遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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短い上、デュエルなし、非力な私を許してくれ……
次回もデュエルが無さそう、今回、次回はメインキャラとコナミの出会い編になりそうです。すいません。


第3話 命より大切なデッキ

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「何か喋りなさいよ!」

 

舞網市にある一件のカードショップ、赤帽子ことコナミとツインテールの少女はそのデュエルスペースの一角で対面していた。

 

「…………?」

 

テーブルをバンと強く叩き立ち上がった少女に対して、話を聞いていなかったコナミは首を傾げる。彼の手には60枚の枚数限界のデッキが握られている。そんなデッキでネオ沢渡に勝利したのだからコナミの腕は確かなのだろう。

 

ネオ沢渡とのデュエル後、こんなんじゃ満足できねぇコナミは追加攻撃と言わんばかりにネオ沢渡の取り巻き達にもデュエルを挑もうとしたが、コナミの肉食獣のような獰猛な笑みに怯えた取り巻き達は気絶したネオ沢渡を素早く回収し逃げ出した。

しかし相手はコナミ、デュエリスト特有の身体能力で追おうとしたのだが、それを見ていた少女に、もうやめて!ネオ沢渡達のライフは0よ!と羽交い締めにされてしまう、Ha☆Na☆Se☆と振り払おうとしたが、キレてストロングになった少女に無言で腹パンをいくつかもらい、大人しく連行、途中でコナミがカードショップを見つけ、ここに至る訳である。

 

「はぁ……あなた、えっと、コナミだったかしら」

 

こくりと自分のデッキを見ながら頷くコナミ、どうやらデッキから手を放す気はないようだ。少女はそんなコナミの様子に呆れながら言葉を紡ぐ。

 

「えっ……と、私は柊 柚子、遊勝塾の生徒をやっているの、それでえーっと……」

 

言い淀む柚子、果たしてこれは聞いて良い部類に入るのだろうかと迷っているようだ。因みにこの間にもコナミは自分のデッキを見ている。どうやらコナミの方は常識が迷子のようである。しかしコナミのこの礼を欠いた行動には理由がある。何せデュエリストにとって命よりも大切なデッキの内容が何時の間にか書き換えられていたのだ。人が人なら、絶対に許さねぇぞ!ドン・サウザンドォ!!と叫ぶ処だが基本的にコナミにとってバリアン世界の神であろうと、ロットンタウンのリアリストであろうと、ネオスペースのキモイルカであろうと等しくデュエルができる遊び相手だ、と中々に思考がかっとビングしている。

 

話を元に戻すと、このコナミのデッキ、コナミ自身も知らないカードが大量にあるのだ。デュエリストであるコナミは新しいカードへの興味で手を放す事が出来ない。もはや本能と言っていいであろう、本来ならこんな事をしない、教養の良い子なのである。

 

「さっきのデュエル……最後の攻撃、ダメージが実体化していたみたいなんだけど……気のせいかしら?」

 

ピタリとコナミの手が止まる、そう先程のデュエル、最後の攻撃どころか、所々ソリッドビジョンのモンスター達や攻撃が実体化していたのだ。原因は勿論この赤帽子にある。知らないデッキでデュエルし、楽しくて興奮の余り、魔力(ヘカ)やシグナーやダークシグナーの力やサイコパワーが漏れだしたのだ。幸いなのはネオ沢渡が多少の負傷と気絶で済んだ事か、兎も角どう説明したのか良いか悩んだ挙げ句。

 

「ちょっと、張り切り過ぎた」

 

この一言で済まそうとするのは如何なものか、コナミは口が上手い方ではないのだ。

 

「(沢渡が)張り切り過ぎたのなら仕方ないわね」

 

「ああ」

 

何を勘違いしたのか、納得してしまう柚子、しかしデュエリストの皆さんは話が噛み合わない事がよくある。デュエリストにはよくある事、それで良いのかデュエリスト。

 

「ねぇさっき融合、シンクロ、エクシーズ、三つの召喚法を使ってたわよね?」

 

疑問が晴れたのなら残るのはコナミに対する興味、コナミは見た目からしてミステリアスなため余計興味が沸く。

 

「ああ」

 

再びデッキに目を戻しながら答えるコナミ、そんなコナミの態度も気にせず、興味津々といった様子でコナミに詰め寄る。

 

「融合とシンクロならまだ分かるけどエクシーズまで何処で、あなた何処の塾の生徒なの?」

 

「……塾?」

 

舞網市では基本、デュエリストは自分に合ったデュエル塾に入る。そうした方が公式の大会へ出場する機会が増え、様々な召喚法、戦法が学べるからである。

当然舞網市どころかこの世界出身ではないコナミが塾に入っている筈がないその事を伝えると柚子は目を輝かせ。

 

「遊勝塾に入りましょう」

 

勧誘してきた。流石は塾長の一人娘と言ったところか、確かにコナミほどの人材、放っておくのは惜しい、何より他の塾に入り、敵になる方が恐ろしい。その為色々誘い文句を用意する。

 

「勿論ただとは言わないわ、今なら」

 

「分かった」

 

「えっ」

 

「えっ」

 

のだが、見返りを用意するまでもなく了承するコナミ、元々この赤帽子、見返りや報酬を求めない、誘われたのならついていくし、助けてくれと言うなら助ける、人によっては無償で働くヒーローに見えるだろう、ダークロウよりヤバいHEROがいるものである。そう言った点では此処で誘えたのは良かったのかもしれない。此処で逃せばコナミの実力を見た何処かの塾が勧誘するであろう、勿論この赤帽子は二つ返事で入塾する。

 

「……いいの?わっ私の塾、大したこと教えられないけど」

 

「……?別にいい」

 

コナミが即答した途端、罪悪感で弱気になる柚子、良い子である。

 

「……生徒も少ないよ?」

 

「気にしない」

 

「……塾長、暑苦しいよ……?」

 

「構わない」

 

良い子……である……?

 

「……他にも大きいデュエル塾なんて沢山あるし……」

 

「それがどうした?」

 

「いいの?」

 

「ああ」

 

コナミの言葉に俯く柚子、少しだけだがしゃくりあげるような声が聞こえる。待つこと暫く、先程まで顔中に不安を張り付けていた少女は。

 

「ありがとうっ」

 

花が咲いたような笑顔を見せてくれた。目尻には涙を浮かべているも、その煌々と輝く笑顔に口元を緩めるコナミ。デュエルスペースにいる他の利用者からすれば、甘い雰囲気を出しているカップルに見えるだろう、その証拠にコナミと柚子の二人を見て、舌打ちをする孤独なデュエリスト達、話の内容は塾の勧誘であるが。

 

コナミは先程通り、デッキに目を通す。この男にとっては色気より闘気、

と言っても多くのデュエリストがそれに入るだろうが、しかしデュエルを優先しながらフラグを回収する彼は一体何なのだろう?

柚子はと言うとコナミに(入塾の)OKを貰った事によりニコニコと笑っている。

 

(えっへへー、なんかドキドキするなぁ、うん……?ドキドキ?)

 

トクトクと心臓が波打つ、何処かで味わったかのような甘酸っぱい種類の気持ちが心を満たしていく、自分自身、この気持ちが何なのかは今は分からない、だけど。

 

「……」

 

カードを見つめるコナミを見て、きっと悪くないものなのだろうと、そう思った。

 

「あっ、そうだコナミ――」

 

柚子が質問しようとしたその時、その場に間の抜けた電子音が鳴り響く。その発生源は柚子、彼女は慌ててデュエルディスクを取り出す、どうやら着信音のようだ。彼女はデュエルディスクのディスプレイを細い指で操作し、そのままデュエルディスクを耳に当てる。

 

「っとはいっ!もしもしっ……ってアユちゃん?……ああっ!忘れてた!ごっごめん……うん……うん」

 

どうやら通話が終わったらしい、その様子を眺めていると柚子がその身を乗り出す。

 

「えっ……と、折角だし、塾によってく?」

 

コナミの返事は聞くまでもないであろう。

 

 




おまけ

茄子「あいつ等、一体何処に……?」

あざといロリ「……」

茄子「……」←マスク被った状態

あざといロリ「……ふぇっ……ふっ不審者……?」

茄子「ちっ違っ」

あざといロリ「遊矢お兄ちゃーん!助けてぇー!」

茄子「くっ……!てっ撤退だ!!」

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