遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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最近の遊戯王は脳に虫とか何処か攻め過ぎている。瑠璃ちゃんやっと登場したのに怖い顔し過ぎでしょ。もっとリンちゃんみたいにエロい顔して欲しいです←


第58話 マイ・フェイバリット

氷山エリア、凍りつき、白い冷気を放つ氷山が高くそびえ立つそのエリアの一角にて、色は違えども、ほぼ同じ姿をした2人のデュエリストが対峙していた。

1人はこの大会の参加者であり、遊勝塾に所属する、赤い帽子の上にゴーグルを装着したデュエリスト、コナミ。

もう1人は紫色の帽子を目深に被り、同色の制服を纏ったアカデミアのデュエリスト、Kだ。

先攻はコナミ、彼は目の前のデュエリストに僅かな違和感を抱きながら、5枚の手札の中から3枚をデュエルディスクに叩きつける。

 

「オレはモンスターを1体セット、カードを2枚セットしてターンエンドだ」

 

コナミ LP4000

フィールド セットモンスター

セット2

手札2

 

コナミにしては随分と消極的なターンだ。それだけ相手を警戒していると言う事なのか、それとも手札が悪かったのか。3枚のカードをセットしてターンを終了してしまった。

相手のKも訝しむ始末だ。しかし何時までも動かないと言う訳にもいかない。彼もデッキから1枚のカードを引き抜き、行動に移す。

 

「僕のターン、ドロー。魔法カード、『カップ・オブ・エース』コイントスを行い、表なら僕が、裏ならお前がドローする。……表だ、2枚ドロー」

 

K 手札5→7

 

「『クリッター』を召喚」

 

クリッター 攻撃力1000

 

フィールドに現れたのは『クリボー』のような1頭身に3つ目を持った悪魔だ。

 

「魔法カード、『モンスターゲート』、『クリッター』をリリースし、通常召喚可能なモンスターが出るまでデッキを捲り、通常召喚可能なモンスターを特殊召喚する……おっと、いきなり当たりだ、『E・HEROプリズマー』」

 

E・HEROプリズマー 攻撃力1700

 

Kが召喚したモンスターはコナミも1枚だけデッキに採用している『E・HERO』モンスターだ。

鏡面のように光を反射し、眩き輝きを放つプリズムには他のモンスターを写し込む力を秘めている。融合を使うならば利便性の高いカード、逆に言えばこのカードが登場したと言う事は、融合を扱うと言う事だ。

 

「『クリッター』の効果で『増殖するG』をサーチ、エクストラデッキの融合モンスター、『E・HEROダーク・ブライトマン』を公開し、プリズマーの効果発動。デッキよりダーク・ブライトマンの融合素材である『E・HEROネクロダークマン』を墓地へ送り、プリズマーの名を墓地へ送ったモンスターとして扱う。そして手札の『沼地の魔神王』を捨て、デッキの『融合』を手札に加え、発動。手札の『E・HEROスパークマン』とフィールドの『E・HEROネクロダークマン』となったプリズマーを融合!融合召喚!『E・HEROダーク・ブライトマン』!」

 

E・HEROダーク・ブライトマン 攻撃力2000

 

Kの背後に青とオレンジ、2色の渦が広がり、その中へと近未来的な鎧を纏った青い電気の『HERO』と、髑髏を思わせるような恐ろしい風貌の赤い『HERO』が飛び込み、混ざり合う。

2体の力を1つに合わせ、現れたのは黄金の翼を伸ばした鎧を纏い、赤いバイザーを装着した漆黒の『HERO』。

氷山の上で腕を組み、コナミを睥睨する姿は正にダーク・ヒーローと言った所か。まるでアメコミのような光景だ。

 

「『E・HERO』か……」

 

「ダーク・ブライトマンでセットモンスターを攻撃、そしてこのモンスターが守備表示のモンスターを攻撃する際、貫通ダメージを与える。ダークフラッシュ!」

 

ダーク・ブライトマンがその掌の赤い宝石より黒い雷を走らせ、コナミのセットモンスターを貫こうとする。貫通効果を帯びた一撃。それを防ごうとリバースカードをオープンする。

 

「罠発動!『ブレイクスルー・スキル』!ダーク・ブライトマンの効果を無効にする!」

 

コナミのオープンした罠カードからオレンジ色の光が放たれ、ダーク・ブライトマンから効果を奪う。これでダーク・ブライトマンから効果は失われた。

だが攻撃は続いている。雷がセットモンスターに降り注ぎ、黒い球体を破壊する。その正体は――『ジェット・シンクロン』。成程、守備力0のこのカードを破壊されれば、2000のダメージを受け、LPを半分まで削られてしまう所だった。

 

「ほう……僕は永続魔法、『ブランチ』とカードを2枚伏せてターンエンド」

 

K LP4000

フィールド『E・HEROダーク・ブライトマン』(攻撃表示)

『ブランチ』セット2

手札1

 

「オレのターン、ドロー!オレは手札を1枚捨て、墓地のチューナーモンスター、『ジェット・シンクロン』を特殊召喚する!」

 

「『増殖するG』を捨てる」

 

K 手札0→1

 

コナミのフィールドに火炎を吹かし、ジェット・エンジンを模した、青と白のカラーリングかを特徴的な小型のチューナーモンスターが降下する。自己蘇生可能なレベル1チューナー、これだけでも充分に優秀さを感じられるカードだ。

 

「墓地へ送られた『E・HEROシャドー・ミスト』の効果でデッキの『E・HEROエアーマン』を手札に加え、そのまま召喚!」

 

E・HEROエアーマン 攻撃力1800

 

現れたのは背からファンの翼を伸ばした青い『HERO』モンスター。優秀なサーチ効果を持つカードだ。その効果からか、長い間制限カードに位置するモンスターである。

 

「エアーマンの効果でデッキから『E・HEROブレイズマン』を手札に加える。そしてレベル4のエアーマンにレベル1の『ジェット・シンクロン』をチューニング!シンクロ召喚!『ジェット・ウォリアー』!」

 

ジェット・ウォリアー 攻撃力2100

 

K 手札1→2

 

重厚な黒のボディを煌めかせ、背のジェットエンジンより炎を噴出する機械戦士が地へ降り立つ。その鋭利な刃となっている足によって氷がガリガリと削り取られる。

コナミが持つシンクロ『ウォリアー』モンスター、その中でも汎用性が高く、使用度の多いモンスターだ。

 

「『ジェット・ウォリアー』のシンクロ召喚成功時、ダーク・ブレイズマンを対象にバウンスする!」

 

「させん!罠発動、『ブレイクスルー・スキル』!『ジェット・ウォリアー』の効果を無効にする!」

 

「ならばバトルで倒すまで!『ジェット・ウォリアー』でダーク・ブライトマンを攻撃!」

 

K LP4000→3900

 

『ジェット・ウォリアー』が背から火炎を吹き出し、爆発させる事で急加速してその鉄拳を突き出す。ゴウッ、と風を切り、漆黒の線がダーク・ブライトマンまで伸びて貫く。瞬間、ダーク・ブライトマンの纏う黄金の鎧がひび割れ、バタリと音を立てて膝をつく。

しかしダーク・ブライトマンもただでは倒れない。チラリと背後を振り向き、その掌から黒き雷を見せる。

そう、既に手は打たれている。拳を構えていた『ジェット・ウォリアー』の身体に雷がバチバチと鳴り響き、両者共に倒れ伏す。

 

「ダーク・ブライトマンが破壊された時、『ジェット・ウォリアー』を破壊する。更に融合モンスターが破壊された時、『ブランチ』の効果で融合素材となったプリズマーを特殊召喚する」

 

E・HEROプリズマー 攻撃力1700

 

「カードの消費をリカバリーする為に『ブランチ』か、オレはこれでターンエンドだ」

 

コナミ LP4000

フィールド

セット1

手札3

 

「同じ顔の癖に消極的だな。僕のターン、ドロー。罠発動、『融合準備』。エクストラデッキの『E・HEROワイルドジャギーマン』を公開し、素材である『E・HEROエッジマン』をデッキから『融合』を墓地から手札に加える。更にもう1度ワイルドジャギーマンを公開し、プリズマーの名前を『E・HEROワイルドマン』に変更する。墓地の『E・HEROネクロダークマン』の効果を適用、レベル5以上の『E・HERO』をリリース無しで召喚する!来い、『E・HEROエッジマン』!」

 

E・HEROエッジマン 攻撃力2600

 

墓地のネクロダークマンの屍を越え、全身が黄金に包まれた『HERO』が姿を見せる。その頭からは2本の角が伸び、闘牛のような面をしており、胸と腹部には翡翠の宝玉が、両腕には美しく輝く刃が伸びており、背には戦闘機のような翼が広がっている。

並び立つのは筋骨隆々、身体中に刺繍を描き、髪を一括りし、背に鉈を負った大自然の英雄、『E・HEROワイルドマン』となったプリズマー。

 

「バトルだ、2体でダイレクトアタック!」

 

「永続罠発動!『光の護封霊剣』!LPを2000払い、2体の攻撃を防ぐ!」

 

コナミ LP4000→3000→2000

 

2体の攻撃がコナミに襲いかかろうとしたその瞬間、コナミがセットしていたカードが発動し、上空から黄金の光を放つ巨大な剣が2本降り注ぎ、その行く手を遮る。

本来ならば墓地での効果が本命となるカードだが、この状況ならば仕方無い。LPが半分になってしまったが、負けるよりはマシだろう。

 

「そうで無くちゃ面白く無い。僕は永続魔法、『補給部隊』を発動し、ターンエンドだ」

 

K LP3900

フィールド『E・HEROプリズマー』(攻撃表示)『E・HEROエッジマン』(攻撃表示)

『ブランチ』『補給部隊』

手札3

 

「オレのターン、ドロー!オレは『賤竜の魔術師』と『慧眼の魔術師』でペンデュラムスケールをセッティング!慧眼のペンデュラム効果でこのカードを破壊し、デッキの『竜穴の魔術師』をセッティング!」

 

コナミのフィールドに伸びる、2本の柱、その中へと『魔術師』が出現して扇と錫杖を振るい、上空に光の線を幾重も結び、魔方陣を描き出す。

右へ左へ揺れる振り子。その幻想的な光景を見て、Kがその表情を初めて驚愕に染める。

 

「ペンデュラム……!?」

 

「これでレベル3から7のモンスターを同時に特殊召喚可能!揺れろ、光のペンデュラム!虚空に描け魂のアーク!ペンデュラム召喚!『E・HEROブレイズマン』!『慧眼の魔術師』!」

 

E・HEROブレイズマン 守備力1800

 

慧眼の魔術師 守備力1500

 

現れる炎の鬣を燃やす真紅の『HERO』。コナミのデッキにおいて、エアーマン、シャドー・ミストと並び、頻繁に利用される3大『HERO』の1体だ。

プリズマーと対になるモンスターの登場にKは警戒を示す。もう1体は瑠璃の珠を衣装に散りばめた銀髪の『魔術師』だ。

 

「ブレイズマンの効果で『置換融合』を手札に加え、『クリバンデット』を召喚!」

 

クリバンデット 攻撃力1000

 

次に現れたのはコナミのデッキにおいて鍵となる『クリボー』系列のモンスター。残念ながらカテゴリには入っていないが、一時期制限カードにされていた事からその強力さが伝わるだろう。

可愛らしい姿をしているが、頭に巻いたバンダナや眼帯、鋭い目付きを見ると攻撃的だ。

 

「そして2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!我が戦いはここから始まる!白き翼に望みを託せ、現れろNo.39!エクシーズ召喚!希望皇ホープ!」

 

No.39希望皇ホープ 攻撃力2500

 

2体のモンスターがコナミの背後に発生し、渦巻く星空に飛び込み、爆発を起こす。爆風を切り裂き、姿を見せたのは黄金の鎧を纏った希望の皇。その背に純白の翼を広げ、両手に2刀の片刃の剣を構えた皇は、天を震わすように咆哮を上げる。

 

「シンクロ、ペンデュラム、エクシーズ……!そして手札に『置換融合』を加えたと言う事は融合もか……随分とまとまりが無いように見えるが、成程、墓地発動を中心にする事でカードの消費を抑えているのか」

 

「聡明だな、だがそれだけでこのデッキの全てが見えるかな?バトルだ、希望皇ホープでプリズマーを攻撃!ホープ剣・スラッシュ!」

 

K LP3900→3100

 

ホープがその手に持った剣を振るい、プリズマーの多面体の身体を紙のようにいとも容易く切り裂く。プリズマーは鏡面のように輝く身体を散らし、その破片がKのLPを削る。

 

「『補給部隊』の効果で1枚ドロー!」

 

K 手札3→4

 

「オレはこれでターンエンド。この瞬間、『クリバンデット』をリリースし、効果発動!デッキの上から5枚を捲り、魔法、罠1枚を手札に加える。オレは『マジカルシルクハット』を手札に加え、墓地に送られた『妖刀竹光』の効果で『黄金色の竹光』をデッキからサーチする!」

 

コナミ LP2000

フィールド『No.39希望皇ホープ』(攻撃表示)

『光の護封霊剣』

Pゾーン『竜穴の魔術師』『賤竜の魔術師』

手札3

 

「僕のターン、ドロー!やるな……!僕は魔法カード、『O―オーバーソウル』を発動!墓地の『E・HEROスパークマン』を特殊召喚!」

 

E・HEROスパークマン 攻撃力1600

 

黄金の鎧を纏い、肩にパネルの翼を伸ばし、青いバイザーとスーツを装着した下級『HERO』が登場する。雷を掌から迸らせる姿は正にスパークマンの名に相応しい。

融合体が優秀な能力を持つ『HERO』でもあり、頼りになる1枚と言える。

 

「そして魔法カード、『置換融合』を発動!フィールドのスパークマンとエッジマンを融合!融合召喚!『E・HEROプラズマヴァイスマン』!」

 

E・HEROプラズマヴァイスマン 攻撃力2600

 

フィールドに雷が舞い踊り、エッジマンの黄金の鎧と巨大な手甲を身につけたスパークマンが降り立つ。攻撃力はエッジマンと変わらないが、その効果は見た目の武骨さとは裏腹に小回りが効く。

 

「更に墓地の『置換融合』を除外し、同じく墓地のダーク・ブライトマンをエクストラデッキに戻し、1枚ドロー!」

 

K 手札2→3

 

「ホープの効果は既にアカデミアに知れ渡っている!手札を1枚捨て、プラズマヴァイスマンの効果により、ホープを破壊!」

 

雷が金の手甲を駆け回り、プラズマヴァイスマンの掌へと集まっていく。そして電気がバチバチと鳥の囀りの如く鳴り響いた後、バチンッ、とゴムの切れるような音を放ち、超電磁の極太の線がホープを飲み込む。氷面に舞う電気が蒸発して白煙を上げ、その威力の跡を残す。

 

「壁は無くなった、バトルだ。プラズマヴァイスマンでダイレクトアタック!プラズマ・パルサーション!」

 

「墓地の『光の護封霊剣』を除外し、ダイレクトアタックを防ぐ!」

 

「『クリバンデット』の時か……!」

 

続くプラズマヴァイスマンの攻撃、その身体中から電撃を放射線状に解き放ち、1本の雷として落とすも、コナミが『クリバンデット』の効果で墓地に落としていた『光の護封霊剣』が地面の氷を突き破り、コナミの手に渡り、雷撃を切り裂く。

既にフィールドに合ったもので防げるとは言え、LPは温存しておきたい、落ちていたのは幸運と言えよう。

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

K LP3100

フィールド『E・HEROプラズマヴァイスマン』(攻撃表示)

『ブランチ』『補給部隊』セット1

手札1

 

「オレのターン、ドロー!オレは墓地の『シャッフル・リボーン』を除外し、『光の護封霊剣』をデッキに戻し、1枚ドロー!」

 

コナミ 手札4→5

 

「そして速攻魔法、『揺れる眼差し』!ペンデュラムゾーンのカードを破壊し、お前に500ダメージを与え、デッキのペンデュラムモンスター、『EMドクロバット・ジョーカー』をサーチ!」

 

「カウンター罠、『強烈なはたき落とし』!お前が手札に加えたカードを捨てさせる!」

 

K LP3100→2600

 

「くっ、魔法カード、『強欲で貪欲な壺』!デッキトップから10枚を裏側で除外し、2枚ドロー!」

 

コナミ 手札4→6

 

「『相生の魔術師』と『曲芸の魔術師』でペンデュラムスケールをセッティング!ペンデュラム召喚!『賤竜の魔術師』!『竜穴の魔術師』!」

 

賤竜の魔術師 攻撃力2100

 

竜穴の魔術師 守備力2700

 

ペンデュラム召喚により、振り子の軌道で姿を見せたのは、浅黒い肌に鋭い目付き、翠玉をあしらえた服装に身を包んだ、扇を振るう『賤竜の魔術師』と先端が円となった杖を構える熟練の腕持つ『竜穴の魔術師』だ。

ペンデュラムモンスターの帰還、その事実にKはその目深に被った帽子の奥の瞳を僅かに瞠目させる。

 

「これは……成程、破壊されたペンデュラムモンスターはどう言う訳か、ペンデュラム召喚で復活するのか……場所は……墓地に『慧眼の魔術師』がいる……つまり墓地じゃないか……エクストラデッキ……!」

 

「ご明察だな、そして賤竜の効果により、墓地の『慧眼の魔術師』を手札に戻し、バトルだ!賤竜でプラズマヴァイスマンを攻撃!」

 

攻撃力2100の『賤竜の魔術師』で攻撃力2600のプラズマヴァイスマンへの攻撃、一見して自爆特攻に見える行動だ。しかしコナミの墓地に落ちていたのだ。墓地で効果を発揮し、モンスターの攻撃力を上げるカードが。

 

「墓地の『スキル・サクセサー』を除外し、賤竜の攻撃力を800アップする!」

 

賤竜の魔術師 攻撃力2100→2900

 

K LP2600→2300

 

『賤竜の魔術師』が赤いオーラに包まれ、左手に持った扇が硬化して鋭い刃となる。何枚もの刃を持つ扇を振るうと同時にプラズマヴァイスマンの鎧が切り裂かれ、その姿が見る見る内に変わっていく。

 

「く――!『ブランチ』の効果で『E・HEROエッジマン』を特殊召喚し、『補給部隊』の効果で1枚ドロー!」

 

E・HEROエッジマン 攻撃力2600

 

K 手札1→2

 

「魔法カード、『一時休戦』を発動」

 

コナミ 手札3→4

 

K 手札2→3

 

「モンスター1体とカードを3枚セットし、ターンエンドだ」

 

コナミ LP2000

フィールド『賤竜の魔術師』(攻撃表示)『竜穴の魔術師』(守備表示)セットモンスター

セット3

Pゾーン『相生の魔術師』『曲芸の魔術師』

手札0

 

「僕のターン、ドロー!良い手札だ、僕は魔法カード、『ミラクル・フュージョン』を発動!墓地のワイルドマンと『沼地の魔神王』を融合、融合召喚!『E・HEROワイルドジャギーマン』!」

 

E・HEROワイルドジャギーマン 攻撃力2600

 

青とオレンジの渦より新たに融合モンスターが登場する。背に大剣を負い、金の兜と左腕に刃を持つ手甲を纏った浅黒い肌の『HERO』。

大自然と科学の融合を体現したモンスターだ。その力は『E・HERO』の中でもトップクラスと言える。

 

「魔法カード、『アドバンスドロー』!ワイルドジャギーマンをリリースし、2枚ドロー!」

 

K 手札2→4

 

「僕は墓地の『シャッフル・リボーン』を除外し、『ブランチ』をデッキに戻し、1枚ドロー!」

 

K 手札4→5

 

「モンスター1体とカード4枚をセットしてターンエンド!」

 

K LP2300

フィールド『E・HEROエッジマン』(攻撃表示)セットモンスター

『補給部隊』セット4

手札0

 

「オレのターン、ドロー! 」

 

「罠発動!2枚の『強欲な瓶』!2枚ドロー!」

 

K 手札0→2

 

「魔法カード、『アームズ・ホール』を発動し、デッキトップを墓地に送り、装備魔法、『妖刀竹光』をサーチ!『竜穴の魔術師』に装備し、リバースカードオープン!『黄金色の竹光』!2枚ドロー!もう1枚発動だ!」

 

コナミ 手札0→2→3

 

「魔法カード、『暗黒界の取引』発動!互いにドローし、1枚捨てる。よし、ペンデュラム召喚!『刻剣の魔術師』!」

 

刻剣の魔術師 攻撃力1400

 

現れたのは剣を手に持ち、時を刻む少年『魔術師』。手札より1体だけペンデュラム召喚した事で攻撃力が倍となるのだが――。

 

「刻剣の効果で攻撃力を倍に――」

 

「罠発動!『ヒーロー・ブラスト』!墓地の『E・HEROスパークマン』を回収し、その攻撃力以下の刻剣を破壊!」

 

「くっ、オレはカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

コナミ LP2000

フィールド『賤竜の魔術師』(攻撃表示)『竜穴の魔術師』(守備表示)セットモンスター

『妖刀竹光』セット3

Pゾーン『相生の魔術師』『曲芸の魔術師』

手札0

 

「僕のターン、ドロー!リバースカードオープン!『融合』!手札の『E・HEROスパークマン』と『E・HEROクレイマン』を融合!融合召喚!『E・HEROサンダー・ジャイアント』!」

 

E・HEROサンダー・ジャイアント 攻撃力2400

 

4度目の融合召喚。雷を纏う頑強な鎧に身を包んだ巨人の出現にコナミは顔を強張らせる。想定する融合モンスターの中で、この状況を覆してしまう1枚だからだ。

 

「魔法カード、『地割れ』!『竜穴の魔術師』を破壊し、サンダー・ジャイアントの効果で手札を1枚捨て、賤竜を破壊!」

 

「チッ、だが『妖刀竹光』の効果で『黄金色の竹光』をサーチし、自分フィールドのモンスター、『賤竜の魔術師』が破壊された事でペンデュラムゾーンの『曲芸の魔術師』を特殊召喚!」

 

曲芸の魔術師 守備力2300

 

Kのサンダー・ジャイアントの掌から雷が迸り、球体状の弾丸となって撃ち出され、コナミのモンスターを焦がし尽くす。しかしそこで現れたのは派手な衣装の曲芸師。コナミを守るように前に出る。

 

「バトル!エッジマンで曲芸に攻撃!」

 

「罠発動!『仁王立ち』!『曲芸の魔術師』の守備力を倍にする!」

 

曲芸の魔術師 守備力2300→4600

 

「何――!ぐうぅっ!?」

 

K LP2300→300

 

コナミの発動した『仁王立ち』。その効果により2000ポイントのダメージを与え、LPが3桁となった。あと少し、あと少しで勝利が見える。

 

「くっ、僕は墓地の『シャッフル・リボーン』を除外し、『補給部隊』を戻して1枚ドロー!」

 

K 手札0→1

 

「魔法カード、『強欲で貪欲な壷』を発動し、2枚ドロー!」

 

K 手札0→2

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

K LP300

フィールド『E・HEROサンダー・ジャイアント』(攻撃表示)『E・HEROエッジマン』(攻撃表示)セットモンスター

セット1

手札0

 

「オレのターン、ドロー!」

 

「罠発動!『強欲な瓶』!1枚ドロー!」

 

K 手札0→1

 

「魔法カード、『貪欲な壺』!墓地の『ジェット・ウォリアー』、『E・HEROエアーマン』、『E・HEROブレイズマン』、『E・HEROシャドー・ミスト』、『EMドクロバット・ジョーカー』を回収し、ドロー!」

 

コナミ 手札1→3

 

「魔法カード、『アームズ・ホール』!デッキトップをコストに『妖刀竹光』をサーチ、曲芸に装備し、魔法カード、『黄金色の竹光』!2枚ドロー!」

 

コナミ 手札1→3

 

「墓地の『ギャラクシー・サイクロン』を除外し、『相生の魔術師』を破壊!魔法カード、『アメイジング・ペンデュラム』発動!エクストラデッキの賤竜と慧眼を手札に加え、スケールをセッティング!慧眼を破壊し、『貴竜の魔術師』をセット!ペンデュラム召喚!『刻剣の魔術師』!『相生の魔術師』!『貴竜の魔術師』!」

 

刻剣の魔術師 攻撃力1400

 

相生の魔術師 攻撃力500

 

貴竜の魔術師 攻撃力700

 

「セットモンスター、『慧眼の魔術師』を反転召喚。刻剣の効果を使い、セットモンスターと共に除外!」

 

「墓地の『スキル・プリズナー』を除外し、セットモンスターをモンスター効果から守る!」

 

「速攻魔法、『移り気な仕立て屋』!『竹光』を相生に装備。オレはレベル4の『慧眼の魔術師』にレベル3の『貴竜の魔術師』をチューニング!シンクロ召喚!『オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン』!」

 

オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン 攻撃力2500

 

裂帛の気合い、手を上空に翳すと共にコナミの背後の『貴竜の魔術師』が3つのライトグリーンのリングとなり、その中を『慧眼の魔術師』が突き抜ける。リングの中を光が包み込み、火花が舞い散る。

そして輝きが晴れたそこには、紅蓮に燃える赤き竜の姿。氷上を脚で砕き、溶かし蒸発させて白い煙が立ち込める。

冷たき氷のフィールドに現れる炎を纏った星の竜。その咆哮は天に轟き、雄々しさを示す。

 

「メテオバーストの効果により、ペンデュラムゾーンの『貴竜の魔術師』を特殊召喚!」

 

貴竜の魔術師 守備力1400

 

「レベル5の『曲芸の魔術師』にレベル3の『貴竜の魔術師』をチューニング!星海を切り裂く一筋の閃光よ!魂を震わし世界に轟け!!シンクロ召喚!!『閃光竜スターダスト』!!」

 

閃光竜スターダスト 攻撃力2500

 

フィールドに降臨する2体目の竜。その白き翼を翻し、星屑の雨を降らせる閃光の竜。白と赤が舞い散り、フィールドを幻想的な光で照らす。

 

「まだだ!リバースカードオープン!『置換融合』!フィールドの『オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン』と『刻剣の魔術師』で融合!融合召喚!『オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン』!」

 

オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン 攻撃力2500

 

深緑の体躯に雷の翼を4枚広げ、嵐を起こす。2色の虹彩の竜。天候を司る翼は風を運び、稲妻を迸らせる。シンクロモンスターを使っての融合。その強大なエネルギーが今、羽ばたく。

 

「ボルテックスの特殊召喚時、エッジマンを対象に取り、バウンスする!」

 

「速攻魔法、『エネミーコントローラー』!エッジマンをリリースし、『閃光竜スターダスト』のコントロールを奪う!」

 

「ボルテックスの効果!エクストラデッキの『竜穴の魔術師』をデッキに戻し、その効果を無効にし、破壊する!」

 

Kのフィールドに幾つかのボタンを持ったゲームコントローラーのようなものが浮かび上がるが、コナミが直ぐ様ボルテックスに指示を出し、雷がコントローラーをショートさせる。

 

「オレは『相生の魔術師』の効果発動!このカードの攻撃力をボルテックスと同じ2500にする!」

 

相生の魔術師 攻撃力500→2500

 

「バトルだ!スターダストでサンダー・ジャイアントを!相生でセットモンスターを攻撃!」

 

K LP300→200

 

「手札の『D.D.クロウ』を捨て、お前の墓地の『仁王立ち』を除外。セットモンスターは『幻影の魔術士』!効果でデッキより『E・HEROバブルマン』を特殊召喚する!」

 

E・HEROバブルマン 守備力1200

 

赤黒い外套を纏った仮面の魔術士が身を翻し、水色の科学的なスーツを纏ったバブルマンへと変身する。不味い状況だ。

敵のフィールドにはバブルマン以外のカードが存在しない。

 

「バブルマンの効果で2枚ドロー!」

 

K 手札0→2

 

「くっ、ボルテックスでバブルマンを攻撃!」

 

破壊されるバブルマン。しかし役目は果たした。回復した手札でどう動くか、コナミは焦りを覚える。何より残るLPが不味い。

普通ならばたった3桁と一笑にふす所だが――3桁は、逆転の引き金なのだ。

 

「ターンエンドだ」

 

コナミ LP2000

フィールド『オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン』(攻撃表示)『閃光竜スターダスト』(攻撃表示)『相生の魔術師』(攻撃表示)

『妖刀竹光』セット1

Pゾーン『賤竜の魔術師』

手札1

 

「僕のターン、ドロー!」

 

「魔法カード、『暗黒界の取引』!ドローし、手札を捨てる!速攻魔法、『融合解除』を発動!ボルテックスをバウンス!」

 

「ボルテックスの効果で『貴竜の魔術師』をデッキに戻し、無効にする!」

 

「使ったな?ならこれでどうだ!魔法カード、『ホープ・オブ・フィフス』!」

 

「ッ!そのカードは!?」

 

『融合解除』を無効化され、Kに残った手札は1枚、そのたった1枚が彼の窮地を救う。この状況でこのカードに選ばれた『HERO』のような、劣勢で輝くその運命にコナミが息を呑む。

 

「墓地の『E・HERO』5枚、ワイルドジャギーマンとプラズマヴァイスマン、サンダー・ジャイアントとネクロダークマン、そしてエッジマンをデッキに戻し、2枚ドロー!更に自分フィールド上にこのカード以外のカードが存在しない場合、追加で1枚ドロー!」

 

K 手札0→3

 

一気に3枚まで回復する手札、『E・HERO』に限定された『貪欲な壷』と言って良いカードだ。追加で1枚ドロー出来る状況はバブルマン同様に限られるが、極限まで運命力とドロー力を引き上げれば造作も無い事だ。

『ブランチ』や『補給部隊』等、フィールドに残りやすいカードは『シャッフル・リボーン』でデッキに戻しているのだろう。抜け目の無い戦術だ。そう見てみるとコナミの構築と似通うものがある。

 

「魔法カード、『名推理』!レベルを選べ」

 

「……4だ」

 

「1、2、3枚目、残念、レベル3『カードガンナー』だ。特殊召喚!」

 

カードガンナー 攻撃力400

 

現れたのは赤と青、そして頭を覆うガラスが特徴的なおもちゃのようなロボット。頼りない姿だが、制限カードになっていただけあり、優秀なモンスターだ。だがLPが100の状況でこのカードを出す等、自殺行為に等しい。

「『レスキューラビット』を召喚!」

 

レスキューラビット 攻撃力300

 

次に現れたのは安全ヘルメットを被った可愛らしいウサギのモンスターだ。

 

「除外し、『E・HEROバーストレディ』を2体特殊召喚!」

 

E・HEROバーストレディ 攻撃力1200×2

 

「魔法カード、『馬の骨の対価』。バーストレディを墓地に送り、2枚ドロー!もう1枚だ。2枚ドロー!」

 

K 手札0→2→3

 

「永続魔法、『炎舞-「玉衝」』!セットカードを封じ、デッキの上から3枚カードを墓地に送り、『カードガンナー』の効果発動!送ったカード1枚につき、攻撃力を500アップする!」

 

カードガンナー 攻撃力400→1900

 

「更に魔法カード、『一時休戦』を発動!互いに1枚ドローし、次の相手ターン終了時まで互いに受けるダメージを0にする!」

 

K 手札2→3

 

コナミ 手札1→2

 

これで『カードガンナー』を立たせるリスクも無くなった。次のターンで止めもさせなくなってしまったのだ。これは非常に不味い状況と言える。

200ポイント、たった200ポイントのLPが削り切れない。その事がどんなに恐ろしい事か、コナミは良く知っている。

 

「2枚目だ!『ミラクル・フュージョン』!墓地の『E・HEROバーストレディ』と『E・HEROバブルマン』を融合!融合召喚!『E・HEROスチーム・ヒーラー』!」

 

E・HEROスチーム・ヒーラー 攻撃力1800

 

何度目かの融合召喚、赤と青、バーストレディとバブルマンが混じり合って紫とピンクのビビットカラーのボディに幾つものパイプを繋ぎ、白い蒸気を放つ癒しの『HERO』が現れる。

 

「装備魔法、『フュージョン・ウェポン』をスチーム・ヒーラーに装備!攻守を1500アップする!」

 

E・HEROスチーム・ヒーラー 攻撃力1800→3300

 

「バトルだ!スチーム・ヒーラーで『オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン』を攻撃!スチーム・ブラスト!」

 

スチーム・ヒーラーがアームの中心に空いた穴から高速で蒸気を放ち、白煙がボルテックス・ドラゴンの翼を濡らす。自身が翼に纏った雷が身体中を焦がし、天上の竜を撃ち落とす。それだけではない。スチーム・ヒーラーがもう1つのアームを構え、ボルテックス・ドラゴンからエネルギーを奪おうとする。

 

「『閃光竜スターダスト』の効果でボルテックスに1ターンに1度の破壊耐性を与える!波動音壁!」

 

「墓地の『ブレイクスルー・スキル』を除外し、その効果を無効にし、スチーム・ヒーラーがモンスターを戦闘破壊した事で『オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン』の攻撃力分、LPを回復する!」

 

K LP200→2700

 

戦闘破壊を通してのLPの回復、元々の攻撃力が低い為、発動が厳しいが、『E・HERO』の融合体はレベル6以下のものが多い。それを活かし、『フュージョン・ウェポン』で強化する事で半分以上までLPを回復するK。早めに何とかしなければ更に差が開くだろう。

 

「まだだ、『カードガンナー』でスターダストに攻撃し、破壊された『カードガンナー』の効果で1枚ドロー!」

 

K 手札0→1

 

「カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

K LP2700

フィールド『E・HEROスチーム・ヒーラー』(攻撃表示)

『フュージョン・ウェポン』『炎舞-「玉衝」』セット1

手札0

 

「オレのターン、ドロー!墓地の『置換融合』を除外、ボルテックスを戻しドロー!」

 

コナミ 手札2→3

 

「墓地の『ギャラクシー・サイクロン』を除外し、玉衝破壊。『EMドクロバット・ジョーカー』をセッティングし、ペンデュラム召喚!『竜脈の魔術師』!」

 

竜脈の魔術師 攻撃力1800

 

「『E・HEROブレイズマン』を召喚!」

 

EMブレイズマン 攻撃力1200

 

現れたのは短刀を持った若き『魔術師』と炎の鬣を揺らめかせた『HERO』モンスターだ、この状況でこの2枚、コナミの運も負けてはいない。

 

「ブレイズマンの効果で『置換融合』をサーチ!そして発動!フィールドの『竜脈の魔術師』と『E・HEROブレイズマン』で融合!融合召喚!『E・HEROガイア』!」

 

E・HEROガイア 攻撃力2200

 

黒い巨体を輝かせ、大地を司る『HERO』が氷上を砕いて誕生する。属性『HERO』の中でも数多のモンスターを有する地属性を要求しており、素材、そして効果において使いやすく、強力なカードだ。

 

「ガイアの効果!スチーム・ヒーラーの攻撃力を半分にし、その数値をガイアに加える!」

 

E・HEROスチーム・ヒーラー 攻撃力3300→1650

 

E・HEROガイア 攻撃力2200→3850

 

『フォース』を内蔵した『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』と同じ効果、単純ながらもだからこそ使いやすく、汎用性の高い効果だ。戦闘面ではこのカードと風属性の『E・HERO Great TORNADO』が頼りになる。

 

「バトル!ガイアでスチーム・ヒーラーを攻撃!コンチネンタルハンマー!」

 

巨人の腕がスチーム・ヒーラーのビビットカラーの装甲を砕き、破片が散っていく。重く強烈な一撃。如何に『フュージョン・ウェポン』で強化を受けていても更に上から強化を施したガイアには届かない。鈍重な外見からは想像出来ない速度で放たれた拳は、見事敵を倒した。

 

「相生を守備表示に変更し、カードを1枚セット、ターンエンドだ。さぁ、どう出る?」

 

「こう出る。罠カード、『裁きの天秤』!お前のフィールドと、僕のフィールド、手札の差、7枚をドローする!」

 

K 手札0→7

 

手札0枚からの華麗なる逆転、状況を公平にする為に天秤がKに大きく傾き、デッキから7枚ものカードをその手札とする。凄まじい回復力、そしてドロー。とんでもない相手だ。コナミは額に汗を伝わせ、下唇を噛む。

 

コナミ LP2000

フィールド『閃光竜スターダスト』(攻撃表示)『E・HEROガイア』(攻撃表示)『相生の魔術師』(守備表示)

『妖刀竹光』セット2

Pゾーン『EMドクロバット・ジョーカー』『賤竜の魔術師』

手札0

 

「僕のターン、ドロー!」

 

「罠発動!『ゴブリンのやりくり上手』墓地には2枚のやりくり上手だ!3枚ドローし、1枚をデッキボトムへ!」

 

コナミ 手札0→3→2

 

「まずは魔法カード、『闇の量産工場』!墓地の『E・HEROフェザーマン』と『E・HEROバーストレディ』を回収、魔法カード、『手札抹殺』で手札を入れ替え、『暗黒界の取引』発動。互いにドローし、1枚捨てる。魔法カード、『融合回収』!『融合』とクレイマンを回収、召喚!」

 

E・HEROクレイマン 攻撃力800

 

「魔法カード、『馬の骨の対価』!クレイマンを墓地に送り、2枚ドロー!」

 

K 手札7→9

 

「魔法カード、『ハンマーシュート』!フィールドの攻撃力が一番高いモンスターを破壊!」

 

「スターダストの効果を発動!破壊を防ぐ!」

 

「魔法カード、『闇の量産工場』!フェザーマンとバーストレディを回収!そして『融合』を発動!手札の『E・HEROフェザーマン』と『E・HEROバーストレディ』を融合!融合召喚!マイ・フェイバリット!『E・HEROフレイム・ウィングマン』!!」

 

E・HEROフレイム・ウィングマン 攻撃力2100

 

高くそびえ立つ氷山の頂に、その『HERO』は純白の片翼を翻して降り立つ。悪魔のような、アメリカンヒーローを思わせる顔立ちに、緑色の常人離れした体躯。

左腕は鋭い鉤爪となっており、腰からは赤い尾が伸びている。そして目を引くのはその右腕、右の胸からかけて赤に染まっており、その先にあるのは、竜のアギト。

喉を大きく開き、獲物に食らいつこうとする赤い竜の頭が生えている。異形の『HERO』。

そして――コナミの親友の、フェイバリットカード。

 

「……十……代……」

 

ポツリと、『HERO』の姿を見て、溢れ出る懐かしさを堪え切れず、コナミは呟く。

遠く離れた地で、太陽のような笑顔でデュエルをして来た彼の名を。学生時代の青春を、共に過ごした相棒の名を。

そんなコナミを気にも止めず、Kがその手より、1枚のカードをデュエルディスクに差し込む。

 

「『HERO』には『HERO』に相応しい、戦う舞台と言うものがある。フィールド魔法――『摩天楼―スカイスクレイパー』!」

 

冷たい冷気を放つ氷山エリアが、見る見る内にその姿を変えていく。冷気は光輝くスポットライトに、フレイム・ウィングマンも立つ高い氷山は夜の摩天楼のビル群へと。その舞台をアメコミヒーローに相応しいものへと変える。そして――闇夜の空に、光のスポットが走り、Hの文字が浮かび上がる。その下に照らされたのは――英雄。

 

「……アカデミアの、正義の名の下に――」

 

スッ、と影より抜け出る紫帽子のデュエリスト。全く、何故こうなった。コナミは重々しい溜め息を溢す。

 

「僕の前で、散れ」

 

――スカイスクレイパー・シュート――

 

――――――

 

そして、コナミとKのデュエルが続く中、彼女はその摩天楼に足を踏み入れる。肩にSALを乗せた、髪を黄色いリボンでポニーテールに結び、赤いジャケットを着た少女。

セレナだ。彼女の目は大きく見開かれており、驚愕を示している。その視線の先には――紫色の帽子の、デュエリスト。

震える唇で、セレナは呟く。

 

「あれは――誰だ……!?」

 

あんな奴知らない。そう思考するセレナに、忍び寄る影が1つ。

 

「あら、久し振りねぇ、セレナちゃん」

 

呼び掛けられる声に、セレナは思わず振り向く。そこにいたのは、青い軍服と軍帽を浅く被った、紫色のツインテールに赤い瞳、どこか大人びた色気のある少女。

 

「雪……乃……?」

 

――――――

 

時は同じくして、火山エリアのある一角、熱気を放つその地帯にて、また2人の男が来訪していた。

1人は白いマントを羽織り、無地の仮面を着けた、遊矢やコナミ達の前に現れたあの男。

そしてその隣に立つのは、男よりも異様な風貌の、刺々しく、重々しい、黒い甲冑をその身に纏い、深紅の外套をはためかせた、覇王。

 

「往こうか――覇王」

 

「……ああ――」

 

激化し、混沌と化す舞網チャンピオンシップ。果たしてその先に待つのは――一体、どのような結末か。




純HEROでデュエルするの超難しい(小並感)。何これ、めっちゃ苦行なんだけど、誰だよこんなデッキにした奴!←

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