ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

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誰がなんと言おうと
自分の中の幻想郷は今日も平和です。
原作と比べた時のあまりにもあまりな
キャラ崩壊に注意してください。
ご都合主義なところが大量ですが
そうしないと自分では話の展開が
できそうにないのでスルーしてください…


出会い

ハリーとアイギスが森の上空に

飛び上がって脱出した時、

すぐ横から声をかけられた。

 

「…箒に乗っている…魔法使いなのか?」

 

目の前には金髪で白と黒を基調にした

服を着た少女が箒に乗ってこちらを見ていた。

 

「ああ、わかりやすいだろ?

私は霧雨魔理沙、普通の魔法使いだぜ。

そっちはなんなんだ?ここで

箒に乗ってたのは私ぐらいなはずなんだが…」

 

魔理沙に聞かれて、二人は顔を見合わせ、

どう答えればいいか迷った。

 

「ん?わからないのか?

あー…まあ、とりあえず私の家に来いよ。

ゆっくり話せるし

ここから近いからちょうどいいぜ。」

 

「…会ったばかりで

お邪魔させてもらっていいのかの?」

 

「ああ、私以外誰もいないしな。

別に気にしないぜ。暇だしな。」

 

「一人なのか?

一人暮らしをする歳には見えんが…」

 

「まあ、いろいろあってな。

とりあえずどうする?」

 

「…どうする?

みんなの手がかりもないし

道もわからないから

お邪魔させてもらってもいいと思うけど。」

 

「確かにどこに行けばいいかもわからんし

お邪魔させてもらった方が良いか…」

 

「じゃあ決まりだな。私の家はこっちだ。

ついてきてくれ。」

 

そうして三人は空を飛んで

魔理沙の家に向かった。

 

 

「どうしよう…全然森を抜けられないよ…」

 

ラウラとロンは、合流してから

ずっと森を歩いていたが、

進んでも進んでも木しかなかった。

 

「むしろ、深くなっていってるよね…

…戻った方がいいと思う?」

 

「でも、どちらにしろ戻っても進んでも

道がわからないから…あれ?」

 

ラウラは、物陰から聞こえた

小さな音のほうに目をやった。

 

「どうしたんだい?」

 

「…ちょっと待っててね。

向こうの方に蛇が…」

 

ラウラはそちらに行くと、

空気が抜けていくような音を口から出した。

 

【そこの蛇さん、ちょっといいかな?】

 

【な、なんだあんた、蛇と話せんのか⁉︎】

 

【そ、そんなに驚かないでよ!

別に怪しい人じゃないから落ち着いて。】

 

【驚いてるのは怪しいからじゃないんだが…

いや、まあいいか。なんで人間が

こんな所にいるんだ?

人里からはだいぶ離れてるぞ?】

 

【あー…やっぱりそうなんだ…

いきなりこの辺りに飛ばされてきて、

この辺りのことがよくわからないんだ。

…ただ、蛇さんの種類って、

アオダイショウ…であってるよね?】

 

【ああ、人間たちは俺たちの種類を

そう呼んでるらしいな。】

 

【…もしかしなくてもここって日本だよね?】

 

【ん?あんたらは外来人なのか?】

 

【外来人?外国人とかじゃなくて?】

 

【そういえば飛ばされたとか言ってたっけ。

それならここのことはわかってなくて当然だな。

ここは幻想郷っていうところで、

なんて言ってたかな…本来は幻になったものを

呼び寄せるとこ、だったかな。

確かにあんたの言う通り日本だが

結界で外の世界とは断絶されてるんだ。でも、

あんたみたいに、たまにそんなことはないのに

迷い込んでくる人間とかがいて、

そんな人のことを外来人って呼んでるんだ。】

 

【幻になったもの?】

 

【まあ、言うなら空想上のものだな。

妖怪とか魔法使いだとか…】

 

【え?私魔法使いなんだけど…他の人も

普通にたくさんいるよ?

普通の人たちから隠れてるだけで。】

 

【んん?そうなのか?

それなら、ただこの結界の条件に

引っかかりでもしたんじゃないのか?】

 

【でも、それならドラゴンとかも

この辺りにたくさんいるはずだよ。

私の知ってる限りでは、

ドラゴンなんて何頭もいるもん。

それこそ、隠れて飼おうとする人もいるくらい。】

 

【ううん…どういうことだ?】

 

【まあ、とりあえず私たちは

できれば帰りたいんだけど、

どうすればいいのかわかる?】

 

【ああ、幻想郷からの出方か。

外来人なら、向こうの方角にある丘というか

山というか…の上に神社があるんだが、

そこの巫女になんとかしてもらうか、

それか結界を作った妖怪自身に

何とかしてもらうかだな。妖怪の方は、

なかなか会えるもんじゃないだろうから、

とりあえず神社に行ってみればいいんじゃないか?

巫女がやる気を出せばそのまま

送ってくれるだろうし、そうでなくても

巫女が妖怪をたぶん呼んでくれるだろう。】

 

【向こうのって…あれのこと?】

 

ラウラはかなり遠くにある

小高い丘を指さした。

 

【まあ…うん、かなり遠い。

ただ、微妙だが人里よりは近いと思う。

…ちょうど間ぐらいの位置だからなぁ…】

 

【うわ、きっついね…

…まあ、大丈夫か。道を教えてくれてありがとね。

何もお返しも出来ないけど…】

 

【別にいいさ。俺は人助けが好きだからな。

普通ならできることはせいぜい

遭難した人に少し食べ物を落とすぐらいだが、

話せたから色々助けれそうでよかったよ。

じゃ、俺にできるのはこの辺までだ。

ここらで俺はもう行くよ。

そろそろ冬眠するとこも

探さなきゃいけないしな。気をつけろよ。】

 

【うん!本当にありがとね!】

 

「蛇がいたんだ。何の話をしてたんだい?」

 

「道を聞いてたの。あっちの方に神社が

あるみたいだから、そこに行けばいいんだって。

ここの事も聞いたから、歩きながら話していくよ。」

 

「あっちの方かぁ。

一応向かってた方向は合ってたのかな。」

 

「人里がある方とは逆方向だったみたいだけど、

怪我の功名かもね。じゃあ行こっか。」

 

そうして、二人は再び森の中を歩き始めた。

 

 

「十六夜、ここは本当にそんなところなのか?」

 

「ええ。説明はしきれていませんが。

ああ、それと、咲夜でいいですよ。

あまり十六夜と呼ばれるのは慣れてませんし。」

 

「そうなのか?ではこれからは咲夜と呼ぶよ。

そちらもかしこまった口調でなくても

いいんじゃないか?みたところ同い年ぐらい

だと思うし。矜持のようなものが

あるのかもしれないが、

そちらの方が話しやすい。」

 

「じゃあ、そうさせてもらうわ。

こちらもアミリア、ハーマイオニーと

呼ばせてもらうわね。」

 

「よろしくね、咲夜。」

 

「ああ、もちろんかまわない。しかし、

ますます分からないな…どういう理屈で

私たちはここに飛ばされたのか…

ラウラの魔法はいったいどうなっているんだ?」

 

「ただ場所を移動しただけじゃないかしら?

みんなバラバラになったかもしれないのは

どうしてかはわからないけど。」

 

「いや、そうとは考えにくいよ、

ハーマイオニー。さっきからそこらを

妖精のような生物が通っている。

私は知らない種族だし、昔に生息していた

という記録もなかったはずだ。

それに、聞いた話では河童もここにいるそうだ。

河童は私たちの世界にもいる。

隔絶されているとすれば私たちの世界に

河童がいるわけない。

一部だけ幻想入りとは考えにくいしな。

…世界が違う、突拍子もないが

そう考えた方が自然だと思う。」

 

「…確かにその可能性も否定できないわね…」

 

「二人とも、この中よ。この扉の中にお嬢様が

いらっしゃるわ。」

 

「…咲夜、何故カメラを構えているんだ?」

 

「ああ、いえいえ、気にしないでください。

おぜう…お嬢様の背伸びしている可愛いら…

いえ、凛々しいお姿を写真に収めようかと…」

 

「…まあ、別にそのあたりは

そちらの事情だろうから構わないが…」

 

(…それでいいのか…?)

 

……………

 

「蝙蝠の羽…吸血鬼というのは本当なのね…」

 

ハーマイオニーは、部屋の奥にいる

幼い少女を見て呟いた。

 

「よく来たわね。私がこの紅魔館の主の

レミリア・スカーレットよ。」

 

吸血鬼のカリスマか、

威圧感のようなものが部屋の中に

渦巻いているように感じた。

 

「咲夜からあなたたちのことは聞いているわ。

ああ、遠慮なく座ってちょうだい。

咲夜、紅茶を…いえ、今日はなんとなく

コーヒーの気分ね。」

 

「かしこまりました。」

 

一瞬のうちに、コーヒーが入ったカップが

レミリア、アミリア、ハーマイオニーの

前に現れた。その中には黒が湛えられている。

アミリアとハーマイオニーのコーヒーの

横には、ミルクと砂糖が置いてあった。

 

「…咲夜。」

 

「何でしょうか、お嬢様。」

 

「私がコーヒーを飲むときはミルクと

砂糖を持ってくるように言ったわね?

どうして二人にしか持ってきていないの?」

 

レミリアが泣きそうな顔で

咲夜に聞いた。吸血鬼の種族としての

威圧感は早くも薄れてきている。

 

「…申し訳ありません。

お客人のもので最後でして…

しかし、お嬢様は一人前の淑女(笑)ですから、

自身の好みのものでなくともエレガントに

お召し上がるかと思いまして。

そういうことですので、

熱いうちにお召し上がりください。」

 

「そ、そうかしら?そういうことなら…」

 

おだてられたレミリアはそう呟きながら、

ブラックコーヒーを口に含んだ。

 

「ブフッ!」

 

だが、苦さに耐えきれずに吹き出してしまった。

咲夜は満足そうににやけている。

 

「ケホッケホッ!咲夜ー!助けてしゃくやー!」

 

もはやカリスマ性などあったものではない。

その様子をさりげなくカメラに

収めた後、咲夜はすぐ隣に移動し、

取り出した布でレミリアの顔を拭った。

その間レミリアはうーうー言っていた。

レミリアが零したコーヒーはその時には

すでに拭かれ、新しいコーヒー、

そしてミルクと砂糖も置かれていた。

 

「あ、あら?どうして…ミルクと砂糖が?

…咲夜、なかったと言ってなかった?」

 

「申し訳ございません。

探してみたところ、ミルクと砂糖の予備は

棚の奥の方に置いてありました。」

 

「あ、あったのなら…それで構わないわ…

次からは気をつけるように…

コホン…そ、それで、あなたたちはどうして

吸血鬼がいると咲夜から

聞いてもここに来るのをやめなかったのかしら?」

 

相手が吸血鬼だからと一応

警戒していたアミリアは、

さっきまでの様子を見て、

完全に警戒を解くことにした。

 

「十六夜咲夜、彼女は人間だろう?

彼女を仕えさせてるというのもある。

人間に危害を積極的に加えないと思った。」

 

(…本当は適当にあしらえば

なんとかなりそうな気しかしないからだがな…)

 

心の中で失礼なことを呟きながら

ポーカーフェイスで答えた。

 

「咲夜はお気に入りなだけよ。

あなたたちまでそうというわけではないわ。

『〜もある』ということは

他にも理由があるのかしら?」

 

「行くあてがなくってどうすればいいのか

わからないということもあったんだけど、

アミリアが出て行こうとはしなかったのよね。

いったいどうしてなの?」

 

「まあ、レミリア嬢からお茶の誘いを

受けていたからな。相手が何者であっても、

それを断るのは失礼だろう。」

 

本音を言うわけにもいかないのもあるが、

アミリアは素直にそうとも思っていた。

 

「ふふ、あなたは面白い人ね。

咲夜からも聞いたけど行くあてがないらしいわね?

しばらくの間はここを使っても構わないわ。

まあ、ほんの少し咲夜の買い出しでも

手伝ってもらおうとおもっているけど、

友達を探すなら好都合でしょう。」

 

「お嬢様、買い出しなら私一人でも…」

 

「たまには他の人にも頼りなさい。

咲夜はなんでも一人で抱え込むんだから。」

 

「お嬢様…」

 

「いいのか?」

 

「あなたたちのことも気に入ったのよ。

それとも断るつもりかしら?

私がこう言ってるんだから、

さっきのあなたの意見からすると

断る方が失礼だと思うけど?」

 

「それもそうなるか…しばらく世話になるが

よろしくお願いする。

ハーマイオニーもそれでいいか?」

 

「そこまで話が進んでいるのに

私だけ断るわけにもいかないでしょ…

もう、勝手に話を進めちゃうんだから。

今回は行く当てがなかったから助かるけど…」

 

「決まりね。ああ、あなたたちの部屋は

咲夜に案内させるわ。ここのことについても

聞いておいてちょうだい。」

 

 

寒空の下、箒に乗るアイギスとハリーは、

同じく箒に乗っている魔理沙に幻想郷の

ことを聞いていた。

 

「…ってことだ。ここのことは大丈夫か?」

 

「ああ、なんとなくじゃがわかった。

あの化け物が妖怪というやつなのじゃな。」

 

「聞いた限りじゃ迷い込んだみたいで大変だな。

まあきっとすぐに元のところに戻れるさ。

それまではできるだけ面倒見てやるよ。

あ、ちょっとこの辺で待っててくれ。」

 

魔理沙はアイギスとハリーを待たせて、

森の中に少し見える、洋風の家に向かっていった。

 

(おーいアリスー!この本借りてくぜー!)

 

(はっ⁉︎ちょっと魔理沙待ちなさい!

あなたはいきなり来て何を勝手に…⁉︎)

 

(今日は代わりにこいつを

置いていってやるから!じゃあなー!)

 

(あなた何を…ってこれ紅魔館の本じゃない!

私まで共犯に…ああもう!ちょっと魔理沙ー!)

 

「待たせたなー。私の家までもう少しだから

急いで行こうぜ〜。」

 

魔理沙は悪びれた様子もなく、

さっきまでと同じ方向に飛んでいった。

 

「…あれって大丈夫なのかな…」

 

「…聞こえていた限りでは

いつものことのようじゃから

放っておいたほうがいいかも…いや、むしろ

そちらの方がいいじゃろう…巻き込まれたら

面倒事になってしまいそうじゃからな…」

 

「…うん、同感だよ。

…少しついていく人を間違えたような気が…」

 

「…いや、それは仕方ないのじゃ…魔理沙が

いなければ妾たちはどうすることもできんし…

それに助けてくれたのも事実じゃからな。

…少々手グセが悪くても

悪い人ではないはずじゃ。…たぶん…」

 

 

ラウラとロンは長い石階段を登りきった。

 

「ふぅ、結構な階段だったね〜。」

 

「うん、確かに…ホグワーツも高いけど、

ここはそれよりも高かったな…

それで、あの建物が神社っていうやつかい?」

 

「うん、本で見たことあるのと

だいたい一緒だよ。私たちの国でいう

教会に近いのかな?…どうなんだろ?」

 

「それで、あの蛇が言ってた巫女っていう人は

どこにいるんだろう?」

 

「うーん…普通なら掃除してたり

する人らしいけど、見当たらないね。」

 

「ん?あの箱は?」

 

「ああ、それはお賽銭箱って言って、

お賽銭、寄付を入れるとこなんだって。

来たからには入れないといけないと思うよ?」

 

「あー…それは困るなぁ…

今、僕お金持ってないよ…」

 

「じゃあ、私が一緒にいれるよ。

えっと、どこに入れてたっけ…

あらら、ガリオン金貨しかないや…

もったいない気がするけど仕方ないか…

二人分だからちょうどいいかもしれないし。」

 

ラウラは一枚のガリオン金貨を

賽銭箱の中に入れた。

すると、2秒と経たないうちに

奥からドタバタと音が聞こえ、一人の少女が

風のような速さで賽銭箱の蓋を開けた。

 

「こ、これって金⁉︎しかもこれ本物…やった!

これで三ヶ月は贅沢できるわ!」

 

突然出てきた少女を、

ラウラとロンは見つめることしかできなかった。

少女も二人に気づき、三人の間に沈黙が流れた。

 

「「…」」

 

「…コホン。

…と、とりあえず上がって行きなさいよ。

その…お礼とかしたいし…」

 

……………

 

二人は神社の裏から中に入れてもらい、

言われたところで座った。

少女は、「棚の奥は前例があるからどこに…」

と呟きながらゴソゴソと音を立てていた。

最終的に、ガリオン金貨はお菓子の空き箱に

何重かにして、大事に中にしまったようだ。

 

「さっきはみっともないところを見せたわね…

まあ、気を取り直して、と…私は博麗霊夢、

この博麗神社の巫女をやってるわ。

多分だけど、あんたたちがここに来たのは

何か用事があるからよね?

わざわざこんな妖怪神社に好き好んで

くるわけもないと思うし。」

 

「霊夢〜、酒ないのー?」

 

襖が開き、頭から角を生やした

幼く見える少女が出てきた。

 

「今はないしお客がいるの。

適当にどっかいってなさいよ。」

 

「仕方ないねぇ…」

 

少女は霧のようにふわりと消えた。

 

「…まあ、気にしないでおこう。

うん、通りすがりの蛇さんに話を聞いたら、

ここが幻想郷ってとこだって教えてもらって、

私たちは迷い込んできちゃったみたいなんだ。」

 

「なるほどね。それならすぐにでも

ここから出すことはできるわ。

用意はいいかしら?」

 

「ちょっと待って。実は、僕たち以外にも

きっとここにいるはずなんだ。

たぶんだけど四人ぐらい。それに、

どうしてか場所もかなり移動してたみたいなんだ。

場所とかもわかってからじゃないと…」

 

「そう、他にも人がいるかもしれないのね。

それなら、少しの間ここにいてもいいわ。

お賽銭に金貨なんてもらっちゃったし、

部屋も余ってるからね。」

 

「ほんとかい?ありがとう!」

 

「ただし、掃除くらいは手伝ってもらうわ。」

 

「それぐらい大丈夫だよ!

野宿になるかもしれなかったのに、

泊めてもらえるなんてラッキーだし。」

 

そうして話していると、奥の方から

声が聞こえてきた。

 

「霊夢ー!お菓子もらってくぜー!」

 

「今度はは魔理沙か…って、ちょっと待って!」

 

霊夢は奥の様子を急いで見に行ったが、

すでに魔理沙の姿はなかった。

すぐに荒らされたらしい棚の中を霊夢が見た。

 

「ない…ない…!どうしてよりによって…!

こんなことをしてる場合じゃないわ!」

 

ドタバタと霊夢が戻ってきた。

 

「悪いけど留守番を頼んでもいい?

取り返さないといけないものができたの!」

 

「え?あ、うん、大丈夫だけど…」

 

その言葉を聞いて、霊夢はすぐさま飛び立った。

 

「…あれ?ねぇラウラ。あれって…」

 

「…何も使わないで飛んでるね…」

 

「鬼みたいな角を生やした女の子が

突然消えたりしてたし

本当にここってよくわからないね…」

 

「たぶん鬼なんだろうけどね…

でも、なんで空想上の生き物に河童とかも

入ってたんだろ?蛇さんが言ってたけど…」

 

「河童は、見たことはないけど

教科書には載ってるもんね。」




「アミリア、こっちも綺麗だよ!」

「ラウラ、気持ちはわかるが
もう少しゆっくり見たらどうだ?それに…」

「嫌だよ。今日はこの公園を
全部見て回るんだか」

「いや、今はそれどころではないだろう?」

「ラウラ、あまり俺たちから
遠くに行き過ぎないでくれ。
迷子が増えると困る!」

「…うん、ごめんなさい。」

「まったく…エミリーったら
また迷子になって…いくら広いとはいえ
森でもないのに迷子になるかしら?
子供もいるというのに…」

「あきらめろ、アリシア。
もうあれは今からなおそうとしても手遅れだ。」

「それは学生時代から重々承知だけど…」

「はぁ…お母さん、今度はどこで寝てるのかな…
さっきは気分をなんとかしようと
無理に盛り上げようとしたけど、
もう紅葉を見るどころじゃないよね…
お母さんを探すのが目的になってるもん。」

「まあ、急いでも仕方ないけどな。
それにしても、上をみんなで見上げた
十数秒でいなくなってしまうなんて…」

「私たちがついていながら
エミリーから目を離してしまったなんて
失敗だったわね…」

「一瞬でも目を離せば
どこかへ行ってしまうからな…
…ワープでもしてるんじゃないのか?」

「いや、ダールト、
さすがにそれはない…ないよな?」

「疑問は持たなくてもいいと思うわよ?
…多分としか言えないけれど…」

「あーあ、本当にどこ行っちゃったんだろ?
ねぇねぇ、小鳥さん。私のお母さん知らない?」

「流石に教えてはくれないだろう。
何を言ってるのかもわかってないだろうし
こちらもわからない。」

「それはわかってるけどさ。
もしお母さんの所に飛んで行ってくれたら
すぐに見つかるのになって思ったんだよ。」

「それはそうだが…ん?」

「あ、待ってよ鳥さん!」

「ちょっ、ラウラ!
自分まで迷子になる気か⁉︎」

……………

「…アミリア。」

「…ああ、見つかったな…」

「はぁ…とにかく起こしに行きましょうか…」

「エミリーは相変わらずだな…」

「ほんっと、変わんないよなぁ…」

「お母さん、起きて!お母さーん!」

「ん、んー…後五時間だけ…」

「後五分みたいな感じで
がっつり寝ようとするのはやめてよ…
…寝るにしても家に帰ってからにして?」

「いやねぇラウラったらー。
ついさっきまで私が寝てたみたいに…」

「まさにその通りなんだけど…」

「…す〜…」

「ああっ…また寝た…」

「仕方ないなぁ…エミリーは
俺が背負ってるよ。」

「じゃあエミリーはランディに任せて、
少しだけ紅葉を楽しんで帰りましょうか。」

「くー…」



「今回はここまでだ。
私たちが小さな時に家族で
近くの公園に出かけたある時の話だな。」

「いやぁ、あの時は本当にもう…」

「母はずっと変わらんのう…
だいぶ前の雑談で見た
学生時代も同じ感じであったし…」

「それにしても、
あの時の鳥さんには本当に感謝だよ。
全然見つからなかったし。
…もう、お母さんは女の人が
あんなところで一人で寝てたら
危ないってことを自覚してほしいよ。」

「まあ、見知らぬ人が話しかけたら
十分もすれば軽いノイローゼになるだろうがな。
話が通じないストレスで。」

「真面目な時は真面目なんだけどね…
まあ、持って十五秒だけど。」

「そういえば、どうして
鳥はラウラの言うことが
わかったのじゃろうか?」

「さあ?わからないよ。
私はダメ元で話しかけてみただけだもん。」

「いつかわかる日が来るかもな。
では、また次回。」

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