遊戯王ZEXAL ~単なる日常から強制転移~ 作:妖牙=飴んぼ
強い日差しが照りつける中、穏やかだった公園はエリアのエクゾディオスの存在で少し騒がしい。
そこらを通り掛かった住民や学生が普段見ない大型モンスターを見ようとして、いつのまにか公園は人だらけになっていた。
ちなみにヒータとエリアの姿は一般の人々には見えないため、中には「これ誰と誰がデュエルしてるの?」と最初から一人でいたように見えていた堕紅に問いかけた人もいたが、「今、新しいソリッドビジョンの実験をしてるんですよ。」と言ってごまかしていた。
ヒータ「うええ・・ご、5000。」
エリア「ヒータちゃんどうしたの?顔色悪いよ?」
バルバロスの攻撃力は1900、エクゾディオスの攻撃力は5000、エクゾディオスがバルバロスを殴ればダメージは3100だからギリギリ生き残れる・・・などと甘い考えはできなかった。
エリア「バトル!エクゾディオスでバルバロスを攻撃!そしてエクゾディオスの効果発動!」
ヒータ「今度は何!?」
堕紅(まずい!エクゾディオスは相手を殴る時、デッキからモンスターを一体墓地に送る効果がある。これで通常モンスターを送って攻撃力が6000になったら!)
エリア「私は「封印されしエクゾディア」を墓地に送り、バトルする!エクゾードフレイム!」
堕紅&ヒータ「え!?」
エクゾディオスの手から放たれた火球がバルバロスを直撃、その熱風がヒータを襲う。
ヒータ LP4000 → LP900
堕紅「何でそこで封印された頭送んの!?バニラ送れば勝ってたのに!」
エリア「いやあ、現状さ。見物人も多くなってきたじゃん、だからもうちょっと引き延ばしてみようかなってね。」
今のエリアには余裕がある。そりゃ真剣勝負だったら既にヒータを熱されているはずだ。
ヒータ「甘く見てるの!?私はまともにやってるのに!」
エリア「いやヒータちゃん、もうやられそうじゃん。今はどう勝つか考えた方が良いよ。ターンエンド。」
ヒータ(うう、これじゃ負ける・・どうしよう[堕紅]「あきらめんなよ!」!!)
堕紅「お前これ初デュエルだろ!もうちょっと希望持て!」
ヒータ「え、いやでも・・。」
堕紅「ここは別世界!デッキを信じれば答えてくれる!そんなもんだろ!」
見物客が「あいつ何言ってんだ?」とざわめくが、そんなこと堕紅は気にしない。
ヒータ「・・わかったわよ!ドロー!!」
エリア「でもこれで勝てるのかな?ヒータちゃん。」
ヒータ「見てなさい!「手札抹殺」発動!お互いの手札全てを捨て、その分カードをドローする!」
手札が悪ければリセットすればいい、成功法だと思う。
ヒータ「よし!相手にだけモンスターがいるとき、「聖刻龍-トフェニドラゴン」を特殊召喚!そして、このトフェニを除外して「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン」を特殊召喚!」
「聖刻龍-トフェニドラゴン」 星6 光属性・ドラゴン族
ATK2100 DEF1400
「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン」星10 闇属性・ドラゴン族
ATK2800 DEF2400 攻撃表示
堕紅「おお!レダメか!」
ヒータ「レダメの効果、手札からドラゴン族モンスターを特殊召喚できる!来て! 青眼の白龍!」
「青眼の白龍」星8 光属性・ドラゴン族
ATK3000 DEF2500 攻撃表示
ヒータ「そして私は手札より魔法カード発動!このカードは自分の場にブルーアイズがいるとき、このターンのブルーアイズの攻撃を放棄して、相手モンスターを一掃する!行って、ブルーアイズ!「滅びのバーストストリーム(魔法)」!」
ブルーアイズの口から青い光線が放射されエクゾディオスを包み込み、光と共に消えてしまった。
エリア「っく、エクゾディオスは破壊された時除外されちゃう・・・、調子に乗りすぎちゃったみたいね。」
ヒータ「そう、私を甘くみた罰だから。バトル!レダメであんたにダイレクトアタック!ダークネス・メタルフレイム!」
エリア LP3950 → LP1150
エリア「いっ、痛っ!ぐぬぬ・・自分の場にカードがなくて、相手のカードによるダメージが発生したとき「冥府の使者ゴーズ」を手札から特殊召喚する!そして受けたダメージと同じ分の攻撃力・守備力を持った「冥府の使者カイエントークン」を特殊召喚!」
「冥府の使者ゴーズ」星7 闇属性・悪魔族
ATK2700 DEF2500 守備表示
「冥府の使者カイエントークン」星7 光属性・天使族
ATK2800 DEF2800 攻撃表示
エリア「ひとまずセーフってとこかな?」
ヒータ「固っ!?でもいいや、カードを一枚伏せターンエンド!」
エリア「・・ごめんね。」
ヒータ「え?」
エリア「調子に乗りすぎちゃって・・意外とヒータちゃんって強いんだね。」
ヒータ「(意外って・・。)ま、まあ、これぐらいなら・・ね。でもまだうまくいってる方だし、普通ならこんな回るデッキじゃないし・・。」
堕紅「おい、ヒータ。」
エリア「ならこうしようよ。私に勝てたらデッキ構築いっしょにしよう!」
ヒータ「え?いいの?」
堕紅「ヒータ、人の話をk[エリア]「だってデッキが完璧じゃないとしたら、本当の力を出せないってことでしょ?そんなのつまんないじゃん。」
ヒータ「エリア・・・ありがとう!」
堕紅「h[エリア]「うん!でも簡単には勝たせないからね!」
堕紅「・・・(放心状態)」
観客A「あ、あの、大丈夫ですか?」
堕紅「・・・僕は大丈夫なんで、ほっといてください。」
観客A「は、はあ・・。」
見物客のグループ内の一人がはぶられっぱなしの堕紅を気遣い声をかけてくれたが、その見物客には堕紅がなぜ放心状態でいる理由は分からない。今の堕紅の視界には仲直りした霊使い達が互いを認め合い、仲良くしている姿が見て取れる。この時堕紅は自分の言葉があっちの二人の耳に入らず、ただ見ているしかなかった。
エリア「よーしっ!行くよ、ドロー!私は手札から「レスキューラビット」を召喚!」
「レスキューラビット」星4 地属性・獣族
ATK300 DEF100 攻撃表示
エリア「レスキューラビットの効果発動、この子を除外してデッキから同名の通常星4以下のモンスターを二体特殊召喚する!来て!「古代のトカゲ戦士」達!」
「古代のトカゲ戦士」星4 地属性・爬虫類族
ATK1400 DEF1100 攻撃表示 ×2体
堕紅「レベル4が二体か。とすると、来るぞヒータ!」
ヒータ「うん!」
堕紅(あ、ここは反応s[エリア]「私は、二体のトカゲ戦士でオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!その眩き光で墜ちた者達を地上へと導け、「ダイガスタ・エメラル」!」
「ダイガスタ・エメラル」黒星4 風属性・岩石族
ATK1800 DEF800 攻撃表示
何の前触れもなく新しいモンスターが登場したことに観客らの歓声が響く、もはやここはデュエル場か何かと言わんばかりの盛り上がりを見せ始めた。間に入れなかった堕紅も、この歓声と二人の笑顔に心が揺れ始めていた。
堕紅「・・あいつら。」
お互いのライフは1000ポイント以下、一発通れば勝ちが決まる大事な所だ。でも今、この場にいる全員に見える光景は全ての人々を楽しませるデュエルであり、またやってる本人達も楽しみあっている。これほど一つのデュエルに多くの人々が熱中できる環境があるなんて、堕紅も良いところに送られたと初めて心から門に感謝した。
エリア「エメラルの効果発動!素材を一つ墓地に送り、墓地から通常モンスターを一体特殊召喚する!」
ヒータ「ってことは来るのね!」
エリア「わかってるようね。さて、待たせてごめんね。今、あなたの力を底上げするから、私にも力を貸して!「ゴギガ・ガガギゴ」!」
「ゴギガ・ガガギゴ」星8 水属性・爬虫類族
ATK2950 DEF2800 攻撃表示
ガガギゴ「ふう、ようやく出てこられたぜ。んで、今どんな感じだ?」
エリア「ライフが私もヒータも1000以下で、ちょっと間違ったら負けそうな感じ。行ける?」
ガガギゴ「お前が行けないって思ってたら、そもそも出させないだろ。」
エリア「あははっ、わかってるね。」
・・・ありがとう、ガガギゴ
エリア「・・行くよ!私はガガギゴに「団結の力」を装備するよ!攻撃力は・・」
「ゴギガ・ガガギゴ」
ATK2950 → ATK6150
エリア「行って、ガガギゴ!グォルズクロー!!」
ゴギガ・ガガギゴの爪がブルーアイズに向けられ、鋭い爪がギラッと光る。
観客と堕紅、エリアとヒータが息を飲んだ、その瞬間にガガギゴが走り出しブルーアイズに急接近し、その体に爪が触れ ない!!
ヒータ「っよし!これ賭けだったけど、本当に良かった!」
エリア「えっ?」
ヒータ「罠発動、「光子化」!相手モンスターの攻撃を無効にし、その相手モンスターの攻撃力分だけ自分の光属性モンスター一体の攻撃力を次の自分のエンドフェイズまで上げる!」
ガガギゴの爪は光子化による光の壁ができブルーアイズの体に当たらなかった。その後、ガガギゴの爪の輝きが一つの光の玉になりブルーアイズに吸い込まれていった。
「青眼の白龍」
ATK3000 → ATK9150
エリア「ああ・・ガガギゴ、お疲れ。」
ガガギゴ「ふん、仕方ないな。」
エリア「ええ。ヒータ、ありがとう!デッキづくり、一緒に頑張ろうね!ターンエンド!」
ヒータ「エリア・・・うん!」
ヒータの頬に一筋の涙が垂れた。もちろんそれは悲しみの涙じゃない、喜びの涙だ。
ヒータ「ドロー・・、ブルーアイズでゴギガ・ガガギゴを攻撃!滅びのバーストストリーム!!」
ブルーアイズの喉の奥から青い光が漏れだして見えた、と、その瞬間に巨大な光線がガガギゴを飲み込んでいく。それは魔法で出したバーストストリームとは比にならないほどの威力であり、ガガギゴを突き抜けて飛び出してきた光線をエリアはギリギリの所で横に回避した。
エリア LP1150 → LP0
ヒータ WIN
ポーン(終了ブザー)
ブザーが鳴りフィールドのモンスター達は消えていき、熱くなっていた観客も散り散りになっていった。堕紅は人がだいぶ減ってからヒータ達に近づいた。
堕紅「お疲れ、ヒータ。良いデュエルだっt[ヒータ]「エリア!」
エリア「痛てて、いやあ負けちゃった。やっぱ強かったんだね。」
堕紅「あの[ヒータ]「へへ、でもまだデッキが微妙だから、お願いね。」
堕紅「・・・ガガギゴ。」
堕紅に呼ばれて同じく話に入れていないガガギゴがエリアの横から出てきた。
ガガギゴ「なんだ?」
堕紅「・・先、家帰ってるっつっといてくれ。」
ガガギゴ「あ、ああ。分かった。」
堕紅には分かった。今は二人きりにしといた方が良いと(ガガギゴを除いて)。
エリア「ふふっ、じゃあデッキづくりのコツを教えるから、しっかり聞いてね、ヒータ。」
ヒータ「うん!よろしくね、エリア!」
精霊同士が意気投合した昼下がり、昨日とはまったく違う姿を見せた二人であった。