ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

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この次の話からが
番外編になります。リアルタイムで
読んでくれていた方は
すでに投稿した話の前に差し込むという
ややこしい投稿の仕方で
戸惑ったと思いますが
許して下さい。


追憶

みんながボガートを面白おかしく

変化させ、教室は笑いに包まれていた。

 

「よし、じゃあ次はアミリア!」

 

授業時間の最後のほうになり、

アミリアに声がかかった。

それまでのことでボガートは

混乱していたようだが、しばらくして

アミリアに向き直り、変化を始めた。

そして、その変化が終わると、真紅の髪の

一人の少女になった。それを見たアミリアは

ひどく狼狽した。

 

「…お前は…お前はまだ

私につきまとうのか…

私はもう、お前は過去に…」

 

それは、忘れもしない、

幼少期のアミリアだった。彼女は

鋭い目でこちらを睨みつけていた。

 

(お前はそう思っているのか?)

 

「な、なに…⁉︎だれだ?」

 

その時、アミリアの頭の中に声が響いた。

頭を押さえるアミリアを、

みんなが不安そうに眺めた。

 

「みんな、ごめん、どいて!」

 

ざわつき始めた人混みをかき分け、

ラウラが後ろからやってきて

アミリアの前に立った。そして、それが

ラウラの恐怖の対象になる前に呪文を唱えた。

 

「リディクラスーばかばかしいー!」

 

すると、紅い髪の毛の少女は小さくなり、

オレンジ色の水玉のような生き物、

とあるゲームのマスコット的モンスターになる。

それは慌てふためき、あたりを見回している。

教室の中は、それで多少なりとも

再び楽しげな雰囲気に戻った。

 

「大丈夫?アミリア。」

 

「…大丈夫だ。ああ、大丈夫だとも。」

 

少しして、授業時間が終わった。

 

「じゃあ今日はこれでおしまい。

宿題は来週の月曜日までにボガートについての

まとめを提出すること。」

 

そこまで言ってから少し経って、

ルーピンは集まっていた三人に近づいてきた。

 

「アミリア、大丈夫かい?」

 

「先生…ええ、私は大丈夫です。」

 

「少し配慮が足りなかったようで

すまなかった。チョコを食べるといい。

気分が落ち着く。」

 

「ありがとうございます、先生。」

 

「悩みがあれば相談しにおいで。

そこまで自信はないがお茶ぐらいはいれるよ。」

 

「はい、ご心配をおかけしました。」

 

「じゃあ行こう、アミリア。」

 

「少し、足が震えておるな。

肩を貸した方が良いか?」

 

 

「アミリア…本当に大丈夫だったの?」

 

「…ああ。心配しないでくれ、ラウラ。

私は大丈夫だから…」

 

「しかし、アミリアが怖がるとは…

吸魂鬼に遭遇した時でさえもそこまで

恐れはしておらんかった。

一体なんだったのじゃ?あの小さい…」

 

「アイギスー!

ちょっと向こうでお話ししようよ!」

 

「は?いきなりどうしたのじゃ?」

 

「ほら、いいからいいから!

まだできてないでしょ、アミリアへの仕返…」

 

「あ、ちょっ!本人の前でそんな話を…

ああもう、わかった、行く!

行くから黙るのじゃ!」

 

ラウラは遠ざかりながら夏休みに

失敗したいたずらのことをちらつかせ、

アイギスを呼び出した。

 

(…ラウラ。気を使わせてすまないな。

…いや、こんな時はありがとうと言うべきか。)

 

その後、アミリアは一人で過ごし、

そのまま食事の時間も

廊下で外を眺めていた。そのおかげで

多少気分が落ち着いたが、

アミリアが夕食を食べなかったのが

あまりにも珍しいことだと

質問責めにされてしまった。

 

 

「ふむふむ…それでアミリア、こっちは?」

 

いつものように勉強を教えてもらうラウラ。

 

「それは教科書でわかるだろう。

あー…あった、ここだ。

ここを元にすれば簡単に解ける。

ほら、次は自分でやってみろ。」

 

それを多少呆れながらも

教えるべきことはしっかりと教える

アミリアと、いつもの光景だ。

アイギスはすでに眠っている。

 

「へぇ、そうなんだ…

じゃあアミリア、ここは?

…あれ…アミリア?」

 

だが、そんないつものことにも

その日に限って違和感があった。

 

「…」

 

アミリアはどこか

明後日の方を眺めていた。

 

「アミリア!どうしたの?」

 

「…ぅん?なんだ?別に何もしていないが…」

 

ラウラに声をかけられ、

そちらに向き直りながら答える。

 

「いや、すごくボーッとしてたよ。

アミリアらしくないなぁ。

いつもなら、後ろから近づいたって

気がつくぐらいなのに。」

 

「そんなことはないさ。

私だって気が緩む時はあるからな。」

 

「うーん…でも、ボーッとしてたの

今日4回目ぐらいだし

いくらなんでもおかしいよ?」

 

「そうだったか?…まあ、

気の抜きすぎはいけないか。

注意しておくよ。」

 

その言葉とはうらはらに、

その後も何度か虚空を見つめては

ラウラに呼びかけられていた。

 

 

「ううん…トイレに行こうかな…あれ?」

 

夜中に目を覚ましたラウラは、

隣でアミリアが座っているのに気づいた。

 

「アミリア?」

 

「ん?なんだ、ラウラ。」

 

「いや、アミリアって一回寝たら

次の日まで起きないから珍しいなって思って。」

 

ラウラはいつもと違うことに驚いていた。

 

「ふん、そんなことか…まぁ、私も夜中に

起きることはあるということだ。さて、下で

少し本でも読んでから寝ることにするよ。

ラウラはトイレに行くのだろう?

早く行って寝たほうがいい。」

 

「あ…うん、そうするけど…」

 

人を避けようとしているように見えたが、

アミリアに従って

ラウラはトイレに入って行った。

 

「うーん…なんか変なんだよなぁ…

アミリアなのにアミリアらしくない…?

やっぱり防衛術の授業が少し堪えたのかな…

後に引きずらないといいけど…」

 

手を洗いながらラウラはそんなことを思った。

 

 

屋根の上、月明かりの下で

紅く長い髪を揺らしながら座る少女は呟く。

 

「…全く、過去の私を見ただけであれとはな…

(お前)は守るために強くなるといっていたのに

私にいつまでも恐れていてどうするのだ。

薬が毒になるように逆もまた然り…

私はマイナス、つまりは毒だ。

だが(お前)は私を超えなければならない。

(アミリア)を勝ち取ったのならそれに見合った

力を手に入れろ。まあ、私のことなど

覚えてないだろうがな。しかし、

それができないならその時は…」

 

しかし、その先の言葉は言わず、

ただあたりを眺める。

 

「まあ、数年ぶりの表なんだ。

今そんなことを考えるのも面倒だし

少し夜風に当たるぐらいなら問題あるまい。

それにしても邪魔な髪だな。

こんな腰あたりまで…

よくここまで伸ばす気になるものだ。」

 

 

「…う…んー?…朝、か……

いつも以上、に…眠い…なんだ?」

 

何故か身体もだるく、

起き上がることが億劫なほどだった。

 

「おはよう、アミリア。

いつにも増して眠そうだね?

はい、お茶だよ。」

 

「ああ…あまり、寝た気がしなくてな…」

 

「そういえば夜中起きてきたもんね。珍しく。」

 

それを聞いて、アミリアは少し驚いた。

 

「そうなのか?…いや、全く覚えがない。

寝ぼけていたかな…?」

 

「あれ、そうなの?

ずいぶんはっきり喋ってたから

しっかり起きてるんだと思ってた。」

 

「本当に覚えていないな…

それにしても、髪に何か違和感が…」

 

「うん、なんかポニーテールになってるね。」

 

「…これも全く…夢遊病か…?」

 

アミリアはいい加減自分の

状態に不安を覚え始めた。

 

「…むぅ?」

 

話し声が聞こえたのか、

むくりとアイギスが起き上がった。

 

「あ、アイギスもおはよう。」

 

「うむ…おはようじゃ…

アミリア、妾の真似かの?」

 

「いや、そうではないが

私にもわからん。あまり何を言ってるか

わからんと思うが起きたらこうなっていた。

…とりあえず解いておくか。」

 

「割と似合ってたけどなぁ。」

 

少しもったいなさそうに

アミリアの髪を見ながらラウラが呟いた。

 

「こういうまとめるような髪型を自分でするのは

自信があったとしても少し…な。

まぁ、見る分には可愛いと思うが。」

 

「アミリアは機能性を重視したりする

節があるから好きじゃと思っておったが…」

 

「まあ…何か理由があるんだ。

私たちは気にしなくていいと思うよ、アイギス。」

 

「そんなものかの…」

 

「そうだよ。だから、

アミリアが思うことをすればいいんだよ。

あ、そうだ。アミリア、一つプレゼント。

本当は私とアイギスの分も作ってから渡そうかと

思ってたけど先に渡しておくよ。」

 

「これは…白いアルストロメリアの刺繍か?

アルストロメリアの花言葉は…」

 

「うん、そうだよ。

私たちの友情が続きますようにって

お願いしながら作った御守り。」

 

「そうか…そういえば友情という

ものもあったな…一瞬アッチに目覚めたのかと…

ありがとう、ラウラ。

大切にさせてもらうよ。」

 

受け取ったアミリアは、

ローブに付けた

裏ポケットに大切にしまいこんだ。

 

「私からもそのうち何かを渡そうか。

そうだな…髪飾りでも作っておこう。」




「この話でアズカバンの囚人、
前半は終了だ。前書きの通り、
リアルタイムで見てくれていた人には
謝罪の言葉しかない。」

「どうしてこんな
投稿の仕方になってしまったのか…」

「正直な話を言うと
本編を書くときは小説版を
見ながらやってるらしいんだけど、
最近は忙しくてなかなか
見れなかったんだって。だから、
小説を読まなくてもキャラの個性さえ
ある程度わかってれば
なんとかなる番外編に走ったみたい。」

「執筆者の風上にもおけんな。」

「なかなか辛辣だな…」

「今回もかなり短めの本文だしね。
仕方ないね。ついでに言うと
ゲームのイベントも重なってたとか。」

「それこそ完全に私用じゃないか…
それは辛辣にされても文句言えん。」

「イベント終了までに、どうしても
欲しいのがあるんだって。」

「妾たちは放置なのか…」

「結局今日も小説を持ち歩いて
通学したけど読む暇なかったらしいよ。」

「いつになったら本編が始まるのか…」

「あー、もうどうでもいいのじゃ…
どうせこのまま失踪でも
するんじゃろう?今のうちに
好きなだけ喋っておこうかの。」

「ああっ、アイギスが拗ねた!」

「このままだとかろうじて
考えている今後の展開まで
喋り出すかもしれん…短くなってしまうが
今日はここまでにさせてもらおう。」

「うーん…仕方ないね…
じゃあ、また次回。バイバーイ!」

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