ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

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長さの関係上少し
中途半端なところまでです。


番外編① 東方project
嵐の前の…


何日か経って初めての闇の魔術に対する

防衛術の時間になった。

この頃にはアミリアの体調は元どおりになり、

何事もなく授業に参加していた。

 

「闇の魔術に対する防衛術か…

今までの先生、散々だったけど

今年の先生はどうなのかな?」

 

「確かアリシアさんが譲ったとか

言っておったな。」

 

「ああ。何か理由があると言っていたとはいえ

母上が認めた人だからな。

おそらく心配はいらないだろう。

理由があったとしても母上が頼りないと

判断したなら譲りなどしない。あれでも

母上は決して大人しい性格ではないからな。」

 

「まあ、去年より酷いなんて

万に一つもないだろうけどね。」

 

三人は教室に入りながら話を続ける。

去年のような動く自画像もない、普通の教室だ。

アミリアとラウラは少し安堵した。

他の生徒はおおよそ準備はできているらしい。

 

「そんなに酷かったのかの?」

 

「まあ、言ってしまえばただのナルシスト…

できるのは忘却術と小説の執筆ぐらいだったな。

お世辞にも教師とは言えない。

フォローも浮かばないな。

あれなら私がやったほうがいい。

まあ、小説自体は割と楽しめるものもあったが。」

 

「アミリアに教えてもらった

妾は運が良かったかもしれんな。」

 

「そうかもね。ロックハート先生の授業って

自分の小説を読まされるだけだったし。」

 

「最早授業ではないな…」

 

机の上に三人は教科書を並べていく。

 

「やぁみんな。教科書は鞄に戻していいよ。

杖だけでいい。せっかくだから

今日は実習をしよう。」

 

ちょうどその時、ルービンが

教室に入ってきて声をかけた。

その言葉に、去年の授業でピクシーが

暴れて散々なことになったのを思い出して、

何人かの生徒達は少し不安がった。

 

「よし、それじゃ、私についておいで。」

 

しかし、その生徒達も面白そうだと、

内心ワクワクしながら着いて行った。

全員で廊下を歩いていると、

ある角を曲がったところで

ドアにイタズラをしているピーブズがいた。

こちらに気づくと、イタズラの対象を

こちらにしようとしたような動きを見せたが、

何故かそのまま去って行った。

 

「あれ、ピーブズだったよね?

イタズラをしようとせずに逃げていくなんて

珍しいね。なんだかこっちを見たみたいだけど。」

 

「アミリアが何かしたのかの?

妾と、見た限りラウラも

思い当たる節はないようじゃが。」

 

「特に何もしてないと思うぞ?

強いて言うなら驚かしただけだ。」

 

「何やったの?」

 

「イタズラでこちらに3本ほどナイフを

飛ばしてきたからそれをキャッチして

20倍にして返してやった。」

 

「例えすり抜けるとわかっていても

それは恐ろしいのじゃ…

…というかナイフはどこにしまっておるのじゃ?」

 

「驚かせるってレベルじゃないよ…」

 

「ラウラが石にされて

気が立っていた時のことだからつい、な。

それに50本は幻だ。さすがに

そこまでナイフは仕込めないよ。

しかし、ポルターガイストである

ピーブズには本物かどうかわからないし、

最後に、次は無いと言っておいたら

本当にこちらに効果のあることを

やってくるかもしれないと

思わせることができたのだろう。

それ以来やつは私から距離をとってるからな。」

 

「サラッと流しそうになったけど

7本は本物のナイフを持ってたんだね…」

 

そんな話をしているうちに、

ルービンは職員室の前で立ち止まりこちらを見た。

 

「さあ、お入り。」

 

中には古びていてそれぞれ形が違う椅子が

たくさん置いてあり、その一角にある

肘掛椅子にスネイプが座っていた。

ルービンが部屋に入りドアを閉めると、

スネイプは立ち上がりながら話しかけた。

 

「ルービン、開けておいてくれ。

我輩、できれば見たく無いのでね。

…誰も忠告してないだろうから

言っておくがこのクラスには

ネビル・ロングボトムがいる。

トラブルを起こすという意味では同じくらい

危険なラウラ・ブライトフォードもな。

我輩の授業で正反対の効果の薬を

いったい何度作ったことか…」

 

恥ずかしさでネビルは顔を真っ赤にし、

ラウラは頭をかいた。

 

「その子達には難しい課題を与えないよう

ご忠告申し上げておこう。

ミス・グレンジャーやミス・フラムが

指図を与えるなら別だがね。」

 

「ラウラにはあれの質問に答えてもらって

ネビルには術の最初の段階で僕の

アシスタントを務めてもらいたいと

思ってましてね。二人とも

とてもうまくやってくれると思いますよ。」

 

それを聞いたスネイプは

不機嫌そうにして出て行った。

ルービンはみんなについてくるように合図して

職員室の奥に向かった。そこには

ローブを入れておく古い曜箪笥が置いてあり、

ルービンが隣に立つと

その箪笥はガタガタと揺れ出した。

 

「心配しなくていいよ。

中にはまね妖怪、ボガートが入ってるんだ。」

 

心配しなくていいと言われたものの、

ほとんどの生徒は恐る恐るその

箪笥を見つめていた。特にネビルは

今にも泣きそうになってルービンを見ている。

 

「ボガートは狭くて暗いところを好む。

ここにいるやつのように箪笥の中、

ベッドの下、流しの下の食器棚…

私は一度大きな柱時計の中に

引っかかってるやつに出会ったことがある。

ここのは昨日の午後に入り込んだやつで

三年生の実習に使いたいからと

このままにしておくようお願いしていたんです。」

 

そこまで話すと、ルービンは

ラウラの方を向いた。

 

「さて、ラウラ。

ここで問題ですが、まね妖怪の

ボガートとはなんでしょうか?」

 

「え?ええっと…」

 

ラウラは少し焦ったが、

夏休みにアミリアから教えてもらった

勉強の中にその話があったのを思い出した。

 

「確か、ボガートは目の前に

立った人の一番怖いと思うものを判断して

それに姿を変えられる生き物で、その性質から

本当の姿は誰も見たことがなくて…

『リディクラス』という魔法で

ボガートを滑稽なものに変えて

笑いが生まれれば退散する…

えっと…それであってますか?」

 

「パーフェクトだ。

私でもそんなにうまく、

そして詳しくは説明できないだろう。

対処法まで知ってるとは思ってなかったよ。」

 

みんながラウラを意外そうな顔で見た。

ラウラは普段はそこまで

勉強をしないのをみんな知っていたからだ。

 

「さて、ラウラが見事に呪文による対処法を

言ってくれたけど、実はもう一つある。

それは今の私たちの状況にも

当てはまっていて私たちは初めから

有利に立てているのですが、ハリー、

いったいどういう状況か、そして、

それがどうして有利になるかわかるかな?」

 

ハリーの横でハーマイオニーが

つま先立ちしながら飛び上がっていたが、

名前を呼ばれたハリーは少し

申し訳なさそうにしながら答えた。

 

「えっと…僕たち、今は人数がたくさんいて、

そういう時ならボガートは

何に変身すればいいのかわからない?」

 

「その通り。ボガートを退治するなら

誰かと一緒にいるのが一番だ。

私は一度二人の人間を同時に脅かそうとして

半身ナメクジに返信したのを見たことがある。

首無し死体になるか人肉を食らう

ナメクジになるか混乱してね。

それはどう見ても恐ろしいとは思えなかった。

さて、ボガートを退散させる呪文は簡単だ。

しかし、精神力が必要だ。

さっきラウラが言ってくれたように

本当にボガートをやっつけるのは笑いなんだ。

だから、ボガートに私たちが見て

滑稽だと思える姿をとらせる必要がある。

とりあえず、初めは杖なしで

呪文の練習をしよう。私の後に続いて…

リディクラスーばかばかしいー」

 

「リディクラスーばかばかしいー」

 

生徒たちは一斉に唱えた。

 

「そう、とっても上手だ。

でもこれだけじゃ十分じゃない。

そこでネビル、君の登場だ。」

 

ネビルは震えながら前に出て行った。

その時、ラウラは小声でアイギスに話しかけた。

 

「ねぇ、アイギス。

アイギスが一番怖いのってなんなの?

全然想像がつかないんだけど。」

 

「妾が一番怖いと思うものか…

そうじゃな、スリザリンかの?人物の方の。

数百年前のことの上にフードを被っていて

顔がよく見えなくてまだ妾が

幼い頃の話じゃから人相は覚えておらんが

妾の境遇を作ったのは

間違いなくやつじゃ。もしまた

会うことがあればその日々を思い出して

震えて何もできなくなるじゃろうな。」

 

「そんな人と会ったら

怒りそうなものだけど…」

 

「力の差が圧倒的に違いすぎるからの。

今の姿でなくても手も足も出んじゃろうな。

まあ、蛇の姿ではもともと手も足もないがの。」

 

「まあそれはそうだけど。」

 

「ラウラはどうなのじゃ?」

 

「私?うーん…怖いものかぁ…

普段なら起こった時のアミリアだけど

最近はディメンターかも…

なんていうんだろう…あの遭遇した時の気分…

心をそのまま凍らされていくような…

とにかく、表現しようがない怖さだったの…

私にはどうすることもできずに、

一方的にそんな状態にさせられるし…」

 

「なるほどの…」

 

その時、教室で笑い声が起きた。

アイギスとラウラが周りを見ると

他の生徒はみんな笑っていた。

 

「ねぇねぇ、アミリア。

どうしてみんな笑ってるの?」

 

「アイギスまで巻き込んで

聞いていなかったラウラには教えん。」

 

「ええー…聞いてなかったのは

確かにそうだけどー…」

 

「まぁまぁ、アミリアよ。

ラウラは決して授業に全く関係のない

話をしていたわけではないし

その辺りは許してやってはどうじゃ?」

 

「はぁ…当事者にそう言われては仕方ないな…

あまり甘やかせ過ぎないようにしてほしいが…

まあ、さっきまでの話だが、ネビルには

特に怖いものが二つあって、

スネイプ先生と彼の祖母だそうだ。

そこで、スネイプに祖母の服装をさせれば

何も怖くないだろうという話だ。

まあ、先生にそんな格好させれば

笑いたくなくても笑うだろうな。

それで、その実践が終わったら

みんなで順番に回していくから、今はどうすれば

それぞれの怖いものを面白く

変えられるかを想像する時間だ。」

 

「ありがとう、アミリア。

怖いものをどうやって面白くするかか…

うーん…全然想像つかないや…」

 

「…妾も無理じゃな…」

 

「…アイギス、私たちは下がってよう。

対処できなくてあたふたすると

後ろに並んだ人の迷惑になっちゃう。

アミリアは大丈夫なの?」

 

「それなんだが、何が一番怖いのか

わからないというか思い出せないというか…

まあ、よっぽどなものでなければ

なんとかできるような気はするが…」

 

「アミリアも少し後ろに行く?」

 

「いや、どこにいても

呼ばれる時は呼ばれるだろうしここにいるよ。

ラウラは一度呼ばれたからもうないと思うが。

ん?ネビルが今からやるみたいだぞ。」

 

「おっと、呼ばれないうちに

後ろの方で人影に隠れてよ。行こ、アイギス。」

 

「アミリア、呼ばれた時は頑張るのじゃ。

妾は小さくなって隠れておるからな。」

 

「もともと小さ…」

 

ラウラが思っていたことを

少し口に出した時、アイギスは

くるりとラウラの方を見て、笑顔で話しかけた。

 

「ラウラ、何か言ったかの?」

 

「あ、あはは…やだなぁアイギス…

目が笑ってないよー…」

 

「…」

 

ラウラは冷や汗をかきながらも

笑顔で話しかけるが、

アイギスの表情は変わらず無言で睨み続けている。

 

「…ごめんなさい。」

 

「うむ、わかればいいのじゃ。

ではアミリア、また後でな。」

 

ラウラとアイギスはそそくさと

後ろの方に下がっていった。




「嵐の前の雑談といったところかの?」

「サブタイの…の部分のことだね。」

「その話は置いておくとして
なんと言えばいいのか…
後書きでは過去の話をしていくといったな?
あれは嘘だ。結果的にそうなってしまった。」

「嘘っていうよりはこの本文を
番外編やってる途中で
挟んじゃったからややこしくなったんだけどね。
後書きの過去編は
番外編の間にしようとしてるみたいだし。」

「纏めて読んでいる人にはまったく
関係のないことではあるが
投稿してすぐに読んでくれている人には
一応説明もせんといかんしのう。」

「まあ、そういうわけだから
とにかく今から雑談の時間だ。
とはいえあまり話題もないがな。」

「では、他愛もない話ということで
アミリアとラウラの好きなものでも
話すのはどうじゃ?」

「本文読んでる人ならわかるんじゃない?
アミリアなら食べ物とか、
私なら動物、特に蛇さんとか。」

「それだけでは読み取れない、
本当になんでもない情報もあるのではないか?
例えば…そう、好きな色とかはどうなのじゃ?」

「好きな色?」

「本当になんでもないな…
まあ、後書きだし読み飛ばして
いいような内容だから別にいいが。」

「私は赤かなー。アミリアは?」

「白だな。」

「…互いの髪の色かの?」

「無意識につられて
そうなってるかもしれないね。」

「まあ、それならそれでいいじゃないか。
とはいえ、私は赤も好きだぞ。
この髪の毛はけっこう自慢だしな。」

「綺麗だもんね。お風呂に入る時も
髪は特に丁寧に手入れしてるし。」

「父上と母上からもらった
大切なもののうちの一つだしな。
そういうラウラの髪も綺麗だと思うぞ。」

「確かにの。穢れ一つない綺麗な白じゃ。」

「そ、そうかな?ふふー。アイギスと
アミリアにそう言われると嬉しいや。」

「それで、アイギスはどうなんだ?」

「好きな色のことかの?うーむ…
あまり考えたことが無いから明確には無いが
強いて言うなら緑、深緑あたりじゃろうか?
数百年、自然に触れる機会がなかったから
そういうものへの憧れがあるのでな。」

「なるほどな。ずっと地下にいたんだ。
そう思うのも当然というものだな。」

「まあ、そういうことじゃ。
アミリア、すまんが少し耳を…」

(どうした?)

(話の長さはこの程度じゃろうか。)

(ああ、尺的にはバッチリだ。
これなら作者が修正する必要も…)

「ちょっと二人ともー。
まだ後書きは終わってないんだから
そういうのは後で話してよ〜。」

「おっと。すまないな。」

「もう…まあ、時間はぴったりだけどさ。
そういうことで今日はこの辺でおしまい。
次回は本編か番外編かはまだ未定だけど
楽しみにしてくれると嬉しいな。
じゃあ、また見てねー!」

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