遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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第189話 どうしてDーホイールと合体しないんだ……?

シティ、遥か上空に浮かぶ脅威、アーククレイドル周辺にて。2つのDーホイールが飛翔し、旋回していた。

1つは赤い光の翼と尾を伸ばした白とライトグリーンのDーホイール。ユーゴのDーホイールを継いだ、チームARCー5D'sのラストホイーラー、榊 遊矢だ。

もう1つは二又に別れた先端と一対の翼が特徴的な巨大なDーホイール。戦闘機のようなそれに搭乗するのは、チームネオ5D'sのラストホイーラー、白帽子のデュエリスト、白コナミ。

彼等は今、シティを命運をかけた最後のデュエルを始めようとしていた。

 

「さぁ、来るが良い。榊 遊矢!お前の未熟な力で、俺を倒せると言うのならな!」

 

「やってやるさ!皆が繋げてくれた想いを、無駄になんかしない!俺のターン、ドロー!」

 

「罠発動、『針虫の巣窟』!デッキトップから5枚のカードを墓地へ!墓地へ送られた『絶対王バック・ジャック』の効果でデッキトップから3枚のカードを操作し、除外する事でデッキトップの罠カードをセットする!そして発動!『ゴブリンのやりくり上手』!5枚ドローし、1枚デッキボトムへ!」

 

白コナミ 手札0→5→4

 

遊矢がデッキより1枚のカードを引き抜く。

彼のフィールドにはクロウが残してくれたセットカードが1枚。

対する白コナミの場には『ニトロ・ウォリアー』と『ターボ・ウォリアー』のシンクロ『ウォリアー』が2体。『補給部隊』とセットカードが2枚、それに『光の護封陣』。少々固いが、絶望的と言う訳ではない。

 

むしろ、希望で満ち溢れている。深呼吸を繰り返し、冷静に努める。このシンクロ次元で学んだ全て、このデュエルで活かしてみせる。

 

「キングとなるのは、この俺だ!」

 

まずは、このフレンドシップカップにて、最初にぶつかった巨大な壁、偉大なるエンターテイナーにしてこのシティのキング、ジャック・アトラスの背中を追う。

ロード・オブ・ザ・キング。ジャックが駆け抜けた道を辿る。

 

「リバースカード、オープン!魔法カード、『闇の誘惑』!2枚ドローし、手札の闇属性モンスターを除外!」

 

榊 遊矢 手札6→8→7

 

「魔法カード、『マジカル・ペンデュラム・ボックス』!2枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札6→8

 

「ドローしたカードは両方ペンデュラムモンスターだ。よってそのまま手札に加え、魔法カード、『貪欲な壺』!墓地のモンスターを5体デッキに戻してドロー!」

 

榊 遊矢 手札7→9

 

「魔法カード、『カップ・オブ・エース』!当たりだ、2枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札8→10

 

「魔法カード、『暗黒界の取引』!」

 

「ならばこちらはアクションカードを捨てる!」

 

「考える事は同じか……こっちもアクションカードを捨てる!永続魔法、『補給部隊』を発動。そして魔法カード、『復活の福音』を発動!墓地に眠るレベル7か8のドラゴン族モンスター1体を蘇生する!来たれ、王の魂!『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト 攻撃力3000

 

フィールドに呼び出されたのは強者との激闘で負った傷を持つ、深紅の魔竜。ジャック・アトラスのエースモンスターだ。敵に回せば恐ろしく強いが、味方となればこれ以上に頼もしいカードはない。

 

「『レッド・デーモン』……!」

 

「確かに俺はお前達に比べればまだ未熟かもしれない。だけどこれはチーム戦!俺は皆と一緒に闘っているんだ!行くぞ、スカーライトの効果発動!このカードの攻撃力以下の、フィールドに特殊召喚された効果モンスターを破壊、その数×500のダメージを与える!」

 

「罠発動、『スターライト・ロード』!カード2枚以上を破壊する効果を無効にし、破壊する!」

 

「墓地の『復活の福音』を除外し、スカーライトの破壊を防ぐ!」

 

だが当然、白コナミにはこのカードに対抗する手もある。襲いかかる深紅の炎を、白コナミの墓地から飛び出した『スターダスト・ドラゴン』が一身に受けて防ぐ。

遊矢もまた、スカーライトの破壊は逃れた。優秀なアタッカーだけは失わずに済んだようだ。所詮今のは前哨戦。遊矢も通じるとは思っていない。

 

「どうした、それで終わりか?」

 

「いいや……まだまだこれからさ!俺は『EMモモンカーペット』と『曲芸の魔術師』をペンデュラムスケールにセッティング!これでレベル3から6のモンスターを同時に召喚可能!」

 

遊矢がデュエルディスクに2枚のカードを叩きつけると共に、背後に2つの光の柱が出現し、その中に滑空するモモンガと派手な衣装の『魔術師』が浮かび上がる。

そして2体が天空に光の線を結び、魔方陣を描き出す。遊矢得意の武器、ペンデュラム。この華々しい召喚法こそが榊 遊矢の最大の特徴にして戦術の基盤だ。

 

「揺れろ、魂のペンデュラム。天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!『EMロングフォーン・ブル』!『聖鳥クレイン』!」

 

EMロングフォーン・ブル 攻撃力1600

 

聖鳥クレイン 攻撃力1600

 

魔方陣に孔が開き、中から2本の光が飛び出して遊矢のDーホイールに並走する。光の粒子を散らし、姿を見せたのは頭の角に受話器をかけた牡牛。『EM』の基本戦法、サーチ効果を有したモンスターと真っ白な翼を持つ鶴のモンスターだ。

 

「ロングフォーン・ブルの特殊召喚時、デッキからペンデュラム以外の『EM』を手札に加える!俺は『EMスライハンド・マジシャン』をサーチ!クレインが特殊召喚した事で1枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札5→6

 

牡牛が受話器を手にとり仲間に連絡、遊矢の手札に向かわせる。本来ならペンデュラムが揃っている時、召喚時に『EM』をサーチする『EMセカンドンキー』が狙い目なのだが、遊矢の手札にはそれより狙う価値があるカードがある。

 

「『音響戦士ドラムス』を召喚!」

 

音響戦士ドラムス 攻撃力700

 

現れたのはその名の通りドラムに命を吹き込んだチューナーモンスター。更にデュエルを盛り上げるべく遊矢が奮起する。

 

「さぁ、ぶち抜いてやるぜ!レベル4の『聖鳥クレイン』に、レベル2の『音響戦士ドラムス』をチューニング!シンクロ召喚!『BFー星影のノートゥング』!」

 

BFー星影のノートゥング 攻撃力2400

 

今度はクロウの模倣を行い、『BF』のシンクロモンスターを呼び出す。レベル6の汎用シンクロモンスター。遊矢のデッキではその真価を発揮出来ないが、それでも充分に優秀なカードだ。

 

「ノートゥングの特殊召喚時、相手に800ダメージを与える!」

 

「アクションマジック、『加速』!効果ダメージを0に!」

 

「これも止めるか、俺はシンクロ召喚に成功した事で墓地の『レッド・ミラー』を回収。ロングフォーン・ブルをリリースし、手札の『EMスライハンド・マジシャン』を特殊召喚!」

 

EMスライハンド・マジシャン 攻撃力2500

 

次は遊矢本来が持つモンスター。派手な赤の衣装に白い仮面、下半身が水晶に変化し、天使の羽で包み込んだマジシャンのモンスター。手にしたボールを上空に放り投げ、もう片方の手で持つステッキをビリヤードのキューへと変化、一直線に並んだボールを撃ち抜き大爆発を起こす。

 

「スライハンド・マジシャンの効果!手札1枚を捨て、『補給部隊』を破壊!」

 

「アクションマジック、『ヒートアップ・サウンド』!魔法カードを破壊する効果を無効に!」

 

攻める、攻める、攻める。今までの激闘で培って来たもの、学んだものを全て使いきる勢いで遊矢の力を炸裂させる。

されども白コナミも何とか防ぐ。だが、LPは1400、遊矢の戦力から白コナミの戦力を引いてもこのターンで決められる。

 

「装備魔法、『ワンショット・ワンド』をスライハンド・マジシャンに装備!攻撃力を700アップ!」

 

EMスライハンド・マジシャン 攻撃力2500→3200

 

「バトル!スライハンド・マジシャンで『ニトロ・ウォリアー』へ攻撃!」

 

「アクションマジック、『ダメージ・バニュシュ』!戦闘ダメージを0に!『補給部隊』の効果でドロー!」

 

「戦闘後、『ワンショット・ワンド』を破壊し、ドロー!」

 

榊 遊矢 手札3→4

 

白コナミ 手札4→5

 

「『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』で、『ターボ・ウォリアー』へ攻撃!」

 

白コナミ LP1400→900

 

スカーライトも遊矢に力を貸し、雄々しく咆哮を放って天空を華麗に舞い、『ターボ・ウォリアー』に接近。火炎纏う掌底にて吹き飛ばす。

余りの威力に『ターボ・ウォリアー』の身体がひしゃげ、空中で分解、パーツの一部が白コナミの機体にぶつかり、大きく揺れる。

Dーホイールはそのままシティに落下、ビル群にぶつかる寸前で姿勢を持ち直し、空へと帰還を見事果たす。危ない所だった。白コナミはあの程度では何ともないだろうが、遊矢の一撃でシティに甚大な被害が及ぶ所だった。もう少し考えねばなるまい。

 

「ノートゥングでダイレクトアタック!」

 

「罠発動、『リジェクト・リボーン』!相手の直接攻撃時、バトルを終了させ、墓地の『炎魔竜王レッド・デーモン・カラミティ』と『クイック・シンクロン』を特殊召喚する!」

 

炎魔竜王レッド・デーモン・カラミティ 攻撃力4000

 

クイック・シンクロン 守備力1400

 

やはりそう簡単に倒せる相手ではない。遊矢がワンターン・キルを決めようとしたその時、白コナミの墓地からジャック・Dの操る紅蓮魔竜の最終形態とガンマン人形がノートゥングの行く手を遮る。

 

「チームメイトと闘っているのはお前だけではないと言う事だ」

 

「……ならメインフェイズ2、スライハンド・マジシャンを対象に魔法カード、『七星の宝刀』を発動!スライハンド・マジシャンを除外し、2枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札3→5

 

「カードを3枚セット、ターンエンドだ」

 

榊 遊矢 LP4000

フィールド『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』(攻撃表示)『BFー星影のノートゥング』(攻撃表示)

『補給部隊』セット3

Pゾーン『EMモモンカーペット』『曲芸の魔術師』

手札2

 

「俺のターン、ドロー!『サンダー・ドラゴン』を捨て、2枚に増やす。カードをセットし、魔法カード、『手札抹殺』!アクションカードごと捨ててドロー!魔法カード、『星屑のきらめき』!墓地のモンスターのレベルが9になるように除外し、『炎魔竜レッド・デーモン・アビス』を蘇生する!」

 

「罠発動、『竜嵐還帰』!除外されている『エンド・オブ・アヌビス』を特殊召喚!これで墓地のカードを対象とする『星屑のきらめき』は不発となる!」

 

エンド・オブ・アヌビス 攻撃力2500

 

「リバースカード、オープン!魔法カード、『シンクロ・クラッカー』!カラミティをエクストラデッキに戻し、貴様のモンスターを全滅させる!」

 

「罠発動、『因果切断』!手札のアクションカードを捨て、カラミティを除外!」

 

「魔法カード、『ブラック・コア』!手札のアクションカードを捨て、アヌビスを除外!魔法カード、『星屑のきらめき』!来い、アビス!」

 

炎魔竜レッド・デーモン・アビス 攻撃力3200

 

アビスはベリアルよりも攻撃力は低いものの、1ターンに1度、フィールドのカード1枚を無効にする効果を持つ。相手ターンでも発動可能な為、発動した魔法カードを無効に、等と言う芸当も可能なこの効果は極めて強力で制圧能力が高い。

 

「『ダークシー・レスキュー』を召喚!」

 

ダークシー・レスキュー 攻撃力0

 

現れたのは『チューニング・サポーター』と互換性を持つ救命ボート型のモンスターだ。ここに来てドローソースを引き込むとは、やはり白コナミは侮れない。

 

「罠発動、『連鎖除外』!」

 

「アビスの効果で無効に!」

 

「魔法カード、『機械複製術』を発動。『ダークシー・レスキュー』をコピーする!」

 

ダークシー・レスキュー 守備力0×2

 

「速い……!」

 

相変わらずペンデュラムにも匹敵する展開力。シンクロ次元トップスピードの力が炸裂する。このモンスターを大量に展開し、エース級のカードに繋げる戦法はコナミに似ている。

 

「決勝で……か」

 

かつて遊矢は、親友でありライバルでもあるコナミと、スタンダード次元、舞網チャンピオンシップにて彼と闘う約束をした。

果たされる事のなかった約束。それが今、フレンドシップカップの決勝で彼と酷似した青年、白コナミと闘っている。だが。

 

「お前じゃないな……俺が待っているのは、お前じゃない!」

 

「何を言っている!俺はレベル1の『ダークシー・レスキュー』2体に、レベル5の『クイック・シンクロン』をチューニング!集いし怒りが忘我の戦士に鬼神を宿す。光差す道となれ!シンクロ召喚!吠えろ、『ジャンク・バーサーカー』!」

 

ジャンク・バーサーカー 攻撃力2700

 

白コナミの隣に『クイック・シンクロン』が変化した5つのリングが並び、その中に2つの星が閃く。そしてリングの中を一筋の光が通り過ぎ、リングを破壊、現れたのは真紅の鎧を纏い、角つきの兜、黒い翼、手に身の丈を越える巨大な斧を握った狂戦士。

遊矢が様々な召喚法によって多くの戦術を繰り出すのに対し、この男はジャック・Dとクロウ・ゴースト達と同じくシンクロ召喚一極化。ただし異なるタイプのシンクロモンスターを使う事で様々な状況に対処している。

 

「シンクロ素材となった『ダークシー・レスキュー』の効果で2枚ドロー!」

 

白コナミ 手札1→3

 

加えてこのリカバリー能力の高さ。シンクロの素材展開で失った手札を直ぐ様取り戻し、また次のシンクロへ。と言う理想の戦術。これがかなり厄介だ。

 

「『ジャンク・バーサーカー』の効果発動!墓地の『ジャンク・デストロイヤー』を除外し、その攻撃力分、『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』の攻撃力をダウン!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト 攻撃力3000→400

 

「ッ、スカーライトが……!」

 

ここで取り逃してもスカーライトの効果を封じられるよう、白コナミが『ジャンク・バーサーカー』によって弱体化を図る。折角の強力なモンスターもこうなってしまえば的となる。

 

「更に『ジャンク・シンクロン』も除外し、ノートゥングの攻撃力をダウン!」

 

「アクションマジック、『透明』!ノートゥングを守る!」  

 

「バトル!アビスでスカーライトへ攻撃!」

 

「モモンカーペットがペンデュラムゾーンにある限り、俺が受ける戦闘ダメージは半分になる!」

 

榊 遊矢 LP4000→2600

 

「戦闘ダメージを与えた事でアビスの効果発動!墓地の『クイック・シンクロン』を守備表示で特殊召喚!」

 

「『補給部隊』の効果でドロー!」

 

「速攻魔法、『グリード・グラード』!こちらも2枚ドロー!」

 

白コナミ 手札2→4

 

榊 遊矢 手札2→3

 

クイック・シンクロン 守備力1400

 

天空で繰り広げられる赤き魔竜同士のぶつかり合い、スカーライトがアビスの真上を取る事で優位に立とうとするも――ガシリ、腕を掴まれて振り回され、挙げ句に放り投げられ、アーククレイドルに激突。力なく落下する途中、光の粒子になって消える。

 

「『ジャンク・バーサーカー』でノートゥングへ攻撃!」

 

榊 遊矢 LP2600→2450

 

「どわっ……!」

 

更にアビスの影に隠れて飛行していた『ジャンク・バーサーカー』がノートゥングの真上から襲いかかり、斧の一振りでノートゥングを切り裂く。予想外の奇襲を受けて倒れるノートゥング。これで遊矢のモンスターは0になってしまった。

 

「そしてメインフェイズ2、魔法カード、『暗黒界の取引』を発動」

 

「なら俺は手札のアクションカードを捨てる!」

 

「墓地の『シャッフル・リボーン』を除外し、『光の護封陣』を戻してドロー!」

 

白コナミ 手札3→4

 

「レベル1の『ダークシー・レスキュー』に、レベル5の『クイック・シンクロン』をチューニング!疾風の使者に鋼の願いが集う時、その願いは鉄壁の盾となる、光差す道となれ!シンクロ召喚!現れよ、『ジャンク・ガードナー』!」

 

ジャンク・ガードナー 守備力2600

 

再びシンクロ召喚、『ジャンク・バーサーカー』と共にアビスを挟むように登場したのは深い緑の装甲を纏い、背中から2つの砲塔を伸ばしたモンスターだ。

その名の通り、腕には分厚い手甲を装着している。モンスター回収効果を持つ『ドリル・ウォリアー』よりもこのカードを優先したと言う事は、守りを固め、万が一にもアビスが破壊されないようにする為だろう。

 

「『ダークシー・レスキュー』の効果でドロー!」

 

白コナミ 手札4→5

 

「魔法カード、『シンクロ・クリード』!2枚ドロー!」

 

白コナミ 手札4→6

 

「装備魔法、『レプティレス・アンガー』を『ジャンク・バーサーカー』へ装備。種族を爬虫類族に変更し、攻撃力を800アップ」

 

ジャンク・バーサーカー 攻撃力2700→3500

 

「カードを3枚セット、ターンエンドだ。『シャッフル・リボーン』の効果で手札のアクションカードを除外する」

 

白コナミ LP900

フィールド『炎魔竜レッド・デーモン・アビス』(攻撃表示)『ジャンク・バーサーカー』(攻撃表示)『ジャンク・ガードナー』(守備表示)

『レプティレス・アンガー』『補給部隊』セット3

手札2

 

「俺のターン、ドロー!」

 

「俺は永続罠、『召喚制限ー猪突するモンスター』と手札の『増殖するG』の効果を発動!」

 

「魔法カード、『マジカル・ペンデュラム・ボックス』発動!2枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札4→6

 

「1枚を墓地へ。『EMシール・イール』を召喚!」

 

EMシール・イール 攻撃力100

 

現れたのはメガホンからぬるりと身体を出した鰻のモンスター。口元にバッテンのシールを付着しており、そのシールをプッ、と吐きかけ、白コナミのフィールドにセットされたカードめがけて投げる。

 

「シール・イールの召喚時、相手フィールドにセットされた魔法、罠カード1枚をこのターン、使用不可にする!この効果に対し、互いにチェーン出来ない!」

 

「ほう」

 

「そしてペンデュラム召喚!『光帝クライス』!『BFー疾風のゲイル』!」

 

光帝クライス 攻撃力2400

 

BFー疾風のゲイル 攻撃力1300

 

白コナミ 手札1→2

 

更にペンデュラムにより、遊矢のフィールドに光輝く鎧を纏う黄金の『帝王』と、緑の鶏冠と紫の羽毛の猛禽が登場する。

逆転の準備は整った。

 

「『光帝クライス』の効果でアビスと『ジャンク・ガードナー』を破壊!」

 

「させるか!アビスの効果で無効!」

 

「充分さ、ゲイルの効果発動!アビスの攻守を半減!」

 

炎魔竜レッド・デーモン・アビス 攻撃力3200→1600

 

「チッ」

 

「更に俺はレベル1のシール・イールとレベル6のクライスに!レベル3のゲイルをチューニング!シンクロ召喚!『BFーフルアーマード・ウィング』!」

 

BFーフルアーマード・ウイング 攻撃力3000

 

白コナミ 手札2→3

 

続けてフィールドに羽ばたくはクロウが得た新たな力、全身装甲に巨大な剣と銃を装備した漆黒の鳥人。

完全耐性にコントロール奪取、加えて全体破壊と強力な効果をこれでもかと盛ったカードだ。このカードを味方にした事で発生する頼もしさと安心感は遊矢を大いに奮い立たせてくれる。

 

「『レッド・ミラー』を回収。バトル!フルアーマード・ウィングでアビスに攻撃!」

 

「調子に乗るな!罠発動、『レインボー・ライフ』!アクションカードを捨て、このターンのダメージを回復に変換する!」

 

白コナミ LP900→2300

 

ここに来てこのカード。とんでもない悪運の強さだ。白コナミ自身に適用する効果の為、フルアーマード・ウィングでも止められない。

それでも押しているのは遊矢の方だ。

 

「『補給部隊』の効果でドロー!」

 

「速攻魔法、『グリード・グラード』!」

 

榊 遊矢 手札2→4

 

白コナミ 手札3→4

 

「カードを3枚セット、ターンエンドだ」

 

榊 遊矢 LP2450

フィールド『BFーフルアーマード・ウィング』(攻撃表示)

『補給部隊』セット3

Pゾーン『EMモモンカーペット』『曲芸の魔術師』

手札1

 

「仲間の力を自分のものに……いや、これは……成程、だとしたらお前は確かにエンタメデュエリストだ。俺のターン、ドロー!」

 

「罠発動、『針虫の巣窟』!デッキトップから5枚のカードを墓地へ送り、墓地へ送られた『絶対王バック・ジャック』の効果により、デッキトップを操作!除外してトップの罠カードをセット!」

 

「魔法カード、『成金ゴブリン』!相手のLPを1000回復し、1枚ドロー!」

 

榊 遊矢 LP2450→3450

 

白コナミ 手札4→5

 

「俺は『ジャンク・シンクロン』を召喚!」

 

ジャンク・シンクロン 攻撃力1300 

 

「『ジャンク・シンクロン』の召喚時、効果発動!墓地のレベル2以下のモンスター、『クリア・エフェクター』を蘇生する!」

 

「フルアーマード・ウィングの効果で楔カウンターを乗せる!」

 

ジャンク・シンクロン 楔カウンター0→1

 

クリア・エフェクター 守備力900

 

現れたのは民族衣装を纏った美しい黒髪の女性。このモンスターも『チューニング・サポーター』や『ダークシー・レスキュー』同様、シンクロ素材にする事でドローするカードだ。ここまで手札を切らさないと、逆に引くレベルである。

 

「更に俺の墓地のモンスターが特殊召喚に成功した事で、手札の『ドッペル・ウォリアー』を特殊召喚する!」

 

ドッペル・ウォリアー 攻撃力800

 

次は黒いコートとヘルメットを纏った戦士のモンスター。『ジャンク・シンクロン』とは極めて相性の良いカードだ。

 

「レベル2の『クリア・エフェクター』に、レベル3の『ジャンク・シンクロン』をチューニング!集いし星が新たな力を呼び起こす、光差す道となれ!シンクロ召喚!出でよ、『ジャンク・ウォリアー』!」

 

ジャンク・ウォリアー 攻撃力2300

 

次に登場したのは彼が誇るフェイバリットカード。赤い眼光を放たせる丸眼鏡に風になびく白のマフラー、『ジャンク』の名を持つにも関わらず、煌めく青の装甲を纏う機械戦士。肩からは薄い翼を伸ばし、背部にバーニアを、更に左拳に鈍い光に包まれたナックルダスターを嵌め込んでいる。

 

「『ジャンク・ウォリアー』のシンクロ召喚時、レベル2以下のモンスターの攻撃力をこのカードに加える!更に『クリア・エフェクター』がシンクロ素材になった事で1枚ドローする!パワー・オブ・フェローズ!」

 

ジャンク・ウォリアー 攻撃力2300→3100 楔カウンター0→1

 

白コナミ 手札3→4

 

「『ジャンク・ガードナー』を攻撃表示に変更、バトル!『ジャンク・ウォリアー』でフルアーマード・ウィングに攻撃!スクラップ・フィスト!」

 

『ジャンク・ウォリアー』の攻撃力は3100、僅かであるがフルアーマード・ウィングの攻撃力を上回っている。どんなに強力な効果を持っていても、攻撃力で上回ればそこまでだ。

 

「くっ、手札の『レッド・ミラー』を墓地に送り、『レッド・スプリンター』を回収!」

 

榊 遊矢 LP3450→3400

 

「『補給部隊』の効果でドロー!」

 

「速攻魔法、『グリード・グラード』!」

 

白コナミ 手札3→5

 

榊 遊矢 手札1→2

 

何て男だ。折角呼び出した強力なモンスターも、たった1ターンで次々と攻略されていく。正しく光速のDーホイーラー。しかしフルアーマード・ウィングを失ったのは実に不味い。頼もしい味方が倒されたと言うのもあるが、それ以上に遊矢のフィールドががら空き。白コナミのフィールドはまだ3体残っている。

 

「『ジャンク・バーサーカー』でダイレクトアタック!」

 

「罠発動、おまちかねの、『カウンター・ゲート』!この直接攻撃宣言時、攻撃を無効にし、俺は1枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札2→3

 

「そのカードがモンスターなら召喚する!来い!『EMインコーラス』!」

 

EMインコーラス 攻撃力500

 

「ならばアクションマジック、『セカンド・アタック』!再攻撃権を与え、『ジャンク・バーサーカー』で攻撃!ガードナーの効果で守備表示に変更し、バーサーカーの効果で破壊!」

 

アリト直伝のカウンター。放たれたのは色鮮やかな3羽のインコだ。遊矢を守るように『ジャンク・バーサーカー』の眼前に踊り出るも、巨大な戦斧の前に散る。

 

「『ジャンク・ガードナー』でダイレクトアタック!」

 

「罠発動、『ペンデュラム・リボーン』!エクストラデッキからインコーラスを特殊召喚!」

 

EMインコーラス 攻撃力500

 

「チッ、ならインコーラスを撃破!」

 

榊 遊矢 LP3400→2950

 

「インコーラスが戦闘で破壊された事でデッキからペンデュラムモンスター以外の『EM』をリクルートする!来い、『EMセカンドンキー』!」

 

EMセカンドンキー 攻撃力1000

 

そしてインコーラスが最後の力を振り絞り、遊矢のデッキに助けを呼ぶ。すると遊矢のデッキからポンと煙を上げて1頭のロバが飛び出し、鼻息荒く『ジャンク・バーサーカー』を睨む。

 

「セカンドンキーの召喚、特殊召喚時、ペンデュラムゾーンにカードが揃っている事で、『EM』をサーチする!俺が選択するのは『EMペンデュラム・マジシャン』!」

 

「罠発動、『イクイップ・シュート』!『ジャンク・バーサーカー』の装備カードをセカンドンキーへ装備する事で、2体を戦闘させる!」

 

EMセカンドンキー 攻撃力1000→1800

 

「『ジャンク・バーサーカー』でセカンドンキーへ攻撃!」

 

榊 遊矢 LP2950→2500

 

「ぐあっ!?」

 

「『ドッペル・ウォリアー』でダイレクトアタック!」

 

榊 遊矢 LP2500→2100

 

モモンカーペットのペンデュラム効果でダメージが半分になっているとは言え、このターンでLPを大幅に削られてしまった。クロウ相手に消耗しているのにこの実力。成程、強い。が、遊矢とて負けてはいない。

 

「更に魔法カード、『マジック・プランター』!永続罠をコストに2枚ドロー!」

 

白コナミ 手札4→6

 

「魔法カード、『ハーピィの羽帚』!」

 

「カウンター罠、『大革命返し』!『ハーピィの羽帚』の発動を無効にし、除外!」

 

「カードを3枚セット、ターンエンドだ」

 

白コナミ LP2300

フィールド『ジャンク・ウォリアー』(攻撃表示)『ジャンク・バーサーカー』(攻撃表示)『ジャンク・ガードナー』(攻撃表示)『ドッペル・ウォリアー』(攻撃表示)

『補給部隊』セット3

手札2

 

「俺のターン、ドロー!フィールド魔法、『チキンレース』!LPを1000払い、ドロー!」

 

榊 遊矢 LP2100→1100 手札3→4

 

「墓地の『シャッフル・リボーン』を除外し、『チキンレース』を戻してドロー!」

 

榊 遊矢 手札4→5

 

「魔法カード、『シンクロ・クリード』!シンクロモンスターが3体以上存在する事で2枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札4→6

 

「魔法カード、『ナイト・ショット』右のセットカードを破壊!」

 

「チェーンして墓地の『ダメージ・ダイエット』を除外し、このターンの効果ダメージを半分に!更にチェーンして永続罠、『不協和音』!互いのシンクロ召喚を封じる!」

 

「『レッド・スプリンター』を召喚!」

 

レッド・スプリンター 攻撃力1700

 

「『レッド・リゾネーター』を蘇生する!」

 

レッド・リゾネーター 守備力200

 

「『ジャンク・ウォリアー』の攻撃力をLPに変換!」

 

榊 遊矢 LP1100→4200

 

「ペンデュラム召喚!『EMペンデュラム・マジシャン』!『EMインコーラス』!」

 

EMペンデュラム・マジシャン 守備力800

 

EMインコーラス 攻撃力500

 

「『EMペンデュラム・マジシャン』が特殊召喚に成功したこの瞬間、モモンカーペットと『レッド・スプリンター』を破壊する事で、2枚の『EM』をサーチする!」

 

「甘いな、カウンター罠、『大革命返し』!そのカードの効果を許せば貴様が波に乗る事位知っている。フィールドのカードを2枚以上に破壊する効果を無効にし、除外!」

 

「インコーラスで『ドッペル・ウォリアー』へ攻撃!」

 

「罠カード、『進入禁止!NoEntry!!』発動!フィールドのモンスターを守備表示に!」

 

「カードを2枚セット、ターンエンドだ!『シャッフル・リボーン』の効果で手札のアクションカードを除外」

 

「『ジャンク・ガードナー』の効果で『レッド・リゾネーター』を攻撃表示に!」

 

「墓地の『ブレイクスルー・スキル』を除外し、『ジャンク・ガードナー』の効果を無効に!」

 

榊 遊矢 LP4200

フィールド『EMインコーラス』(守備表示)『レッド・スプリンター』(守備表示)『レッド・リゾネーター』(守備表示)

『補給部隊』セット2

Pゾーン『EMモモンカーペット』『曲芸の魔術師』

手札1

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『マジック・プランター』!『不協和音』をコストに2枚ドロー!」

 

白コナミ 手札2→4

 

「バトル!」

 

「その前に手札の『エフェクト・ヴェーラー』を捨て、バーサーカーの効果を無効に!」

 

「『ジャンク・ガードナー』の効果でインコーラスを攻撃表示に変更。全てのモンスターを攻撃表示に変更し、『ドッペル・ウォリアー』で『レッド・リゾネーター』へ、『ジャンク・ガードナー』で『レッド・スプリンター』へ、『ジャンク・ウォリアー』でインコーラスへ攻撃!」

 

「やらせるか!『ジャンク・ウォリアー』の攻撃時、罠発動、『ガード・ブロック』!戦闘ダメージを0にし、ドロー!そしてインコーラス自身と『補給部隊』の効果発動!デッキから『EMソード・フィッシュ』を特殊召喚!」

 

EMソード・フィッシュ 守備力600

 

榊 遊矢 手札0→1→2

 

「ソード・フィッシュの召喚、特殊召喚時、相手モンスター全ての攻守を600ダウンする!」

 

ジャンク・ウォリアー 攻撃力3100→2500

 

ジャンク・バーサーカー 攻撃力2700→2100

 

ジャンク・ガードナー 攻撃力1400→800

 

ドッペル・ウォリアー 攻撃力800→200

 

「『ジャンク・バーサーカー』へソード・フィッシュを攻撃!」

 

「ぐっ、くっそ……!」

 

遊矢の背から鋭い刃をもつ太刀魚が引き抜かれて敵に投擲、その中で分身して白コナミのモンスターに突き刺さり、弱体化させるも――直ぐ様破壊され、遊矢のモンスターが全滅されてしまう。

 

「カードを2枚セット、ターンエンドだ」

 

白コナミ LP2300

フィールド『ジャンク・ウォリアー』(攻撃表示)『ジャンク・バーサーカー』(攻撃表示)『ジャンク・ガードナー』(攻撃表示)『ドッペル・ウォリアー』(攻撃表示)

『補給部隊』セット2

手札2

 

「俺のターン、ドロー!」

 

「罠発動、『荒野の大竜巻』!『曲芸の魔術師』を破壊!」

 

「カウンター罠、『ギャクタン』!罠の発動を無効に!魔法カード、『暗黒界の取引』!ペンデュラム召喚!『EMインコーラス』!『EMシルバー・クロウ』!」

 

EMインコーラス 攻撃力500

 

EMシルバー・クロウ 攻撃力1800

 

登場したのは鋭い鉤爪を持つ銀色の毛並みの狼とインコーラス。リクルーターかつペンデュラムと言う特性のインコーラスは実に優秀だ。

 

「そして『調律の魔術師』を召喚!」

 

調律の魔術師 攻撃力0

 

次は白い三角帽と法衣を纏ったピンク髪の『魔術師』少女。

ジャックがサムに渡したカードを、遊矢に託されたと言う経緯を持ち、遊矢が初めて手にしたチューナーだ。

サムの頼み通り、デュエル前にジャックに返そうとしたが――今の遊矢にこそ必要だと改めて渡されたのだ。

彼女は横ピースしながら遊矢に笑いかけるが――遊矢には彼女の声は聞こえない。やはり中の人がいないと分からないようだ。眉をひそめる遊矢を見て、『調律の魔術師』は頬を膨らませて音叉を遊矢の頭部に振り抜く。

 

「ぐふっ」

 

白コナミ LP2300→2700

 

榊 遊矢 LP4200→3800

 

「ぐ……『調律の魔術師』の召喚時、相手は400回復し、俺は400ダメージを受ける。そして俺はレベル3のインコーラスとレベル4のシルバー・クロウに、レベル1の『調律の魔術師』をチューニング!剛毅の光を放つ勇者の剣!今ここに閃光と共に目覚めよ!シンクロ召喚!『覚醒の魔導剣士』!」

 

覚醒の魔導剣士 攻撃力2500

 

シンクロ召喚、新たに現れたのは遊矢が初めて会得したシンクロモンスター。白と黒の法衣を纏う、魔剣を手にした魔導剣士。エース級のステータスとフィニッシャーに適した効果を持つカードだ。

 

「『レッド・ミラー』回収。魔法カード、『ペンデュラム・ホルト』を発動!俺のエクストラデッキに3種類以上のペンデュラムが加わっている事で2枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札1→3

 

「さぁ、お楽しみはこれからだ!魔法カード、『拡散する波動』!LPを1000払い、『覚醒の魔導剣士』はモンスターしか攻撃出来なくなる代わりに全体攻撃権を得、破壊されたモンスターは効果を発動出来ず、無効化される!」

 

榊 遊矢 LP3800→2800

 

「バトル!『覚醒の魔導剣士』で『ジャンク・バーサーカー』へ攻撃!」

 

「『ジャンク・ガードナー』の効果発動!『覚醒の魔導剣士』を守備表示に!」

 

「墓地の『チューニングガム』を除外し、シンクロモンスター1体を対象に取る効果の発動を無効に!」

 

「何っ!?くっ、墓地の『ダメージ・ダイエット』を除外!このターンの効果ダメージを半分に!」

 

ザンッ、『覚醒の魔導剣士』の剣が『ジャンク・バーサーカー』の鎧を容易く切り裂き、爆発が巻き起こる。強力な攻撃、にも関わらず、白コナミへのダメージは……0。

 

「永続罠、『スピリット・バリア』を発動していた……これで俺への戦闘ダメージは0だ……!」

 

「だけど『覚醒の魔導剣士』が戦闘でモンスターを破壊した場合、その攻撃力分のダメージを与える!」

 

「『補給部隊』の効果でドロー!」

 

白コナミ LP2700→1350 手札2→3

 

「ぐう、あっ……!」

 

「まだまだ!『ジャンク・ガードナー』、『ドッペル・ウォリアー』へ攻撃!」

 

白コナミ LP1350→650→250

 

「ごあっ……!」

 

一撃一撃が重く突き刺さり、白コナミのLPを大きく削り取る。残るモンスターは『ジャンク・ウォリアー』のみ。

攻撃力は『覚醒の魔導剣士』と同じ。ここで止まるか、否、このチャンスを逃す訳にはいかにい。

 

「『ジャンク・ウォリアー』へ攻撃!」

 

「迎え撃て!」

 

フィールド中央で背中のバーニアから炎を吹かせた『ジャンク・ウォリアー』と足元に発生させた魔方陣から爆発を起こして加速した『覚醒の魔導剣士』が火花を散らして激突する。

金属音を鳴らす魔剣とナックルダスター。互いにピシリとひびが走り、砕け散って『ジャンク・ウォリアー』が爆発。傍にいた『覚醒の魔導剣士』と白コナミも巻き込まれ、機体が吹き飛ばされて大きく損傷。

アーククレイドルにぶつかり轟音が鳴り響き、パラパラと破片が舞う。

 

「がはっ……!?」

 

「これで、どうだぁっ!」

 

「ぐっ……!」

 

「バトルフェイズ終了時、手札の『クリボーン』を捨て、『覚醒の魔導剣士』を蘇生する!」

 

「……こちらも『クリボーン』を捨て、『ジャンク・バーサーカー』を蘇生……」

 

覚醒の魔導剣士 攻撃力2500

 

ジャンク・バーサーカー 攻撃力2700

 

「ターンエンドだ」

 

榊 遊矢 LP2800

フィールド『覚醒の魔導剣士』(攻撃表示)

『補給部隊』

Pゾーン『EMモモンカーペット』『曲芸の魔術師』

手札1

 

凄まじい展開力を見せる白コナミに対し、遊矢もまたジャック、クロウ、仲間達の力を重ね、追いすがる

現在白コナミのLPを大きく削り取り、遊矢が優勢に立った。このまま押しきりたいが、そう上手く行くかどうか。白コナミは全力を出してはいない。その理由はコナミとのデュエルで彼が見せた、Dーホイールとの一体化。彼の奥の手が未だに疲労されていない。

だからこそ油断できない。しかし違和感を感じる。白コナミも遊矢もラストホイーラー。互いに倒れれば後はないと言うのに、何故。

 

(どうしてDーホイールと合体しないんだ……?)

 

奥の手を出し惜しむ理由が分からない。黒コナミのシャイニング・ドローと違い、彼の合体はデメリットも無いだろうに。

それがどうにも不気味で、不安をあおる。一体何を考えているのか、遊矢が未だにアーククレイドル表面に埋まる白コナミを睨み、口元を引き締める。

 

「……クク……!」

 

そんな彼の思考を見透かし、嘲笑うように――白コナミが触れているアーククレイドルの表面に、淡い光のラインが走り、天空を覆うサーキットが妖しく輝く。

 

「……?これは……」

 

「さぁ……お楽しみは、これからだ……!」

 

ガコン、シティ中に何かが動き出す音が響き、全ての住民が天を見る。まるで、神に許しを乞うが如く。そしてその時、シンクロ次元を脅かす災厄が、降りかかる。


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