遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

25 / 202
遅くなりましたが明けましておめでとうございます。
一週間遅れて申し訳ないです。今年もこの作品をよろしくお願いいたします。
さて、今回はあのキャラが出てきます。どう変化させようかと思ったんですがいっその事突っ切ってしまった方がいいんじゃね?と思いました。



第22話 悔しいでしょうねぇ

「フッハハハハハァ……悔しいでしょうねぇ」

 

「ぐっ……!」

 

舞網市の中でも有名な進学塾、名を明晰塾。榊 遊矢はその敵地で1人のデュエリストと対決していた。

相手はキング・オブ・クイズと呼ばれる強敵、その至高の頭脳を持つ頭にはまるでQの字を象ったメッシュが冠のように輝いており、小柄ながらもその身体からは賢者を思わせるような知性が迸っている。

九庵堂 栄太。それが此方を嘲笑う彼の名だ。

 

「何をしている遊矢ッ!!今のはどう考えても3番だろう!テレフォンを使えテレフォンを!」

 

観客席で子供達と共にポテチをバリバリと食べながらセレナが檄を飛ばす。20分程前から此方に着き、明晰塾の皆さんの紳士的な対応により最前席に座り、ポテチまでご馳走になっているのだ。

遊矢がクイズに答え、不正解を放つ度にこの調子である。流石にテレフォンを使っていないので答えを言うまでは黙っているが。因みにセレナ、全問正解だったりする。

 

「さぁ皆さんもご一緒に!悔しいでしょうねぇ」

 

『悔しいでしょうねぇ』

 

「ぐぬぬぬぬ……!」

 

アクションフィールド、クイズ・フロンティアに明晰塾の塾生達の声が響き渡る。その圧倒的な一致団結に歯を食い縛り、悔しがる遊矢。

何なのだこれは、何故こうまでボロ雑巾のようになってまで笑われなければいけないのだ。確かに彼の『クイズーモンキー』と『スフィンクイズー』によるコンボは恐ろしい。アクションマジックが味方をしてくれない事も大きいだろう、勉強不足も否めない。だからと言ってどうして晒し者にならなくてはならないのだ。滑稽にも程がある。

 

「見ててくれているかい?コナミ君。君に教えて貰った心理フェイズとやらが役に立っているよ……」

 

ふと、天を仰ぎ、爽やかな笑顔で呟く九庵堂。その口より知った友の名が聞こえ、目を丸くし、あんぐりと口を開く。瞬間、全てを察した遊矢の身体が震え出す。

無論、怒りで。

 

「コぉぉぉぉぉナぁぁぁぁぁミぃぃぃぃぃ!!!」

 

遊矢の遠吠えは天高く舞った。それこそ、闇堕ちしそうな位に。

 

------

 

「僕のターンだね」

 

マルコが爽やかな笑みを浮かべ、デッキより5枚のカードを引き抜く。大袈裟で何ともリアクションに困る動作、自らの口でキラリ☆と言う辺り遊び感覚なのか、師の言動に調子を狂わされる真澄。

 

「おっと良い手札だ。僕は『フュージョン・ゲート』の効果により、手札の『ダーク・ヒーローゾンバイア』と『魔力吸収球体』で融合!融合召喚!『異星の最終戦士』!」

 

異星の最終戦士 攻撃力2350

 

マルコの手札より2体のモンスターが『フュージョン・ゲート』の渦に飛び込む。次の瞬間、天より光の柱が伸び、フィールドを震撼させる。流星の如く大地に降り立つは狂気を孕んだ眼を輝かせた黄金の肉体を持つ戦士。

 

筋肉はまるで風船のように膨らんでおり、肩部分の装甲が今にも破壊されようとしている。何より目を引くのは異常に発達したその右腕。背より伸びた青いチューブが絡みつき、その形状を異形のものへと変えている。

ドクドクと不気味な程に脈打つ強靭な筋肉、ギラギラと黒光りする攻撃的な爪。その姿は見る者に恐怖を植えつける程である。

 

「さぁ、みんな大好き『異星の最終戦士』の効果説明だ!このカードが特殊召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールド上のモンスター全てを破壊する――は、他のモンスターがいないから不発だねっ!テヘペロぉ!」

 

「……絶妙にウザいな……」

 

コナミの小声で発せられた台詞に隣にいた真澄がカアッと顔を赤くし、小刻みに震える。恐らく師の行動が台詞通りで弟子である自分も恥ずかしいのだろう。

尤も、その通りすぎて言い返せもしないが。しかしここまで奇行を晒しているのにマルコからは爽やかさが全く消える気配が無いのは何故であろう。

 

「まぁ、これはオマケみたいな効果だね。このカードの真の恐るべき所はこのカードがフィールド上で表側表示で存在する限り、お互いのモンスターの召喚、反転召喚、特殊召喚を封じる事かな?僕はこれでターンエンドだ」

 

マルコ&沢渡 シンゴ LP4000

フィールド『異星の最終戦士』(攻撃表示)

手札3(マルコ) 手札5(沢渡)

 

「私のターン!ドロー!」

 

マルコのターン終了と同時に真澄のデュエルディスクにランプが灯る。師とは違い、無駄が無く、少ない動作でデッキよりカードをドローする。こうして見るだけでも両極端な2人である。にも拘わらず、どうして師弟を組んでいるのだろうか?2人を見る限り、とても相性の良い性格をしているとは思えないが。

 

「私は速攻魔法、『禁じられた聖杯』を発動、『異星の最終戦士』の効果を無効化し、攻撃力を400ポイント上げる!」

 

異星の最終戦士 攻撃力2350→2750

 

「ありゃ、そう来たか。だけどこの攻撃力、君のカードで突破出来るかな?」

 

「充分です。私は手札より『ジェムナイト・フュージョン』を発動します!手札の『ジェムナイト・ラズリー』と『ジェムナイト・ガネット』を融合!碧き秘石よ、紅の真実よ、光渦巻きて、新たな輝きと共に一つとならん!融合召喚!現れよ!幻惑の輝き『ジェムナイト・ジルコニア』!!」

 

ジェムナイト・ジルコニア 攻撃力2900

 

大地を揺るがし、剛腕を振るい、現れたるは偽物の光を放つ宝石の騎士。例えその光が幻だとしても紫のマントをたなびかせ、堂々と立つ姿は正に誇り高き騎士その者。

自らの身体よりも巨大な両腕、銀色の輝きを放つ鎧、威厳を感じさせるマント。

その姿にデュエルを観戦する山部達が息を飲む。

 

「いきなり攻撃力を超えて来たぞ……!?」

 

取り巻き達のざわつく声に真澄がふん、と得意気な顔で鼻を鳴らし、右腕をマルコ達へと向け、指示を飛ばす。

 

「『ジェムナイト・ラズリー』の効果で墓地の『ジェムナイト・ガネット』を手札に加えるわ。さぁ、バトルよ!『ジェムナイト・ジルコニア』で『異星の最終戦士』へ攻撃!」

 

『フュージョン・ゲート』がジルコニアが駆けた事により大きく波打つ。ジルコニアの剛腕が白銀の輝きを放ち、『異星の最終戦士』へと迫る。それに対抗してか、『異星の最終戦士』も自らの膨れ上がった右腕を振るう。

しかし理性無き一撃はジルコニアの右腕が凌ぎ、フリーになった左腕が戦士の身体を貫く。

 

マルコ&沢渡 シンゴ LP4000→3850

 

微々たる衝撃がマルコの頬を撫でる。ダメージは少ない、だが、これで制限は解かれた。

 

「私は墓地の『ジェムナイト・ラズリー』を除外して墓地の『ジェムナイト・フュージョン』を手札に加えるわ。カードを2枚伏せてターンエンド」

 

コナミ&光津 真澄 LP4000

フィールド『ジェムナイト・ジルコニア』(攻撃表示)

セット2

手札5(コナミ) 手札3(真澄)

 

「俺様のターンだ!ドロー!」

 

デュエルディスクのランプが真澄から沢渡へと移り、同時に沢渡がデッキより1枚のカードを引き抜く。横目で確認したそのカードは良いカードだったのか、彼は得意気な笑みを作り、わざとらしく頭を抑えて声高々に叫ぶ。

 

「やっぱ俺、カードに選ばれすぎィ!『天帝従騎イデア』を召喚!」

 

天帝従騎イデア 攻撃力800

 

天より降り立つは金の装飾を散りばめた白銀の鎧の騎士。羽衣を風に靡かせ、一礼した後、イデアはその場に膝をつく。その姿はまるで主人の帰りを待つ従者のようである。

 

「さ、ら、に!イデアが召喚に成功した場合、デッキよりイデア以外の攻撃力が800で守備力が1000のモンスター1体を特殊召喚する!現れろ!『冥帝従騎エイドス』!こいつが特殊召喚に成功した場合、俺はもう1度だけアドバンス召喚が出来る!」

 

冥帝従騎エイドス 守備力1000

 

イデアの影が伸び、並び立つように1人の騎士甲冑を纏った男が姿を現す。赤き眼を光らせ、刺々しい黒の鎧から闇で作られた外套を羽織った漆黒の従騎。

イデアとは対照的でありながら2体で1つのオセロの石のような表裏一体の2体。まるで彼等が膝をつき、並ぶ姿は何か強大なる存在に頭を垂れているようで――。

 

「まだまだぁ!俺様の新たな切り札を見せてやる!イデアとエイドスをリリースし、アドバンス召喚!『冥帝エレボス』!!」

 

冥帝エレボス 攻撃力2800

 

従騎2体がその身を生け贄に捧げ、その場に巨大な闇の柱が立つ。黒き闇を弾けさせ、現れたるは『帝王』。

 

山羊のようにねじ曲がった角、深紅に光る、此方を虫けらを見るように蔑む眼、肩に生えた3本の紫の角、エイドスと同種の、しかし、比べ物にならない程の強固な鎧、背で鈍く輝く日輪のような装飾。

全てを見下す最上の『帝王』が玉座に腰掛けてフィールドに顕現した。

 

「エレボスの効果ぁ!このカードがアドバンス召喚に成功した場合、デッキより2種類の『帝王』魔法、罠カードを墓地へ送り、お前の手札、フィールド、墓地からカードを1枚選びデッキへ戻す!俺はデッキより『帝王の凍気』と『帝王の溶撃』を墓地へ送り、右のセットカードをデッキへ戻す!」

 

エレボスがその紅き眼光を鋭くし、ジルコニアを睨みつける。たったそれだけの事でジルコニアの周りの重力が激しく彼を責めたて、彼の膝をつかせる。何人足りとも『帝王』には逆らえず、従わざるを得ない圧迫感、それを感じているのはジルコニアだけではない。

睨まれていないコナミや真澄でさえ、気を抜くと倒れてしまいそうになる。

 

「ぐぅっ……!」

 

『帝王』の力を前に得意気な笑みを作り、沢渡が次の布石を打つ。

 

「墓地の『帝王の凍気』と『帝王の溶撃』を除外し、お前の場のセットカードを対象にし、発動!そのカードを破壊する!」

 

先程のエレボスの効果により既に送られていたのだろう、コストとして使ったカードを見事、利用し真澄のセットカードを破壊する沢渡。伊達にLDSのエリートを名乗るだけにそのプレイングには無駄が無く、洗練されている。その事に真澄は不快そうに眉を寄せ、ムッと頬を膨らませるが、気にした素振りを見せずに「バトルだ!」と声を張り上げる。

 

「『冥帝エレボス』でジルコニアを攻撃!余り使いたくは無かったが……アクションマジック!『フレイム・チェーン』!!ジルコニアの攻撃力を400下げる!効果で除去出来無いなら、バトルで破壊してやるよ!」

 

ジェムナイト・ジルコニア 攻撃力2900→2500

 

炎の鎖がジルコニアを縛りつけ、その輝きが失われる。降り下ろされるは巨大な足による踏みつけ、『帝王』をその玉座から立ち上がる事無く、手で顎を支えながら最小限の動きのみでジルコニアがひび割れ、破壊される。しかし衝撃はそれだけに収まらず、真澄達へと降りかかる。

 

コナミ&光津 真澄 LP4000→3700

 

「~~~っ!沢渡のくせに……!」

 

「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

マルコ&沢渡 シンゴ LP3850

フィールド『冥帝エレボス』(攻撃表示)

セット1

手札3(マルコ) 手札3(沢渡)

 

「……漸く、オレのターンか、待ちわびたぞ、ドロー」

 

やれやれと頭を振り、デッキよりカードを引き抜くコナミ。彼は手札を全て確認した後、ふむ、と頷き、2枚のカードをマルコ達へと見せつけるように突き出す。

 

「オレは魔法カード、『マジカル・ペンデュラム・ボックス』を発動。カードを2枚ドローし、ペンデュラムモンスターを手札に。2枚ともペンデュラムモンスターだ」

 

コナミ 手札4→6

 

「えっ」

 

「手札の『竜穴の魔術師』と『慧眼の魔術師』でペンデュラムスケールをセッティング」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?ペッ、ペンデュラムゥ!?何でテメェがそのカードを!?」

 

コナミがデュエルディスクの両端にセットしたカードを見て、悲鳴にも似た声を上げる沢渡。

ペンデュラムカード、それは沢渡にとって喉から手が出る程欲している特別なカード、それを目の前の少年が使用したのだ、大声で叫んでも無理は無いだろう。

 

「ああ、そう言えばお前と前回デュエルした時にはどう使えば良いか分からなかったから使えなかったな」

 

沢渡の顔を見てポン、と手を合わせるコナミ。何気無いようにうんうんと頷くが彼はペンデュラムカードの貴重さを分かっているのだろうか?恐らくは分かっておらず、普通のカードとして扱っているのだろうが。

 

「このままペンデュラム召喚、といきたいがその前に『慧眼の魔術師』のペンデュラム効果、発動。もう片方のペンデュラムゾーンに『魔術師』カードが存在する場合、このカードを破壊し、デッキから『慧眼の魔術師』以外の『魔術師』ペンデュラムモンスター1体を選び、自分のペンデュラムゾーンに置く。オレが選ぶのは『法眼の魔術師』」

 

天空へ伸びた光の柱、その柱の中で立つ『慧眼の魔術師』が屈強な肉体を持つ『魔術師』へと姿を変える。その衣や銀に輝く髪は『慧眼の魔術師』に通ずるものがあるが先の『魔術師』が知ならば此方は力、溢れ出る黄金の光を背にしながら杖を構える『竜穴の魔術師』に並び立つ。

 

「これで、レベル3から7のモンスターが同時に召喚可能、揺れろ光のペンデュラム、虚空に描け魂のアーク!」

 

天空に巨大な魔方陣が描かれ、光で作られた振り子が左右に揺れる。幻想的な光景に真澄と沢渡が感嘆の声を漏らし、マルコが笑みを浮かべる。振り子の軌跡が止まると同時に、コナミは右腕を魔方陣の中心へと掲げる。

 

「ペンデュラム召喚!!」

 

彼の雄叫びに応えるように、魔方陣の中心が開き、3本の光がコナミの傍へと降り立つ。光の粉を散らし、『フュージョン・ゲート』を震わせ、中よりコナミのモンスター達がその姿を見せる。

 

「エクストラデッキより『慧眼の魔術師』!手札より『E・HEROオーシャン』!そして世にも珍しい二色の目を持つ龍!『オッドアイズ・ドラゴン』!」

 

オッドアイズ・ドラゴン 攻撃力2500

 

慧眼の魔術師 守備力1500

 

E・HEROオーシャン 守備力1200

 

コナミの右隣に先程、姿を見せた銀髪の『魔術師』が片目を伏せ、秤を持ち膝をつく。額に輝く金の飾り、両肩、手の甲と節々に瑠璃の珠を纏い、目の前で座す『帝王』を見据える。

左隣に降り立つは青き肉体を誇る半魚人。頭部には鮫やイルカを思わせるヒレがついており、その手には赤と緑の宝石が嵌め込まれた杖を持っている。

 

そしてコナミの背で唸り声を上げるのは真紅の竜。赤と緑と両の色の違う、所謂オッドアイを光らせ、巨大な『帝王』へ向かい、力強い雄叫びを上げる。空気を震わせる、『帝王』の放つプレッシャーを壊すかのような凛々しい音、それに鼓舞されたのかコナミが嬉々とした表情で更なる手を打つ。

 

「『フュージョン・ゲート』の効果を利用し、場のオーシャンと『慧眼の魔術師』を除外し、融合!融合召喚!『E・HERO Theシャイニング』!!」

 

E・HERO Theシャイニング 攻撃力2600→2900

 

その慧眼を見開き、『魔術師』が突如発生した渦へ飛び込み、負けじとオーシャンもその渦へと身を投げ出す。渦が輝き、黄金の光と共に腕を組んで現れたのは太陽を思わせるオブジェクトを背にした白のスーツの英雄。

その姿には溢れ出る威厳を感じさせ、流石のマルコも唾を飲む。沢渡にとってもこのモンスターは自らに止めを刺した憎き相手だ、顔を歪め、舌打ちを鳴らす。

 

「『E・HERO Theシャイニング』の攻撃力は除外されている『E・HERO』モンスター1体につき300ポイントアップする!バトルだ!Theシャイニングでエレボスを攻撃!オプティカル・ストーム!」

 

Theシャイニングが宙を飛行し、光の嵐をエレボスへとたたきつける。流石のエレボスもこれには堪えられなかったのか、呻き声を上げ、玉座ごとその姿を消す。

 

マルコ&沢渡 シンゴ LP3850→3750

 

「『オッドアイズ・ドラゴン』で攻撃!スパイラルフレイム!」

 

真紅の竜がドタドタとフィールドを駆け、沢渡へと向かい、渦巻く炎を放つ。螺旋状の軌跡を描きながら、炎は沢渡へと襲いかかる。

 

マルコ&沢渡 シンゴ LP3750→1250

 

「チィッ……!うざってぇ……!」

 

「オレはカードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

コナミ&光津 真澄 LP3700

フィールド『オッドアイズ・ドラゴン』(攻撃表示) 『E・HERO Theシャイニング』(攻撃表示)

セット2

Pゾーン『竜穴の魔術師』 『法眼の魔術師』

手札1(コナミ) 手札3(真澄)

 

各自のターンが終了する。それぞれのデュエルを見終えたマルコはその美貌に妖しい笑みを貼りつけて一堂を見渡す。最後に真澄をジッと見つめ。

 

「うん、やっぱりユーは弱くなっているね、真澄ん」

 

「っ!?」

 

その台詞に真澄が息を飲む。何故、何故師は自らを弱いと評すのか、真澄には何一つ理解が出来ず、反論も返せない。

 

「僕のターン、ドロー。……見せて上げるよ真澄ん、ユーのそのくすんだ眼に何故君が弱くなっているのか――尤も、今のユーじゃ分からないかな?」

 

目を細め、先程の笑みをスッ、と奥に潜め、真澄をただ見つめるマルコ。

 

「僕は手札より、永続魔法『魂吸収』を発動。これにより僕はカードが除外される度に1枚につき500ポイント回復する。更に、永続魔法『ブリリアント・フュージョン』を発動するよ。デッキより『ジェムナイト・ラズリー』と『ジェムナイト・アイオーラ』そして『ジェムナイト・クリスタ』を墓地に送り、融合召喚を行う!光渦巻きて新たな輝きと共に一つとならん!融合召喚!輝きの淑女!『ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ』!!」

 

ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ 攻撃力3400→0

 

菫青石の騎士が、瑠璃の少女が、水晶の騎士が1つとなりて新たな光となる。そして次の瞬間、巨大なダイヤモンドが出現し、縦、横、両斜めと4本の線が走り、砕け散るダイヤより見参する美しきダイヤモンドの女騎士。

随所に輝くダイヤは最上の輝きを放ち、その冴え渡る剣技に真澄はほう、と息をつく。

 

「『ブリリアント・フュージョン』によって融合召喚されたモンスターは攻守が0になる。そして『ジェムナイト・ラズリー』は効果により墓地に送られた場合、墓地の通常モンスターを手札に加える。僕は『ジェムナイト・アイオーラ』を手札に加えるよ。このカードはデュアルモンスターだから墓地に存在する時は通常モンスターとして扱うんだ。更に『ゴブリンドバーグ』を召喚」

 

ゴブリンドバーグ 攻撃力1400

 

「そして『ゴブリンドバーグ』の効果により『ジェムナイト・アイオーラ』を特殊召喚」

 

ジェムナイト・アイオーラ 攻撃力1300

 

マルコの手によりコナミも使用する『ゴブリンドバーグ』が飛び出し、吊るされたコンテナより菫青石の騎士が現れる。

 

「更に、『ゴブリンドバーグ』と『ジェムナイト・アイオーラ』でオーバーレイ!」

 

「なっ!?」

 

マルコの背後より黒き渦が現れ、『ゴブリンドバーグ』と『ジェムナイト・アイオーラ』が吸い込まれていく。その光景は融合召喚の際の光景と似通うものがあるが、違う。

これより現れたるは黒いフレームに縁取られた『融合』とは異なるランクの戦士。

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!」

 

風が吹き荒れる。渦より手を伸ばし、翠玉の騎士がその雄々しき姿を見せる。

 

「『ダイガスタ・エメラル』!!」

 

ダイガスタ・エメラル 攻撃力1800

 

美しく輝く翼を広げ、両手に盾を装着したエメラルドの騎士が静かに舞い降りる。そのモンスターを眼に入れた真澄が大きく驚愕する。瞳は揺れ、頭の中が真っ白となる。『ダイガスタ・エメラル』。ランクは4、紛うことなく、そのモンスターは――エクシーズモンスターであった。




Q庵堂君は結構好きなキャラだったりします。なのでコナミ君に心理フェイズを鍛えられ、魔改造。ベクター並みにごりごりと精神を削ってきます。ですが明晰塾の塾生含め、デュエルが終わればかなり紳士的、なんだ!Q庵堂って良い奴じゃん!
どこで出会ったの?と言うのは実は15話の14連勝でちゃっかりデュエルしてたりします。

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