超平和主義鎮守府   作:たかすあばた

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バレンタインインインインイン…


第14話 青葉のバレンタインインタビュー

『はい、というわけでインタビューを始めていきたいと思いますけども、司令官本日はどうぞよろしくお願いいたします』

『あ、いやこちらこそよろしくお願いします』

『えー、本日はですね、普段接している艦娘の皆さんのこの、印象というのを艦種別に聞いていこうというわけですけども司令官、まずは駆逐艦の皆さんの印象から聞いていこうかと思いますが』

『駆逐艦ねー。可愛い。何と言っても』

駆逐艦達がおおっと身を乗り出す。しかし、志庵の解答は期待とは違うものだった。

『みんな無邪気で心が和むよね。裏表もあまりないし。如月とかも、よく考えればああいうやつ小学校にも時々いたしね。妙に色気あるやつ』

そういうことか…とため息。

『あー、それは青葉も同感です。なんだか微笑ましいですよね。彼女達に話を聞いてる時は子供の成長でも記録している気分です』

『子供って、随分子沢山だな?父親誰だよ』

『へ!?だ、誰になるんでしょうねー、あ、と、つ、次いきましょうか!軽巡の皆さん!』

艦娘みんなから イラァ と聞こえそうだ。

『軽巡はねぇ…なんだろうな。わかんない』

「えー?」

と漏らしたのは川内。

『わ、わかりませんか…何かないんですか?天龍さんが気になるとか』

「な、なんでそこで俺なんだよ!?」

『な、なんでそこで天龍なんだよ』

天龍のツッコミは志庵とハモり、冷たい視線が注がれる。

『なんだろうね、幼馴染みたいな感覚なのかな。それか兄妹か。距離感が近すぎてなんとも思わないというか…時々私服を見て可愛いとも思うけど、それ艦娘全体に言えることだからね』

『成る程…苦労しそうですね〜』

『何が?』

『いえいえ、気にしないでいいですよ。さて、それでは重巡参りましょうか』

「幼馴染み…でも、そこから始まることもあるって歌にあったな…」

那珂がモジモジしながら呟く。

『重巡か…最近思ったんだけどね、俺、船の中でもしかしたら重巡が一番好きかもしれない』

「ほぁ!?」

「えっ!?」

『え!?』

食堂の至る所から驚く声が聞こえてくる。それは自分も重巡である青葉も同じだった。

「WATS!何故ねテイトク!」

「そうだ、指揮を取るものにとって、戦艦の高い火力は魅力そのものの筈だ!」

『あ、それまた何で…?』

『いや多分ね、ああ言うその気になったらなんでも出来る…火力もそこそこあって、機動力もあるし、艦載機積めるでしょ。ああ言うオールラウンダータイプみたいのが好きなんだと思う。器用貧乏とも言っちゃえるかもしれないけどね』

『そういえば、利根さんや那智さんや加古さんの三人は入れ替わりでずっと第1艦隊にいますね。利根さんは旗艦ですし』

『これねぇ、俺の勝手な思い入れなんだけど、2-1くらいからかな…そろそろね、重巡も火力不足かなぁなんて思い始めた頃ね、そこから3海域のボスの旗艦を利根が仕留めてるんだよね。2-1の時は1回目の出撃で』

「あの時の戦いをまだ覚えておるのか…」

「利根姉さん、顔がニヤついてるわよ?」

『へえ!それは凄いですね!』

『あれはちょっと、変な話だけど、惚れたよね。心動かされたっていうか』

『へ!?惚れたんですか!?』

「ひゃっ!?」

利根の顔が真っ赤になり、先の天龍の時より冷たい視線が注がれる。

『いや、そんなマジに捉えないでね。言葉遊びみたいなもんだから』

「あ、そそそんなことはわかっておるわ!ばば、馬鹿者!」

「利根さ〜ん?テレビに向かってそんなに叫んでも聞こえないわよ〜?」

『あ、で、ですよね。アハハハ…』

『那智はね、本当に偶然なんだけど、何気なく渡した装備でたまたま弾着観測射撃が発生して』

『ああ、那智さんよくやってますね』

「ああ、私のアレか」

「そうですね、那智さんがやってるのはよく見かけますわ」

度々第1艦隊で一緒になる那智と榛名が話す。

『あれ初めて見て、本当にかっこよくて(笑)!あれが見たくて、主力に置いたの!』

「ふふ、提督は力自慢よりも技巧派が好み…ということかな」

「ヘイ那智、お前あとで表出るネ」

『あと、那智は地味に声が好き』

「ふぁっ!?」

『声、ですか?』

『あの戦ってる時とか、喉から唸るような感じ?なんか熱くなるんだよね』

「ふ、ふふふ…そうか、私の声が…」

「おい那智貴様、後で表に出ると良い」

この一瞬で多くの敵を作った那智。長門の脅迫を余所に、インタビューは続く。

『はぇー。加古さんは?』

『加古は、利根の次にウチにずっといる重巡なんだけど、那智が来て、たまたま試しに第1艦隊で使ってみた時に弾着観測射撃が発動して。見た目もそうだけど、やっぱり強いんだよねアレ。それでそのまま主力に定着して』

『それはちょっと…加古さん不憫じゃないですか?』

「うん、少し寂しかったなー…」

『俺も付き合い長かったし、それまで頼りにしてたからどうにかしてあげたいなーって思ってて。それで他の子のレベリングに付き合わせて出撃させた時に、そう言えばと思って試しに主砲と、艦載機と機銃を持たせてみたら、上手い具合に弾着観測射撃が発動して』

『ああー。それで』

『うん、そこから、必要に応じて三人でシフトする感じになったの』

『成る程成る程そうですか…同じ重巡として負けてられませんねぇ…』

「僕も艦載機と機銃を積んだら提督に気に入ってもらえるかな…?」

「ふふ、わたくしも負けてられないわ。まずは第2第3艦隊のレギュラー入りを目指さないとね」

最上と熊野がなにやら燃えている。

『そうだね、まあ弾着観測だけで判断しちゃいないからね。青葉も何かあっと言わせるような強みがあれば、第1に回れるかも知んないからね』

『はい。さて!次は戦艦の皆さんについてですが!』

『あー…戦艦と言えば、一人気になってる奴が居んだけどさ』

一気に食堂が騒つく。

『ほう!気になっているというのは!?』

『あ、いや、別に変な意味じゃなくて。陸奥のことなんだけどさ』

「あらあら、私?」

『青葉、あいつが普段不幸な目に遭ってるところって、見たことある?』

『え?いえ…すみません、青葉、取材不足です』

『いやいやいや、別に良いんだけどさ。いや、あいつの性能表に、「運 3」て書いてあるのが、俺どうにも信じらんなくてさ…』

『あー…確かに、出撃後に大破してるところも余り見かけませんね』

『だしょ?あ、噛んじゃった』

『あはは』

『ふふ…うん、ね。大破しないし、それどころかMVPも良くとるし。だからあいつの間宮割引チケット、若干消費が早いんだよね。もしかしたら俺の運の良さが…相殺?してるのかもしれないけど(笑)』

『司令官は運が良い方なんですか?』

『うん、運はメチャクチャ良い。子供の頃二回くらい死にかけてるし』

『…それは不運と言えるのでは無いでしょうか…』

『いや、幸運だよ。生きてるし』

『成る程深いですね…では最後に、空母の皆さん参りましょうか』

「私、提督に守られてるってことなのかしら…なんだか嬉しいわ」

「くそ…間宮に入り浸って太ってしまえ」

となりで嬉しそうに頬を赤くする妹を見て、長門は心底悔しそうにしている。

「生きていることは…幸せなのね」

「扶桑姉さん…」

『空母はねー、最初は確か、敵に空母が出てきたから急いで一隻作り上げたんだよね』

『そうなんですか。確か隼鷹さんですよね。最古参』

『そうそう。一発目の建造で隼鷹が来てくれたの。あれは嬉しかった。今は耐久性の都合で第1艦隊から退いてもらってるけど…いつか加古みたいに戻ってこれるの期待してるよ』

『やはり、思い入れですか?』

『思い入れは強いねー。初めて目にした空母の力だったからね。それに素直で良い子だし』

皆がチラリと隼鷹を見て、隼鷹は「ニヒヒ」と返す。

『そうですね…確かに素直ですよね、色々と』

『はは…酒はもう少し自重して欲しいけどね。ああ、当然、重巡もそうだけど…今たまたま名前出てこなかっただけで他のみんなも大切に思ってるからね』

『わかってますよそんなこと〜。あ。せっかくの機会ですし、妖精さん達についても伺ってよろしいですか?』

辺りで暇そうにしていた妖精達がわあっとテレビ前に集まってきた。中にはセレンもいる。

『妖精さんかぁ(笑)。あの子達はね…尊敬の対象』

『尊敬…まあ、当然わかりますけど、一応理由を聞きましょうか』

『うん、これは妖精さんにも伝えて欲しいな。まあまずは技術。艦娘達の個性に合わせた調整だとか、装備の開発だとか、初めて来る子に対しても難なくこなしちゃうからね。努力なのか経験なのか、不思議だし、アレが無いと俺たちもやっていけないから大事だし、やっぱり敬わなきゃいけないと思う』

妖精はみんな、エッヘンと言わんばかりに胸を張ったり、腕を組んで頷いたり。

『青葉、アレびっくりしました。あの司令官が使ったデッカいロケットみたいな…』

『VOB?』

『そう、それです!』

『アレねー。アレは凄かったね…だってあれ、全部口頭で伝えたんだよ?「こんな感じ」って言うだけのを』

『いやー、なんなんでしょうね』

『何なんだろうねアレね。凄いけどやっぱり謎だよね。まあ、他にも明石との仲介になってくれたり、艦娘達の装備を動かしてくれたり…やっぱり彼ら…彼女らか。がいて俺ら成り立ってるよね』

『…以上がまあ、妖精さんの印象…ということで、よろしいですか?』

『あー、あと一個気になってるんだけど、いい?』

『ええ、どうぞ』

『セレンさんなんだけど』

ピョコンと、セレンが鼻息荒く、テレビの正面にいる金剛の肩に乗る。

『最初の頃はさ、オペレーター然とした…凜とした感じだったんだけどね?』

『だけど…ですか』

『いや、丁度「レイヴン事件」の頃からかな。ちょっとヘンなんだよね。いつも肩に乗ってくるようになって、それは良いんだけど、他の艦娘と話してるとなんかブツブツ言ってたり、つねられたりして…』

『ほうほう、それは誰と話していても?』

『なんかヤケに楽しそうだな…?いや、誰でもじゃ…あ、でも、みんなを褒めるとなんだか不機嫌になって…そういう時にかな。なんだと思う?』

一同の視線がセレンに集まる。

「な、何を見ている貴様ら?ま、全く何を言っているんだ志庵は、良い加減なことを言うのも大概にして欲しいものだな」

『いや〜、なんなんでしょうね?青葉にもちょーっとわかりませんな』

『そんな感じの顔には見えないけど…まあいいや、そんなところかな』

『はい、では、質問は以上ですけども、最後に何か、艦娘の皆さんにメッセージなんか頂ければ…』

『あー、…なんだろうな。えー、この鎮守府も、俺が来てから2年目に入りました。俺が来る以前にはね、何人か、沈んでしまった仲間もいたようだけど…そういう辛い過去もあれば、まぁお出かけしたとか、誰かが何かして怒られたとか、そういった温かい思い出とか、色んな皆の色んな出来事があって今のところね、俺が来てからは誰一人欠けることなくやってこれました。これは本当に、俺がいたからできたんじゃないし、青葉ががいたから、利根がいたから、そういうことじゃなくて、誰か一人が、何か違っていたら、もしかするとこんなに楽しくやれてなかったかもしれない。今いるこの鎮守府のすべての要素、それが色々と合わさった結果が「今」なんだということ。これをどうか忘れずにね、これからも、誰一人欠けることがなければ、きっとこの先も楽しくやっていけると思いますから、くれぐれも、努力を忘れずに。強くなる努力、生きる努力、楽しむ努力、それに程よく息を抜く努力を忘れないで、これからも頑張って行ってください。以上です』

『…はい。本日は貴重なお時間を頂き、それと素敵なお言葉、誠にありがとうございました!』

『いや、こちらこそ、普段口にしないようなこと言えて楽しかったです、ありがとうございました』

『あ、それでですね、じつはまだお聞きしたいことがありまして、少し資料を取りに行ってよろしいでしょうか』

『ん?いいけど』

そう言って青葉がスタジオを出る。テレビ越しに見ていた艦娘達は、それを合図に一斉に食堂を後にした。

 

 

青葉が出て行った扉の方を見ながら、志庵はボーッと考えていた。

 

いい奴らだよなぁ、本当に。みんなの練度ってちゃんと偏りなく上げられてたかな。隼鷹はそろそろ近代化改修進んできたかな。N-WGIX/Vももういないんだし、第1の編成も空母を入れてバランス重視に戻しても…

 

コンコンとノックが鳴る。青葉が戻ってきたと思い、志庵は返事をした。

「どーぞー」

しかし、中々入ってこない、耳を澄ませると、言い争いが聞こえてきた。

「どけ!貴様は先ほど褒められたんだから満足だろう!せめて、せめてチョコは私が一番に渡すのだ!」

「な、なにを言う!旗艦なのだから我輩が最初に入りことの次第を伝えるのは当然であろう!」

「OK,OK、せいぜいその重巡抑えとくネ長門!」

「待ちなさいあんたら!そんなにガツガツ入ってったら変態クソ提督がびっくりするじゃない!」

「うふふ、天龍ちゃん、殿は任せなさ〜い」

「お前そんなこと言って、一足先にチョコ渡す気だろ!」

バタバタバタと、艦娘達が雪崩れ込んできた。しかし、互いに足を引っ張り合い団子になっている。その中から、小さい影が一つ、更により小さい影が一つ飛び出してきた。

「おっそーい」

「あ、ま、待て!」

島風が駆け足で志庵に近づいてくる。

「ハイこれ。バレンタインチョコ」

「あ、ああ。サンキュ」

それに並び、セレンさんも小さな包みを差し出してくる。

「まあ、その、あまり気にしないでくれ。私からも義理チョコだ」

「セレンは本命じゃないの?」

島風から思わぬ言葉がとび、志庵は変な声を出す。

「へ!?」

「き、貴様何を言う!ち、違うぞ!断じて違う!」

セレンも狼狽える。

「小さい体で、一口サイズまで頑張って大きくしてたくせに」

「え、これ…手作り…?」

「そ、そそそそそそれは!その一応女性として義理でも手作りはスキルとして大事かとおもって!ほ、本当だ!誰が貴様に本命など」

それを見ていて、志庵はクスリとわらう。

「わかってますよ。でも」

志庵はセレンをひょいと持ち上げて手のひらに載せる。

「嘘でも結構嬉しかったです。チョコ、ありがとうございます」

「あ…う、うん…」

セレンは顔を俯けて、消え入りそうな声で答えた。

「意気地なしね」

「何が?」

「提督よ!我輩からもチョコじゃ!受け取れ!」

団子から抜け出したらしい利根がチョコを差し出してきた。

「まあ、日頃世話になっておるからの」

その他にも、包みを持った艦娘達が志庵を取り囲んでいた。

「やーっと渡せたわ、司令官!もっと素直になっていいんだから!去年のバレンタインは残念だったんだから」

「ああ、ごめん雷…」

「ほら、受けとれよ…義理だけど、頑張って手作りしたんだからよ」

天龍はボーダーのシャツに細身のジーンズという、引き締まった身体がよくわかる服を着ている。

「お、おう。ありがと」

「おお〜天龍さん、そうきましたか〜。それは司令官の好みを研究されて…」

「あん?」

「あはは…あ、司令官、青葉からもインタビューに答えていただいたお礼です!私も手作りしたんですよー」

「お前〜、嘘つきやがったな?何が『極秘インタビュー』だよ」

「おーす提督。本当はウイスキーボンボンにでもしようと思ったんだけどね。提督の好みに合わせてあげたよ」

「隼鷹も、もしかしてインタビュー聞いてた?」

「モッチローン!提督、あたしゃいつでも心の準備できてるからね〜?」

「ほら、クソ提督」

「あれ?曙、お前呼び方…」

「何?変態って言われたい?」

「いえ、せめて変態は勘弁してください」

「ならとっとと受け取りなさい。私たちがバレンタインチョコ渡すような男なんて、アンタくらいしかいないんだから」

「そうよ!バレンタインにチョコを作るのもレディの嗜みなんだから!」

「たまには友チョコ以外も作りたいのだよ」

「何か言うことがあるんじゃないかしら〜?」

「あー…」

この状況で責められることって言ったら…

「去年のバレンタインは…なんか、みんなごめん」

「はい。良いですよ〜。じゃあこれ、私からね〜」

再び、扉がノックされる。

「?誰だろ。どうぞー」

入ってきたのは、港湾棲姫だった。戦艦棲姫に背中を押されてる。

「ア、 アノ…」

「ホラホラ、怖気付イテナイデ」

「おーう。どした?」

「ア、 ソノ、チョコ、受ケ取ッテクダサイ!」

港湾も、可愛らしくラッピングされたチョコを差し出す。

「何、わざわざ持ってきてくれたの?ありがとう」

志庵がチョコを受け取ると、港湾は嬉しそうに小さく跳ねる。利根達は、直感した。

「青葉、お主わかっておるな…?」

「ええ、私もマズイ情報の区別くらい付きます。しかし、司令官も罪な人ですね」

「ホラ、私カラモ感謝ノ印ダ」

喜ぶ港湾の後ろから、戦艦もチョコを差し出してくる。

「感謝?なんの」

「日頃ノ付キ合イダ。私個人カラモ礼ガシタイト思ッテイタトコロデナ」

「まじか。そりゃわざわざどうも」

「気ニスルナ。コノ子達モ渡シタガッテイタカラナ」

「利根オ姉チャン!会イタカッタ!」

「天龍!今日ハオ礼置キニ来タ!」

ヲ級幼体やホッポがわらわらと現れた。

「おお、お前達か。よく来たの」

「よう、ホッポじゃねーか!」

「「ハッピーバレンタイン!」」

子供達が懐から取り出したのはチョコレート…ではなく、ウニ、アワビ、ツブ、サザエ、タカアシガニいや待てそれどこから取り出した、などなど。

「あはは…」

どこからか乾いた笑いが。まあ、バレンタインというよりお歳暮とかそんな感じの内容だしね。まあ、彼女達なりの気持ちだろう。

「礼を言おう。また困ったことがあればいつでも呼ぶが良いぞ」

「ウン!」

「せっかくだし、少し遊んでいったらどうだ?なあ、提督」

「ん?そうだな。いいよ、ゆっくりしてって」

「ワーイ!」

「イイノカ?」

港湾がオドオドと尋ねてくる。

「気にしないで、今日は元々休みだったし」

「ナラ、オ言葉ニ甘エルトシヨウ」

「そういえば、戦艦も料理するんだっけ?」

「あ、待ってよ志庵、私にもかまって!」

いつも通り肩にセレンを乗せ、港湾や戦艦と話しながら部屋を出ようとする志庵を島風が追いかけていく。

「のう、青葉よ」

「はい、何ですか?」

「礼を言うぞ、あやつに気持ちを伝えることができた」

「ふふ、やはり本命チョコでしたか?」

「…そうじゃな。1番に感謝を伝えたい相手、そういう意味では本命に違いない」

「もう、素直じゃありませんね」

「お主に言われたくはないのう」

 

因みに、この時のインタビューを載せた青葉新聞は自身最多発行部数を記録したそうな。

 


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