エクストラダンガンロンパZ 希望の蔓に絶望の華を   作:江藤えそら

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前回の投稿より早4カ月……。読者の皆様には多大なるご迷惑をおかけして、大変頭が下がる思いです。本作を待っている読者さんなんているのか分からないけど…。
今回は謎解きです。だいぶ力を入れましたね。出てこないキャラとかいるのは申し訳ないです…。


chapter2 非日常編② 捜査編

 ◆◆◆

 

 

 

『死体が発見されました! 一定の捜査時間の後、学級裁判を行います!』

 

 

 

 

「………え、」

 

 無意識のうちに声が漏れていた。

 眼前の光景を、脳が光景として認識できていなかった。

 

 

 だって、そうだろう。

 

 俺の目の前に座り込んだまま息絶えているのが……

 

 誰よりも強く、聡明で、殺されるはずなどなかった彼なのだから。

 

 

 初日、大ホールで見せた圧倒的なスピード。

 それは、彼が人間という枠組みすらもはるかに超越した実力があることを物語っていた。

 

 そんな彼が。 

 やすやすと誰かに殺されるはずがなかった。

 

 ”なかった”としか言えないのが事実。

 だって、今彼は俺達の目の前で息絶えているのだから。

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 夢郷君の呼びかけにより、未だ目を覚ましていなかった人達もようやく駆けつけてきた。

 

「ふ、二人……二人も亡くなられたというのですか!?」

 丹沢君が足を震わせながら驚嘆の声を上げた。

「ぅ……うぅ…ぁ…う……」

 亞桐さんは床に膝をつき、泣きじゃくるばかりだった。

「なぜ…なぜ……! 対策は万全だったはずなのに……なぜこんなことが…!」

 入間君の悲嘆の声が耳に痛い。

 

 

 

 そんな中、目を覚ました山村さんはただ黙って立っていた。

 生気を失った絶望の表情を浮かべながら。

 昨晩校舎内の見回り役を買って出た彼女は、その決意の表れなのか、普段のセーラー服ではなく、空手の道着を着用していた。

 だが、そんな覚悟も意志も、意識の彼方に吹っ飛んでしまったようだ。

 

「…………」 

 山村さんは、口をかすかに開いたまま、青白い顔でひたすらに正面を見つめていた。

 視線の先にあるのは、彼女に”強さ”を教えてくれた人物。

 この一週間余りの生活で彼女が最も強く尊敬していた人。

 

「な、んで」

 そう呟くのも無理はない。

 それは、ここにいる誰もが思っていることだ。

 

 

『ぎっひゃひゃひゃひゃーーーー!!! ぎひゃ、ぐひゃッガガガ』

 聞こえてきた。

 あの不快な笑い声……

 

 ……ん?

 

 いつもの笑い声に交じって、ノイズのようなものまで聞こえる。

 

『ガガガ―ちくしょ、マイクの調子が悪ザザーッ』

 そう言いながら俺達の足元に出てきたのは、見るも無残な壊れかけのモノパンダだった。

 外装はところどころが千切れて綿、さらには内蔵機械が露出し、耳も片方失っている。

「な、なんたることぞ、これは」

 安藤さんが訝しげにつぶやく。

『えー、ザザー、とうとう起きちまったなあ、二度目の事件! ガガガ』

「それよりまず貴様のその状態についての説明を求めたいのだが」

 間髪を入れず御堂さんが問う。

『あぁ、これは、そのー、ザザザー…これもオメーラが解き明かす謎の一つってことだよ!』

「なによそれ……! ふざけんなよ…!」

 亞桐さんが悲痛な声を上げるが、モノパンダは取り合うそぶりを見せなかった。

『とりあえずガガガ、こいつを生徒手帳にザザ、転送しとくぜ!』

 その声とともに電子生徒手帳から電子音が鳴る。

『それじゃあ今回もガーー、オメーラが真実に辿り着けるか楽しみに待ってるぜ!』

 それだけ言い残してモノパンダはさっさと瓦礫の中へと入っていってしまった。

 

「(ん? モノパンダの背中……)」

 …なにやら、縫合したような跡がある。

 

「二名の被害者にボロボロのモノパンダに大ホールの有様……。これを一度に解明しろと言うのですか! いくらなんでもそれは……」

「不可能でもあるまい」

 丹沢君が言いかけた嘆きの言葉を、御堂さんが遮る。

「大ホールの状況をよく見ろ。鉄塊やらショベルカーやらは我々のあずかり知るところではないが、こいつは我々のなじみの深いものだろう?」

 そう言って彼女はモノクマの残骸を拾い上げた。

「これが何を意味するものなのか、考察の余地は十分にある」

 モノクマの残骸が意味すること……。

「まあいい。議論は後でできるのだ、今は証拠を集めることに専念しろ」

 どこまでも冷静な彼女の助言に従い、捜査が開始された。

「裁判が終わるまでは誰も信用しないことだな。事件が起こった以上、ここに立つ全員が敵と思え」

 

 

【コトダマ入手:大ホールの状況

 大ホールには謎の物体とともにモノクマやモノパンダの残骸が散乱していた。

 

【コトダマ入手:壊れかけのモノパンダ

 葛西達の前に現れたモノパンダは何故かボロボロで、マイクもまともに機能していなかった。しかし、背中に縫合したような跡がある。

 

 

《捜査開始》

 

 

 

 みんなが捜査のために解散すると、俺はまず正面に座るリュウ君の遺体へと近寄った。

 

「それにしても未だに信じられませぬ……バトル漫画顔負けの強さのこの御仁が、こうもあっさりと……」

 丹沢君が悲しげな目で遺体を見つめていた。

「ところで、モノモノファイルによりますと、死因は胸を刺されたことによる失血死のようですな…。この通りお胸に槍が突き刺さっているわけですし、これが死因とみて間違いないようですな」

 彼の言葉通り、リュウ君の胸には深々と黒い槍が突き刺さっていた。

 同じ型の槍が何本もそこら中に転がっており、激闘の跡を思わせる。

 俺はまず、手元の電子生徒手帳からモノモノファイルを開いた。

 

『ザ・モノモノファイル②-2  

 被害者はリュウ。死因は胸を刺されたことによる失血死。全身に傷跡あり。』

 

 ……これだけか。

 今回は死亡推定時刻についての記述がない。

 つまり、それすらも俺達の推測で当てなくてはならないということか。

「全身に傷跡あり」の記述通り、顔や手にはいくつも傷が見受けられる。

 やはり、彼は……

 

 

 そのとき、一人の人物が遺体の前まで進み出てきた。

「山村さん……」

 ガクリ、と彼女はリュウ君の目前で膝をついた。 

 

「 わ  たし   が  」

 唇を小さく震わせながら微かな言葉を漏らした。

「    弱    か    っ た     か  ら  」

 

 違う、そうじゃない。

 そんなはずあるもんか。

 

 

 そう言えばよかったのに。

 喉まで出かかっていたのに。

 言えなかった。

 俺が、俺なんかが彼女の覚悟を全て理解したかのような言葉なんて吐いちゃいけないと思った。

 

 裁判の時、自分のすぐ近くで殺されたにもかかわらず津川さんを守れなかったと知った彼女は。

 周囲の目も気にせず、膝をついた。

 もうこの世にはいない相手に向かって伏して謝罪し、大声を上げて泣いていた。

 死ぬほど悔しかったはずだ。

 だからこそ、今回こそは絶対にみんなを守り切ると誓っていたんだろう。

 それなのに、この結果だ。

 いっそ自分が殺されていた方が楽だったのかもしれない。

 

「 助  け て   」

 自我が崩壊しかけた彼女が発した言葉は、実に気弱なものだった。

「    も  う    嫌  ・ ・ ・・     な に   も  か  も     」

 堰を切ったかのように彼女の瞳から大粒の涙が零れ落ちる。

 それはリュウ君の膝元に零れ落ちる。

 だが、最強の男であったはずの彼は、山村さんが見せた涙に何の反応も示さなかった。

 

 そこで泣きむせぶのは最早孤高の空手家ではなく、ただの傷ついた少女だった。

 

 

 

 

「…葛西殿、このような時に言いにくいのですが……」

 丹沢君の声が横から差し込まれてくる。

「リュウ殿の体をよく見てくださりませぬか? 包帯が巻いてありまする」

「……え?」

 床に倒れ伏して泣いている山村さんに配慮しつつ、俺は彼のコートをめくってみた。

 コートの下には制服のワイシャツを着ている。

 

 だが、さらにそれをはだけさせてみると、朱に染まった包帯が体に巻かれているのがはっきりと見えた。

 

 どこか腑に落ちない違和感がある。

 一体なんだろうか?

 

【コトダマ入手:血塗られた包帯

 リュウの体には包帯が巻かれていた。リュウが自分で巻いたものと思われる。

 

 

 

 とりあえず、今調べるべき場所はどこなのか。

 答えはすぐに見つかった。

 

 

 

 二階、2-A。

 

 そこには、依然として釜利谷君が椅子にもたれかかっていた。

 ダラリと首を後ろに垂らして。

 

 すぐさまその遺体から顔を背けたくなった俺は、すかさずポケットから電子生徒手帳を取り出した。

 

 

『ザ・モノモノファイル②-1

 被害者は”超高校級の脳科学者”、釜利谷三瓶。死因は脊椎骨折による脊髄損傷。ほぼ即死。』

 

 こちらも被害時刻に関する記述はなし。

 

 

「もっと……お話とか…したかった…のに……」

 背後から声がしたので振り返ると、俺に続いて入ってきた亞桐さんが涙ぐむ眼元を拭っていた。

「なんでだよ……なんで……殺したりするんだよ……」

 知るかよ、そんなこと。

 人殺しが何を考えるかなんて、分かるわけないだろ。

「…亞桐さん。捜査、しようよ」

 俺はあくまでも淡々とそう言った。

 少し言い方が冷たすぎただろうか。

 これじゃあ御堂さんのことを悪く言えないな。

「うん。うん…。分かってる。ごめんね」

 震えた声ながらも、彼女は釜利谷君の遺体へと歩み寄っていった。

 

「………ん?」

 亞桐さんの言葉を聞いて思わずうつむいた俺は、足元に何かが落ちているのを見つけた。

 白い、細長いもの……?

 

 俺はしゃがみこんでその物体を拾った。

 柔らかく、紙でできた……

 

「吸い殻…?」

 煙草の吸い殻だ。

 なんでこんなものが、こんなところに……?

 

【コトダマ入手:落ちていた吸い殻

 2-Aに一本だけ落ちていた煙草の吸い殻。

 

 

「ねえ、葛西」

 亞桐さんの声が俺の思考を遮った。

「ポケット探してみたら…なんか…紙切れが出てきたんだけど……」

 紙切れ…?

 受け取ってみると、それはノートの一ページを切り取ったような大きさの紙切れだった。

 文字がプリントしてある。

 

 

『一筆啓上 釜利谷三瓶

 貴殿の正体を看破した。AM2:00、2-Aまで。来る来ないは貴殿の自由に。』

 

 

 これは……?

「2-Aって…ここのことだよね……? ってことは、さ…」

「この紙は…犯人から釜利谷君に宛てた”呼び出し状”って…ことなのか…?」

 

 

【コトダマ入手:呼び出し状

 釜利谷に当てたと思われる書状。文字がプリントされている。

 

 

 続けて俺は部屋をぐるりと見渡した。

 教室の真ん中に釜利谷君が座る机椅子がポツンと置かれ、他のものは隅の方に片付けられている。

 特に目新しいことはない、と思ったが……?

 

「なんだ、これ……」

 壁に突き刺さっている銀の物体。

 引き抜いてみると、細いナイフ状の金属だった。

「メス……??」

 脚本家という才能柄、医療系の作品を鑑賞することもよくある俺だが、その感性から言わせてもらうと、間違いなくこれは手術道具のメスだ。

「葛西? どうかしたの?」

「いや……これって…メス……だよね…?」

 不思議そうな顔をする亞桐さんに俺はメスらしきものを見せる。

「メスって……手術する時に使うやつ…?」

「なんでこんなものが……? そもそも誰がこんなものを持っていたんだ…?」

 謎は深まるばかりだ。

 とりあえず後から来た人にも分かるよう、メスは落ちないように元の場所に刺しなおした。

 

 

【コトダマ入手:刺さったメス

 メスが壁に突き刺さっていた。誰の所持品かは不明。

 

 

 

 他に目新しいものも見つからず、俺は亞桐さんと別れて2-Aを後にした。

 すると。

 

 

「おや、葛西殿であるか。進捗のほどはいかがかのう?」

 メモとペンを持った安藤さんが待ち構えていたかのように話しかけてきた。

「…まずます、ってところかな。そっちは?」

「さっぱりであーーる!!」

 ない胸を張って安藤さんは高らかに言い放った。

 ため息しか出ない。

「…あ、でもちょっとだけおかしなところはあったかのう?」

 その言葉を聞いて、ガクリと落ちかけていた顔を一気に上げた。

「聞かせてもらっていい?」

「えーっと…うーんと……そうじゃ! 技術室にさっき行ったのだがの、なんだか散らかっていたし焦げていたのだぞよ!!」

「………??」

 一瞬、その状況が頭に思い浮かんでこなかった。

「あとは、そうじゃな! 伊丹のゆきみ殿がこう申しておったぞよ!! ”死体発見アナウンスがおかしい”とか!」

「……? 詳しく聞かせてほしいんだけど」

「うむ! 釜利谷殿を発見した時とリュウ殿の遺体を発見した時では、遺体発見からアナウンスが鳴るまでの時間が違ったと申しておったの!」

 そうだったかな…?

 両者とも、俺が駆け付けてすぐにアナウンスが鳴った気がするけど…。

 いや、そうとも言えない。

 

 釜利谷君の遺体の第一発見者は前木君。

 リュウ君の遺体の第一発見者は夢郷君。

 

 前木君は少なくとも俺が駆け付ける数分以上前には既に見つけていたはず。

 なぜなら、俺が目を覚まして廊下に出た時には、夢郷君と小清水さん、それと気を失っていた山村さんしかおらず、起きていた二人も前木君を目撃したとも言っていなかったからだ。

 これはつまり、前木君がかなり早い段階で2-Aを訪れていたということを表す。

 

 そして、アナウンスが鳴ったのは、俺が釜利谷君を発見した直後。

 その間、5分~10分程度の時差がある。

 

 それに対し、夢郷君がリュウ君を見つけたのは、恐らく俺が釜利谷君の遺体を発見したのとほぼ同時。

 アナウンスが鳴ったのは、俺と御堂さんが大ホールに駆け付けた直後。

 夢郷君が俺たちを呼びに来た時間を考慮しても、その時差は五分に満たないはずである。

 

 明らかにおかしい。

 きっと、何か法則がある。

 その法則を遵守する形でアナウンスは放送されているに違いない。

 それが分かれば、大きな手掛かりになるんだけど……

 

【コトダマ入手:死体発見アナウンスの謎

 一回目のアナウンスは、前木と葛西が釜利谷の遺体を発見した際に鳴った。二回目のアナウンスは、一度夢郷が遺体を発見した後、葛西と御堂が改めて発見した際に鳴った。

 

 早く技術室に行きたい気持ちは山々だったが、せっかく安藤さんにあったので、これだけは聞いておくことにした。

「一つ聞かせてほしいんだけど……昨晩、君はどこで何をしていたの?」

「んな??」と安藤さんは怪訝な顔をする。

「何を聞かれるかと思えば、葛西殿! 昨晩は山村殿が見回りをするから、”全員部屋で待機する”という約束だったではないかっ!! まあ、起きてみたら二人が死んでいて一人が気絶しているというワケワカラン展開になっていたのであるがのう……。ああっ、なんと怪奇!! ホラー漫画もサスペンス漫画も顔負けだぞよっ!!」

 …そうだった。

 ここまでの出来事があまりに印象深すぎて完全に失念していた。

 俺達には、かなり弱いものではあるけれど……全員にアリバイがある。

 じゃあ今回の犯人は、どうやって犯行を行ったんだ?

 どうやって、山村さんの警戒網を潜り抜け、犯行に及べたのだろうか?

 謎は深まるばかりだった。

 

【コトダマ入手:山村の見回り

 事件が起きた晩は、山村が校舎内を見回っており、部屋から出ることは不可能だった。

 

 聞けることは聞き終わっただろう。

「捜査熱心よのう」と感心して呟く安藤さんを残して、俺は技術室に向かった。

 

 

 

 ドアを開けた瞬間、鼻を突いた臭い。

 それは、焦げた木材と火薬の臭気だった。

「なんだ、これは……」

 目の前にある作業台、それと壁の一部にくっきりとつけられた焦げ跡。

 明確に破損している個所はないが、作業台の木材は若干傷ついているように見える。

 この教室で何が起きたっていうんだ…?

 

【コトダマ入手:技術室の焦げ跡

 技術室の壁や備品に焦げ跡があった。火災というには被害が小さすぎる。

 

 この状況が既に不自然ではあるが、俺は続けて部屋の中を見回した。

 まだ異様な点が見つかるかもしれない以上、手を抜くわけにはいかない。

「………?」

 ほら、見つかった。

 

 何やら床に機械の部品のようなものが転がっている。

 細かい部品がたくさん、だ。

 近くの引き出しは乱暴に開けてあり、その中には紙切れのようなものが突っ込まれていた。

 恐る恐る取り出してみると、それはクシャクシャに丸められていた。

 それを少しずつ開き、表記されている文字に目を通した。

『お手軽! 手製爆弾の作り方』

 

「手製、爆弾……?」

 以降の内容をざっくり読むと、簡易な爆弾の製作法が載っていた。

 分かりやすい記述であり、これを読めば機械音痴や素人でも簡単に爆弾を作れそうだ。

『④の引き出しにある端子を取り出す』

 この記述に目が留まった。

 引き出しを見ると、①、②、③…という具合にそれぞれの引き出しに番号が振ってある。

 ひょっとして、この説明書の番号と対応しているのだろうか?

 そう思って④の引き出しを開けてみると、精密な機械端子がズラリと並んでいる。

 しかもそれらの端子の中に一か所だけ空白になっている部分がある。

 つまり、端子が一つなくなっているのだ。

 これが何を意味するのか、考えなければならないだろう。

 

【コトダマ入手:製図と部品

 技術室には簡易爆弾を製作するための説明書と部品が用意してあった。

 

 この技術室で何かがあった。

 それを確信して捜査を続けるうち、俺はもう一つの違和感に気付く。

 

「モニターが……傾いている…?」

 ように…思えた。

 他の部屋に比べ、技術室のモニターは比較的低いところに設置してある。

 それゆえ、その違和感を確かなものとして認識することができたのだろう。

 近づいて確かめてみると、確かに水平面より少し傾いている。

 …壊れているのだろうか?

 続けて壁に顔をつけ、モニターの裏側をのぞいてみる。

「………!!」

 裏側はネジが取り外され、パカッと開いている。

 中にある精密機械もよく見えるほどだ。

 これじゃあこのモニターは映らないだろう。

 一体、だれが何のためにこんなことを……?

 

【コトダマ入手:モニターの破損

 技術室のモニターは裏側が取り外され、破損していた。中の部品も少し紛失している模様。

 

 技術室をさらにくまなく調べ上げた後、俺は部屋を後にした。

 ここまでの捜査ですでに時間を使いすぎてしまった気がする…。

 誰かと協力して捜査すれば、はかどるんだろうけど……。

 

 

『ここにいる全員を敵と思え』

 

 

 御堂さんの容赦ない言葉が胸に突き刺さる。

 この言葉が、俺に協力して捜査させる気概を奪っていた。

 

 あれだけ優しい笑顔を浮かべていた土門君が、人を手にかけてしまったんだ。

 あれだけみんなを励ましてくれた津川さんが、命を絶とうとしたのだ。

 

 人の感情など、普段見せる輝かしい姿など、もう信用することはできない。

 

 そう、自分に言い聞かせた直後だった。

 

「葛西君」

 背後から声。

「…小清水さん」

 赤く腫れた目が、彼女の心情を端的に表していた。

 昨晩からずっと泣き明かしていたのだ、そうなるのも無理はない。

「捜査、進んでる?」

 彼女はややうつむいた顔のまま問いかけてきた。

「………どうだろうね……分からないや…」

 その問いは先ほど安藤さんに投げかけられたものと全く同様であるにもかかわらず、俺は同じように答えることができなかった。

「私は化学室を調べててね。なんていうか……昆虫学者って言っても根は科学者だから、化学室の備品とか気になることが多くて、それで……薬品の名前とか量とか覚えてたから、何か事件前と変わってないかな……って思って調べたんだけど……」

 そこで、彼女はやや言葉を濁す。

「何も…変わってなかったの。役立たずだよね、私」

 そう言って、自嘲するように強張った笑みを浮かべた。

 

 役立たずなんかじゃないよ、と安い言葉で励ますのは簡単だ。

 だが、それでは彼女も、そして俺自身も満足できないような気がした。

 

「一緒に、捜査しようよ!」

 なぜ、口をついて出た言葉がそれだったのだろう。

 だって、誰かと協力して捜査するという行為はさっき俺自身が脳内から排除したのだから。

 その上でこんなことを言うなんて、俺は頭がおかしいんじゃないだろうか。

 

 いや、排除した可能性だからこそ俺はそれを呟いたのだ。

 それが、俺にとって最も彼女への信頼を証明できる行いなのだから。

 無論、先ほどの俺の考えを看破できるはずもない彼女にとっては証明でもなんでもないのだろうが、それでもいい。

 これは他ならぬ俺自身への証明なのだ。

 

「そうだ! 更衣室だよ! 更衣室はそれぞれの性別の部屋にしか入れないからさ、俺と小清水さんが二手に分かれれば両方の更衣室を同時に探れるよ」

 俺は、たった今頭に浮かんだアイデアを、これ見よがしに彼女に披露した。

 彼女は数秒間黙っていたが。

「……うん。そうね。ありがと」

 小さな声で微笑みながら呟いた。

 こんな状況ながら、不謹慎なことに俺は微かな胸の高鳴りを覚えていた。

「…”化学室には何もなかった”っていうのも立派な捜査結果だよ。それが分かったのも大きな一歩さ。いちいち凹むことないよ。”ゴキブリさん”みたく、しぶとい心を持たなきゃ!」

 そういえば、前の捜査の時には前木君にこんなことを言った気がする。

「ごめんね、心配かけて」

 小清水さんの微笑みは微かなものではなくなり、確かな形をもって俺に投げかけられてきた。

 正直言って”ゴキブリさん”は苦手だが、彼女を励ますという点において我ながら良い言葉選びだったと自負した。

 

 

 ともあれ更衣室に辿り着き、捜査を始めたのだが。

 驚くほどに発見がない。

 というか、最後に入ったのは数日前のプール大会の時であり、その時もあまりよく見なかったので違うが分からないのだ。

 あの時から何か変わっただろうか…?

 分からない。

 俺は数日前、みんなで着替えていたころの記憶を必死に呼び覚ます。

 

 リュウ君に釜利谷君。

 思えば、プール大会の猛者二人がいなくなってしまったわけだ。

 次の大会はレベルの低い戦いになってしまうんだな。

 

 ……なんて、辛気臭いことを考えている場合じゃないんだった。

 何か、何か変なところはないか。

 ロッカーの中とか……

「………?」

 ロッカーはいつの間に物置になったのか、雑誌やら哲学書やらフィギュアコレクションが詰まっていた。

 その中に一つ、よく分からないものが混じっていた。

 何かの機械?…のようなものだ。

 

 取り出してみてみると、木と金属を組み合わせて作った粗末なものだ。

 何に使うものなのか全くわからない。

 電動髭剃りのような片手サイズの物体であり、グリップの部分にボタンがある。

 興味本位でそれを押すと……

「うわっ!!」

 バチッ、という大きな音とともに、先端部の金属の隙間を稲妻が走った。

 つまりこの物体は。

「スタンガン……?」

 …ってことになる…。

 これは誰のものなんだろう?

 

【コトダマ入手:更衣室のスタンガン

 男子更衣室のロッカーの中には、粗末なつくりのスタンガンが置いてあった。所有者不明。

 

 その他には何も見出せた発見はなく、不安を胸に俺は男子更衣室を後にした。

 そしてプールで小清水さんと合流。

 女子更衣室にもこれといった異変はなかったらしく、プールも二人で探ったが、暗い水面が揺らぐその空間に異変は感じられなかった。

 

「ねえ。もう一度、大ホールに戻ってみない?」

 提案したのは小清水さんだった。

「やっぱり、今回の事件で一番怪しいっていうか、いろいろおかしかったのはあそこだと思うし……まだ調べきれていないことがたくさん残ってそうだなって思って」

 正論だった。

 結局、俺は小清水さんとともに、最初に調査した大ホールへと戻ることにした。

 

 

「…………」

 改めてみても、悲惨な状況である。

 よくよく見ると、大ホールの床や壁にはいろいろなところに血が飛び散っている。

 ヌイグルミたちが出血などするはずもない以上、この血は全て人から出たものということになる。

 やはり、この場所で何か恐ろしいことがが起きたのは間違いないようだ。

 

 リュウ君の遺体の前には、山村さんがまだ膝をついてうなだれていた。

 彼女のリュウ君への慕い具合を思い返せば、未だ立ち直れないのも無理はないことだ。

 仲のいい小清水ですら、かける言葉が見つからずに黙るばかりだった。

 

「……ん?」

 足元に視線を落とした小清水さんが声を上げる。

「リュウ君、何か握ってるみたい…」

 俺はそれを聞いてすぐにリュウ君の手に目を向けた。

 ぐっと握られた手の中から、少し白い紙がのぞいていた。

「…見てみる?」

 恐る恐る問うと、小清水さんは気乗りしない表情ながらも小さく頷いた。

 何か手掛かりがありそうな以上、調べないわけにはいかない。

 

 リュウ君のすぐ横にしゃがみこむ。

 目の前に来ても、死んだような目で床を見つめる山村さんは全く反応を示さなかった。

 俺はリュウ君の右手に触れた。

 体温を失ったその肉体は冷蔵庫にしまわれた肉のように冷たく、それでいて硬質ゴムのように固かった。

 それでも俺は勇気を出して彼の指を一本一本開いてゆく。

 遺体でありながら今にも動き出しそうなほどの威迫を保ったリュウ君の姿に固唾を飲みながらも、何とか俺は紙切れを取り出した。

 先ほどの技術室の製図の例もあって、俺は小走りで遺体から離れると、躊躇わずにそれを読みだしていた。

 

 

 

 

 

 

『決意表明

 

これより俺は”絶望”に対し行動を起こす。

 しかし、万一の場合に備え、真実を記した書をしたためておくこととする。なお、この手記は個室に置けばモノクマ共に排除される恐れがある故、俺が所持しておくものとする。

 

 非常時につき、全てをありのままに記す。

 

 俺の名は”龍雅・フォン・グラディウス”。”超高校級の殺し屋”として入学した。

 俺は自らの目的を失念していたが、とあるきっかけにより思い出すことができた。

 俺の目的は、”超高校級の絶望”の抹殺。ただそれだけである。

 

 手短に話すが、これより記すことは全て俺が知りえた真実である。決して虚実ではないことをここに宣言する。心して拝読されたい。

 

 第一に、モノクマとモノパンダを操るものは”超高校級の絶望”である。俺はこれより奴らを排除すべく行動に出る所存である。

 第二に、この学園生活を過ごす者達にも、”超高校級の絶望”の一味たるものが複数人紛れ込んでいる。その者についても残さず排除する。

 

 念のため、ここに俺が突き止めた”絶望”の正体を記しておく。

 俺が仕留め損ねることはあり得ぬが、万一のことあらば、同級生といえど容赦は無用である。

 その名を、以下に記述し』

 

 

 紙は破かれており、そこまでしか読めなかった。

 いや、それよりも。

 もしこれが彼の書いた本物の書だとしたら……。

 

 

 彼の正体は、”超高校級の殺し屋”だったというのか??

 何という、笑えない冗談だ。

 初日、リュウ君を始めてみた俺は、彼の才能を冗談半分で『殺し屋なんじゃないか』と疑っていた。

 まさかそれが当たっているなんて。

 

 寡黙で、纏う雰囲気は時として恐ろしいものになることもあった彼だが、一週間余りの共同生活で分かったこともあった。 

 人を手にかけるような人物ではなく、仲間として信用するに足る人だと信じていた。

 そんな彼が、殺し屋だったなんて。

 殺し屋・”龍雅・フォン・グラディウス”だったなんて。

 

【コトダマ入手:決意表明

 リュウが握りしめていた紙切れ。黒幕に戦いを挑む覚悟と、自らの正体について書かれている。

 

「…葛西君、大丈夫?」

 小清水さんの言葉で我に返った。

「それ、何が書いてあったの?」

 俺はこの書を彼女に見せるべきか悩み、そして。

「…後で話すよ。とりあえず今は捜査を優先しよう」

 小刻みに震える声でそう告げた。

 小清水さんだって、この書置きを見たら動揺するのは間違いない。

 これ以上、無駄に彼女の心を揺さぶるようなことはしたくない。

 どうせ裁判で公開することになるのだから、今すぐ見せる必要もないはずだ。

 

 小清水さんも俺の表情から何かを察したように小さく頷く。

「でね、葛西君。あなたがそれを読んでいる間に、足元にこんなのが落ちているのを見つけたのよ」

 そう言って小清水さんが俺に見せたもの、それは俺にとっても見慣れたものだった。

「リュウ君の電子生徒手帳……?」

 俺はそれを受け取り、電源を入れてみる。

 

『超高校級の殺し屋  龍雅・フォン・グラディウス』

 

 その文字が表示されたので俺はそれとなく小清水さんに見えない角度に持ち直した。

 そして、その表示から、先ほどの決意表明が虚を交えていないことを悟った。

 彼は、本当に殺人鬼だったということだ。

 

「これね、リュウ君からちょっと離れていたところに落ちていたのよ。なんでそんなところにあったのかなーって」

「何かの拍子に彼のポケットから落ちただけじゃないかな……」

 うーん…と小清水さんはうなり声を上げる。

「やっぱりそうなのかな……」

「…でも、とりあえずは覚えておくことにするよ。ありがとう」

 あまり重要な発見には思えないが、彼女の発見を無駄にするわけにもいかず、こう答えることにした。

 

【コトダマ入手:リュウの電子生徒手帳

 リュウの生徒手帳が離れたところに落ちていた。何かの拍子に落ちただけかもしれない……。

 

 

 決意表明という大きな捜査材料を手に入れ、満足とばかりに大ホールを後にしようとした時だった。

「ねえ…やっぱり、放っておけないよ」

 小清水さんが今にも泣きそうな声で呟いた。

 彼女が何に対してそう言っているのか、すぐわかった。

 リュウ君の前に座り込んで放心状態になっている山村さんのことだろう。

「でも……変に声をかけた方が傷つけちゃうよ……」

「分かってるけど……でも……見てられないよ…巴ちゃんのあんな姿……」

 

「だいじょうぶ、 で す 」

 意外なことに、本人から声が返ってきた。

 ゆらり、と立ち上がった山村さんは、少しかがみこんでリュウ君の顔を覗き込んだ。

 彼女の背後に立っていた俺達からは彼女の表情は見えなかったが、一体どのような表情をしていただろうか。

「…………」

 何も言わぬまま、山村さんはリュウ君の頭を抱え込んだ。

 何かを囁いているようにも見えた。

 そのあたりからだった。

 彼女の周囲を、赤い光が纏い始めたのは。

 リュウ君から離れると、山村さんは彼の袖をまくり、腕に巻いてある血に染まった包帯を外し始めた。

 ある程度の長さ外すとそれを引きちぎり、自らの額に巻き付けた。

 彼女を包む赤いオーラは確実に光度を増していく。

 そして最後に、自らの両袖に手をかけ、勢いよくそれを引きちぎった。

 

「山村さん……?」

 俺には初め、彼女の行動の意図がよくつかめなかった。

「 私は   オ レ は 」

 小さな、されど確かな重みを含ませた言葉を彼女は呟く。

 はち切れんほどのオーラが俺の全身を撫でるにつれて、そこから彼女自身の思惑が伝わってくるような気がした。

「 もう  迷わ ね え  」

 未だぎこちなくはあるが、それでも芯のある口調で山村さんは呟いた。

 彼女から伝わる感情は、犯人への憤りでも無力な自分への憎悪でもない。

 言葉にできぬ覚悟と情熱とが融和し、その空間に立つ俺と小清水さんに不思議な感動を与えていた。

「オレ は… お前 を ……」

 次第に山村さんの言葉は冷静さを取り戻しているように感じた。

「…お前 の すべてを、オレが 受け継ぐ」

 彼女は静かに言い放った。

 そして振り返る。

 

 俺と向き合った表情は、気高い戦士の顔。

 しかしその頬には二筋の涙が伝っている。

「そして、必ずお前を超えてやる……」

 そう言って彼女は歩み出す。

 リュウ喰への未練を断ち切るかのように、強く、重い足取りで、歩く。

 

 

 

『ピンポンパンポーン』

 

 

 

 そんな山村さんの姿を全て見ていたかのように、そのアナウンスは絶妙なタイミングで鳴り響いた。

「ガガガ……えーと、オイラのマイクの調子もまだちょっと不安定だけど、ガガ…捜査時間終了だぜ!! オイラもそんなに気が長い方じゃないからな! パンダっつっても、根はクマだからな!! そーゆーわけで、全員エレベーターの方に集合をお願いするぜー!」

 調子のいい一方的な命令をして、アナウンスは終わる。

「上等だァッ!!!!」

 山村さんの咆哮が、既に映像の途切れた大ホールのモニターに向かって浴びせられた。

「オレは勝つ……!! モノクマだろうが犯人だろうが……オレは勝つだけだ!!」

 そして悠然と大ホールを後にする。

 その背中は、心なしか数日前に見たリュウ君のそれと重なっているように思えた。

 

「…じゃ、私たちも行こっか」

 彼女の姿を見送った後、小清水さんが言った。

「うん…」と小声で呟いた後、俺は歩き出した。

 

 先週の裁判が脳裏に浮かび、頭痛のような激しい不快感に襲われる。

 同じことを繰り返すのだと分かっていてもそれを止められない状況そのものに反吐が出る思いだ。

 だが、前回とは違って、みんなは成長している。

 小清水さんも、山村さんも、そして恐らくは俺自身も、強くなったはずだ。

 そう信じて、俺はエレベーターまでの一歩一歩を踏みしめて歩いた。

 

 

 

 

 エレベーターに集まった人数は11人。

 前回の裁判から3人が抜け、エレベーターが広く感じられる。

「そうだ、葛西君。これを君に渡しておこうか」

 突然そう言ってきたのは夢郷君だ。

 そういえば、今回の捜査時間にはあまり多くの人に出会わなかった気がする。

「僕と丹沢君は御堂君の頼みで釜利谷君とリュウ君の個室を調べていてね。僕は釜利谷君の部屋を調べたんだが、こんなものを見つけたんだ」

 そう言って彼が持ち出したのは、小さな冊子。

『記憶に関する研究の概要』と銘打たれている。

「これが重要なものなのかイマイチ僕には分かりかねるんだが、御堂君に教えたら”持っておいた方がいい”というのでね。念のため君に渡しておくことにするよ」

「…なんで俺に?」

「前回の裁判で御堂君に並んで頼りになると分かったからさ。…恥ずかしい話、僕は自分が疑われても身を守ることすらできなかった」

 そこを助けてくれた実力を見込んで、ということだろうか。

 とりあえず、その研究書に目を通してみた。

 

『被験体14名の記憶を制御するのは至難の業であるが、マツダの研究成果をもとに……』

『本日、マウスの記憶を制御することに成功した。マウスは異なる親の元へ授乳を求め……』

『ついに被験体14名の記憶を完全に制御した。被験体はこのまま昏睡状態を維持し、さらなる…』

 読んでみても頭をひねるばかりだ。

 これが一体、事件にどう関係してくるのだろうか。

 そういえば釜利谷君は記憶の分野の研究をしている人だったし、これは単純に彼の研究レポートのようなものなのだろう。

 

【コトダマ入手:記憶研究書

 記憶に関する研究の内容が記されている。これによると、14人の被験体の記憶を完全に制御したらしい。 

 

「どうかい? 何かわかりそうかな?」

 夢郷君が興味ありげに尋ねてくるが、俺は首をひねることしかできない。

「そうか…。まあ、すぐに思いつくものでもないだろう。裁判中も探求することをやめないでほしい。真実はたゆまぬ探求の奥に秘められているのだからね」

 何やら意味深な言葉を呟くと同時に、エレベーターが動き出した。

 ふわり、と一瞬だけ慣性で体が軽くなる。

 

 

 なぜだろう。

 もう二度と味わいたくないと思っていたはずのこの感覚が。

 少し、懐かしいとすら思えているのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

《モノパンダ劇場》

 

 

 

 ぎひゃひゃひゃひゃ!!! 元気にしてるかな~~??

 

 ”インパクトも可愛らしさも大物感もモノクマより一回り下”でお馴染み、モノパンダちゃんだぜ~~!!

 

 なんで突然地の文で話し始めたかって?

 

 嫌だなあ、前回の捜査編を忘れちゃったのかよ~??

 

 あの時はモノクマ先生がこうやってイラスト紹kじゃなくって被害者紹介をしてくれたんだぜ~~!!

 

 …ってそうか!! それはpixiv版の話であって、ハーメルンじゃそんなことしてなかったんだっけ……

 

 はいはいっ!! じゃあ今の話は忘れてくれ!! 

 

 …もし、そのモノクマ先生の言葉が聞きたいなら、要望があれば作者の活動報告とかでしれっと乗っけるかもだけどな。

 

 

 

 さてさて、つーわけで、今回オイラが出てきた用件を言っちゃおうか!

 

 ここまで呼んできた読者は思ったんじゃねえか? 

 

「今回の事件、謎多すぎだろ~~!!」ってな!! ぎひゃひゃひゃ!!

 

 そこはまあ、四か月かけて考えた作者の身にもなって考えてくれよ。四カ月もかけるからいろいろこじれてややこしくなっちまったんだよ!! 作者の都合なんぞオイラは知らんけどな!! ぎひゃひゃひゃひゃ!!

 

 

 だから、オイラから読者だけに大ヒントをプレゼンツ!!しちゃうんだぜ~~!!

 

 オイラはクマと違って温厚なパンダだからな!!(おっと、校長に聞かれたら喰われちまう)

 

 

 まず第一のヒント!!

 

 ”死体発見アナウンス”についてだぜ!!

 

 なんだか葛西君が推理小説の主人公みたいな長ったらしいだけのトンデモ推論をダラダラダラダラ語ってたけど、ここで言っちゃいます!!

 

 ズバリ、アイツが気になっていたアナウンスの法則、それは!!

 

 

『遺体の発見者数が三名に到達した瞬間、アナウンスが鳴る』だぜ~!!

 

 葛西君たちはまだ分かってねえから裁判でもう一度言うけど、オメーラはよーく覚えて捜査しろよ! えっへん!

 

 

 さーて、じゃあ第二のヒントに行っちゃうか!

 

 第二のヒントは”コトダマ”についてだぜ!!

 

 コトダマってのはオメーラ推理側にとっちゃあ生命線……。弾がねえ銃なんて笹がない林みたいなもんだからな!!

 

 しかーし!! 今回の捜査編ではなんと!!

 

 ”不発弾”を仕込んであるんだぜ~!!

 

 つまり、入手はできても裁判には全く生きない”ダミーのコトダマ”ってことだ!!

 

 だけど!! ダミーのコトダマはそんなにたくさんあるわけじゃねえからな!! 作者もそこまで賢くねえし!

 

「あるとしても一個か二個、多くても三個」くらいにおもってくれて構わねえぜ!!

 

 そもそも、いまここでこんなことを言った本当の目的は、「これからの捜査でも不発弾を仕込んでいくよ」っていう宣言みたいな側面もあるからな……。もしかしたら今回は不発弾なんてないかも!! ぎひゃひゃひゃ!!

 

 ちなみに、「コトダマ入手」表示をしてないけど、モノモノファイルも立派なコトダマだからな!!

 

 そしてーーーっっ!!

 

 ハーメルン版を読んでいる読者さんだけのスペシャルヒント!!

 

 今回の事件、被害者が二人いる分、ややこしいことがいろいろ起こってるわけだけど……

 

 ”流れで考えるのではなく、一つ一つの出来事を分けて考える”ことをオススメするぜ!!

 

「あのコトダマは出来事A、このコトダマは出来事Bに関するコトダマだな」っていう風に出来事ごとに情報を整理して考えるのが正解への近道かな!

 

 推理してくれるのは大いに結構だけど、感想欄とか、多くの人の目に触れるところにネタバレを書くのは勘弁だぜ!!(メッセージとか、活動報告コメントとかがオススメかな?)

 

 

 

 さーて、オイラからのスペシャルヒントの数々、どうだったかな??

 

 …え? いろいろ言われすぎて逆に混乱したって?

 

 ぎーひゃひゃひゃひゃ!! 実はそれ狙ってた、って言ったら怒るかい?

 

 それじゃあみんな、せいぜい謎解き頑張ってな!!

 

  

 

 

 

 

 

 

 あ、そうだ!! やっぱり最後にこれだけは教えといてやるよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回のクロは、”前回とは比べ物にならないほどの絶望を背負っている”んだぜ~!

 

 

 

 

 

 それじゃ、また来週~!

 

 

 

 


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