遊戯王ZEXAL ~単なる日常から強制転移~   作:妖牙=飴んぼ

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第九話 江戸の武士

アナウンサー「えー、ただいま情報が入ってきました。早朝から空を埋めつくすようにいたカラスの巨群が、先程姿を消した模様です。理由はまだ分かっておりませんが、ソリッドビジョンの不具合によるものとして捜査されておりm」

 

 

プチッ(テレビの電源を落とす音)

 

 

キャッシー「じゃあ、あのカラスはソリッドビジョンの不具合で出ていたのね。」

 

 

堕紅(コクリ)

 

 

鉄男「それで、堕紅のところでは、別のモンスターがいるように見えていたってことか。」

 

 

堕紅(コクリ)

 

 

徳之助「にしてもびっくりしたウラ。ソリッドビジョンには見えないほどリアルに見えた気がしたウラ。」

 

 

堕紅「イヤーホントビックリシタヨー。ソレミテハキケオコシチャッタノダヨー。」

 

 

堕紅はそうごまかしながら「トゲトゲ神の殺虫剤」をポケットにしまった。

 

 

遊馬「とにかくお前が元気で良かったぜ!いきなり欠席なんてどうしちまったと思ったからな!」

 

 

堕紅「ははっ、心配かけたな。んで、そちらは誰だ?」

 

 

堕紅が首を向けた方には教室では見なかった生徒がいた。

 

 

真月「ああっ、申し遅れました。今日転校してきました、真月零です。よろしくお願いします!」

 

 

堕紅「律儀な奴だな、もうちょっとゆっくりしていいんだぞ。」

 

 

真月「いえいえ、僕は大丈夫です。」

 

 

堕紅「そ、そうか、ならいいが・・・」

 

 

真月零。見た感じは明るくて、中学ならクラスの人気者にでもなれそうな雰囲気だ。

 

でも、こいつの本当の名は真月零じゃない。バリアン世界の住人であり、遊戯王シリーズでは俺の知る限り五本の指に入るほどのゲスさを持つデュエリスト、ベクター。

 

最初に見たときから何らか裏があるとは思っていたが、あんな濃いキャラになるとは思わなかった。

 

 

ヒータ(・・・)

 

 

堕紅(・・・)

 

 

真月(・・・・・)

 

 

ヒータ「堕紅、見られてる。」

 

 

堕紅「・・・(小声)見られてるな。」

 

 

今、真月の視線はヒータに向けられている。真月自身は何も見えないように話しかけてくるが、演技なのは間違いないだろう。

 

あと、この場でヒータが見えているのは遊馬、アストラル、小鳥、真月のみだろうか。実際小鳥の方もちらちらヒータを見ている。ヒータがちょっと小鳥に手を振って答えるとびくっと震えて苦笑いをした。

 

 

真月「ところで遊馬君から聞いたのですけど、堕紅君ってデュエル強いそうですね。」

 

 

堕紅「ああ、自信はあるけど。」

 

 

鉄男「お!じゃあ俺と勝負しようぜ!お前の実力確かめてやるよ!」

 

 

キャッシー「ちょっと!まだ堕紅君も病み上がりなんだから無理にさせちゃ駄目でしょ。」

 

 

別に風引いてるわけじゃないからデュエルくらい問題ない。相手が虫野郎じゃゃなければ胃液が出ることはまずない。

 

 

堕紅「おっけ、外でやろうぜ鉄男。」

 

 

鉄男「よっしゃ!」

 

 

そうして皆は外へ駆けだしていった。一足遅れて小鳥が部屋から出て行く時、彼女はふと思った。

 

 

小鳥(あれ?鉄男君、いつ堕紅君に名前教えたんだろう?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕紅&鉄男「デュエル!」

 

 

いつものようにデュエルフィールドが展開されていく。

 

 

鉄男「っておい!お前Dゲイザーはどうした!?」

 

 

堕紅「ああ、俺Dゲイザーなくても見えるから。」

 

 

鉄男「カイトみたいなやつか、まあいい。俺のターン!俺は「UFOタートル」を攻撃表示で召喚!」

 

 

 

「UFOタートル」星4 炎属性・機械族

ATK1400 DEF1200 攻撃表示

 

 

 

鉄男「ターンエンド。さあ、どれだけ強いのか見てやるぜ!」

 

 

小鳥「もう、調子に乗っちゃって。」

 

 

徳之助「そういえば堕紅はどんなデュエルをするウラ?」

 

 

俺のデュエルはいつも通り、自然にエクシーズして苦戦する感じをして、強いがごく普通のデュエリストを維持する。いきなり融合やシンクロをすると怪しまれるからだ。

 

 

堕紅「いいだろう、ドロー・・・!?」

 

 

この時堕紅は気づいた。隣にいたヒータも気づいた。どのタイミングで間違えたのだろう、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デッキが違う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドローカードは「真六武衆-キザン」だった。

 

 

堕紅「・・・(小声)やっちまった。」

 

 

ヒータ「・・・・」

 

 

このデッキはこちらに来てから作ったデッキであり、元から持っていたデッキではない。あの門から大量のカードをもらったわけだから気になっていた六武のデッキを作り、部屋の角に置いていた。

 

 

ヒータ「ま、まあ、シンクロさえしなければバレナイバレナイ(汗)」

 

 

堕紅「・・・ま、いいか(あ、ワンキルできるけど、あまり早すぎてもなあ・・)・・俺は魔法カード「紫炎の狼煙」の効果でデッキからレベル3以下の「六武衆」モンスターを手札に加える。俺は「六武衆のご隠居」を手札に加え、相手のフィールドのみにモンスターが存在するからご隠居を特殊召喚する。」

 

 

 

「六武衆のご隠居」星3 地属性・戦士族

ATK400 DEF0 守備表示

 

 

 

遊馬「え、おい堕紅!?六武衆ってなんだよ!?」

 

 

小鳥「遊馬はあのデッキと戦ったんじゃないの?」

 

 

遊馬「違うんだって!俺はもっと燃えてるモンスターとデュエルしたんだよ!」

 

 

鉄男「ほお、遊馬も相手してないデッキか。なら俺が遊馬とデュエルする前に勝ってやろうじゃん!」

 

 

遊馬「鉄男~(泣)」

 

 

堕紅「続いて俺は「真六武衆-カゲキ」を召喚、カゲキの効果で手札から「真六武衆-エニシ」を特殊召喚。」

 

 

 

「真六武衆-カゲキ」星3 風属性・戦士族

ATK200 DEF2000 攻撃表示

 

 

 

「真六武衆-エニシ」星4 光属性・戦士族

ATK1700 DEF700 攻撃表示

 

 

 

鉄男「一気にモンスターが三体だと!?」

 

 

孝「とどのつまり、すごい展開力です!」

 

 

アストラル「・・レベル3のモンスターが二体、来るか?」

 

 

堕紅「俺はレベル3のご隠居とカゲキでオーバーレイネットワークを構築!古代の獰猛な獣よ、その熱き牙で敵を喰え!エクシーズ召喚!現れよ!「グレンザウルス」!」

 

 

 

「グレンザウルス」黒星3 炎属性・恐竜族

ATK2000 DEF1900 攻撃表示

 

 

 

アストラル「ナンバーズじゃなかったか。」

 

 

鉄男「攻撃力2000のエクシーズ!」

 

 

堕紅「バトル!グレンザウルスでUFOタートルを攻撃!グレンファング!」

 

 

 

鉄男 LP4000 → LP3400

 

 

 

鉄男「っく!これくらい大丈夫だぜ!」

 

 

堕紅「相手モンスターを破壊したときグレンザウルスの効果発動。オーバーレイユニットを一つ使い、相手に1000のダメージを与える!ほらもっと熱くなれよおおおお!!」

 

 

 

鉄男 LP3400 → LP2400

 

 

 

鉄男「ぐああっ!ゆ、UFOタートルが戦闘で破壊されたとき、デッキから攻撃力1500以下の炎属性モンスターを特殊召喚できる。俺はまたUFOタートルを召喚!」

 

 

 

「UFOタートル」星4 炎属性・機械族

ATK1400 DEF1200 攻撃表示

 

 

 

遊馬「鉄男!攻撃表示で出したら、またダメージ受けちまうだろ!」

 

 

アストラル「遊馬。UFOタートルで特殊召喚したモンスターは必ず攻撃表示になるんだ。」

 

 

遊馬「あ、そうなんだ(汗)。」

 

 

堕紅「(遊馬、そんなことも知らないのか・・・)よし!二体目のUFOタートルにエニシで攻撃!斬り払え!」

 

 

 

鉄男LP2400 → LP2100

 

 

 

鉄男「っくう!・・UFOタートルの効果で三体目のUFOタートルを特殊召喚。」

 

 

 

「UFOタートル」星4 炎属性・機械族

ATK1400 DEF1200 攻撃表示

 

 

 

キャッシー「何であそこまでUFOタートルを出そうとするの?」

 

 

真月「さあ・・どうなのでしょうか。」

 

 

堕紅「俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド。」

 

 

鉄男「・・・たった1ターンで俺のライフを半分まで削るなんてな。遊馬の言う通りなかなか手強い奴だったな。」

 

 

ほめてくれるのはとてもありがたいが、手札にある「六武の門」と「六武衆の結束」が発動してたらこう優しくはいかなかっただろう。

 

 

鉄男「でもそう簡単に俺を倒せると思うな!俺のターン!」

 

 

渾身のドロー、鉄男の声がその場に響きわたる。

 

 

遊馬「鉄男はどうやって巻き返すつもりなんだ?」

 

 

鉄男「俺は「ブリキンギョ」を召喚!」

 

 

 

「ブリキンギョ」星4 水属性・機械族

ATK800 DEF2000 攻撃表示

 

 

 

鉄男「ブリキンギョの効果発動!手札のレベル4モンスター、「アイアイアン」を特殊召喚する。」

 

 

 

「アイアイアン」星4 地属性・機械族

ATK1600 DEF1800 攻撃表示

 

 

 

アストラル「レベル4が三体・・来るか。」

 

 

鉄男「俺はレベル4のUFOタートル、ブリキンギョ、アイアイアンの三体でオーバーレイ!ブリキの王よ、いまここに来い!エクシーズ召喚!「ブリキの大公」!」

 

 

 

「ブリキの大公」黒星4 地属性・機械族

ATK2200 DEF1200 攻撃表示

 

 

 

鉄男「バトル!ブリキの大公でグレンザウルスを攻撃!大公の一撃!」

 

 

 

堕紅 LP4000 → LP3800

 

 

 

堕紅「くっ!グレンザウルスが!」

 

 

鉄男「よし!カードを一枚伏せ、ターンエンド!」

 

 

ブリキの大公は堕紅のモンスターの表示形式を変更することができる。しかもその効果は相手ターンにも使うことが可能であるため、実質攻撃を一回防がれると考えておいた方が身のためかもしれない。

 

 

堕紅「俺のターン、ドロー・・・勝った!」

 

 

鉄男「なに!?」

 

 

堕紅「俺は手札の「六武の門」を発動!そして、「真六武衆-ミズホ」を召喚!」

 

 

 

「真六武衆-ミズホ」星3 炎属性・戦士族

ATK1600 DEF1000 攻撃表示

 

 

 

堕紅「そして「六部衆」モンスターが召喚、特殊召喚されたときに門に武士道カウンターを2個乗せる。」

 

 

 

「六部の門」武士道カウンター 0 → 2

 

 

 

堕紅「ミズホの効果発動!フィールドのエニシをリリースすることでカードを一枚破壊する!」

 

 

鉄男「なんだと!?」

 

 

堕紅「対象はブリキの大公!闇討ち!」

 

 

ブリキの大公はミズホの刀により横から腹を切られ倒れてしまう。

 

 

鉄男「っく、(俺の伏せは突進・・もう使えないが攻撃力1600ならなんとか耐えきれる!)。」

 

 

堕紅「・・・鉄男、お前結構強いじゃん。」

 

 

鉄男「へへっ、お前もな。堕紅。俺はここで耐えて、次のターンで巻き返してやるぜ。」

 

 

堕紅「ああ、だが悪いな。俺はここで勝つ!門の武士道カウンターを任意の数取り除き効果を発動させる!俺は武士道カウンターを2個取り除き、ミズホの攻撃力を500上げる!」

 

 

 

「六武の門」武士道カウンター 2 → 0

 

 

 

「真六武衆-ミズホ」

ATK1600 → ATK2100

 

 

 

鉄男「攻撃力2100だと!?」

 

 

堕紅「バトル!ミズホで鉄男にダイレクトアタック!追い打ち!」

 

 

鉄男「っぐ、ぐわああああああ!!」

 

 

 

鉄男 LP2100 → LP0

 

 

 

 

 

 

 

 

堕紅 win

 

 

 

 

 

 

 

ポーン(終了ブザー)

 

 

 

 

 

鉄男「なんだよ、お前すっげえ強いじゃん。」

 

 

鉄男は寝ころびながら呟いた。

 

 

堕紅「いやいや、まだ序の口ってところだよ。またやろうぜ。」

 

 

堕紅は寝ころんだ鉄男に手を差し出した。

 

 

堕紅「良いデュエルだった。」

 

 

鉄男「・・・ああ。」

 

 

鉄男は堕紅の手をしっかり握った。

 

 

真月「いやー、堕紅君強いですね。驚いちゃいましたよ!」

 

 

堕紅「そっか!そんなに驚いてくれたか、いやあ満足満足w」

 

 

敵とはいえ、こうやって驚いてくれるのはとてもうれしい。やっぱ「魔法の筒」で終わらせなくて良かったと思う堕紅であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は堕紅がもう大丈夫だと分かり、日も落ち欠けてきたことだし、今日はもう帰ることになった。

 

 

遊馬「んじゃ!明日は学校来いよ!待ってるからな!」

 

 

堕紅「ああ、必ず行くよ!じゃあな!」

 

 

そうして皆はそれぞれの家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕紅「さてと、話をしよう、真月。」

 

 

全員が帰った中、真月だけがその場に残っていた。

 

 

真月「どうしたの堕紅君?僕に聞きたいことって?」

 

 

堕紅「いやあ、そのね・・・

 

 

 

 

 

 

 

・・・見えるんだろ?」

 

 

真月(・・・・・・・ほう。)

 

 

 

 

 

真月の顔に薄気味悪い笑みが浮かんだ。

 


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