ナストラルが悪霊になってるけど今まで出てこれずストレス溜まってたんだなと思いました(小並感)。
レオ・コーポレーション社長室。そこでは若き社長である赤馬 零児が椅子に腰掛け――いや、今現在においては勢い良く立った為椅子は倒れ、零児は背後の窓ガラスへと振り返り驚愕の表情を向けている。
「なんだ……あれは……!?」
普段冷静沈着である彼がここまで動揺するのは珍しい。
その理由は視線の先、雲1つ無き遠き空でありありとその存在を示す白亜の竜。戦闘機のように速さを追求した翼、空気抵抗を防ぐ為ヘルメットのようになった頭部、力強い胸筋や肩、膝より伸びた四肢。星屑を纏い天空に座すその竜は神々しささえ感じさせる。
「……中島……あれが先程発生したシンクロ反応の正体か……?」
あくまで竜より目を離さず、いや、離す事が出来ずに展開したモニター内の中島へと問いかける零児。それ程までにあの見た事も無い白亜の竜は零児を魅了し、内に眠らせていたデュエリストの好奇心を刺激している。
そう、彼等は途方も無く巨大な、まるで前回のエクシーズ反応の時のようなシンクロ反応の居場所を探っていたのだが――そんな中、天が晴れ、あの竜が姿を見せたのだ。
『……シンクロ反応……測定不能……まるで先日のように……いえ、これは……!』
「どうしたと言うのだ」
必死で機器を復旧させる中島。そして彼はある事に気づく。今は少しでも情報が欲しい、零児は中島達を急かす。
しかしその先の言葉は――余りにも荒唐無稽であった。
『それが……数日前のエクシーズ反応とあの竜が現れる前のシンクロ反応を見たところ……波長が、余りにも良く似ているのです』
「――何――?」
またもや頭を殴り付けられたような衝撃が零児を襲う。一体この街で何が起こっていると言うのか、思わず溜め息を吐き、視線を下へと向ける。
だが――何があっても、この街を守らなければならない。再び瞳に決意を宿し白亜の竜を睨む。
「お前は――お前達は、何者だ――?」
どれだけ呟こうと答えは帰ってこない。それでも零児は感じ取る。自分の中で、強敵がいなかった事で眠っていたデュエリストの闘志が、ふつふつと燃え上がっている事に。
――――――
「……この程度か……」
一方、流星を従えし白帽子のデュエリストはどうしようもなく落胆していた。理由は自分が闘っていたデュエリストが自らの放ったフィール(物理)によって吹き飛ばされ、こちらへ来ない事だ。
ガラガラと崩壊し、塵埃が舞う倉庫、その傍にはそのデュエリストの乗っていたD-ホイールが半壊して横たわっており、更に落胆させる。走れないD-ホイーラーにターンはやって来ない。あの顔を見かけた時より期待していたのだが――過度な期待だったか。溜め息を吐き出し、帽子を被り直す。
「これならタクシーに乗らずにリーダーの所に行くか、ユーゴを探すべきだったな」
ふよふよとD-ホイールを宙に浮かばせたまま停止する。と言う何とも器用な事をしながら思考する白コナミ。その、瞬間。
「デュエルはまだ!終わってない!!」
声が、響き渡る。透明感のある、しかし確かに檄の籠った鋭い声。その声が耳に届くと同時に白コナミは口元に弧を描き、無言でD-ホイールのアクセルを踏み、宙を疾駆させる。
D-ホイールは未だに倒れている。にも関わらず彼の気配は近づいている。一体何故か、何てどうでも良い。今はただデュエルを続けるのだ。しかし妙だ、音がおかしい。
先程までのタイヤが回るような音では無く、コツコツと地面を叩くような音が近づいている。コツコツ?違う、これは――瞬間、白コナミの視界に浸入してきたのは、白、雪のような美しい純白。
「何――?」
それは、鉄の塊などでは無かった。駆ける度に揺れ動く白い毛並み、面長い顔に堅い蹄、風に靡く尾、首輪につけられた名は、「ぱかーでぃ・はいねん」と言う文字、その獣は――。
「馬に乗ってライディングデュエルだと!?ふざけやがって!」
太陽の光を受け毛並みを輝かせる白馬。その上にはデュエルディスクを構える赤帽子の姿。成程、倒れたD-ホイールを見るとデュエルディスクが外されている。吹き飛ばされる瞬間即座に手に取ったと言うのなら大したものだ。
何でこんな所に馬がいるの?とか聞いてはいけない。倉庫内で「拾ってください」と書かれたダンボールの中に居たのだ。
「バトルだ!『スターダスト・チャージ・ウォリアー』で『ロード・ウォリアー』へ攻撃!流星乱射!」
コナミの指示を受けて『スターダスト・チャージ・ウォリアー』が弱体化した『ロード・ウォリアー』へと刃を飛ばす。しかし、傍で控えていた『ジャンク・ガードナー』の砲撃が『スターダスト・チャージ・ウォリアー』を撃ち、その膝をつかせる。
「『ジャンク・ガードナー』の効果、相手モンスターの表示形式を変更する!」
「ならば『E・HEROガイア』で『シューティング・スター・ドラゴン』を攻撃!コンチネンタルハンマー!」
「無駄だ!シューティング・スターを除外してその攻撃を無効にする!」
「ッ……!カードを1枚伏せ、ターンエンドだ!」
「エンドフェイズ、『シューティング・スター・ドラゴン』が帰還する!」
シューティング・スター・ドラゴン 攻撃力3300
コナミ LP4000
フィールド『スターダスト・チャージ・ウォリアー』(守備表示) 『E・HEROガイア』(攻撃表示)
セット1
手札2
「俺のターン、ドロー。そうだ……もっと足掻け!俺を楽しませろ!俺はシューティングスターの効果を発動!デッキの上から5枚をめくり、チューナーの数だけ攻撃回数を得る!」
最大5回にも及ぶ効果。普通であれば2回、3回も増やす事が出来れば上々と言った所だが……それは常識の範囲。
この化物には通用などしない。カードに選ばれし者は、容易く奇跡の引き金を引く。
「1枚目、『アンノウン・シンクロン』!2枚目、『幽鬼兎』!3枚目、『エフェクト・ヴェーラー』!4枚目、『クイック・シンクロン』!5枚目、『ジャンク・シンクロン』!当然全てチューナー!合計5回の攻撃権を得た!」
圧倒的、圧倒的な豪運。まるで嘲笑うように、捩じ伏せるように5回攻撃の権限を示す白コナミ。余りにも馬鹿げた光景、コナミやそれに比肩する実力者でなければ「いやこれそう言うゲームじゃねぇからぁ!」とツッコんでいる所だろう。
「魔法カード、『強欲で貪欲な壺』を発動!デッキから10枚を除外、2枚ドロー!」
白コナミ 手札2→4
「バトルだ!『ニトロ・ウォリアー』でガイアに攻撃!更に破壊した事で『スターダスト・チャージ・ウォリアー』を攻撃表示にし、再度攻撃!」
コナミ LP4000→2600
「シューティング・スターで攻撃!スターダストミラージュ!」
白コナミの指示を受け、『シューティング・スター・ドラゴン』が更に天高く上昇し、勢いをつけて降下する。そして赤、青、緑、5色のオーロラのように分裂し、青と緑の竜がコナミへと流星群の如く降り注ぐ。
コナミは白馬の腹を蹴り、かわす指示を飛ばす。白馬も危機を察知したのだろう。天から襲い来る弾丸の間を縫うようにかわし、流星は地面に激突して巨大な穴を作る。
更に追撃を撃ち出し、コナミの身体を貫き焦がさんとする。
絶体絶命、圧倒的強者が食らいつく。瞬間、激しき轟音が地面へと激突し、爆炎を上げる。これで終わりか――その思いごと、駆け抜け道を拓く。
「手札の『速攻のかかし』を捨て、バトルフェイズを終了する!」
コナミの手より1枚のカードが捨てられる。成程、これならどれだけ連撃をかけようとバトルフェイズを終了する為意味は無い。白コナミはその獰猛な笑みを深める。
「メインフェイズ2、『ロード・ウォリアー』の効果でデッキより『ソニック・ウォリアー』を特殊召喚」
ソニック・ウォリアー 守備力0
現れたのは彼を今まで支えて来たであろう緑色の戦士。これで再びフィールドが埋まった。
これこそがコナミの狙い。だがまだだ。まだ動く時ではない。コナミは白馬の手綱を握り締め、白コナミの喉元へ食らいつく牙を隠す。
「俺はカードを3枚伏せ、ターンエンド」
「ッ!この瞬間、罠カード、『裁きの天秤』発動!相手フィールド上のカードが自分の手札、フィールドのカードの合計より多い場合、その差の数だけドローする!」
「何――?」
これこそがコナミの狙い。彼のデッキは白コナミのデッキのように安定したドローターボは無い。あるのはこの、不安定だが爆発力のあるドローカード。コナミと白コナミのカードの差は6。よって6枚のドロー。
コナミ 手札1→7
これで反撃の準備は整った。一気にドローした事による気持ち良さは噛み締めながらもコナミは戦略を立てる。
白コナミ LP4000
フィールド『シューティング・スター・ドラゴン』(攻撃表示) 『ロード・ウォリアー』(攻撃表示) 『ニトロ・ウォリアー』(攻撃表示) 『ジャンク・ガードナー』(守備表示) 『ソニック・ウォリアー』(守備表示)
セット3
手札1
「オレのターン、ドロー!魔法カード、『打ち出の小槌』、手札を入れ替える。手札を1枚捨て、魔法カード、『ペンデュラム・コール』発動!デッキから『竜穴の魔術師』と『賤竜の魔術師』を手札に加え、墓地に送られた『ダンディライオン』の効果で『綿毛トークン』を特殊召喚し、ペンデュラムスケールをセッティング!」
綿毛トークン 守備力0
天空へ光の柱が2つ伸び、中に2体の『魔術師』が現れる。更に光のペンデュラムが揺れ、青い空に輝く魔方陣が出現する。変化は何もそれだけではない。コナミのデュエルディスク、両端に置かれたカードを起点とし、その間に虹色の文字が浮かび上がる。
流石の白コナミもこれは未知の領域なのか、明らかに動揺した表情でコナミを見据える。
「ペンデュラム……!?」
「これでレベル3からレベル7のモンスターを同時に召喚可能!揺れろ!光のペンデュラム!虚空に描け魂のアーク!ペンデュラム召喚!『E・HEROエアーマン』!『E・HEROブレイズマン』!『刻剣の魔術師』!」
E・HEROエアーマン 攻撃力1800
E・HEROブレイズマン 守備力1800
刻剣の魔術師 攻撃力1400
振り子が右へ左へ揺れ、コナミが天へ手を翳すと共にピタリと止まり、魔方陣に孔が空き、中より3本の光がフィールドに降り立つ。
現れたのはファンを背負った青い『HERO』と炎の鬣を持った赤い『HERO』。そして剣を煌めかせた少年『魔術師』。これでコナミのモンスターゾーンも埋まった。
「……ペンデュラム召喚……!面白い……!」
「オレはエアーマンとブレイズマンの召喚時効果発動!デッキより『E・HEROオーシャン』と『融合』を手札に加え、魔法カード、『強欲で貪欲な壺』を発動!デッキから10枚を除外、2枚ドロー!」
コナミ 手札3→5
「『刻剣の魔術師』の効果発動!『ジャンク・ガードナー』とこのカードを除外する!」
「ッ!『ジャンク・ガードナー』の効果でエアーマンを守備表示に変更!」
「関係無いな!『融合』を発動!手札のオーシャンと『綿毛トークン』を融合!『E・HERO GreatTORNADO』!」
E・HERO GreatTORNADO 攻撃力2800
コナミの背で青とオレンジの渦が発生し、オーシャンと『綿毛トークン』を吸い込んだ後、一陣の風を吹き出す。黒いマントを翻し現れたのは竜巻を従えし英雄。敵が多い今、その能力は更に活かされる。
「GreatTORNADOが融合召喚に成功した事により、相手モンスター全ての攻守を半分にする!タウン・バースト!」
シューティング・スター・ドラゴン 攻撃力3300 →1650
ロード・ウォリアー 攻撃力3000→1500
ニトロ・ウォリアー 攻撃力2800→1400
「ほう……!」
圧倒的な暴風が吹き荒れ、白コナミのモンスターの力を削ぐ。その力は白コナミの機体をふらつかせ、今までの憂さ晴らしのように思えてくる。
「まだだ!レベル4のモンスター2体でオーバーレイ!オーバーレイ・ネットワークを構築!我が戦いはここより始まる!白き翼に望みを託せ!現れろNo.39!エクシーズ召喚!希望皇ホープ!」
No.39希望皇ホープ 攻撃力2500
純白の翼を広げ、黄金の鎧を纏った皇が雄叫びを上げる。彼の持つ唯一のエクシーズモンスターだ。一気に畳み掛けるつもりなのだろう。彼の手はこれだけでは止まらない。
「次だ!魔法カード、『死者蘇生』!墓地から『スターダスト・チャージ・ウォリアー』を特殊召喚!」
スターダスト・チャージ・ウォリアー 攻撃力2000
これでコナミのフィールドには融合、シンクロ、エクシーズ、3色のモンスターが出揃った。その光景に思わず白コナミが喜色に溢れた笑みを浮かべる。彼にとってはこの逆境も楽しむものらしい。
「『スターダスト・チャージ・ウォリアー』は特殊召喚された相手モンスター全てに一回ずつ攻撃が出来る。バトルだ!『スターダスト・チャージ・ウォリアー』でシューティング・スターへ攻撃!流星乱射第1打ぁ!」
「ッ!シューティング・スターの効果!このモンスターを除外し、その攻撃を無効にする!」
「分かっていたさ!だがこれで終わった訳じゃない!流星乱射!第2、第3、第4打ぁ!!」
白コナミ LP4000→3500→2900
『スターダスト・チャージ・ウォリアー』の刃が交錯し、全てのモンスターを切り裂く。これでフィールドはがら空き、残るは本丸のみ。
「止めといこう!2体のモンスターでダイレクトアタック!」
風の英雄と希望の皇が白コナミへと飛翔し、ニ刀の剣と風の弾丸、互いの武器をもってして主の敵へと止めを刺そうとする。しかしまだ――届かない。
「手札より『速攻のかかし』を捨て、効果発動!バトルフェイズを終了する!」
「なっ……に……!?」
コナミが先程窮地より救われたカード、それが今、敵となって防壁を作り上げる。草臥れた三角帽にサングラス、ボロボロのかかしだと言うのにこのモンスターが生み出す障壁は何者をも通さない。
「くっ……オレはカードを1枚セットしてターンエンドだ」
「その前に!罠発動!『裁きの天秤』!」
「なっ!?」
まるで先のターンの焼き回し、鏡写しの意趣返しがコナミの眼前で繰り広げられる。発動された正に“罠”その効果により白コナミの手札とフィールドのカードとコナミのフィールドの差、5枚が白コナミの手に渡る。
白コナミ 手札0→5
「そしてエンドフェイズ、シューティング・スターが帰還する」
シューティング・スター・ドラゴン 攻撃力3300
コナミ LP2600
フィールド『E・HERO GreatTORNADO』(攻撃表示) 『スターダスト・チャージ・ウォリアー』(攻撃表示) 『No.39希望皇ホープ』(攻撃表示) 『綿毛トークン』(守備表示)
セット1
Pゾーン『賤竜の魔術師』 『竜穴の魔術師』
手札1
皮肉にも、LPまで並んでしまったようだ。似た者同士もここまで来れば運命を感じざるを得ない。
そう、潰し合い、食らい合う運命に。もしも神がいるならば――力を持て余す魔物を対決させ、どちらかが消えるのを望んでいるのだろうか。相討ちになれば儲けものだとか企みながら。
神など信じぬし、そんな誰かの策に乗るのは癪だが――今だけは乗ってやろう。白コナミは眼前のデュエリストへと牙を剥く。
「俺のターン、ドロー!!」
但し、彼が信じるのは姿を見せぬ神などではなく、己自身、己と闘うこのカード達。神など頼らない、道を拓くのは自分自身、彼等はあの時、そう悟ったのだから。
「「――づぁっ!?」」
瞬間、白コナミとコナミの脳裏に電流が走り、同時に頭を抱え込む。今のは何だ――暗い、闇の世界で何かが――。
いや、今はデュエルに集中すべきだろう。頭を振り、2人はデュエルに臨む。
「魔法カード、『成金ゴブリン』を発動!1枚ドローし、貴様に1000のLPを与える!」
白コナミ 手札5→6
コナミ LP2600→3600
「俺は『ジャンク・シンクロン』を召喚!」
ジャンク・シンクロン 攻撃力1300
「ッ!手札より『増殖するG』を墓地に送り、オレはこのターン、お前が特殊召喚する度にドローする!」
「構わん!『ジャンク・シンクロン』の召喚時効果により、墓地から『チューニング・サポーター』特殊召喚!」
チューニング・サポーター 守備力300
コナミ 手札0→1
白コナミの場に丸眼鏡をかけ、マフラーを靡かせたオレンジのモンスターと中華鍋を被ったモンスターが現れる。無論これだけの展開で済む筈が無い。
自分のフィールドをジッ、と確認した後、コナミは舌打ちを鳴らす。これでは――メインデッキから特殊召喚出来ない。
「速攻魔法発動!『地獄の暴走召喚』!」
「――やはりか!」
どうやら彼の予想は的中したようだ。拙い事になったが早々に手札の『増殖するG』の効果を発動して良かったと息を漏らすコナミ。
「自分フィールド上に攻撃力1500以下のモンスターが特殊召喚に成功した時、その同名モンスターを手札、デッキ、墓地から全て攻撃表示で特殊召喚する!また――相手は自分のモンスターを1体選択し同じように同名モンスターを特殊召喚できるが――」
「オレのモンスターは、トークンとエクストラデッキのモンスターのみ……!」
「よって!俺の場にのみモンスターは特殊召喚される!」
チューニング・サポーター 攻撃力100×2
コナミ 手札1→2
たった2枚のカードが白コナミのデュエルを更に加速させる。彼のモンスターはどれも低いステータスのモンスターだが――だからこそ、力を合わせ、1つの強固なカードへと生まれ変われる可能性がある。
「俺はレベル2の『チューニング・サポーター』2体とレベル1の『チューニング・サポーター』1体にレベル3の『ジャンク・シンクロン』をチューニング!集いし闘志が怒号の魔神を呼び覚ます。光差す道となれ!シンクロ召喚!粉砕せよ!『ジャンク・デストロイヤー』!」
ジャンク・デストロイヤー 攻撃力2600
海中よりザバァッと波を立たせ巨大なロボが現れる。額で輝く黄金の角と側頭部の角、合わせて5本の角が天に反り立ち、胸にはオレンジと緑の珠が嵌め込まれている。その巨腕は4本あり、背にはX字の白い翼が広がっている。
その効果は見た目と同じく豪快。この状勢を一気に破壊する。
「『ジャンク・デストロイヤー』がシンクロ召喚に成功した時、このカードの素材となったチューナー以外のモンスターの数までフィールド上のカードを破壊する!そして墓地の『チューニング・サポーター』の効果で3枚ドローする!」
「オレも『増殖するG』の効果でドローする!」
コナミ 手札2→3
白コナミ 手札4→7
「そしてデストロイヤーの効果でお前の伏せカードとホープ、そしてGreatTORNADOを破壊する!」
「罠発動!『サンダー・ブレイク』!手札を1枚捨て、シューティング・スターを破壊!」
「無駄だ!シューティング・スターの効果で破壊効果を無効にする!」
「罠の効果が無効になった時、『曲芸の魔術師』を特殊召喚!更に墓地に送った2枚目の『ダンディライオン』の効果発動!」
曲芸の魔術師 守備力2300
綿毛トークン 守備力0×2
「笑わせるなぁ!魔法カード、『アドバンスドロー』!デストロイヤーをリリースし、2枚ドロー!」
白コナミ 手札6→8
「更に魔法カード、『強欲で貪欲な壺』を発動!デッキから10枚を除外、2枚ドロー!」
白コナミ 手札7→9
「手札の『ダンディライオン』を墓地に送り、『クイック・シンクロン』を特殊召喚!同じく『綿毛トークン』が特殊召喚される!」
クイック・シンクロン 守備力1400
綿毛トークン 守備力0×2
コナミ 手札1→2→3
「ハハハハハッ!2枚目の『地獄の暴走召喚』発動!墓地より『クイック・シンクロン』を特殊召喚だ!」
「ここまで来ると呆れるな……!」
クイック・シンクロン 攻撃力700
コナミ 手札3→4
馬鹿げている。そう言う他ない展開力。常識の枠を大きく逸脱した白コナミの力に冷や汗を垂らしながら笑うコナミ。
互いに既に限界を振り切っている。それでもまだ乗り越える。デュエリストに諦めなどない。今ここで限界は破壊しなければ食われるのは分かっている。
「レベル1の『綿毛トークン』にレベル5の『クイック・シンクロン』をチューニング!集いし力が大地を貫く槍となる。光差す道となれ!シンクロ召喚!砕け!『ドリル・ウォリアー』!」
ドリル・ウォリアー 攻撃力2400
ドリルを唸らせ、コンクリートの大地を砕いて茶色の戦士が姿を見せる。右腕に取りつけられたドリル、両肩、足と計5つのドリルが回転し、黄色いマフラーが風に吹かれる。
「『増殖するG』の効果でドロー!」
コナミ 手札5→6
コナミの手札が7枚まで膨れ上がる。これだけあれば次のターン巻き返す事が出来るだろう。次のターンが来るならば、だが。
それ程までに白コナミの実力が高まっていく。だが。負ける訳にはいかない。コナミは白馬に鞭を打ち、更に加速する。
「『ドリル・ウォリアー』のレベルを下げ、墓地よりスティーラー蘇生!」
ドリル・ウォリアー レベル6→5
レベル・スティーラー 守備力0
コナミ 手札6→7
「レベル1の『レベル・スティーラー』と『綿毛トークン』にレベル5の『クイック・シンクロン』をチューニング!集いし叫びが木霊の矢となり空を裂く!光差す道となれ!シンクロ召喚!出でよ!『ジャンク・アーチャー』!」
ジャンク・アーチャー 攻撃力2300
コナミ 手札7→8
鳥帽子を模した頭部をしたオレンジ色の弓兵が弓を引いて現れる。
「『ジャンク・アーチャー』の効果!『綿毛トークン』を除外する……トークンは破壊されるがな。更に魔法カード、『シンクロ・チェンジ』発動!『ジャンク・アーチャー』を除外し、エクストラデッキより同じレベルのシンクロモンスターを特殊召喚する!集いし怒りが忘我の戦士に鬼神を宿す!光差す道となれ!吠えろ!『ジャンク・バーサーカー』!」
ジャンク・バーサーカー 攻撃力2700
『ジャンク・アーチャー』が7つの星となって散り、並列を変えて新たなシンクロモンスターとなる。耳が裂けるような雄叫びを上げてフィールドに現れたのは燃えているかの如く真っ赤な鎧を纏い、巨大な斧を手にした狂戦士。
「『増殖するG』の効果で1枚ドロー!」
コナミ 手札8→9
「『ジャンク・バーサーカー』のレベルを1つ下げ、『レベル・スティーラー』を特殊召喚!更に永続罠、『リミット・リバース』!墓地の『クイック・シンクロン』蘇生!」
ジャンク・バーサーカー レベル7→6
レベル・スティーラー 守備力0
クイック・シンクロン 守備力1400
コナミ 手札9→10→11
「レベル1の『レベル・スティーラー』にレベル5の『クイック・シンクロン』をチューニング!集いし絆が更なる力を紡ぎ出す。光差す道となれ!シンクロ召喚!轟け、『ターボ・ウォリアー』!」
ターボ・ウォリアー 攻撃力2500
コナミ 手札12→13
白コナミの導きの元に現れたのは胸に車の意匠を加え、腰にタイヤなどを取りつけ、車が変形したかのように思える真っ赤な機械戦士。頭部はリーゼントのようになっており、その攻撃的な爪と言い、派手なモンスターだ。
最早2人のライディングデュエルは公道へと入り、文字通り新たなステージへと突入した。ここから先は迷いは禁物、2人のデュエリストは既に――覚悟は完了している。
デッキ枚数wってなったら負け。