遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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第183話 CROSS GAME

「おお立派な屋敷。色々思い出すな……」

 

「おお、そこにいるのはもしやツァン殿の友人の!」

 

帽子を被る不審者、デュエリストがやってきたのは大きな武家屋敷だ。

阿呆の下に現れたのは、青い武者鎧を纏った槍使いの阿呆、『六武衆ーヤリザ』。

彼はニコニコと笑みを浮かべ、ガッシャガッシャと鎧を鳴らして彼の傍に近づく。

 

「ハッハッハッ、いやまさかこんな所で会えるとは!」

 

「何だ、随分と機嫌が良いな」

 

「丁度良かったんで御座るよ。ニサシ殿が最近名刀を買って毎日毎日自慢して来たんでパクって来たで御座る」

 

「クソ野郎だなお前」

 

「パクったは良いものの、どうしたものかと思ってて、良ければ受け取って下され。ニサシ殿もデュエリストに渡したとなれば口を出せまい」

 

「クソ野郎だな」

 

そう言いつつヤリザから刀を受け取るデュエリスト。まじまじと見れば何か感じるものがあったのか、目を見開いてカードに変換、デッキへとおさめる。

 

「ところでこの後お暇で?よろしければお茶でも」

 

「いや良い」

 

ニコニコとニサシを陥れた事で機嫌を良くするヤリザを見て、デュエリストは呆れたような表情を浮かべ、彼の背後を顎で差す。

 

「背中には気をつけろよ」

 

時既に遅し、卑劣なヤリザの背中に、赤く目を光らせたニサシの二刀流が襲いかかった。

 

当然デュエリストはトンズラをこいた。

 

――――――

 

ジャック・アトラスとジャック・アトラス・Dのデュエルが終わった頃、治安維持局、屋上にて、ここでもまた、1つのデュエルが終局を迎えていた。

それは、プラシドと赤き竜のしもべのデュエル。

 

「そんな……」

 

あれから、赤き竜のしもべは主の力を十全に引き出し、多様な力を誇る数々の決闘竜を呼び出しプラシドを追い詰め……その結果として、敗北を喫した。

 

ボロボロのマントを靡かせ、尚も堂々と立つプラシドと身体を穴だらけにされ、文字通り風前の灯火となり倒れ伏すしもべ。

 

その光景を目の当たりにし、柚子は絶句する。赤き竜は強かった、柚子が見て来たどんなデュエリストよりも。正しく神の領域。

 

だがプラシドは神の試練を事如く打ち破り勝利した。まるでお伽噺の勇者のように、世界を救った英雄のように。

追い詰められ逆境に陥る度、その魂は輝き運命を覆した。神話の如き闘いに……柚子は見惚れてしまったのだ。

 

『馬鹿な……私が……赤き竜が敗北するなど……!』

 

あれだけ哄笑を上げていた赤き竜のしもべもこの結果に表情を歪ませ、憎々しげにプラシドを睨み付ける。

神が人に敗北したのだ。有り得ていけない結末を、認められる筈がない。屈辱を露とする彼に対し、プラシドは鼻を鳴らして彼に近づく。

 

「神と言えど、カードである以上無敵ではないと言う事だ。さぁ、いただこう。神の力を」

 

『……良いでしょう、善であろうと悪であろうと、勝者にはその権利がある』

 

ドスリ、プラシドの腕が赤き竜のしもべの胸を貫き、1枚のカードを抜き取る。そのカードは、『アルティマヤ・ツィオルキン』。シンクロモンスター最高峰のカードが彼の手に堕ちる。

 

――――――

 

「ヒャハハハハ!君の実力はその程度かい?『機皇帝スキエル∞』で『魔界劇団サッシー・ルーキー』へ攻撃ィ!」

 

「くっ……!」

 

沢渡 シンゴ LP3400→2900

 

沢渡のペンデュラムモンスター、青い毛むくじゃらの髪を揺らし、オーバーオールを着用した『魔界劇団サッシー・ルーキー』が敵である赤髪の少年、ルチアーノが誇る青き合体ロボットモンスター、『機皇帝スキエル∞』に吹き飛ばされ、ビルに激突する。

 

プラシドのワイゼルと同じく5体のモンスターからなるモンスターは、あちらと異なり鳥のような飛行型をしており、攻撃力はやや低い。

だがその分機敏性に長け、こうして沢渡を追い詰めていると言う訳だ。

 

「「「沢渡さん大丈夫ッスかーっ!?」」」

 

「当然だっつーの!テメェ等はそっちの奴等を守っとけ!」

 

沢渡のピンチに子分達が声を上げる。彼等の周囲にはシティの市民達の姿。黒咲と同じく、力なき者をルチアーノの手から守っていると言う事だろう。数は黒咲と違い、かなりのものだが。

それをカバーする為子分達が警戒していると言う訳だ。

当然、アクションカードを取りには行けないが。アクションデュエルを得意とする沢渡としてはかなりの痛手だ。

 

「足手纏いを守らなきゃいけないのは大変だねぇ。同情するよ!まぁ君自身も大した事ないみたいだけど!警戒していたペンデュラムってのも使い手が悪くちゃあねぇ」

 

「何だとクソガキィ!」

 

あからさまな挑発であるが、沢渡には効果覿面。顔を真っ赤にして歯軋りを鳴らす。

 

「他のお仲間もシティ市民を守って苦戦中、守ったところでシティが変わる訳じゃないのにさぁ」

 

「あん?守らなかったら、変わる事も出来ねぇだろうが」

 

ルチアーノの言葉に沢渡はこのシンクロ次元に来る前に、遊矢と会話した事を思い出す。

 

あれはLDSで彼と特訓をした後だったか。2人共にベンチに座り、スポーツドリンクを飲んでいた時、ふと沢渡が彼に問いかけたのだ。

 

「……そういやさお前、俺が昔ペンデュラムカードを奪った事、どう思ってんだ?」

 

「?そんな事あったか?」

 

「……は?」

 

それは遊矢と沢渡が出会った時の事。今思えば最悪の出会いをした時の事だ。その事を、遊矢をすっかり忘れていた。

思わず沢渡はううん?と唸る遊矢を冷めた目で見る。

 

「あーっあったあった。で、何?謝ってくれんの?多分謝らないんだろーけど」

 

「何その嫌な信頼……謝りたくねぇけど」

 

「だろ?まぁ柚子達には謝って欲しいけど、俺は気にしないよ。だって沢渡、変わったじゃん」

 

「……俺が?」

 

くしゃりと微笑む遊矢と呆ける沢渡。確かに、沢渡は悪い事をした。だけど遊矢にはそれを許すだけの訳がある。

 

「舞網チャンピオンシップで皆を助けた。落ち込んでたコナミと俺を励ましてくれた」

 

だから良いんだ、と彼は笑う。それで良いんだと彼は言う。だって沢渡は。

 

「言葉よりも、行動で示すタイプなんだよ」

 

「……」

 

「人は変わる、変われるんだよ」

 

そう言って、嬉しそうに笑う彼の横顔を、沢渡は無言で見つめていた。

 

「人は変わるんだよ。その権利を奪う資格なんざ、テメェにはねぇ!」

 

「「「丸パクリッスよ沢渡さぁーん!」」」

 

あの時の遊矢の言葉をパクりつつ、沢渡はビシリとルチアーノを指差す。そして更に、口を開く。

 

「俺はゲームとかで敵が正論もどきを言うのが大っ嫌いなんだよ!口は一丁前の癖に行動は正しくなんざねぇんだからよ!どんな可哀想な理由を持ってようが、そんな奴等にアレコレ並べ立てられて襲われるコッチの方が可哀想だ!」

 

ルチアーノはかつて未来を救おうと、必死で足掻いた者の1人だ。その為に多くの人間を犠牲にする道を選んだ。何度も何度も試行を繰り返しその果てにその道を選んだ。

それは決して許されない事。ルチアーノとて自覚はしている。

だけどそれしかなかったのだ。犠牲の果てに未来を掴み取る他なかった。彼等を否定する事は出来ても、糾弾する事は誰にも出来ない。

 

「コイツ等は変わるんだよ!俺様のファンに!」

 

いやそれは知らない。感動的な場面にも関わらず、そう叫びたいシティ市民であった。

 

――――――

 

一方、フレンドシップカップ会場、スタジアムにて。ジャック・アトラスとの激闘の果てに敗北し、その魂を燃やし尽くしたたDーホイーラー、ジャック・アトラス・Dの姿を見て、感傷に浸る遊矢の姿があった。

 

「……」

 

遊矢からすれば彼の素性は良く分からないにしろ、敵である事だけは確かだった。彼は倒すべき悪だった筈だ。

だが――遊矢はジャック・Dの事を、いや、ネオ5D'sの事をそこまで嫌いにはなれていない。

 

ロボットだからと言って、命がないとは限らない。その命に、価値がないとは思えない。

だから――彼の死は、遊矢の心に複雑な喪失を抱かせた。

 

もっと自分が何かすれば――彼は、死なずに済んだのではないか。

ジャックを悪役にする訳ではないが、分かり合える道があったのではないかと、烏滸がましいと思っても考えてしまう。

涙は流れない。流す権利は自分には無いから。

 

「あいつ、スゲェ奴だったな」

 

「……クロウ……」

 

そんな遊矢の肩に乗った、何か重たいものを奪うように、隣のクロウが目を細め、遊矢に語りかける。

それは遊矢に話しかけているようで、死したジャック・Dに語りかけているようだった。

 

「確かに悪い奴だろうけどよ、アポリアとか、ZONE……ああお前は知らねぇか……あいつ等と違って、未来を善くしたいとは思ってなかった、正義じゃねぇ悪だ。だけど……スゲェ奴だったよ」

 

「……うん」

 

「だから、可哀想とか思ってやるなよ?あいつはきっと、ジャックと本気のデュエルが出来て満足だったんだ。あいつを本気で理解出来たのは、きっとジャックだけだ。だから――ジャックがあいつを、その、殺しちまったって言う結果は間違いじゃないと思う。正しくはなくても、な」

 

ボリボリと頭を掻いて、クロウは学がないなりに、自分なりに子供である、だけども認めてはいる遊矢を励まそうとする。

お前が気にする事じゃないと、お前が背負う罪じゃないと、大人らしく振る舞おうとする。

遊矢も、それを分かっていて。

 

「……うん」

 

「それによ、あの偽者……いや、あのジャックもそれを受け入れたんだ。ジャックとあっちのジャックが納得した結果なら――俺にもお前にも、誰にも文句を挟む権利はねぇと思う」

 

「……そう、だな」

 

そして、クロウも、あの2人の間で繰り広げられた熱きデュエルの語り合いに、余り口を挟みたくはなかった。

 

「悪い奴だから、ロボットだからって命がない訳じゃねぇし、殺して良い訳はねぇけどよ。お前が気負う必要もねぇんだ……それにあいつもジャックならよ、同情等俺に必要ない!ってキレると思うぜ」

 

「……」

 

それでも不器用に笑うのは、彼なりの遊矢と、ジャック・Dに対する優しさだった。

 

「悲しむな、とか。忘れるな、とかは言わねぇよ。だけど――憐れむな。あいつはスゲェデュエリストだった。スゲェデュエルをした。違うか?」

 

「……ああ」

 

クロウの言葉と共に――遊矢は気持ちと共に、前を向く。頼れる仲間が切り開いてくれる、光差す道を。

 

更に敵地のピットを見ればジャック・アトラス・Dの後続であるクロウ・ホーガンが己のDーホイールに乗り、白コナミと会話する姿があった。

 

「奴だからこそジャックをここまで追い込めた」

 

「……ジャック・Dは負けた割には満足そうだった」

 

白コナミは彼が負けた事は気にする事なく、ボディを半壊させ、己の魂を燃やし尽くしたジャック・Dを見て悲しむ事なく、機体を調整。クロウ・ゴーストの方はそれよりも疑問が先立ち、白コナミへと問いかける。

 

「さて、何故だろうな。お前も、クロウと闘えば分かるのではないか?お前の場合、その辺のこだわりはないようだがな」

 

「……」

 

「成長してみろ、このデュエルで」

 

白コナミの言葉に対し、クロウ・ゴーストはコクリと頷き、白く染まったブラック・バード・アルビオンに搭乗、猛スピードでジャックの背を負う。その背中を、白コナミは無言で見つめていた。

 

「まるで兄弟だな……お前達は……」

 

向けられた白コナミの呟きに――ジャック・Dが答える事は無かった。

 

「さて、次は貴様か、クロウのコピー!」

 

「否定。俺はオリジナルを越えたゴースト。このデッキは新型の『BF』である『ABF』と旧型の『BF』を混合したハイブリッド。更にこの機体はブラック・バードの性能を大きく上回っている」

 

「フ、性能で計れる程デュエルは甘くない」

 

現在のフィールドの状況はクロウ・ゴーストが0。ジャックがエンドフェイズがスキップされた事で破壊を逃れた『巨大化』を装備したエースモンスター、『レッド・デーモンズ・ドラゴン』と『ダーク・リゾネーター』、『チェーン・リゾネーター』の3体。そしてLPは100。

手札5枚でスタートするクロウ・ゴーストなら簡単に狩れるだろう相手だ。これもジャック・Dのお蔭だろう。負けはしたものの、ギリギリまで削ってくれた。

 

「俺のターン、ドロー。永続魔法、『黒い旋風』を発動」

 

彼の手から1枚のカードが発動され、フィールドに様々な鳥獣の羽を帯びた風が吹く。『BF』を『ガジェット』化する強力なサーチカード。展開力に富み、手札消費が激しい『BF』において必要不可欠なカードだ。当然クロウ・ゴーストもデッキに3枚投入している。

 

「『BFー蒼炎のシュラ』を召喚」

 

BFー蒼炎のシュラ 攻撃力1800

 

現れたのは青と黒の羽毛で覆われた鳥獣戦士。攻撃力は1800。『黒い旋風』内で使うなら優秀なアタッカーだ。

 

「『黒い旋風』の効果発動、『BF』の召喚時、その攻撃力以下の『BF』をサーチする。『BFーそよ風のブリーズ』をサーチ。ブリーズの効果発動、このカードがカード効果によって手札に加わった場合、このカードを手札から特殊召喚する」

 

BFーそよ風のブリーズ 攻撃力1100

 

次は『BF』と言うには余りにかけ離れた明るいオレンジと黄色の羽毛を持ったモンスター。

その効果故に『黒い旋風』とは抜群の相性を誇るカードだ。そしてこのカードはチューナーモンスター。

高速シンクロを狙う『BF』ならば、特殊召喚可能なチューナーと言うのはありがたい。

 

「『BFー黒槍のブラスト』はこのカードと同名以外の『BF』がフィールドに存在する場合手札から特殊召喚が可能」

 

BFー黒槍のブラスト 攻撃力1700

 

更に展開、今度はその異名通り巨大なランスを手に持つ鳥人。赤く染まった頭部とは対照の黒い翼、雄々しい脚部を広げ、ジャックのモンスターを睨む。

シュラには攻撃力では劣るが、特殊召喚が容易な点ではこちらが優れていると言える。

 

「そして『BFー疾風のゲイル』はブラストと同条件で特殊召喚が可能」

 

BFー疾風のゲイル 攻撃力1300

 

『BF』の展開速度はこれだけではおさまらない。恐るべき速度で4体目のモンスターがフィールドに並ぶ。頭部からは緑の羽毛を、体には紫の羽を伸ばしたブラスト同様、群れをなして現れる『BF』。

 

と言ってもこちらはブラストと違い、レベル3のチューナー。しかも戦闘を有利に進める効果を持っており、そのレベルからブリーズの上位互換と言えるカードだ。

成程、クロウを名乗るだけあって彼に劣らぬ『BF』の使い手と言う事かとジャックは口を一文字に結ぶ。

 

だが本当に恐ろしいのは、ここまで彼が一切新型の『BF』を使っていないと言う事だ。旧型の完成度が高いと言う事もあるが、これで新型を織り混ぜればどれ程の速度と化すのか。

 

「レベル4のブラストに、レベル3のブリーズをチューニング。漆黒の翼翻し雷鳴と共に走れ!電光の斬擊!シンクロ召喚!降り注げ、『ABFー驟雨のライキリ』!」

 

ABFー驟雨のライキリ 攻撃力2600

 

そして新型が現れる。稲光がフィールドに降り注ぎ、人影が見えた時には既に遅く、クロウの隣に新たなモンスターが姿を見せる。

これまでの『BF』とは大きく異なる外見に、ジャックが目を細める。

 

人型に鳥を模した鎧兜を纏わせ、背から漆黒の鳥羽の左翼、機械の右翼を伸ばし、美しい波紋を輝かせる日本刀を手にした武人のモンスター。

しかしただの人間と言う訳ではないらしく、脚部は鳥のそのものと化している。

『ABF』より鋭く、より攻撃的になった『BF』がジャックを襲う。

 

「『ABF』……成程、これが新型か」

 

ジャックもクロウも、クロウ・ゴーストに関しては情報がない。ベンチで控える遊矢がクロウへた彼の情報を伝える。未知の敵程怖いものはない。

 

「『BF』モンスターを素材としてシンクロ召喚したこのカードはチューナーとして扱う」

 

「シンクロチューナーか……それだけであるまい?」

 

「ライキリの第2の効果。1ターンに1度、このカード以外の『BF』の数まで相手フィールドのカードを対象に取り、破壊する」

 

「何だと……!?」

 

クロウが持つ『BF』とは異なる破壊的な効果にジャックが目を見開く。これが『ABF』、新型だ。

今までの『BF』とは違う切り口のアプローチ。従来の『BF』を活かしつつ、足りない部分を補う実に利にかなった強化。展開力を伸ばしつつ手が届かなかった所を補助するコンセプト。

 

これは中々不味いかもしれない。クロウが彼の相手をするとなると、単純に言えば『ABF』がある分クロウ・ゴーストが有利になるかもしれないと言う事だ。

 

同じ『BF』使いなら、強い方が勝つ。

 

「破壊するのは『レッド・デーモンズ・ドラゴン』と『ダーク・リゾネーター』」

 

ライキリが刀に雷を纏わせ、居合いの要領で飛来する斬擊を放つ。まるで横薙ぎに降り注ぐ稲妻。目にも止まらぬ速さで魔竜と『ダーク・リゾネーター』を貫き、ズドン、と遅れて雷鳴が轟く。

 

「チッ、ここまでか……!」

 

残るジャックのモンスターは『チェーン・リゾネーター』1体のみ。これではクロウ・ゴーストの猛攻は防げないだろう。あのジャック・Dとの激戦の後だ、仕方無いと言えばそれまでだが。

 

「レベル4のシュラにレベル3のゲイルをチューニング!シンクロ召喚!『BFTー漆黒のホーク・ジョー』!」

 

BFTー漆黒のホーク・ジョー 攻撃力2600

 

2連続シンクロ召喚。次に現れたのもクロウが持たぬ『BF』モンスター。テイマーの名の通り、『BF』達を活かす事に長けたモンスターだ。

 

獅子の鬣のように伸びた赤髪に左肩が鳥の嘴になるように作られた黄金の鎧。左手ではギラギラと猛禽の爪が輝いており、背中からは黒い羽が広がっている。

ライキリと後1体を合わせ、『BF』の3羽烏の1枚だ。

 

「カードを2枚セット、バトル。ライキリで『チェーン・リゾネーター』へ攻撃!」

 

ジャック・アトラス LP100→0

 

「ッ!」

 

ライキリが翼を広げて滑空、その勢いのまま刀を振るい、ジャックのLPを削り取る。これで一対一、勝負はまだイーブンだ。

ジャックの愛機、ホイール・オブ・フォーチュンが白煙を上げて停止し、クロウ・ホーガンへとバトンを繋ぐ。

 

「ナイスファイトだジャック!アイツの事は俺に任せな!」

 

「気をつけろ、相当やるぞ」

 

「ハッ、強敵相手なんぞ慣れてるっつーの!むしろその方が燃えるってもんだろ?」

 

「違いない、さぁ行けクロウ!チーム5D'sの鉄砲玉の力、思い知らせてやれ!」

 

「応よ!」

 

パン、クロウとジャックがハイタッチを交わし、乾いた音が響く。そんな中、クロウはブラック・バードを走らせながら過去に思いを馳せる。

 

チーム5D'sの皆で、互いの夢に向かって走り、それぞれ異なる道へ進んだ時の事を。自らの誇りでもあるチーム5D'sのリーダーとハイタッチを交わした時の事を。

 

(お前は今どこで何をしているのかねぇ……おっと、昔を思うのは後だ。今は……過去より未来の事を、だ!)

 

だが相手は新型の『BF』使い。つまり未来の『BF』を使う者。何とも皮肉な話だ。未来を掴み取る為に、未来と闘うとは。まるであの時のようだ。

 

「行くぜ偽物野郎!この鉄砲玉のクロウ様がぶち抜いてやるぜ!」

 

「否定、旧型しか扱えないクロウ・ホーガンが俺に勝つ確率、17%」

 

「充分だ!」

 

『チームARCー5D's、セカンドホイーラーはクロウ・ホーガン!『BF』使い同士が今対決する!』

 

ユーゴ相手に圧倒的な速度を見せつけたクロウ。

しかしクロウ・ゴーストは新たな『BF』を所持している以上、更に上の速度を行くだろう。あの時のように、デッキ切れは狙えなさそうだが。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

クロウ・ゴーストのターンが強制的に終了し、クロウにターンが渡る。デッキよりカードを1枚引き抜き、手札が6枚に。

だが残念な事にこの中に『黒い旋風』はない。ここで遅れを取るのは少々不味い。

 

「ライキリが破壊効果持ちでホーク・ジョーが対象変更と蘇生効果持ち。ここでアーマード・ウィングまで来たら確かに面倒だな……」

 

遊矢から聞いた情報を元に戦術を組み立てる。新型と旧型の『BF』を合わせたクロウ・ゴーストは本当に厄介だ。

 

破壊のライキリに蘇生のホーク・ジョー。更にここにクロウも持っている『BFーアーマード・ウィング』が加われば戦闘破壊耐性と相手モンスターの弱体化が揃い、真っ先に蘇生効果を持っているホーク・ジョーを狙っても、アーマード・ウィングへ対象を移され、攻撃であれば弱体化に繋がる。面倒なものだ。

ここはセオリー通り、ホーク・ジョーを集中して狙うべきだ。

 

「墓地の『アマリリース』を除外し、『BFー追い風のアリゼ』のリリースを軽減し召喚!」

 

BFー追い風のアリゼ 攻撃力1200

 

「俺のフィールドに同名以外の『BF』モンスターが1体のみ存在する場合、手札の『BFー白夜のグラディウス』は特殊召喚出来る!」

 

BFー白夜のグラディウス 守備力1500

 

次は白銀の鎧を纏い、二振りのナイフを握るモンスター。レベルは3と同条件で特殊召喚出来る非チューナー、ブラストと差別化が出来る。

 

「次は同名以外の『BF』が存在する事で、『BFー突風のオロシ』を特殊召喚!」

 

BFー突風のオロシ 守備力600

 

続けて現れたのはレベル1チューナー、顎から赤く染まった瘤を生やした特徴的な鳥獣族モンスター。

 

「あらよっと、『BFー疾風のゲイル』を特殊召喚!」

 

BFー疾風のゲイル 攻撃力1300

 

そして4体目、クロウ・ゴーストと同じように『BF』が群れをなして並ぶ。単体でも充分に優秀なチューナーだ。

 

「ゲイルの効果発動!ホーク・ジョーの攻守を半分にする!」

 

「通す」

 

BFTー漆黒のホーク・ジョー 攻撃力2600→1300

 

ターン1の相手モンスターの攻守半減。ちなみにこの効果は永続だ。ターンを跨いでも半減された攻守は戻らない厄介極まりないもの。

にも関わらず、クロウ・ゴーストは通した。いや、通さざるを得なかったのだ。クロウのフィールドにはチューナーと非チューナーが2体揃っている。つまり2体のシンクロモンスターを警戒しているのだ。

ホーク・ジョーさえ死守すれば巻き返しは充分に効く。

 

「レベル3のグラディウスに、レベル3のゲイルをチューニング!シンクロ召喚!『BFー星影のノートゥング』!」

 

BFー星影のノートゥング 攻撃力2400

 

そしてシンクロ召喚、現れたのは逞しい人間の肉体に猛禽の頭部、手に美しい波紋が広がる剣を持ったモンスター。汎用レベル6シンクロモンスターであり、『BF』で使用すればより真価を発揮すると言う優秀なカードだ。

『BF』の召喚権を増やす効果を持つ為、『黒い旋風』と相性が良く、展開力の底上げが出来る。

 

「ノートゥングが特殊召喚に成功した事でお前に800のダメージを与え、ライキリの攻守を800ダウンする!そして墓地の『レッド・ミラー』を回収!」

 

クロウ・ゴースト LP4000→3200

 

ABFー驟雨のライキリ 攻撃力2600→1800

 

バーンと対象を取らない弱体化。効果発動の条件はシンクロ召喚ではなく、特殊召喚の為、ホーク・ジョーの蘇生でとOKな訳だ。

クロウ・ゴーストがこの事を知らない訳がない為、狙う事もあるだろう。

頭に警戒すべき項目を増やし、クロウは更なる加速を求める為に右腕を天に掲げる。

 

「レベル5のアリゼに、レベル1のオロシをチューニング!漆黒の力!大いなる翼に宿りて、神風を巻き起こせ!シンクロ召喚!吹き荒べ、『BFーアームズ・ウィング』!」

 

BFーアームズ・ウィング 攻撃力2300

 

2連続シンクロ、ノートゥングと並んで現れたのは頭部から赤い羽根を伸ばし、嘴の中に青く輝くビー玉のようやモノアイ、黒い鎧と機械の翼、肩と尾羽を生やしたシンクロモンスター。その手には銃剣を持っており、軽装甲と合わせて攻撃的なカードである事がうかがい知れる。

 

「シンクロ素材として墓地に送られた突風のオロシの効果発動!ライキリを守備表示に変更!更にアリゼの効果でLPを600回復!」

 

「罠発動、『ブラック・リターン』!」

 

「何ぃ!?」

 

しかし、クロウ・ゴーストはこの瞬間こそを待っていた。チャキリと彼のマシンアイが鳴ると共にリバースカードが静かに立ち上がり、その正体を見た途端にクロウは驚愕する。『ブラック・リターン』。その効果は。

 

「このカードは『BF』モンスター1体が特殊召喚された時、相手フィールドのモンスター1体を対象とし、発動可能。対象モンスターの攻撃力分、LPを回復し、対象モンスターをバウンスする」

 

ライフゲインとバウンス効果。そしてこの状況で最も肝となるのは『BF』が特殊召喚された時と言う起動条件。

 

そう、この『BF』、何も自分のとは書かれていないのだ。敵味方問わず、『BF』の特殊召喚時に発動可能。

つまりこのカードは『BF』のサポートカードでありながらメタカード、『ガトムズの緊急指令』等と同じカードなのだ。

 

「『BF』使いだから、その弱点を知ってるって事かい……!」

 

「先程の盤面においてクロウ・ホーガンがノートゥングとアームズ・ウィングを並べる確率、91%」

 

「読まれてたって訳か、ムカつく野郎だ……!」

 

「対象に取るのはアームズ・ウィング」

 

クロウ・ホーガン LP4000→4600

 

クロウ・ゴースト LP3200→5500

 

アームズ・ウィングには守備表示モンスターを攻撃した際、攻撃力アップ効果と貫通効果を持つ。オロシの表示形式変更効果も合わせ、大ダメージを与えつつ、2体の攻撃でクロウ・ゴーストのモンスターを全滅させようとしていたのだろうが、クロウ・ゴーストはその考えを見抜いていた。

 

「クソッ、バトルだ!ノートゥングでホーク・ジョーへ攻撃!」

 

「ホーク・ジョーの効果発動。攻撃対象をライキリへ変更」

 

ノートゥングが大剣を振り回し、ライキリが持つ刀を折り砕き、返す刃で鎧を切り裂く。

しかし現在ライキリはオロシの効果で表示形式を変更してしまった為、ダメージを与えられない。

ライキリ自体も次のターン、ホーク・ジョーの効果で蘇生されるだろうが、シンクロ素材を蘇生される事もあるだろう。ライキリを蘇生出来るより、蘇生せざるを得ない状況にしておきたい。

多少の差だろうが、やらないよりマシだ。

 

「カードを2枚セット、ターンエンドだ」

 

「この瞬間、罠発動、『デルタ・クロウーアンチ・リバース』」

 

「ッ!?」

 

更にクロウを追い詰める一手が放たれる。絶句し、苦虫を噛み潰したような表情となるクロウ。無理もない、このカードの効果は。

 

「自分フィールドに『BF』が存在する場合、相手フィールドにセットされた魔法、罠を破壊する」

 

セット限定、罠カードの『BF』専用『ハーピィの羽帚』。魔法カードと違い、速度は違うが、だからこそ罠の利点、エンドサイクのような真似が出来る。

 

それも全体除去でだ。セットされたばかりのカードは発動出来る筈もなく、バキリとガラスがひび割れるようにソリッドビジョンのカードが砕け散る。

 

「クロウ・ホーガンが2枚以上のカードをセットする確率、75%」

 

「ハッ、そうかよ。だがこれは予想出来たか!?破壊された罠カード、『BFーマイン』の効果発動!セットされたこのカードが相手カードの効果で破壊された時、俺のフィールドに『BF』がいる事でテメェに1000のダメージを与え、俺はデッキから1枚ドローする!」

 

クロウ・ゴースト LP5500→4500

 

クロウ・ホーガン 手札1→2

 

「ッ!」

 

「ちったぁ顔色変わったか?」

 

仕掛けられていた地雷がクロウ・ゴーストにダメージを与え、クロウに新たな手札を与える。

これは流石のクロウ・ゴーストも予想していなかったのか、眉を伏せ、表情を歪める。

 

クロウ・ホーガン LP4600

フィールド『BFー星影のノートゥング』(攻撃表示)

手札2

 

互いに互いの1ターン目を終える。しかし同じ『BF』使いと言えど、現在有利なのは――新型を持つ、クロウ・ゴースト。

やはりカードプールから違う以上、数歩の遅れが差を別つ。この差をどうにかして埋めないとクロウに勝ち目はないと考えて良い。

 

デッキタイプが全く異なるジャックとジャック・Dとは違うのだ。浮き彫りになるスペックの差に、クロウが悔しげに表情を歪める。

それでも何とか追いすがれているのは経験の差、百戦錬磨のクロウだからだ。

 

「俺のターン、ドロー!『BFー上弦のピナーカ』を召喚」

 

BFー上弦のピナーカ 攻撃力1200

 

クロウ・ゴーストの手から召喚されたカードを見て、クロウが小さく舌打ちを鳴らす。それもその筈、ニヤケ顔で弓をつがえるこの鳥獣は『BF』の中では優秀なサーチカードなのだから。

だがサーチにはこのカードをフィールドから墓地に送らねばならない。

シンクロ素材にするならばもう1体『BF』が必要。『黒い旋風』で相方を呼ぶとしてもその攻撃力は1100以下、しかも召喚権を使った今、特殊召喚出来る。モンスターでなければならない。

クロウの知る限りそんなモンスターは――。

 

「『黒い旋風』の効果により、『BFー砂塵のハルマッタン』をサーチ、同名以外の『BF』が存在する事で特殊召喚する」

 

BFー砂塵のハルマッタン 守備力800

 

「ああ……そういや遊矢が言ってたなぁ!」

 

クロウが知る限りでいなくとも、相手はクロウも知らない『BF』を使う敵。癪なものだ。幼き頃から共に闘った『BF』の情報でクロウが劣るとは。子供染みた独占欲が沸いてくる。

 

「パクリ野郎が……事務所に許可通してねぇだろ!裁判になったら勝てるぞ!弁護士呼べ弁護士!」

 

「否定、俺は決してパクリではない。強いて言うならばミュウとミュウツーのような……」

 

「俺の思い出を汚すな!」

 

「ではウォーグレイモンとブラックウォーグレイモン……いやむしろウォーグレイモンとウォーグレイモンX抗体のような……」

 

「ええい、いきなり親しみやすくなるようなギャップを出すな!」

 

少々サブカルに染まっているのはロジェのせいである。

 

「ターンを続行、レベル2のハルマッタンに、レベル3のピナーカをチューニング。黒き烈風よ、絆を紡ぐ追い風となれ!シンクロ召喚!飛び立て、『ABFー五月雨のソハヤ』!」

 

ABFー五月雨のソハヤ 攻撃力1500

 

雷が降り注ぎ、光の柱から飛び出したのは青い甲冑を纏った鳥人剣士。複数枚積む事で真価を発揮する面白いカードだ。

 

「『BF』を素材としたこのカードはライキリ同様、チューナーとなる。そしてこのカードのシンクロ召喚時、墓地の『ABF』モンスター、『ABFー驟雨のライキリ』を蘇生する」

 

ABFー驟雨のライキリ 攻撃力2600

 

「ライキリの効果発動。ノートゥングを破壊する」

 

「チィッ!」

 

切り裂かれるノートゥング。先のターンのお返しとばかりの一撃だ。クロウは下唇を噛み、眉を吊り上げる。認めたくないが、確かにこのカードは『BF』の弱点を補っている。それにホーク・ジョーも厄介だ。

 

これでクロウのモンスターは0、対するクロウ・ゴーストはシンクロモンスターが3体。

更にクロウ・ゴーストの場にはチューナーと非チューナーが揃っている。手を緩める事なく更なる展開へ移る。

 

「レベル7のライキリに、レベル5のソハヤをチューニング!漆黒の翼よ!雷の力宿して鮮烈に轟け!シンクロ召喚!切り裂け!『ABFー神立ちのオニマル』!!」

 

ABFー神立ちのオニマル 攻撃力3000

 

シンクロモンスターとシンクロチューナーの2体を組み合わせてのシンクロ。ライキリとソハヤ、2体分の雷を纏って現れたのは最高レベル12の『ABF』。

 

漆黒の鎧の各所に引かれた山吹色の線が映え、右肩からは美しい黒の翼、左肩からは幾つもの鋭い刃の鎌を重ねたような翼が伸びており、肩、手甲、脚部の装甲で輝く稲妻模様からバチバチと電光が迸っている。

その手に握るは雷のジグザグ軌道を象った黒い刃の刀。

 

荘厳でありながら、どこか荒々しさを感じさせるモンスターを前に思わずクロウが息を呑む。

レベル12、攻撃力3000の超大型シンクロ。つまりクロウの『BF』には無い、切り札級のパワー。1体で全てをねじ伏せるであろう突破力だ。序盤からここまでのカードを出して来るとは。

 

「『BF』を素材とした事でチューナー化、そしてオニマルは効果で破壊されない。ホーク・ジョーの効果発動。墓地のライキリを蘇生する」

 

ABFー驟雨のライキリ 攻撃力2600

 

「バトル。オニマルでダイレクトアタック。シンクロモンスターのみを素材としてシンクロ召喚したこのカードが攻撃する場合、ダメージステップの間、このカードの攻撃力は3000アップする。サンダーボルトフラップ」

 

「させるかよ!墓地の『光の護封霊剣』を除外し、このターンのダイレクトアタックを防ぐ!更に手札の『レッド・ミラー』を墓地に送り、墓地の『レッド・スプリンター』を回収!」

 

あわやワンショット・キル、頭上から降り注ぐ雷をオニマルが刀で受け止め、グルリと回転して電撃を黄金の刃として発射、クロウを狙い撃つ。

しかしこの程度で終わる程クロウ・ホーガンはやわじゃない。

 

彼等のチーム、5D'sのリーダーとバーニングソウルを持ち、圧倒的なパワースタイルで闘うジャック・アトラスとは違い、クロウには彼だけが持つ派手な個性はない。

確かにスピードやテクニック、展開力は一級品。

だが、チーム、5D'sの敵は何時もその一級品以上、クロウはそんな格上達が相手でも一歩も引かず、とんでもないしぶとさを武器に闘って来たのだ。縁の下の力持ち、と言うのは間違いなく彼だ。

 

彼がいなければツートップの個性が強いチームは瓦解する可能性すらあった。船頭多くして船山に上ると言うように、クロウは2人の間を繋ぐ巨大な橋、ダイダロスブリッジだった。

 

そんな持ち前のしぶとさで墓地の罠を使うと言うトリッキーさを披露、地から出現した光の剣が今度はオニマルの斬撃を防ぐ盾となる。

コモンズの泥臭さも思わせる、トリックスターの妙技、そんな何時も通りの彼のデュエルを見て、ジャックが得意気に鼻を鳴らす。

 

「これ位は当たり前だ。奴は昔からそうだった。確かにクロウはクリアマインドやバーニングソウル等のシンクロの先もなければ鬼柳のような圧倒的な実力を持っている訳でもない。だがそれでも奴は俺達と常に肩を並べて来た。それで推して知るべしだろう」

 

それがどれだけとんでもない事か、ジャックは知っているのだから。

 

「奴が仲間でいる。それがどれ程頼もしい事か。貴様等には分かるまい。だから……奴が敵でいる事がどれ程の脅威か、身をもって知るが良い」

 

ニヤリ、とジャックが底意地の悪い笑みを浮かべる。だが。

 

「知るのは貴様等だ」

 

その上で、白コナミは嘲笑う。

 

「貴様等が相手にしているのは、そのクロウ・ホーガンの先を行くものである事を」

 

オリジナルとコピー、どちらが勝るのか、それはこのデュエルの結果にこそ表れる。

 

「ターンエンド。この瞬間、ピナーカの効果でデッキから『BFー月影のカルート』をサーチ」

 

クロウ・ゴースト LP4500

フィールド『ABFー神立のオニマル』(攻撃表示)『ABFー驟雨のライキリ』(攻撃表示)『BFTー漆黒のホーク・ジョー』(攻撃表示)

『黒い旋風』

手札1

 

襲いかかる『BF』使い、クロウ・ゴースト。自らのデッキを強化し、神速の域に達した敵を相手に、クロウ・ホーガンは苦戦を強いられる。

ジリジリと力負けしていく中、果たしてクロウは活路を見出だす事が出来るのか。

セカンドホイーラーのミラーマッチは、更に続く。

 


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