ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

56 / 76
原作乖離に注意


ルール

アイギスとハリーは空を見上げていた。

 

「魔理沙がお菓子を取ってくるって

言ったっきり帰ってこないね…」

 

「人がいるところが遠いのかもしれんな。」

 

「待たせたなー!いま帰ったぜ。」

 

二人が魔理沙の帰りが遅いと思い始めた頃に、

小さめの箱を手にちょうど帰ってきた。

 

「ずいぶんと遅かったの。

一体どうしたのじゃ?」

 

「ああ、友達の家が少し遠くてな。

だが、ちゃんとお菓子は持ってきたぜ。」

 

そう言う魔理沙の手にはお菓子の箱がある。

そこには見慣れないはずの文字が書いている。

 

「マンジュウ…って何?」

 

なぜかハリー、そしてアイギスにも

それが読むことができた。

だが、その意味はわからない。

 

「知らないのか?まあ食ってみりゃわかるぜ。

よっと…ん?なんで箱の中に箱が?」

 

魔理沙が箱を開けると、そこには

一回り小さな箱がもう一つ入っていた。

それをさらに開け、入っていたものを手に取った。

 

「なんだこりゃ?霊夢がなんで

こんなもん持ってたんだ?あいつ、

とうとう盗みを働いて…」

 

アイギスとハリーは、人のことを言えるのか

と心の中で思いながら魔理沙の手を見た。

そこには、アイギスとハリーが

知っているものがあった。

 

「あ!これって!」

 

「ガリオン金貨!」

 

「知ってるのか?」

 

「妾たちが普段使うお金じゃ。少なくとも

幻想郷では使われておるとは

思えないものじゃが…」

 

「やっぱり僕たちだけじゃなくて

みんなもここにいるんだよ!」

 

「そうなるとこれを持っていたのは

おそらくアミリアかラウラじゃろうな。

アミリアは何を服の中から出してもおかしくないし

ラウラはポケットの中の整理をしないしの。

魔理沙、これはどこからもらってきたのじゃ?」

 

「え?…あー…これは…」

 

魔理沙はお菓子箱のあった場所を聞かれて

言い淀んだ。それとほぼ同時に、

外から大声が聞こえてきた。

 

「魔理沙ー!出て来なさーい!」

 

「げ…もう追いついたのか…

よっぽどこれが大事な…いや、

金みたいだし当たり前か。霊夢だもんな。」

 

そう言って、魔理沙は出て行った。

ハリーとアイギスも、後を追って外に出た。

 

「魔理沙!あんた私の…その…

とっておきのお菓子を取ったでしょ!」

 

「お菓子じゃなかったぜ。

もう中身を見ちまったよ。あれは一体

誰からもらったんだ?」

 

「なんだ、もう見てたの…それなら、

なおさらあんたには関係ないでしょ?

さあ、見たんなら早くあの金貨を返しなさい。

あれは私のものなのよ!」

 

「私の手元にあるんだから私のもんだ。

溶かして実験にでも使うことにするぜ。」

 

「…上等よ。それなら、弾幕ごっこよ!

私が勝ったら大人しく返してもらうわ!」

 

「望むところだ!今日こそお前に勝つ!」

 

霊夢と魔理沙は空に飛んだ。

そして、少しだけ上で話した後、

煌びやかな光景が空に広がった。

 

「うわ、眩しい!」

 

「いったいこれは⁉︎」

 

「あれは弾幕ごっこよ。」

 

ハリーとアイギスが驚いていると、

後ろから金髪の少女が声をかけてきた。

 

「君は誰?」

 

「私?私はアリス・マーガトロイド。

あそこの空を飛んでいる魔法使いに

文句があってここに来た魔法使いよ。」

 

「もしかして魔理沙が押し入っていた

家の主人かの?」

 

「ええ、そうよ。そういえば

あなたたちは魔理沙と一緒に箒で飛んでいた

人たちかしら?」

 

「うん、森の中で

迷ってたら見つけてもらったんだ。

この…幻想郷って言ったっけ。

いつの間にかここに迷い込んでたんだ。」

 

「それは災難ね。大変だったでしょう?」

 

「幸いにもここの住人に会えたから

なんとかはなったがな。

ところで、魔理沙と誰かがやっている

あれはなんなのじゃ?

弾幕ごっことか言っておったが…」

 

アイギスは魔理沙ともう一人の少女が

空を飛んで繰り広げているものを指差した。

 

「ああ、外来人なら知らなくて当然ね。

ここ幻想郷にはいくつかルールがあるの。

そのうちの一つに、スペルカードルールを

採用したあの弾幕ごっこがあるのよ。

それぞれの弾幕の美しさを競うの。

ここでの揉め事はあれを使って解決するのよ。」

 

「へぇ…そうなんだ。

でも、危なかったりしないの?針とか、

レーザーみたいなのが出たりしてるけど…」

 

「ごっこだから危険なものは

撃ってはいけないことになってるの。

当たっても、せいぜい軽い衝撃がくるぐらいの

ものを使ってるの。当たったとわかる程度のね。

相手に怪我をさせるのはルール違反だし。」

 

「ほう…そんなルールがあるのじゃな。

しかし、なぜそのルールが

ここでは採用されておるのじゃ?

いくら隔離されている空間であっても、

そのようなルールを敷くのは大変じゃったろうに。」

 

「妖怪が異変を起こしやすくするため、

人間が異変を解決しやすくするためだったかしら。」

 

「どうしてそんなことを?」

 

「ここ幻想郷には妖怪がいる。

…というよりも、妖怪が集められてると

言うべきかしらね。妖怪には畏れが必要。

それがなくなれば消滅するだけ。

これは幻想郷でも外の世界でも変わらない。

だから妖怪が忘れ去られないように

そんな異変が起こるようにされてるの。

幻想郷を紅い霧に包んだり、春を訪れなく

したりしてね。まぁ、本人たちからすれば

好きにやっただけだろうけど、

裏から誘導でもされてたのも

あると思うわ。巻き込まれた

私としてはいい迷惑だったけど。」

 

アリスに説明してもらってからしばらく経つと、

魔理沙がふらふらと降りてきた。

 

「ちぇっ。また負けちまったか…

あと一回当てれたら勝てたのに…」

 

「これで文句はないわね?

さぁ、金貨を返してちょうだい。」

 

「ああ、わかったよ。」

 

やれやれと魔理沙は霊夢に

服の中にしまっていた金貨を取り出して渡した。

 

「あ、少し待ってくれんか?」

 

「ん?あんたは誰?…って、

うちに来た二人と同じ服装してるわね。

もしかして関係があるのかしら?」

 

「やっぱり飛ばされてたんだ…

その二人の特徴とかある?」

 

「特徴ねぇ…そうね、外見は

白い髪の女の子と赤毛の男の子だったわ。」

 

「ラウラとロンだ!」

 

「同じ服装なら二人に間違いあるまい。」

 

「あの二人が言っていた探している人って

あなたたちのことかしら。」

 

「たぶんそうだと思う。」

 

「なんだ?アイギスたちが言ってた

探してる人ってそいつらのことか?」

 

「そうなのじゃが…ラウラたちも

飛ばされているとなると

アミリアとハーマイオニーも

幻想郷にいるはずじゃが…」

 

「確かにそうだね。探すしかないかな…」

 

「とりあえず今日はもう日が暮れるから

魔理沙の家に泊めてもらいなさい。

魔理沙もそのつもりで連れてきたんでしょ?」

 

「ああ、たまにはいいかと思ったからな。

ただ、霊夢のとこに友達がいるなら、

そっちのほうがいいんじゃないか?」

 

「部屋が余ってても、

四人も泊めるのは流石に厳しいわ。

責任を持って泊めてあげなさい。」

 

「二人はそれでいいのか?

会いに行くのは明日になりそうだが。」

 

「妾たちは泊めてもらう身じゃからな。

屋根の下で寝れるだけ儲けものじゃ。」

 

「うん、僕も大丈夫だよ。」

 

「そか。それならそろそろ晩ご飯の準備でも…」

 

「魔理沙、その前に私に

何か言うことがあるでしょう?」

 

スッと魔理沙の後ろに回っていたアリスは、

魔理沙の肩に手を置いていた。

 

「おうアリス。私が貸した本はどうだっ…」

 

魔理沙が言い終わる前に、

いつの間にか浮かんだ人形が持っている刃物を

喉元に当てられていた。

 

「そうじゃないでしょう?言うことは?」

 

「わ、悪かったんだぜ…」

 

謝罪の言葉を聞いて、アリスは

人形を除けて、魔理沙を解放した。

 

「全く、人のものを勝手に持っていくなって

あれほど言っているのに…」

 

「死ぬまで借りてるだけだぜ。」

 

「はぁ…いいから私の本を返しなさい。

紅魔館のところの本はあなたに返すから、

明日にはちゃんと返しときなさいよ?

人里で、もしあそこのメイドに会って

魔理沙が本を昨日盗んでまだ返してないって

愚痴を言われたら引きずってでも連れて行くわ。」

 

「ちぇっ。仕方ないな…わかったよ。」

 

「私は帰るわ。あんたたちのことは

二人には伝えておいてあげるわ。」

 

霊夢はそう言ってそのまま飛び去った。

アリスも、軽く別れを告げて帰っていき、

残った三人は家の中に入った。

 

「ま、とりあえず晩飯の用意でもするか。」

 

「材料はあるのかの?」

 

「ああ、大丈夫だ。」

 

「何から何までごめん。」

 

「気にすんなって。えっと…

八卦炉の出力を調節してっと…」

 

魔理沙が小物を出して、

少しいじると、炎が出てきた。

 

「それは?」

 

「ミニ八卦炉っていうんだ。

一晩煮込むようなトロ火から

山火事を起こすぐらいの炎まで出せる。」

 

「…ずいぶん物騒なものじゃな…

まあ慣れれば使い勝手は良さそうじゃが。

何を食べるのじゃ?」

 

「キノコ鍋。」

 

「この森で取れるの?」

 

「ああ、見つけにくいけど

割とその辺に生えてるぜ。

多分毒とかはないから安心してくれ。」

 

「多分って…」

 

「まあ、経験則だからなぁ。

初めの頃は一日中笑いが止まらなくなったり

寝込んだり色んなことになったもんだ。」

 

笑いながら話す魔理沙を、

二人は苦笑いを浮かべながら見つめた。

 

 

「お湯加減はどうかしら?」

 

「ちょうどいいよ。咲夜も一緒に

入ればいいんじゃないのか?」

 

「私はまだやることがあるのよ。

ああ、そうそう。服は洗って

乾かしておいたからすぐに着れるわ。

じゃあ、私は他の仕事に回るわ。」

 

アミリアとハーマイオニーは、

大きな風呂に入っていた。

 

「どうしてもう乾いてるのかしら?

私たちが入ってまだ15分ぐらいしか

経ってないはずよ。」

 

「咲夜の特別な力とかじゃないか?

私が思うに時間を操るとかかな。」

 

「どうしてそんなことを言えるの?

彼女は人間よ。そんなこと

できるはずないじゃない。そのはずでしょ?」

 

「だが、そう仮定すれば色々当てはまる。

紅美鈴と言ったか?彼女を運ぶのも一瞬だった。

これだけなら高速移動とかの

可能性もあるが、服を洗うだけでなく

こんなに短い時間で乾かすのは

それでは不可能だからな。」

 

「…そうとは言いきれないけど、

確かにそう考えることもできるわ。不思議ね。」

 

「まあ、世界が違うなら

そういうことがあるんじゃないか?」

 

「そういうものかしら…」

 

「他に人を見ていないからなんとも言えないがな。」

 

しばらくの間二人はゆっくりと

湯船に浸かった。

 

「…とりあえず私はそろそろ上がるか。

ここで考えていてはのぼせてしまう。」

 

「私はもう少しゆっくりしてるわ。

なんだか疲れちゃった。」

 

「そうか。まあ、ハーマイオニーは

歩いたりしてたみたいだからな。

じゃあ私は先に部屋に戻っているよ。」

 

……………

 

アミリアが部屋に戻ろうとすると、

ぱったりと金髪の幼い女の子と出会った。

背中には虹のような宝石がついた翼が生えている。

 

「お姉さんはだあれ?」

 

「私はアミリア。ここに少しの間世話に

なることになったんだ。君は?」

 

「私はフランドール・スカーレットって言うの。」

 

フランドールは屈託のない笑顔で自己紹介をした。

 

「なるほど、レミリア嬢の妹ということか。

初めまして。立場的にはそちらの方が上かな。

私たちが帰る目処がたつまでの

数日間、よろしくお願いします。」

 

「やだなー、そんな他人行儀にならないでよ。

自己紹介したなら、私たちはもうお友達でしょ?

私のことはフランって呼んで!」

 

「そ、そうか?じゃあ…フ、フラン。

これでいいのか?」

 

「うん!」

 

フランはアミリアに抱きついてきた。

 

「痛た…すまない、少し腕を緩めてくれ。

体の丈夫さには少し自信はあるが、さすがに

吸血鬼の力ではかなり痛い。」

 

「あ、ごめんなさい…」

 

フランはアミリアから離れ、目を伏せた。

 

「ああ、フラン。大丈夫だよ。

悪いと思ったことを素直に

謝れるのはいいことだ。」

 

アミリアに頭を撫でられ、フランは笑顔になった。

 

「ねぇねぇアミリア、

今から私と遊ぼうよ!ダメかな?」

 

「あー…遊んであげたいがまた明日な。

人間にとっては夜起きているのは辛いんだ。

明日は絶対に遊んであげるから。」

 

「むー…絶対だよ?」

 

「ああ、絶対だ。多分図書館を

尋ねると思うからそこで待ち合わせよう。

昼ぐらいになると思うが大丈夫か?」

 

「うん、わかったよ!じゃあまた明日!」

 

そうして、フランは笑顔で奥の方に歩いて行った。

アミリアは、素直で可愛らしい子だな、

と思いながら改めて部屋に戻った。




「いらっしゃいませ〜。」

「いらっしゃい!って、ラウラにアミリアか。
どうした?ダールトに追い出されたか?」

「いや、そんなことないよ!
ちゃんといい子で留守番してたもん。」

「こんにちは、ランディさん、エミリーさん。」

「えっとー、あなたたちは
誰だったかしら〜?」

「ええ⁉︎ちょっとお母さん⁉︎」

「おいおい、エミリー。
実の娘とその友達にそれは…」

「あ、初めましてー。どなたですか〜?」

「…」

「…?どうしたの?ランディ。
おかしなお父さんねー、ラウラ〜。」

「…うん…そう、だね…はは…」

「ラウラ、相変わらず大変だな…」

……………

「なるほど、アミリアが
うちの店に来てみたいって言ったのか。」

「はい、そうなんです。」

「アミリアったら、本を読みたいからって
今までお菓子と軽食ぐらいしか
食べようとしてなかったんだって。」

「それは勿体無いな。
まったく、魔法使いには食を軽視する人が
多過ぎるぜ。いつだって人間は
食とともに生きているっていうのによ…
ホグワーツの飯、美味かったはずなんだが…」

「とにかく、そういうわけだから
アミリアに美味しい料理を作ってあげてよ!」

「ああ、わかった。
俺の腕によりをかけて作るぜ。
お代はラウラ持ちか?」

「え⁉︎お金取るの⁉︎」

「はっはっは!冗談だよ。
じゃ、そこに座って待っててくれ。
今から作ってくるよ。」

「もう、お父さんったら…
楽しみにしといてね、アミリア。
お父さんの料理はとっても美味しいんだから。」

「ああ、もちろんだ。楽しみにしてる。」

「ご注文は如何されますか〜?」

「お父さんが作ってくれるから
注文は取らなくて大丈夫だよ、お母さん。」

「あら、そうー?それでラウラ、注文は?」

「いや、だからいらないってば。」

……………

「あいよ、お待ちどう。」

「あ、ミートパイだね。美味しそう!」

「じゃあ俺は他のお客さんの料理作ってくる。
熱いから気をつけてな。」

「うん。わかってるよ。
アミリアも気をつけてね。」

「わかった。…えっと、
これは一度開いてしまっていいのか?」

「うん、そうだよ。」

「…⁉︎」

「どうしたの?アミリア。」

「なんだろう…この匂いは…」

「アミリアってもしかしてこういうの、苦手?」

「いや、むしろ心地いいが…
とにかくいただこう。」

「どう?アミリア。美味しい?」

「…」

「アミリア?どうしたの?」

「…っ!」

「アミリア⁉︎どうして泣いてるの⁉︎」

「…いや、すまない。
あまりにも衝撃を受けてしまって…」

「そんなに?」

「私はどうして今まで
母上に料理はいらないと言っていたのか…」

「アミリア、泣いてないで食べようよ。
泣きながら食べると美味しくないよ?」

「…ああ、それもそうだな。」



「アミリアが今みたいに
料理を食べるのが大好きになった時だね。
この後から少しずつ
今のアミリアに近づいて行ったんだ。」

「以前は食べなかったのかの?」

「ああ。片手で食べれるサンドイッチなどや
それからお菓子…例えば百味ビーンズや
チョコ類だけしか食べなかったな。」

「今のアミリアからは想像がつかんな…」

「子供の時の夢は世界征服だっけ?本気で。」

「…ラウラ、黒歴史というのは知ってるか?」

「ガ○ダムか何か?」

「サラッと未来のことを言うんじゃない。
アズガバンの囚人の途中だから
私たちがいるのは設定上1993年だ。
あのガン○ムの最終回は2000年だっただろう。
後10年ほど待ってから言え。
まあ、後書きだから別にいいが…
いや、そうじゃなくてだな…」

「わかってるよ。恥ずかしいってことでしょ?」

「まあ、人には言えんことじゃな。」

「わかっているならこの話はしないでくれ…」

「はいはい。ああ、それと次の投稿なんだけど、
本編を少し進めるか番外編を
進めるかで迷ってるみたいなんだ。
本編を投稿した時はややこしくなると思うけど
時系列的に番外編の前に
その話を割り込ませることになるから
気をつけてね。」

「まあ、まとめて読んでいる人には全く
関係のない話だがな。」

「まあまあ、リアルタイムで
読んでいただいている人たちのためにも
言っておかねばならないことであろう。
では、また次回なのじゃ。」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。