ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

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映画や原作では嫌なところしか
なかなか見れなかったあの人も、
地位だとか、その辺りを考えると、
割と社交性はあると思うんですよね…


名前

ホグワーツでは大きな宴が催されていた。

時間は真夜中であったが、

全ての生徒は事件の収束を知り、

眠気まなこで喜んで参加していた。

その大広間のとある机に、他のところよりも

たくさんの料理が置かれている所があった。

 

「ラウラ、私の勧めるものが食べられないのか?」

 

「いや…もう無理…お腹いっぱいだよ…」

 

「むう…仕方ないな…」

 

その場所にいたのはアミリアだった。

いつもたくさんの料理を食べるアミリアの前に、

城で働く屋敷しもべ妖精たちが

気を利かせたのか、特に多くの料理を

そこに置いたからだ。

ラウラは、隣に座っている嬉しそうなアミリアが

勧めてくる料理を断れず、初めは料理を

食べていたが、さすがに食べれなくなった。

 

「ところでアミリア、

あの子にも料理を持って行ってあげない?」ヒソヒソ

 

静かに尋ねたラウラの言葉に、

アミリアはハッとした顔をした。

 

「そうだった!私としたことが、

絶対に料理のことを教えないと!

人の世界に生きていくなら絶対に知ってないと

いけないものだからな!」

 

「ちょ、アミリア!静かに!」ヒソヒソ!

 

「ああ、すまないな。だが

周りがこんなに騒がしいのだから

誰かが意味不明なことを言っていても

空耳だと思われるだろうし大丈夫だろう?

それに、あの子といってもリューナクとか

ルニルのことだと思うだろうしな。」

 

「まあ…確かにそうかも…

でもアミリア、料理ってそんなに重よ…」

 

「ラウラ、何を言っているんだ?

料理こそ、人間がつくったもののなかで

もっとも素晴らしいものなのだ。

いいか?そもそも、料理というのはだな…」

 

「…うわ、こりゃまずいや…どうしよ…

ハリー、ロン!さっきから

目をそらさないでよ!」

 

アミリアから一つ席を離して

ハリーとロンも座っていたが、

アミリアに巻き込まれたくはなかった

二人は目を合わせないようにしていた。

 

「ああ、ここにいたのね、みんな…

アミリア、何やってるの?」

 

「…であって人類は火を使い始め…

ん?ハーマイオニー!

よかった、元に戻れたんだな。」

 

「あ、ハーマイオニー、久しぶり!

…うーん、やっぱりもう猫じゃないのかぁ…

もふもふしてるし可愛かったんだけどなぁ。」

 

「ラウラも元に戻れたのね…よかったわ。

…あの姿を見て抱きついたのはラウラだけよ。

そもそもあまり見せたくなかったし…それで

その目はどうしたの?包帯を巻いてるけど。」

 

「僕たちにも教えてくれないんだ。」

 

「二人で話してたっていってたから、

アミリアも絶対に何か知ってると思うんだけど…」

 

「…まあ、いろいろあってな。」

 

「この調子だよ。まあ、

体調とかは普通みたいだからいいけど。」

 

「ああ、そういえば聞いたわよ。

あなたたちが事件を解決したんですって?

それに、三人に特別功労賞が授与されるって…」

 

「三人に?」

 

「ああ、アミリアもだよ。

あの時寮に帰ってたみたいだから

まだ聞いてなかった?」

 

「それは初耳だな…私はあまり

何もできなかったと思うが。」

 

「そんなことないよ。僕が帰ってくる

道を開いてくれてたじゃないか。

それからハーマイオニーにも

あげていいと思うけどね。

ハーマイオニーのメモが無かったら

きっとわからなかったから。」

 

「…何もしてなかったのって私だけなの…」

 

「ま、まあラウラはクリスマスには

石にされちゃったから仕方ないわよ。」

 

「そ、そうだぞ。あれは仕方ない。」

 

しょんぼりするラウラをアミリアや

ハーマイオニーが慰めていると、

目の前の料理が消えた。

 

「皆、少し聞いてほしい。美味しい料理を食べて、

幸せな気分になったことと思う。

友達が帰ってきて喜んだ子もおったじゃろう。

さて、少し聞いてほしい。

今年起こった悲しい事件のことは

もう噂になっておるとは思うが、

ロックハート先生と数人の生徒により解決された。

先生はこの件で記憶を失ったため、

聖マンゴ魔法疾患障害病院に

入院することとなった。

また、その生徒たち、ハリー・ポッター、

ロナルド・ウィーズリー、アミリア・フラムには

その活躍を讃え、ホグワーツ特別功労賞を授与し、

それぞれ150点を与える。」

 

大広間中がグリフィンドール生の

喜びの声に包まれ、拍手が巻き起こった。

 

「わしからも礼を言いたい。

それから今回の事件のこともあるので、

お祝いの意味も込め、

定期試験は取りやめとする。」

 

その言葉に、ほとんどの生徒が

安心からくる喜びの声をあげた。

 

「ええ⁉︎そんなぁ…」

 

「ハーマイオニーも石になってたなら

勉強はあまりできてなかったんじゃないの…?」

 

「さて、それともう一つ、今この学校には

森番がおらん。しかし、新しい森番を

紹介したいのじゃがなぜか遅れておるようで…」

 

その時、大きな音とともに大広間の扉が開いた。

そして、そこからのしのしと大男が入ってきた。

 

「遅れてすまねぇ。

手紙を届けに来たフクロウが途中で

へばっちまったみたいで…

エロールっちゅうフクロウだが…」

 

その時ロンは苦々しい顔をしていた。

 

(僕のとこのフクロウじゃないか…)

 

「では改めて新しい森番を紹介しよう。

…ハグリッドじゃ。」

 

そのダンブルドアの紹介とともに、

大広間にいた多くの生徒たちが歓声とともに

ハグリッドのところに走って行った。

グリフィンドール生をはじめとして、

スリザリンの生徒も何人かその中に入っていた。

 

 

「は〜、それにしても、

今年もすぐに終わったね〜。」

 

「ラウラが余計にそう思うだけだろう。

実質、半年ぐらいしか

学校で過ごしてないのだから。」

 

宴から数日、何事もなく過ぎ去り、

彼女たちの第二学年は終わり、

すでに荷物を持って列車の中で座っていた。

 

「 今年はハリーたちと一緒には座れなかったね。」

 

「まあ、もともとちょうどぐらいの

席しかないのだから仕方ないさ。」

 

【もう出ても大丈夫かの?】

 

「まあ、こっちのこともあるから

今回は好都合だけどね。とりあえずもう

列車も走り出したから、人も来ないだろうし

このコンパートメント、締め切っておこうか。」

 

「ああ、そうだな。

…よし、これでいいな。もう出てきてもいいぞ。

ただし外から目につくところに行くなよ?」

 

【わかっとる。

ふぅ、やはりこの姿は疲れるの…

本来なら逆のはずなのじゃが…】

 

「そうは言っても仕方ないだろう?

こんなところで人の姿になったら、

かなりの騒ぎになるだろうからな。」

 

【それはわかっておるが…】

 

「あれ?そういえば蛇の時でも

人間の言葉わかるんだね?」

 

【まあ、妾は人間になっとるようだし、

当たり前といえばそうじゃろう?】

 

「うーん、そんなもの?」

 

「そもそも彼女をこんなややこしいことに

したのはラウラだからな。」

 

「あー…まあそうなるけど…

でも、私にもどうしてこうなったのか…」

 

【妾が頼んだことでもあるから

文句は言わんが、確かに不思議じゃな。】

 

「そういえば、どうしてついてくることにしたの?

学校でいてもよかったんだよ?」

 

【妾はラウラといたかったからの。

恩返しもしたいと思っておるし…】

 

「別に気にしなくてもいいのに。

私も友達が増えてうれしいしね。」

 

「それで…あー…やはり名前がないと

呼びづらいな…本人はわからないらしいし…」

 

「もういっそのこと、ここで決めちゃう?」

 

「まあ、早いに越したことはないと思うが…

しかし私には名前などつけれないぞ?

知っての通りだが。」

 

「ああ…そういえばひどかったね…

結局ルニルも私が名前をつけたんだっけ。」

 

「ニャ〜…」

 

「リューナクもだね。大丈夫、忘れてないよ。」

 

【ではラウラが決めてくれるのかの?】

 

「まあ私が決めると言っても

だいたいはなんとなくだけどね…」

 

……………

 

それから三十分、一時間と経っていったが、

ラウラはなかなか決めきれずに、

ずっとうなっていた。

 

「どうだ?決まりそうか?」

 

「うーん、だいたいまとまってきたかな…」

 

【なんとなくと言っとらんかったかの…?

どうしてそれで考えをまとめておるのじゃ?】

 

「ラウラの思考回路は微妙にずれてる

ところがあるからな。まあ、

人それぞれどこか違うところはあるわけだが。」

 

【ああ、アミリアは食事に対する

思考回路がずれたんじゃな。

あの時は食べ過ぎで苦しかったのじゃ…】

 

「あ、いや……そうかもしれないが…」

 

「よし、思いついたよ!今日から

あなたの名前はアイギス!これで決定!」

 

「アイギス…神話の盾からか?」

 

「そういえばそんなのあったような気がするね。

かぶったちゃったのは偶然だけど、

神話に出てくる名前と同じって

カッコいいしいいんじゃない?」

 

「今思えばラウラが名前をつけるときは

だいたい神話の名前になってる気がしてきたぞ。」

 

「偶然だよ。そう、偶然。」

 

【アイギス…妾の名前…

ふふ、良い名じゃな。うん、では

今日から妾はアイギスじゃ。】

 

「うん、よろしくね、アイギス!」

 

その時、アミリアはあることに気がついた。

 

「…あ、名前が決まったのはいいが

アイギスはどうやって過ごすんだ?

ずっと蛇のままでいるのが苦しいなら

森で過ごすのも無理だろう?

マグルに見つかって保護でもされたら

面倒なことになる。」

 

【む…確かに。妾は森で過ごしたことも

ないから勝手もわからん…ラウラと一緒に

いたくてついてきたはいいのじゃが…】

 

「もう私と住んじゃえば?」

 

「【⁉︎」】

 

「いや、ちょっと待てラウラ!

そもそもアイギスのことをどう説明するんだ⁉︎

一緒に住むと言っても、

ランディさんとエミリーさんの

許可を取らないといけないだろう?」

 

「お父さんとお母さんなら

大丈夫だって。許してくれるよ。」

 

【妾は犬や猫ではないし蛇としても

過ごせないのじゃぞ?人として住むなら

しっかりと話をしなければ…】

 

「うーん…でもお母さんだしなぁ…

二つ返事でオッケーを

出してくれそうな気がして…」

 

「いや…ああ、うん…まあ確かに…」

 

【ラウラの母はそれで大丈夫なのかの…?】

 

「どうだろ…まあ困るのは私たちだけだから…」

 

【…苦労しておるの…】

 

コンコン、シャナイハンバイハイカガ?

 

そうして話していると、通路に

車内販売のカートが止まっていて、

それを売っているおばさんがドアを叩いていた。

 

「とりあえず、この辺りにしておこうか。

もう少しで駅に着くだろうし、

後で話し合ってもいいだろう。」

 

【ではまた隠れされて貰おう。頼むぞ、ラウラ。】

 

「ああ、はいはい。」

 

「かぼちゃパイ3つに百味ビーンズ一箱、

蛙チョコ5個下さい。」

 

「あら、お嬢ちゃん、そんなに買っても大丈夫?

あと一時間しないうちに着くわよ?」

 

「大丈夫ですよ。多分すぐ食べますし…」

 

お菓子も美味しいということを

教えなければな…とアミリアは思っていた。

アイギスはなんとなく嫌な予感を感じて、

身震いをしていた。

 

 

「駅に着いたね〜。お父さんたちはいるかな?」

 

「ああ、私の父上が車の中で待ってるらしい。

去年のように人に注目されるのは

嫌だと言っていたからホームには来ないようだ。」

 

【とにかく…早くしてくれんか…

もうしんどいのじゃ…】

 

「アイギスが軽くやばいことに

なってるから急ごっか。」

 

「ああ、そうだな…」

 

そうして、二人は9と4分の3番線から出て、

さらにキングスクロス駅から出た。

そこには何台か車が止まっていて、

二人にとっては見慣れた車もあった。

 

「あ、ダールトさんの車、あれだね。」

 

「ん?父上は誰と話しているんだ?」

 

ダールトは、太った一人の男と話をしていた。

 

「いや、すごいですね。

私は何せ下っ端なので色々な所にも

命令されればどこにでも行かなければ…

それにしてもこんなところでグランニングズ社の

社長と出会えるとは、貴重な経験です。」

 

「なに、私も少々機嫌が悪かったのですが、

あなたとお話しできて少し晴れましたよ。

それに、私も苦労して今の地位になったのです。

あなたも粘り強く努力をしていれば

きっとそのうち大成できますよ。」

 

「はは、ありがとうございます。」

 

「父上、この方は?」

 

「…おっと、待っていた子たちが

帰ってきたようですね。

この方はグランニングズ社の社長だよ。」

 

「わぁ、すごいなぁ。どうして?ダールトさん。」

 

「同じところで待ってたんだよ。

こちらも待ち合わせのようだからね。

ん?ラウラ、その目はどうしたんだ?」

 

「あー、まあ色々あって…」

 

「そうか?まあ、帰ってから聞かせてもらうが…

では、失礼します。ご縁があればまた…」

 

「失礼します。」

 

「さようなら。」

 

その太った男は笑顔で手を振り、

三人を見送った。別れを告げた三人は、

そのまま荷物を載せ、ダールトの車に乗り込んだ。

 

「なんだか偶然だなぁ。

この時間に待ち合わせってことは

もしかしたら私たちと同じかもしれないね。」

 

「ああ、そうかも知れないなぁ。

しかし、いい人だったよ。

かなり模範的な人だと思ったな。」

 

「社長になのだからそれ相応のマナーは

持っているということだろうが…しかし…」

 

「どうしたの?アミリア。」

 

「いや、グランニングズ社の社長の名前は

確かバーノン・ダーズリーだったかと思ってな…」

 

「それってハリーの家の?

でも、嫌な感じは全然しなかったね。」

 

「もしかしたら魔法使いが

嫌いなのかも知れないな。ハリーの両親のことを

悪く言っていたとか言ってたしな。」

 

【のう…少しいいかの…】

 

ダールトは、そのシューシューという音を、

バスの音と勘違いした。

話しかけてきたアイギスに、

ラウラは静かに尋ねた。

 

「いったいどうしたの?

あまり話されるとここじゃ…」

 

【すまぬ…もう限界なのじゃ…】

 

「うわわっ!」

 

その言葉とともに、アイギスの姿は蛇から

人の姿になった。ラウラは突然

変化してしまったアイギスを抱きかかえるような

姿勢になった。アイギスはぐったりしていた。

 

「そ、その子は誰だ?」

 

大声を出したラウラの様子をバックミラーで見て

確認したダールトは、突然現れた

アイギスの姿を見て驚いた。

 

「あぅ…えっと、どう説明すれば…」

 

「あー…すいませんが父上。ひとまず、

家まで連れて行ってもらってもいいですか?」

 

「あ、ああ、まあ大丈夫だが…」

 

「ねぇ、アミリア、どうしよう…」

 

「一緒に暮らしたいなら

遅かれ早かれ言わなければならないだろう…

ちゃんと説明するべきだろうな…

その目のこともあるしな…」




「ラウラ、石から戻った日から
列車で帰る日までマダム・ポンフリーに
その目のことは聞かれなかったのか?」

「聞かれはしたけどなんとかごまかしたよ。」

「よくごまかせたな…
いったいどうやったんだ?」

「ええっと…恥ずかしいから
あんまり言いたくないんだけど…」

「本当になにをしたんだ?」

「…まあいいっか…」



「ブライトフォード! あなた
その目はどうしたのですか!」

「あっ、えっと、これは…」

「早く医務室に来て見せなさい!」

「いや、でも…」

「でもも何もありません!」

「…くっ、私の右目が…」

「…はい?」

「早く離れてください!私の右目の力が…!」

「………」

「………」

「…はぁ、人騒がせな…まったく…
そういうことは遊ぶときだけにしなさい!」



「…って感じでごまかしたんだ…」

「…うん、なんか…聞いて悪かった…
聞いてしまってなんだがかなり痛い…」

「う…だからあんまり言いたく
なかったんだよね…」

「ま、まあ魔法使いなんてのを
やってる時点でそもそもあれだしな。
あまり気にするな…それで落ち込んでるのは
見てていたたまれない…」

「う、うん、わかったよ。
じゃあ今日はこの辺りで。」

「「見てくれてありがとうございました!
次回も楽しみにしてください!」」

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