ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

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ハロウィンですね。
本当は明日投稿してもいいかと
思ったのですが少し
期間が空いてしまっているので
今日投稿します。


イタズラ

「ラウラ、少しいいかの?」

 

夏休みも残り一週間となったある日、

朝食からアミリアが帰るまで談話室で

待っていたラウラに、アイギスは話しかけた。

 

「ん?どうしたの?」

 

「…アミリアはまだ来ておらんな…よし。」

 

「アミリアには秘密の話?」

 

「うむ…まあダメ元で相談するのじゃが、

アミリアに仕返しがしたいのじゃ。」

 

「…え、なんの仕返し?」

 

「アミリアのやつ、妾がもう食えん

と言っても遠慮するなとか言って

無理やり食べさせてくるのじゃ…

一度ならまだいいが、それが何度も続くと

いい加減にしてほしいと思ってくる。」

 

「ああ…なるほどね…

そうはいっても、アミリアのあれは

治ることはないから我慢しないとキリないよ?」

 

「まあ、悪意がないのはわかるのじゃが、

なんというか、やられてばかりではな。

イタズラでもしてやらんと気がすまん。」

 

「うーん、本当はイタズラとか

止めた方がいいんだろうけどな…

…そういえばアミリアの恥ずかしい話とか

笑い話って聞いたことないなぁ…

イタズラでそういうのが見れるかもしれない。

うん、私も手伝ってあげるよ。」

 

「おお、ダメ元でも話してみるものじゃな。

ではどんなイタズラをするかじゃが…」

 

……………

 

「ここに置いていたアミリアの百味ビーンズに、

避けてあったものを混ぜてみたのじゃ。」

 

「それ引っかかるかな…

分けたのはアミリア自身だよ?」

 

「前にアミリアに見せてもらった、

ハバネロ味らしきものを入れてみた。

肉類のと色が似ておるから

パッと見、気がつかんはずじゃ。

改めて確認することもしないじゃろうし。」

 

「そうかな…あ、アミリアが帰ってきた。」

 

「とりあえず妾は教科書を読んでおくのじゃ。」

 

 

「いつも二人は食べ終わるのが早いな。

あれだけしか食べなくて大丈夫なのか?」

 

「いや、アミリアの基準で言われても困るよ…」

 

「そうか?…まあ、そうかもな。

それでも、あまりにも食べないとなると

体調も整わないから気をつけるんだ。

ああ、そうだ。そこにある百味ビーンズ、

二人で食べていいぞ。」

 

「「え?」」

 

「二人があんまり食べないから

少し心配なんだ。ちょっとでもお腹は

膨れるだろうから、小腹がすいたら

勉強しながらでも食べればいい。」

 

「えっと…ア、アミリアも食べなよ!」

 

「そ、そうじゃ。もともとはアミリアの

百味ビーンズじゃからな。」

 

「そうか?じゃあみんなで食べるか。

とりあえずアイギスはこれとかどうだ?」

 

「え?」

 

アイギスに投げ渡されたのは

赤い色をしたビーンズだった。

 

「おそらく肉味だ。ここに分けておいた

ビーンズの中で赤いのはそれぐらい

だったはずだからな。」

 

「…」ダラダラ…

 

「ん?どうしたんだ?確かアイギスは

肉が好きだっただろう?」

 

このままでは怪しまれると思ったアイギスは

覚悟を決めて、それを食べることにした。

 

「あ、いや、なんでもないのじゃ…なんでも…

い、いただきます…」

 

(アミリアは肉味も赤色だと言っておった…

それなら確率は二分の一のはず…!

なんとなく赤すぎる気もするが…

ええい、食べなければ始まらんか…

…緊張のせいか味がわからん…

いったいこれはどちらなのっ⁉︎)

 

「ーーーーーー⁉︎⁉︎」

 

「ア、アイギスー‼︎」

 

「なっ、どういうことだ⁉︎

百味ビーンズの分別を間違っていたのか⁉︎

大丈夫か、アイギス!」

 

「ゴホッ!ガハッ!み、水っ!水を!」

 

……………

 

「うう…ひどいめにあったのじゃ…

まだ舌やら喉がヒリヒリする…」

 

「それでも止めはしないんだね…」

 

「まだできることはあるからの。」

 

「それで次は何するの?」

 

「イタズラと言っても反応が見れた方が

ラウラにとっては好都合なのじゃろう?

それかアミリアの見た目がおもしろくなるとか。」

 

「うん。おもしろいアミリアを

見てみたいからね。

そのおもしろいのが反応でも

見た目でもどちらでもいいよ。」

 

「では、次は黒板消し落としじゃ。

イタズラと言えば、じゃろ?」

 

「あ、それおもしろそうだね。

ちょうど今教室にいるし、早速準備しよ。」

 

「今度こそじゃ。」

 

 

「あ、アイギス、アミリアが来たみたい。」

 

「楽しみじゃ。」

 

「二人とも、確認テストができ…」

 

ガラッ、ポスッ

 

「ん?なんだ?」

 

「あれ?」

 

扉に挟まっていた黒板消しは、

アミリアが教室に入る前に地面に落ちた。

 

「…おかしいのぅ…?」

 

「これは…黒板消し?

どうしてこんなものが?二人が仕掛けたのか?」

 

「「…はい。」」

 

「いや、まあ別に困ることもないから

怒ったりはしないがな。

ただ控えるようにはしろよ。それから

言っておくが黒板消し落としは現実では

ほぼ成功することはないぞ?」

 

「え?そうなの?」

 

「ああ。さっきみたいに対象が

教室に入る前に落ちてくるからな。

走って入ってきたならともかく、普通に歩けば

頭の上に落ちたりせず、そのまま落ちるか、

当たっても手に当たるぐらいだ。」

 

「…そうじゃったのか…」

 

「ま、とりあえず確認テストをするぞ。」

 

……………

 

「アイギス、もう私たちがイタズラ

してることばれちゃったけどどうする?」

 

「無論、まだやるに決まっておる。

…とはいえ、あと一回だけにしておくかの…

さすがに面と向かってまで

やる気にはならんからの。少し怖いし…」

 

「じゃあ、最後は何やるの?」

 

「もうばれてしまっておるし

こそこそやる必要もあるまい。

…いっそのこと椅子を引いてみるかの。

一番単純ではあるが、その分成功

しやすいじゃろうしな。これが失敗することは

まずないと思うのじゃ。」

 

「まあ、確かにね。」

 

……………

 

「よし、アミリアは向こうで妾たちの

確認テストの採点中じゃ。こちらには

まだ気づいてはおらん。」

 

「オッケー…じゃあ行こう。」

 

 

「…うん、なんだかんだ言ってラウラも

なんとかなってるじゃないか。

後はこれさえなんとかなればな…

教科によってはアイギスの方がいいか?」

 

(えっ…?)

 

(静かにするのじゃ。気付かれてしまう。)

 

「これならアイギスは間に合いそうだ。

三日後にはテストだからな。

この問題ができなかったら少々まずかったが、

頑張ってくれていたようでよかった。」

 

テスト用の羊皮紙を見ながら

頷いていたアミリアの後ろにひっそりと

近づいた二人は、互いに手ぶりで合図した。

 

((せーの!))

 

ガタッ

 

「あれ?」

 

「ん?」

 

見事に椅子を引いた二人だったが、

アミリアは倒れることなくそのままの

姿勢で二人の方を向いた。

 

「…何をやってるんだ?」

 

「…いや、悪かったのはこっちじゃが

そのセリフはそのまま返すのじゃ。

…何をしておるのじゃ?」

 

「何をやってるかって….空気イス?」

 

「…なんでそんなことやってるの?」

 

「最近体が鈍ってきてるような気がするんだ。

この夏休み中はあまり動いてないからな。

じっとしてても体を使えることのは

これぐらいしかないかと思ったんだよ。」

 

「空気イスなんてやろうと思って

すぐできることでもないだろうに…」

 

「まあ、昔はよくやってたからな。

今でもこれぐらいはできるさ。」

 

「そういえばなんとなく思ったけど、

アミリアって昔と比べて

ずいぶん走るのとか遅くなってない?」

 

「…は?いや、ラウラ。アミリアは

普通に妾たちよりも早いではないか…」

 

「ああ、あれを少し増やした。」

 

そう言ってアミリアは手を握ったり開いたりした。

 

「もう…無理しちゃダメだよ…

そんな漫画みたいなこと。」

 

「とは言っても慣れてしまったからな…

外すと違和感があるんだ。」

 

「だからって増やさなくても…」

 

「…なんの話なのじゃ?」

 

「アイギスは気にしなくても大丈夫だよ。」

 

「ああ、説明も面倒だからな。」

 

「…そうなのかの?」

 

「そうだとも。ああ、ついでだ。

ほら、アイギスとラウラのテストだ。」

 

それを返してもらったラウラは

自分とアイギスの点数を見比べた。

 

「…ねぇ、私の方が点数低くない?」

 

「ああ、低かったな。」

 

「いったいどうして…すごく自信があったのに…」

 

「…む?ラウラよ、

ここからの問題を見るのじゃ。」

 

「え?」

 

そこには、ある問題からバツが続いている

答案用紙があった。

 

「まったく、注意深さが足りないぞ。

そこで一問飛ばしてなければほぼ満点

だったのに、もったいない。」

 

「こ、これオマケしてくれたりは…」

 

「するわけないだろう。ラウラはテストの時、

先生に同じことを言うのか?

ケアレスミスでも、間違いは間違いだ。」

 

「う〜…確かにそうだけどさぁ…」

 

「見直さずに寝てるのが悪いんだ。

少し見直せばちゃんと気がついただろうに。

次からはちゃんと見直すように。」

 

「…はい…」

 

……………

 

その日の夕方、談話室でアイギスとラウラは

アミリアについて話していた。

 

「結局イタズラだとも思われてなかったね…」

 

「そこまで数はしてないとはいえアミリアは

なぜイタズラにひっかからんのじゃ…」

 

「最初のは偶然回避、黒板消しのは

実際はあまり起こらないって言われて、

椅子引きに至っては逆に

こっちが驚かされたからね…」

 

「常時空気イスとは…

いくら体を使いたいと言っても

発想が少しおかしくないかの?」

 

「まあ、アミリアは天才だから。

ほら、バカと天才は紙一重って言うし、

普通の人とは考え方が違うんだよ。」

 

「それを言うならラウラもそうだと

思うのじゃがな。」

 

「なんで?」

 

「妾が助けてもらった時、

あそこまで話をややこしくするとは思わんかった。

普通なら継承者の方をなんとかするだろうに…」

 

「ああ、あれね。そうは言っても、それだけじゃ

根本的な解決にならないじゃない。」

 

「まあ感謝こそすれ文句はないがの。

しかしそれのせいでラウラは石になってしまったし

もっと安全にできんかったのか?

闇の魔術にまで手を出して…」

 

「できるだけ早くやりたかったんだよ。

まともな方法じゃそもそも無理だろうから、

それなら、最初から闇の魔術とかを当たる方が

早いと思わない?」

 

「いや、普通はその考えには

ならんじゃろうに…」

 

そうしていると、談話室にアミリアが

入ってきて二人に近づいた。

 

「どうしたんだ二人とも。あの時の話か?」

 

「あ、アミリア。うん、そうなんだ。

私の解決法がおかしいって言われて。」

 

「ああ、まあそれは言えてるな。

私やランディさん達の気持ちになって考えてくれ。

本当にあの時は心配したんだからな。」

 

「でも、あれ以外にちゃんと解決する

方法が思い浮かばなかったんだよ。」

 

「私も確かに思い浮かびはしないが…

先生や、せめて私にだけでも相談してくれても

よかったじゃないか。」

 

ラウラはバツが悪そうな顔をした。

 

「それは確かにそうするべきだったけど…

危険な目にはあってほしくなかったんだよ。」

 

「私はラウラに危険な目にあってほしくない。」

 

「妾も同じ気持ちじゃ。

あの時はどれだけ気を揉んだか…

しかも原因が妾のせいであったしな…」

 

「ううん、気にしないでよ。

私が勝手にしたことなんだし…」

 

それから少しの間、沈黙が続いた。

 

「…それでも、自分のことも

ちゃんと考えて行動してほしい。

ラウラに何かあったら悲しむのは

周りの人なんだからな。」

 

「うん、わかってるよ…

…暗いのは私らしくないね。

ね、二人とも、ご飯食べに行こう!いいよね?」

 

「ああ、断る理由なんてないさ。」

 

「うむ、もちろんじゃ。」

 

「じゃあ行こっか!」

 

「…ん?」

 

その時、アミリアは違和感を感じ、

談話室の窓を見た。

しかしそこには何もいなかった。

 

「どうしたの?」

 

「…いや、なんでもない。気のせいだ。」

 

「では大広間に向かうのじゃ。」

 

 

…意外と勘がいいですね…

あれが標的ですか…そして、私の…

知らないのも混ざっていますが…

その程度の誤差なら問題はないでしょうか。

…いずれあなた達は知るでしょう。

滅んでなどいないことを…

終わってなどいないことを…

しかし、今回はあくまで様子見…

見つからないうちに帰りましょう。

さようなら、いずれ会う時まで…

あなたが私を見た時に、

ディメンターと遭遇した時のように

驚いてくれることを期待してますよ。

…アミリア・フラム。




「「トリックオアトリート!」」

「ああ、はいはい、百味ビーンズを
あげるから少し落ち着いてくれ。」

「あ、ちゃんとくれるんだね。」

「言ってみるものじゃな。」

「というわけでハロウィンでの投稿だが、
いかがお過ごしだろうか。
予定がある人もない人も、
この話を見て楽しんでくれただろうか。」

「なんか堅苦しくない?」

「そう思うなら話をするのを
手伝ってくれ。私が一人で話すと
こうなることはわかってるだろう?」

「手伝うのは構わんよ。
…ところでこの百味ビーンズ、
何味なのじゃ?」

「ネズミ味。」

「おお、それは美味そうじゃな。」

「普通はハズレのはずなんだけどね…」

「もともと蛇だからな。
そういうところが残ってたりするんだろう。
こちらとしては、食べたくなかった味を
食べてくれて助かるがな。」

「ああ…いつも泣きそうな顔をしながら
捨てちゃってるもんね…」

「もったいないからな…
捨てるのは断腸の思いだよ…」

「ムグムグ…ところでアミリアよ。
本文の最後に何やら呼ばれておった…」

「おおっと、アイギス。
それは言ってはいけないことだ。
かなり後に誰かはわかるから
今は気にするんじゃない。」

「…わかったのじゃ。」

「ところでもうすでにそこそこ
後書きが長くなってきてるんだけど、
今日はもう終わるかんじ?」

「ああ。そのつもりだ。
本当は報告があったんだがな。」

「一行で説明してくれんかの?」

「クロスにハリーが巻き込まれる。」

「…ハリー、御愁傷様…」

「そうなったのじゃな…」

「ああ、少し要望をもらったらしくてな。
とりあえず今日はここまで。
これ以上はグダグダになる。」

「「「今回も見てくれて
ありがとうございました!」」」

「ところでアミリアはお菓子はいらないの?」

「ここにラウラとアイギスしかいないのに
もらえる人がいないだろうに…」

「一番お菓子を持っておるのは
アミリアじゃからな…」

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