ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

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今回は異様に長いです。
区切りがいいところが
なかなか見つからなくて…


秘密の部屋

あの森に入った日から数日たって、

変身術の授業に向かっている時に、

ハリーとロンと私は列の後ろの方で相談していた。

 

「やっぱり三階の女子トイレには行けないよ。

僕たちが先生に言っても怒られるだけだし

アミリアがそこに行っても

あのトイレには嘆きのマートルがいるって

先生たちも知ってるから

入るのを見られたらおかしな目で見られるよ…」

 

「しかしマートルに話を聞かなければ…

怪物が殺してしまったのなら

彼女自身は何故死んだかわかるはずだろう。」

 

「僕たち、何度も隣の個室に入ってたことも

あったのに…あの時なら簡単に

聞けたんだけど今じゃなぁ…」

 

たかだか蜘蛛を見つけるだけでも先生がいて

かなりの時間がかかったのに

見つけるだけではなく直接行かないといけない。

それにあそこはミセス・ノリスが石になった

初めの事件の現場のすぐ横なのだから…

 

「…とても無理だな…」

 

せめてそこから犯人の手掛かりだけでも

掴めないかと思うが…

 

……………

 

「この前に書いた範囲が、

来週六月一日から始まる期末試験の範囲です。

全員、しっかりと勉強するように。」

 

変身術の授業が始まって少し経つと、

マクゴナガル先生がテストの話を始めた。

そういえばそんな時期か。

秘密の部屋のことですっかり忘れていたな。

 

「試験?先生、

こんな時にまで試験があるんですか?」

 

「ええ、もちろんですフィネガン。

こんな時でさえ学校を閉鎖しないのは

みなさんが教育を受けるためです。

もちろん復習はなさっていることと思いますが…」

 

復習…している暇はなかったな。

だいたいはラウラのことや秘密の部屋のことを

考えていたからな…

 

「ダンブルドア校長からのお言いつけです。

できるだけ普通にするようにと。

言うまでもないことですが今年一年で

みなさんが学んだことを見せてもらいます。」

 

(…ねぇ…)

 

(…?どうした、ロン。)

 

(…あ、そういえば…)

 

(うん…僕の杖、こんななのに

魔法を使えると思うかい…?)プスプス…シュ〜…

 

((…))

 

あー…まあ、これは無理だろうが…

 

 

私は試験があってもそこまで困らないのだが、

周りの生徒たちはみんな焦っていたり、

不安がってたりしているようだ。

秘密の部屋のこともあって、学校の中の

雰囲気はかなり悪くなっていた。

しかし、ある日の朝食の時、誰かが淹れてくれた

紅茶を飲んでから目をこすりながら大広間に入ると

マクゴナガル先生の話があり、

その暗い空気は吹き飛んだ。

 

「今日はみなさんにいい知らせがあります。」

 

先生の話を聞こうと静かになるのではなく、

そこかしこから大きな歓声が上がり、

口々に何があったのか予想しあっていた。

まだ眠かった私はこの歓声で頭がガンガンしたが、

先生が言ったことを聞いて、

そんなことは気にならなくなった。

何故ならその知らせは…

 

「スプラウト先生によると

マンドレイクがもうすぐ収穫できるそうです。

今夜には石にされた生徒たちを元に戻す

薬を作ることが作ることができるでしょう。

その生徒たちの中に、もしかしたら犯人や、

何に襲われたのか話せる人がいるかも知れません。

私はこの恐ろしい一年を犯人逮捕で終えることが

できるのではないかと期待しています。」

 

マンドレイクが収穫できる。つまり…

 

「ラウラ…ラウラが戻ってくる…!

会えるんだ…!ラウラに…」

 

そうだ、半年ぶりにラウラと過ごせる…

私にとって当たり前だった日が戻ってくるんだ…

ん…その前に何をしたのか…

聞かなければならないか…?

…いや、そんなことよりも

元に戻ったのならその時は最初に…

 

「…うん、当たり前のことだがそれが一番だな。」

 

 

「全く、こんなことをしても

意味はないはずなんですが…」

 

今、私の先には髪がボサボサでやつれた

ロックハートが、ぶつぶつと

愚痴を言いながら生徒を引率している。

見回りで一晩中起きていたのだろうか。

ロックハートからすれば、犯人のハグリッドが

捕まったのに、どうしてこんなことをしなければ

ならないのかわからないと思っているのだろう。

…ハグリッドは魔法省への圧力のせいで

一旦連れて行かれてしまっただけだと、

ダンブルドア校長のことだからある程度は

先生方に説明したとは思うのだが…

…いや、裏の事情はあまり話せないか?

 

(アミリア、ロックハートなら

なんとかすればここから離れられると思うよ。)

 

(ハリー?)

 

何をするつもりだ?

 

「確かにその通りだと思います。」

 

え?…ああ、そういうことか。

私も便乗したほうがいいかな。

 

「どうも、ハリー。」

 

「先生方はしなければならないことも

たくさんあると思いますが?」

 

「ああ、ミス・フラム。その通りですとも。」

 

「先生、引率はここまでにしてはいかがですか?

あと一つ廊下を渡るだけですから。」

 

「ウィーズリー君、私も

そうしようと思っていましたよ。

戻って次の授業の準備をしなくてはね。」

 

…それでいいのかロックハート…

いや、私たちからすれば助かるが…

 

「授業の準備だってさ。

どうせ髪をカールしに

行ったとかそんなとこだろ。」

 

「…行くのか?」

 

「うん、このチャンスを逃すと

もう聞きに行けないだろうからね。」

 

「そうだな。じゃ、行こうか。」

 

……………

 

「いやぁ、それにしてもうまくいったなぁ。」

 

「ああ。ロックハートが少々アレだったのも

あるとは思うが、よく思いついたな。」

 

「ポッター!ウィーズリー!フラム!

あなたたちはこんなところで

何をしているのですか?」

 

しまった…

マクゴナガル先生に見つかってしまった…

 

「せ、先生、僕たち…僕たち…」

 

…どうすればいい…マクゴナガル先生のことだから

何か言わないと罰則になるだろうし…

 

「僕たち…様子を見に…」

 

…そうだ!

 

「「ハー『ラ』イオ『ラ』ーの」」

 

「あー…なんと言いましたか?ポッターは?」

 

「ハーマイオニーの様子を見に行きたくて…」

 

「フラム?」

 

「私はラウラにです…」

 

「もう僕たち、長い間様子を見に行けてません。」

 

「マンドレイクがもうすぐできると

話しかけに行こうと思って…」

 

…許してくれるだろうか…

まだ安全でないのに抜け出したのは事実だし…

 

「……なるほど…ええ、そうでしょう…

そうでしょうとも…襲われた人の友人が

一番辛い思いをしてきたでしょう…

特にフラムは、

最初のころは見ることもできなかった

そうですから…よくわかりました。

もちろんいいですとも。二人へのお見舞いを

許可しましょう…ビンズ先生には私から

あなたたちの欠席のことは伝えておきます。

マダム・ポンフリーには

私から許可が出たと言いなさい。」

 

…許してくれた上にお見舞いの

許可も出してくれるとは…

もう行ってしまったが…

 

「…ありがとうございます、先生。」

 

次に話す機会があれば

改めてお礼を言いに行こうかな…

 

「それにしてもうまい作り話だったなぁ。

ハリー、あれは君の作り話の中で

最高傑作だったぜ。アミリアは本気だろうけど。」

 

「ああ、会いに行きたいのは本当だ。

…結局、ほとんど会えてないからな…」

 

「じゃあはじめに医務室に行こう。

先生が話すはずだから

行ってないとおかしいと思われるし、

ハーマイオニーが心配なのもあるからね。」

 

……………

 

「…まったく、石になった人に

話しかけても何にもならないでしょうに…」

 

事情を話すと、マダム・ポンフリーは

渋々だが医務室に入れてくれた。

ハリーとロンはハーマイオニーのところに行き、

私はラウラのベッドの横に座った。

 

「もう少しで戻れるよ…安心してくれ。

…なぁ、ラウラ。…教えてくれるんだな…?

何をしてそうなってしまったかを…」

 

しばらくラウラの横で声をかけた。

ラウラは相変わらず穏やかな寝顔で寝ている。

石になっていると言われなければ、

ただのんきに寝てるように見えるぐらいだ。

 

「…本当に…

のんきに寝てるだけならいいのに……」

 

「アミリア、アミリア!」

 

「え?なんだ?ハリー。」

 

「見て!この紙!ハーマイオニーが

手に握ってたんだ!」

 

これは…バジリスク…?

 

「確かに私もそいつが怪物である

可能性は予測した…パーセルマウスの

私たちには声も聞こえたからな。

だが、バジリスクは

目を見ればそれだけで死んでしまう。

石になるというのはおかしいだろう?」

 

「それは…そうだ、きっと直接見てないからだ!

コリンはカメラを通して見てたみたいだし

ジャスティンは近くにいたほとんど首なしニックを

通して見たんだ。ニックは直接見たけど、

ゴーストだから二度は死ねない。

ハーマイオニーとレイブンクローの監督生は…

近くに鏡が落ちてた。ハーマイオニーが、

きっと正体に気づいて、曲がり角では

鏡で初めに見るように警告したんだよ。」

 

「…直接見なければ死なないか…!」

 

私はなんて固い考え方をしてしまっていたんだ…

イレギュラーが入ってしまっている場合を

まったく考えていなかったなんて…!

 

「ミセス・ノリスは?猫は鏡も持てないよね?」

 

「…水だ…あの時、あのトイレから水が溢れてた。

ミセス・ノリスは水に映った姿をみたんだ。

それに見て、ここの文章。」

 

これは…バジリスクの生態か。

小さな時に読んだ記憶はあるがほとんど

忘れてしまっていたな…

 

「『致命的なのは雄鶏が時をつくる声』、

ハグリッドの雄鶏が殺された!秘密の部屋が

開かれたから、継承者は雄鶏がいたら都合が悪い。

『蜘蛛が逃げるのは前触れ』全部ピッタリだ!」

 

「だけど、バジリスクはどうやって城の中を

動き回ってるんだろう?」

 

「…!そうか、パイプだ!」

 

「うん、ハーマイオニーもそう思ったみたいだ。

それに、今思えば声も配管から聞こえてきてた。」

 

「そうだ、この学校には異様にパイプが

多いと聞いていたんだったな…

今になって思えばどうして死者が出ていないだけで

バジリスクを除外したんだ…!」

 

言ったところでどうにもならないから

声には出さないが、どうして

魔法界にはこんなに危険な生物が多いのだ…

危険性だけ聞いても特定するのは一苦労

どころではすまないな…

 

「聞いてたって?」

 

「去年、クィレルの動向を調べるのに、

友達の蛇に手伝ってもらっていた…

ほら、列車の中で見ただろう?

元の場所に戻す魔法はラウラが使えるが、

あれはいかんせん使いにくくてな…

どうしてあんな魔法になったのか…いや、

その話は置いておくが、結局戻せなくなったから

学校で過ごす間、隠れてもらっていたんだ。

その時に配管で隠れてもらうことが

多かったんだが、この城の大きさで

考えたとしても、間違いなく余分に

張り巡らせていると思うほどパイプが

多かったらしい…」

 

「そうだったんだ…」

 

「…そうだ、もしかしたら!」

 

「ロン?」

 

いったいどうしたんだ?

 

「もし…もし入り口がトイレの中だったら?」

 

「…!嘆きのマートルのトイレだったら!」

 

…!そうか。確かにトイレなんて配管が

たくさんある。それにマートルはそこで

死んだなら急に出てきたバジリスクを

見て死んでしまったのかも…

 

「…この学校で蛇語を話せるのは

僕らだけじゃないはずだ。継承者も話せる。

それで、バジリスクを操ってきたんだ。」

 

「これからどうする?何者かがわかったんだから

すぐにマクゴナガルのところに行こうか?」

 

「…ううん、職員室に行こう。

あと10分で戻るはずだ。休憩時間になる。」

 

 

「ううん…まだ授業は終わらないのかな…」

 

「確かにもう10分は経っているはずだ。

いったいどうしたんだ?」

 

医務室から出て、そのまま職員室まで来たが、

いつまでたっても終わりのベルが鳴らない…

いったい何が…?

 

『生徒は全員それぞれの寮にすぐ戻りなさい。

教員は全員、職員室に大至急お集まりください。』

 

「…?今のはマクゴナガル先生の…」

 

「また襲われたのか?今になって?

…どうしよう。寮に戻ろうか?」

 

「いや、何が起こったのか聞こう。

場合によっては僕たちの

知ってることを知らせないと。」

 

「…何が起きたか、知ってて損はないだろう。

…あの洋服掛けに隠れていよう。マントが

たくさん掛けてあるから隠れやすいだろう。」

 

 

………入ってきたな。…表情から見るに、

とんでもないことが起きたようだな…

 

「とうとう起こりました…」

 

マクゴナガル先生か…

 

「生徒が一人、秘密の部屋の中そのものに

連れ去られました…」

 

なっ…

 

「…なぜそんなにはっきりと言えるのですかな?」

 

「継承者がまた伝言を残しました。

『彼女の白骨は永遠に秘密の部屋に

横たわるだろう』と、最初の文字の下に…」

 

「それで、誰が連れ去られて?」

 

「ジニー・ウィーズリーです…」

 

(…!ロン、しっかりしろ!)

 

こんなところで倒れられたら気づかれる。

 

(気持ちはわかるが耐えてくれ…)

 

「これでホグワーツは終わりです…

明日には生徒を全員列車で

返さなければなりません。」

 

ガチャ、キィ…バタン…

 

「すいません、ついウトウトしてまして…

何か聞き逃しましたか?」

 

ロックハート…くそッ!

こんな時にまでニコニコと…!

 

(アミリア、落ち着いて!)

 

「なんと、適任者が…まさに適任だ。

ロックハート、女子生徒が秘密の部屋に

拉致された…いよいよ

あなたの出番が来ましたぞ。」

 

「わ、私?」

 

「その通りだわ、ギルデロイ。

確か、昨夜秘密の部屋の入り口は

とっくに知っているとおっしゃってましたよね?」

 

「私は…あー、その、私は…」

 

「そうですとも、部屋の中に

何がいるか知ってるとも言っていたでは

ありませんか!」

 

「い、言いましたか?フリットウィック先生、

私が?覚えてませんが…」

 

「それはいい…では、お任せしても

よろしいですかな?」

 

「ええ、今夜こそ、絶好のチャンスでしょう。

誰にも邪魔はさせませんとも。

いつか言っていましたね。自分の好きなように

やらせてくれればすぐにでも解決できると。

お望み通り、お好きなように…」

 

「…わ、わかりました。では、

部屋に戻って…支度してきます。」ガチャ、バタン

 

「…これで厄介払いができました。

寮監の先生は生徒にこのことを説明して、

帰る支度をさせてください。

明日の朝一番に列車で生徒たちを送ります。」

 

ロックハートなどに任せてもいいのか…?

…先生たちは出て行ったか。

 

「…大丈夫か?ロン。」

 

「うん…でも、ジニーが…」

 

「…寮に戻ろう。先生よりも

先に寮に戻ってないと。」

 

 

マクゴナガル先生が前で説明している時、

ロンは俯いたままだった。

もちろん、フレッドとジョージもだ。

パーシーは先生からの説明が監督生にあるのか、

寮の中にはいなかったが。

 

「ラウラは石になって倒れてたから

偶然見ちゃっただけなのかもしれないけど、

うちの家は純血だから普通は連れさられる

理由なんてないはずなのに…」

 

まあ、ラウラはバジリスクを助けようとして

石になったらしいが…

…ん?でもその後も襲われて…いやでも手紙が…

…バジリスクが二匹?いやいや…

あんなの二匹も制御できる魔法使いなんて

いないはずだから…あれ?

 

「…どういうことだ?」

 

「え?何か言った?」

 

「あ、いやなんでもない。」

 

「きっとジニーは秘密の部屋のことを

何かわかってたんだ。ハリーと僕に

今朝話そうとしてたのはパーシーのこと

じゃなくて、そのことだったんだよ。

それ以外に理由がないよ…

…僕たち、ロックハートのとこに

行くべきじゃないかな。僕らの

知ってることを教えれば、

役に立つかもしれない。」

 

「ああ、確かにそれぐらいしかできることは

ないだろうな。ロックハートがいくらあれでも

秘密の部屋を探そうとしているはずだ。」

 

「じゃあ行ってみよう。入り口の場所と

中にいる怪物の正体を教えに行くんだ。

知ってるのと知らないので

ずいぶん変わるはずだ。」

 

 

抜け出すのを咎められることもなく、

私たちは暗くなってきた廊下を歩いて

闇の魔術に対する防衛術の教室奥の、

ロックハート私室の前に着いた。

中からガサガサ、ゴトゴトと音がしているが

準備でもしているのだろうか?

そうでなければ…信じたくはないが。

 

「失礼します、先生!」

 

「あ、あー…何かね、君たち。

私は…そう、少し用事がありまして…」

 

「先生に秘密の部屋のことでお話が…」

 

この部屋の状態は…

二つの大きなトランクに無造作に

放り込まれているローブに本…

写真は机の上の箱の中…

予想は当たっていたか…残念だ。

 

「…ハリー、言っても無駄らしい。

こいつは秘密の部屋を

探しにもいかないだろう。」

 

「な、何を…」

 

「そんな!妹はどうなるんですか!」

 

「そう、そのことは…まったく残念だよ…

誰よりも私が一番残念だと思っている。」

 

「闇の魔術に対する防衛術の先生じゃ…!」

 

「やめておけ。喉が痛くなるだけだ。

どうせ本のことなんてこいつが

やったわけではないだろう。」

 

「それってどういうこと?

あの本はこの人が自分で書いてたんじゃ…」

 

「本は誤解を招く。

ちょっと考えればわかることだ。

私の本があんなに売れるのは私がしたことだと

思うからで、狼男を退治したのが

醜い魔法戦士だったら売れないでしょう?

私が聴き出してそれを本にしていた。

そんなものですよ…」

 

「…どうせそんなことだろうと思っていたよ。」

 

「自分じゃ何にもできないくせに…」

 

「…できるとも…これでも忘却術は大の得意でね。

言いふらされると本が売れなくなりますから。」

 

忘却術…あれは厄介だな…

…ロックハートの杖はあれか。片付けに邪魔だから

机の上に置いたのだろう。取り上げておこう。

アクシオー来いー、ロックハートの杖

…よし。

 

「それじゃあ、先生は他の人の手柄を

横取りしたのですか?」

 

「そんな単純なものではありませんよ。

本にサインしたり写真を撮れば

いいわけではないのです。

…さてと、これで荷物は全部でしょう…

いや、まだですね。まだ残っている。

君たちにも、忘れてもら…?」

 

「どうした?何かお探しで?

例えば、こんなものとか、ね…いい杖だ。

人のものだから馴染みはしないが。」

 

「な、何故それを…私はこの机の上に…

どうして君が…」

 

「そんな細かいこと、どうでもいいだろう?

今の状況を見て質問できる立場だとでも?」

 

大人と子供とはいえ、杖もなければ三対一では

勝てないだろう。普通魔法使いは

だいたいは運動しないからな。クィディッチの

選手なんかはその限りでないだろうが。

 

「私に何をしろというのかね…?

秘密の部屋がどこにあるかも知らない…

私には何もできない。」

 

「運のいい人だ。僕たちはそのありかに

見当がついてる。中に何がいるかも。

さあ、行こう。」

 

「あなたも付いてくるんだ。

拒否権なんてありませんから。」

 

(なぁ、アミリア、どうやったんだい?

呪文なんて唱えてなかっただろ?)

 

(無言呪文を使わせてもらった。

まあ、安定はしないが。)

 

(それって…使えるだけで十分だよ。

どうしてそんなの使えるのさ…)

 

(練習したからな。)

 

 

…あった。例のトイレだ。

あのゴーストが嘆きのマートルか?

 

「あら、あんただったの。今度は何の用?」

 

「君が死んだ時の話を聞きたいんだ。」

 

…表情がキラキラしだしてるぞ。

ゴーストになると価値観が変わるのか?

絶命日パーティーなんてのもあったようだし…

 

「怖かったわ。まさにこの小部屋の中だった。

あの日、オリーブ・ホーンビーが

私の眼鏡のことをからかったから、

ここに隠れたの…鍵をかけて泣いてたら、

誰かが入ってきたのよ。

外国語だったからか何を言ってたのかは

わからなかったけど、喋ってるのが

男子だってのがわかったわ。

だから、ここから出て行ってよ、男子トイレを

使えって言うつもりで鍵を開けて

小部屋から出ると………死んだの。」

 

「どうやって?」

 

「わからない。

覚えてるのは、大きな黄色い目玉が二つ…

体全体ご金縛りにあったみたいになって、

それからふーっと浮いて…」

 

「その目玉、どのあたりで見たの?」

 

「あのあたり。」

 

手洗い台か…

…そうだ、ラウラがここを使ってなかったか

聞いてみよう。何をしたかの

手がかりでもあるかもしれない。

 

「すまない、嘆きのマートル。

少し質問してもいいだろうか?」

 

「あなたは誰?質問って何?」

 

「私はハリーたちの友達のアミリアと言うんだ。

質問というのは、クリスマスの次の日…だったか。

その夜中に、このトイレに白い髪の

女子がいなかったか?」

 

「いいえ、いなかったわ。

確か声も聞かなかったはずよ。」

 

「そうか…すまない、助かった。」

 

ラウラは秘密の部屋には入らなかったのか?

…そういえば倒れていたところも

ここからずいぶん離れていたか…

 

ゴゴゴ…

 

ん、なんだ?

手洗い台が浮いている?

 

「ハリー、ロン!見つかったのか?」

 

「うん。ここだよ。

…僕はここを降りていく。」

 

「僕も行くよ。…ジニー、無事でいてくれ…」

 

「私も行くぞ。

ジニーがいないとラウラも悲しむ。」

 

「……私は、もう必要ありませんね!」

 

「待て。ロックハート、先に降りるんだ。」

 

「そ、そんなことをして何の役に立つ?」

 

「下見だよ。」

 

「ああ…なるほど…なるほど…

……………ねぇ、先に降りてみな…」

 

「いいからいけって。」

 

ウワアァァァァァ

 

「ロン…そこまで強引に落とさなくても…」

 

「でも、ああしないと埒があかないよ。

とにかく、僕らも行こう。」

 

……………

 

まだ下につかないのか?

もう1分は落ちているぞ……ん?出口か?

やっと着いたか…

 

「…やぁ、君たち。ここは実に汚いよ…」

 

これは…いろんな生き物の骨か?

それにローブがベトベトになってしまったな…

 

「学校の下の方に違いない。」

 

「きっと湖の下の方だよ。多分。」

 

「とにかく明かりがいるな…

このままじゃ暗すぎる。

ルーモスー光よー」

 

「みんな、何かが動く気配がしたら、

すぐに目を閉じて隠れるんだ。」

 

…本当にそこら中が骨だらけだ…

ジニーがこうなっていなければ…

いや、不吉な考えは今はよそう。

 

「ねぇ、あそこに、何かあるよ…」

 

「ロン…ん?あれはまさか…」

 

…バジリスクか?

いや、全く動かない…眠っているにしては

静か過ぎるし…

 

「…ロン、ひとまず大丈夫だ。

これはただの抜け殻だ。」

 

…大きいな…さすがは毒蛇の王と

言われるだけはある…6メートルはあるか?

 

「…なんてこった…」

 

「…ううん…」ドサッ

 

ロックハートか?

 

「まったく、おめでたいやつだよ。

ほら、立てよ。」

 

「…!」

 

なっ…!

 

「ロン!大丈夫か⁉︎」

 

ロックハートが

ロンの杖を奪ってしまったか…

 

「ハァ…ハァ…君たち、

お遊びはもうこれでおしまいだ。

私はこの皮を少し持って帰り、

女の子を救うには遅すぎたと言おう。

君たちは、無残な死体を見て、

哀れにも、気が狂ったと言おう。」

 

「待て!ロックハート!その杖は…」

 

使ったらどうなるか…!

 

「オブリビエイトー忘れよー!

うわあぁぁぁ!」ドン!

 

ゴゴゴ…ガラガラ…

 

「ローン!アミリアー!」

 

道が塞がってしまったか…!

 

「こちらの二人は大丈夫だ!

…しかしこれではここを通れないぞ…」

 

「どうする⁉︎ハリー!」

 

「…僕が先に進むよ。二人はそこで待ってて。

もし1時間たっても僕が帰ってこなかったら…」

 

「そんなことを言うな、ハリー!

約束しろ!必ず無事でいると!」

 

「…わかったよ、アミリア!」

 

「こっちは岩をどかしておく!

そうすれば君が帰りに通れる!」

 

「わかった!それじゃあ、また後で!」

 

「…ハリーは行ったか…

ロン、この岩をどうやってどかす?」

 

「とにかく、上の方の岩からどかそう。」

 

「…ううん…」

 

…!しまった、ロックハートのことを

忘れていた!

 

「…やあ、君たち。

ここは…実に汚いね。住んでるの?」

 

「…いや、まさか。」

 

「そうかい。それで…私は誰?」

 

「…少し、待ってもらっていいか?」

 

「?ああ、構わないよ。」

 

(ロン、これはどういうことだ?)

 

(…多分忘却術が逆噴射したんだ…

自分が誰だかわかってないよ。)

 

ああ…あのなめくじの呪いの時みたいにか…

効果はしっかりと出ていたからおそらく今回も…

 

【アミリア、アミリアよ。

一人でこっちに来てくれんかの?】

 

「何⁉︎」

 

「いきなりどうしたのさ?」

 

「あ、いや何でも…」

 

ロンには聞こえてないということは

パーセルマウスか?…そうか、

この声はもしかするとあの手紙の主では?

私の名前も知っているし、

怪物だったと言っていたから

話せてもおかしくない…

もしかしたら真実を話してくれるかも…

 

「…すまない、ロン。

他にも道がないか確かめに行ってもいいか?」

 

「ええ?でも一人じゃあの岩をどかすのは

かなり大変だよ…」

 

「あのバカに

手伝ってもらえばいいのではないか?」

 

「…?どうしたの?君たち。」

 

「…ああ、そりゃいいや。じゃあ気をつけて…」

 

…では、会いに行ってみようか…




「さて、今日の後書きだが、
一つだけNGシーンが届いた。」

「何それ?」

「作者が書いててこんな
展開になったらネタにしかならないな
とか思ったらしい。
まあ、知ってる人でないと
まったくわからんと思うが。」

「どういうこと?」

「今回のネタは、
コマンドーという作品の口調だと
どうなるかというものだそうだ。」

「コマンドー?」

「まあ、メタな話をすると
私たちからすれば未来にできた
映画だそうだ。ネットでは、
カルト的な人気があるらしい。」

「へぇ〜。そうなんだ。」

「まあ、今回はそこまで後書きの枠もないから、
さっさと読んで終わりにしよう。
あ、知らない人や嫌いな人は
読み飛ばすのをオススメするぞ。」

……………

秘密の部屋の入り口が
見つかった時のやりとり…

「見てこい、ロックハート。」

「いや、結構。遠慮させてもらうぜ。」

「怖いのか?」

「もちろんです。プロですから。」

「早く行けよロックハート。
杖なんか捨てて行ってこいよ。」クイクイ←挑発

「野郎オブクラッシャー!」

スッ←突撃してきたロックハートを躱した音

「ウワアァァァァァ!」

……………

「はい、以上だ。なんの脈絡もないな。」

「短い!…でも、
今回はこれで終わりってことだね。
まあ本文長かったからなぁ。」

「ついでに言うと後書きを合わせると
一万字を超えたそうだ。」

「うわー、長いねぇ…」

「では、これで。」

「「見てくれてありがとうございました!
次回も楽しみにしてください!」」

「ちなみに、ラウラ復活は次回に
決定したそうだ。真相も明かされるから
気になってた人は読んでくれ。
まあ、簡単なことだし、
予想もついてる人もいると思うがな。
あ、ついでに言うと、
またラウラの絵があるぞ。」

「え⁉︎ちょ、アミリア⁉︎それ本当に⁉︎
いやだよ私!またあんな絵を描かれるなんて!」

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