ハリー・ポッターと紅白の2人   作:ヴァニフィア

16 / 76
軽ーい戦闘が入ります。
しかし表現は上手くできてないと思います。


追憶

誰もいないはずの真夜中の廊下に

5つの足跡が響いていた。

しかしそこには何者の姿もなかった。

 

「おや〜?夜中に出歩いているのは

幽霊っ子?亡霊っ子?それとも

生徒のイタズラっ子かな〜?

見えなくたってそこにいるのはわかってるんだ。

はやくフィルチに言わなくちゃ。」

 

何者の姿もない所にピーブズは話しかけて

そこから離れようとする。

 

「ピーブズ。」

 

何もないはずの所から低い声が聞こえた。

それを聞いたピーブズは体を震わせた。

 

「血みどろ男爵様が故あって

姿を隠しているのがわからぬか。」

 

「も、申し訳ありません

血みどろ閣下、男爵様。」

 

ピーブズはへりくだり、

頭を下げていた。

 

「ピーブズ、わしはここに用がある。

今夜はここに近寄るでない。」

 

「は、はい、閣下。仰せの通りに…

首尾よくお仕事が進みますように、男爵様。

ピーブズはお邪魔いたしません…」

 

そう言ってピーブズは

そこから姿を消した。その場所で

1人の男の子の声が聞こえた。

 

「すごいぞハリー!ピーブズめ、

いままでのお返しだ!」

 

「ロン、嬉しいのはわかるがあまり声を出すな。

先生が近くにいたらばれる。」

 

今4階の廊下には透明マントで身を隠している

ハリー、ロン、ハーマイオニーと

目くらまし術で姿を消した

アミリアとラウラがいた。

そんな5人がある1つの

開きっぱなしの扉に辿り着いた。

そこからは大きな寝息が聞こえた。

 

「やっぱりスネイプはフラッフィーを

もう突破していったみたいだ。

…戻るなら今のうちだけど本当にいいのかい?」

 

「なに言ってるんだよ、ハリー。

ここまで来てそんなの今更だろ。」

 

「ああ、あそこまでの

熱弁を聞かされてここで帰るなんてできないな。」

 

ハリーの提案を4人は即座に否定する。

アミリアの言葉にハリーは

少しだけ顔を赤くした。

 

「だが、ここから先は誰に何が起きても

振り返ったり止まったりする余裕はないだろう。

たとえ1人になろうと賢者の石を、

狙っている者よりも

はやく手に入れなくてはならない。

………いいな?では部屋に入ろう。」

 

アミリアの言葉に静かに4人はうなづいて、

フラッフィーが眠っている部屋に入った。

部屋の隅には音楽を奏で続ける

ハープが置いてあった。

 

「ねぇ、ハーマイオニー、仕掛け扉って

どこにあったの?」

 

5人が姿を現した時、部屋を見回していた

ラウラはハーマイオニーに聞いた。

 

「…フラッフィーの足が

仕掛け扉の上に乗ってしまってるわね。」

 

「…どかすしかないよね?

………あれ?急に静かになった…?」

 

先ほどまで流れていた音楽が

音を消し、それと同時に聞こえていた

寝息も聞こえなくなっていた。

 

「…!まずいよ、まだ足が仕掛け扉の

上に乗ったままだよ!」

 

ハリーが焦っていると、

フラッフィーの6つの目がそれぞれ開き、

5人を見つめていた。この時。

アミリアは焦りながらも考えを続けていた。

 

「…!そうだ、もう一度音楽を聴かせれば!」

 

そう言ってアミリアは

演奏が止まっているハープに走り寄った。

 

「トマグラツィーオ ー優雅に奏でよー」

 

アミリアが魔法を唱えると、

ハープは落ち着いた音楽を奏でた。

それを聞いて、フラッフィーは再び眠りに落ちた。

 

「ありがとう、アミリア。

これで落ち着いて仕掛け扉を開けられるわ。」

 

「いや、とっさに思いついた魔法で

なんとかなってよかったよ…」

 

「けっこうギリギリだったんだね…」

 

少し話しながら、5人でフラッフィーの

足をどけ、仕掛け扉を開いた。

底は真っ暗で何も見えない。

 

「…行こう。」

 

ハリーのその声を合図に、

ハーマイオニー、ロン、ハリーの順に

仕掛け扉に入っていった。

 

「アミリア、私たちも。」

 

「ああ。行こう、ラウー」

 

その時、2人の背後から赤い光が飛んできて

アミリアの背中に当たった。

 

(なに………?これは…失神呪文……だと…

………ラ…ウ…………ラ……)

 

そして、アミリアは声を

あげることもなく、音もなく倒れた。

 

「…え?……アミ…リア………?」

 

突然その場に倒れたアミリアを、

信じることができないような様子で

ラウラはアミリアの方を見た。

 

「嘘……嘘でしょ?ア、アミリア……!」

 

ラウラはアミリアに呼びかけるが

なんの反応も示さない。

生死を確かめる冷静さは今のラウラにはなかった。

そんなラウラの数メートル先、

その部屋の扉の所に1人の人間が現れた。

その顔には仮面がつけられている。

 

「……そこをどいてもらおう。」

 

声から男だとわかるその人間は、

ラウラに脅迫にも似た口調で話しかける。

しかし、ラウラはその男に

完全な敵意のまなざしを向けていた。

 

「あなたが……あなたがアミリアを…!

許さない……絶対に許さないんだからぁぁぁ!」

 

ラウラが絶叫ともとれる叫びをあげると同時に、

男は無言で構えられた杖から赤い光を飛ばした。

ラウラはその光に杖を持っていない

左手を突き出した。

 

「……何⁉︎どういうことだ…⁉︎」

 

確実にラウラに当たると思っていた

男は驚愕した。そこには

さっきまでと変わらずに左手を突き出した

ままのラウラがたたずんでいた。

男は何かの間違いだと思い、

無言で呪文を唱えるが、

ラウラに直接当たることはなく、

左手から数十センチほどのところで

赤い光は拡散していく。

 

「盾の呪文…?

だが、杖も使わずにどうして……⁉︎」

 

男は理解できないことが起こり、

混乱していた。その男に向かって、

ラウラは杖を向けた。

 

「……!プロテゴ ー護れー!」

 

その様子を見て、男は盾の呪文をはる。

いつか、アミリアがはっていた呪文よりも

遥かに精度の高いそれは男の姿を

ぼやけさせるほど明確な壁を作った。

 

しかし、それは悪手だった。

 

「エンフェンディオ ー地獄の業火よー」

 

ラウラが魔法を唱えた瞬間、

杖の先から小さな光がゆらゆらと

男に向かって浮かんでいく。

男は盾の呪文をさらに強固なものにしていった。

 

そして光が男まで

3メートルほどのところで止まり、

そこから紫色の炎が噴き出した。

それは火山の噴火を思わせるような勢いで

男に向かっていく。

盾の呪文を数秒であっさり破壊し、

その炎は男を包んだ。男は

あまりの熱さにそのまま意識を失い、

ラウラもまた、反動で意識が朦朧とし始めた。

 

「…アミ……リ…ア………目を……開……け…」

 

ラウラは意識をそのまま失い倒れた。

そうしてその部屋に動くものはいなくなった。

 

 

…ここは…どこだ…?

私はいったい何が…?…あれは…子供?

 

「ーそれであいつまた自慢してさー。

新しいゲーム買ってもらったーって。」

 

「またかよ。あいつ変わらねぇな。

だから友達少ないんだよ。」

 

…ここは学校か?確か

私が通っていたプライマリー・スクール、か…

しかもあそこの壁が修繕されてない…

なら私が7歳ぐらいの時か…?

 

「貴様ら邪魔だぞ。道を開けろ。」

 

…アミリア・フラム…私、なのか…あの時の…

変えることのできない忌まわしい過去の…

 

「…?なんだよお前。」

 

「横通れるだろ?」

 

「黙れ。私は私以外の者のために

横に避けたりするつもりはない。」

 

あの時の私は…

私以外の人間はただ平等な者だと思っていた。

………平等に劣る者どもだと…な。

だからこの時の私は…

この世界は私が手にいれて然るべきだと、

本気で思っていた。

 

「なんなんだよお前…」

 

「むかつくな…謝れよ。」

 

「…最後の警告だ。

私のために道を開けろ。」

 

普通なら同学年の女子1人と男子2人なら

どちらが勝つかなど、自明だろう。

もちろん魔法も父上から教わっていたが、

行動に移す前に目立つわけにもいかないと

思って使うこともなかったが…

 

「う…腕が…俺の…」

 

「痛い…痛いよ…ママ…」

 

「…ふん。」

 

結果はこうなった。この時の私は

役に立つならマグルの文化であろうと

吸収して強くなろうとしていた。

…だから当然ではあるさ。

喧嘩もほとんどしない子供の素人と

それこそ世界中の格闘技を

練習している者での喧嘩…

体格差ぐらいでは覆るはずもない。

 

「アミリア!お前はいったいなぜ

あの子達にあんな怪我をさせた!」

 

もちろん父上に怒られはした。

 

「…ただ通るのに邪魔だったからですよ。父上。」

 

ーーーパチン

 

まあ叩かれて当然だ。

でもこの時の私は…父上であろうが、

私の邪魔をするのならいつか…

…いつか殺してやると、本気で思っていた。

今の私が尊敬している父上を…

…今思えば、狂っていたんだろうと思う。

 

 

あれは私が8歳のときだろうか…

私は無神論者だが、

この時の…あの出会いばかりは、

神様がくれた出会いだったのではないかと、

そう今は思っている。

………あの、ラウラとの出会いは………

 

「ーあれはレーヴァのせいじゃ…」

 

「何をしている、貴様ら。

目障りだぞ。とっとと散れ。」

 

「…!お、おい!こいつは…」

 

「あ…ああ、アミリアだ!ヤバイ、逃げろ!」

 

あの時、ただ通るのに邪魔だったので

声をかけただけだったが、

あの時ラウラをいじめていたのは

その前の年に私と同じクラスだった者らしく、

私を知っていたのだろう。

私を見るなりすぐに走って逃げていった。

 

「あ、あの…」

 

「ん?なんだ貴様。」

 

「え、えと、お礼を…」

 

「そんなものいらん。通るのに邪魔だっただけだ。

お前も早く私の前から退け。」

 

「あ…」

 

私は何を話すこともなく、

そこではそのまま去っていった。

そういえば、ラウラはこの頃の自分は

何があってもビクビクしていて、

とても臆病だったと言っていたが…

 

「あ、あの…アミリア…って…言うんだよね?」

 

「…お前は昨日の…?

私に何か用でもあるのか?」

 

「よ、用ってほどでもないけど…

お、お昼ごはん、一緒に食べない?」

 

「私と?なぜだ?」

 

「昨日、お礼も言えてなかったし…

それに…初めて私を助けてくれたから…」

 

「…まあ、いいだろう。」

 

あの時の私に話しかけるやつの

どこが臆病だったのか。

それに今思えばこの時からラウラは抜けていたな。

 

「…お前、これ…」

 

「………あはは…言われてたの忘れてたよ…」

 

「先生に言って学校の外で昼を買ってきても

いいように許可を取ればいいだろう。」

 

「…うん、そうする。」

 

箱の中にお金しか入っていないなんて

持てばすぐに分かるだろうに。

 

 

ラウラといつの間にか一緒に

過ごすようになってきて、私は初めて

私以外のものを大事に思うように…そして

ラウラを心から信頼するようになっていた。

 

「アミリア、今日もお昼いいかな?」

 

「ああ、構わない。

それにしてもお前といると本当に

調子がくるうよ。……ラウラ。」

 

「…え?アミリア、今私の名前よんで…」

 

「ああ、友達を名前で呼んで何が悪い?」

 

「友達…⁉︎いいの?

私なんかと友達なんて…」

 

「楽しそうに一緒に昼を食べて

話し合う2人を友達以外に何と呼べばいい?

それと、私『なんか』なんて言うんじゃない。

私を変えたお前が自分を卑下すれば

私の立場まで下になるのだから。」

 

「アミリアを変えた…?私が?」

 

「なんだ。気づいていなかったのか?」

 

「え…うん。」

 

「まったくお前は…」

 

この頃だっただろうか?

私の生きる意味が変わっていたのは。

『世界を手に入れる』、そんな目標なんて

ラウラと会ってからはどうでもよくなった。

…そう、言うならば黒歴史だな。

ただ、『ラウラを護りたい、

もうあのような思いをさせたくない』と、

そう思うようになっていた。

ラウラにこのことを話してないし、

少し押し付けがましいような気はするが、

そう思うほどに、ラウラは

私の中で大きな存在になったし、今だってそうだ。

 

そういえば、ラウラの家が隣だったと

知ったのもこの頃だったか。

しかも驚いたのはそれだけでなくその頃に

ラウラとなんとなくボールで遊んでたらいきなり

手も触れずに飛ばしてきたのは本当に驚いた。

ラウラの両親と私の両親は

友達で、どちらも魔法界に関係があると

いうことを、前々から父上も母上も

私に伝えてたらしいが、

私はその頃の前は周りの事を気にも

していなかったから覚えがなかったのだろう。

 

「ラウラ、その蛇は?」

 

「ああ、この子はレーヴァっていうの。」

 

レーヴァに会ったのもこの頃かな。

 

「とっても優しい人…?蛇なんだよ。」

 

「優しい、か…まるで話せるように言うんだな。」

 

「う………ん……

アミリアになら…いいかな…?」

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「実はね、私蛇と話せるの。」

 

「本当か⁉︎…私の家にパーセルマウスの

本があったがほとんどいないと書いていたぞ。」

 

「…それが原因でいじめられてたんだけどね…」

 

「…そうか………ラウラ?」

 

「何?アミリア。」

 

「いいか、私はそんな事気にしない。

人間は理解できない事がきっと怖いんだ。

でも、私はその事を理解できているし、

私の両親だって魔法界の人間だ。

安心しろ。ラウラは1人じゃないさ。」

 

もちろん、蛇と話せるのを聞いた時は驚いた。

だが、それで何が変わる?ラウラはラウラだ。

もちろん前知識があったから驚くだけで

すんだのはあったが、無かったとしても、

私はラウラから離れなかったと自信を持って言える。

 

「それでも、蛇たちと話す時は

周りにマグルの人々がいない時に

限定したほうがいいだろうな。」

 

「うん、今はアミリアがいるし寂しくないから

大丈夫だよ!」

 

「ふふ、そうか。

私もパーセルタングを練習しようか。

先生もいる事だしな。」

 

ある意味でラウラを1人にしないために

私もパーセルタングを練習しようとしようと

したのだったか。実際、レーヴァは

話せるようになってわかったが、

とても優しかったな。

まあ、毒蛇らしいから危険ではあるらしいが

本人(蛇?)は噛み付いたりしないし大丈夫だ。

 

 

そして、今年になって、私たちは

ハリーや他のグリフィンドール生たちと出会った。

私もラウラも、友達が増えた。

私にとってはそんなみんなも

守るべき友達だ。

 

…なら、なぜ私は今こんな夢を見ている?

今、私はどこにいた?

…そうだ。今は賢者の石を見つけに行くために

フラッフィーの部屋にいたはずだ。

なら、こんなところで寝ていていいわけがない…!

ラウラや…みんなを守るために…

今は目を覚まさなければならないだろうが…!




2人の過去が
ほとんど明かされました。
まあ考え方おかしいだろとか
言われそうですが。
ちなみにもうわかってると思いますが、
仮面の男は死喰い人です。
例の呪文を使わなかったのは
不意打ちするためです。あんな
呪文を無言呪文でうつのはほぼ無理だと
思うので。

○オリジナル
・トマグラツィーオ
楽器に落ち着いた音楽を奏でさせる。
魔法界の店などではそこそこ
ポピュラーな魔法という設定。

・エンフェンディオ
恐ろしいほど強力な炎を相手に放つ、
インセンディオの発展魔法。
悪霊の火と同等レベル。
普段のラウラなら使おうしないが
アミリアを倒されたショックで
相手を本気で殺そうとして使った。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。