遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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ホープ・カイザー&未来皇&コズミック・ブレイザー「復讐したい奴がいる」
アンチホープ「悔しいでしょうねぇ」
ついに登場した新しい召喚法とマスタールール4。
正直言って私の書く小説は大量展開でデュエルスフィンクスを誤魔化しているのでマスタールール3のままで書きそうです。
取り敢えずシンクロ次元が終了するまでマスタールール3で進み、その先で4でもイケる気がすると感じたら変更したいと思っています。ただしリンクモンスターは出ない。小説で表せる気がしない。
因みにマスタールール4でも満足民は満足する方法を編み出したとか。やっぱ満足民頭おかしいわ(褒め言葉)。


第78話 僕には病気の妹が…

気がつけば、少年は孤独だった。両親は既にこの世には存在せず、少年の傍にいるのは病の妹のみ。その妹も少年の下から離れ、真っ白な病室に1人きりで彼女の治療費を稼ぐ為、アカデミアの門を叩き、無理矢理自分を売り込み、デュエル戦士となった。

 

いきなりアカデミアに単身乗り込み、道場破り紛いの事を行い、多くのデュエリストを叩き伏せる彼に声をかけたのは、プロフェッサーと呼ばれる男だった。彼は手負いの獣のように威嚇する少年を見込み、勧誘した。アカデミアの戦士となるならば、妹の治療費も考えよう、と。

 

少年は直ぐ様頷き、そこから先も孤独に闘い続けた。仲間ですら敵、蹴落とし、這い上がる日々。それでも妹の為だと我慢し、何時しかそんな日常は少年本来の優しさを奪っていったのだろう、何の罪も無い人を、カード化する事も、仕方が無いと冷たく言い切る程に。

 

自分を救い、妹の治療費を与えてくれるプロフェッサーを敬い、アカデミアが崇高なものだと、考える程に――少年は、追い込まれていた。

年端もいかない少年だ、孤独を埋める為とは言え、それは当然の帰結だったと言える。

 

そして少年はアカデミアより任務を受け、スタンダード次元にやって来た。まず抱いたのは、失望。期待していた訳では無いが、デュエリストのレベルが余りにも違い過ぎる。多くのデュエリストを下して来た少年にとってはそう考えても仕方が無かった。甘いお菓子は美味しいが、それだけだ。

 

しかし、その考えは打ち砕かれる。少年、榊 遊矢の手によって――。

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『貪欲な壺』!墓地の『ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』、『ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』、『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』、『EMドクロバット・ジョーカー』、『EMセカンドンキー』をデッキに戻し、2枚ドロー!更に『EMピンチヘルパー』を墓地に送り、魔法カード、『マジック・プランター』を発動!2枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札0→2→3

 

熱く燃え猛る火山エリアにて、榊 遊矢と紫雲院 素良のデュエルは未だに続いていた。彼は1枚だった手札を一気に3枚まで補充する。これで少しは動ける。

何せ相手のフィールドには4体の融合モンスターが存在し、『デストーイ・サーベル・タイガー』と『デストーイ・シザー・タイガー』の強化で全て攻撃力が3000を越えているのだ。

対する遊矢のモンスターは0、今は少しでも手数が欲しい。

 

「俺は永続魔法、『補給部隊』を発動し、『EMドクロバット・ジョーカー』を召喚!」

 

EMドクロバット・ジョーカー 攻撃力1800

 

「効果でデッキから『EMセカンドンキー』をサーチ!そして『EMモモンカーペット』をセッティングし、ペンデュラム召喚!『EMリザードロー』!『EMペンデュラム・マジシャン』!『EMダグ・ダガーマン』!『EMセカンドンキー』!」

 

EMリザードロー 守備力600

 

EMペンデュラム・マジシャン 守備力800

 

EMダグ・ダガーマン 守備力600

 

EMセカンドンキー 守備力2000

 

ここで得意のペンデュラム。振り子の軌道で次々と姿を見せる遊矢の愉快な仲間達、『EM』。粒揃いの団員と共にこの窮地を乗り越える。

 

「『セカンドンキー』の効果で『EMカレイドスコーピオン』をサーチ!ペンデュラム・マジシャンの効果でドクロバット・ジョーカーと自身を破壊し、『EMヘイタイガー』と『EMスプリングース』をサーチ!『補給部隊』でドロー!」

 

榊 遊矢 手札3→4

 

「ダグ・ダガーマンの効果で手札の『EMスプリングース』を墓地に送り、1枚ドロー!そしてこの瞬間、墓地の『EMギッタンバッタ』の効果が発動!特殊召喚!」

 

榊 遊矢 手札3→4

 

EMギッタンバッタ 守備力1200

 

「まだだ!罠発動、『ペンデュラム・リボーン』!エクストラデッキの『EMオッドアイズ・ユニコーン』を特殊召喚!」

 

EMオッドアイズ・ユニコーン 守備力600

 

「その効果で墓地のスライハンド・マジシャンの攻撃力分、LPを回復!」

 

榊 遊矢 LP2300→4800

 

1つ1つの歯車が噛み合わさり、見事な連携を築いていく『EM』。手札を増やしつつ、場を固める光景は正にマジックショーかサーカスか。いずれにせよ、脅威的な回復力だ。

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」

 

榊 遊矢 LP4800

フィールド『EMオッドアイズ・ユニコーン』(守備表示)『EMリザードロー』(守備表示)『EMダグ・ダガーマン』(守備表示)『EMギッタンバッタ』(守備表示)『EMセカンドンキー』(守備表示)

『補給部隊』セット2

Pゾーン『EMモモンカーペット』『EMドラネコ』

手札2

 

2枚の手札をセットし、ターンを終了する遊矢。この2枚の内1枚に遊矢の想いがかかっている。この防御に対し、素良がどう出るかが問題だ。彼の行動を、誘導する必要がある。

 

「それで終わり?つまんないなぁ。僕のターン、ドロー!魔法カード、『カップ・オブ・エース』!コイントスは……表だ!よって2枚ドロー!」

 

紫雲院 素良 手札3→5

 

「『ミスティック・パイパー』を召喚!」

 

ミスティック・パイパー 攻撃力0

 

「リリースす事でドロー!更に引いたカードがレベル1モンスターならばもう1枚ドローする!」

 

紫雲院 素良 手札4→5→6

 

「手札の『D.D.クロウ』を墓地に送り、君の『スキル・プリズナー』を除外!」

 

「チェーンして除外し、セカンドンキーへ耐性を付与する!更に永続罠、『デモンズ・チェーン』!チェーン・シープの動きを封じる!」

 

「速攻魔法、『リロード』!手札を交換。バトルだ!シザー・ウルフでセカンドンキーに攻撃!」

 

「罠発動、『仁王立ち』!セカンドンキーの守備力を倍にする!」

 

EMセカンドンキー 守備力2000→4000

 

紫雲院 素良 LP4900→4500

 

『デストーイ・シザー・ウルフ』が俊敏に駆け、その鋏を大きく開いてセカンドンキーに切りかかったその瞬間、遊矢はすかさずリバースカードを発動し、その効果を受けたセカンドンキーの筋肉が膨れ上がり、後ろを向き、2本の前脚で地を踏み締め、残る2本の後ろ脚でシザー・ウルフを力強く蹴り飛ばす。

突き刺さるカウンター、素良は反撃に苛立ち、その手を進める。セカンドンキーがダメならば次のモンスターを、『仁王立ち』の効果を使わせる意味でも――ここで止まっていられない。

 

「ダグ・ダガーマンへ攻撃!」

 

「墓地の『仁王立ち』を除外し、ダグ・ダガーマンへ攻撃を絞る!」

 

「セカンドンキーじゃない……!?ッ!リザードローか……ッ!」

 

しまったと言わんばかりに素良の表情が歪み、舌打ちを鳴らす。今までの遊矢の粘り強さ、セカンドンキーの守備力で1番見逃してはいけないものを見逃していた。

 

「『EMリザードロー』以外のモンスターが戦闘、相手の効果で破壊された場合、自分フィールドの『EM』モンスターの数だけドローする!フィールドには4体の『EM』!よって4枚ドロー!『補給部隊』も合わせて5枚だ!」

 

榊 遊矢 手札2→7

 

一気に5枚のドローブースト。遊矢は最初からこれを狙っていたのだ。実に鮮やかで大胆不敵。反撃の手を整え、笑みを深める彼に対抗し、素良は目付きを鋭くする。

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」

 

紫雲院 素良 LP4500

フィールド『デストーイ・サーベル・タイガー』(攻撃表示)『デストーイ・シザー・タイガー』(攻撃表示)『デストーイ・シザー・ウルフ』(攻撃表示)『デストーイ・チェーン・シープ』

セット3

手札2

 

「俺のターン、ドロー!『デモンズ・チェーン』をコストに『マジック・プランター』発動!」

 

榊 遊矢 手札7→9

 

「俺は2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』!!」

 

再びフィールドに姿を見せる漆黒の竜。相手が攻撃力を上げてくるならばこのモンスター程有効な手はない。頼もしい背を見つめ、遊矢はニヤリと笑う。

吠え猛る黒竜の周りで雷が迸り、赤い光が葉脈状にスパークする。息つく暇すら与えない。先程のお返しと言わんばかりに遊矢はその手を伸ばし、絶え間無く叩き込む。

 

「ダーク・リベリオンのORUを2つ取り除き、『デストーイ・サーベル・タイガー』の攻撃力を吸収する!」

 

「させないよ!罠発動、『デストーイ・マーチ』!『デストーイ』モンスターを対象とする効果を無効にし、破壊する!」

 

「ッ!ダーク・リベリオン!」

 

されど相手とて負けてはいない。遊矢の手を見切り、カウンターを叩きつける。ダーク・リベリオンの翼から囀ずる雷、トリーズン・ディスチャージがサーベル・タイガーへと襲いかかる瞬間、猛虎の姿が一瞬にして虚空に消え、ダーク・リベリオンへと肉薄、その野太く鈍重な腕からは想像もつかない速度で竜の胸部を貫き、爆発四散させる。

完全に読まれていた。だが遊矢は1度止められた手を再度動かせ次へと繋ぐ。無駄にはしない。どんな戦略も、1粒たりとも無駄に出来ない。

 

「『補給部隊』でドロー!」

 

榊 遊矢 手札9→10

 

ここで遊矢の手札が10枚に膨れ上がる。手札制限を越えた域にまで達し、何もないと不様な真似は許されない。次はどの手で行こうかと思考し、ユートに目を配らせ、互いに頷き合う、次のルートは決定された。

 

「墓地の『EMスプリングース』を除外し、ペンデュラムゾーンの2枚を手札に戻す!魔法カード、『アメイジング・ペンデュラム』を発動!エクストラデッキの『慧眼の魔術師』と『相生の魔術師』を回収し、そのままペンデュラムスケールをセッティング!慧眼を破壊し、デッキの『相克の魔術師』をセッティング!ペンデュラム召喚!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!『EMペンデュラム・マジシャン』!『降竜の魔術師』!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力2500

 

EMペンデュラム・マジシャン 守備力800

 

降竜の魔術師 攻撃力2400

 

3体のモンスターを同時展開。一体ここからどのように覆すのか、素良はキュッ、と目を細め、遊矢を見据える。と、ここで手元のキャンディーを見ると残りは後少し。ふんと鼻を鳴らして噛み砕き、棒を宙に放り投げ、『デストーイ・サーベル・タイガー』がパクりと食らい、ゴリゴリと音を鳴らして処理する。

そして直ぐ様ポケットから新しいお菓子を用意、今度は板チョコだ、包装紙を剥がし、かじりつく。

 

「ペンデュラム・マジシャンの効果でペンデュラムゾーンの『EMハンマーマンモ』と『EMラディッシュ・ホース』をサーチ!そして『降竜の魔術師』の効果で自身をドラゴン族に変更し、ユニコーンをリリース!アドバンス召喚!『EMハンマーマンモ』!」

 

EMハンマーマンモ 攻撃力2600

 

「降竜とハンマーマンモをリリース!来い!『ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」

 

ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力3000

 

甲高い雄叫びが上がり、空気を裂いて震撼させる。ドスドスと重量感溢れる足音で地響きを鳴らし、フィールドに獣の竜が再臨する。だがそれでも素良のモンスターには敵わない。

だから――ここで遊矢の新たな力、素良も知らない奥の手を使う。

 

「魔法カード、『死者蘇生』!墓地の『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』を特殊召喚!!」

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン 攻撃力2500

 

3度フィールドに降り立つ漆黒の竜。ユートのエースカードであるこの竜と『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』が揃った途端、2体が呼び合い、共鳴するかのように天に向かって咆哮する。

それに呼応して遊矢とユートの胸の奥が騒がしくざわめき、身体中に流れる血流が熱く、早くなっていく。闘え、戦えと耳元で囁く怒りの意志。それに向かい遊矢は――。

 

――共に、闘おう――

 

手を差し伸べて掴み、力強く引き上げる。何故だろうか、その瞬間、意外そうに目を丸くする青年の顔が、遊矢の脳裏に過った――。

 

「魔法カード、『幻影騎士団憑依』を発動!ダーク・リベリオンに『オッドアイズ』のレベルを与える!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!」

 

『その黒き逆鱗を震わせ、刃向かう敵を殲滅せよ!』

 

遊矢の眼前に煌めく星を散りばめた渦が広がり、その中へと『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』と『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』、2体の竜が光の線となって飛び込む。

最初は黒く濁り切った怒りかもしれない。だけども勝鬨との闘い、そして隼との対決を遠し、このカードは今では遊矢の頼れる切り札へと。ユートとの絆の象徴となった。

瞼を閉じ、力を抜く。さぁ、行こう、3人で。次に目を開いた瞬間、遊矢の左目の色彩が、灰色へと変化する。

 

『「エクシーズ召喚!怒りの眼輝けし龍!『覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン』!!」』

 

覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン 攻撃力3000

 

渦が集束し、凄まじい轟音と共に爆風が吹き荒れる。砂塵を纏った風に思わず顔をしかめ、両腕をクロスさせて目を庇う素良。

視界も定まらない状況で、砂塵を一筋の光が切り裂く。まず現れたのは、赤と緑、2色の光、

 

砂塵の中でボウッ、と現れたそれを素良が認識した途端、鋭い輝きを放つ刃が2本、風の障壁から突き出る。続け様に巨大なシルエットがヌッ、と出現。白と黒の頭部、竜の顔を模した胸部、背で桜色の光を照らす刃の如き8枚の翼、そして――妖しく閃く、2本のアギト。

 

今ここに――覇王の竜が現れる。

 

「この……モンスターは……!?」

 

「これが俺の、俺達の力だ!このカードがエクシーズモンスターを素材としてエクシーズ召喚に成功した場合、相手フィールドのレベル7以下のモンスターを全て破壊し、その数×1000のダメージを与える!オーバーロード・ハウリング!」

 

「何だって!?くっ、墓地の『ダメージ・ダイエット』を除外して、このターンの効果ダメージを半分に!ぐっ、うぅぅぅぅぅっ!?」

 

紫雲院 素良 LP4500→3000

 

素良が驚くのも束の間、白黒の竜のアギトの前に光のリングが出現し、それに向かって激しい怒号が轟く。下級モンスターの反撃を許さない王者の一喝。その暴虐の力により素良の『デストーイ』モンスター3体がガラスのように粉々に砕け散る。

 

「『デストーイ・チェーン・シープ』の効果でこのカードを特殊召喚し、攻撃力を800アップする!サーベル・タイガーの効果も合わせ、1200アップ!」

 

デストーイ・チェーン・シープ 攻撃力2000→3200

 

「そしてこのターン、オッドアイズ・リベリオンは3回攻撃を行える!まずは『デストーイ・サーベル・タイガー』に攻撃!反旗の逆鱗!」

 

『ストライク・ディスオベイ!!』

 

「――罠発動、『攻撃の無敵化』!このターン受ける戦闘ダメージを0にする!」

 

白黒の竜が地を踏み砕き、陥没させて猛スピードで飛翔する。音をも置き去りとした超越者の特攻、ソニックブームを引き連れたそれは一直線にサーベル・タイガーを目指して突き進み、鋭いアギトによる斬撃がサーベル・タイガーを貫く。赤黒い刃が砕け、カランと地に落ちる。

 

「ビーストアイズでチェーン・シープに攻撃!」

 

『そしてその効果でハンマーマンモの攻撃力分、ダメージを与える!』

 

紫雲院 素良 LP3000→1700

 

「モモンカーペットとドラネコをペンデュラムスケールにセッティング。カードを3枚伏せ、ターンエンドだ」

 

榊 遊矢 LP4800

フィールド『覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン』(攻撃表示)『ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』(攻撃表示)『EMリザードロー』(守備表示)『EMペンデュラム・マジシャン』(守備表示)

『補給部隊』セット3

Pゾーン『EMモモンカーペット』『EMドラネコ』

手札5

 

「僕のターン、ドロー!僕は負けない……!負けちゃいけないんだ!罠発動、『貪欲な瓶』!墓地の『トイポット』3枚と『デストーイ・ファクトリー』、『融合回収』をデッキに戻し、ドロー!」

 

紫雲院 素良 手札3→4

 

「まだだ!速攻魔法、『大欲な壺』を発動!除外されている『ファーニマル・オウル』、『ファーニマル・シープ』、『ファーニマル・ドッグ』をデッキに戻し、ドロー!」

 

紫雲院 素良 手札3→4

 

「更に魔法カード、『貪欲な壺』ぉっ!墓地の『デストーイ・サーベル・タイガー』、『デストーイ・シザー・ウルフ』、『デストーイ・ハーケン・クラーケン』、『ファーニマル・オウル』、『ファーニマル・オクト』をデッキに戻し、2枚ドロー!」

 

紫雲院 素良 手札3→5

 

ここで続く壺カードによるドローブーストにより、墓地のモンスターをデッキに戻し、手札に呼び込む素良。とんでもない引きの強さだ。

 

「速攻魔法、『魔力の泉』!3枚ドローし、1枚捨てる!」

 

紫雲院 素良 手札4→7→6

 

『とんでも無いな……!』

 

「永続魔法、『トイポット』、『デストーイ・ファクトリー』、『補給部隊』を発動!まずは『トイポット』の効果で手札を1枚捨て、ドロー!」

 

紫雲院 素良 手札2→3

 

「ドローカードは『ファーニマル・オウル』!よって特殊召喚!」

 

ファーニマル・オウル 攻撃力1000

 

「効果で『融合』サーチ!そして墓地の『ファーニマル・ウィング』と『ファーニマル・キャット』を除外し、ドロー!『トイポット』を墓地に送り、もう1枚!『トイポット』の効果で『ファーニマル・キャット』サーチ!」

 

紫雲院 素良 手札3→4→5→6

 

次々と手を運び、大量の手札を確保する素良。これで手札は6枚、だがまだまだ安心は出来ない。

 

「『ファーニマル・シープ』を特殊召喚!」

 

ファーニマル・シープ 守備力800

 

「シープの効果で『ファーニマル・オウル』を手札に戻し、『エッジインプ・ソウ』を特殊召喚!」

 

エッジインプ・ソウ 攻撃力500

 

「『融合』を発動!フィールドの『エッジインプ・ソウ』と手札の『ファーニマル・キャット』で融合!融合召喚!『デストーイ・ホイールソウ・ライオ』!」

 

デストーイ・ホイールソウ・ライオ 攻撃力2400

 

「『ファーニマル・キャット』の効果で『融合』回収!更に『ファーニマル・ドッグ』を召喚!」

 

ファーニマル・ドッグ 攻撃力1700

 

「召喚時、デッキから『ファーニマル・ラビット』サーチ!そしてもう1枚『融合回収』!『置換融合』と『エッジインプ・チェーン』回収!そして『融合』発動!手札の『エッジインプ・チェーン』と『ファーニマル・ラビット』で融合召喚!『デストーイ・チェーン・シープ』!」

 

デストーイ・チェーン・シープ 攻撃力2000

 

「『ファーニマル・ラビット』の効果で『エッジインプ・シザー』回収!『デストーイ・ファクトリー』の効果で墓地の『融合回収』を除外し、手札の『エッジインプ・シザー』、『ファーニマル・オウル』で融合!融合召喚!『デストーイ・シザー・タイガー』!」

 

デストーイ・シザー・タイガー 攻撃力1900→3400

 

デストーイ・ホイールソウ・ライオ 攻撃力2400→3900

 

デストーイ・チェーン・シープ 攻撃力2000→3500

 

獅子と羊の隣に並び立つのは密林の悪魔、飢えた猛虎。水色のボディで動き回り、腹部の鋏を伸ばして遊矢のモンスターを切り刻む。

 

「召喚時、『EMリザードロー』と『EMペンデュラム・マジシャン』を破壊!そしてホイールソウ・ライオの効果でビーストアイズを破壊し、ダメージを与える!」

 

「手札の『EMレインゴート』を捨て、効果ダメージを0に!そして『EMギッタンバッタ』を復活、『補給部隊』でドロー!」

 

EMギッタンバッタ 守備力1200

 

榊 遊矢 手札4→5

 

「防ぐのは分かっていたよ!魔法カード、『置換融合』!フィールドの『デストーイ・ホイールソウ・ライオ』と『ファーニマル・ドッグ』、『ファーニマル・シープ』を融合!融合召喚!『デストーイ・サーベル・タイガー』!!」

 

デストーイ・サーベル・タイガー 攻撃力2800→4100

 

デストーイ・シザー・タイガー 攻撃力2800→3200

 

デストーイ・チェーン・シープ 攻撃力2900→3300

 

現れたのは太古の野獣。赤く濡れた刃を不気味に輝かせ、シザー・タイガーと共に『デストーイ』を強化する。打点が低い素良のモンスターでは、この効果はかなり重宝する。

 

「サーベル・タイガーの効果で『デストーイ・ハーケン・クラーケン』を吊り上げる!」

 

デストーイ・ハーケン・クラーケン 攻撃力2200→3800

 

デストーイ・サーベル・タイガー 攻撃力4100→4400

 

デストーイ・シザー・タイガー 攻撃力3200→3500

 

デストーイ・チェーン・シープ 攻撃力3300→3600

 

並ぶ4体の融合モンスター。そのどれもが攻撃力3000を越え、それぞれ厄介な効果を宿している。流石に焦りを覚え、額から汗を垂らす遊矢。キリが無いにも程がある。

だがこれだけでは素良の手は終わらない。身体の奥底から燃え上がる激情に任せ、1枚のカードをデュエルディスクに叩きつける。

 

「魔法カード、『魔玩具融合』!墓地の『デストーイ・ハーケン・クラーケン』と『デストーイ・シザー・タイガー』、『デストーイ・ホイールソウ・ライオ』を融合!悪魔宿りし非情の玩具よ、刃向かう愚民を根こそぎ滅ぼせ!融合召喚!現れ出でよ!全ての玩具の結合魔獣!『デストーイ・マッド・キマイラ』ァッ!!」

 

デストーイ・マッド・キマイラ 攻撃力2800→4700

 

デストーイ・サーベル・タイガー 攻撃力4400→4700

 

デストーイ・シザー・タイガー 攻撃力3500→3800

 

デストーイ・チェーン・シープ 攻撃力3600→3900

 

デストーイ・ハーケン・クラーケン 攻撃力3800→4100

 

墓地に眠る3体の『デストーイ』モンスターが巨大な箱に閉じ込められ、中で絹を裂き、結合されていく。もしも箱の中身が剥き出しとなっていれば阿鼻叫喚の地獄絵図だっただろう。そして箱がメリメリと盛り上がり、中より3頭の獣が天井を突き破って勢い良く顔を見せる。

様々な玩具やぬいぐるみを組み合わせたかのような不気味でおぞましい姿をしたキマイラ。

隼との対決で登場したモンスターだ。1ターンで5体もの融合モンスターが並び立ち、赤い目を輝かせ、遊矢を睨む。

これが素良の本当の実力、とんでも無い荒業に遊矢はその目を見開く。

 

『これが……彼の力……!』

 

「素良……!」

 

「墓地の『置換融合』を除外し、『デストーイ・ホイールソウ・ライオ』をエクストラデッキに戻してドロー!」

 

紫雲院 素良 手札0→1

 

「バトルだ!『デストーイ・マッド・キマイラ』でオッドアイズ・リベリオン・ドラゴンに攻撃!」

 

榊 遊矢 LP4800→3950

 

「ぐっ――モモンカーペットのペンデュラム効果でダメージは半分に……!」

 

マッド・キマイラがそれぞれ頭よりミサイルや砲弾を発射し、オッドアイズ・リベリオン・ドラゴンを攻撃する。直ぐ様翼を展開し、飛翔して回避に徹する白黒の竜。しかし天空に白黒の線を描き、ジグザグの軌道で飛び回る竜に対し、ミサイルや砲弾はホーミングして追尾する。雲を突き抜け、天上で繰り広げられるドッグファイト。

 

執拗に自分を狙う兵器に痺れを切らしたのか、竜が一気に降下し、火炎を纏う体躯をクルリと反転し、迎撃の意志を示す。そしてそのアギトの周りに光のリングを生成、耳をつんざく怒号を放ち、一喝で黙らせる。衝撃波をまともに受け、宙で爆散し、黒煙を吹かせる兵器だったもの。

 

しかし――そのスモークを突き破り、魔獣の顔面がビックリ箱の如くバネ仕掛けで飛び出し、大口を開いて竜に食らいつく。バキリ、箸を折る程簡単に竜は砕かれ、咀嚼される。

 

「ハーケン・クラーケンでギッタンバッタに2回攻撃し、チェーン・シープでダイレクトアタック!」

 

榊 遊矢 LP3950→2000

 

『――ッ!』

 

続け様の攻撃、チェーン・シープがその身を丸め、地を蹴って爆発的な推進力で遊矢に体当たりする。デュエルディスクを盾に使いガードするも、遊矢は吹き飛ばされ、岩にぶつかりそうになった所をペンデュラムゾーンのモモンカーペットが見かねて飛び出し、身体を広げてクッションになる。

 

「はぁ……はぁ……ありがとう……!」

 

『助かった……!』

 

息を切らしながらも感謝を伝える遊矢に笑いかけ、頷いてペンデュラムゾーンに戻るモモンカーペット。だが相変わらず状況は不利だ。

 

「チッ、モモンカーペットを破壊すれば良かったかな……?シザー・タイガーで攻撃!」

 

「速攻魔法、『超カバーカーニバル!』デッキから『EMディスカバー・ヒッポ』を特殊召喚!」

 

シザー・タイガーによる攻撃、これで終わりかと思われたその時、遊矢のピンチを感知し、シルクハットを被ったピンク色のカバがフィールドに現れる。初めてカバが役に立った瞬間である。

 

「邪魔なカバには消えてもらうよ!」

 

しかし、眼前のシザー・タイガーに気づいたのか、ポーズを解き、冷や汗を浮かべながら慌てて逃げ出すヒッポ。だが当然逃げられる訳が無く、鋏で切り裂かれるまでも無く、踏み潰され、漫画で良くあるペラペラに薄くなって昇天するカバ。憐れヒッポ。しかしその意志は確かに次のターンに繋がれた。

 

「すまんヒッポ……!」

 

サーベル・タイガーによる攻撃が残っているが、同じく『EMドラネコ』のペンデュラム効果が消費されていない。追撃は無駄、素良は舌打ちを鳴らし、メインフェイズ2へと移行する。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンドだよ」

 

紫雲院 素良 1700

フィールド『デストーイ・マッド・キマイラ』(攻撃表示)『デストーイ・サーベル・タイガー』(攻撃表示)『デストーイ・シザー・タイガー』(攻撃表示)『デストーイ・チェーン・シープ』(攻撃表示)『デストーイ・ハーケン・クラーケン』(攻撃表示)

『デストーイ・ファクトリー』『補給部隊』セット1

手札0

 

相手フィールドには融合モンスターが5体、しかもそれぞれが遊矢の脅威となる効果持ち、対する遊矢のモンスターは0、だがそれで折れる遊矢では無い。そんな事より気になるのは素良の心情だ。デュエルを通し、素良の想いが未だに分からない。

いや、正確には見え隠れはしているのだが――。

 

「……素良、帰って来いよ、遊勝塾に……」

 

「ッ、何だい今更、僕はアカデミアの人間だ。裏切り者なんだよ!戻れる筈が無いだろ!?」

 

「そんな事誰も気にしないさ!お前、本当は戻りたいんだろ!?『マジカルシルクハット』やデュエルを楽しもうとしているのを見れば分かる!お前が遊勝塾の素良だって!」

 

そう、これが遊矢がこのデュエルで感じていた違和感。彼はアカデミアの人間でありながら、遊勝塾の人間との間で揺れている。

『マジカルシルクハット』は遊矢達に対する情を、「そうじゃないと面白くない」、「つまらない」等の発言は遊勝塾の信条に触れている。

つまり彼は遊勝塾の色に染まり、その居心地の良さを気に入っている。今だって遊矢の戻って来い、に対して戻らない、ではなく戻れない、と言った。自分が悪人だとアピールしながら。

 

更に言うならば――結果的にああはなってしまったが、素良は隼とのデュエルでも、一部遊勝塾のエンタメデュエルをしようとしていたのだ。

 

「ッ!うるさい、うるさい、うるさいッ!本当に君達は生温いよ!君にしたって、柚子にしたって!LDSの3人組だって敵だったのに仲良く接して!僕は敵だ!アカデミアの紫雲院 素良!」

 

無理矢理口元を歪ませ、ニヤリと笑う素良。だがそんな簡単に見破られる嘘等、遊矢に通じない。

確かに、素良は自分を押し殺し、偽る事に長けている。だがここまで動揺しては優れた観察眼を持つ遊矢には分かる。

 

素良から見てとれる想いは――羨ましい。羨望と言う想い。叶うならば、と迷いが見てとれる。そんな彼を繋ぐ鎖は、裏切り者だから、アカデミアの人間だから、と言う理由と、あともう1つ、読み取れないものが遊矢を遮り、拒む。

 

「揺れている、このペンデュラムのように、お前の想いは!」

 

「何を――!」

 

首からかけた胸元のペンデュラムを握り締め、素良へと向ける遊矢。二律背反で惑う素良。最早どっちが本当の自分か何て分かってないのだろう。

そんな彼と、遊勝塾に戻る為に――。

 

『行くぞ、遊矢!』

 

「おう、俺のターン、ドローッ!!」

 

火花が舞い、虹色の光に彩られるドローの軌跡。天空にアークを描くそれは、この危機を救う。チラリとドローカードに目を配られた、その瞬間、ドクン、と、遊矢の胸の奥が高鳴った――。

 

――世話が焼けるウスノロが――

 

胸の奥から聞こえる鼓動。頭の中を過る誰かの言葉。今は誰だか分からない。だがそれは、遊矢へと力を与えてくれる。

頭の中ではシルエットに隠れた竜が遠吠えを上げ、今か今かと出番を待っている。もう少しだ――遊矢は誰にでも無く頷きながら準備を整える。

 

「『魔法石の採掘』発動!手札を2枚捨て、墓地の『揺れる眼差し』を手札に加え、発動!500ダメージを与え、デッキの『EMマンモスプラッシュ』をサーチ!」

 

紫雲院 素良 LP1700→1200

 

「『EMトランプ・ウィッチ』と『EMマンモスプラッシュ』でペンデュラムスケールをセッティング!そしてリバースカードオープン、『ペンデュラム・ターン』!トランプ・ウィッチのスケールを10に!ペンデュラム召喚!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!『EMダグ・ダガーマン』!『EMカレイドスコーピオン』!『降竜の魔術師』!『相克の魔術師』!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力2500

 

EMダグ・ダガーマン 攻撃力2000

 

EMカレイドスコーピオン 守備力2300

 

降竜の魔術師 攻撃力2400

 

相克の魔術師 攻撃力2500

 

5体同時召喚、これぞペンデュラムの本領発揮と言わんばかりの荒業が炸裂する。並び立つは2色の虹彩の真紅の竜に短剣使いと万華鏡の尾を持つ蝎。2体の『魔術師』と遊矢のデッキの代表的な3つのカテゴリに属したモンスター達だ。

 

「ダグ・ダガーマンの効果で手札のヘイタイガーを墓地に送り、ドロー!」

 

榊 遊矢 手札0→1

 

「魔法カード、『置換融合』!フィールドの『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』と『相克の魔術師』で融合!融合召喚!『ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」

 

ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力3000

 

「マンモスプラッシュの効果でエクストラデッキの『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』を復活!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力2500

 

「墓地の『置換融合』を除外、『ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』をエクストラデッキに戻してドロー!」

 

榊 遊矢 0→1

 

「『降竜の魔術師』をリリースし、『EMハンマーマンモ』をアドバンス召喚!」

 

EMハンマーマンモ 攻撃力2600

 

引いたカードを直ぐ様デュエルディスクに叩きつける。登場したのは『EM』の重鎮、鼻がハンマーとなったマンモスだ。

 

「『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』と『EMハンマーマンモ』をリリースし、『ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』を特殊召喚!」

 

ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力3000

 

2体目の融合モンスター、お次は獣の眼を得た『オッドアイズ』だ。野性と理性、2つの異なる竜を操り、遊矢の次の手は――。

 

「罠発動!『ペンデュラム・リボーン』!来い!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力2500

 

「またか……!」

 

3度現れる真紅の竜。振り子は何度も揺れ、その勢いを増していく――。

 

「これが――俺とお前の絆だ!切り離せない想いの融合!『EMトランプ・ウィッチ』のペンデュラム効果!フィールドの『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』と『EMダグ・ダガーマン』で融合!比類無き短剣使いよ。二色の眼輝く竜の。今一つとなりて新たな命ここに目覚めよ!融合召喚!現れ出でよ!気高き眼燃ゆる勇猛なる龍!『ブレイブアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」

 

ブレイブアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力3000

 

今遊矢に宿る勇気が『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』に継承される。巨大な炎の渦が逆巻き、その中から姿を現したのは真っ赤に燃えるボディを煌めかせ、巨大な角に背の三日月を更に大きく成長させた正当進化と言える程、逞しい竜。

雄々しき雄叫びを上げるその竜より紅い稲妻が迸り、素良のフィールドに降りかかる。

 

「このモンスターは……!?」

 

「このカードが融合召喚に成功した時、全ての相手モンスターの攻撃力を0にする!」

 

「なっ――!?」

 

デストーイ・マッド・キマイラ 攻撃力4700→0

 

デストーイ・サーベル・タイガー 攻撃力4700→0

 

デストーイ・シザー・タイガー 攻撃力3800→0

 

デストーイ・チェーン・シープ 攻撃力3900→0

 

デストーイ・ハーケン・クラーケン 攻撃力4100→0

 

相手フィールド上のモンスター全ての攻撃力を0に変動させる強力な効果。これによってあれだけ猛威を振るっていた素良のモンスター達が無力化されてしまう。

 

「『EMカレイドスコーピオン』の効果で『ブレイブアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』は特殊召喚された全てのモンスターに攻撃可能!バトルだ!ブレイブアイズで攻撃!灼熱の、メガフレイムバーストッ!!」

 

ブレイブアイズの口から火炎が迸り、素良のモンスターに向かい、巨大な太陽の如き火焔が放たれようとした――その、瞬間だった――。

 

「僕は、負けられないんだっ!病気の妹を、救う為にも!」

 

「ッ!?」

 

「罠発動!『融合死円舞曲』!ブレイブアイズとマッド・キマイラ以外を破壊し――対象の2体の攻撃力の合計ダメージを互いに与える!」

 

漸く暴かれた、紫雲院 素良と言う少年の、最後のピース。しかしそれが分かった時には最早遅く――。互いのモンスターが破壊され、噴煙が巻き起こり、圧倒的な衝撃が2人を襲う。

 

「「がぁぁぁぁぁっ!?」」

 

榊 遊矢 LP2000→0

 

紫雲院 素良 LP1200→0

 

決着、しかし――その結果は引き分け。岩に叩きつけられ、遊矢の身体からユートが飛び出し、倒れる。痛みが頭から爪先まで駆け抜けていく。それでも朦朧とする意識だけを頼りに身体を引き摺り、遊矢は気絶した素良へと手を伸ばす。

だが――それは遮る男が1人、土を鳴らして現れる。蒼い髪をオールバックに流し、眼帯を着け、屈強な肉体をしたその男は――。

 

「バレット……さん……!?」

 

『……ッ!』

 

突如現れた来訪者、彼は遊矢を一瞥した後、無言で素良を肩に担ぎ、その懐から――アカデミアのデュエルディスクを取り出す。

 

「なっ……まっ、待って――」

 

「――安心しろ、悪いようにはせん……セレナ様を、頼んだぞ――」

 

その言葉を最後に、バレットは素良と共に光の粒子となって消え去る。後に残されたのは、友を救えなかった、無力感を背負う少年のみ。

自分では――素良を、救えない。胸の奥から湧き出る悔しさを感じながら――遊矢は、意識を手放す――。

 

舞網チャンピオンシップ、閉幕。失ったものは、余りにも大きい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




と、言う訳で決着。妹は遊矢君でもどうしようもない問題を出したくて漫画版から輸入させてもらいました。ここで1度コナミ君と遊矢君は折っとかないとこれから先では挫折させられませんので。
特に遊矢はメンタルめっちゃ強くなってるから苦労した。素良を救えなかった事、バレットさんの裏切り、柚子の行方不明と処理しきれない事で折れた感じです。
次回から意外な人物がコナミ君と遊矢君の前に現れる予定。


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