ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

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シリアスを書こうとした結果この駄文だよ!


過去の『私』

「フラン、そちらの番だ。

今度はどちらのカードかな?」

 

「んー…じゃあこっち!…はやめて…

…こっち?…うーん…決めた、こっちにする!」

 

真剣な顔のフランがアミリアの手から

選んだカードを見た。

 

「やったぁ!フランの勝ちだよ!」

 

「今度は負けてしまったな。」

 

アミリアは少し時間が経ってやってきた

フランと、小悪魔、パチュリーを

呼び出してババ抜きをしていた。

 

「よかったですね、妹様。」

 

「…どうして私まで…」

 

パチュリーは不満そうだ。

 

「トランプゲームは四人ぐらいが

ちょうどいいからな。それに、

たまには息抜きも必要だぞ?パチュリー。

研究をしていたとしても、それがあるのと

ないのとでは大きな違いがあると思う。

リフレッシュは大切なんじゃないか?」

 

「それはわかるけどね…慣れてないというか…」

 

「妹様、次はどう致しますか?」

 

「うーん…アミリアは弾幕ごっこ

できないんだよね…」

 

「ああ、すまないな…箒がないと

私は空も飛べないしあんな弾も打てないんだ。

見た目なら真似ができると思うが

怪我をさせてしまう。我慢してほしい。」

 

「うん、わかったよ…」

 

「いい子だな、フランは。」

 

アミリアに撫でられた

フランは気持ちよさそうに目を細めた。

 

「代わりと言ってはなんだが、

何かしてほしいことはあるか?

私にできることなら…」

 

「じゃあ…私とずっと遊んでくれる?」

 

それを聞いたアミリアは、

さすがに少し困ってしまった。

 

「それは…すまない。

私には帰るべきところがある…

ずっとここにいるわけにはいかないんだ…

すまない、フラン…」

 

「…ううん、分かってるよ。

アミリアはここに迷い込んだだけなんだって、

ここに来る前にお姉様に聞いたから…

でも、できるだけ長くアミリアと遊んだり、

お話ししたい。アミリアのことを

もっと知りたいって、そう思うんだ。

アミリアと私は種族だって違うけど、

それでも、私の見た目とか、力とか、

関係なく私と対等に接してくれたから…」

 

「フランはフランだ。

それ以上でも、それ以下でもないさ。

それで…なんと言えばいいかな…

こういう説明は苦手でな…

私もそうだったからわかることだが、

単刀直入に言うと一人が寂しいのだろう?

フランの場合は

見た目や力で遠ざけられたり…」

 

「…うん、そう。一人は寂しいの。」

 

「しかし、フランには姉だって、

他にもたくさんの人がいるだろう?」1

 

「それでも、もし永い時の中で友達のこと…

他の人もだけど、アミリアと

いっしょにいたのも忘れちゃったりしたら怖いよ…」

 

「そうか…そうだな。

よし、では、フランが私を忘れないように、

一つプレゼントを贈ろう。」

 

そう言って、アミリアはローブの中で、

ごそごそと少し漁った後、

不死鳥をモチーフにした髪留めを取り出した。

 

「これをフランにあげよう。

もしお別れの時が来て、時が過ぎても

これを見たとき私を思い出してくれ。」

 

「アミリア…でも、私の力じゃ…

吸血鬼なんだよ…?壊しちゃうよ。」

 

「そこは問題ないさ。

アエテルヌムレパロー自動修復ー」

 

そう言ってアミリアは杖を取り出して

数回、その髪留めを叩いた。

 

「魔法をかけておいたよ。

もし壊れたとしても、この髪留めの

形の不死鳥のように

すぐに元に戻るようになった。」

 

「本当に?」

 

「ああ。ほら。」

 

そう言って、アミリアは

その髪留めをフランから

返してもらい、よく見えるように折り曲げた。

さらに、空中に放り投げ、杖を向けて

粉々に破壊した。しかし、逆再生のように

数秒のうちに空中に集まり、

アミリアの手の上に完全な形で落ちてきた。

 

「戻っただろう?

…ただし、私のことを忘れた時

その魔法は解けてしまい、ひとりでに

髪留めは砕けてしまうだろう。

もし次にフランに会って

その髪留めを持っていなかったら私は、

フランのことを嫌いになってしまうかもしれない。」

 

「…ううん、アミリアはフランのことを

嫌いになんてならないよ。いつになっても、

絶対にこの髪留めを外さないもん!

でも、私からも約束!もしも幻想郷から

元の所に帰っても、またここに来て

絶対にフランに会いに来てね!」

 

「ああ、もちろんだ。」

 

(少し、話を美化し過ぎたかな?

…いや、フランなりに一生懸命に

なっているしこれでいいか…)

 

「いい話ですねぇ…パチュリー様も

そう思いませんか?」

 

「私には本質的には理解できないこと…

でも、何かしらね。…羨ましくはあるわ。」

 

少し離れたところで小悪魔とパチュリーが

ひそひそと話していた。

 

「…まあ、帰る当てはまだないから

困ってるんだが、こればかりはなぁ…」

 

その時、図書館の入り口の大きな扉が開いた。

 

「おーっす。パチュリー、いるかー?」

 

「…はぁ…少し行ってくるわ。」

 

「あ!魔理沙だ!」

 

パチュリーは一瞬嫌な顔をしてから

大きな声のした方に向かい、その後ろを

嬉しそうにフランドールがついて行った。

 

「もしかして本をよく盗んでいく人か?」

 

「あー、咲夜さんから聞いてましたか?

いつもあの人は借りるって言いながら

図書館の本を勝手に持っていくんですよ…

人間の寿命は妖怪に比べれば

短いんだからその間いいじゃないか、と言って。

でも、今日は忍び込んできたわけじゃない

みたいですし泥棒に来たわけでは

ないみたいですね。」

 

「まあ、フランもなついてる人みたいだし

悪い人ではないのだろう。」

 

その時、おおきな爆発音が響いた。

 

「ちょっ、フラン!ストップ!」

 

「待ってよ魔理沙ー!」

 

すぐに目の前の棚の間から

箒に乗った少女と歪んだ時計の針のような

ものを持ったフランが

かなりのスピードで通り過ぎて行った。

 

「…こあ、図書館の本は大丈夫なのか?」

 

「ああ、パチュリー様が魔法をかけていて

そう簡単には傷つかないようになってます。

ええ、大丈夫です…多分…

妹様がやり過ぎなければ…」

 

不安げな小悪魔のすぐ前を、

また二人が通って行った。

 

「うわっ!…すごいスピードだ…

クィディッチに生身で出れるな。あれは。

…私も箒があれば追いかけっこぐらいは

できるんだが。」

 

「そんな時はこのニンバス2000!

最新じゃないけどまだまだ現役だよ!

せっかくだから一緒に飛んであげる?」

 

「え?」

 

アミリアが声のした方を振り返ると

そこには見慣れた白髪の少女。

手にはよく手入れされた、

これまた見慣れた学友の箒を持っている。

 

「ラ、ラウラ…なのか…?」

 

「うん、そうだよアミリア!

本当によかった!」

 

ラウラはアミリアに抱きついてきた。

 

「それはこちらのセリフだよ…

無事で本当に…他のみんなは?

ハーマイオニーは私といるが…

…箒があるということはハリーは

見つかったということか…?」

 

「みんないるよ!博麗神社ってところにいるんだ。」

 

「そう、か…よかった…」

 

……………

 

「で?ラウラ、他に言い訳は?」

 

「…アミリア、もう一度聞くけど

どうして床の上に私は正座させられてるの?」

 

「さっきも言っただろう。

ここに飛ばされたのはラウラの魔法のせいだ。

それがわからないわけではないと思うが?」

 

「…ごめんなさい…」

 

「まぁ、誰も問題なかったから

よかったものの、あくまでも結果論だからな。

次からはあんな事故を起こさないように…」

 

「ねぇねぇ…アミリアは

フランと会うの、嫌だったの?」

 

アミリアの横からさっきまで

魔理沙と遊んでいたフランがやってきて、

少し悲しそうな顔をして話しかけてきた。

 

「あ…いや、そんなことはないが…

はぁ…まぁ、大切な出会いもあったから

今回は大目にみるか…」

 

少し顔を赤くしながらアミリアは

その場から離れていった。

 

「いやぁ…ありがとうね、フランちゃん。」

 

「えへへ。」

 

ラウラはフランの頭を撫でた。

 

「妹様のことがあるとはいえ、

あなた、あの子にはずいぶん甘いのね。」

 

「いや、ラウラに甘い訳では…」

 

「否定できるような材料がないわ。」

 

アミリアはパチュリーに指摘されたことに

反論できず、苦笑いを浮かべた。

 

「あ、それでアミリア。

フランちゃんと遊んであげるの?

一応壊さなければニンバス2000を

使ってもいいらしいけど。」

 

「え⁉︎アミリア、空を飛んで遊んでくれるの⁉︎」

 

フランはキラキラとした目で

アミリアを見つめた。

 

「そんな目で見られては

遊ばないわけにもいかないさ。

ただし、追いかけっこだけしかできない。

私に弾幕とやらは撃てないからな。」

 

「ううん、それでもいいよ!

じゃあこの図書館の中で…」

 

「妹様、そろそろ小悪魔が

限界を迎えるのでやめてもらえる?」

 

少し遠くの方に、

フランの言葉を聞いてさらに

青い顔をした小悪魔は、

散らばった本を片付けたり、

傷が入った棚を直したりしていた。

 

「むー…じゃあどこで遊べばいいの?」

 

「少し待ってちょうだい。今準備するわ。

喉の調子がいいから

今日中は持つと思う。

一度エントランスまで行きましょうか、妹様。

ああ、そうだ。

すぐ戻ってくるけど、もし魔理沙が起きたら

適当に座らしておいてちょうだい。」

 

「はーい!わかりましたー!」

 

その小悪魔に、フランの弾幕が

直撃して気絶している魔理沙の介抱を任せ、

パチュリーはアミリア達とフランを連れて

図書館から出て行った。

 

……………

 

「ねぇねぇ、パチュリー。私こんな日じゃ

外に出れないよ?私灰になっちゃう。

いくらなんでもこれじゃ遊べないよ。」

 

フランは、晴れている外を見ながら

パチュリーに主張した。

 

「ああ、フランは吸血鬼だから

太陽の下には出れないんだな。」

 

「うん、そうなの…」

 

「少し待ってて…」

 

パチュリーが玄関から少し外に出ると、

ブツブツと何かを呟き始めた。

しばらくすると、日が陰り、

紅魔館の周りだけが雲に覆われた。

 

「ふぅ…これでいいわ。

今日1日は太陽は出てこないはずよ。

こほっ、こほっ…少し無理したかしら…」

 

「わぁ、ありがとう、パチュリー!」

 

「パチュリー様、お茶をおいれしましょうか?」

 

「ええ、お願いするわ、咲夜。」

 

いつの間にかすぐ近くに現れていた

咲夜は、その簡単な受け答えの後、

また姿を消した。

 

「…?何か視線が…」

 

「なんだろ?」

 

フランは喜んで外に出て飛び回っている。

アミリアとラウラはそれを見ていたが、

その時、後ろから視線を感じて振り返った。

 

「…フラン…いいなー…私も外に出て遊んで…

いやいや、紅魔館の主として、姉として、

ここはフランのことを見守るのが

一人前のレディとしての行動…でも…うー…」

 

そこには何やら一人で悩む

レミリアがブツブツと独り言を呟いていた。

 

「ねぇねぇ、アミリア。あの子は誰?」

 

「彼女はこの紅魔館の主のレミリア嬢だ。

ある意味、私とハーマイオニーが無事だったのは、

ここに留まってもいいと

許可を出してくれた彼女のおかげだよ。

ああ、フランの姉でもあって…」

 

「アミリアー!早く遊んでー!」

 

アミリアがラウラと話していると、

フランがアミリアを呼んだ。

遊んで欲しくてたまらないらしい。

 

「っと、嬉しくてたまらないみたいだな。

では、ニンバス2000を使わせてもらうよ。

合流した時に、ハリーに感謝しないとな。」

 

「うん、そうだね。じゃあアミリア、

行ってらっしゃい。頑張ってね。」

 

「ああ、わかってる。遊びとはいえ、

母上の名にかけて捕まりも逃しもしないさ。」

 

そう言って、アミリアは空中に飛んだ。

フランと少し話をしてから、

まずアミリアが追いかける方らしい。

 

「うわー、早いなぁ。

でも、フランちゃんもすごいスピードだ。

ニンバス2000よりも早いや。」

 

「ふふん、当然よ。私の妹ですもの。」

 

いつの間にかラウラの横には

レミリアが立っていた。

自分も飛んで行きたいのか、

若干羽根が動いている。

 

「あ、アミリアとハーマイオニーを

助けてくれてありがとうございました。

私はラウラ・ブライトフォードって言います。

アミリアとハーマイオニーの友達です。」

 

「私は紅魔館の主、レミリア・スカーレットよ。

別に感謝されることではないわ。

私が気に入ったからここに

いさせてあげただけよ。」

 

「そうなのかー。じゃあ、アミリアの

どういうところが面白かったの?」

 

「どこかで聞いたような気がする相槌ね…

まあどうでもいいけど。

そうね…私を恐れないところ、かしら?

どれだけ人間が気丈に振る舞っていても、

心の奥では私達に恐れを持つものよ。

でも、彼女にそんなものは

微塵もなかったように見えた。

だから興味が湧いたのよ。」

 

「ああ、なるほどね。

…アミリアの怖いものは、

過去にしか…」

 

ラウラが消え入りそうな声で呟いた言葉は、

吸血鬼であるレミリアには聞こえていた。

 

「あら、それはどういうこと?」

 

「…聞こえちゃってた…?ごめん、

私からは言えないことなんだ。

一応ここに飛ばされた私たちの友達は

みんな知ってはいるけど、

聞いていて楽しい話でもないから

秘密にさせてもらってもいいかな?お願い。」

 

ラウラはいつもの口調でそう言うが、

その言葉には明確な否定の意思がこもっていた。

 

「そう。仕方ないわね…

そこまで話したくないことを聞くほど

私も野暮じゃないわ。

って、ああっ!フランが捕まった!」

 

「あ、さっすがアミリアだね!

最高速では負けてたのに捕まえるなんて。

やっぱりアミリアはすごいなぁ。」

 

「…なに?彼女の方が優れてるって言いたいの?

私のフランの方がすごいんだから!

あんなのまぐれに決まってるわ!」

 

「でも、フランちゃんが

アミリアに捕まったのは事実だよ?」

 

「きっと卑怯な手でも使ったのよ!」

 

「あっ⁉︎それは聞き捨てならないよ!

アミリアはずるいことなんて絶対しないもん!

私の友達を悪く言わないで!」

 

「うー!」

 

「むー!」

 

アミリアとフランが空を飛んでいる下では

子供の喧嘩が始まっていた。




アミリアとラウラは、
屋根裏部屋の中に入った。
そこは、魔法の練習のために
様々な魔法がかけられて丈夫になっており、
広さも十分だ。

「ルールは前に話した通りでいいな?」

「うん。使う魔法は
エクスペリアームスでいいね?」

「ああ。では始めるか。勝負は一度だけ。
これに勝った方の意見を通す。」

「オッケー。じゃあタイマーの
スイッチを入れるよ。」

ラウラは時計の形をした特製のタイマーの
スイッチを入れた。スイッチを入れてから
5〜30秒の間でランダムに合図が鳴るものだ。

「「…」」

二人は杖を構え、互いを睨みつけている。

(気を張るんだ…相手はラウラだ。
こういう時は油断した瞬間負けが決まる…)

(音だけに集中する…
アミリアより早く動くために…)

十数秒間睨み合いが続いた。
そして、時計が音を鳴らした。

「「エクスペリアームス!」」

ほぼ同時にそれぞれの杖から放たれた魔法は
わずかにラウラに近い位置でぶつかり、消滅した。

「ふ…私の勝ちだな。
そちらの方が少し遅かったようだ。」

「くぅ…今回だけは絶対に勝ちたかったのに…」

「まあ、これで話は決まったな。
早速飴を食べよう。ラウラもいるだろ?」

「仕方ないなぁ…分かったよ。
もう食べやすい大きさにしちゃおうか?」

「ああ、そうしよう。そうだ、
写真でも撮っておけばいいんじゃないか?
そうすれば本物でなくても見ることはできるぞ。」

「そうしておくよ。」



「これは1年目が終わった後の
夏休みだったっけ?」

「ああ。そのぐらいだったはずだ。
なかなかに珍しい大喧嘩だったな。」

「けん…か…?喧嘩にしてはルールが
決められておったが、これは?」

「ずっといがみあったままなのも嫌だから
意見が合わない時は何かで
勝ち負けを決めることにしてるんだよ。」

「この時は、せっかく魔法を習ったんだから
勝負に魔法を使おう、
という話になっていたんだ。ちなみに
この時の飴は大変美味しくいただいたぞ。」

「食べるのに反対はしてたけど
あれは美味しかったよね〜。」

「それぞれが納得しているようなら
別に構わんがラウラはそれでよかったのか…
あ、それともう一つ
聞きたいことがあるのじゃが、
その飴細工とやらがどうして
家にあったのじゃ?」

「さぁ?」

「いつの間にかお母さんが
持ってきてたんだよ。」

「またか…」

「最近の作者は理由に迷った時は
エミリーさんを出せばいいと思っている
節が見受けられるな。」

「だよねぇ。」

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