ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

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サブタイはコレですが
まだ彼女は出ません。
次回、番外編最終回です。
…特に盛り上がりはありませんが。
それにしても校長先生の口調って
こんな感じでしたかね?


境界

寺子屋から出て歩いてしばらく、

ロンが霊夢に話しかけた。

 

「ところでマンジュウってなんのことなの?

けっこういろんなとこに…ほら、

あそこにも書いてあるけど。」

 

「そういえば昨日魔理沙が

マンジュウと書いた箱を持ってきておったな。

あれにはガリオン金貨が入っておったが。」

 

「ああ、饅頭っていうのは

お菓子のことよ。名前は知ってるのに

どうして知らないの?」

 

霊夢は心底不思議そうな顔をして二人に尋ねる。

 

「それが…よく見てみれば知らないはずなのに、

なぜかここの物は文字が読めるんだ。」

 

「妾もじゃ。しかし、読めても

意味がわからんのが幾つかあっての。」

 

二人には、読むことはできても

意味がわからない言葉が

幻想郷に来てから多い気がしていた。

それにどう見ても文字が英語ではない。

二人には英語以外に読める文字は

なかったはずだが、何故かそれを読めていた。

 

「んー?…ああ、そういえば

紫が言語の境界を曖昧にしてるって

言ってたような…」

 

「境界を…とは?」

 

霊夢のつぶやきにアイギスが反応した。

 

「そうね…それの説明は

能力の説明からしないといけないかしら…

なんとなくわかってると思うけど、

幻想郷にいる人や妖怪の一部は

固有の能力を持ってるの。

私の場合は空を飛ぶ程度の能力、

魔理沙なら魔法を使う程度の能力ね。

それで、八雲紫っていうやつがいるんだけど、

その能力が境界を操る程度の能力なの。」

 

「随分抽象的じゃな?」

 

「まあ、そういう概念的な部分まで

応用が効いちゃう能力だしね…」

 

「…つまり、どういうこと?」

 

「概念に通用するということは…

相反する二つのもの…例えば、

生死すら操ることもできるのではないか?」

 

「まぁ、条件は多少なりとも

あるんでしょうけど

干渉するぐらいはできるでしょうねぇ…

生と死…それもまた境界の一種だもの。」

 

「うっわー…それはおっかないなぁ…」

 

ロンは軽く身震いしながら言った。

 

「まあ、幻想郷を壊そうだとかをしなければ

そんなことはしないとは思うけど。

紫にとって幻想郷は、

ある意味で子供みたいなものだもの。

そこに住んでる生き物も、

迷い込んだ人も同様にね。

まぁ、文字や言葉に関しては

その能力で大丈夫にしてるんでしょ。

ここには色んな所から人も集まってくるし。

さ、ちょうどいいところに茶屋があるし、

せっかくだから休憩していきましょうか。

見ての通り二人が気になってる

饅頭もあるし、見つかってない二人の

手がかりも一旦なくなってラウラ任せだしね。

少しゆっくりしてから帰りましょ。」

 

「まあそうじゃな。

それもいいんじゃなかろうか?」

 

「そうだね。ああ、でも

ハリーの分も買って行ってあげないと。」

 

「わかってるわ。じゃあちょっと

お願いしてくるわね。

適当に座って待っててくれる?」

 

 

紅魔館で昼食を食べた後、

アミリアたちはレミリアと話をしていた。

 

「なるほどね…全員見つかったけど

帰る目処がたたない、と…」

 

「ああ。幻想郷から出るだけなら

なんとかなるようだが、どうやら

それだけですみそうもないからな。」

 

「平行世界の可能性、ねぇ…

よくも人間にそんなことできたものね。」

 

「あはは…」

 

レミリアにそう言われ、

ラウラは乾いた笑いをした。

 

「曖昧な笑顔でごまかすんじゃない。まったく…」

 

「今思ったのだけれど、

私たち昨日ここに来たわけだから

寮のみんなや先生は探してないかしら…」

 

ハーマイオニーが、

ホグワーツでのことを心配する。

 

「確かに心配しているかも知れないな…」

 

「できるだけ早く帰らないと

やっぱりまずいよね…」

 

「大丈夫なんじゃないかしら?

よほどのことじゃなければ

あのスキマが適当にやってくれるでしょう。」

 

レミリアはアミリアたちに

少し機嫌が悪そうに言った。

 

「スキマ…というと?」

 

「ここを外界から隔離した妖怪です。

数百年ほど前、ここに『非常識』が

集まるようにしたとか。

つまりは幻想郷の創造ですね。

他にも弾幕ごっこースペルカードルールを

取り決めたのも彼女と言われてますね。

まあ、人里の怪しげな本で軽く見た程度なので

確かかどうかは保証しかねますけど。」

 

咲夜がレミリアに代わり

その妖怪について話した。

それをきいて、アミリアはふと疑問を持った。

 

「幻想郷の創造か…アイギスが

生きてきた時間とどちらが長いだろうな?」

 

「ああ、今はあの見た目だけど、

ずいぶん長生きだったわね。」

 

それを聞いて、ラウラが

魔法界の歴史を思い出してみた。

 

「えっと、たしかサラザール・スリザリンが

アイギスをあの部屋に放ったのは…

だいたい1000年近くは生きてるのかな?」

 

「…ちょっと待ちなさい…

あなたたちはどうなってるの?

人間が次元を超えてきたと思えば私たちより

長生きな友達がいるって…」

 

「私よりも年上の人がいるんだ。」

 

レミリアは信じられないというような顔をし、

フランは素直にすごいと思った。

 

「まあ、それはともかくとして

その人がいればどうしてなんとかなるんだ?」

 

「ああ…あいつは能力の関係上、

だいたいのことはできるからねぇ。

次元を飛び越えてあなたたちを

元の所に戻すことぐらい

できるんじゃないかしら?」

 

「それ本当⁉︎」

 

「お願いすれば帰してくれるかしら…」

 

「ああ、一度会いに行くべきだろうな。

それ以外に思いつく方法もない。」

 

「じゃあ、今から一度霊夢のところに…」

 

「え?アミリアたち、もう行っちゃうの?」

 

すぐにでも出ていこうとする

アミリアたちを見て、

フランが悲しそうに呟いた。

それをレミリアがなだめる。

 

「フラン、彼女たちに迷惑をかけてはダメよ。」

 

「でも…」

 

「心配しないで。いつか必ず

アミリアはここを訪れるわ。だから、ね?」

 

「…アミリア、本当?」

 

「もし来れるようになったら、

いつであっても一度会いに行くよ。

大丈夫、心配するな。それに、

話すだけならもしかしたら

なんとかなるかもしれない。」

 

「…それなら、いいよ。

うん、ちゃんと無事に帰れるように

祈ってるね!」

 

「ああ、ありがとう、フラン。」

 

「あ、でも…」

 

その時、ハーマイオニーが困ったような顔で

声をかけてきた。

 

「どうしたんだ?」

 

「箒はハリーのニンバス2000しか

ないんでしょう?どう考えても

全員で乗るのは無理よ。」

 

「うーん…それなら、博麗神社まで

姿現しで行くのはどうかな?」

 

「姿現し?でも、できる人はいるの?」

 

「一応ラウラは使えるぞ。

私はまだやったことがないから

みんなで一緒にやるのは気がひけるが。」

 

「できるのね…でも、まだ

法律で禁止されてるはずだから

使ったことはないんじゃ…」

 

「学校で何回か使ったことあるよ。」

 

その言葉にハーマイオニーは

疑問を持った。

 

「学校の中じゃ姿現しは

できないようになってるんじゃなかったかしら…」

 

「私たちは毎日3回は学校で

姿現しと同じものを見てるだろ?

それと同じことがラウラに出来るんだ。」

 

それを聞いて少しの間考え、

そして気がついた。

 

「もしかして屋敷しもべ妖精のと同じ…?」

 

「うん、そういうこと。」

 

「杖なしでなんて、魔法を使えるの⁉︎」

 

「むしろ、ラウラは杖なしの方が得意だ。

方式が違うからか魔法省に

引っかからないらしくて

どこでも練習できるし、

昔から使えるからな。

学校では特異な目で見られるのも嫌だろうと

できるだけ使わせないようにしているが。」

 

「自分でもどうしてできるかは

わからないけどね。

屋敷しもべ妖精から習ったわけじゃないし。」

 

「一応私も練習はしてみてはいるが

制御が難しくてな。

一年生で使うようなものしかできない。」

 

アミリアの言葉を聞いてさらに驚いた。

 

「やろうと思って

少しでもできるのがすごいわよ…」

 

「まぁ、いつしか言ったように

不可能をなくすために努力はしているからな。

そういうことでラウラに

任せればたぶん問題ないだろう。

じゃあ、ラウラ。任せるよ。」

 

「うん、わかった。」

 

「では、世話になったな。

ありがとう、レミリア、咲夜。

パチュリーと小悪魔にも言っておいてくれ。

フラン、元気でな。」

 

そうして三人が部屋を出ようとした時に、

アミリアの耳元でレミリアが呟いた。

 

「アミリア、死なないように気をつけなさい。

フランを悲しませないためにも。」

 

「…不吉なことを言うが

なにか根拠があるのか?」

 

「私の能力。世界が違うからか、

かなり曖昧だけどあなたの先には

色々な困難があるように見える。」

 

「…わかった。注意しよう。

じゃあフラン、しばらくお別れだ。

髪留め、大切にしてくれ。」

 

「…うん、また…

ここに、きっと来てね!」

 

アミリアはフランに別れを告げた。

少し泣きそうなフランだったが、

迷惑をかけないようにと我慢して

笑顔で手を振った。

 

 

昼が過ぎたころに

霊夢、アイギス、ロンは

博麗神社に帰ってきた。ハリーは

暇だったのか縁側でのんびりしていた。

 

「ただいま、ハリー。」

 

「ああ、ロン。それに二人とも。

どうだった?アミリアとハーマイオニーは

人里で見つかった?」

 

「残念ながら見つからんかった。

ラウラ待ちということになるのぅ。」

 

「まあとりあえずこれ。

人里で買ってきたんだ。」

 

「昨日魔理沙が持ってきた箱に

書いておった饅頭というやつじゃ。

妾たちは食べたがハリーだけ

食べ損ねるのはアレだと思うての。」

 

「これがそうなんだ…

この小さなナイフみたいなので食べればいいの?」

 

「うむ。それで切って少しずつ食べるもよし、

豪快にそのままかじるもよしじゃ。

ただ、一気に食べると喉に詰まるかも

しれんから気をつけるがよかろう。」

 

「お茶を入れてくるわね。

ああ、お昼ご飯の用意もしてくるわ。

ちょっと遅くなっちゃったけど、

まあいいわよね。」

 

その時、外から話し声が聞こえた。

霊夢は気になり、

それを確認しに行った。

 

「…誰?って、

帰ってきたのね。その様子だと、

みんな見つかったみたいね。」

 

「うん、二人とも。」

 

「あら?魔理沙はどうしたの?」

 

「フランちゃんと遊んでて

気絶しちゃったみたい。」

 

「あー…うん、気にしない方針で。

巻き込まれちゃたまらないわ…

それで…アミリアとハーマイオニー、

だったかしら?とりあえず入ってなさい。

無駄にスペースだけは多いから。」

 

「これが神社というものか。

…しかし、彼女は私が知っている

巫女らしくはないな。」

 

「基本霊夢はダラダラするのが日課だって

魔理沙が言ってたよ。」

 

「あまり神社のことは知らないけれど

神様に仕える身としてはどうなのかしら…」

 

「なんか、霊夢本人も

なんの神様を祭ってるのか知らないらしいよ。」

 

「「…」」

 

アミリアとハーマイオニーは

苦笑いを浮かべた。




「ラウラか。いい名だね。」

「お母さん、このおじいさんってだれなの?」

「ホグワーツの校長先生よー。
教えてなかったかしら?
えっと〜…なんていう名前でしたっけ〜?」

「ダンブルドアじゃよ。
君も、変わりないようじゃな。」

「ああ、そういえばそうでしたー。」

「この人が来年から私が通う所の
校長先生なんだね。」

「そういうことじゃ。
さて、何を頼もうか…
…せっかくメニューにあるのだし
最近たべていなかった
百味ビーンズにでもしようかの?」

「あ、校長先生、何味がいいってありますか?」

「おお、味を選べるのかい?」

「今日はできますよ〜。
アミリアがいますからね〜。」

「それならレモン味をお願いしよう。
最近食べていなかった理由が
ハズレを食べたくないからだったし
ちょうどいい。」

「じゃあラウラ、お願いしてきてもらえるー?」

「うん、わかった!」



「百味ビーンズのレモン味を選び出してくれ?」

「うん。うちには一応メニューに
百味ビーンズが載ってるからね。
アミリアがいることだし、
味も選んでもらおうと思ったの。」

「…どうして百味ビーンズが
メニューに書いてあるんだ…」

「家族で来た人たちが子供のために
買っていくこともあるだろうって。」

「ああ、なるほど。それならまぁ…
それで、レモン味だな?
…楽な色でよかったよ。」

「楽な色?」

「黄色は種類が少なめ…まあ、
十や二十ではすまないが、それでも
赤色とかに比べればな。
赤は肉の味も入っているのは知ってると思うが
その部位まで分かれているんだよ…
肉の部位が何種類あるか知ってるか?」

「いや、うん…それは知らないけど…」



「それにしてもすごい品数ですね…
よくこんなに出せるものです。」

「俺が今まで回った国の料理を
できるだけ再現しようとしてますからね。
それでも、いろんな理由で
没になったのも数多く…
材料が手に入らないのも結構あるので。」

「なるほど。それでは、この店の料理は、
あなたの半生の軌跡とも言えるものですね。」

「そんな立派なもんじゃないですよ。
俺はやりたいことをやってるだけですから。」

「仕事にすることができたのは、
あなたにそれだけの熱意が
あったということでしょう。
それは誇るべきことですよ。」

「はは、そう言ってくれると嬉しいです。」

「お待たせしました、ミルクティーです。」

「ああ、ラウラ。
お客さん、だいぶ少なくなったから裏で
アミリアと話してていいぞ。お疲れさん。」

「あ、そうなの?じゃあそうしとくよ。」

「…あの子があなたとエミリーの…
あまり似てはいませんね。」

「エミリーに似てたら俺は疲労で寝込みますよ…
俺にもあまり似てませんけどね。
強いて言うなら多少活発なところ
ぐらいじゃないですか?
それも、ここ何年かぐらいですけど。」

「そうですか…ん、このミルクティーは
美味しいですね。アリシアがいれたのですか?」

「ああ、それはラウラですね。
だいぶ前にエミリーから
教えてもらったらしいですよ。」

「…そういえば、こういうことは
アリシアはあまり得意ではありませんでしたか。」

「今はそうでもないですよ。10年前ぐらいから
変わろうとしてますから。」

「10年前…ということは…」

「はい、あの事件からです。
あれは犯人は逃げちまったから
目的もわからないし、俺たちも
少なからず影響を受けましたよ…」

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