのことをわかっておるのは

ラウラじゃろう。そのラウラが

妾が今まで見たことないほどに

不安な顔でアミリアを見つめておったからの…」

 

「ああ…そりゃ心配になるわけだ。ラウラが

そんなに不安な顔するなんてよっぽどだぜ?」

 

「そうね…それに、

私たちに少しでもそんな顔を見せた時に

話してくれなかったことなんてないし…」

 

「うむ、ラウラらしくないというのも

心配しておる一因ではある。

いったいどうしたのか妾には見当もつかん…」

 

「あー、そういえばそのアミリアは?」

 

「ああ、アミリアならば…」

 

 

少し魔法の練習をしたいから

アイギスはラウラの勉強を見てやってくれ。

そう頼んでアミリアは学校内を適当に歩いていた。

 

(…だが、ああは言ったが練習する場所以前に

練習する前提…使い方が未だにわかっていない。

探すにしても図書館は探し尽くした。

名前を見なかったわけではないが、魔法が効く

対象が対象だ。ピンポイント過ぎて

汎用的なものではないからか、使い方もなく

本当に名前しか書いていないものばかりだった。

難易度的にも学生がするものではないのも

あるのだろうな…逆に魔法省…闇祓いになら

練習法が書いてある本があるかもしれないが…

まあ、借りられるようなものでもないだろう。

ああいうのは外に出せないのが大半だ。

後は、知っている人に聞くという方法はあるが、

先生方は忙しいだろうし、生徒でできる人が

いるという話も聞いたことがない。

父上に手紙を出すのもいいかもしれないが

シリウス・ブラックの件で大忙し、

家に帰れるのも稀という話だからな…

母上も手伝っているらしいし…

パトローナス・チャームの練習ができる場所…

それと書いている本に、贅沢をいえば

ディメンターに近い生物でもいれば…)

 

「…ん?」

 

アミリアが廊下を適当にうろうろ

歩いていると、見覚えのない扉があった。

 

「この部屋はなんだ?

さっきまでこんな扉はなかったはずだが…」

 

扉を開いて中を見てみると、少し広い部屋で、

奥の方には台があり、その横には膝ぐらいまでの

高さの小さな本棚、右のほうの壁際には

大きな箱が置いてあった。アミリアはひとまず

しゃがんで適当に本棚から一冊本を取り出して

台の上に乗せて少し読んでみた。

 

(ガリア語の本…?また珍しいな…

ガリア語が使われていたのは確かずいぶん…

筆者の名前は書いてはいないか…当時で

羊皮紙といえば高級品だし、金持ちの道楽か、

それとも…いや、試行錯誤の結果まで

書いているところを見るとこれは魔法の研究書か?

しかも都合よくパトローナス・チャームの…

当時はまだ確立されていなかったのか…

魔法一つ一つの歴史なんて知る由もないし

ある意味貴重な知識かもしれないな…)

 

少し読み進めてみるとついさっきまで

悩んでいた守護霊の呪文についての

研究書のようだった。本棚を改めて見ると

いくらか言語が違うものもあるが、

すべて守護霊の呪文についての本のようだ。

 

「…それで、こっちの箱は…?」

 

置いている箱を離れたところから魔法で

開けてみると、中から黒いものが出てきた。

見た目はディメンターだが、この間目の前に

した時よりかはいくらか喪失感は少なく、

本物ではないのだろうと予想できた。おそらく

マネ妖怪の類なのだろう。確認したアミリアは

それを魔法で押し込んで箱のふたを閉めた。

 

「…何なんだ?この部屋は…

私が望んだ環境そのままだが…

…ああ、そういうことか…ここが必要の部屋。

今必要だと思っている物が用意されている

部屋になるというあれか…」

 

アミリアはこの場所に思い当たる所があった。

 

「…学校に来たら一番に見つけてやろうと

昔は思っていたのに、すっかり忘れていたな。

まあ、利用できるなら使っておこう。

…しかし、ただ魔法の使い方だけを知るのも

面白くないな。せっかくなのだから

研究段階の本も興味があるし読んでおこう。

…時間がないのはわかってはいるが

どうしても知らずにはいられない…

いや、まあ、3日もあれば読みきれるだろうが。

何冊か適当に借りて今日は帰るとしよう。

もうすぐ約束の時間だしな。うん。

ここで読んでいては遅刻してしまう。」

 

アミリアは一人で何かに対する言い訳をしながら

ローブに10冊ほどの本をねじ込んで

部屋を出て談話室に向かった。




「よう、久しぶりだな!ラウラとアイギスの父親、
ランディだ。今日はダールトと一緒に
軽く昔話で談笑でもしようかと思ってな。」

「なんて唐突な…そして何故私なんだ…
なんだ?前回といい私はついでなのか?」

「いや、やっぱり昔の話するならダールトとが
一番話しやすいかと思ってな。
あと、そんな話し方ばっかしてると
苦労人属性がついちまうぞ?」

「お前と関わった時から自覚しているよ…」

「ん?そうか?まあなんだかんだで
色々押し付けたのは否定しねえけど。
勉強に関してはダールト様々だったしな。」

「全くだ。毎晩毎晩教えた覚えしかない。」

「学年で2番の成績だったからな。ダールトは。
1番はエミリーだったけど教え方はな…」

「…ああ、私も全くわからなかったな。
あれを聞くまでは、あそこまで勉強に擬音が
出てくることはないと思っていた。
あと指で指し示してるわけでもないのに
指示語ばかりで訳がわからない。」

「そうなんだよなぁ。何をどう理解したら、
それはこれがあーなってこうだから、
993年にホグワーツができたんだよって
教え方になるんだろうな…マジでわかんねぇ…」

「それでも余裕で満点は突破してるあたりが
恐ろしい所だな。その上、勉強だけじゃなく
私たちの話をちゃんと聞いてるかどうか
わからないのも気苦労の原因だったな。」

「学生の時はもっと酷かったからな…
エミリーの親御さんに挨拶に行った時は
普通の人だって思ったけど、今思えば
全然そんなことなかったのかもなぁ…」

「…むしろ周りが普通で何故
あそこまでズレたのかを私は知りたいが…」

「それでも、なんだかんだで俺たちと
だいたい一緒にいたけどな。」

「そうだな。よくアリシアを怒らせていたが…」

「そういやそうだったなぁ。最初のは俺が
アリシアの顔を飯に突っ込んじまったのが
原因だったけど、それ以降キレた原因の八割は
エミリーだったもんな。」

「まあ、2割ほどは故意のことだったが
事故のもののほうが多かったな。
アリシアの目の前で転んでスカートを
下ろしてしまったこともあったし。
あの時のアリシアの怒り方はみていられなかった。」

「あれはアリシアにとって
嫌な事件だっただろうなぁ。
何人か目撃者もいたし。本人は恥ずかしさで
何も言えなくなってただただ顔を真っ赤にして
泣きながらエミリーを追っかけてたっけ。
あの時はさすがにエミリーでも
謝りながら逃げてたな。」

「私たちはアリシアの後ろにいて
ローブで見えなかったからよかったがな。」

「ホントは見たかったんじゃねぇのか?
今結婚してるぐらいなんだから気はあったんだろ?」

「私は別にむっつりというわけではないぞ。
それに、もしあの時私たちが見ていたらおそらく
記憶が消えるまで殴られ続けていたと思うぞ?」

「…確かにそうだな…」

「まあ、そんなことにならなかったのは
幸いだったことだ。さて、とりあえず
この辺りで一旦話を切ろう。」

「ん、そんなもんか?
じゃあ、年末だが、今年この紅白の二人を
振り返ってダールトはどう思った?」

「それを評価するのは読んでくれた人だ。
私が言うべきことじゃない。
ただ、この一年で1作品すら終わってないのは
問題な気はするな。まあ、来年は
もう少し進めてほしいものだな。
私たちの出番のためにも。」

「まあ、生徒以外で出る機会があるのは
少なくとも次の年からだし。
まあそれでもだいぶ絞られるけどな。」

「ここでこうして話さなければ
ならないくらい私たちの影は
薄くなりつつあるだろう。二つほど
前の後書きでアリシアとエミリーが
出てきてすぐピンときた人がどれほどいるか…」

「うーん…まあ、大丈夫だって。
うっすらでも覚えてくれてるよ。多分。」

「相変わらずポジティヴだな。
では、また次回にお会いしよう。良いお年を。」

「来年もよろしく頼むな!」

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