ウチの真姫がファーザー・コンプレックスを患ってしまった件について   作:うなぎパイ

4 / 10
前回の話を投稿後、皆様から様々な感想や指摘を頂きました

純粋に「面白かったよ!」というとても励みとなり私の原動力となる感想

言葉の使い方の間違い、『暴動』など訂正
『神童』→『天才』→『神の子』に変更
これは本当に申し訳御座いません

主人公を含めキャラの変更に関して
これは我慢してくださいとしかいえません
私の書きやすいキャラであり、一人一人の意見を採用しているともう最新話など書いている暇はありません
アホの子が医大に居ると可笑しいと言われてもそこは流してください
全員インテリキャラで書いても面白みを私は見出すことができません

題名が『ウチの真姫がファーザー・コンプレックスを患ってしまった件について』とか言ってるくせにオリキャラの恋愛物を見せられても困る
そう言われても此方には此方の手順というものがあります
そんないきなり設定だけ書いていきなり父親と母親を出して真姫ちゃんをデレさせても私はなんの楽しみもありません
キャラを固定させる為にはそれに至るまでの話が必要不可欠だと私は思います

後、一番多かったのは暴力によるプロ剥奪
皆さん、これはおふざけの一発ネタを続けているだけでそこまで深く考えないで下さい
そんなリアルな法律を持ってこられても困ります
あくまでギャグネタを主体にした世界です
全てをガチで深く考えたらもうこの小説は矛盾だらけです
ミドル級の世界チャンピオンになるまで全戦全勝の人間なんてそうそう居るわけありません
まぁ竹原慎二さんがいるけど………


まとめると!!
この小説に現実世界を当てはめないで下さい!!
楽しく書いているだけですから!!





第2話 2つの天才の称号

東京都に建造されたとある医大

偏差値70中盤という全国の医大の中ではトップというエリートの集まり

70という偏差値を具体的に表してみれば全体の2.275%。

100人に2人という計算となる

とは言ってもそれは適当な人間を集めての100人ではない

平等的な人選をした結果の100人だ

そこ等の100人なら1人いるかどうかも分からない

そんなレベルが偏差値になっている医大がどれだけ入学することすら困難なのかは分かっていただけるだろうか

そしてそれと同時に15000人近い在学生を抱えているマンモス大学でもある

つまりその大人数の頂点に立つ人間は『天才』と言われる

 

 

ミドル級

契約ウェートは、154 - 160ポンド (69.853 - 72.575kg)

全17階級中5番目に重い階級である

世界的に多くの人間、特にボクシングが盛んな欧米出身者がこの階級に適した骨格と身長を持つため、全階級中最も新陳代謝の激しい階級の一つとされる

世界を狙う場合相手となるのは殆どが外国人となる為、生まれ持つバネが他に比べそこまで優秀でない日本人では皆が避ける階級だ

これまで80人近い王者が居たが、日本人はその内のたった一人だ

故にそのたった一人の日本人も、そしてこれから先に王者になった日本人も『天才』と言われる

 

 

 

『天才』と『天才』という同じ言葉でありながら違う分類での称号

もし仮にこの二つの称号を一人の人間が持つとするならばその人間は同じ『天才』という称号の枠に収まりきるだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「分かった?

 『西木野 宗一郎』って人がどれだけ凄いか」

「有名人だったんだ………本当にネットに載ってる」

 

私の手には紫信ちゃんの携帯が握られていた

画面には昨日であったばかりの彼の姿がいくつも映っていた

上半身裸でボクシングパンツとグローブを身につけて闘っている写真が殆どだった

 

「凄いね……

 学生の内に『神の子』って凄いあだ名貰うだなんて」

「………こういう時は二つ名って言うんだよ」

 

紫信ちゃんの熱説を聞いた私達

そして考えた事をそのまま言ったら呆れられてしまった

これからは少し考えて発言をした方がいいのかもしれない

それにしても『神の子』か………

一瞬、宗教か何かかと思ったけど違うらしい

多分このことも言えば更に呆れられるだろうから口に出しては言わない

 

「え、………まさか聞いたこと無いの?」

「聞いたことあるような無いような………むぅ~」

「本当に時々だけどテレビでも出るし、雑誌にも載ったことあるんだよ?

 まぁ楓はボクシングとか見ないだろうけどね」

「でも医大生なら噂で聞いた事ぐらいあると思うんだけどね」

「私が持ってる噂の知識の大半って和泉ちゃんと紫信ちゃん2人からのやつだから2人が話しに出さないと知らなくても可笑しくないよ?」

「楓ってサークルとかにも入ってないしね

 それに私達以外にここで話しかけたりしないでしょ?」

「むッ」

 

2人とも私のこれまでの人生で学んだコミュニケイション能力を舐めているな

ここは訂正せねばならない

私の威厳に関わる

 

「私だって色々な人と話したりするよ?」

「例えば?」

「例えば?それは………その、えっと………ね?」

「ね?って何

 ね?って何さ」

「一人位考えてから反論しなよ」

「あ!ほら教-----------」

「ドヤ顔のとこ悪いけど教授とか教師関係は無しだよ

 そんな話さないといけない相手なんて入れて良いわけないでしょ」

「じゅぅ………ごめんなさい………」

 

駄目だった

和泉ちゃんには勝てなかったよ…

だって私みたいな暗い女子が話しかけても相手に迷惑だろうし

私だってそれで嫌われたら嫌だし

そしてこっちが「教授」という前に「教授」とピンポイントに言われてしまった

そんなに私の思考は読みやすいのか甚だ疑問だ

私は卒業までの和泉ちゃんに勝てる事が一度でもあるのだろうか?

 

「でもさ紫信、さっきの「天才」って話で大学のトップで「天才」ってのは分かるけど今考えてみればあの人ってボクシングのそのミドル級?とうかいうのでまだ世界取った訳じゃないんでしょ?

 世界取って呼ばれるなら分かるけどなんでもう呼ばれてるの?」

「スポーツはスポーツでもボクシングの事は私もそこまで深くは知らないけど時間の問題ってことらしいよ?

 世界に行くのにも色々と段階を踏まなきゃいけないんだって

 で、『西木野 宗一郎』って人は何年か後には段階を踏み終えて世界を取っても可笑しくないって言われてるの

 それに後2回勝てば日本チャンピオンだって聞いたよ」

「私と同い年でもうそんなに期待されてるんだ、あの人………」

 

後二試合に勝てば日本王座

数年後には世界王座とまで言われる実力

なんだろう、そこまで実感的なものは無いけどあの人が私達みたいな一般人とは違うって事が多少なりとも分かってきた

きっと子供の頃から別世界の様な人生を歩んできたんだろうなぁ

それに比べて私は………

 

「なんでそんな人が私なんかに告白したんだろう………」

「………なんでいきなり落ち込むの

 私なんて告られたら即行でOKだして今頃大学タコって家で歓喜の舞踊ってた所なのに

 もしくは周りの人間に自慢話」

「アンタの筋肉で出来た脳みそと楓の天然でゆるふわな脳みそを一緒にするんじゃないよ

 どうせ分からないことばかりで不安だとか、私と彼じゃ釣り合わないとか考えてるんじゃないの?」

「それは………うん」

 

言わなくても自分の考えている事を分かってくれる事が今回に限って有難い

よくスポーツ選手の人って結婚相手はアナウンサーとかモデルのとかもの凄い美人さんを選ぶ傾向がある

若いうちにそこまで期待されている人ならそれ位の事は出来ても不思議ではない

だが彼はそれをせずに一般人である私なんかを選んだ

私なんて本当にそこ等に居る様な普通の女子学生だ

まぁ医大っていうのは多少珍しいかもしれないけど

この医大に入学する為にそれ相応の努力はしたが………

本当に何故私なのだろう

 

「でも意外だよね

 あの『神の子』が告白するって」

「本当にな

 そういうのは30代に入ってからとばかり思っていた」

「あぁそれ分かる~」

「意外?」

 

告白が意外、とはどういう事だろうか

私位の年代の子はよく恋愛に力を入れ込む子が多い

実際目の前の2人だって何人かの男子と付き合ってきた(現在は居ないらしいが………)

 

「『西木野 宗一郎』って人

 イケメンで頭脳明晰、おまけに学生の内でプロボクサーで成績も凄いからよく女子学生から告白されるんだって

 まぁ身近に居る同い年で途轍もない優良物件だから可笑しくないよ、それは

 実際、追っかけみたいな子も居るくらいだし」

「追っかけって………」

「でもその告白全部断ってるんだって

 モデルみたいな凄い美人な子でも、どんな子でも

 噂によるとテレビにも出てる有名人からも告白された事があるって話だよ?」

「ゆ、有名人からも?

 うわぁ~……何か凄いね」

「噂だよ噂

 実際どうかなんて本人に聞かなきゃ分からないよ」

「一時期ホモじゃないかって話は出たけど

 あまりにも無反応過ぎて」

「そうそう

 それで女子何人かが本気にして帰り道とか後追ったりしたとか有名だよね」

「まぁ一応何も無かったって結果だったらしいけど」

「………楓、アンタどうしたのさ」

「ホ、ホモって………同性でッ」

 

あれだよね

ホモってことは男性同士でその……エッチな事をするんだよね

あの格好良い人が他の人と………

美少年の人とか体の大きい人とかと………

キスとか…もっと色々と………

 

「楓?」

「----------------ッ!!!」

「ど、どうしたの楓

 いきなりビクって驚いたりして………」

「ひゃ、ひゃい!?

 な、何でもないよ!?

 キスとか色々とか何でもないよッ!?」

「………おい、この天然ムッツリ」

「む、ムッツリ?

 いいいい和泉ちゃんが何を言ってるか分からないんだけど!」

「どうせ大方あの人と他の男が組んず解れずズッコンバッコンやってる事を想像してたんでしょ

 想像力豊かだね、ムッツリ楓さんは」

「そ、そこまで深くまで考えてないよ!!」

「墓穴掘りお疲れ様で~す」

「はッ!?ゆ、誘導尋問とは卑怯だよ!!」

「自ら墓穴に突撃かました人間が何言ってんのさ」

 

考えを先読みして私があられもない言葉を言うように仕向けるなんて

流石和泉ちゃん、半端じゃない

さっきの発言は本心じゃなくて誘導尋問にやられて言わされてしまったものだ

決して本心の言葉なんかじゃない

………本当だよ?

 

「そのホモって話も楓に告白したって事で裏取れたじゃん

 これで安心して恋愛出来るよ」

「『遺伝子レベルで一目惚れです

 結婚を前提に付き合ってください』だっけ?

 いやぁやっぱり『神の子』は漢らしいね

 そんな事を初っ端からぶっ放してきたんだから」

「いきなり結婚前提とかどれだけ楓に惚れ込んだのかって話だよ」

「うぅ~………」

 

彼に言われた台詞を聞いただけで昨日の光景が蘇って来る

私を助けてくれた男性が真剣な表情で私なんかに言ってくれた告白

少し強引気味で芯が通った言い方

和泉ちゃんが言った通り、とても漢らしくてカッコいいと感じた

そう考えただけで血液が頭まで上ってきてとても紅く熱く、恥ずかしくなってきた

 

「それで、連絡先貰って何か連絡したの?」

「………まだ、何も」

「はぁぁあ?」

 

紫信ちゃんの問いに少し申し訳ないかのように答えると凄まじく呆れた表情で私を見てくる和泉ちゃん

止めて!いつも優しくしてくれる和泉ちゃんからのその反応は結構傷つくよ!

だってしょうがないよ!!

ただでさえ男性が苦手な私が、その日会って助けてくれて告白してくれた男性にそんな積極的な行動を取れる訳ないじゃん!?

助けてくれた感謝と告白された恥じらいやら何やらが折り重なって凄まじい事になってるんだから!

 

「そこはね楓、『助けてくれてありがとう御座いました!お礼とは言っては何ですけど今度良かったらお食事にでも行きませんか?』みたいな事やっとかないと」

「む、無理無理無理!!

 自分から話題を振るなんて普段から苦手なのに男の人相手なんて無理だよぉ!」

「だからってこのままじゃ礼も言わない暗い女としか思われないよ」

「そんな事ないよ

 お礼くらいちゃんと--------------ぁ」

 

言ったよと言いたかったが固まってしまった

今思い返してみればお礼は何一つ言っていなかった

『なんで逃げるんですか』と言った次の瞬間には告白されてテンパッて顔を真っ赤にしてあたふたして連絡先だけ貰うと事情を聞きに来た駅員さんから彼を逃がすようにするなど慌しい事この上なかった

「ふぇ」とか「あ」とか「え」とかもう会話に成りえない言葉と呼んでいいのかすら分からない事しか喋れなかった

 

「言ってないんだね?」

「…………はい、言えてません」

「痴漢から救って貰ったんだからお礼くらい流石に言いなよ」

「だって私もう告白されたことで手一杯だったんだもん!

 それに駅員さんに言い訳するのも大変だったんだよ!?」

「言い訳?」

「なんか『お巡りさんのお世話になるのはちょっと………』みたいな事言ってたから庇うことになったの

 助けて貰った事は確かだしそのままあの人を差し出すというのも気が引けると思ったから

 あの人が動いたのはそもそも私が痴漢されて何も行動を起こさなかったのが原因だし……」

「更なる元凶はその痴漢した中年なんだけどね」

「確か顔面ぶん殴って気絶させたんだっけ?

 ガラスにヒビまで入れて

 噂に聞く『神の子』ってのはもっと聡明な人間って聞いてたけど随分と手が早いんだね

 まぁ私でも楓がやられてるの見たら襲い掛かるけど」

 

あ、なんか和泉ちゃん優しい

これはあれなのかな、巷で有名なツンデレってやつなのかな

落としてから優しくするとかいう

嬉しさのあまり思わず頬が緩んで笑みがこぼれてしまう

だがその瞬間和泉ちゃんがまた私の両頬を掴んでくる

 

「あにふるのいふみしゃぁん(何するの和泉ちゃん)」

「私が少し優しくしたからっていきなり満面の笑みになってんじゃないよ」

「ふぁっていふみふぁんがへれたふぁら(だって和泉ちゃんがデレたから)」

「私は一度もアンタにデレた覚えは無い………ッ!」

「いふぁぁぁあい!(痛ぁぁぁあいッ!)」

「まぁまぁ、照れ隠しなんてしなくてもいいじゃんよ

 ツンデレ和泉ちゃん」

「誰がツンデレだ!

 脳筋は黙ってなッ!!」

 

少し荒げた息を整えて彼女はまったく、と言いながら呆れて座った

その姿を見る限り彼女の言う通りデレてはいないのだろうか

むぅ……彼女のデレの壁は未だに突破出来ないか

そんな下らない事を考えていると話題を戻し始めた

 

「お礼言ってないって………やっぱり良くないよね?」

「まぁ良くはないだろうね」

「痴漢から助けるって結構な事だしね」

 

確かにそうだ

もし近くで赤の他人が痴漢されているのを発見してすぐ助けに行こうとは思えない

面倒ごとである以上自分にも何か面倒な事が降りかかるのではないかと身を引いてしまう

 

「電話、電話……あぁでも電話なんかで済ませて良い訳無いし……」

 

でもこうしてグダグダとやっていても時間が過ぎていくだけ

必修の授業だったら悩むところだがただ3人で集まりに来ただけだった授業の為、出席をしなくても問題は無い

ならやることは一つ

 

「私ちょっと行って来る!」

「え、ちょ、行くってどこに!?」

「あの人の所!!

 ちゃんとお礼しないと!」

 

授業開始目前で席を立ち上がり出口へと駆け出す

そんな私の2人も驚きと戸惑いのまま付いてきてくれた

やはり運動音痴の私とは違い速力と体力がある2人は先を走っていた私にすぐ並んだ

どうやら私と一緒に彼の所に行ってくれるらしい

 

「でも楓!」

「なにッ!!」

「アンタ彼がどこに居るか分かってるの!?」

「まずはジムに行ってみる!」

「そのジムの名前は!?」

 

 

 

 

 

「………ほにゃららジム」

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「……………………」

 

 

私の言葉を聞いた瞬間皆が押し黙る

そして2人とも同じようなジト目で此方を見てくる

その視線に耐え切れなくなった私はプイッと顔を逸らした

 

 

「…………あんた等私に付いて来な!」

 

「うん!」

 

「了解!」

 

 

先頭を和泉ちゃんに譲り私は後ろへ引き下がる

うん、やっぱり私が先頭に居るより和泉ちゃんが居た方が絵になるよね!

決して私が行く先が分からないから先導して貰ってるわけじゃないんだよ?

 

 

 

 

 




天才云々の話は次回で色々と説明します

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