ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

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小話を入れたって
いいじゃないか。人間だもの。


ああ、ラウラよフォーエバーソーファイン

レイブンクローとハッフルパフの試合で

レイブンクローが圧勝したことで

グリフィンドールチームに

クィディッチ優勝の可能性が残された。

起こった劇的なことはそのぐらいで

時は少々飛び、冬休みの休暇1日目の夜…

 

「ラウラ、すまなかった…」

 

「うう〜…」

 

「そろそろ、機嫌を直してくれんか?」

 

「うう〜〜…!」

 

枕に顔を埋めているラウラに

謝っているアミリアとアイギスがいた。

 

「だからその…な?私からも頼むから

頼むから機嫌を直してくれないか?

怒っているなら謝るから…」

 

「怒ってないけどさ〜…」

 

「しかしじゃな、ラウラ…」

 

「怒ってないってばぁ!

違う…違うんだよ!もっと、こう…あるんだよ!

ああ…恥ずかしい…!」

 

「本当にすまなかったから

いつものラウラに戻ってくれ…」

 

「う〜…私だってそうしたいけどさ〜…」

 

3人はそれぞれ昼ぐらいからの記憶を呼び起こす。

 

 

時は少々遡り…もうすぐ

昼食になろうかという時間、

休暇に入っているので

人もあまりいない静かな城内、そのうちの

一つの部屋の中で一人の少女が唸っていた。

 

「…うーん…何故こんな…?

分量は間違っていなかったはずなのだが…」

 

目の前の棚の上に置いた

透明な液体を見ながらアミリアは呟いた。

 

「しかも入れ物を切らしていたという

初歩的なミスをやらかすし…

はぁ…今日の私は疲れているのか…

…とりあえず仮でコップに入れたが

これがなにか調べるにしろそうでないにしろ

このままという訳にもいかないしな…

ルーピン先生に聞いてみようか…

何か適したものを持ってるかもしれない…」

 

考えを整理するために

そんな独り言を言いながら

アミリアは部屋から出て行った。

 

 

15分ほどたった後、部屋に

少し疲れた様子のラウラが入ってきた。

 

「アミリアー?うーん、おっかしいなぁ。

ここにもいないや…アイギスは

どこかに散歩に行っちゃったし、

図書館に探し物をしに行くって言った

アミリアも結局図書館にいないかったし…

ここにもいないならどこなんだろ…

入れ違いになっちゃったのかな?」

 

少し愚痴混じりにブツブツ言ってから、

ラウラはベッドに腰掛けた。

 

「はぁ…疲れたな…

二人は見つからないし、移動中に

ピーブスが邪魔してきたり

階段が普段と違うところが消えたり…

今日の私、運がないな…」

 

やれやれと思いながら

なんとなく部屋の中を眺めた。

すると、アミリアが普段使う棚の上に

コップに入った水があった。

 

「あ、水がある。アミリアは

さっきまでここにいたのかな?

…喉乾いたしもらっちゃおう。」

 

そう思いながら軽い気持ちで

それを飲み干した。

 

「…うっ!…ゴホッ、ゴホッ…

うぇぇ…なにこれぇ…すっごくまずい…」

 

吐き出しはしなかったものの、

とても人の飲める味ではなかった。

その時、アミリアがガラスの筒を

手に持ってドアを開けていた。

 

「ん?ラウラ戻ってきて…⁉︎

そ、それ、飲んだのか⁉︎」

 

ラウラが手に空のコップを持っているのを見て、

アミリアは慌てふためきながら

ラウラに向かって近づいていった。

手に持っていたガラスの筒は

ベッドの上に放り出していた。

 

「う、うん…すごくまずかったけど…」

 

「体に変なところはないか?

ちゃんと私が見えるか⁉︎私がわかるか⁉︎」

 

「え?え?ど、どうしてそんな?

ちゃんとわかってる、よ、アミ…」

 

詰め寄られて色々聞かれたそのとき、

ラウラは急に身体中に違和感を感じ、

倒れてしまった。薄れゆく意識の中、

アミリアが叫ぶ声が聞こえた気がした。

 

 

「んー…!…ふぅ、やはり、

蛇になると疲れるのう。慣れれば

そうでもなくなるかと思うたが、

そうそううまくいくものでもないようじゃな。」

 

自分たちの部屋への階段を伸びをしながら

上りながらそう呟いた時、

向かっている自分たちの部屋の扉が

軽く開きっぱなしになっているのに気づいた。

 

(ふむ?もう誰か帰っておるのか?

結局の所皆やることがないものじゃ。)

 

そんなことを考えながら扉を開いた。

 

「アミリア、ラウラ、帰ったのか…の…?」

 

まずアイギスの目に映ったのは

目に見えて慌てているアミリア。

次に、どこかで見たことがあるような

白い髪をした小さな子供だった。

 

「えっと…その…」

 

「…アミリア、その子供は…」

 

「私の子供だ!」

 

「それはさすがに無理がありすぎるのじゃ!」

 

 

「ふむ…いつものように魔法薬の研究を

していると予想と違うものが出来てしまって、

それを調べるにしろ廃棄するにしろ

入れ物は必要だからと取りに行ったら

その間にラウラが飲んでしまったと。」

 

「ああ、大体はそういうかんじだ。

それで倒れたラウラをベッドに乗せた時に

違和感を感じて気づいたんだ。

…体が小さくなっていることに…

今はこんな感じになっている。」

 

そう言って指差す先には

小さくなっているラウラが寝ている。

3歳から5歳ぐらいの身長になっている。

 

「…それで、意識はあるのかの?」

 

「いや、まだ目は覚めてな…」

 

「…ゅ?」

 

ラウラが目を開けた。起き上がり、

パチクリと瞬きをして、辺りを見回している。

少しすると、アミリアの方を見て笑顔になった。

 

「…おはよ〜あみりあー。」

 

「…私のことがわかるのか?」

 

「あたりまえだよ。

それに、あいぎすのこともわかるよー?」

 

「…なんというか、こう…

いつもよりポワッとしておるな…

語尾もちょくちょく間延びしておるし…」

 

アイギスは、何処となく

ラウラが普段と違う気がした。

 

「ああ…身体が小さくなったからというのも

あるのかもしれないが、思考能力も見た目相応…

だいたい3歳ぐらいになっていると思う…」

 

「なんのおはなし〜?」

 

ちょいちょい、とアイギスの袖を

引っ張りながらラウラは聞いてきた。

 

「ふむ、なんにせよ放っておくわけにも

いかないじゃろう。

よしよし、少しラウラの話を

しておったのじゃよ。」

 

アイギスはラウラの頭を撫でたが、

ラウラは不満そうにして振り払った。

 

「む〜!わたしのほうが

おねーちゃんなんだからね!」

 

「…私の知っている

小さい頃のラウラとは違うな。」

 

「そうなのかの?」

 

「ラウラはその辺りの記憶はあるのか?

最近のこととかは?」

 

「?」

 

ラウラは首をかしげた。

 

「ない、ようだな…だがアイギスのことを

覚えていたから、今のラウラをそのまま

幼児退行させたような状態だとは思う…

昔の性格は暗かったから

過去に戻ったわけではないようだし…

深く覚えてることを覚えているのかも…」

 

「もー!さっきからふたりともむずかしい

おはなしばっかりでつまんない!

ねーねー、あそんでよ〜。」

 

「しかし、ラウラを戻さないと…」

 

「…まあまあ、アミリアよ。冬休みなのじゃし、

付き合ってもいいのではないか?

今は考えても仕方あるまいし。」

 

「まあ…うん、そうだな…こんな状態では

戻すのを考えるのもできないだろうし…

じゃあ、ラウラは何をしたいんだ?」

 

「ゆきがっせん!」

 

雪は降ってはいないがよく積もっている。

雪合戦をするには確かにぴったりではある。

 

「ゆきがっせん…とはなんじゃ?」

 

「ああ、アイギスは知らないかな。

雪でボールを作って投げ合うんだよ。

去年だったかに、どこかで雪合戦連盟が

できたとかなんとか…」

 

それを聞いてアイギスは苦い顔をした。

 

「むぅ…外か…寒いのは苦手なのじゃが…

いや、行くのは良いが手が動くかの…」

 

「それなら登山用のグローブを

渡しておくから着けながらやったらどうだ?

動かしにくいのは変わらないが

手が凍えるよりはましだろう。」

 

そう言いながらアミリアは

アイギスに分厚いグローブを放り投げた。

 

「う、うむ…使いはするが…

なぜこんなものを持っておったのじゃ?」

 

「こんな事もあろうかと?」

 

「どういう想定をしておったのじゃ…?」

 

アイギスは心底不思議に思った。

 

 

「あはは!さむーい!しろーい!」

 

「ラウラ、あまりはしゃぐなよ。

転んでも痛くはないだろうが

濡れてしまうからな。」

 

ラウラ、アミリア、アイギスの順で外に

出てきた。走り回っているラウラと

それに落ち着いた声で注意している

アミリアがいるせいか、

はたから見ると親子のように見えなくもない。

 

「ブルブル…ふたりとも平気そうじゃな…

妾はもう寒くて寒くて…」

 

そんな二人の後ろを震えながらアイギスが

歩いてついて来ていた。

 

「そんなに寒いのは苦手なのか?

確か、昔は冬眠とかは

あまりしなかったんだろ?」

 

「冬眠は暇だから、程度のものであったからの…

元々が蛇のようなものじゃし、パイプの中は

そこまで寒くならんかったのもあって

人の体になっても苦手なものは苦手なのじゃ…」

 

「あみりあ!あいぎす!

はーやーくー!こっちだよ〜!

ほら、むこうたくさんつもってるよ!」

確かにラウラが指差す方は

雪がいくらか小山のようになっていた。

おそらくハグリッドが、生徒たちが通るのに

邪魔になる雪をどかした跡なのだろう。

 

「まあ、確かに雪合戦するにはいい地形だな。

このでこぼこが壁になりそうだし。」

 

「じゃあね、ちーむわけしよう!

じゃんけんでいいよね?」

 

「まあ、勝ったのが一人でも二人でも

チーム分けはできるからな。」

 

「では…」

 

「さーいしょーはぐー!じゃんけんぽん!」

 

 

「よーし、じゃあはじめよ〜!」

 

「ラウラ、本当に良いのか?

妾とアミリアで組んでしまってラウラが一人で…」

 

アイギスが寒さで震えながら

ラウラに話しかけたが、すでに

隠れながら雪玉を作っているらしい

ラウラは聞いていないようだ。

アイギスの隣にはアミリアがいる。

 

「ラウラがいいと言っているから

あれでいいんだろう。」

 

「ふたりともいーい?いっくよ〜!」

 

ラウラがそう言って

雪玉を投げてきた。しかし、

明らかに距離が届いておらず、

二組のちょうど真ん中あたりに落ちてしまう。

その後も五回は投げたが

届いてくる気配はない。

 

「「…」」

 

「…む〜…ねー、まほうつかってもいーい?」

 

見ていて居たたまれない気持ちになってきた

アミリアとラウラはすぐに許可した。

 

「ふふーん、それならこんどはまけないよ!」

 

ラウラそう言うと、両手を横に突き出した。

 

「すてぃーりあ・ろこもーたー!」

 

少し舌ったらずな声で魔法を唱えると、

雪が固まって二つの人型になった。

 

「これは…」

 

「…無駄に完成度が高いの…」

 

それはアミリアとアイギスの姿が

精巧に表現された雪の人形だった。

 

「わたしはうごけないから、

これで、にたいにでびょーどーだよ!」

 

そう言いながらラウラが手を少し動かすと、

アミリアの形をした人形が、

かなりの勢いで雪玉を投げてきた。

アミリアとアイギスは急いで小山に隠れた。

 

「意外と早いの…」

 

「応用があるかどうかを気にしなければ

ラウラの方が私より魔法を使うのは上手だ。

あの完成度も納得ではある。」

 

「しかし、その分疲れるのではないのか?

聞いた話では強い魔法を使って気絶したことも

あると聞いたが…」

 

「いや…あれは慣れないことをしたから

気を失っただけだろう。

運動をずっとしてなくて、ある日激しい運動を

すると次の日筋肉痛になったりするだろ?

それと同じだよ。その件の魔法は

燃費がとてつもなく悪いのもあるしな…」

 

「今のラウラはそういうのはないのかの?」

 

「体が戻ってるなら、慣れとか

そういうのも子供の時点に戻ってるかもな…

もしそうなら、ほぼ無尽蔵に

魔法を使い続けられるかもしれない。

子供の頃のラウラは無意識に割と

とんでもない魔法を使ってたりしたからな…」

 

「友…いや、姉のことでも

わからんことはまだまだあるものじゃな…」

 

「ねー!こっちにも

ゆきだまなげてきてよ!

ほんきだしてよ!ほんきー!

ほんきだしてくれないとおこっちゃうよ!」

 

長い間話をしていて

雪玉を投げていなかった二人は

ラウラに文句を言われてしまった。

 

「…無茶を言ってくれるな。」

 

「うむ…かなりの数の雪玉が

飛んできておるし…妾はあれらを

避けてなんとかできる自信はないぞ?」

 

「…はぁ仕方ない。アイギス、

持っておいてくれとは言わないが

私のローブを見ておいてくれ。」

 

「…?うむ、まあ構わぬが…

持たなくても良いのかの?

地面においては濡れてしまうじゃろう?」

 

そう言いながらアミリアが脱いだローブを

持とうとしてみた。

 

「…?なんじゃ、重いの?

ふぬ…ぬ…!な、何故こんなに重いのじゃ⁉︎」

 

「色々しまっているから仕方ないだろう?」

 

「それどころの重さではないぞ⁉︎」

 

「少し魔法で異次元につないでいる。

四次○ポケットって知ってるか?

それみたいなものだ。しかし、私が

未熟なのか重さの軽減があまりされなくてな。

まあ体力が落ちるのも嫌だしと思って

その辺りは諦めてるが。」

 

「…いや、それにしてもこの重さは…

この重さであの時ラウラを担ぎ、

なおかつ妾より速く走っておったのか…?」

 

アイギスの記憶が正しければ、

アミリアの身体能力の高さは

常識を軽く超えていると思った。

力にあまり自信はなくても、

自分が全力を出してもローブは

持ち上がらなかったことから

数十キロの重さはあるのだろう。

 

「さて…と…身軽になったし

魔法の練習も兼ねて、言われた通り

少し本気を出すかな。

そうしないと、ラウラに文句を

言われてしまうらしいしな。」

 

アミリアは肩を回しながら

雪玉を二つ手に持った。

 

「ああ、そうだアイギス。」

 

「な、なんじゃ?」

 

「少し無茶するから後でよろしく頼む。」

 

「ちょ、何もそこまで…」

 

アミリアは何をする気なのだろうか…

アイギスはそこまで無茶する必要はないだろうと

止めようとしたが、アミリアはすでに

小山沿いに離れてしまった。

 

「今の私はどこまでできるかな…

ネルウス・ウィス・エレクトラ…」

 

アミリアは両腕を開いて、集中して

静かに、慎重に呪文を唱えた。

身体中に走る痛みに一瞬顔をしかめる。

 

「…今やるんじゃなかったか…」

 

アミリアにしては珍しく後悔しながら

姿勢を低くして構える。

 

「…さて、ある程度は加減しないと

体がもたないし、軽く流すか。」

 

そう呟いた瞬間、アミリアは空高くジャンプした。

ゆうに3メートルは超えているだろう。

ラウラはさすがに不意をつかれたようで、

雪玉を投げ続けている人形の反応が

少し遅れ、その二体の間に着地するのを

許してしまった。もちろんその場所は

小山を超えた場所。つまり人形に対して

雪玉が通る角度である。

最後の足掻きか、人形は急旋回し、

アミリアに雪玉を投げた。

しかし、アミリアはそれを避けるだけにとどまらず

片方に肉薄し、雪玉を当て、二秒としないうちに

数メートル離れたもう一つの人形に

直接雪玉を顔に叩き込んだ。ちなみに

叩き込まれたのはアミリアの人形の方である。

ラウラの思い出補正でもあるのか若干美化された

それを見るのは少し照れくさかったからだ。

 

「…よし、私たちの勝ちだな。」

 

「うぅ…あみりあ、なんだかずるいー…

そんなまほうわたししらないよ?」

 

「教えてないから、さ…」

 

そう言いながらアミリアは倒れた。

 

「ラウラは、こう…なりたくはない…だろ?」

 

「やっ…あみりあ、あみりあ!」

 

「アミリア、大丈夫なのかの⁉︎」

 

心配で近寄ってきた2人にそれぞれ

目だけ向けてアミリアは話した。

 

「ああ、何…問題ない…

五分、十分すれば起きれるさ…

やはり、この魔法は…

まだ実戦には使えなさそうだな…」

 

「そんなことを言っとる場合ではなかろうが…

とにかく、体を温めなければ…

さっき五分とは言っておったが、

そんなに寝ておっては凍えてしまうじゃろう。

少し薄着にもなっとるわけじゃし…」

 

「…それならわたしのローブの中に入ってる

マッチでも持ってきてくれ…

一番上の、裏ポケットだ…」

 

そう言われてゴソゴソと

アイギスはアミリアのローブの中を探す。

 

「…なんなのじゃこのポケットの数は…」

 

「あ、あたためればいいんだよねっ?」

 

「ん…ラウラ?まあ、そうだが…」

 

「るーもす・かりどぅす!」

 

ラウラは杖の先にまばゆい光が灯る。

その光はほのかに暖かい。

 

「どう?あたたかい?」

 

「…ああ…十分だ…」

 

ラウラは心配そうな顔をしながら

杖の先に光を灯し続ける。

アミリアはその暖かさに微笑んだ。

 

「ほう…いい所を取られてしまったかの?」

 

とりあえずマッチを持ってきた

アイギスだったが、ラウラの魔法を見て

マッチはもう不要だと思った。

 

「…いや、アイギスにも感謝しているよ。

当たり前だろ?」

 

「しかし、妾は役に立ってはおるまい?」

 

アイギスは自嘲気味にそう言う。

 

「…頑固と言うか、悪いところもブレないな。

アイギス、友や家族は役に立つ、立たないで

なるものじゃない。な、ラウラ?」

 

「うん!わたしもそうおもう!」

 

「ほら、ラウラもこう言ってるんだ。

助けられた時に危ない目に合わせたことを

まだ気にしているのかもしれないが、

自分を卑下することはない。な?」

 

「…妾はそうして慰められてばかりじゃな…」

 

そう返したアイギスに、

アミリアは厳しい目を向ける。

しかし、すぐに優しい目になった。

 

「アイギスはいつも難しく考え過ぎだ。

人の善意は素直に受け取ればいい。

…人の善意を無視すると一生苦しむぞ?」

 

「…そう、じゃな。確かに、ラウラの善意が

なければ今の妾はないじゃろう。

ラウラ自身は、自分のやりたいことを

していただけかもしれんがな?」

 

「んー?なんのおはなしー?」

 

「さてな?…よし、手足の痺れも消えてきたし、

そろそろ部屋に入るか?

そこまで時間は経ってないが、いい頃合だろう。」

 

「手足の痺れが原因でたてんかったのか?」

 

「ああ、電気で無理やり

体を動かす魔法だからな。

まあ、実際にはリスクが大き過ぎて

実用には程遠かったよ。

やるならまだ改良がいるようだ。」

 

「相変わらず研究に無茶するのう。」

 

やれやれと呆れながら、

少しぎこちなく歩くアミリアについて行く。

 

「あみりあー、あいぎすー、

おててつないで〜。」

 

「ああ、構わない。」

 

アミリアがそう言うと、

ラウラは笑顔でアミリアの手と

アイギスの手を掴んだ。

 

「えへへ〜♪」

 

「何じゃろうな?母性的なものなのか、

ラウラをずっと見ていたくなるのう。」

 

「人間、笑顔が一番さ。

今の私にとっては一番好きな表情だ。」

 

2人もまた、ラウラの手を引っ張りながら

笑顔で歩き出した。

 

 

「結局あの後ラウラがもっと遊びたいと

ぐずった後、雪だるまを作っているところで

元に戻ったのじゃったか…」

 

「あー…うー…言わないでよ〜…」

 

そう言って再びラウラは顔を枕に隠した。

 

「はぁ〜…なんで記憶が

はっきり残っちゃってるんだろ…

せめてこの記憶がなければ…うー…」

 

結局この日、ラウラがぐずったのもあって

3人がこれ以降部屋から出ることはなかった。

 

「…夕食…くっ…」

 

「ラウラがこれじゃから諦めるのじゃ…」

 

「むー…」

 

アミリアもまた静かに泣いていた。




「なぜ進展も何もないような
この話がこんなにも長くなっておるのじゃ?」

「さぁな。シリアスな場面を書くのが
苦手な作者が息抜きに書いたんじゃないか?
ギャグセンスとか全くないが。」

「それ、こういうのを書いてる人としては
かなり致命的だよね?」

「まあ、いつかこの話も
伏線として回収されることを祈るしかないな。」

「されないような気がするのじゃ…」

「気にしても仕方ないことなの?」

「ああ。予定は未定、気楽にやればいいじゃない。
というスタイルで書いてるらしいからな。」

「せっかくお気に入りとか
してくれてる人もいるのにそれでいいの?」

「まあ、お気に入りの人が
1人でも残って入れば最後まで
書き切るつもりらしい。
私たちの物語はこれからだ!
という打ち切りエンドはないから
まあ、できれば付き合って欲しいが…」

「それならば良いのじゃがな…
では、長くなってきておるので
今日はこの辺りで。また次回なのじゃ。」

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