ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

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結局半月一話に落ち着きそうな予感…
初めは週二ペースだったのに
どうしてこうなったのか…


魔法生物飼育学

ラウラとアイギスが学校から外に出たあたりで、

アミリアが追いついた。

 

「すまないな。少し手間取った。」

 

「あ、アミリアおかえり。どこに行ってたの?」

 

「あまり気にしないでくれ。

別に特別なことはないんだ。」

 

「それなら良いが…」

 

「去年ほどではないけど、ディメンターがいて

危ないかもしれないから

あんまり一人にならない方がいいよ。」

 

「ああ、わかってる、大丈夫だ。

…待たせた私が言うのもあれだが

そろそろ時間だからとりあえず少し急ごう。」

 

「ああ、うん、それもそっか。」

 

(…特にこの二人にはあれは言えない…

隠し事をしてしまうのは嫌だが仕方ないな…)

 

三人は急いで授業の集合場所に向かった。

すでに他のグリフィンドールと

スリザリンの生徒はハグリッドのところに

集まっていた。

 

「三人ともこっちだ。

…よしよし、これでみんな揃ったな!

今日はみんなにいいもんがあるぞ!

すごい授業だ!ついてこいや!」

 

ハグリッドは、森に入らないように

その外周を生徒を連れてしばらく歩き、

放牧場のようなところまで連れて行った。

 

「よし、じゃあ初めにすることは

教科書を見ることだ。

みんな教科書を開いてくれ。」

 

そう言われて、生徒たちは顔を見合わせた。

その中で、アミリアたち三人とハーマイオニーは

背表紙を撫でて教科書を開き、思い出したように

少し遅れてハリーとロンも教科書を開いた。

 

「…ああ、すまねぇ。教科書を開くには

背表紙を撫ぜりゃええ。それだけだ。

そうしたらおとなしくなる。」

 

しばらくしても教科書を開かない

生徒がいるのを見て、ハグリッドは

不思議そうな顔をしていたが、

アミリアたちが教科書の開き方を

知らなかったことを思い出し、開け方を説明した。

 

「開け方を知らないと開けられない本、

しかも僕らの手を噛みちぎろうとする本なんかを

教科書にするなんてね!」

 

ドラコがわざと周りに聞こえるように

大声で言った。それを聞いて、

アミリアは小さく舌打ちをしていた。

 

「黙れ、マルフォイ。」

 

ハリーがマルフォイに静かに言い、

しばらく沈黙が続いた。

 

「えーっと…教科書はある…

次にいるもんは…ああ、魔法生物だな。」

 

そうつぶやいてハグリッドは

放牧場の奥の方に歩いて行った。

ハグリッドが見えなくなるぐらいで、

アミリアがマルフォイに近づいた。

 

「貴様っ!いったい何のつもりなんだ!

私の友達を侮辱するのは許さないと…!」

 

「思ったことを言って

悪いことはないだろう?」

 

「こいつ…!」

 

「待ってアミリア!」

 

「駄目だよ!お願い止まって!」

 

アミリアが今にも飛びかかりそうなのを

ハリーとラウラが止めた。

 

「くっ、何故止める⁉︎」

 

「いいから!いまは下がって!」

 

そして、アミリアを引きずって

他の生徒の後ろに向かった。

 

「いったいどういうつもりだ!

ハグリッドのことを貶されて悔しくないのか⁉︎」

 

「アミリア落ち着いて!

いい?よく聞いて。もし仮に、

ここでアミリアが問題を起こしたりしたら、

それこそハグリッドに迷惑をかけちゃうよ。

ハグリッドが直接関係なくても、

授業の担当として責任とかがあるんだから。」

 

「…そうか…それもそうだな。

ありがとう、止めてくれて…」

 

「もう、アミリアは友達とかのことになると

冷静じゃなくなるんだから…」

 

少し時間が経つと、ハグリッドが

十数頭の生き物を連れてきた。

 

「ヒッポグリフだ!美しかろう。え?」

 

その生き物は、簡単に言えば頭は鳥、

胴体は馬のような生物だった。

 

「わぁ、ヒッポグリフ初めて見た!

…かわいいなぁ。」

 

「…かわいい…か?」

 

「かっこいいだとか、ハグリッドの言う通り

美しいとかなら、毛並みとかで

わからんことはないのじゃが…

かわいいはおかしくないかの?」

 

「そんじゃ、ちっとこっちに来てくれ。」

 

ハグリッドに呼ばれたが、ほとんどの生徒は

動かず、柵に近寄ったのは

アミリアやハリーたちだけだった。

数人が近づいてから、ハグリッドは

ヒッポグリフについての説明をしていた。

 

「よーし、そんじゃ、誰が一番乗りだ?」

 

ハグリッドがそう聞いたが、生徒たちは

動けなかった。ヒッポグリフたちが

暴れるのではないかと思ったからだ。

 

「はい!私がやってみたい!」

 

ラウラが真っ先に大きな声で返事をした。

 

「ラウラか!よし、そんじゃ…

バックピークとやってみよう。こっちに来てくれ。」

 

「ラウラ、楽しみなのはわかるが落ち着いてな。」

 

「大丈夫、わかってるよ。」

 

ラウラは柵を乗り越え、嬉しそうな顔の

ハグリッドの近くに行った。

 

「目をそらすんじゃないぞ。

なるべくまばたきもするな。ヒッポグリフは

目をショボショボさせるやつは

信用せんからな。」

 

ラウラは言われた通り、

バックピークを見つめた。しばらくすると、

バックピークもラウラに視線を向けた。

 

「…よし、それでお辞儀だ。」

 

ラウラがお辞儀をすると、バックピークは

すぐにお辞儀を返し、近寄ってきた。

そして、そのまま目の前まで来て何故か

頬ずりをしてきた。

 

「うわっ、くすぐったいよ!

ちょっと待って、ストップ!」

 

ラウラにそう言われたバックピークは、

すんなりと、ラウラから一歩離れた。

 

「こりゃ見たことねぇ…

俺以外でこんなに懐いたのは初めてだ。

すごいぞ、ラウラ!これなら、すぐにでも

お前さんを背中に乗せてくれると思うぞ!」

 

「えっ、乗れるの⁉︎本当に⁉︎」

 

「ああ、絶対に大丈夫だ。

羽を引っこ抜かないようにそこの

翼の付け根んところからだ。」

 

ラウラはワクワクしながら急いで

背中に飛び乗った。

 

「そーれ行け!」

 

ハグリッドが促すように叩くと、

バックピークは翼を広げて羽ばたいて

飛翔した。

 

「うわぁ、すごい!飛んでるよ!」

 

バックピークの上は不安定だったが、

箒に乗らずに飛ぶのは新鮮で

そんなことはラウラには気にならなかった。

そうして放牧場を一周した後、

バックピークは地面に降り立ち、

ラウラもバックピークの上から降りた。

生徒たちは歓声を上げていた。

 

「ありがとう、バックピーク!」

 

その言葉に反応するように、

バックピークは翼を二、三回羽ばたかせた。

 

「 ようできたな、ラウラ!

よし、他にやってみたいもんはおるか?」

 

今まではヒッポグリフを恐れていた他の生徒も、

ラウラとバックピークの様子を見て、

恐々ながらも放牧場に入っていき、

彼方此方でみんながお辞儀をしていた。

興奮冷めやらないまま、ラウラは

アミリアとアイギスの所に戻っていった。

 

「アミリア!アイギス!これすごい!

ああ、もうなんて言ったらいいか!」

 

「はは、よかったな。

ヒッポグリフにすぐ乗れるなんて

すごいじゃないか。」

 

「楽しそうじゃったな。」

 

「うん!こんなの初めてだよ!

なんというか、まるで空を飛んだような…

って言ったらそのままだけど、

本当にすごかったよ!」

 

ラウラは楽しそうに二人と話していた。

少し遠くにいるハグリッドも、

ヒッポグリフを連れて来た甲斐があったと、

授業の様子を見て上機嫌なようだ。

だが、楽しい時間は唐突に断ち切られた。

ドラコが、バックピークに向けて

侮辱の言葉を放ったからだ。

ドラコは腕を鋭い鉤爪で切り裂かれ、

ローブはみるみるうちに血の赤に染まった。

ハグリッドは一転、顔を青くして

バックピークに首輪をかけてから

ドラコのところに急いで近づいた。

ドラコはパニックになっていた。

 

「死んじゃう!見てよあいつ!僕を殺した!」

 

「死にゃせん!誰か手伝ってくれ。

この子をこっから連れ出さにゃ…」

 

ハグリッドがドラコをヒョイと背負い、

急いで城の中の医務室に向かった。

授業を受けていた生徒たちも、

その後を追っていった。その間、ずっと

スリザリン生とグリフィンドール生の間で

口論が続いていた。

 

 

その日の夕食の席に、ハグリッドはいなかった。

少し離れた位置にいるハリーたちや、

ラウラも、食事に手が出ていなかった。

ハグリッドの友達にとって、

そのぐらいショックを受けることだった。

 

「アミリア、何も食べてないけど大丈夫?」

 

「…ああ、体調はおそらく…な。」

 

「ハグリッドのことか…

クビになったりせんことを祈るしかないの…」

 

「マルフォイの傷ぐらいなら、

マダム・ポンフリーが治してくれるよ。

骨を生やすことだってできたんだから

きっと造作もないことだよ。」

 

「…あいつのことだから…

どうせ嘘八百でハグリッドにケチを

つけにいくだろうがな…

あの性根を叩き直したいぐらいだ…」

 

ラウラは、アミリアの様子に

違和感を感じた。食事の手が

止まっているだけでなく、

顔が赤くなっていて、言葉も

途切れ途切れになっていたからだ。

 

「…アミリア、本当に体調は大丈夫なの?

どう見てもまずそうなんだけど…」

 

「ああ…すまないが先に寮で

休ませてもらうよ…少し足元が…」

 

呟くように話しながら立ち上がった

アミリアは、フラッとよろめいた。

 

「アミリア!」

 

「全然大丈夫じゃないよ!

どうしてこんなになるまでほっといたの⁉︎」

 

「すまない…急に気分が悪くなったんだ…

…寮に連れて行ってくれないか?

わざわざ医務室に頼るほどでもないから…」

 

「とにかく私もついてく!

アイギス、先生に伝えといて!」

 

「わかったのじゃ!

報告したらすぐに合流する!」

 

 

ラウラはアミリアを気にしながら、

できるだけ急いで寮の部屋に戻った。

しばらくすると、アミリアは眠ってしまった。

 

「アミリアの様子はどうじゃ?」

 

「ああ、アイギス。とりあえずは

眠ったみたいだよ。先生には伝えてくれた?」

 

「うむ、マクゴナガル先生に伝えた。

…なぜアミリアは突然体調を崩したのかの?

なにか見当はついておらんか?」」

 

「うーん…アミリアを着替えさせた時に

いつものようにチョコやらなんやらが

ごちゃごちゃいろいろ出てきたんだけど、

なんか厳重に蓋やらいろいろ

がされてるのがあったんだ。

振った音からすると何か

液体かなって思うんだけど…」

 

「…これだけしっかりと鍵やら

魔法やらがかけられていては

どうすることもできんな。

まあ、アミリアのことじゃからたまにする

実験用の素材とかそんなとこじゃろ。

気にせんでもいいのではないか?」

 

「うーん…まあ、そうかも。

じゃあ、疲れでもたまってたのかな?」

 

「それは確かに、妾に勉強をこの夏休みの間

ずっと教えてくれていたし、

その可能性が高いかもしれんな…」

 

アイギスは、申し訳なさそうに少し俯いた。

 

「心配しなくても大丈夫だよ。

アミリアが勉強で倒れるなんて絶対にないもん。

きっと良くないものでも食べたんだよ。」

 

「…それはそれでないように思うが…」

 

「まあまあ。アミリアは体が丈夫だから

明日には元気になってるよ。」

 

「しかし珍しいこともあるものじゃ…」

 

「確かにね。アミリアが体調を悪くしたのって

私でもほとんど見たことないよ。

まあ、その時も一回寝ればすぐに治ったから

心配はしなくてもいいと思うよ。」

 

そうしてラウラとアイギスは、

アミリアの様子を見ながら

出された宿題を終わらせることにした。




「アミリアの体調は次の日には
ちゃんと治ってるから安心してね。」

「アミリアが暴れそうになっておったが…」

「友を馬鹿にされて我慢できなかったんだ。」

「まぁ、イライラするのはわかるけどね…」

「それで、今日も今日とて
この雑談が始まったわけじゃが、
今日のテーマは何なのじゃ?」

「前々から散々予告していた番外編の
クロスのことだが、時系列を若干無視して
次回から始めるようだ。楽しみにしてた人が
いるかどうかはわからんがな。」

「やっとか。予告だけして
全く始まらんから忘れ去られたのかと
思っておった。」

「予告が何回もあったおかげで
特に言うこともなくなってるけど。
残りの時間のこの雑談コーナーの
話題はどうするつもりなの?」

「それなんだが、少し説明に使わせてくれ。
せっかくだから、これからしばらくは
雑談で私とラウラの
過去の日常についてを話すのはどうだろう。
今まではほんの少しの回想しか
本編に出ていないからな。
まあ、私たちの昔話を見たい人が
いるか甚だ疑問なんだが、最近は
本当に雑談の話題がなくなってきてな。」

「妾は気になるがの。まあ、
読者がもういらんと言えば
それは打ち切りになると思うが。」

「…一瞬で打ち切りになりそう…
言っちゃえばただの日常だからね。」

「それでも、気になる人だっているだろう。」

「どこに?」

「ここに。」

「妾か。」

「…それ以外は見当ついてないってことじゃ…」

「そろそろ時間だからここで終わろう。
お別れの挨拶だ。せーの、」

「「「見てくれてありがとうございました!
次回も見てください!」」」

「…あれ?ごまかされた?」

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