遊戯王ZEXAL ~単なる日常から強制転移~   作:妖牙=飴んぼ

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第五話 ヒータ、デュエル!

TVアナウンサー「次のニュースです。昨日の夕方ごろ、突如として動き出した暴走族により人民に避難勧告が出されました。騒ぎはしばらくして治まりましたが、ハートランドシティ中央区では謎の爆発と地割れが起こり周辺の建物が半壊するなどの事故がありました。この爆発に巻き込まれたのか、近くで暴走族の二人組らしき人物が倒れていたもようです。この二人は今も意識不明の重t」

 

 

プチッ(テレビの電源を落とす音)

 

 

電源を落とした堕紅はベッドに寝ころび首をかしげる。

 

 

堕紅「結局何だったんだ、昨日は。」

 

 

ヒータ「さあ?まさかガルドニクスが実体化するなんて。」

 

 

昨日、ガルドニクスを特殊召喚したときも、DQNたちにダイレクトアタックしたときも、派手な演出が起こっただけだと思っていた。だがデュエルが終わっても割れた地面や壊れたビルが直りはしなかった。

 

 

堕紅「ガルドニクスが急に実体化してDQNにリアルダメージを与えた、でも何でいきなり?」

 

 

ヒータ「・・ううっ。」

 

 

考え込んでいたヒータは頭を抱えながら堕紅の隣に倒れるように寝ころぶ。

 

 

堕紅「どうした?」

 

 

ヒータ「・・っんもう!考えてもつまんない!今は何も分かんないし、そのこと考えるのは後にしよう。」

 

 

堕紅「ったく。結構大事なことなのに。まったくヒータは短k・・・・・?」

 

 

堕紅がふいにヒータを見たとき、今目の前で起こっている変化をすぐに察することができた。

 

ヒータがベッドに倒れ込んでいる、それは分かる。問題はベッドに直接触れているという点だ。

 

 

堕紅「・・・ヒータ?お前、何でベッドに触れているんだ?」

 

 

ヒータ「へ?どゆこと?」

 

 

そうしてヒータが起き上がるとそれまで寝ていたベッドにはくっきりとヒータの体の跡が残っている。間違いない、今、ヒータ自身が実体化している。

 

 

ヒータ「え、嘘、何で!?」

 

 

堕紅「ヒ、ヒータ?おま・・どうやった?」

 

 

ヒータ「知らない知らない!私は何もやってないよ!」

 

 

たしかにヒータが何かをやったようには見えなかった。今はただベッドに寝そべって考えることを否定していただけなのに。

 

堕紅「何でだ・・今さっきまで物体に触れるどころか壁すり抜けるレベルだったのに。」

 

 

同様する堕紅を見てヒータもまた同様する。そのとき、「まさかっ?」みたいな表情を浮かべたヒータがベッドから飛び下りてみると、ドンッと足音を立ててカーペットに足を付ける。

 

 

ヒータ「・・・本当に実体化してる。」

 

 

堕紅「まじかよ。」

 

 

あまりにも突然すぎる、デュエル中でもないのにこんな現象が起きるなどまったくもって理解できない。

 

 

ヒータ「一体どうして・・[?]「その理由教えてあげよっか?」

 

 

聞いたことのない声がする方に二人が目を向けると、そこには青い髪の少女と青いトカゲが立っていた。

 

 

ヒータ「エリア!?いつのまに!?」

 

 

エリア「やっほ。」

 

 

堕紅「え?エリアって水霊使いの!?」

 

 

水霊使いエリア、霊使いモンスターの一枚であり水属性というだけで、効果はヒータとあまり変わりはしない。そもそも霊使い全体が属性が違うだけでステータスが変わるわけじゃない。ちなみにエリアのカードは堕紅のデッキの一つに入っている。

 

 

エリア「ねえ、ヒータってもしや精霊が自分で実体化できること知らなかったりして?」

 

 

ヒータ「ふぇっ!?」

 

 

ガガギゴ「俺たちは今さっき気づいたけど、ここなら俺たち精霊は自分で実体化できるみたいなんだよ。」

 

 

エリア「カードの中でずっと見てたけど、あの鳥(ガルドニクス)だってデュエル中に気づいたんだろうなー、自分が実体化できることに。」

 

 

ヒータ「(プルプル)・・・私が実体化したのは?」

 

 

エリア「しょうがないから私が、頑張って実体化させてあげたの。感謝してね!(ニヤッ)」

 

 

ヒータは自分がそのことに気づかないことが恥ずかしくなり、頬が赤く染まる。そして同時に目の前で「どやあ」って顔をしているエリアにいらだちを覚え始める。

 

 

ヒータ「上等じゃん・・その水分たっぷりのかわいい顔、燃やしてあげよっか?」

 

 

エリア「おやおや~?ヒータちゃん、激おこぷんぷん丸かな~?」

 

 

余裕を見せているエリアに対してヒータの怒りゲージはMAXぎりぎり、噴火寸前状態である。

 

 

堕紅「お前らおちつけ・・・じゃああれだ、やっぱデュエルで決着つけろ!」

 

 

ヒータ「!?」

 

 

エリア「よっしゃ!いいよいいよ!エリアがんばっちゃうからね。ヒータちゃんもいいよね?」

 

 

ヒータ「べ、別に構わないよ!デュエルくらい、か、簡単なんだから!」

 

 

堕紅「決まりだな。デッキの調整もあるだろうし、明日でもするか。」

 

 

エリア「OK!じゃあ私はカードの中に戻るわ!ヒータちゃんの戦略は聞かないようにしておくから、お互いがんばろうね!」

 

 

ヒータ「う、うん。絶対に負けないから!」

 

 

エリア「楽しみにしてるよ!」

 

 

そう言い残してエリアとガガギゴはカードの中に戻って行った。さっきまでうるさかった部屋は静寂に包まれ、外の小鳥の声が聞こえてくる。

 

 

ヒータ「・・・ああ、どうしよ。」

 

 

堕紅「?どうしたヒータ?」

 

 

ヒータ「・・・実は・・さ、・・あの、」

 

 

堕紅「どうしたんだよ、ただデュエルするだけだろ。別に勝ち負け気にすることはねえよ。」

 

 

ヒータ「わ、私!」

 

 

堕紅「何だよ!?」

 

 

ヒータ「やっぱいいや。」

 

 

堕紅「何だったんだよ!?」

 

 

引っ張ったかと思ったらヒータは話を切った。今のヒータには足りない物がある。そのことを堕紅に伝えたかったのだが、こんなことを言うことに抵抗してしまった。その大事な話というのは・・・

 

 

 

 

 

 

次の日

 

 

 

 

 

今日も良い天気だ、青く澄みきった空に浮かぶ雲を見ていると眠気が堕紅を襲う。

 

今回堕紅は家からさほど遠くない公園に二人を連れてきた。今日は学校が休みのためこうして午前中からゆっくりしていられた。

 

 

ゆっくり・・・寝ていたかった。

 

 

公園のベンチに座っている堕紅の目に映る二人の少女がこれからデュエルを始めるが、さっきからヒータの額から汗が流れ落ちている。たかが一回デュエルするぐらいで緊張しないと思うが、本人がどういう状況に立たされているか、堕紅は理解しなかった。

 

 

堕紅(昨日もおかしかったが今日もおかしい。もしかして、デュエルに負けるところを俺にみられるのが嫌だとか?いやいや、別に俺そんなん気にしないし、このデュエル風景見れるのは俺と遊馬と小鳥とアストラルぐらいだし・・。)

 

 

一方ヒータは足が震えて立っているのが一苦労と言ったところだ。さて、ヒータがなぜここまで緊張しているかは、もちろん訳がある。

 

 

 

 

 

ヒータ(えー・・。私・・・デッキ作るの超下手なのに・・。)

 

 

 

 

 

今回二人が使うデッキは本人がそれぞれ組んできたオリジナルデッキだ。エリアは良いデッキが完成したであろうが、ヒータの場合、本当に勝てるかどうか分からないところだ。

 

だが、もうそんなことは考えていられなかった。

 

 

エリア「ヒータちゃん!初めてのデュエルだけど手加減はなしだよ!」

 

 

ヒータ「わ、分かってるわよ!(手加減してー!)」

 

 

 

エリア&ヒータ「デュエル!!」

 

 

 

エリア「私のターン!手札から「ガガギゴ」を召喚!おねがい!」

 

 

 

「ガガギゴ」 星4 水属性・爬虫類族

ATK1850 DEF1000 攻撃表示

 

 

 

堕紅「エリアらしい、やっぱ嫁・・いや、夫モンスターか。」

 

 

エリア「ターンエンドっと。」

 

 

堕紅(あれ、伏せなし?まあ、1850あればたぶん大丈夫かもしれないけど。)

 

 

ヒータ「わわっ、私のターン!ドロー!」

 

 

脇ががら空きのドローをかまし、汗だらけの手でカードを選ぶ。これにはエリアもさすがに気づいた。

 

 

エリア「あ、どうしたの?汗だらだらだよ。」

 

 

ヒータ「ただ暑いだけよ、私は手札の「神獣王 バルバロス」の効果により、元々の攻撃力を1900にして、リリースなしで召喚!」

 

 

 

「神獣王 バルバロス」 星8 地属性・獣戦士族

ATK3000 → 1900 DEF1200 攻撃表示

 

 

 

ヒータ「バトル!バルバロスでガガギゴを攻撃!バルバランス!」

 

バルバロスが持つ槍がガガギゴの胸を貫く。

 

 

 

エリア LP4000 → LP3950

 

 

 

エリア「あっ!ガガギゴ!」

 

 

ヒータ「そんなモンスターで私に太刀打ちできると思った?ターンエンドよ。」

 

 

堕紅(攻撃力800が何を言うか・・。)

 

 

1900というアレキサンドで殺せるモンスターだが、今のヒータにとっては救世主だった。

 

さっき言った通り、ヒータはデッキを作るのが超下手だ。だから今の手札がブルーアイズとかリボルバー・ドラゴンとかいう上級ばかりで詰んでいた。場に伏せるカードが手札に来るわけもなく、意地張ってターンを終了した。

 

 

ヒータ「ふふっ。その程度だったの?エ・リ・ア・ちゃん?」

 

 

エリア「そう言っていられるのも今の内だからね!ドロー!」

 

 

エリアの渾身のドローが風を切る。そうして引いたカードはヒータも、ベンチでだらけている堕紅の予想の斜め上を行った物だった。

 

 

エリア「このモンスターを特殊召喚する場合、墓地のモンスターを全てデッキに戻す!」

 

 

ヒータ「デッキに?なあに、ガガギゴがいなくて恋しくなっちゃったの?」

 

 

堕紅(あれ?なんか嫌な予感が・・?)

 

 

 

 

その予感は的中した。

 

 

 

 

エリア「仲間の魂と思いを胸に、自らの力で勝利を掴め!!現れろ!「究極封印神 エクゾディオス」!」

 

 

 

「究極封印神 エクゾディオス」 星10 闇属性・魔法使い族

ATK? DEF0 攻撃表示

 

 

 

堕紅「は!?」

 

 

眠りかけていた堕紅の目がはっきり覚めるほどの出来事だった。

 

ガガギゴが出てきて破壊されて、エリアが少し怒ったと思ったら究極封印神がでてきたのだから。

 

 

堕紅(どういうデッキだ?やはり特殊勝利狙い・・いや、まさか。)

 

 

ヒータ「へえ、強そうなモンスターじゃん(怖い)、でも攻撃力が0じゃなあ。」

 

 

エリア「エクゾディオスは私の墓地の通常モンスター一体につき、1000ポイント攻撃力が上がるの!」

 

 

ヒータ「どっちにせよ、あなたの墓地には何もいない。残念だったわね(はあ、助かった)。」

 

 

エリア「・・・だーくー!ヒータちゃんにフォローしてあげて!!」

 

 

堕紅「・・・ヒータ、次の攻撃は絶対避けろ。」

 

 

ヒータ「え?」

 

 

エリア「手札からガガギゴを墓地に送り、「スネーク・レイン」発動!デッキから爬虫類族モンスターを四体墓地に送るよ。」

 

 

ヒータ「墓地に四体も?・・・あ。」

 

 

エリア「私は墓地に送るのは、「ギゴバイト」、「ガガギゴ」、「ギガ・ガガギゴ」、「ゴギガ・ガガギゴ」。」

 

 

手札コストのガガギゴも合わせて五体の通常モンスターが墓地に行った。そしてその数につき、場のエクゾディオスの筋肉が倍増する。

 

 

 

「究極封印神 エクゾディオス」

ATK? → ATK5000

 

 

 

ヒータ「うえええ!?」

 

 

エリア「さあ。ここからが本番だよ。ヒ・イ・タ・ちゃん。」

 


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