ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

35 / 76
投稿時間が少し遅くなりました…
だいたい9時には投稿したかったのですが
いろいろあってこんな真夜中に
なってしまいました…


森に潜む影

あれからハリーとロンとともに、

色々なところを探してみたが、

そもそも蜘蛛がみつからなかった。

探すといっても先生が移動では

付き添いをするので、勝手な真似はできないのも、

見つからないままの原因だった。

見つからないのを

どうやって追いかければいいのか…

結局見つからないまま夏が近づき、

セーターを着ようものなら汗だくになる

ような季節になった。

外は綺麗な青空が広がり、青々と草は茂っている。

しかし、ホグワーツの中はそんな雰囲気と程遠く、

騒ぐ声どころか、笑顔すらない。

マルフォイは校長がいなくなったことは

嬉しいらしいが、ラウラの事情は知らないから

純血も襲われるのではないのかと、

時々、不意に後ろを振り返ったりして、

かなり警戒しているようだ。

まあ本当はマグル生まれの人しか襲われてないから

それはただの杞憂だ。

…その様子を見て、面白くなりそうだと

フレッドとジョージの標的になっていたがな。

夕食のあと、後ろから驚かされて叫びながら

寮に走って行こうとして、先生に怒られていたな。

…言っては悪いが、いい気味だった。

あいつはそう思われるぐらい他の寮の

怒りを買ってるからな。

ラウラが倒れてなければ嬉々として

校長がいなくなった話をしただろう。

今は目立たないようにしているようだが。

ハーマイオニーが被害にあってしまった

こともあり、ハリーを疑っている人はもう

いなくなったようだ。

今はハッフルパフとの薬草学の合同授業だが、

ハリーの前のハッフルパフ生が謝っていたようだ。

あ、授業が終わったか。次の授業は…

ん?蜘蛛…か?列になってどこへ…

とにかく、ハリーとロンのところに行こう。

列の後ろにいるみたいだな。

 

(アミリア!気がついた?)

 

(うえー…やっぱり気持ち悪い…)

 

(ああ、気がついた。だが付き添いがいるから

今すぐは無理だ。…やるなら夜か?)

 

(うん、そうしよう。透明マントを使うんだ。)

 

(でも、あれ森に向かってるぜ…)

 

(しかしハグリッドが追いかけろと言ったんだ。

それしか手がかりもないから

行くしかないだろう?)

 

(うう…なんで蜘蛛なんだよ…

チョウチョを追っかけるんじゃダメなの…)

 

(いや、ダメだろう…

とにかく今日も頼んでもいいか?)

 

(うん、また前みたいに。

そうだ、ファングを連れて行こう。)

 

(ファング?ハグリッドの犬か。

あれは臆病ではなかったか?)

 

(でも一応道を知ってるみたいだし

連れて行った方がいいと思う。)

 

(そうか。では連れて行っておこう。

夜に談話室で頼む。)

 

 

前の時と比べて、今回はひとまず、

ハグリッドの小屋までは順調に辿り着けた。

玄関の扉の音が出てしまったが、

偶然にも周りには人はいなかった。

ロンは少し顔色が悪かったが、森には

行かなければならないので我慢をしてもらっい、

予定通りファングを連れて、森の中に入った。

透明マントはハグリッドの家の中に

置いておくことにした。家主がいないと

すべての人が知っていて、校庭の端に

あることだし、小屋には誰も来ないだろう。

 

「「ルーモスー光よー」」

 

私とハリーで、魔法で杖の先に光を灯した。

そこまで強い光ではないが、

足元を照らすぐらいなら十分だろう。

 

「いい考えだ。」

 

「あー…ロンはやるなよ?」

 

「大丈夫、わかってるさ。僕のじゃ

光だけじゃなくて爆発も起こるかもしれないし…」

 

「あ、蜘蛛があっちの方に行ったよ。」

 

「…数が増えていくな…」

 

「うう…勘弁してくれよ…」

 

「全部あっちの方に向かってるみたいだ。」

 

森の中で蜘蛛を追いかけていくと、

色々なところからどんどん蜘蛛の列に合流し、

黒い波のように見え、それが蠢いているように

見えるまでに数が増えていった。

それだけの数の蜘蛛であっても、

全て同じ方向に進んでいくようだ。

…ファングは去年の時のように

怯えっぱなしで情けなく鳴いているな…

 

「そういえば二人とも、ハーマイオニーの

様子はどうだったんだ?」

 

「わからない。医務室に入れなかったんだ。」

 

「きっと変わらないんだろうな。

あいつ、きっと元に戻ったら試験が

もう少しだって騒ぎ出すぜ。

勉強をひとっつもしてないんだから。」

 

「…うん、違いないな。」

 

「いきなりどうしたの?」

 

「ラウラのことも見ていないかと思ったのと、

今の雰囲気は嫌だったからな。せめて

何か話せば、まだ紛らわせられるかと思ってな。

ロンはかなりきついだろう?」

 

「…う、うん。そりゃきついけど、大丈夫だよ…」

 

「…そうか…」

 

ロンの足は軽く震えているし、

言葉も少しどもり気味だ。

しかし、ロンは頑張ろうとしているみたいだ。

それなら、私が気にかけるべきじゃないな。

 

カチャカチャ…

 

ッ!なんだ⁉︎

…何も…いないのか…?

 

「…二人とも気をつけろ…何か音が聞こえた…

姿は見てないが何かいるかもしれない…」

 

「…うん、わかった。こんな森の中だしね…」

 

「もう蜘蛛でいっぱいだってのに…」

 

周りを見渡すが、変わった様子はないか…

相変わらずたくさんの

蜘蛛が一方向に向かうだけだ。

 

「…止まっていても仕方ないよ…

…注意して進もう。」

 

「ああ。周りにも気をくばっていこう。」

 

そうして、周りを確認しながら森の奥へと

足を踏み入れていった。そこで去年、

ハグリッドにはぐれるなと言われた理由が

わかってきた。木に遮られて月の光など

まったく見えなくなっている。それこそ、

手を伸ばせばその手の先は見えなくなるほど暗い。

私とハリーがここで魔法をやめれば、

歩くことすらままならないだろう。

 

「…これは…トンネルか?」

 

「ああ、そう見えるけど…でも

蜘蛛はここに入っていってる…」

 

このトンネルはかなり不自然だな…

自然に出来たものではないだろう。

壁になってる土や木を見ると、削られた

跡もかなり残っている。こんなところに

人がトンネルを作りに来る道理はない。

となればこの森の生物が作ったものだろう。

その道を蜘蛛が通っていくのだから、

これを作ったのも蜘蛛ではないだろうか。

こんなのを作るのだからかなり知性も高そうだ。

そう考えると…

 

「…ハグリッドは追えとは言っていたが、

間違いなく危険だという予想しか立たないな…」

 

「不吉なこと言うなよ…

でもハグリッドだからなぁ…」

 

「ううん…確かに安全とは思えないけど…」

 

「そうは言ってもここまで来たんだから

行くしかないか…」

 

二人も無言で頷いて、

私たちはトンネルの中をくぐった。

トンネルを抜けると、少し月の光が差していて

魔法の光がなくてもある程度は見えるぐらいに

なっているな。…しかし、さっきから視線が…

いや、そんなものではないな…この森の中だ。

もっと、危険なものだろうな…

ん?ここはなんだ?この窪地は…

 

「…誰だ…ハグリッドなのか?」

 

「なっ…」

 

奥から何かが…あれは蜘蛛なのか…?

あんなに巨大な…そしてハグリッドを知ってる…

まさか、ハグリッドは

昔にもやらかしていたのか?

去年のようなことを…あれは…

 

「アクロマンチュラ…なのか…?」

 

「ハグリッドの友達です!」

 

「ハグリッドはここに人を

寄越したことは一度もない…」

 

「ハグリッドが大変なんです!」

 

「アズガバンに送られてしまった。

秘密の部屋の怪物をハグリッドが

けしかけたと、そう思われてしまって…しかし…」

 

言葉を続けようとしたが周りから

蜘蛛の鋏を鳴らす音に遮られた。

 

「それは昔の話だ。何十年も前の…

よく覚えている。それで

ハグリッドは退学させられた…

みんながわしのことを秘密の部屋の怪物だと

信じ込んだ。ハグリッドが部屋を開けたのだと…」

 

「だが、あなたは

秘密の部屋の怪物ではないはずだ。」

 

「その通りだ…」

 

「アミリア、なんでそんなのがわかるんだ?」

 

本当は手紙のことで知っているが、

あれは人には言えない…

 

「彼の種族のアクロマンチュラは肉食だ…

生徒を殺して放っておくなんてしないだろう。」

 

「そ、そんな、肉食って…」

 

「違う、わしは殺していない…

ハグリッドの名誉のため、わしは人を襲うことは

なかった。殺された女の子の死体はトイレで

発見されたらしいがわしは自分の育った

物置の中以外、城の中は見たことはない…

わしらは暗く、静かなところを好む。」

 

「それなら、いったい何が、

女の子を殺したのかわかりませんか?

何者であってもそいつは

戻ってきてみんなを襲って…」

 

「うう…ハリー…アミリア…」

 

「少し待ってくれ、ロン。」

 

「わしらはその生き物の話をしない!

あれはわしら蜘蛛が何より恐れる太古の生物だ…

ハグリッドにも聞かれたがわしは

その生物の名前をハグリッドにも教えなかった…」

 

「ハリー…!アミリア…!」

 

「何⁉︎」

 

ハリーが怯えるロンの声に反応し、

ロンは上を指差している。私もその先を

見ると、目の前にいたアクロマンチュラ

ほどではないが、巨大な蜘蛛が大量に

上からぶら下がっていた。

この状況は…まずいにもほどがあるな…

 

「あ、じ、じゃあぼくらは帰ります…」

 

「帰る?それはなるまい…

わしの命令で息子や娘はハグリッドを

傷つけたりしない。しかし、ここまで

のこのこと迷い込んだ新鮮な肉を

お預けにはできまい…さらばだ、

ハグリッドの友人よ…」

 

その言葉とともに、大量の蜘蛛が

私たちの周りを取り囲んだ。

 

「ハリー、アミリア、

なにかいい魔法はないの…」

 

「ひとつだけ…でもこんなに

うじゃうじゃいるんじゃ無理だ…」

 

「炎の壁を作れば時間稼ぎはできるだろうが

こんなところですれば私たちも巻き込みかない…

使えるものではないな…」

 

なにか手はないのか…

 

ファーーーーン…

 

ん?なんの音だ?

 

「な、車⁉︎」

 

そのボロボロの車はクラクションを鳴らしながら、

蜘蛛の群れの向こう側から突っ込んできて

私たちの前で止まった。

 

「パパの車だ!」

 

「これに乗ろう!ファングも早く乗せて!」

 

それを見て、蜘蛛たちはあっけにとられていた

ようだが、すぐさま飛びかかってこようとした。

 

「くそっ…!」

 

…?

いつまで経っても飛びかかられない…?何故だ?

いや、今はそんなことを気にしてられない!

 

「ハリー、ロン!早く!学校に来るとき

運転してきたのなら

前に乗ってくれ!私は後ろに乗る!」

 

「わかった!」

 

蜘蛛はまだ動き出していない…

…何かに怯えているのか?

 

「早く出して!」

「こいつ、言うこと聞かな…ウワッ!」

 

ぐぅ…急発進したぞ…

 

「ロ、ロン、いったいどうしたんだ⁉︎」

 

「この車が、勝手に走って、るんだ!」

 

「こらファング!暴れるな!

…!後ろから迫ってきてるぞ!」

 

「窓からは手が出せないよ!

後ろのガラスは割れてたはずだけど

そこから少しでも何かできない⁉︎」

 

「やってみる!

エンゴージオー肥大せよー!」

 

他の木に引っかかっていた倒木に、

肥大呪文を唱えて、道をふさいでみた。

どうだ…?これでなんとか…

いや、まだか!すぐに登られて

ほとんど足止めにもならない…!

 

「チッ、これではダメか!ではこれなら…!

グリセオー滑れー!」

 

走れなくすればどうだ?

…よし、滑ってくれているな…

 

「こちらはなんとかなった!

森の出口は見えたか⁉︎」

 

「ちょっと待って…あ!ハグリッドの小屋だ!」

 

「やった!森を抜けたぞ!…うわぁ!」

 

ぐっ…今度は急ブレーキか…

 

「いきなり止まって…ワァッ!」

 

なっ⁉︎…今度は放り出されたぞ…

 

「あ、待って!…また森に行っちゃった…」

 

「あー…ロン、あの車は

諦めた方がいいと思うぞ?…あれ、

もう野生化してしまってるだろ。」

 

「…うん、そうみたい。」

 

「見つからないうちに寮に帰ろう…」

 

 

「ふぅ…なんとか帰ってこられたか…」

 

あの後、ハグリッドの小屋から

透明マントでまた同じように帰ってきた。

今は談話室にいて、他の人を

起こさないように静かに話している。

 

「蜘蛛を追っかけろだって⁉︎

ひどい目にあったよ!今度ハグリッドに

会ったらとっちめてやる!

あんなとこにいって何がわかったのさ!」

 

「ひとつだけ、わかったことがある。」

 

「いったい何⁉︎」

 

「ハグリッドは犯人じゃなかったってことだよ。」

 

「いや、まだある。前の時の被害者についてだ。

女の子はトイレで見つかった…そう言っていた。

ハリーと、ロンも知っているはずだ。

その女の子はずっと女子トイレにいたとしたら?」

 

「もしかして…嘆きのマートル?」

 

 

まったく、アミリアめ…

こんな危険なところに来るとは。

ここまで来るのも苦労したぞ…

それに、妾は手紙で言っておいたはずじゃがの…

ラウラはアミリアを危険に

さらしたくないと思っていたと…

ラウラの望みじゃから自ら危険には

飛び込まんと思っておったのじゃが…

 

…それにしても外とはこのようなところなのか…




「ラウラ、喜べ。次回か、
次々回には元に戻れるらしいぞ。」

「あ、本当に?
よかった…これ以上石のままだと
存在そのものを忘れられるかと…」

「さすがにそれはないと思うが…」

「いやいや、もともとヒロインだったのに
なんとかさんって呼ばれる人だって
いるんだから。楽観視は出来ないよ。」

「とはいえ、本編で私がずっと
ラウラを気にしてるし、前書きとかここでも
たくさん出ていただろう。
ここまでして忘れられてることはないだろう。」

「まあ、一応毎話出てたしね。
あ、そういえば本編でレーヴァとか出ないよね。
どうしてるのかな?」

「ああ、レーヴァは普通に私たちの
家の近くの森で過ごしているだろう。
仮に呼ぼうとしても呼ぶ魔法を使えるのは
ラウラだけなのだから
呼ぶことも出来ないよ。」

「そっか。じゃあルニルとリューナクは?」

「ルニルは私に日刊預言者新聞や、
父上、母上からの手紙を届けてくれているよ。
リューナクは私が世話をしている。
と言いたいところだが謎の人物が
ずっと世話をしてくれているようだ。」

「そっかぁ。謎の人物が…」

「うん、謎の人物が。」

「…まあもう正体は出てたけどね。」

「とりあえずこんなところだよ。」

「うん、とりあえず安心したよ。
最近はアミリア以外出番がないからね…
このままじゃタグの詐欺になるよ。
女主人公sなんだから二人いないと。」

「…いつからそのタグの示す
人数が二人だと錯覚していた?」

「え?」

「はい、今日はここまでだ。」

「え?あ、」

「「今回も読んでくれてありがとう
ございました!」」

「ちょ、アミリア、さっきのはどういう…
行っちゃったよ…」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。