ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

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とりあえず書いてきて一ヶ月
たちました。お気に入りにしてくれた人
もたくさんいてくれてとてもうれしいです。
今回は割と後書きが長いです。


彼女の違和感

「…うにゅ…う…ん…ラウラ?…ラウラぁ?

…あれ?…いないのか…

紅茶…ほしいな………ん?」

 

この僅かな香り…

ラウラの紅茶がもう淹れてある…?

でもこの香りだとこの紅茶は…

 

「むぅ…やはり冷めているな…」

 

淹れてから1時間以上は経っているな…

そんな前に紅茶を淹れて、

ラウラはどこへ行ったんだ?

もう部屋にもいないみたいだしな…

…やはりラウラは何か悩んでいたのか?

昨日も少し様子がおかしかったし…

 

「しかしラウラが私より

早く起きるのはかなり珍しいな。

いつも私が起こすぐらいなんだが…

何か用事でもあったのか?

………目も覚めたし探しに行くか。」

 

とりあえず学校の中を探してみるか…

1時間以上は帰ってないということは

どこかで何かをしてるのだろう。

…私に置き手紙すらしていないとはな…

 

 

…いた。

まあこの時間で生徒が使えるのは図書室ぐらいだし

いる可能性があるのはここぐらいだしな。

まったく、心配をかけさせて…

それにしても本当に、なんでこんな誰もいない

時間に私にも黙って図書室に来たんだ?

 

「ラウラ?」

 

「ひゃう⁉︎あ、お、おひゃろ!アミヒア!」

 

…声をかけただけで焦りすぎだろ。

しかも何かの本を後ろに隠してるのがバレバレだ。

…聞いてみるか。

 

「ラウラ、後ろに隠してる本は何の本だ?」

 

「えっ?あ、いや、ただの魔法史の

参考書だよ!戻してくる!」

 

「あ…」

 

…呼び止める前に行ってしまったな。

…それにしてもラウラが向かったのは

生物関係の本が並べられてるところのはずだが…

私に嘘をついてまでなにを調べていたんだ?

 

「おまたせアミリア!朝ごはん食べに行こ!」

 

「ああ、そうしようか。」

 

まあラウラが私に嘘をついてまで隠すことだ。

聞かないでおいてあげようかな。

 

 

2人は図書室から出て大広間に向かった。

中にはもう何人も生徒がいて、朝食を食べていた。

 

「あれ?ハーマイオニーが珍しく

本とにらめっこしてないね。」

 

「ん?本当だな。人と話してるのをみるのは

かなり久しぶりな気がするなぁ。」

 

グリフィンドール寮の机の真ん中あたりで

ハーマイオニーが、ハリーとロンに何かを

言っているのが見えた。

あの事件の日以来、図書室にいる時だけでなく、

他の時も借りてきた本に片っ端から

目を通していたので、ハーマイオニーが

人と話してるのを2人は最近見ていなかった。

 

「おはよう!」

 

「おはようハーマイオニー。

調べ物は見つかったのか?」

 

アミリアとラウラに、3人も挨拶を返した。

そしてハーマイオニーはアミリアの問いに答えた。

 

「見つからなかったわ。

マダム・ピンスにも聞いたんだけど

探してる本がみんな貸し出されてたみたいなの。

2週間先まで予約で一杯だって。」

 

「なんの本を探してたの?」

 

「『ホグワーツの歴史』よ。」

 

「秘密の部屋のことを調べようとして、

みんな何かに書かれてないか探してるみたいなんだ。」

 

「よくみんな本で探そうとするよ。

僕ならビルやチャーリーあたりに聞いてみるけど。

何か知ってて教えてくれるかもしれないし。」

 

「秘密の部屋か…

いったい何のことなんだろうな…」

 

「さぁね。ろくなことじゃないのは確かだよ。」

 

「継承者の敵ってだれのことかしらね。」

 

5人は色々意見は出してみるが、

これといった案はでてこなかった。

しかしその中で、アミリアには

ラウラがどこか沈んでいるように見えていた。

 

 

その日の最初の授業は魔法史の授業だった。

相変わらずアミリアがたくさん朝食を食べるので

入るのが遅くなってほとんど席がうまっていた。

運が悪いことに2つ並んだ席は空いていなかった。

なのでアミリアは前の方に、ラウラは

後ろのほうに座って授業をうけた。

授業が始まるといつものようにゴーストの先生の

ビンズが話を始めると、

5分とたたずにほとんどの生徒が

夢の世界に旅立ち、机と頭をくっつけていた。

いつもはこの段階ではっきりと起きているのは

アミリアとハーマイオニーだけだが、

この日はラウラも先生に顔を向けていた。

 

「先生、少しいいですか?」

 

ビンズが『国際魔法戦士条約』の

ことを説明しようとしたところで、

ハーマイオニーが手をあげて質問をした。

いつもの魔法史の授業で聞かないその声に、

ほとんどの生徒が何事かと目を覚ました。

 

「何かね?あー、ミスー…」

 

「グレンジャーです。

教えてくれませんか?秘密の部屋について。」

 

秘密の部屋はみんなが興味があるらしく、

生徒全員の眠気が覚め、

そしてビンズを見ていた。

 

「私が教えているのは魔法史、つまりは事実です。

あの話は事実とは全く関係のない噂話であり、

そのような伝説を教えているのではないのです。」

 

「でも、何かの事実があったから

伝説となっているのではないのですか?」

 

「それは…確かにそうとも言えるでしょうが…

しかしながらです。伝説などというものは

荒唐無稽なホラ話とさえいえるものであり…」

 

ビンズが話すのがいいか迷っている時、

ラウラも声を出した。

 

「私からもお願いします。

どうしても気になるんです。」

 

ラウラだけでなく、周りの生徒たちも

ビンズの方に向いていた。

ビンズは今までの授業で

生徒がここまで興味をもって

授業を聞いてくれたことがなかったのか、

多少上機嫌で話を始めた。

 

「…いいでしょう。

秘密の部屋の話をするにはまずホグワーツの

成立から話をしなければなりません。

いつホグワーツが開校されたか

正確な年号は定かではありませんが

千年ほど前、4人の偉大な魔法使い、

そして魔女によって設立されました。

ゴドリック・グリフィンドール、

ヘルガ・ハッフルパフ、ロエナ・レイヴンクロー、

そしてサラザール・スリザリンです。

それぞれの学寮は彼らの名前に

ちなんでつけられています。彼らは

マグルの目を避け、様々なところから魔法使いの

才能がある子を探し、教授したのです。

当時魔法使い、魔女は迫害をうけていましたから

マグルの目の届かないこのホグワーツで

教育していたのです。

しかしある1人の意見が他の者と対立しました。

スリザリンは選ばれた者、

つまりは純血の者を集めて

教育すべきだと主張したのです。

マグルの親を持つものは

魔法教育を受けさせるべきでないということです。

他の3人、特にゴドリック・グリフィンドール

はすべての者に別け隔てなく教育すべきと

主張していたのでスリザリンは決別し、

ホグワーツを離れたのです。

ここまでは事実であり、ここから先は

伝承なようなものですが、一説にはこの時に

スリザリンはこの城に誰も知られていない

隠された部屋を作ったという話がある。

それによればスリザリンはその部屋を固く閉ざし、

彼の真の継承者が現れる時まで

決して開かれないようにしたという。

継承者だけがその部屋の封印を解き、

その中の恐怖を解き放ち、

魔法を学ぶに相応しくない者を追放する…」

 

ビンズは長々と秘密の部屋の説明をし、

一度区切ったところで沈黙が流れた。

しかしその沈黙は眠気を誘うものでなく、

生徒たちはもっと話して欲しいという

表情でビンズを見ていた。

ビンズは困惑したが一度咳払いをして、

話を断ち切ろうとした。

 

「もちろんこんなものは戯言であり、

その様な部屋は今まで偉大な様々な魔法使い、

あのダンブルドア校長でさえも見つけられず、

存在しなかったのであります。

つまりこれは単なる騙されやすい者を

怖がらせるだけの作り話であります。」

 

「では先生、『部屋の中の恐怖』とは

何を指し示しているのですか?」

 

ハーマイオニーが手を挙げようとしていたが、

それより前にラウラが口を開き、ビンズに聞いた。

 

「なんらかの生物、怪物だと信じられており、

スリザリンの継承者のみが

操ることができると言われている。」

 

ビンズがそう言うと、

何人かの生徒が恐々と隣の人と顔を

見合わせたり、後ろを振り返ったりしていた。

 

「ひとつ言っておきましょう。

そんな部屋は存在しない。したがって

怪物はおらん。」

 

ビンズは不機嫌そうにノートと

教科書をパラパラめくりながら言った。

しかし、ここでアミリアが尋ねた。

 

「しかし先生、部屋がスリザリンの継承者のみに

開かれるのならそれ以外の資格のないものには、

例えどれだけ偉大であっても開くことは

できないのではありませんか?

ですから、例えダンブルドア校長であっても

その資格がなければー」

 

アミリアが言葉を続けようとしたが、

ビンズはその言葉が出てくる前に

ピシャリとその話を断ち切った。

 

「以上、おしまい!

そんなものはただの伝説、作り話です!

そんな部屋など存在しない!こんな

バカバカしい話をするべきではなかった。

歴史の授業に戻る!確たる事実である歴史に!」

 

それからビンズが授業の続きを

話し始めたが、アミリアとハーマイオニー以外は、

5分とたたずにいつもの無気力状態になった。

 

 

「なぁラウラ。いったいどうしたんだ?

最近少し変だぞ?最後は寝てたが

魔法史の授業で起きてたし。」

 

「私がずっと寝てるみたいに言わないでよ…

だいたい1割だよ。起きてるのが。」

 

「十分問題だ。」

 

魔法史の授業やその後の授業もすべて終わり、

夕食の時間になった。アミリアは

いつものラウラとの違いに、

やはり違和感を感じずにはいられなかった。

 

「今日の話、

真の継承者か…どんな人のことだろうな。」

 

「…さぁね。」

 

「ん?意外だな。ラウラは猫が好きだから

ミセス・ノリスの件があってもっと

敏感になってると思ってたが。」

 

「…気にはなるけど

私たちにはどうもできないと思ってね。」

 

「? まあ本当に部屋が存在するか

すらも全くわからないが。」

 

「あ、そうだアミリア。今日の夜

今度の魔法史のレポート教えてくれない?

どうすればビンズ先生が満足する記述が

できるのかわからないの。」

 

「ああ、別にいいぞ。

それにしても相変わらず魔法史が苦手なのか。

いい加減に授業で寝ないようにしろよ?

いつまでたっても苦手なままだぞ。」

 

「う、うん。わかってるよ。」

 

2人は大広間から直接部屋に戻って

勉強を始めた。途中ラウラが何度か寝てしまい、

アミリアがそれを起こしてはため息を吐いた。

 

 

みんな眠ったかな?

…うん。大丈夫そうだね。じゃあ行こう。

誰にも見つからないようにしないと。

どこにあるかはわからないけど

きっと大丈夫。見つけられるよね…

 

 

 

 

 

…見つけた。

予想どおり…といえるのかな。

こんなに早く見つかるなんて運がいいや。

彼か、彼女かはわからないけど、

私は会わないといけないんだ。

でも、これは私の我儘だから…

私の大切な人達を危険にさらすわけにはいかない…

…ごめんね。心配かけて。

 

 

 

 

 

ここかな?…いた。

こんばんは。少しお話しできるかな?

…私?うーん、一応資格はあると思うけど

そんなことしたくないんだ。

それに今この学校には、きっと

私を入れて2人か3人…少なくても

2人はいるはずだからね。

ずいぶんな偶然だけどね。

あなたは?どうしたいの?

………そう、やっぱりね。

聞いてて思ったよ。普通じゃなかったって。

でもあなたは何故従うの?

…そうなの。さすがは設立者、だね。

え?私の目的?それはね…

 

 

 

 

 

どうかな?あなたにも条件はあるけど

悪い話じゃないと思うんだ。多分だけど…

…ホント⁉︎ありがとう!え?何?…

まあ色々大変だと思うけどなんとかするよ。

それまでは辛い思いをさせるかも

しれないけど…できるだけ早く

準備を終わらせてみせるから。待っててね。






「さて、ようやく
紹介できるように状態になった。」

「私のお母さん、
エミリー・ブライトフォードです!」

「はーい、よろしくお願いします〜。」

「ではエミリーさん、自己紹介をお願いします。」

「えっと〜、私の名前は
エミリー・ブライトフォードでーす。」

「…」

「お母さん、それもう言ったよ?」

「あら?じゃあ次ね〜。
私の夫はランディ・ブライトフォードって
いう人でー…」

「エミリーさん、もうランディさんの
紹介は終わってるので見てくれている人は
きっと知ってると思います。」

「う〜ん、じゃあ何を言えばいいのかしら〜?」

「お母さん、お仕事の話をして?
お父さんは違うことを話したから
まだお母さんとお父さんの仕事は
紹介されてないんだ。」

「じゃあ〜、私のお仕事は何か
クイズでもする〜?」

「申し訳ありませんが私と、
当然ラウラも知ってるので
クイズは成り立たないと思います。」

「あら、それもそうね〜。
じゃあ第1ヒントから〜。」

「お母さんストップ!
クイズは意味ないって言われたじゃない!」

「もう、ラウラったら声が大きいわね〜。
お母さん耳が痛くなったじゃないの〜。」

「アミリア、バトンタッチ。」

「まてラウラ。ラウラがダメなら
私がこの場を収めるのは不可能だ。
おやつの蛙チョコをあげるから助けてくれ。」

「なんか地味にケチだね。
まあそれで手を打つけど。えっとお母さー」

「うと…うと…」

「「…」」

「お願いお母さん!後生だから
寝ないで!起きて!」

「う、うーん…揺らさないで…」

「アミリア!まだ間に合うから手伝って!
お母さんが寝ないうちに早く!」

「あ、ああ。」

「もっとだよ!もっと揺すって!」


……………


「はぁ、はぁ…なんとか起こせた…」

「…エミリーさん…
先程のクイズの答えをお願いします…」

「ええ、わかったわ〜。私とランディはねー、
一緒にダイヤゴ横丁で
食べ物屋さんをしているの〜。」

「お母さん、何度も言ったけど
ダイアゴン横丁だからね?そろそろ
自分の仕事場の名前を覚えて…お願いだから…」

「この答えを聞き出すのに何分かかったんだ…
とにかく、エミリーさんはランディさんと
一緒にダイアゴン横丁で飲食店を経営している。
ダイアゴン横丁は色々なものが揃うが
飲食店が入り口の漏れ鍋ぐらいしかなくてなぁ…
私としてはグッジョブと言いたい。」

「でもアミリア。うちの店はサプライズ好きでも
ない限りはあんまり行かないほうがいいかもね。」

「あら〜?私たちは何も特別な
ことなんてしてないわよ〜。」

「いやいや…」

「お母さんは自分で分かってないんだから…
お母さんは看板娘でありながら
トラブルメーカーなんだよね。困ったことに…」

「ああ、そうだな。
調味料がランダムになってるのか?
と思う人いるかもしれないな。」

「さすがにお店だから
そんな怖いことはしてないけどね。
ちゃんと気がついたお父さんがもとに戻すから。」

「入れ替わってはいたのか…」

「お父さんが下手したら1日に3回
入れ替わってるって言ってた。」

「う〜ん…私たちは驚くこと
なんてしてたかしら〜?」

「してた本人が言ってもね…
まあ具体的に言うと、『品物が物理的に
空を飛んであなたのもとに!』ってこと。」

「…ああ、あれなぁ…
だいたい本を読みながら待ってるから
どうして飛んでくるのか知らないんだよなぁ…
ラウラ、なんで料理が飛んでくるんだ?」

「お母さんが転ぶんだよ。
料理の皿とかを持って一歩踏み出すだけで。
でもなぜかそれで宙を舞う料理は寸分違わずに
注文した人のところに飛んでいくんだ。
完璧な盛り付けになって。」

「…理解はできたが納得できない…
なぜそんなことに…」

「あ、ランディが作る料理が
とっても美味しいのが驚きなのかしら〜。」

「お母さんの料理を運ぶ時のこの現象は、
ダイアゴン横丁の七不思議の一つなんだよ。
最近できた飲食店なのにもともとあった
七不思議を押しのけて入ったんだ。」

「そんなものがあるのか…
押しのけた七不思議というのは?」

「えっと…たしかね〜…
《裏路地に潜む臭い玉怪人》?」

「なんだそれは…不思議じゃなくて
ただの不審者じゃないか…」

「う〜ん…う〜ん…」

「だから外されたみたい。
とはいえ危険性は高いけどね…
新品の服に臭い玉の臭いがつこうものなら
その日の夜は泣いて過ごすしかないよ。」

「まあ、あの臭いがついた服なんて
もう着れないな。」

「ところでお母さんはさっきからどうしたの?
ずっと唸ってるけど…」

「えっと〜、
私ってどうしてここに呼ばれたのかな〜
って思って〜。」

「エミリーさんが話してくれないから
私たちが紹介することになったのですが…」

「そうだよお母さん。
人の話は聞くようにお父さんも私も
常日頃、気がついた時に、
しつこいぐらいに言ってきてたでしょ?」

「そう言われたかしらね〜。
じゃあ今回も見てくれてありがとうね〜。」

「あ!どうして言っちゃうの⁉︎
それを言うのはアミリアと私の役目なのに!」

「ラウラ、諦めよう。エミリーさんの
自由奔放さは身をもって知ってるだろう…」

「あ、そう言えば言い忘れてたけど、
本文の私たちと後書きの私たちは
それぞれ何が起こってるかわからないからね。
まあ私たちは本文をよんでるけど。」

「…いったい彼女は誰なんだ(棒)」

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