ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

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今回の幕間は割と長いかも…
まあ前のは章を区切るには
少なすぎですが…


小さな事件と大きな事件

「アイギス、この記事は何があったんだ?」

 

ハリーに会いに行った次の日、

新聞を読んだアミリアは、

この日、両親たちは仕事で

家にいなかったので、アイギスに

とある事件のわけをきいていた。

 

「うわぁ…これは派手にやったね…

アイギス、怪我はなかった?」

 

「怪我はなかったが…

うう…それは不可抗力だったんじゃ…

妾とてやりたくてやったわけでは…」

 

そんな三人が見ている新聞の記事には、

『老舗、オリバンダーの店半壊か』

という記事が出ていた。

 

「いや、まぁ、それはわかるがな…

これをわざとやったなら問題だし。

…うん、まるでテロだな。それに、新聞だから

この記事自体は大げさに書いてるだろうし

ここまでではないだろうが…」

 

「オリバンダーさん、大丈夫だったの?」

 

「まぁ…うん、なんともなかったようじゃが…」

 

「どうやったらこんなことに…」

 

「この写真の、窓が大変なことになってる

状態にはどうしてなったんだ?」

 

「妾が杖を振ったら足元から突風が出て…

積んであった箱は崩れたり飛んでいったりして

窓を壊して外に飛び出すし大変なことになっての…

妾も飛んでいきそうになったし…

窓を魔法で直せば被害は散らかった杖だけで、

折れたりはしてなくてなんとかなったから

片付けの手伝いをすれば

弁償とかがなかったのはよかったのじゃ…」

 

「そういうことなら仕方ないが…」

 

「怒られたりしなかったの?」

 

「何故か、むしろ喜んでおったな…」

 

「ああ、オリバンダーさんなら

その杖の反応を嬉しがるだろうな。」

 

「まあ杖は買えたんだよね?あと、鍋とか

そのあたりのやつも。教科書以外は

大丈夫だったんだよね?」

 

「ちゃんと買ったぞ。そのあたりは大丈夫じゃ。」

 

「じゃあ、明日あたりに

教科書を揃えにいこう。

父上たちが明日は家にいるからな。」

 

「うむ、そうじゃの。

そういえばハリーという子に

会いに行っておったんじゃろ?

その話を聞かせてくれんか?気になるのじゃ。」

 

「ああ、いいよ。えっとね…」

 

アミリアとラウラは、

アイギスに前日のことを話していく。

それを楽しそうに聞いて、

アイギスは自分も友達になれるだろうかと

思いながら期待に胸躍らせていた。

 

 

「…アイギス、これ…なんだろ?」

 

「う…うむ…なんじゃろうか、これは…」

 

「店主…本当にこれが指定教科書なのか?」

 

「そうだ!でもこっちだって困ってるんだよ!

あぁ!また破れてる!まだ一ヶ月は

置いとかないといけないのに!」

 

そう言う全員の視線の先には

檻の中に入った暴れまわるたくさんの本があった。

 

「…これ…読めるのかな?」

 

「どいてくれ!今とるから!」

 

そう言って、それを見ていたラウラとアイギスを

押しのけて分厚い手袋をつけた店主は

その『怪物的な怪物の本』をとろうとした。

 

「コラ、こいつらおとなしく…ぐわ!噛まれた!」

 

「…すいません、手伝います…」

 

「いや、大丈夫だ!怪我をさせたら大変だか…

うわぁ!二度も噛んだぁ!

犬や猫にも噛まれたことないのにぃ!」

 

「…あんな教科書じゃ…

あんなのしかないのならもう学校には…」

 

「安心して、アイギス…

私もこんなの初めて見るんだよ…

今から魔法生物飼育学が不安になってきた。」

 

しばらくして、満身創痍にならながら

店主がロープで縛った本を持ってきた。

しかし、そのロープも本が暴れれば

すぐにでもちぎれそうだった。

 

「すいません…後で丈夫なのに変えて下さい…

本屋なのでそこまでいいものは…」

 

「いえ…気にしないでください…

そ、その…が、頑張って下さい…ええ。」

 

「あの…なんかごめんなさい…」

 

「…店主、応援してるのじゃ。」

 

「…はい…ありがとうございました…」

 

三人は引きつった笑顔をしながら

本屋から出て行った。その後ろからは、

『しまった逃げ出した…本が、本がぁ!』

と聞こえてきたが、何もできないので

そのまま早足に去って行った。

 

……………

 

「…とりあえずこの本、その辺で買った

ベルトで縛ったけど大丈夫かな…」

 

「ああ、一応大丈夫だろう…」

 

「外の世界は不思議がいっぱいじゃな…

…む、あの飛んだりしてる人形が

やってるのはなんじゃ?」

 

「ん?ああ、それはクィディッチの模型だな。

魔法でミニチュアのを飛ばしてるんだ。

ここは、そのクィディッチ用品店だ。」

 

「魔法界で一番人気のスポーツなんだよ。

箒で空を飛んでやるんだ。

ハリーはグリフィンドール寮の選手だよ。」

 

「そうなのか…あの場所から

出たこともなかったからそんなものが

あったのも知らなかった…

クィディッチという単語は

あの中から聞いたことはあったが

見れなかったから何かはわからなかったんじゃ。」

 

「確かに聞いただけじゃ

クィディッチはわからないよね。

本物を見たら、とても楽しくなると思うよ!」

 

「ああ、あれはとても楽しいものだ。

見るのも、それに、ただ箒に乗るだけでもな。

母上も選手だったんだよ。本人は

それを言われるのは嫌がってるがな。」

 

「なぜじゃ?」

 

「まあ…あんまり気にしないであげて?」

 

「それで、こっちのが箒かの?」

 

「ああ、そうそう、それがほう…き…?」

 

「ん?どうした、ラウ…」

 

アイギスが指差していた箒を見た

アミリアとラウラはそれに釘付けになり、

二人ともふらふらとそこに張り付いた。

 

「こ、これって…!」

 

「ラ、ラウラ…?一体どうしたのじゃ?」」

 

「まだ発売はされていないらしいが…

これはこの前新聞に載っていた最新の箒だな…

炎の雷・ファイアボルト…ここに説明がある。」

 

「これ、アミリアが持ってるシルバーアローよりも

すごく性能がいいんだよね。」

 

「当たり前だ…手作業だから

一本一本違うシルバーアローの中でも

最高のものをお祖母様は選んでいたそうだが、

その性能よりも数段いい。桁違いだ。…ほら、

スピードだけでも比べものにならない。」

 

「240キロ…しかも10秒で加速って…

アミリアのより100キロは早かったよね…」

 

「ああ…プロチームからも

すでに何件も予約が来てるようだ。

…見本とはいえ、見れば見るほど素晴らしいな…」

 

「…アミリア?」

 

「私のシルバーアローどころか、

ニンバスシリーズすら凌駕しているし…

叶うことなら乗ってみたいがな…」

 

「アリシアさんがプロ現役なら

買ったかもしれないけど…

いや、そんな人じゃなかったか…」

 

「二人とも…妾にも説明を…」

 

「ああ、母上はいい箒を

買おうとはしなかったらしいからな。

その代わりに使い方がアレだから整理してない

あの物置には、折れたり折れかけたりしてる

シューティングスターが大量に置いてただろ。」

 

「ああ、たまに真っ二つのとかもあったね。

でも、なぜかひとつだけコメットの…

あれ?260だったっけ?

まあいいか。あれがあったけどなんで?」

 

「ああ、あれはチームから貰ったものらしい。

ほら、支給品みたいなものだ。

…一試合目でダメになったらしいがな…」

 

「…暇なのじゃ…」

 

「それにしても、これはむしろ使うものじゃなくて

言ってしまえば芸術品の領域だよ…」

 

「うん…確かに見れば見るほど綺麗だし

カッコいいし…本当にすごいよ。」

 

「ほら、見てみろ。この小枝の

一本一本が手抜きなどなく揃えられてる…

スピード、旋回、乗りやすさ…

あげればキリはないが、最高の箒だろう。」

 

「でも値段は大変なことに

なるんだろうねぇ…お値段はお問い合わせ…

箒にする設定じゃないよね…」

 

「まあニンバス2000でも

確か20ガリオンだったか…これでも

かなりの値段だ。杖の三倍ぐらいになる。」

 

「うん…それを悠々と超えるんだろうね。」

 

「倍とかのレベルでは済まないだろう。

どこもかしこも高級素材だ。

少なくとも十倍は超えるだろうな…

しかしその価値はあると思うぞ。

いや、本当にこれはすご…」

 

……………

 

「二人ともいい加減にするのじゃー!」

 

「「うわっ!」」

 

ずっと話し込んでいた二人の横で

待っていたアイギスだったが、三十分ほどで、

ついに痺れを切らして二人に雷を落とした。

 

「さっきから何じゃ!妾に分からない話をしおって!

妾も話に入りたいのじゃ!」

 

「ああ!ごめん、アイギス!」

 

「す、すまなかった、機嫌を直してくれ!

ほら、お菓子をあげるから!」

 

「そういう問題でないし子ども扱いをせんでくれ!

というかそれはどこから出したのじゃ⁉︎」

 

「とにかく子ども扱いはしてないから

落ち着いてくれ!なっ?

ほら、ロリポップもあるから…」

 

「馬鹿にしておるのか⁉︎そうなのじゃな⁉︎」

 

アイギス本人からすれば真剣に怒っているが、

周りの人からは、見た目的に末っ子が駄々を

こねているようにしか見えず、

微笑みながらそこを通って行っていた。

 

 

それから数日経って、七月の最後の週末、

ラウラ達の両親は店に、アミリアの両親は

休みだったが、魔法省に呼び出され、

この日も家には三人しかいなかった。

 

「私のお母さんとお父さんは

お店に行ったのはわかるけど、

ダールトさんはどうしたんだろう?

アリシアさんもついて行ったんでしょ?」

 

「そうだ。理由は話していかなかったな…」

 

「そういえばアリシアさんと言えば

ホグワーツに出かけて行ったと言っておったが、

どうして行っていたのじゃ?

二人がハリーの所に行く前にホグワーツに

行くと言って暖炉に入って行ったらしいが。」

 

「ああ、母上がホグワーツに行った理由か。

闇の魔術に対する防衛術の先生の募集の面接を

受けに行ったらしいよ。」

 

「え?それホントに?

それでそれで?結果はどうだって?」

 

「ああ、直前に旧友…

というか、ライバルの友達に会ったらしくてな。

そちらの方が事情があるとかで、校長も交えて

話し合って、その場は譲ったらしい。」

 

「そうなのかの?教職というものは

すごいこととは思うが、譲ったのじゃな。」

 

「何やらややこしい事情らしくてな。

その人は学校にいないと少々まずいとかだ。」

 

「へぇー…そうなんだ。」

 

その時、いつものように窓をコンコンと

叩く音を聞こえた。しかし、この日はルニルを

飛ばしてはおらず、誰からの届け物だろうと

三人はそちらを振り向いてみた。

そこには茶色っぽい羽根をしている鳥がいた。

 

「あれ?なんだろ、この鳥…

アミリア、知ってる?誰のかとか。」

 

「このフォルム…もしかしてフォークスか?」

 

「フォークスはもっと赤色ではなかったかの?」

 

「魔法で変えてるんじゃないか?」

 

「それって何で?必要あるのかな?」

 

「こんなロンドンの街中で真っ赤な、しかも

大きな鳥が飛んでたらマグルが驚くだろう。

ああ、とりあえず入れてあげるか。」

 

そうして家の中にフォークスをいれ、

その足にくくりつけていた手紙と、

新聞を取り外した。

 

「あれ?手紙は前に言ってたけど

なんで新聞まで?」

 

「まあ、最近は準備で忙しくて

新聞をとって読む暇もなかったし、

ちょうどいい。それに、校長が送ってきたなら

何か大事な事なのだろう。」

 

「とりあえずアイギス、その手紙を読んで

返事をすぐに書いてフォークスに渡さないと。

それに軽い自己紹介とか書いたほうがいいよ。」

 

「うむ、分かったのじゃ。」

 

そうして、アイギスは多少慣れないながらも

手紙を書いていき、

ラウラはそれを横から見ていた。

その向かい側でアミリアはまず紅茶を淹れてから

新聞を読もうと、ティーカップを出してきて

その中に紅茶を淹れた。そして、新聞を手に持ち、

見出しの記事を見た。

その時、ティーカップを持っていた

手を滑らせ、中身を少しこぼしてしまった。

 

「…?アミリア、どうしたの?」

 

「…なんだ…なんの冗談だこれは…」

 

「何が書いているのじゃ?

…む、その前にフォークスといったな。

この手紙をダンブルドア校長にお願いするぞ。」

 

フォークスは小さく鳴いて、

窓から飛び立ち、瞬く間に小さくなっていった。

 

「それでアミリア。いったい何が?」

 

「脱獄だ…」

 

「脱獄?確かに怖いけど、それだけでそんな…」

 

「場所が問題だ。

脱獄を許した場所はアズカバン…あの場所だぞ…」

 

「…え?」

 

「アズカバン?何じゃそれは…?」

 

「えっと、確か絶対の孤島に…」

 

「絶海の孤島だ。」

 

「ああ、それそれ。

とにかく普通なら辿り着くのも難しい

ところに建ってて、すっごく

悪い人が捕まるとこなんだ…」

 

「確か許されざる呪文は知っていたな?それを

人に向けて使えば、よほどの理由がなければ

アズカバンに収監される。

あと、凶悪犯とかだな。

死喰い人とかがわかりやすいか。」

 

「ふむ…それで、脱獄というのは

今まではなかったということかの?」

 

「ああ、無かった。そもそもあそこに入れられたら

生きる気力も無くなるはずなのだが…」

 

「え、それ初耳なんだけど。」

 

「父上が言っていた。そこの看守は吸魂鬼(ディメンター)

言われるものでプラスの感情を吸い取るそうだ。」

 

「プラスの感情を吸い取る…

それで、何が起こるのかの?」

 

「周囲にいるだけで気分は悪くなり、

直接吸い取られれば鬱病などの精神疾患、

そして、酷ければ廃人になるらしい。

聞いた話だから実際はどれほどかわからないが…」

 

「…それで、どんな人が脱獄を?」

 

「…シリウス・ブラック…大量殺人を犯した…

マグルたちの眼の前で爆発を起こしたらしい。

それでマグルにも死者が出て、そこにいた

ピーター・ペティグリューという魔法使いは

小指しか残らなかったとか…

私たちが生まれた少し後ぐらいの時か。」

 

「…そのような事件があったのじゃな…

それで、その人物は逃走中という事じゃな?」

 

「そうなるだろう。おそらくは

注意するように、ということで

この新聞は送られたのだろうからな。」

 

「そっか…ホグワーツの警備とかも

厳重になったりするんだろうな。」

 

「もうあの時のような

雰囲気はごめんなんだがな…」

 

三人は不安になったが、

まだ学校に行く準備が整っていなかったので、

ひとまずそれぞれの家に帰って

各々準備を進めた。




「アミリア、ラウラ。
妾の絵はまだかの?」

「え?…あんな絵、欲しい?」

「悪いことは言わない。やめておけ。」

「そうは言っても、二人の絵はあるから
多少はイメージできるかもしれんが、
妾は口調がコレじゃから余計に
外見を勘違いされそうで怖いのじゃ。」

「ああ、確かにそれはあるね。
見た目ようj…ゲフンゲフン!」

「ラウラ、そこになおるのじゃ。
妾を馬鹿にしすぎじゃ。」

「ごめんごめん。
…ていうか今更だけどなんで
一人称が妾なの?私とかじゃなくて。」

「生まれつきというか…
小さい時から妾と言っておるな。」

「バジリスクは毒蛇の王と言われてる。
それも多少は関係しているのかもな。」

「そんなものかの?」

「ふーん…まあ、いっか。
アイギスはアイギスだし。」

「じゃあこの話は一旦終わりで
次の話だ。アイギスが三年生に
なれなかったらどうなるかだ。」

「どうしてそんなことを言うのじゃ。」

「まあ、気になる人もいるかもしれないし。」

「教科書とか、アイギスは
一年生用のを買ってないからね。」

「まあ失敗すれば一年生になるのは確かじゃが。」

「その時はアレかもしれないが、
私とラウラのお古を使うことになるな。」

「まあそうなるね。私たちの方からは
警備上の問題でホグワーツに煙突飛行は
めんどくさい許可を取らないとできないけど、
学校からならいけるから
それでとってくることになるね。」

「箒はどうするのじゃ?
飛行訓練というものもあるのじゃろ?」

「逆に言えば補習でもやるということだ。
…というか、説明を忘れていたが
一年生は箒を持てない。
シューティングスターを貸し出される。」

「ああ、そうじゃったのか。
では問題ないな。長期休暇の時に
学校に残る時は乗って遊べんことも
ないじゃろうから残念じゃが。」

「確かにそうかもな。
まぁ、補習で飛行訓練も教えないと
いけないだろうから
私たちは持っていくことになる。
ラウラ、荷物に入ってただろうな?」

「…え⁉︎う、うん!ちゃんと入って…」

「ラウラ…もう少しごまかすのを
練習するべきじゃぞ…」

「一応言っておいてよかったよ…
さて、とりあえずこんなものか。
文字数的にも。では、」

「「「読んでくれてありがとうございました!
次回にご期待ください!」」」

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