協定を結んでいるとはいえ、深海棲艦とのガチの戦闘が全くないわけではない。自分たちの縄張りを持たず、海域をまたいで放浪し、燃料などを強奪して生活する海賊のような連中がいるからだ。時にはレ級とかの戦艦も海賊行為を行うため、日々の訓練は欠かせない−−。
「ああもう、当たらないわ!」
「大井っち、そっちから誘い込んで」
「クッ、まるでこちらの動きが読まれているかのようだ!」
鎮守府正面で訓練をする北上、大井、木曾の3人。相手を勤めるのは陽炎、不知火。
「フフッ…徹底的に追い詰めてやるわ」
「ちょ、不知火怖いよ…?」
不知火は、志庵鎮守府駆逐艦四天王の1人。姉妹艦である陽炎との連携で北上たちを追い詰めていく。
少し離れたところでは、紅白で別れて鎮守府内演習を行っている。
「フン、カラス一匹落とした程度で調子に乗るなよ…全主砲斉射!撃てー!」
「作戦成功が伊達では無いところ、見せてくれる!…もらったぁ!」
旗艦同士、長門と利根がぶつかり合う。利根が優勢なようだ。
「利根ったら、ムキになっちゃって…きゃっ!」
一瞬余所見をした榛名のすぐ横を、ペイント弾が飛んでいく。扶桑だった。
「貴方には感謝しています、榛名さん。お返しに、あの死線を掻い潜り提督の信頼を勝ち得たこの実力、お見せします」
「こちらこそ、あの作戦には参加しませんでしたが第1艦隊の一員です。経験の差を見せてあげましょう…榛名、全力で参ります!」
みんな妙に燃えている…これも提督の魅力故だろうか。執務室で秘書を務める金剛は窓から見える紅白戦の様子を眺めながら思った。しかし、今はそんなどころではない。険悪な空気に包まれる室内に意識を向けなおす。普段見せないような深刻な顔つきで提督が睨む先には、島風がいた。
一週間前のこと。志庵の所に、玲から電話が入った。
要約すると、周りに馴染めず、扱いに困って色んな鎮守府をたらい回しにされていた島風が今度は志庵の所に来るという話である。
『面倒を押し付けるみたいで申し訳ないんだけどさ…これで、兄さんでもダメならどうにかしてウチで面倒を見ようと思ってる』
大本営に所属するには、5年以上の鎮守府経験が最低条件なのだとか。
「まぁ、可愛い弟の頼みだ。わかった、やってみるよ」
『ありがとう!助かるよ!』
それから二言三言交わし、受話器を置いた。
「少しはお兄さんらしいじゃないか」
机の角に座るセレンさんが茶化してくる。
「そ、そすか?」
「But、どうしてそんなに周りに馴染めないのデショウ?」
「ん?あー…」
聞くに、初めはただ普通に馴染めないだけだったらしい。それに、本人の持っていた変なプライドが邪魔をして意地を張り始め、今では提督にも意地を張り、決まって「ある一言」でお手上げになる。
そして今、志庵の目の前にいる島風も、少し続いた言い合いの後、その「一言」を残して執務室を出て行った。
「私よりも遅い人と友達になる気も、命令を聞く気もないから」
「ああもう、気分very,very badネ!」
「だからって、飲み過ぎだよお姉ちゃん…」
「これが飲まずに居られるかってんだべらんめぇ!チクショー…」
「もう、仕方のない姉ですね…あの子が気に入らない気持ちはわかりますが」
食堂の真ん中で、金剛は口調が変わるほどビールを自棄飲みしていた。その様子を苦笑いで見ながら、由良と五十鈴は食事を進める。
「流石に色んな所をたらい回しにされてただけあって、中々強烈な子だよね」
「でも…なんとかしてあげたいね。また追い出すような形にされたらあの子もきっとツライ…」
「あんな奴とっとと追い出せばイイネー!」
金剛のヤジが飛んできて、二人はビクッと振り返る。が金剛は気にせず飲み続ける。
「また対決でもしてみたらどうかしら〜、提督さん?」
由良たちの斜め前、黙々と食事をする志庵とその傍に座るセレンの姿。いつもの笑顔で囁きながら、龍田が隣に座る。
「そうだぜ!ここでガツンと、提督の凄さを思い知らせてやれ!」
龍田の提案を煽るようにまくし立てながら、天龍は志庵を挟んで座った。ちなみに天龍、志庵の隣で非常にニコニコである。しかし、志庵は表情を曇らせて口を開く。
「長門の時はさ、勢いでついああなっちゃったけどさ…」
龍田はいつも閉じているように見える瞼を、瞳が薄く見える程度に開き、珍しく微笑みを消して志庵の話を聞いていた。一点を見つめる志庵はそれには気付かず、話し続ける。
「長門も割と大人だからさ、今はだいぶ周りに馴染んでるみたいだけど…元々前の鎮守府で艦娘同士では仲良くしてたみたいだし、そう時間もかからなかったけどさ」
再び箸を動かし、綺麗に切られたキュウリを掴む。
「島風は同じやり方じゃダメだと思う」
「良かった」
予期せぬ龍田の返答内容に、天龍も志庵も一瞬固まる。
「もしも馬鹿の一つ覚えみたいなことを考えてるのなら、がっかりする所だったわ」
志庵が見た時、そこにはいつもの微笑みを崩さない龍田の顔があった。
「でも、それならどうするんだよ提督、わかり合うまで話し合うのか?」
「それとも、何か考えていることでもあるのか?」
天龍とセレンに問いかけられる。
「…少し…あんま自身は無いスけど」
志庵はどこともなくただ正面を見つめて、コップの水をすする。
「あんまり自分を見失ったやり方じゃダメよ?人を見つめる前にちゃんと自分を見つめてね?」
「まるで母親の様だな龍田。そんなにこいつが心配か?」
「あらヤダ、セレンちゃんったら。でもそうねぇ、こんな優しい子供だったら、いつか持ってみたいかしら〜」
「ほぉ?」
セレンの声がどこか刺々しくなる。
「セレンさん…?」
どうしたのかと聞こうとしたその先は、慌てた天龍の声に遮られる。
「たた、龍田!?お前なに言っ…」
「もう、天龍ちゃんったらどうしたの、慌てちゃって?可愛いんだから〜」
「天龍、お前はどうした」
「おい志庵、食べ終わったろう。そろそろ戻るぞ、島風のためにやらなければならんことがあるのだろう」
「え?あぁ、まぁ…」
天龍の慌てぶりも気になったが、どこか不機嫌そうなセレンの声に押され、志庵は席を立つ。と、その前に。
「あ、龍田、天龍、心配してくれてありがとうな」
いえいえと言いながら小さなお辞儀で返す龍田と、俺はなにもと何やら慌てて手を振って否定する天龍を残し、志庵はセレンを肩に乗せて食堂を出た。
ボソッ「…私のリンクスだ」
「何か言いました?」
「気のせいだ」
翌日、執務を終わらせた5時頃、志庵は島風を鎮守府前に呼び出した。
「競走?」
「そう、鎮守府からこの先にある学園前バス停まで行って、戻ってくる。大体片道5〜6キロくらい」
実際は7キロである。
「馬鹿じゃないの?人間が艦娘に勝てるわけ無いじゃない」
志庵は、装備も何もない「素の自分」を全力で見せることにした。
「やってみなきゃわかんないだろ。俺が勝ったらちゃんと言うこと聞けよー」
「良いわよ?負けないから」
よーいドンで、二人は走り出した。金剛を始めとする艦娘達は付き添おうとしたが、「島風がいるから大丈夫」と言われ、鎮守府で待っていることにした。
流石に艦娘なだけあって、島風は最初からドンドン飛ばしていく。志庵は装備を外している時、普通の人間だ。4キロ地点辺りまではどうにか食らいついていたが、そこからは全くペースを落とさない島風に徐々に距離を離されていき、志庵が学園前を折り返した時、前方の島風はスッカリ見えなくなっていた。
何よ、最初はひょっとすると…とか思ったけど、全然遅いじゃない。
島風は悠々とした表情で走り続ける。やがて、鎮守府の正門が見えてきた。私の圧勝ね。自分が走ったはずの道を島風は振り返り、思わず身震いした。陽はすっかり落ち、灯の少ない海沿いの道は、10数メートル先も見えないほど真っ暗だ。まるで、全てを覆いつくしてしまいそうに思える程に。
「フ、フン。あいつが言い出したことだもん、気にかけることもないわ」
不安な気持ちを誤魔化すように言い放ち、島風はまた走り出した。程なくして、正門まで辿り着く。そこで島風はドアノブに手を伸ばしかけ、やめて、ドアに背を向けてそこに座り込み、提督の帰りを待ってやることにした。10分、15分と過ぎ、未だに提督の姿は見えない。
捜しに行った方が良いのだろうか。
初めて長距離を走る者でも、10キロ前後はペースを考えれば走りきれる距離である。だが提督は自分に負けじとかなり無理な走り方をしていたし、それに加えて目の前の暗闇は人を不安にさせるに十分な凄みを持ち、彼女のせっかちな性格と相まって、もしかしたらどこかで倒れているのでは…などと考えてしまっていた。そんな風にソワソワしていると、人影が見える。提督かと思い目を凝らしてみたが、そこにいたのは曙だった。
「あら、帰ってたの。中入らないの?」
「別に、ここにいる」
「ふうん、良いけど」
そう言うと、曙は島風の隣に座り、手に持っていた袋からポカリを取り出した。
「ハイこれ。塩分はしっかりとっといた方が良いよ」
「気が効くじゃない」
島風はポカリを受け取ると蓋を開け、一口分を口に含む。汗をかいた体に、清涼感が心地いい。
「こう言うのは運動する前に準備しとくものなのよ。あのクソ提督、こういうことすぐ忘れんだから」
そんなことを言いながら、曙は島風の隣に座り続ける。
「いつまでそこにいるのよ」
「あんたこそ、なんだかんだクソ提督を待ってあげてるわけ?」
「戻ってきたら思い切り馬鹿にしてやろうと思って」
「そ」
島風はイラつき始める。
「だから、いつまでいるのよ」
「お喋りでもしてたら気が紛れるかと思って。不安そうな顔してたから」
「はあ?何であんたにそんな気を使われなきゃならない訳」
「否定はしないのね」
島風は顔を背け、小さく呟く。
「だって…遅すぎんのよ。どいつもこいつも…」
どのくらい、そうして座っていたろうか。
「あ、帰ってきたみたいね」
「え?あっ」
暗闇の奥、白いTシャツがこちらに向かっている。足取りはフラフラし、顔は下がっていた。正門をくぐった白いTシャツがこちらを見ると、大の字にそこに倒れこんだ。島風は走って駆け寄っていく。そこにいる提督は肩で息をし、汗ダクだった。
「おっそーい」
島風は倒れたままの提督を見下ろし、言い放つ。
「…っあぁ、やっぱ速ぇな艦娘」
「当たり前じゃん、馬鹿じゃないの?」
提督は苦笑いをしながら、しんどそうに体を起こす。島風は手に持っているポカリを思い出し、提督に差し出す。
「これ飲む?」
「ん?あぁ、ありがとう」
「!待ちなさいクソ提督!あんたのはこっちの…」
曙が慌てて袋からもう一本のポカリを出す前に、提督は島風から渡されたポカリに口をつけてしまった。
「あ…かかか、関せ…」
「あー、生き返った。あ?どうした、曙?」
「あ、それ曙が買ってきたやつ」
「あ、そか。あんがとな曙」
「この変態クソ提督ーー!」
何故か顔を赤くし、曙は建物に入って行ってしまった。
「なんだ?」
「さぁ…」
島風は、鎮守府の者たちから聞いた話を思い出す。
「ねえ」
「ん?」
「ここの艦娘達に聞いたわよ、あんた装備つけたらメチャクチャ速いって」
「え?あぁ、まあ…ね」
「だったら最初からそれで勝負すれば良かったじゃない。なんでこんな馬鹿正直みたいな勝負しようなんて思ったわけ?」
島風には理解できなかった。自分を屈伏させられる力があるのならばそれを使わない手はないはず。何故わざわざ結果が見えたような勝負を持ち込んだのか。
「なんかさ…」
提督は、言葉を探すようにゆっくり話し始める。
「艦娘にとっての性能差ってさ、埋められるモノじゃないし…そういう、なんだろ、変えようのないことで力を見せつけても、なんかずるい気がするし…」
「そんなこといって、負けて結局私に命令聞かせられないじゃない」
「仕方がないな」
島風は納得できなかった。というより、これで勝っても気に入らない。
「明日もう一度!今度は海の上で勝負しましょ!そこで白黒つけるわよ!」
「え?」
「私は艦娘なんだもの、海の上こそ土俵よ!そこで私の速さ思い知らせてあげる」
島風は今度は何故だか楽しくなってきていた。それが何故なのか、理由はわからない。ただ島風は、その約束をしたことで明日が待ち遠しくなった。
翌日。再び、艦娘と提督の直接対決。相手が「あの」島風ということもあり、観客(艦娘)達は妙な盛り上がり方をしていた。しかし、とくに盛り上がっていたのは—
「Hey、チキンガール!テートクにぶっ倒されてお家に帰るが良いネー!Fuuuuu!」
「こ、金剛お姉様…言葉が汚い…」
「困った長女だわ…」
対決方法は島風の望み通り、海上での競走。艦装を付け、10キロ先のゴールに先にたどり着いた方が勝ち。島風と、装備を付けた志庵がスタートラインに着く。島風から「全力で」と言われた志庵は、両手両肩の武器も肩の制波装置も付いていない。今ある装備でできるだけ軽くするためだ。
『それでは、間も無くスタートで〜す』
進行は、これまた引き続き龍田である。
『位置について〜、よ〜い…』
ぱん!という、懐かしい音とともに、志庵はOB(オーバードブースト)を吹かす。15秒程で、ゴールにたどり着いてしまった。
『あらあら〜。提督、ぶっちぎりでゴ〜ル!』
ゴールした後、志庵は振り返ってそこに留まった。
「待ってやるのか?」
「はい」
確かめるように訊いてくるセレンに、一言で返す。待つこと数分、島風がゴールにたどり着く。
「はぁっ、は、速すぎよ!」
海面に大の字になろうとする島風を、志庵が受け止める。
「おっと」
「What!?あの野郎なに抱きかかえられてやがるデスカ!?私だって抱っこなんてされたことナイネ!」
「お、お姉様落ち着いて」
「いつまであんなところにいるのじゃ、あやつは…」
「利根姉さん、爪を噛むのは良くないですよ…」
「う、お、お、おお姫様抱っこぉお!?何故だ、何故あんな態度の悪い新入りに先を越されなければならんのだ!?なあ陸奥、どうしてだ!?」
「あ、あまり揺らさないで長門、火薬庫が…」
「頭にきました」
「加賀さん、こんなことに艦載機を使おうとしないで!」
「別に羨ましくなんかねえけどさ、抱っこぐらい、別に…俺デートしたことあるし」
「はいはい、大丈夫よ。提督は天龍ちゃんのことわかってるからね」
「…」
「扶桑姉さん、何処から艦装を出したの?何故無言でゴールの方に向けているの?笑顔なのに怖いのはなぜ?」
「…やっぱ変態クソ提督だわ…。クソ提督…。ブツブツ…」
「おやおやぁ?曙ちゃん妬いてますねぇ」
「ほぉ、曙ちゃんはご主人様をそんな風に…」
「みんな、あんまりからかわないであげて…」
「うるっさいわねぇ!あんた達!」
「負けちゃったなぁ〜」
志庵の腕に体重を預けたまま、島風はゴチる。
「昨日は勝っただろ」
「ならどうするんだ?」
肩のセレンが尋ねてくる。
「そうだな…」
数秒考えたのち、島風がある提案を持ち出す。
「じゃあさ」
少しだけ、照れ臭そうに。
「『友達』ってことならどう?」
「友達?」
「命令じゃなくても、『友達の頼み』なら聞いてあげなくも無いわよ?」
少し、考えた後。
「そうだな。よし、島風。早速友達として頼んでもいいか?」
「良いわよ、内容によるけど」
悪戯っぽく笑う島風。志庵は「みんなと仲良く」と言おうとしたが、やめた。そんなこと出来ていれば、これまで苦労はなかっただろう。
「まずさ、みんなとお話ししてみなよ。そこからだ」
島風は少し表情を暗くする。
「出来るかな…」
「出来るよ。俺と話せてるんだから」
島風は何か珍しいものでも見たように志庵を見て、しばらくした後に背中を見せた。
「馬鹿な奴」
「は?」
「頑張るわ」
それだけ言い残すと島風は立ち上がり、鎮守府に向かって海面を滑って行った。
「全く、お前は馬鹿なのかたいした奴なのかわからんな」
「なんすかセレンさん、急に」
「自分で考えろ。戻るぞ」
「あ、はい…」
その後志庵も鎮守府に戻ると、島風を受け止めたことに何故か散々周りから文句を言われた。どうにか乗り切り、夜中には歓迎会を行った。
「はい、という訳でウチに新しい仲間が加わりましたー。拍手ー」
パチパチパチ。あれ、なんか拍手少なくない?駆逐艦のみんなや他のメンツは、暖かく拍手をしている。拍手をしないのは金剛を筆頭とする、いわゆる「いつもの」メンツ。
「え、えっとじゃあ、自己紹介から。はい!」
「艦隊型駆逐艦の最高峰を目指して開発された、高速で重雷装の駆逐艦、島風型よ。よろしくね!」
パチパチ。いや、だから拍手をしなさい君達。と、思ってると、島風がこちらを振り向く。リアクション悪くて不安になったかと思ったら、いい笑顔で
「改めてよろしくね、志庵」
「え?」
時間が止まったように、部屋が静かになる。
「なによ、友達なんだから呼び捨てくらいいいじゃない。ね、志庵」
「ああ、別に構わ無いけど…」
「お、おい待て貴様、今まで志庵と呼んでいたのは私だけで…」
「セレンさん?」
「ちょ、ちょっと待て提督!島風貴様ぁ!私だって無いのに…っ、貴様抱っこはおろか、よ呼び捨て…!」
「いや、今までセレンさんが散々呼び捨てにしてたろ」
「それとこれとは違う!」
「いいなー島風ちゃん、私も名前で呼びたーい!」
「志庵さーん!やだ、恥ずかしーい!」
そんなよくわからない盛り上がりを見せる中、ヤケに不機嫌そうに顔を歪めているのは利根。
「いい加減にするのじゃお主…上官を呼び捨てなどにして…!覚悟は出来ておるのだろうなぁ!?」
「え、利根どうした!?お前最近ちょっと変だぞ?」
「お主は黙っとれ!」
「おっそーい♪」
一瞬島風が眩しい笑顔を志庵に見せるとそのまま廊下に走り去っていき、利根や他の者がそれを追いかけていく。
「ま、待て貴様!待たんかぁー!」
「良い度胸ネ、クソ耳ウサギ!今の私はrabbitを追うlionヨ!」
「ウフフ、追いかけましょ?天龍ちゃん」
「え?お、おう!」
「おい、お前ら待てって!」
「ねー提督ー、ボクも名前で呼んでいいー?」
「し、志庵さん…なのです!な、なんだか照れるのです…」
「志庵さん…なんだか、『お兄様』とは違う親しさを感じます…」
「志庵ー、今日は夜戦つきあってよー!」
島風と利根達を止めに行こうとするも、群がってくる艦娘たちに阻まれる。
「お、お前らちょっと、今はあいつらを…」
「大丈夫よ、あいつらなら」
「曙?」
「待て、待つのじゃ!お主いつの間に呼び捨てにするような関係になった!?」
「貴方には色々と聞きたいことがあるわぁ〜」
「ヘーイ!あの熱〜いハグの理由を聞かせるネ!」
「ふっふーん、知りたかったら捕まえてみなさーい!」
「変態クソ提督」
「おい待てその不名誉な呼び名固定されたのか?」
「…私の特権だったのに」
なんだかんだ、セレンさんが一番様子が変だった気がする。