ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

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「違和感だと?そんなもの
そこらのゴミ箱に捨てておけ。」

「アミリア…口悪いよ?」

「まあ二次創作じゃからなぁ…
そのあたりは許容してもらおう。」


ハリーの家へ

七月も半ばとなり、暑い日が続いていた。

その日は、どちらの家族も仕事が休みで、

フラム家に全員集まっていた。

 

「…はい、あ、そうなのですか。

では、明日ですか?ええ、こちらは大丈夫です。

私共などをお呼びいただいて…

ええ、では失礼いたします。」

 

その中で、電話で話をしていたダールトは、

受話器を元に戻し、みんなが座る机に戻ってきた。

 

「父上、誰だったんですか。」

 

「ダーズリー氏だ。前話した時に

電話番号まで教えてもらってな。

私と話すのが楽しいようでね。」

 

「ダールトさん、お呼びいただいてとか

言ってたけど、どうしたの?」

 

「ああ、明日少し家で話さないかと

誘われてね。明日は幸い休みだし、

断るのも失礼だと思ったから

呼ばれようと思って。」

 

「へー、ダーズリーって言えば確か

ドリル会社の社長だったよな。

そんな人と俺も一度会ってみたいもんだ。

なぁダールト、俺も連れてってくれよ。」

 

「お前は来るな。それに明日は

アイギスの教科書以外の

学用品を揃えに行くんだろう?

少なくともお前がいないと

話にならんだろうが。」

 

「まあ確かにそうだけどよ…

しっかし、俺とお前の地位の差とかそういう人と

会う確率の差はなんでだ?

…俺から運とか吸い取ってねぇだろうな…」

 

「そんなこと考えてる暇があったら

明日のことを考えたらどうだ?

ああそうだ。あそこにはハリー君がいると

言っていたな?アミリア、ラウラ。付いてくるか?

何人かで来てもいいと言ってもらえたからな。」

 

「うーん…行きたいのは山々だけど

アイギスのことが気になるしなぁ…」

 

「妾は大丈夫じゃよ?」

 

「ええ、そうよ〜。

行ってきたらいいじゃないー。」

 

「…ごめん、お母さんは静かにしてて…

私が心配してることに

お母さんも入ってるんだから…」

 

「聞いた話ではハリー君、夏休みは面白くなくて

嫌だって言ってたんでしょう?

私は明日用事があるから行けないけど、ラウラも

会いに行ってあげたらどうかしら?」

 

「でも、この目のこともあるでしょ?

何か対策を考えないといけないし…」

 

「あれ?エミリーから貰ってないのか?」

 

「…?何を?」

 

「あ、ごめんなさ〜い。渡すの忘れてたわ〜。」

 

「エミリー…あなた自分の娘の大事なことを…」

 

「…だからラウラはまだ包帯をつけてたのか…」

 

「父上、ラウラの目をなんとか

できるようなものがあるのですか?」

 

「ああ、数日前から作っててな。

昨日にやっと完成したからエミリーに

渡しておいたんだが…」

 

「家から持ってくるわね〜。」

 

そう言って、手を振りながら

エミリーは外に出て行った。

 

「お母さん、忘れちゃってたんだね…」

 

「まあ、いつものことじゃな。」

 

「…あ、ダールトさん、どんなものなの?」

 

「ああ、コンタクトだよ。

魔法で細工をして…そうだな、例えると

マジックミラーみたいにしてある。

その目が包帯でなんとかなるなら、

それで大丈夫なはずだ。」

 

「持ってきたわよ〜。」

 

「あ、お母さん。この箱の中?」

 

「私たちはラウラから目を離してるから

先につけてみてくれ。」

 

アミリアにそう言われて、

ラウラは慣れない手つきでコンタクトを

右目につけた。

 

「えっと…とりあえずつけてみたよ。」

 

「…大丈夫そうだな。

それに目の色も青色に戻ってる?」

 

「ああ、色も変わるようにしておいたんだ。

いきなり変わってたら驚かれるだろうしな。

…うん、うまくいってたみたいだな。」

 

「本当に?…よかった。」

 

「それで、ラウラ。

どうするのじゃ?ハリーに会いに行くのかの?」

 

「うーん…アイギス、大丈夫なの?」

 

「うむ、エミ…

いや、母もなんとかしてみるのじゃ。」

 

「ああ、俺もなんとか止めるようにするさ。

アミリアとラウラで行ってきたらいいぞ。」

 

「…うん、ありがと!

じゃあ明日、ハリーのとこに行ってくるね!

アイギス、お母さんだけじゃなくて

自分も気をつけてね?」

 

「大丈夫じゃ。わかっておるよ。」

 

 

次の日の朝、先にアイギスたちが

ダイアゴン横丁へと出かける時間になり、

アミリアとラウラは、ダールトと一緒に、

出かけていく三人を見送ろうと暖炉の前で

集まっていた。

 

「じゃあ気をつけてね?

知らない人には着いてったらだめだよ?」

 

「いや、ラウラよ…妾を何歳じゃと

思っておるのじゃ?」

 

「見た目だけなら10歳そこらだから

そう注意されても仕方ないさ。

まあ、飴とかにつられないようにな。」

 

「アミリアまで…確かに認めたくないが、

見た目は小さいのは自覚しとるよ?

じゃが、ホイホイと飴やらにつられて

追いかけたりはせんからな?それに、

お菓子をちらつかされて着いて行くのは

どちらかといえばアミリアじゃろう?」

 

「なっ…!そんなことは…」

 

「「「「当たってるな(わね)。」」」」

 

「うん、アミリアは食べ物をあげるとか

言われたら誰にでも着いて行きそうだし…」

 

「ラ、ラウラまで…私の味方はいないのか…」

 

「まあ半分は冗談じゃ。では行ってくる。

帰ってきたら話を聞かせて欲しい。」

 

「ああ、うん、わかったよ。

行ってらっしゃい、アイギス。お父さん、

アイギスとお母さんをよろしくね?」

 

「アイギスはしっかりしてるからな。

そこまで苦労はないと思うし、

大丈夫だ。問題ない。じゃあ行ってくる。」

 

そうしてランディとアイギスは

ブルーパウダーを暖炉に振りまいて、

緑の炎の中に入っていった。

 

「…あれ?お母さんも行かないと!」

 

「あ、ポーっとしてたわ〜。

じゃあ行ってくるわね〜。」

 

エミリーも言われて

暖炉の中に入っていった。

 

「…心配だなぁ…」

 

「エミリーさんが家で留守番できれば

いいのだがな…」

 

「アミリア、留守番はできるんだよ?

ただ、家の中が

しっちゃかめっちゃかになるんだ…」

 

「エミリーったら、変わってないのね…

昔から目を離したら何をするか…」

 

「前に魔法省に私と一緒に行った時も

神秘部の中に入って行こうとしてて焦ったな…」

 

「せめて迷子にならないようにしてくれたら…」

 

「…さて、私も出かけようかしら。」

 

「あ、そういえば母上はどこに?」

 

「ちょっと、ホグワーツにね。

じゃあ行ってくるわね。」

 

「え?今なんて…行っちゃった…」

 

「ホグワーツと言ったな…

卒業生が行く用事なんてほとんどないはずだが…」

 

「私たちも出かけよう。

フルーパウダーを使うわけにはいかないから

早めに出ておかないとな。車に乗ってくれ。」

 

「「はーい。」」

 

 

車で一時間ほどかけて、

三人はプリベット通りの四番地に到着した。

 

「あそこにバーノンさんがいるよ。」

 

「あ、本当だな。

いいか、二人とも。魔法のことは絶対に

言うんじゃないぞ?『普通』だということを

強調してたからダーズリー氏は

そういうのは嫌うはずだからな。」

 

「大丈夫です、父上。」

 

いくつかを改めて確認している間に

ダーズリー家の前に車が止まった。

 

「お久しぶりです。今日はお呼びいただいて、

本当にありがとうございます。」

 

「いやいや、こちらこそ。

前に聞いた話では家はかなり遠いそうで。

それに遠慮なんていりません。

今日は友人として迎えたんですから。」

 

「こんにちは、ダーズリーさん。」

 

「ああ、こんにちは。君たちも来たんだね。

じゃあ、車はそのあたりに止めておいて、

どうぞ、上がってください。」

 

「はい、わかりました。

アミリア、ラウラ。先に降りてなさい。」

 

そう言われて、アミリアとラウラは

車から降りて、バーノンの近くに行った。

 

「君、あー、ラウラと言われてたかね?

目の包帯は取れたようだね。」

 

「あ、はい。あの後すぐに治ったので。」

 

「君たちのお父さんは立派な人だね。

私の妻の妹夫婦とは大違いだよ。」

 

それがハリーの両親を指すのだろうと

思ったアミリアは、少し嫌な顔を

しそうになったが、こらえて話を続けた。

 

「…ああ、そうですか。

そうだ、私とラウラは姉妹とかでなく、

家が隣なんです。ラウラの両親が、

今日は用事で家にいなくなるので、

一緒に来たんですよ。ダールトは私の父です。」

 

「そうだったのかね?確かに、言われてみれば

君たちはあまり似ていないな。」

 

「すいません、お待たせしました。」

 

「ああ、いえいえ、この子たちと少し

話をしていたので。」

 

「そうだったのですか。

あ、ここにあるの、いい車ですね。」

 

ダールトは、ダーズリー家の前に止まっている

車を見て、それが新しいものだと気付いた。

 

「おお、わかりますか?

我が社の新しい社用車ですよ。」

 

「これがですか…最新でしたよね?」

 

「ええ、そうですとも!

よく知っていますね。」

 

「私も車には興味がありまして。

とはいえ、私のはそこまで

いいものでもありませんが…

っと、ここで話していたら

子供たちが退屈しますね。

お邪魔してもいいですか?」

 

「ああ、そうですね。ではどうぞ。

今日は息子も妻も用事で出かけておりまして、

誰もいないので何も

おもてなしをあまりできませんが…」

 

「いえいえ、気にしないでください。

では、お邪魔します。」

 

「「お邪魔します。」」

 

そうして、全員で家に上がり、

三人は居間に向かい入れられた。

 

ガタガタ…ホーホー

 

その時、上から何かが揺れる音と、

フクロウの鳴き声が聞こえてきた。

 

「あー…少々お待ちください…」

 

そう言って、バーノンは焦りながら

廊下に出て階段をあがっていった。

 

「…もしかしなくてもヘドウィグだよね?」

 

「ああ…そうだろうなぁ…」

 

「本当にずいぶんとハリーのことを

嫌ってるようだな。リリーか…

いや、ジェームズかな。原因は…」

 

「誰?」

 

「ああ、ハリーの両親のことだ。

まあ、同学年ぐらいだったし、

悪い意味でも有名だったからな。」

 

「悪い意味?」

 

「ダールトさん、どういうことなの?」

 

「フレッド君とジョージ君より

さらに上のイタズラっ子といえばわかるかな?」

 

「うわぁ…それは…」

 

「ん…ダーズリーさんが降りてきたようだ。

この話は一旦終わりにしよう。」

 

「申し訳ありません、ただのフクロウです。

いつもは部屋に置いているのですが…」

 

ホー!

 

ダメダヨヘドウィグ!

 

「…誰の声ですか?」

 

「え〜…甥っ子なのですが、

少々情緒不安定で…二階で静かに

してるように言っておいたのですが…」

 

「あの、バーノンさん。

会いに行ってはダメですか?」

 

アミリアはかなり無理があるとは思いながらも

バーノンに尋ねてみた。それを聞いて、

バーノンは怪訝な顔をした。

 

「どうしてだね?」

 

「それは…まあ、なんとなくですが…」

 

「ううむ…やめておいたほうがいいと思うが…」

 

「子供が言うことなのですから

聞いてあげてはどうですか?」

 

「…では、少し待っててください。」

 

そう言って、またバーノンは

二階にドタドタと歩いて行った。

 

「うーん…いるのを知られるのも

いやみたいだね…」

 

「ハリーというよりは魔法そのものかな。」

 

多少疲れた顔をしながら、バーノンが

戻ってきてアミリアとラウラに話しかけた。

 

「君たち、甥っ子に会いに行くのはいいが、

おかしなことを言っても忘れてくれ。

ただの狂言だからね。」

 

「あ、はい、わかりました。」

 

「二階の手前の部屋だ。

おかしなことを言い出したら戻ってくるんだよ。」

 

……………

 

二人はヒソヒソと

話しながら階段を登って行った。

 

「あそこまでハリーの扱いが酷いんだね…」

 

「ああ、本当に毛嫌いしてるみたいだ…

っと、この部屋か。」

 

「 ハリー、驚くかな?」

 

「まあ、すぐにわかるさ。」

 

アミリアはそう言って、

その扉をノックした。

 

「今度は何?叔父さん?」

 

「フクロウを見せてもらいたくてな。」

 

「え?この声って…」

 

その扉はかなり勢いよく開き、

その音を聞いてか、下にいるバーノンが

咳払いをした音が聞こえた。

 

「やっぱりアミ…」

 

「おっと、ハリー。

部屋の中に入ってからだ。私たちとハリーは、

今は初対面ということになってる。

廊下で話してたら不審がられる。」

 

「ということでお邪魔しまーす。」

 

ハリーの返事を待たず、ラウラは

アミリアを引っ張って部屋に入った。

ハリーはあっけにとられながら

扉を閉めて二人に向き直った。

 

「二人ともどうやってここに?」

 

「なぜだか父上とバーノンさんが

意気投合したようでな。」

 

「学期の最後のとき、アミリアのお父さんの

ダールトさんが車で私たちを

迎えに来てくれたんだけど、

その時に同じところで待ってて話してたみたい。」

 

「そうだったんだ…

あ、ラウラ、目は治ったんだね。」

 

「ああ、うん、まあ色々あったけどね。」

 

「それにしても…学校のものがないんだな…

どうしたんだ?」

 

「ああ、叔父さんが階段の下の物置に

入れちゃったんだ。叔父さん、

魔法の『ま』の字を聞くのも嫌なんだ。」

 

「宿題はどうしてるの?

特にスネイプ先生の宿題、出さなかったら

まずいんじゃない?」

 

「宿題は大丈夫だよ。

ほら、ベッドの下に隠してるんだ。

物置から出す機会があってその時に出したんだ。」

 

「よかったな。…ああ、そう言えば

ホグズミードには行けるのか?

あの人がハリーに

サインをくれたらいいのだが…」

 

「一応約束はしてるんだ。

それがうまくいけばサインしてくれるって。」

 

「そうなんだ…あ、そうだ!

私たちからかなり早いけど、ハリーへの

誕生日プレゼントがあったんだよ。」

 

「ああ、そうだったな。少し待ってくれ。」

 

そう言って、アミリアは

手を後ろに回して箱を取り出した。

 

「…あれ?どこから出したの?」

 

「まあ気にするな。

マグル式のただのトリックだよ。」

 

「中は蛙チョコにかぼちゃパイ、

それと選別済みの百味ビーンズだよ!」

 

「魔法界のものやお菓子は

この夏休み中、見てないだろう?」

 

「わぁ…ありがとう、二人とも!」

 

「わかってると思うが

蛙チョコは開けたらすぐに食べるんだぞ?

逃げるからな。」

 

「うん、わかってる。

…そういえば、どうしてずいぶん早く?

手紙と一緒に送ってくれてもよかったのに。」

 

「ああ…ハリーには悪いと思うんだけど

私たち、早めにホグワーツに行かないと

行けなくなったんだ。」

 

「八月の頭ぐらいになると思う。

七月末には忙しくなってると思うからな。

手渡しの方がいいのもあるし、

忙しくて渡せなくても悪いと思ってな。」

 

「そうなんだ…羨ましいや。

僕はまだ一月半はここにいないといけないし…

どうしてホグワーツに?」

 

「言っても大丈夫なのかな?」

 

「…まあハリーなら大丈夫だろう。

信じてくれるだろうと思う。

ハリー、秘密の部屋の事件、覚えているな?」

 

「え、それは覚えてるけど。」

 

「で、ラウラが蛇好きなのも知ってるな?」

 

「ああ、うん。列車の中に

連れ込んだ時もあったね。でも、

どうして秘密の部屋とその話を?

…え?いや、まさか…」

 

「ハリーが何考えてるか

わからないけどだいたいあってるかもね…」

 

「バジリスクを助けたいと思ったらしくてな…」

 

「バジリスク…助けたい?」

 

「えっとね…」

 

……………

 

ラウラとアミリアは、

すべての事情をハリーに話した。

 

「そんなことが…

どうして僕たちにも言ってくれなかったの?」

 

「危険だと思ったから巻き込みたくないと思って…

家に帰って話したらお母さんに怒られたよ。」

 

「でも、言われてみれば納得したよ。

僕が一番奥に行った時にリドルがバジリスクを

呼んだけど少し焦ってたもの。」

 

「まあ、理性が抜け落ちてるからな。

出てきてすぐに暴れだしただろう?」

 

「うん。リドルが命令したら

おとなしくなって僕に向かってきたけど。

それに、今思えばラウラの

石になり方も他の人と違ったのは

そういうことだったんだね。」

 

「私は少しずつ石になっていったからね。

だから眠ってる感じで…

…というか眠ったまま石になったんだよ。」

 

「様子が他の人と違うの、アミリアなら

気がつきそうだけど。」

 

「ああ…うん、あの時は

ラウラが石になったという事実が

ショックすぎてな…まともに見れなかった。」

 

「あ、それでね?

その人間になったバジリスク…

アイギスって名前で私の妹ってことに

なったんだけど、その子が

学校で私たちと一緒にいたいから

生徒になって勉強するって決めたの。」

 

「校長が、勉強についてこれるなら

三年生として編入ということにしてもいいと

許してくれたからな。試験でもするんだろう。

ただ、先生たちは

夏休みも忙しいみたいだし私たちが

教えるにしても学校の外では魔法を使えない。

だから、早めに学校で補習をするんだ。」

 

「本当はこの話は内緒だけどね。

言っても信じてくれる人は

あんまりいないだろうし。

ハリーなら、おかしくなったバジリスクの様子も

見ただろうから話しても大丈夫だと思ったけど。」

 

「僕も一緒に行きたいけど、

許してはくれないんだろうな。

うん、頑張ってね。ああ、そうだアミリア。

よかったら縮み薬のレポート、

見てくれないかな?

ちゃんと出来てるか不安なんだ。」

 

「ああ、大丈夫だ。」

 

「あ、ヘドウィグー、元気だった?

運動不足になったりしてない?」

 

「ホー!」

 

「…ラウラも見ておいたらどうだ?

ラウラのレポートは支離滅裂で

何を書いてるかわからないんだから

色々な人のものを見ておくべきだろう?」

 

「…勉強、したくないもん…」

 

「自分の立場をなんだと思ってるんだ…」

 

……………

 

「アミリア、ラウラ、帰るぞー!」

 

一時間ほど過ぎた頃、ダールトが

一階から二人を呼んできた。

 

「ああ、もう時間みたいだね。」

 

「できれば僕、ダールトって人を

見てみたかったな。

すごい魔法使いみたいだからね。」

 

「ああ、素晴らしい魔法使いさ。」

 

「一番憧れてる人だからね。アミリアにとって。

アミリアが絶対に出さない本気を出しても

まだなんとかできるぐらいだと思うよ。」

 

そのラウラの答えに、

アミリアの顔が強張った。

 

「…ラウラ。」

 

「ああ…ごめん。」

 

「とにかく、ハリー。

いい夏休みであることを祈ってる。」

 

「うん、ありがとう。

えっと、アイギス、だったよね。

その子が試験に通るの、応援してる。」

 

「じゃあハリー、また新学期に!」

 

そうして、アミリアとラウラは部屋から出て、

階段を降りて行った。

 

「あー、甥っ子が

おかしなことを言ってなかったかね?」

 

「いえ、特に何も。」

 

「うん、静かにしてました。」

 

その言葉に、バーノンはホッとため息を吐き、

それからダールトに向き合った。

 

「今日は来てくれてありがとう。

今度、予定がつけばゴルフでもどうですかな?」

 

「あー…申し訳ないのですが

ゴルフはやったことがなくて…」

 

「何、私が教えてあげますよ。

これでもなかなか得意でしてな。」

 

「そうですか。では、時間の都合が

ついたときには是非。」

 

「ええ、ええ。

それでは、また今度。」

 

「「「お邪魔しました。」」」

 

そうして、三人は家から出て、車に歩いて行った。

 

「あ…アミリア。」

 

「ん?…ああ。」

 

家の方を振り向いたラウラは、

ハリーが手を振ってるのに気づいて、

アミリアを呼んだ。

ラウラは手を振ろうとしたが、

それはまずいとアミリアに止められ、

二人はハリーを見て、頷くだけでとめておき、

そして車に乗り込んだ。




「ということで私の目が
一旦元に戻ったよ。」

「コンタクトが外れたら逆戻りじゃがな。
それに毎日付け替えんと
目に悪いからちゃんと変えるんじゃぞ。」

「アイギスは大丈夫なのか?
コンタクトを使わなくて。」

「妾の目は普通の人間の目じゃよ。
バジリスクだった時の名残は残滓程度じゃ。
せいぜいが雰囲気的なのを出せる程度かの。」

「まあ、それがなければ私は
アラゴグの一件でまずかったから
それには感謝しているがな。」

「ところで、今回妾の出番が
少ないんじゃが?」

「主人公が三人ってことになったから
一人一人の出番が少なくなるかもね…」

「しかも私とラウラは
初めから出てたがアイギスは…」

「…それ以上言わんでくれ…
少し悲しくなってきたのじゃ…」

「ところで買い物はできたんだろうな?
エミリーさんもついていったが…」

「あー…それは次回じゃ。」

「…なんで言いにくそうなの…」

「まあ、とりあえず今回はこの辺りで。
本編が長くなってしまったしな。」

「ネタ切れというのは内緒じゃ。」

「シー!言っちゃダメだよ!」

「お前たち…」

「ああ、すまんすまん。」

「「「見てくれてありがとうございました!
次回もお楽しみに!」」」

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