超平和主義鎮守府   作:たかすあばた

11 / 28
長編終わり。


第9話 天災、転生

『現時刻を持って、作戦行動を…ああもう堅っ苦しいな』

『もう少し我慢してください提督。大事なことですよ』

『いやだって普段こんな風に言わないし…』

堅苦しい作戦開始の合図かと思ったら、スピーカーから聞こえてきたのはいつもの間の抜けたやり取り。

「この非常事態に何を呑気にやっているのだここの提督は…!」

大本営から来た艦娘たちには癪に障るようだが、私にはこの空気が心地よかった。

「全く、緊張感がないわね。司令官たら、仕方がないんだから!」

世話が焼けるとでも言わんばかりのセリフを吐く、雷。

「提督のボトルはキープしとくよ~」

「隼鷹ちゃんったら、もう勝利酒~?」

スピーカーの向こうの提督に呼びかけているのか、はたまた本当に聞こえていると思っているのか。赤い顔でボトルを持った手を振る隼鷹。優しく介抱する龍田。

「提督…」

いつもの雄々しさはどこへやら。恋する乙女が如く手を握りしめる長門。

「帰ってきたら熱~いハグで迎えてあげるネ~!私のバーニングラブ、行動で示すヨ!」

「姉様を悲しませるような結果になったら、あの世まで追いかけていってもう一度地獄に落としなおしてあげます」

「扶桑…今のあなたなら、きっと大丈夫です」

「私たちの知る艦隊のレベルから判断すれば、心配する必要もないはずです」

思い思いに、作戦に向かう者たちに語り掛ける金剛四姉妹。

「加古…」

「利根姉様…」

「天龍ちゃん…」

「川内ちゃん…」

「陸奥…」

「扶桑姉様…」

『まぁ…あれだ、行ってきます!皆も頑張ってね!』

いってらっしゃい。また後で、クソ提督って、言わせてね。

 

 

俺はドックに入った。

頭に、肩に、腕に、胸に、背中に、腰に、脚に。妖精さんの手によって装備がつけられていく。隣には、N-WGIX/Vを相手取ることになるウチの仲間たち。

「結局、出撃することになっちゃったね…」

川内が、皮肉めいた言葉を吐く。

「俺の友達にも提督がいてさ…」

「提督?」

急に喋りだした俺を不思議そうに見る陸奥。

「口をそろえて言うんだよ」

「なんとおっしゃるのですか?」

言葉の先を催促する扶桑。

「『できるなら、艦娘と替わって俺が戦ってやりたい』って」

「そんな」

信じられないことを聞いたように、扶桑の目が見開かれる。

「だから俺は今、ある意味幸せだよ」

装備が終わり、俺の“前後”のハッチが開く。前方のハッチから覗くのは、一面に広がる海。背後のハッチから現れるのは…

「皆、そろそろ離れろ」

VOBが、ワイヤーに吊られて降りてくる。背中の位置まで降りてきたのを妖精さんから確認し、俺のOB(オーバードブースト)用のバーニアを展開する。ワイヤーを揺らしながらVOBが俺の背中との距離を縮めていく。

ガコンッ

VOBが接続される一連の流れを、みんなが圧巻の様子で見守る。俺も初めてあのPV見た時はそんな感じだったもんな。

「はっしゃ5びょうまえー!」

妖精さんの一言を合図に、みんなが一斉に離れていく。利根が少しためらうけど、川内に肩を掴まれて引っ張られるように距離を置いていく。

 

 

利根は、昨日の作戦会議を思い出す。

 

「元帥達が新たな『姫級』だと考えているこいつは、たぶん姫じゃ無い」

「姫じゃなかったらいったい…」

「AF(アームズフォート)と呼ばれる、全長1,000mを超える超巨大兵器だ」

「馬鹿な、そんなものが…」

「なぜ、そんなものがあると知っている?」

みんなが疑いを向ける中、利根が問いかける。

「お主は勝てるのか?その化け物に…」

「多分な」

 

あの提督をもってして、「多分」と言わしめる、まだ見ぬ敵、AF。

「3、2、1」

「提督!無事に帰ってくるのじゃぞ!」

最後の言葉は、まるでロケットの様なブースターの音に掻き消されて提督には届かなかっただろう。だが、提督は一瞬こちらを見、ニコッと笑った。

凄まじい煙を吐き出しながら、提督は飛び立っていった。

「…我輩達も行こうか」

「うん」

「おう」

「よっしゃあ!」

「ええ」

「行きましょう」

利根達が相手をする、もしかすると提督と「同じ力」を持つかもしれない敵。しかし、提督は言い放った。

「やってみりゃわかる」

 

「まずはVOBで、スピリットオブマザーウィルに接敵する!超長距離砲撃に注意しろ!」

「了解!」

時折、海上を進む艦隊を見かける。元帥の言った通り、幾つかの鎮守府が独自の判断で「新たな姫級」の討伐に乗り出したらしい。

「無謀なことを…」

その時、遥か遠くで何かが煌めく。聞き覚えのある、凶悪な音と光を、QB(クイックブースト)でかわしていく。

『提督!哨戒中の別の鎮守府からの連絡です!砲撃とは別の何かがこちらに向けて飛び立ったとのことです!』

「来たか…やれるのか、本当に?」

「やるしかないでしょ」

俺の視界に、そいつを捉えた。勝負は一瞬。

『やはり貴様、私と同類か』

そいつが通信に割り込んでくるのを無視し、すれ違いざま――N-WGIX/VのVOBに、ライフルを撃ち込んだ。素手に遥か後方、N-WGIX/VのVOBが異常な煙を上げ、高度を下げ始めていた。

『馬鹿な、VOBがイカれただと!?狙ったか「リンクス」め…!』

「あばよ、『粗製』」

 

 

 鎮守府正面海域には、鎮守府に残った全艦隊が繰り出していた。

 「来ました!撃ち方始め!」

 「いきます…バーニングラアアァァブ!!」

 「電の本気を本気を見るのです!」

 鎮守府に残った艦娘たちの役目は、本土に向けて流れてくる超長距離砲撃の迎撃だった。

 「なんというやつらだ…」

 元帥の率いる艦隊は、N-WGIX/Vの指示で侵攻してくる深海棲艦達を迎撃していたが、遠方で繰り広げられる凄まじい情景にしばし目を奪われた。直線的とはいえ音速を超える砲撃を、提督の艦隊は的確に落とし続けていた。

 「…っ!私たちも負けていられません!」

 「行くぞ!奴らを本土に近づけるな!」

 攻めてくるのは、“やつら”に賛同した攻撃的な奴らばかりだという。手加減をする必要はない。

 

 

利根達は、スロットを消費しない特製の使い捨て大型タービンを装備し、海上を60ノットと言う船としては超高速で進んでいた。なるべくなら海を汚したくない彼女達だが、恐らく今回限りだということで渋々承諾した。

ACネクストとの戦闘で、利根達の索敵機は使えない。速度で敵に劣る以上、発艦させて戻ってくる前に接敵してしまっては何の意味もないからだ。

「来た!」

「皆のもの輪陣形じゃ、囲い込むぞ!」

迫ってくるそいつが背負う黒いVOBは、もはや本土まで向かう推力を失っている。利根達の前方数百メートル先で、パージされた。普通なら、それでも目で捉えることもできないまま蹂躙されていただろうが、「音速の世界」に日頃から慣れている彼女達は、見事な連携でそいつを輪の中心に誘い込んだ。

秋雲の絵の通り、しかし想像を遥かに超える、巨大な、凶悪な姿。しかしここに誘い込むまでの流れで、彼女達は「ある」実感を抱いていた。こいつは提督よりも――

「虚言もここまでじゃお主。進化の現実というのを教えてやる」

『人類の進化はもうとっくに止まったんだよ。地球の新たな生命の歴史を担う存在、それが深海棲艦であり、艦娘だ』

「ふざけやがって…てめえはどうすんだよ。神様にでもなるつもりか?」

『私は隕石だよ!猿を焼き尽くしたら砕け散るだけさ!』

「だったら砕け散りなさい、今ここで」

ただ一人、初めて見る「世界」に狼狽していただけの扶桑は、いつの間にか眼の色が変わっていた。

「皆さん…私…変です」

「扶桑?」

「熱くなってきましたわ」

 

 

「なんだこの化け物は…!」

その頃、提督とセレンは目標に到達していた。が、そこにいたのは…

「マザーウィルとアンサラー…融合してやがる…」

6本の巨大な飛行甲板に、巨大な主砲は、スピリットオブマザーウィルのもの。そしてその中核にさらにアンサラー。傘の柄の様だった物は6本に増え、安定感が増した様だった。そのスピリットオブアンサラーが、語りかけてくる。

『ヒトの姿を失い、この力…これが与えられた運命ならば、破壊し尽くすだけだ。お前もそうだろう…リンクス』

「過ぎた力を手にし、人としての有り様を失い、それでも存在意義を求め続けた末路…どこかで…何かが違ったら、お前も『こう』なっていたというのか…?」

「俺は…」

そんなこと、ないな。だって…

「セレンさんに怒られたくないですもん」

イタズラっぽく笑うその顔に、セレンは、随分ご無沙汰だった「熱」を感じた。

「全く…まるで大きな子供だな」

「だから無茶するんですよ」

その言葉を皮切りに、二人は戦いに身を投じた。

 

 

利根率いる第1艦隊は損傷しつつも、徐々にN-WGIX/Vを削っていた。特に圧巻なのは…

「主砲、副砲、撃てぇ!!」

扶桑がこの極限の状態で、驚異的な速度で順応しつつあった。

「全砲門、開け!!」

『!!』

陸奥の死角からの全力攻撃を受け、N-WGIX/Vが大きくよろめく。

『ぐぁ、ば、馬鹿な…こんな…!』

全員が、一瞬気を緩めた。

『…なんて言うと思ったか!?この程度のダメージ、想定の範囲内だよ!!』

N-WGIX/Vの全身のパーツが隆起し、赤く輝き始める。やがて、周りには緑色の粒子が滞空し…

「これは…アサルトアーマーじゃ!逃げろみんな!」

使い捨てのタービンを全力で回し、退避し始めた時だった。N-WGIX/Vを緑の閃光が包む。間一髪、利根はアサルトアーマーの範囲外に逃れていた。使用限界を迎えたタービンがパージされる。

「皆、無事か!天龍!加古!扶桑!」

「川内、なんとか生きてるよ!」

「天龍、問題ない!」

「はいはい!加古、生きてるよ!」

「もう、火遊びはいい加減にしたいわね」

ただ一人…

「申し訳ありません、扶桑、主砲を持っていかれました」

「生きておるならば問題ない」

しかし、状況は一変した。タービン無しに、アサルトアーマーを掻い潜り闘わなくてはならない。

その時だった。遥か向こうの海に、今とは比べ物にならないほど巨大な緑の輝きを見た。それに気づいた利根、天龍、の背筋が寒くなる。

「利根、何してるの!畳み掛けるなら今だよ!」

「あ、ああ…!」

川内に呼びかけられて、利根は気づく。アサルトアーマー使用後はPAがしばらくの間使えなくなる。大ダメージを狙えるチャンスだ。しかし、動揺した利根の動きは緩慢だった。

「危ねえ利根!」

「へ!?」

天龍が利根を掴んで引っ張る。先程まで利根のいた場所に水柱が立った。

「ボサッとするなよ!死ぬぞ!」

「わ、わかっておる!」

「提督はこんな奴よりもっと強いだろ!?」

…そうだ。こいつはとてつもなく強い。でも、提督の、所謂「勝てる気がしない」加減はこんな物じゃない。

「まだまだ…提督に勝つ前に、貴様なんぞには負けん!!」

「おっしゃあ!俺もまだまだ行くぜぇ!」

「扶桑もまだ大丈夫です…全力で参ります!」

 

 

N-WGIX/Vがアサルトアーマーを放つより少し前。スピリットオブアンサラーのバ火力はそれはもう半端な物ではなかった。下から近づけばレーザーに機銃の嵐。上から近づけば、マザーウィルの垂直発射ミサイルとコジマミサイルの暴風雨。距離を置けば大口径の主砲。そして…

「中心部で大規模な…!わかるだろう離れろ!消し飛ぶぞ!」

「もう離れてますよ…!」

提督はOBを吹かして退避していたが、マザーウィルと融合したアンサラーのアサルトアーマーの範囲は尋常なものではなかった。体が、アサルトアーマーの外郭に触れた。

「がああぁぁ熱っつううぅう!!」

「AP、40%減少!余り余裕はないぞ!」

再びミサイルを掻い潜り、ライフルが届く距離まで接敵する。

「これだけのデカブツ、再充填には時間がかかる筈だ!このチャンスを

無駄にするなよ!」

QBを吹かしてミサイルと、甲板から狙いを定めてくるACノーマルの攻撃を回避しつつ、ライフルと肩のミサイルで各破壊部位を狙っていく。しかし、これだけQBを吹かせば、当然エネルギーが持たない。一度海面まで降りてチャージを待つしかないが、そこはレーザーの射程内。提督は昔から、レーザーの回避が致命的に苦手だった。PAは、レーザーを軽減することは出来ない。

「ぬぅおおおお!」

以前に比べて二段QBを体得してる分回避が上がってるとはいえ、時々当たるレーザーは焼けるように痛い。

「AP、70%減少!頼む、やられてくれるなよ…!お前は私の…」

私の大切な…!

「お前は私のリンクスだ…!そうやすやすとやられてもらっては困るぞ!」

その時。巨大な爆発音が鳴り響く。

「な…!?」

「!スピリットオブアンサラー、バランスを崩し初めているぞ!あと一押しだ!」

エネルギーは回復しきっていた。提督は再び上昇する。それとほぼ同時に、ライフルを使い切ってしまった。残るは、重量を優先して申し訳程度に装備した、肩の追尾重視のミサイル。

「やれるか?」

「…いけますね」

スピリットオブアンサラーは再びコジマ収縮を始める。提督はミサイルを撃ちながら、余裕を持って距離を置く。距離は充分。アサルトアーマーは提督の眼前までに広がった。

「っしゃあ!」

俺はOBを吹かした。

「!?な、馬鹿な、何を考えている!?」

ミサイルを放ちながら目指すのは、アンサラー部分の中心部。何発かのミサイルはレーザーを掻き消す。しかし何本かのレーザーはミサイルを逃れて、亜音速で接近する俺の体を削っていく。

「AP90%減少!命令だ!退避しろ!」

「あばよ、酔っ払い」

「丸裸」のアンサラー中心部に、アサルトアーマーを叩き込んだ。

スピリットオブアンサラーよりも、遥かに小さな煌めき。それは確実に重心を支える基部を削り取った。

『私の…存在意義は…』

「スピリットオブアンサラーが崩壊する…離脱しろ、巻き込まれるぞ」

だが提督はその時、まだ生きている甲板のカタパルトから、何かが射出されるのを見た。

「なんだ?今のは…」

「あれは…!」

提督は、それが何なのかをすぐに理解した。

「まさか…利根達がヤバい!」

 

決して、前将校からそういう教育を受けたわけではない。にも関わらず、N-WGIX/Vの耐久を大きく削っていくのは、扶桑の大破も厭わぬ突撃だった。扶桑には、体を突き動かすモノがなんなのか理解できない。ただ、他の5人は涙を流し、扶桑のダメージを減らすよう全力でサポートした。そしてついに、今度こそN-WGIX/Vはその機体に異常をきたし始めた。

「人の歴史は…まだ終わらん。諦めるのじゃな…」

「?…!!利根、危ない!」

川内の叫びを受けて利根がその場を離れた時、空から巨大な「何か」が降ってきた。四角い柱を扇形に並べたものを5枚重ねた様なそれを、N-WGIX/Vは両肩に載せる。

「な、テメエ何する気だ!動くな!」

『もういい…』

N-WGIX/Vは両肩のユニットを左右に展開し始めた。

『人の言葉など『ピー『不明なユニットが』』意味『ザザッ『接続』』成さな『されまし『ピー』』』

今の今までN-WGIX/Vから感じられた「人間っぽさ」が、言葉から、挙動から、失われていく。

『『直ちに『ザザッ』パージしてください』』

「なんなのあれは…!」

さながらウニの様になったその柱の先が、一つ一つ輝き始める。その状態で、N-WGIX/Vはこちらに突っ込んで来ようとしていた。

「なんか…ヤバっ!」

「みんな逃げ…」

しかし、その悪魔が解き放たれることは、無かった。

この日何度目であろうか、緑の輝き。利根達が退避したことによって、取り残されたN-WGIX/Vだけをスッポリ包み込んだ。完全に停止し、木偶と化したN-WGIX/Vが、海中に没していく。その向こうから現れたのは――

「おめでとうみんな、良く頑張ったねぇ」

「スピリットオブアンサラー及び、N-WGIX/Vの撃破を確認。ミッション完了だな」

「て…」

 両手両肩の武器を失い、全身のパーツもボロボロになっているが、いつものヘラヘラした笑みを浮かべている…

 「提督…!」

 利根が、天龍が、皆が駆け寄ってくる。

 「良く生きておった…!」

 「おっと…」

 利根が胸に顔をうずめてくる。

 「なんだよあのバカでかいアサルトアーマーみたいなのは!ここから見えたぞ!どんな化け物と戦ってたんだよ!」

 「いや、思ったより強くてさ、ビックリした」

 「ビックリしたじゃねぇよ!」

 目に涙を浮かべて噛みついて来る天龍。

 「それよりお前らだよ、よくあそこまで削ったな」

 「当然よ!いつも誰を相手にしてると思ってるの!」

 「へへ、まあね」

 「まったく、あまり調子に乗るなよ…まあ、今回はかっこよかったがな」

 ドキッ。セレンさんに褒められたよ…つか、こないだからなに妖精相手にドキドキしてんだろ俺。ふと、一人離れて、こちらを見つめる扶桑がいた。涙が頬を伝っている。

 「扶桑、初めての相手なのに良くやったな」

 「凄かったのよ、扶桑の活躍」

 「皆さん…私、わかりました。この気持ち…」

 「扶桑…」

 「将校殿の仇を討っていただき、本当にありがとうございます」

 涙を流しながら、凛とした面持ちで敬礼してくる。

 「こちらこそありがとう。手を貸してくれて」

 「提督、アタシたち頑張ったよね!だから…」

 加古が何かを期待した目で腕を引っ張ってくる。

 「そうだな、とっとと帰って寝よう」

 「いよっしゃあ!」

 「本当に寝るのが大好きね、加古は」

 「なあ、志庵」

 「?」

 「ありがとう。生き残ってくれて――」

 「は、はぁ…」

 

 

 砲撃の止んだ鎮守府正面海域――。

 『皆さん、大淀です。今、提督から連絡が入りました』

 大淀の嬉しさを含んだ声に、仄かに艦娘たちが沸き立つ。

 『スピリットオブマザーウィル及び、N-WGIX/Vを撃破しました。提督と第1艦隊、みな無事だそうです』

 歓声。皆が、肩を抱いて喜んだ。

 「流石ボク達の提督だよ!凄いや!」

 「さっすが司令官ね!!帰ってきたらいーっぱいイイコイイコしてあげなくちゃ!」

 「天龍ちゃんたら、すご~いわぁ~。本当に…」

 「扶桑さん…榛名は、感激しています…」

 「榛名さん…」

 「良かったですね、山城さん」

 「はい…」

 

 

 「終わったか…」

 深海棲艦迎撃チーム。深海棲艦が撤退を始めたことで、彼女たちも任務の完了を知った。

 「無事?武蔵」

 「大和か…」

 周りを見ると、皆疲れてぐったりしていた。何名かが先程まで砲撃の続いていた方角を見ているのに気づいて、武蔵達もそちらに振り返る。

 「我々が手も足も出なかった敵を沈めて見せた…流石に認めざるを得んな」

 「そうね…帰りましょう、武蔵」

 「ああ」

 

 翌朝、提督の艦娘、元帥と元帥の艦娘全員で、ドックに帰投した七人を出迎えた。提督含む全員が大破。それを見た誰もが、涙しながら彼らを抱きしめた。

 




補足
Q.結局N-WGIX/Vとスピリットオブアンサラーはなんだったの?
A.運命のイタズラであっちゃーな姿にされた元人間の二人がブチ切れたんです。以上。

Q.N-WGIX/Vは最期に何をしようとしたの?
A.マルチプルパルスという、130門のパルスキャノンを自分を中心とした全方位に発射する悪魔兵器を使おうとしました。余りの威力と光で、
アーマードコアプレイヤーからは「バルスキャノン」と呼ばれるほどとか。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。