遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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プランダラの作画が心配過ぎる……クソ面白いのになぁアレ。大変だけどアクションシーン頑張ってくだせぇ……!


第179話 我が魂

ジャック・アトラスVSシンジ・ウェーバーのデュエルは中盤に入る。現在優勢なのはシンジだ。LPは2050、フィールドにはシンクロモンスターが1体、下級モンスター3体の計4体。モンスターの破壊時にカードをドローする『補給部隊』とセットカードが静かに設置されている。

対するジャックのフィールドには『カウンター・ゲート』と自身の効果で妥協召喚された『ビッグ・ピース・ゴーレム』だけ。手札は0、LPも400と大ピンチだ。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ここで引かねば敗北は確実。正念場を乗り切る為、ジャックは決死の想いでカードを引き抜く。引いたカードは、悪くはない。

 

「魔法カード、『貪欲な壺』!墓地のモンスターを5体デッキに戻し、2枚ドロー!」

 

状況を打破する為には足り得ないカードだが、1枚でも手札が欲しい今この時では充分なドローカード。少々賭けになるがこのピンチだ。この位の賭けも仕方あるまい。新たに2枚のカードを手札に加え、ジャックの眉が吊り上げる。

 

「『ダブル・リゾネーター』を召喚!」

 

ダブル・リゾネーター 攻撃力0

 

現れたのはレベル1、2つの頭部を持ち、炎を帯びた『リゾネーター』。レベル1『リゾネーター』には他に『シンクローン・リゾネーター』や『チェーン・リゾネーター』が存在しており、このカードは比べると少々劣る。だがこれでレベル5の非チューナーとレベル1のチューナーが揃った。狙うはレベル6のシンクロモンスターを呼び出す事。

 

「罠発動!『サンダー・ブレイク』!手札1枚を捨て、『ビッグ・ピース・ゴーレム』を破壊する!」

 

「甘いぞシンジ・ウェーバー!俺のフィールドのモンスターが破壊された事で、手札の『異界の棘紫竜』を特殊召喚!」

 

異界の棘紫竜 攻撃力2200

 

現れたのはその名の通り、身体中から棘を伸ばした醜い紫の竜。『ビッグ・ピース・ゴーレム』と同じくレベルは5、この駆け引きを制したのはジャックだ。

 

「レベル5の『異界の棘紫竜』に、レベル1の『ダブル・リゾネーター』をチューニング!シンクロ召喚!『レッド・ライジング・ドラゴン』!」

 

レッド・ライジング・ドラゴン 攻撃力2100

 

決死の想いでカードを繋ぎ、シンクロ召喚。フィールドに降り立ったのは炎で形作られた紅蓮魔竜。『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』を模したようなモンスターだ。だが所詮は紛い物。ステータスは劣っている。が、それでも構わない。何故ならこのカードはあくまで繋ぎ。アタッカーとして運用しようとする方が間違いだ。

 

「『レッド・ライジング・ドラゴン』のシンクロ召喚時、墓地の『レッド・リゾネーター』を特殊召喚!」

 

レッド・リゾネーター 守備力200

 

「そして『レッド・リゾネーター』の効果発動!貴様のフィールドに存在するヴォウジェを選択し、この攻撃力分、LPを回復!」

 

ジャック・アトラス LP400→2900

 

LP逆転、大量回復し、立場が変わる。ここからが本番、ジャック・アトラスの本領発揮だ。

 

「レベル6の『レッド・ライジング・ドラゴン』に、レベル2の『レッド・リゾネーター』をチューニング!シンクロ召喚!『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』!!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト 攻撃力3000

 

真打ち、スカーライトの登場。先程よりも威圧感を増した獄炎魔竜が牙を剥き、地の底から響くような唸り声を溢す。たった1ターン、たった1ターン与えただけで立ち直ったジャックは逆境を覆してみせた。とんでもないデュエリストだ。その才覚を身をもって味わっているシンジは嫉妬を交え、歯軋りを鳴らす。

 

「この野郎……!」

 

「これがジャック・アトラスのデュエルだ!特等席で味わうが良い!スカーライトの効果発動!」

 

シンジ・ウェーバー LP2050→50

 

「ぐぅぅぅぅっ!?『補給部隊』の効果で、ドロー!」

 

シンジ・ウェーバー 手札1→2

 

スカーライトが鋭い爪を地面に突き立て、炎を流し込む、炎は高速で地面を走ってシンジのモンスターに突き進み、真下を捉えた瞬間に噴出。黒焦げになるまで燃やし尽くす。自身より格下のモンスターを破壊し、その数×500のダメージを与える効果。大量展開を行うシンジの天敵と言える効果だ。派手に逆転され、残るLPはたったの50。ギリギリもいいところだ。

 

「スカーライトでダイレクトアタック!」

 

「させるかよ!手札の『速攻のかかし』を捨て、バトルを終了!」

 

「フ、そう来なくてはな……ジャック・アトラスが本気を出せば勝負は一瞬……などでは面白くない」

 

「ハッ、調子に乗るなよ、さっきまであんだけへこんでた奴が!」

 

「はて、何の事だ?俺はこれでターンエンド」

 

ジャック・アトラス LP2900

フィールド『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』(攻撃表示)

手札0

 

「俺のターン、ドロー!この野郎……とぼけようったってそうはいかねぇ、ツケ位は払ってもらうぜ!」

 

ニヤリとシンジが若干青筋を立てて笑ったその時、観戦していたクロウが「いや、そいつツケを払うような奴じゃないし、人に払わせるような奴だから」と口に出そうとし、思い止まる。何故、そのような事を知っているのか、僅かな疑問が浮かび、広がっていく。

 

「『アーマード・ビー』を召喚!」

 

アーマード・ビー 攻撃力1600

 

「効果発動!スカーライトの攻撃力を半減!」

 

「墓地の『スキル・プリズナー』を除外、その効果を無効にする!」

 

「そいつがあったか、魔法カード、『命削りの宝札』!3枚ドロー!」

 

シンジ・ウェーバー 手札0→3

 

「カードを3枚セット、ターンエンドだ!」

 

シンジ・ウェーバー LP50

フィールド『アーマード・ビー』(攻撃表示)

『補給部隊』セット3

手札0

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『紅蓮魔竜の壺』を発動!2枚ドロー!」

 

ジャック・アトラス 手札0→2

 

「魔法カード、『予見通帳』を発動。デッキトップから3枚を除外、スカーライトで『アーマード・ビー』へ攻撃!」

 

「罠発動、『魂の転身』!通常召喚したレベル4のモンスター、『アーマード・ビー』をリリース、2枚ドロー!」

 

シンジ・ウェーバー 手札0→2

 

「ダメージを逃れ、その上手札を回復したか、スカーライトでダイレクトアタック!」

 

「罠発動!『ロスト・スター・ディセント』!ヴォウジェの効果を無効、守備力を0にし、レベルを1つ下げ、守備表示で特殊召喚する!」

 

B・Fー突撃のヴォウジェ 守備力800→0 レベル6→5

 

「構うな、粉砕せよ!」

 

「『補給部隊』の効果ぁ!」

 

シンジ・ウェーバー 手札2→3

 

「メインフェイズ2、カードをセット、ターンエンドだ」

 

ジャック・アトラス LP2900

フィールド『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』(攻撃表示)

セット1

手札0

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『蘇生の蜂玉』を発動!アルバレストを蘇生!」

 

B・Fー早撃ちのアルバレスト 攻撃力1800

 

「ニードルを召喚!」

 

B・Fー毒針のニードル 攻撃力400

 

「レベル4のアルバレストに、レベル2のニードルをチューニング!シンクロ召喚!『B・Fー突撃のヴォウジェ』!」

 

B・Fー突撃のヴォウジェ 攻撃力2500

 

再びフィールドに飛来する突撃のヴォウジェ。高い攻撃力を誇るジャックのモンスター相手ならばこのカード以上の適役はいない。

 

「バトル!ヴォウジェでスカーライトへ攻撃!」

 

「罠発動!『攻撃の無敵化』!スカーライトを戦闘破壊から守る!」

 

「だがダメージ計算時、ヴォウジェの効果発動!スカーライトの攻撃力は半分となり、ダメージも受けてもらう!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト 攻撃力3000→1500

 

ジャック・アトラス LP2900→1900

 

「ぬぅっ!?」

 

ヴォウジェが羽を震わせて超高速で低空飛行を繰り返してスカーライトへ迫る。スカーライトも指先から火炎弾を撃ち出すものの、炎の間を縫ってヴォウジェが移動、直角に飛翔しながら槍を振るい、真下からスカーライトを切りつける。思わずたたらを踏むスカーライト。小兵と言えど、戦い方を工夫すれば竜にも勝る。

 

「俺はカードを3枚セット、ターンエンド!」

 

シンジ・ウェーバー LP50

フィールド『B・Fー突撃のヴォウジェ』(攻撃表示)

『補給部隊』セット3

手札0

 

「俺のターン、ドロー!『予見通帳』のカウントが1つ灯り、魔法カード、『紅蓮魔竜の壺』!2枚ドロー!」

 

ジャック・アトラス 手札0→2

 

「スカーライトの効果発動!」

 

「永続罠、『デモンズ・チェーン』!スカーライトの効果と攻撃を封じる!」

 

「魔法カード、『シンクロ・クラッカー』!スカーライトをエクストラデッキに戻し、その元々の攻撃力以下の攻撃力の相手モンスターを破壊する!」

 

「そう来たか……『補給部隊』の効果でドロー!」

 

シンジ・ウェーバー 手札0→1

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

ジャック・アトラス LP1900

フィールド

セット1

手札0

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『マジック・プランター』!『デモンズ・チェーン』をコストに2枚ドロー!」

 

シンジ・ウェーバー 手札1→3

 

「墓地の『ジャイアントワーム』と『アーマード・ビー』を除外し、『デビルドーザー』を特殊召喚!」

 

デビルドーザー 攻撃力2800

 

現れたのは昆虫族の中でも代表的なモンスター。『ジャイアントワーム』の最上級となる大型の百足だ。ピンク色の体躯から伸びる無数の脚を蠢かせ、シンジのフィールドでとぐろを巻く。

 

「バトル!『デビルドーザー』でダイレクトアタック!」

 

「罠発動、『ガード・ブロック』!ダメージを防ぎ、1枚ドロー!」

 

ジャック・アトラス 手札0→1

 

「これも防ぐか、おればターンエンド」

 

シンジ・ウェーバー LP50

フィールド『デビルドーザー』(攻撃表示)

『補給部隊』セット2

手札2

 

「俺のターン、ドロー!カウント2つ目……永続魔法、『補給部隊』を発動!『レッド・スプリンター』を召喚!」

 

レッド・スプリンター 攻撃力1700

 

フィールドに飛び出したのは炎の鬣を持った赤い馬。ジャックのデッキにおいて、展開を支えるモンスターだ。

 

「『レッド・スプリンター』の効果発動!」

 

「罠発動、『奈落の落とし穴』!『レッド・スプリンター』を破壊し、除外!」

 

「ッ、『レッド・リゾネーター』を蘇生し、『補給部隊』の効果でドロー!」

 

レッド・リゾネーター 守備力200

 

ジャック・アトラス 手札0→1

 

「そして『レッド・リゾネーター』の効果で『デビルドーザー』の攻撃力分回復!」

 

ジャック・アトラス LP1900→4700

 

「カードをセット、ターンエンドだ!」

 

ジャック・アトラス LP4700

フィールド『レッド・リゾネーター』(守備表示)

『補給部隊』セット1

手札0

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『名推理』!相手はレベルを1つ宣言!」

 

「4だ」

 

「デッキトップから通常召喚可能なモンスターが出るまでカードを墓地に送りモンスターが出た場合、宣言したレベルなら墓地へ、それ以外なら特殊召喚する。良し、『ハチビー』を特殊召喚!」

 

ハチビー 攻撃力500

 

現れたのは小型の蜂のモンスター。昆虫族ではコストは少々重いものの、ドローソースとなるカードだ。

 

「『ハチビー』で『レッド・リゾネーター』に攻撃!」

 

「『補給部隊』の効果でドロー!」

 

ジャック・アトラス 手札0→1

 

「『デビルドーザー』でダイレクトアタック!」

 

「罠発動、『王魂調和』!攻撃を無効にし、墓地から『異界の棘紫竜』と『ダーク・リゾネーター』を除外して合計レベルとなるシンクロモンスターをシンクロ召喚する!来たれ!『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』!!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト 攻撃力3000

 

再び現れるスカーライト。流石はジャックと言った所か。エースの扱いが上手い。

 

「メインフェイズ2、『ハチビー』の効果で『デビルドーザー』をリリースし、2枚ドロー!」

 

シンジ・ウェーバー 手札2→4

 

「カードを2枚セット、ターンエンドだ」

 

シンジ・ウェーバー LP50

フィールド『ハチビー』(攻撃表示)

『補給部隊』セット3

手札2

 

「俺のターン、ドロー!」

 

「罠発動、『針虫の巣窟』。デッキから5枚のカードを墓地へ」

 

「スタンバイフェイズ、『予見通帳』で除外した3枚のカードを手札に加える」

 

一気に3枚の手札を確保。時間はかかるものの、デメリット無しに大量の手札を手にする事が出来るのがこの『予見通帳』の強みだ。パワースタイルで手札を消費しやすいジャックにありがたい1枚だ。

 

「『シンクローン・リゾネーター』を特殊召喚!」

 

シンクローン・リゾネーター 守備力100

 

「スカーライトの効果発動!」

 

「罠発動、『もの忘れ』!効果を無効にし、スカーライトを守備表示に変更!」

 

「まだ手は緩めんぞ!『レッド・ミラー』を召喚!」

 

レッド・ミラー 攻撃力0

 

「墓地の『ダブル・リゾネーター』を除外して『レッド・ミラー』をチューナーに変更!」

 

スカーライトの下へ、眷属である小さな悪魔と赤い鏡が降り立つ。そして『ダブル・リゾネーター』の効果でチューナー化。これでスカーライトと2体のチューナーが揃った。

 

「ダブル……チューニング……!」

 

「ご名答!特と味わうが良い!シンクロの高みを!レベル8の『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』に、レベル1の『シンクローン・リゾネーター』と『レッド・ミラー』をダブルチューニング!王者と悪魔、今ここに交わる。赤き龍の魂に触れ、天地創造の雄叫びを上げよ!シンクロ召喚!現れろ!『レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント』!!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント 攻撃力3500

 

ジャックだけが持つ、チューナーモンスターを2体必要とする異例の召喚。白コナミのアクセルシンクロと対を為すシンクロの高み。燃え盛る熱き魂がジャックの胸に灯り、彼はそれを掴み、天へと掲げ、今、スカーライトが進化する。

 

魔竜の全身が迸る火炎に舐めあげられ、二重に重なったリングが拘束、凄まじき力で破り、巨大な翼が広がり、突風が吹き荒れる。

頭部からは何本もの角が伸び、4枚の翼を持つ、暴君の名を刻む『レッド・デーモン』。ジャック・アトラスの切り札がフィールドに降り立ち、咆哮する。

 

「『シンクローン・リゾネーター』の効果で『レッド・リゾネーター』を回収、タイラントの効果発動!このカード以外のフィールドのカードを全て破壊!アブソリュート・パワー・インフェルノ!」

 

「破壊された『運命の発掘』の効果でドロー!墓地にあるのは2枚だ!」

 

シンジ・ウェーバー 手札3→5

 

「タイラントでダイレクトアタック!獄炎のクリムゾンヘルタイド!」

 

「させっかよ!墓地の『超電磁タートル』を除外し、バトルを終了!」

 

「カードを2枚セット、ターンエンド」

 

ジャック・アトラス LP4700

フィールド『レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント』(攻撃表示)

セット2

手札2

 

「俺のターン、ドロー!『リード・バタフライ』を特殊召喚!」

 

リード・バタフライ 守備力600

 

「墓地のチューナーを除外し、手札から『泣き神の石像』を特殊召喚!」

 

泣き神の石像 守備力500

 

「次はコイツだ、『BFー疾風のゲイル』!」

 

BFー疾風のゲイル 攻撃力1300

 

「ゲイルの効果でタイラントの攻守を半減!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント 攻撃力3500→1750

 

「レベル2の『泣き神の石像』に、レベル3の『BFー疾風のゲイル』をチューニング!蜂出する憤激の針よ、閃光と共に天をも射抜く弓となれ、シンクロ召喚!現れろ!『B・Fー霊弓のアズサ』!」

 

B・Fー霊弓のアズサ 攻撃力2200

 

シンクロ召喚、現れたのは桃色の身体の弓引く女王蜂。シンクロモンスターであり、チューナーでもある特殊な立ち位置のモンスターだ。

 

「レベル1の『リード・バタフライ』に、レベル5の霊弓のアズサをチューニング!シンクロ召喚!『B・Fー突撃のヴォウジェ』!」

 

B・Fー突撃のヴォウジェ 攻撃力2500

 

「バトルだ!突撃のヴォウジェでタイラントへ攻撃!」

 

「フン、やはりそう来るか。罠発動、『和睦の使者』!モンスターの戦闘破壊、ダメージを防ぐ!」

 

ヴォウジェが高速で羽ばたいて大型のタイラントを翻弄、背後を取り、槍で貫こうとするも、身体を捻り、裏拳を放つタイラントの前に吹き飛ばされ、ゴミの溜まり場へ墜落する。

しかし、ヴォウジェもただ退いていない。インパクトの瞬間、咄嗟に下がった事でダメージを軽減、それでも身体中に激痛が走る辺りタイラントの恐ろしさが分かるが、多少は動ける。

 

「カードを2枚セット、ターンエンドだ」

 

シンジ・ウェーバー LP50

フィールド『B・Fー突撃のヴォウジェ』(攻撃表示)

セット2

手札0

 

「俺のターン、ドロー!カードをセット、タイラントの効果発動!」

 

「させっかよ!永続罠、『デモンズ・チェーン』!タイラントの効果と攻撃を封じる!」

 

「ならばこれだ!『レッド・リゾネーター』!」

 

レッド・リゾネーター 攻撃力600

 

「効果で手札の『レッド・ガードナー』を特殊召喚!」

 

レッド・ガードナー 守備力2000

 

「レベル4の『レッド・ガードナー』に、レベル2の『レッド・リゾネーター』をチューニング!赤き魂、ここに1つとなる。王者の雄叫びに震撼せよ!シンクロ召喚!現れろ、『レッド・ワイバーン』!」

 

レッド・ワイバーン 攻撃力2400

 

悪魔の盾と音叉が1つとなり、現れたのは後頭部から炎を吹き出した深紅の翼竜。ジャックのデッキでは様子見等で利用されるカードであるが、シンジの実力は認めるところだ。その必要はない。

 

「この瞬間、墓地の『レッド・ミラー』を回収、そして『レッド・ワイバーン』の効果でヴォウジェを破壊!」

 

「へっ、ヴォウジェじゃねぇ!破壊されるのは、テメェの方だ!速攻魔法、『禁じられた聖槍』!ヴォウジェの攻撃力を800ダウン!完全耐性を与える!」

 

B・Fー突撃のヴォウジェ 攻撃力2500→1700

 

遊矢も見せた『レッド・ワイバーン』の攻略法、自身のモンスターの攻撃力を下げる事で、フィールドで最も攻撃力が高いモンスターは『レッド・ワイバーン』となり、その効果で自爆する。

ヴォウジェの手にした槍に聖なる光が灯り、投擲して翼竜の頭部が貫かれ、放とうとした火炎が暴発し、撃破される。

 

「チッ、タイラントを守備表示に変更、ターンエンドだ」

 

ジャック・アトラス LP4700

 

フィールド『レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント』(守備表示)

セット2

手札1

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『マジック・プランター』!『デモンズ・チェーン』をコストに2枚ドローする!」

 

シンジ・ウェーバー 手札0→2

 

「魔法カード、『貪欲な壺』!墓地のアルバレスト2体、ピン2体、ヴォウジェをデッキに戻し、2枚ドロー!」

 

シンジ・ウェーバー 手札1→3

 

「バトルだ!ヴォウジェでタイラントへ攻撃!」

 

「罠発動、『スカーレッド・コクーン』!タイラントに装備し、装備モンスターが戦闘を行う場合、ダメージステップ終了まで相手フィールドのモンスター効果は無効となる!そして手札の『レッド・ミラー』と墓地の『レッド・リゾネーター』を交換!」

 

「これで終わると思うなよ!手札の『B・Fー追撃のダート』を捨てる事で、戦闘で破壊したタイラントの攻撃力分のダメージを与える!」

 

ジャック・アトラス LP4700→2950

 

「ぬぅぅぅっ!?」

 

「カードを2枚セット、ターンエンドだ」

 

「この瞬間、墓地に送られた『スカーレッド・コクーン』の効果で『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』を蘇生する!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト 攻撃力3000

 

シンジ・ウェーバー LP50

フィールド『B・Fー突撃のヴォウジェ』(攻撃表示)

セット2

手札0

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『手札抹殺』!そしてスカーライトの効果発動!」

 

「罠発動、『ピケルの魔法陣』!このターンの効果ダメージを0にする!」

 

「だがモンスターは別!これでがら空きだ!スカーライトでダイレクトアタック!」

 

「罠発動、『リジェクト・リボーン』!バトルを終了し、墓地から『B・Fー霊弓のアズサ』と『B・Fー突撃のヴォウジェ』を特殊召喚する!」

 

B・Fー霊弓のアズサ 攻撃力2200

 

B・Fー突撃のヴォウジェ 攻撃力2500

 

「カードをセット、ターンエンドだ」

 

ジャック・アトラス LP2950

フィールド『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』(攻撃表示)

セット2

手札0

 

「俺のターン、ドロー!やるじゃねぇか……ジャック・アトラス……!魔法カード、『貪欲な壺』!墓地のモンスターを5体回収し、2枚ドロー!」

 

シンジ・ウェーバー 手札0→2

 

「『ハチビー』を召喚!」

 

ハチビー 攻撃力500

 

「このカードとヴォウジェをリリースし、2枚ドロー!」

 

シンジ・ウェーバー 手札1→3

 

「『B・Fー追撃のツインボウ』を特殊召喚!」

 

B・Fー追撃のツインボウ 守備力500

 

「こっちも切り札を見せてやろうか!レベル3のツインボウに、レベル5のアズサをチューニング!呼応する力、怨毒の炎を携え反抗の矢を放て!シンクロ召喚!『B・Fー降魔弓のハマ』!!」

 

B・Fー降魔弓のハマ 攻撃力2800

 

両者、限界を越え、自らのエースを呼び出す。ジャックは赤き魔竜、『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』を。

シンジは深緑に染まる甲殻を纏い、魔を射つ矢をつがえる蜂の勇者を。

これが、デュエルの決着と言わんばかりに。

 

「魔法カード、『地割れ』!スカーライトを破壊!」

 

粉砕されるジャックのエース、スカーライト。これでジャックのフィールドはがら空きとなり、ハマの攻撃が突き刺さろうとした最中、ジャックの封印された記憶が呼び起こされる。

 

消えいくスカーライト。その深紅の欠片に、忘れ去っていた仲間達が写り出す。長身の青年、瓜二つの双子、赤いドレスを纏った少女、不敵な笑みを浮かべた小柄な青年、そして――ライバルの背。

それは、クロウも同じ。

 

「バトル!ハマでダイレクトアタック!」

 

「見事だ、シンジ・ウェーバー。だが……言った筈だ!キングの、ジャック・アトラスのデュエルは二歩、三歩、いや……四歩先をいく!見せてやろう!空前絶後のエンターテイメントを!罠発動、『王魂調和』!相手モンスターの直接攻撃宣言時、攻撃を無効にし、墓地のチューナーと非チューナーをレベル8以下になるよう除外、合計レベルとなるシンクロモンスターをシンクロ召喚する!」

 

輝くエクストラデッキ、間違いなくこの光は、ジャック・アトラスの魂のカード。

 

「レベル6の『レッド・ワイバーン』に、レベル2の『レッド・リゾネーター』をチューニング!王者の鼓動、今ここに列を成す。天地鳴動の力を見るが良い!シンクロ召喚!我が魂、『レッド・デーモンズ・ドラゴン』!!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン 攻撃力3000

 

まるで、逆再生の如く、散り去った光がスカーライトの肉体を形成、更に紅い光が身を包み、傷が舐めあげられて消えていく。

そして、真の王者が目覚めの咆哮をあげる。

 

「新たな、『レッド・デーモン』……!?」

 

「いや、違う……」

 

「クロウ……?」

 

シンジの台詞にクロウが反応し、思わず振り返る。知っている。クロウは、このモンスターの事を。ジャック・アトラスの事を。何故なら、彼は、彼等は。

 

「これが、ジャックの、本当のエースなんだ……そうだろう、ジャック!」

 

断ち切れぬ絆で繋がれた、伝説のチームの仲間なのだから。

 

「フ、俺とした事が、こんなにも大切な事を忘れてしまっていたとは、これでは確かに、奴も失望しよう。だが全て、思い出した。来い、シンジ・ウェーバー。まさか、これで終わりではあるまいな。俺は墓地の『レッド・ミラー』を回収する」

 

「何だか分からねぇが……当然だ!ハマは2回攻撃が可能なモンスター!『レッド・デーモン』へ攻撃!」

 

「手札の『レッド・ミラー』を墓地の『レッド・ガードナー』と交換!」

 

「墓地の『スキル・サクセサー』を除外し、攻撃力を800アップ!」

 

B・Fー降魔弓のハマ 攻撃力2800→3600

 

プライドを賭けて、シンジが巨大な壁として立ちはだかるジャックの魂に向けて吠える。

この攻撃で打ち倒し、更に手札のダートを切ってとどめを刺す。

 

「――見せてやる、これが俺の全力だ!罠発動、『プライドの咆哮』!攻撃力の差分、LPを払い、その数値に300プラスした数値を『レッド・デーモンズ・ドラゴン』の攻撃力に加える!」

 

だが、ジャックはその先を行く。

 

ジャック・アトラス LP2950→2350

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン 攻撃力3000→3900

 

死力を尽くし、今、デュエルに終止符が打たれる。

 

「アブソリュート・パワー・フォース!!」

 

矢を弾き、ハマの全身を貫く魔竜の掌底。勢いは衰えず、シンジへと向かい、そのLPを削り取る。

 

シンジ・ウェーバー LP50→0

 

決着、勝者、ジャック・アトラス。

 

――――――

 

時は遡り、シティのとある一角。近未来的な掲示板や噴水が設置された広場では、次々と襲い来るオベリスク・フォース達を退け、一息つく柊 柚子達の姿があった。

連戦に続く連戦、歴戦の猛者である彼女達も流石に疲労が溜まり、木陰で腰を下ろし、肩で息をしている。

尤も、こんな事になれている、ユートや元アカデミア組はまだ余裕が見られる。汗は垂らしていても、息は乱れていない。そんな彼等に羨望の眼差しを向ける柚子の耳元に、カチャリ、金属の音が響く。

 

「ッ!?」

 

その場にいた全員が驚愕と警戒を浮かべながらデュエルディスクを構え、振り向く。するとそこにいたのは柚子へと手を伸ばす、純白のローブを身につけた青年、プラシドの姿。

一体何時の間に、先程まで確かに、この場には柚子達以外はいなかった筈なのに、突如として現れた敵の存在に動揺が走る。その僅かな隙を縫い、プラシドは瞬時に舌打ちを鳴らしながらも判断を下す。

 

「見つかったか……だがお前だけでも来てもらうぞ……!」

 

「きゃっ!?」

 

グイッ、柚子の手首を掴んで引き込むプラシド。不味いと万丈目と三沢が咄嗟に飛び出すも、プラシドが流れるような動作で腰元の剣を引き抜き、柚子の首筋にあてる。

 

「動くな」

 

「ッ!」

 

ギリッ、してやられた。悔しさに歯軋りを鳴らし、急ブレーキをかけてその場に踏みとどまる2人。人質、単純ながらも、だからこそ通じる策だ。情に厚い彼等なら尚更に。

 

「そう、それで良い」

 

「貴様、アカデミアの者か」

 

「そうだ、アカデミア幹部、プラシド……と言っても、こんな名にもう意味はないだろうが」

 

言って、プラシドは剣を天空に掲げると共に、刃の中より眩き光を解き放つ。光はグングンと空に昇り、黒雲に巨大な孔を開く。余りに現実離れした光景、誰もが呆然と宙を見つめ、絶句する中、それは、後光を背に出現した。

 

「何だ、あれは……!?」

 

それは、シティを覆い尽くさんばかりの、街だった。逆さまに吊るされた、ビル群の集合体。シティに落ちれば間違いなく壊滅するであろう脅威が鎌首をもたげていた。

 

「榊 遊矢に伝えろ」

 

プラシドの声が、静寂の中で響き渡る。現実離れした光景を見つめる彼等にとって、その声は酷く、遠く感じられるものだった。

 

「決勝戦、チームネオ5D'sに勝利しなければ、柊 柚子はアカデミアに送られ、このアーククレイドルは、シティに落ちる」

 

今度は、シティを。何万にも命を人質にとった余りにも馬鹿げた脅迫。ゴクリとユート達が唾を呑み込み、額から汗が伝う。

そんな中、ドシュン、プラシドの背後から白き流星が飛び出す。ライトグリーンの光の尾を引き、現れたるは一機のDーホイール。2人の少年少女を乗せたそれは、プラシドの頭上を飛び越え、彼とユート達の間に躍り出る。

 

「その必要はないぜ!」

 

「ユーゴ……?いや、お前は……」

 

「遊矢っ!!」

 

柚子がパッと顔色を輝かせ、白い鉄馬に跨がる少年の名を呼ぶ。そう、ユーゴのDーホイールに乗っているのは、彼女がずっと待ち望んでいた存在、榊 遊矢だ。彼は跳躍の途中、デッキから1枚のカードを引き抜き、投擲する。しかしプラシドは即座に反応、剣を盾として突き出し、その刃にカードが突き刺さる。

 

「ぬぅっ……!」

 

「運転荒いわよ遊矢!」

 

「悪いねリン、柚子の姿が見えたからつい」

 

遊矢の背中をポカポカと殴るリンを横目に、遊矢がニヤリと挑戦的な笑みをプラシドへ向ける。

対するプラシドは剣をブンと振るって刃に刺さったカードを遊矢へ返す。

 

「おっと、それで……俺としては、このままやっても良いけど?」

 

「悪いが、お前の相手をしている暇はないんだ。予定通り、待っている。フレンドシップカップ決勝で、勝てればの話だがな」

 

「逃がすと思って……!」

 

闘争心を剥き出しにしてプラシドに襲いかかろうとする遊矢だが、瞬時にその眼が大きく見開かれる。何故ならば、先程プラシドが剣を振るった事で彼の前に次元の裂け目が作られているのだ。

裂け目はそのまま広がって、中より複数の影が飛び出す。

 

「フハハハハ!ムシケラ共よ、ごきげんよう!俺こそがオリジナルを超えた最強のゴースト、プラシド・ゴーストだ!」

 

「ヒャハハハハ!プラシドったら元気だねぇ、調子に乗って胴体千切れても知らないよ?」

 

「放っておけ、そう言う年頃なのだろう」

 

「なっ!?」

 

現れたのはプラシドと同じ姿をしているが、髪色や眼は彼とは異なる銀髪、赤目の青年。赤い髪の子供。2メートルを遥かに超える巨体の老人。そして、黒いローブをにそれぞれ異なる色のラインを走らせた、6人の男女だ。

一気に人数による形勢を逆転させるプラシドに、遊矢の表情が歪む。

 

「新型の力、とくと味わえ。俺は準備にかからねばならんのでな。貴様の足止めはこの特別製のゴースト達に任せよう。尤も、足止めで済むかは貴様等次第だがな」

 

「くっ、待て!」

 

「遊矢!」

 

「柚子、待ってろ!絶対、必ず、お前を取り戻すから!」

 

再びプラシドが剣を振るい、今度は自身と柚子を転送させる。遊矢はそんな彼を見て、焦りを浮かべながら駆けるも、巨体の老人に阻まれてしまう。

間に合わない、ならば遊矢は声だけは、この思いだけは届けようと吠え、柚子へと約束する。何があっても、彼女を救い出すと。

そうして、月下のシティで、遊矢と柚子は、再び別れる事となった。




ジャックがAVからゴッズへと変わる……元のジャックに戻ると言う意味では結局元ジャックのままなのでは……(無慈悲)?
取り敢えず今回で暫く更新停止です。次回の更新再開で一気にシンクロ次元終わらせたいです。はい(遠い目)。

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