遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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ちょっと文章が長くなったので前後に分けます。
サブタイはネタにしようか迷ったけど、せっかくの1話目なんで。
自分的には『新しい朝』が好きです。


第1章 THE DUELIST ADVENT
第1話 Believe×Believe


時は夕方、景色は山吹色に染まりまるで海に沈むような夕陽が幻想的で美しい。海に面した倉庫、薄暗い中に高く積まれた荷物の上で『彼』は目を覚ました。

 

年は中学生程度、トレードマークの赤帽子を目深に被りその上にゴーグルを装着し首にはチョーカーをつけ、赤のジャケットを着ている。左腕には相棒である金色のデュエルディスク、『彼』は周囲を確認するようにキョロキョロと首を動かす。どうやら知らぬ間にここに来ていたようだ。しばらくしてポン、と手を合わせる。

 

――何だ、何時もの事か――。

 

少年を知らぬ者からすれば、それはどうなんだ。とツッコミたくなる、いや知っている者からしてもツッコミたくなるが、少年にとってこの程度、なんて事は無い。何せ今までもモンスターがうようよいる世界や知らぬ間に知らぬ地に来ていた事が過去にある少年である。元々マイペースで1つの事柄以外無頓着な彼、異次元に飛ばされようと好きな事ができればそれでいい。

 

ふと、足元より声が聞こえた。何やら少年と同じ年頃の男四人と1人の女の子が言い争っているようだ。状況を考えるに少年達が悪さをしていたのであろう。リアルファイトも仕方ないと溜め息を吐き助太刀しようとした時『デュエル』という単語が耳に入る。気がつけば少年は彼等の間に飛び降りていた。

 

「っ!?あなたは!?」

 

濃いピンク色の髪をツインテールにした少女が驚きの声を上げる。どうやら派手な登場をしたせいでこの場全員の注目を浴びてしまったようだ。

 

「あぁん?誰だテメェ!」

 

黄色い前髪と茶髪が混じった少年が眉をひそめ問う、そんな彼とは対照的に赤帽子の少年は口角を吊り上げワクワクといった様子だ。

 

「名前はコナミ―――おい」

 

「あん?」

 

――デュエルしろよ――

 

途端その場に緊張が走る。少年、コナミの放つ独特の空気がそうさせる。本人はちゃんと質問には答えた。どこかの質問を無視しデュエルしろよだけ言う蟹頭のDーホイーラーとは違うのだと得意気だが実際はそう変わらない。その緊張からいち早く抜け出したのは黄色い前髪の少年、コナミに対してニヤリと笑う。

 

「デュエルぅ?このネオ沢渡シンゴに挑もうとは…上等じゃねぇか赤帽子!」

 

そう言ってネオ沢渡は腕に装着したデュエルディスクを展開させる。

 

「ちょっ、ちょっとあなた大丈夫なの!?」

 

ツインテールの少女がコナミを止めようとする。だがコナミは止まらない。目の前にデュエルがぶら下がっているのだ、逃すわけにはいかない。大丈夫だ、と言わんばかりに金色のデュエルディスクより光のプレートを展開する。

 

「ああっもう!なんなのよぉ!?」

 

少女がまるで意味が分からんぞ!?とばかりに頭をおさえる、そして――。

 

「「デュエル!!」」

 

コナミの闘いの幕が上がった。デュエルディスクにランプが灯る、どうやら先攻はコナミのようだ。しかし、コナミは自らの手札を信じられないものを見るように見つめている。それもそのはず。

 

……なぁにこれぇ?

 

そのデッキはコナミの知らない、組んだ覚えのないデッキなのだ。だが…コナミにはそんな物関係ない、効果さえ分かればそれでいい。今は目の前のデュエルが先だ、とデュエルを再開する。

 

「……『ゴブリンドバーグ』を召喚」

 

ゴブリンドバーグ 攻撃力1400

 

現れたのは小さな飛行機に乗ったゴブリン。飛行機には大型のコンテナが吊るされている。

 

「『ゴブリンドバーグ』の効果発動、手札のレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚し守備表示となる。現れろ『E・HEROシャドー・ミスト』。」

 

コンテナより黒い人形が着地する。黒い軽装に身を包み、美しい青の長髪を靡かせている。

 

E・HEROシャドー・ミスト 攻撃力1000

 

「シャドー・ミストの効果発動、デッキから『チェンジ』速攻魔法を手札に加える。『マスク・チェンジ』を手札に」

 

黒い霧が1枚のカードをコナミの手に誘い込む、そして。

 

「2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築」

 

コナミの背後に星が散りばめられた。渦が現れ、『ゴブリンドバーグ』と『E・HEROシャドー・ミスト』が中に吸い込まれる。

 

――我が戦いはここから始まる、白き翼に望みを託せ、現れろNo.39――

 

コナミの口より詩が紡がれ、渦より光の柱が下りる。光が晴れ現れたるは1体の皇。白を基調とし、金の装飾が施された傷ひとつない鎧、腰に二刀を携え、雄々しき両翼を広げると同時に右肩に39の紋様が走る。一筋の希望、異世界の2人の決闘者の絆の証、諦めず挑戦し続ける心の在り方、『かっとビング』を持つ、その名は。

 

「エクシーズ召喚!!希望皇ホープ!!」

 

瞬間、世界は震撼した。

 

No.39希望皇ホープ 攻撃力2500

 

雄々しき叫び声を上げる希望の皇、その声はどこか喜びに溢れていた。

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド。」

 

コナミ LP4000

フィールド 『No.39希望皇ホープ』(攻撃表示)

セット1

手札3

 

――皇を傍らに連れ、口元に弧を描く、赤帽子のデュエリスト、この場にいる全員が彼のデュエルに呑まれる。しかしまだコナミのデュエルは始まったばかり――。




茄子「貴重な出番が盗られたんだけど」

融合「気にすんなって!(使用カード大量OCG化されながら)」

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