遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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遊矢「コナミ?どうしたんだ!?何で泣いてるんだ!?」

コナミ「……えぐっ……!うぐぅっ……ごれぇ……!」

遊矢「えっと……これ確か新しく出るって言う遊戯王のゲーム……あ、主人公、コナミじゃない……」

コナミ「……おれぇ……ずっと楽しみに待ってたのにぃ……!誰だよこいつぅ……!」

遊矢「えっと……残念だったな……」

コナミ「あなたには……分からないでしょうねぇ……!現行主人公のあなたにはぁ……!でもぉ……それゲームオリジナルキャラが多くてぇ……遊矢も出るか分かんないんだぞぉ……!」

遊矢「」











?「我が書き換えたのだ」


第34話 アイエエエエ!

「さぁ、6連戦、最後のデュエルッスよぉ!」

 

舞網市の大通りにて、コナミの子分である暗次が意気揚々と右腕を振り上げ、大股で歩んでいた。その後をついていくのは赤帽子ことコナミと暗次の友人、ねねだ。

そう、これまでコナミは舞網チャンピオンシップの出場資格を賭け様々なデュエリスト達と激闘を繰り広げてきた。どのデュエリストも実力者揃いだがコナミはパートナーと共に勝利を掴み取り、残るは後1勝のみ。

最後の対戦相手を探すべく街へと出掛けたのだ。

 

「……ん?あれは権現坂じゃないか」

 

と、そこでコナミは大きなデュエル塾の前で立つ権現坂を見つける。この雑踏の中でも彼は良く目立つ。向こうもこちらに気づいたようだ。コナミ達は権現坂へと歩み寄る。

 

「おお、コナミか。どうした?こんな場所で会うとは珍しいな」

 

「兄貴は道場やっんが!?」

 

柔らかい表情でコナミに話しかける権現坂に、暗次が正直に道場破りだと言おうとした所で、コナミが鳩尾に鋭いストレートを叩き込み、遮る。

ここまで1秒もかかっていない。恐るべき身体能力である。子分であろうと容赦などない。

 

「(権現坂は真面目だ。下手な事を言うな)」

 

「(あ、あいあいさー……)」

 

「?ど、どうした?急に倒れたように見えたが……」

 

「さぁ?オレはチャンピオンシップに出場する為、対戦相手を探している。権現坂は?」

 

思いっきり白を切るコナミ。決して嘘はついていない。ただオブラートに包み込んでいるだけだ。まぁ、正直に言えば「けしからん!」と怒り狂い、ここで正座をさせられ説教をされるだろうが。

 

「俺もチャンピオンシップの為に試合を挑もうと思ってな」

 

そう言って正面の大きなデュエル塾を見つめる権現坂。少森寺塾と似ているがこちらは和風の建物だ。規則的に並んだ瓦に立派な鯱。最早塾と言うより城と言うべきか。そびえ立つ建物の看板を呟くコナミ。

 

「風魔……デュエル塾?」

 

「何でも親父殿の友人が経営する塾らしくてな。デュエルをするなら、ここに行けと言われた。お前もどうだ?」

 

「良いのか?」

 

「何、お前には色々と恩があるからな」

 

フッと笑みを浮かべる権現坂。しかしコナミとしては恩を売った覚えはまるでない。それもそうだろう、権現坂は柚子を助けてくれた事、LDS襲撃の際、赤馬 零児と闘ってくれた事と専ら“自分以外の事”に恩を感じているのだ。

彼にとっては自分より、大切な友人の力になってくれた事が嬉しいのだろう。出来た人間である。どこぞの赤帽子とは違う。

 

「さぁ、行こうか。頼もう!」

 

門を開き、堂々と声を上げる権現坂。彼に倣い、3人も声を上げ中へと入っていく。

チャンピオンシップ出場を賭けた最後のデュエル。相手が誰であろうと――コナミは負けるつもりなど、毛頭ない。

 

――――――

 

「貴殿等が対戦を申し込んできた権現坂殿とコナミ殿か。拙者は風魔 日影と言う」

 

コナミ達を迎えたのは髪を後ろで一括りにし、額に鉢金、首に赤いマフラー、見た目だけではなく雰囲気からしても忍者と呼べる者だった。

 

「忍者だ!すげぇ!」

 

「ふぉぉぉぉ……」

 

その姿に思わず暗次とねねは目を輝かせ、歓喜を含んだ声を出す。コナミもまさか忍者が出てくるとは思わなかったのか、ほうほうと頷いている。

やはり男の子と言う訳か。彼等の嬉しそうな態度に気恥ずかしさを覚えたのか、満更でもないのか苦笑して頬を掻く日影。

 

「本来なら断る所なのだが……我々も事情が変わった。それに権現坂道場の者の頼みを無下にする事も出来ぬ。ついてこられよ」

 

「すまない、恩に着る」

 

デュエルを承諾してくれた日影に頭を下げ、感謝の意を述べる権現坂。しかし何故だろうか、日影がコナミを見る目は、どこか観察しているようなものを感じる。

 

「……」

 

まぁ、考えても仕方無いだろう。コナミは帽子を被り直し、日影の案内を元にデュエルフィールドへ向かう。随分と雰囲気の良い日本庭園を模したフィールドだ。

「む、兄者、その者は確か……」

 

と、そこで日影と似た、しかし全体的に暗い寒色系の装束に身を包んだ少年が現れ、コナミを見つめる。

 

「ブンシンノ=ジツだ!ブンシンノ=ジツッスよ!兄貴!」

 

「落ち着け暗次。これは格ゲーで言う所の2Pキャラだろう」

 

突如現れたもう1人の忍者にはしゃぐ暗次とホラを吹き込むコナミ。どうにも阿呆なやり取りをする2人を横目に日影は態とらしく咳払いをする。

 

「ンンッ……!こちらは拙者の弟の月影。月影、彼等は対戦を申し込んできた権現坂殿とコナミ殿。そして観戦者の黒門殿と光焔殿だ」

 

「ふむ……そうでござったか。拙者は風魔 月影。紹介されたように兄、日影の弟でござる」

 

「オレは波影。よろしく頼む」

 

「あっ!兄貴ずりぃ!俺、暗影!」

 

「クラ(カ)ゲとな」

 

「じゃあ私はねね影ですね」

 

密かに忍者に憧れを持っていたのだろう。コナミが忍者的な名乗りをすると同時に子分2人も騒ぎ立てる。特に暗次は顔中に笑みを浮かべ、俺も、俺もとはしゃぐ。

刃がこの場にいれば「お前そんなキャラだっけ」と初期の暗次と比べるだろう。

 

「お前達……少しは静かにしたらどうだ?相手方に迷惑だろう」

 

「いや、まぁ……憧れてくれるのは悪い気はしないので……」

 

そんな彼等に権現坂が口をヘの字にして注意をするのは当然と言えよう。忍者兄弟は照れて苦笑しているが。

 

「まぁ、デュエルを始めようか。ルールは2対2のアクションタッグデュエルでよろしいか?」

 

「俺は構わん」

 

「オレも構わない。早く始めよう」

 

デュエルと言う単語を聞いた途端、左腕のデュエルディスクを構えるコナミ。日影達も対面に位置し、ザッ、と土を鳴らす。どうやら向こうも準備は整っているようだ。

 

「では、アクションフィールド発動!」

 

日影が手を振り上げると同時に周囲が光の粒子に包まれ、歯車が回る音が響き渡る。

一体何事だ――?思考する前に、権現坂とコナミが突如現れた壁で分断される。変化はそれだけには留まらない。コナミの下の床が抜け、落ちる。

 

「何やて」

 

何故か関西弁で驚愕するのも束の間、曲がりくねった細い道を滑り、訳も分からずにポイッ、と別の部屋に放り出される。どうやら畳部屋のようだが……理解が追いつかない。

 

「アクションフィールド、『風雲カラクリ城』。このフィールドでは4人のデュエリストが分断され、目で会話する事も許されない。さて、語ろうには共有するフィールドのみ、どこに仕掛けがあるかも分からない。そんな状況で貴殿等はどうする?」

 

コナミの前にモニターが現れ、日影が説明する。どうやらこの塾自体がアクションフィールドの影響を受けているらしい。

先にパートナーを探せば優位に立てると言う事か、面白い。コナミは口元に弧を描き、デュエルに臨む。

 

「さぁ、参ろうか!戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

モニター越しに日影がポーズを取り、口上を述べる。

 

「モンスターと地を蹴り、宙を舞い!」

 

続いてモニターが半分となり、権現坂が姿を見せる。彼も覚悟を決めたようだ。何時も通りの頼れる表情で日影の口上を紡ぐ。

 

「フィールド内を駆け巡る!」

 

モニターが3つに割れ、月影が現れる。こうして見ると本当に日影とそっくりだ。

 

「見よ、これぞデュエルの最強進化形!」

 

最後はコナミだ。モニターが4つに割れ、自分の姿が写る事に「おおっ」と謎の感心を覚える。

 

「「「「アクショーン!!」」」」

 

チャンピオンシップ出場の資格を賭け、今、コナミの6連戦、最後のデュエルが始まる。

 

「「「「デュエル!!」」」」

 

勝利を手繰り寄せる鍵、絆を巡り、コナミはカラクリの城を手探りに駆け抜ける。

 

「拙者のターン、拙者は『強欲で貪欲な壺』を発動。デッキトップから10枚のカードを除外、2枚ドロー!」

 

風魔 日影 手札4→6

 

「『忍者マスターHANZO』を召喚」

 

忍者マスターHANZO 攻撃力1800

 

先攻は日影。彼は手札より黒い衣を纏った『忍者』モンスターを召喚する。『忍者』デッキにおいて優秀なモンスターだ。

 

「『忍者マスターHANZO』の効果発動。このカードが召喚に成功した時、デッキより『忍法』カードを手札に加える!拙者が手札に加えるのは『忍法 超変化の術』。拙者はカードを4枚伏せ、ターンエンド」

 

風魔 日影&風魔 月影 LP4000

フィールド 『忍者マスターHANZO』(攻撃表示)

セット4

手札2(日影) 手札5(月影)

 

「オレのターン、ドロー!オレは魔法カード、『ギャラクシー・サイクロン』を発動。左のセットカードを破壊する」

 

コナミの手より星を散りばめた竜巻が起こる。選択としては間違ってないが……そのカードに権現坂が苦い顔をする。だが、モニター越しでは余り効果が無く、コナミも見逃してしまう。

 

「破壊されたのは『リ・バウンド』!効果で1枚ドロー!」

 

風魔 日影 手札2→3

 

「魔法カード、『マジカル・ペンデュラム・ボックス』!カードを2枚ドロー!」

 

コナミ 手札4→6

 

「その後、ドローカードからペンデュラムモンスター以外のカードを墓地へ。1枚捨て、オレは『慧眼の魔術師』と『賎竜の魔術師』でペンデュラムスケールをセッティング!更に『慧眼の魔術師』の効果発動!このカードを破壊し、デッキから『竜穴の魔術師』をペンデュラムゾーンへ置く!これでレベル3から7のモンスターが同時に召喚可能!揺れろ、光のペンデュラム!虚空に描け魂のアーク!ペンデュラム召喚!」

 

コナミの前方に何時もより小さな魔方陣が出現し、2つの光が障子を突き破り、外の庭園へと飛び出す。内心「これ弁償になんのかな」と少し心配しながらコナミも身を乗り出し、自らのモンスターの名を呼ぶ。

 

「『慧眼の魔術師』!『聖鳥クレイン』!」

 

慧眼の魔術師 守備力1500

 

聖鳥クレイン 攻撃力1600

 

日本庭園に膝をつき、姿を見せたのは随所に瑠璃の珠を嵌め込んだ衣装をし、手に秤を持った銀髪の『魔術師』と白き翼の鳥。

 

「クレインの効果で1枚ドロー」

 

「HANZOと『聖鳥クレイン』を選択し、永続罠、『忍法 超変化の術』を発動!チェーンして罠発動、『重力解除』!更にチェーン!罠発動、『積み上げる幸福』!まず2枚ドロー!」

 

風魔 日影 手札3→5

 

「そしてフィールドのモンスターの表示形式を変更!最後に選択したモンスターを墓地へ送り、デッキより『白竜の忍者』を特殊召喚!」

 

白竜の忍者 攻撃力2700

 

コナミ 手札2→3

 

しかし、コナミがペンデュラム召喚を行った瞬間、『聖鳥クレイン』が庭園に設置された池へと吸い込まれ、水が逆巻いて中より日影と白い竜を連れた『忍者』モンスターが飛び出す。

こんなに近くにいるとは。仲間と合流する前にお互い敵に遭遇してしまった。

 

「『刻剣の魔術師』を召喚!」

 

刻剣の魔術師 攻撃力1400

 

コナミが呼び出された『白竜の忍者』を見て、手札より黒衣を纏った少年剣士を呼び出す。剣を握ってはいるものの、このカードも『魔術師』の仲間だ。

 

「残念だったな。『白竜の忍者』を対象として『刻剣の魔術師』の効果発動!『白竜の忍者』と『刻剣の魔術師』を除外する!」

 

お互いのモンスターが異次元の彼方へと消え、フィールドががら空きとなる。

 

「さぁ、バトルだ!『慧眼の魔術師』でダイレクトアタック!」

 

『慧眼の魔術師』が手に持った秤をくるりと回し、小さな魔方陣を描く。その中より押し出すように光の球が放たれ、日影へと向かう。

だが日影もその身体能力を活かし、バック転を繰り返し、宙に浮いたカードを拾い上げ、膝をついてデュエルディスクに差し込む。

 

「アクションマジック!『回避』!」

 

光の弾丸が日影の発動したカードによって発生した障壁に弾かれる。そう簡単にはいかせてくれないらしい。恐らくこのアクションフィールドは彼等にとって慣れたものなのだろう。

 

「オレはカードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

コナミ&権現坂 昇 LP4000

フィールド『慧眼の魔術師』(攻撃表示)

セット1

Pゾーン『賎竜の魔術師』 『竜穴の魔術師』

手札1(コナミ) 手札5(権現坂)

 

「むっ?うぉ!?」

 

コナミのターンが終了すると同時にまたもや歯車がガコンと動く音が響き、フィールドが変形していく。コナミは天井へと落ち、視界がぐるりと回転し、新たな部屋に放り出される。

忙しないフィールドだ。文句の1つも言いたくなってくる。

 

「拙者のターン、ドロー」

 

そんなコナミの前に現れたるは月影。何故か逆さに立っているが、違った。逆はコナミだった。それに気づいたコナミは立ち上がり、月影を見据える。ギシリ、下手に動けば床が抜けてしまいそうな狭い廊下だ。月影は良く音も立てずに歩めるものだと感心する。

 

「魔法カード、『マジック・プランター』!『忍法 超変化の術』をコストに2枚ドロー!」

 

風魔 月影 手札5→7

 

「手札の『サンダー・ドラゴン』の効果発動!このカードを捨て、2枚に分身!魔法カード、『手札抹殺』!手札から墓地へ送られた『深淵の暗殺者』の効果により、リバースモンスター、『赤い忍者』を墓地から回収!魔法カード、『暗黒界の取引』。手札を交換、拙者は『黄昏の忍者―シンゲツ』を召喚!」

 

黄昏の忍者―シンゲツ 攻撃力1500

 

「シンゲツ……!?生きていたのか……!」

 

天井に貼りついて参上したのは青いマントを羽織った4本腕の『忍者』。その名に思わずコナミは「良かれと思って!」と敬礼する少年の顔を思い浮かべるが関係ない。

 

「更に装備魔法『メタルシルバー・アーマー』と『風魔手裏剣』をシンゲツに装備!このカードを装備したモンスターは攻撃力が700ポイントアップする!」

 

黄昏の忍者―シンゲツ 攻撃力1500→2200

 

月影の手札より白銀の鎧と2つ手裏剣が飛び、シンゲツが装着、更に刀が剣へと変化し、空いた手で手裏剣を受け取る。これで剣が2本、手裏剣が2本、4刀流となった。

まるでその姿は阿修羅。紅い左目を輝かせ、『慧眼の魔術師』を睨む。

 

「バトル!『黄昏の忍者―シンゲツ』で『慧眼の魔術師』を攻撃!」

 

シンゲツが手に持った手裏剣を投擲し、『慧眼の魔術師』に牽制をかける。『慧眼の魔術師』も秤を使い、魔方陣を描き、幾つもの光球を発射して応戦する。

しかしシンゲツは3体に分身する事で手数を増やし、追撃をかける。12本の、剣と手裏剣による剣舞によって『慧眼の魔術師』の防壁も崩れ去る。

 

コナミ&権現坂 昇 LP4000→3300

 

「カードを3枚伏せ、ターンエンド」

 

風魔 日影&風魔 月影 LP4000

フィールド『黄昏の忍者―シンゲツ』(攻撃表示)

『風魔手裏剣』『メタルシルバー・アーマー』セット3

手札5(日影) 手札1(月影)

 

ガコン、またもや歯車の回る音と共にコナミと月影が分断され、フィールドが回転する。流石に今度ばかりは警戒もしていた為、転ぶ事は無い。しかし何とも迷惑なフィールドだ。どうやって権現坂と合流しようかと考えながら、コナミはフィールドの探索を開始する。

恐らくは――権現坂は、月影と対面している筈だ。

 

――――――

 

「俺のターン、ドロー!」

 

そして一方の権現坂は、コナミの読み通り、狭い廊下で月影と対峙していた。相手のフィールドには攻撃力2200となったシンゲツとたった今フィールドに帰還した『白竜の忍者』。

そして権現坂の墓地には魔法カードが存在している。権現坂のデッキはフルモン構築を前提としている為、墓地にモンスター以外のカードが存在すると真価が発揮できないのだ。

 

コナミはその事を知らない為、何時も通り魔法カードを使ってしまったのだろう。別段コナミを責めている訳でも遠慮して欲しい訳でもないが、遊矢の様に上手くいかないものだ。

 

「スタンバイフェイズ、『刻剣の魔術師』が帰還し、このカードとシンゲツを除外!」

 

「墓地の『スキル・プリズナー』を除外、シンゲツを対象とするモンスター効果を無効に!チェーンして永続罠、『安全地帯』と罠カード、『積み上げる幸福』を発動!白竜を守り、カードを2枚ドロー!」

 

風魔 月影 手札1→3

 

「俺は既に設置したペンデュラムスケールでペンデュラム召喚!『超重武者ビッグワラ―G』!『超重武者ココロガマ―A』!」

 

超重武者ビッグワラ―G 守備力1800

 

超重武者ココロガマ―A 守備力2100

 

権現坂の場に2体の『超重武者』が見参する。2足の草鞋が合わさり、頭部が生えたようなモンスターと緑の体躯のモンスターだ。どちらも重量級のモンスターの為か、床が抜けてしまいそうになる。

 

「ビッグワラ―Gは機械族モンスターをアドバンス召喚する場合、2体分のリリース要因となる!ビッグワラ―Gをリリースし、『超重武者ビッグベン―K』を召喚!」

 

超重武者ビッグベン―K 攻撃力1000

 

ビッグワラ―Gが分裂し、権現坂のエースカードであるビッグベン―Kがその上に降り立つ。しかし流石に重量オーバーか、床が軋み、バキィッ、と派手な音を立てて崩れる。

 

「ぬぅっ!?ビッグベン―Kの効果発動!召喚に成功した時、表示形式を変更する!」

 

しかしビッグベン―Kはその腕で権現坂を抱え込み、衝撃から守る。どうやら下は道場のような作りとなっているようだ。畳が敷かれた奥には立派な甲冑と刀が飾られている。

権現坂が辺りを観察する間にも月影が音もなく降り立ち、交戦の意思をデュエルディスクを構えて示す。

 

「『刻剣の魔術師』を守備表示に変更、バトル!ビッグベン―Kでシンゲツに攻撃!」

 

「シンゲツをリリースし、永続罠、『忍法 影縫いの術』を発動!『超重武者ビッグベン―K』を除外し、『風魔手裏剣』の効果で相手に700ポイントのダメージを与える!」

 

コナミ&権現坂 昇 LP3300→2600

 

シンゲツが権現坂に向かい手裏剣を投げた後、影に潜り込み、ビッグベン―Kを後ろから羽交い締めにする。ずるりと影の中へと引き込まれるビッグベン―K。エースカードが封じられ、権現坂が苦い顔を浮かべる。

 

「ターンエンドだ」

 

コナミ&権現坂 昇 LP2600

フィールド『刻剣の魔術師』(守備表示)『超重武者ココロガマ―A』(守備表示)

セット1

Pゾーン 『賎竜の魔術師』 『竜穴の魔術師』

手札1(コナミ) 手札3(権現坂)

 

権現坂がターンの終了を宣言した瞬間、フィールドがまたもや変形する。膝をつき、床に貼りつく事で転ばずには済んだが――。と、ここでキョロキョロと辺りを見渡す。

畳が敷かれているのは変わらないが、どうやら今度は道場ではなく客間らしい。

 

「拙者のターン、ドロー。魔法カード、『月の書』、白竜をセットし、魔法カード、『マジック・プランター』!『安全地帯』をコストにドロー!」

 

風魔 日影 手札4→6

 

「手札の『サンダー・ドラゴン』を分身させ、魔法カード、『手札抹殺』!手札を交換、魔法カード、『貪欲な壺』!墓地のモンスターを5体デッキに戻し、2枚ドロー!」

 

風魔 日影 手札5→7

 

「フィールド魔法、『破邪の魔法壁』を発動!自分モンスターの攻撃力を自分ターンの間300アップし、相手ターンの間、守備力を300アップする!拙者は『忍者マスターSASUKE』を召喚」

 

忍者マスターSASUKE 攻撃力1800→2100

 

権現坂の背後より日影とそのモンスターである銀色に輝く『忍者』が現れる。その派手な装束は忍ぶ気など更々ないのかと疑いたくなる。

 

「白竜を反転召喚し、『忍者マスターSASUKE』で刻剣を攻撃!」

 

「墓地の『仁王立ち』を除外、攻撃をココロガマ―Aに絞る!」

 

「ココロガマ―Aを攻撃!そして、SASUKEが表側守備表示のモンスターに攻撃する場合、ダメージ計算前に破壊する!」

 

「ぬうっ!?」

「拙者はカードを2枚伏せてターンエンド」

 

風魔 日影&風魔 月影 LP4000

フィールド『白竜の忍者』(攻撃表示)『忍者マスターSASUKE』(攻撃表示)

『忍法 影縫いの術』セット2

『破邪の魔法壁』

手札3(日影) 手札3(月影)

 

ガコン。最早恒例となった部屋の大回転が行われる。日影は忙しなく移動する事で対戦相手を見つけようとするが……いない。キョロキョロと辺りを見渡しても、いない。

一体どう言う事だ――。と、その瞬間。

 

「成程、常に天井に貼りつく事で上から見渡している訳か」

 

「ッ!?」

 

背後より透明感のある声が届く。反射的に距離を取りながら振り返る日影。予想通りそこには自分と同じく天井に足を吸い付かせたコナミの姿。――馬鹿な――一体どうやって、自分に気配を悟られる事なく近づいたと言うのだ。

自身の顔が強張る事を自覚しながら奇怪なものを見るかの如くコナミを睨む。なんて醜態、忍者が隙をつかれるとはあってはならないと言うのに、この男は容易く気配を遮断してやってのけた。

 

「――さて、ここから先、お前達の思い通りに進むと思うなよ?」

 

見事に平衡感覚を保ちながらコナミは帽子の奥に潜む双眸を爛々と輝かせる。勝利の女神が微笑むのは――どちらか。




デニスと組ませようと思ったけどメインパーツが禁止カードで断念。そういや権ちゃんとはあんまり絡まなかったのでここで組ませました。
実は柚子がコナミを遊勝塾に誘わなかったら一番入塾の可能性が高いのは忍者だったり、波影として活躍してたかもしれない。

夏に出ると言う3DSのゲーム……どうして配信なんだ……パッケージ組の自分としては絶望が……コナミ君もいないって事はデュエルカーニバルでは無理矢理入り込んだんだなぁって思う。

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