遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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第165話 地獄の底から舞い戻って来たぜ

治安維持局、長官室にて、プラシドはモニターを見つめ、思考を続けていた。

視線の先に存在するのは、進行方向にいるオベリスク・フォース達を薙ぎ倒し、まるで竜巻の如く荒れ狂い、進みながらデュエルを行う3人のデュエリスト、エクシーズ次元、レジスタンスに所属していた黒帽子にクリアブルーの肌、左腕から黄金のデュエルディスクを盾のように伸ばし、腰元にアーマーマントを展開した黒いコナミ。

シンクロ次元、チームネオ5D'sに所属する白い帽子にジャケット、下半身を戦闘機のような巨大Dーホイールと連結させた白のコナミ。

そして最後に融合次元、アカデミア所属、幹部に名を連ねる漆黒の甲冑と深紅のマントを纏った鉄仮面の男、覇王。

 

彼等3人のデュエルを止めるべきか否か、プラシドは迷う。彼等のデュエルでデュエルエナジーがとんでもない勢いで溜まっていくと言うメリット、ここで彼等3人を引き合わせるのは早計ではないかと言う、計画への悩み。

そして最後に自身だけでは止められるとしても1人だけと言う予想。その他の事を考えても、結局は止まらないと言う答えが出る。せめてこの事を、〟彼〝に伝えるべきかと考えた時――。

 

「――ほう……」

 

モニター内に、興味深いものが写り込んだ。

 

――――――

 

「俺のターン、ドロー!」

 

一方、シティ内ではアカデミアの手先から街を守るべく、多くのデュエリスト達がデュエルを行っていた。ここにも2人、対決し合う者達の姿が。

ランサーズ入りを果たした徳松 長次郎とアカデミアのデュエリスト、キース・ハワードだ。両者共に運が大きく絡むデッキを高いレベルで使いこなしている。

運が良い方が有利になると言うある意味デュエルらしいデュエルと言える。極端な言い方だが。

 

「雨四光の効果発動!」

 

キース・ハワード LP2600→1100

 

「チッ……!」

 

雨四光の傘より針が飛び、キースの身体に降り注ぐ。1500と言う1枚のカードにしては特大のバーン。これに加えて耐性を持っていると言うのだから面倒だ。

攻撃力も高く、攻略には手を焼かされる。敵ならば恐ろしいが、味方になればこれ程頼もしいとは、デュエルを見守る遊矢は微笑を浮かべる。

 

「魔法カード、『マジック・プランター』!『ラッキーパンチ』をコストに2枚ドロー!」

 

キース・ハワード 手札4→6

 

「『ブローバック・ドラゴン』の効果発動!『一族の結束』を対象に、コイントスを3回行い、2回以上表なら破壊する!」

 

「またギャンブルカードか……!」

 

再びキースのフィールドに3枚のソリッドビジョンで作られたコインが出現、宙で舞ってぶつかり合い、火花を散らして地面に落ちる。結果は、表、表、表。ジャックポット。

『ブローバック・ドラゴン』の頭部がカシャリと動作し、一発の弾丸が放たれて『一族の結束』を撃ち抜く。

 

「これで全体強化は無くなったな。ブローバックを墓地に送り、魔法カード、『トランスターン』を発動!チェーンしてリバースカード、オープン!速攻魔法、『非常食』!『補給部隊』、『トランスターン』を墓地に送ってLPを2000回復!『トランスターン』の効果で『ブローバック・ドラゴン』と属性と種族が一致し、レベルが1つ高いモンスターをデッキから特殊召喚する!来な!『リボルバー・ドラゴン』ッ!!」

 

キース・ハワード LP1100→3100

 

リボルバー・ドラゴン 攻撃力2600

 

『ブローバック・ドラゴン』が淡い光に包まれ、その銃身がメキメキと悲鳴を上げる。より凶悪に、より強力に、光が晴れ、進化を遂げた機械竜がフィールドに降り立つ。

頭部と両腕を黒光りするリボルバーへと変えた、キースのエースモンスター。その威圧感は凄まじいの一言に尽きる。

 

「更に装備魔法、『7カード』を『リボルバー・ドラゴン』に装備!攻撃力を700アップするぜ!」

 

リボルバー・ドラゴン 攻撃力2600→3300

 

「『BMー4ボムスパイダー』を召喚!」

 

BMー4ボムスパイダー 攻撃力1400

 

次に登場したのは『TMー1ランチャースパイダー』を小型化した最新世代の兵器、ボムスパイダー。優秀なモンスターであるものの、雨四光が存在しているこの状況では余り役には立たないのが辛い所だ。

 

「フィールド魔法、『鋼鉄の襲撃者』!俺の闇属性、機械族モンスターはそれぞれ1ターンに1度戦闘で破壊されず、受けたダメージ分、攻撃力をアップする!バトルだ!『リボルバー・ドラゴン』で雨四光へ攻撃!ガン・キャノンショット!」

 

「罠発動!『ダメージ・ダイエット』!このターンのダメージを半分にする!」

 

徳松 長次郎 LP4000→3850

 

『リボルバー・ドラゴン』の頭部の銃口より弾丸が放たれ、雨四光を傘ごと貫く。折角の耐性持ちのカードだったのだが、ここまでのようだ。ここまでもっただけでも充分か。

 

「更にボムスパイダーの効果ぁ!闇属性、機械族のモンスターが戦闘、効果で相手モンスターを破壊した事で、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを与える!」

 

徳松 長次郎 LP3850→3100

 

「ぐぁっ!」

 

ボムスパイダーの火薬庫が開き、スフィア・ボムが撃ち出され、爆発を引き起こす。闇属性、機械族を強化する優秀な効果。成程、厄介だ。

 

「ボムスパイダーで桐へ攻撃!」

 

「桐が攻撃対象になった事で、効果発動!攻撃を無効にし、バトルを終了!1枚ドローだ!」

 

徳松 長次郎 手札0→1

 

「チッ、そんな効果があったのか……メインフェイズ2、『リボルバー・ドラゴン』の効果でコイントスを3回行い、2回以上表ならばモンスターを破壊!対象にするのは勿論月花見!」

 

再びコイントス、3枚のコインが『リボルバー・ドラゴン』の銃口より撃ち出され、宙を舞う。結果は勿論、全て表。『リボルバー・ドラゴン』の銃口が再度動作、3発の銃弾が月花見を貫く。

 

「ボムスパイダーの効果は1ターンに1度、カードを1枚セットし、ターンエンドだ」

 

キース・ハワード LP3100

フィールド『リボルバー・ドラゴン』(攻撃表示)『BMーボムスパイダー』(攻撃表示)

『7カード』『機甲部隊の最前線』セット1

『鋼鉄の襲撃者』

手札1

 

「俺のターン、月花見の効果でドローフェイズをスキップ。永続魔法、『強欲なカケラ』を発動し、ターンエンドだ」

 

徳松 長次郎 LP3100

フィールド『花札衛ー桐ー』(守備表示)

『強欲なカケラ』セット1

手札0

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『予見通帳』!デッキトップから3枚を除外、3ターン後のスタンバイフェイズに回収する。『リボルバー・ドラゴン』の効果!表、表、表ぇ!桐を破壊だ!ボムスパイダーの効果発動!」

 

「チッ!」

 

徳松 長次郎 LP3100→3050

 

「魔法カード、『アームズ・ホール』!デッキトップをコストに装備魔法、『7カード』をサーチ、『リボルバー・ドラゴン』へ装備!」

 

リボルバー・ドラゴン 攻撃力3300→4000

 

「バトル!『リボルバー・ドラゴン』でダイレクトアタック!」

 

「罠発動!『リジェクト・リボーン』!相手の直接攻撃宣言時、バトルフェイズを終了、墓地からチューナーとシンクロモンスターを効果を無効にして特殊召喚する!来な、雨四光!!月花見!」

 

花札衛ー雨四光ー 攻撃力3000

 

花札衛ー月花見ー 攻撃力2000

 

上手い使い方だ。『リジェクト・リボーン』の特性とシンクロチューナーである月花見を合わせる事で2体のシンクロモンスターの蘇生。白コナミであればアクセルシンクロまで繋げられる展開だ。残念な事に徳松はアクセルシンクロモンスターを持っていないが。

 

「ボムスパイダーを守備表示にして、ターンエンド」

 

キース・ハワード LP3100

フィールド『リボルバー・ドラゴン』(攻撃表示)『BMー4ボムスパイダー』(守備表示)

『7カード』×2『機甲部隊の最前線』セット1

『鋼鉄の襲撃者』

手札0

 

「俺のターン、ドロー!この瞬間、『強欲なカケラ』に強欲カウンターが乗るぜ」

 

強欲なカケラ 強欲カウンター0→1

 

「装備魔法、『最強の盾』を雨四光に装備!雨四光の攻撃力を守備力分アップ!」

 

花札衛ー雨四光ー 攻撃力3000→6000

 

「バトル!雨四光で『リボルバー・ドラゴン』へ攻撃!」

 

「『鋼鉄の襲撃者』の効果で『リボルバー・ドラゴン』の戦闘破壊を防ぎ、受けたダメージを攻撃力に変換!」

 

キース・ハワード LP3100→1100

 

リボルバー・ドラゴン 攻撃力4000→6000

 

逆襲のマシーンモンスター。『鋼鉄の襲撃者』の効果で受けたダメージを攻撃力に変換、直ぐ様雨四光と並ぶ。厄介なフィールド魔法だ。このカードを先に何とかしなければならないか。

 

「月花見を守備表示に変更、ターンエンド」

 

徳松 長次郎 LP3100

フィールド『花札衛ー雨四光ー』(攻撃表示)『花札衛ー月花見ー』(守備表示)

『最強の盾』『強欲なカケラ』

手札0

 

「俺のターン、ドロー!『リボルバー・ドラゴン』の効果!雨四光を対象に発動!当然、表3連続!破壊し、ボムスパイダーの効果で元々の攻撃力の半分のダメージを与える!」

 

「墓地の『ダメージ・ダイエット』を除外し、ダメージを半分に!」

 

徳松 長次郎 LP3100→2350

 

「更に俺の闇属性、機械族が戦闘、効果でテメェのモンスターを破壊した事で、『鋼鉄の襲撃者』の効果発動!手札の同属性、同種族の『スロットマシーンAMー7』を特殊召喚!」

 

スロットマシーンAMー7 攻撃力2000

 

降り注ぐキースの猛攻、逃がしはしまいと言わんばかりに次々と魔の手が迫る。『リボルバー・ドラゴン』、ボムスパイダーの隣に並ぶのはスロットマシーンに手足がついた黄金のモンスター。

 

「バトル!『リボルバー・ドラゴン』で月花見へ、スロットマシーンでダイレクトアタック!」

 

「墓地の『光の護封霊剣』を除外し、ダイレクトアタックを防ぐ!」

 

「チッ、メインフェイズ2、ボムスパイダーの効果発動!スロットマシーンとテメェのフィールドの『強欲なカケラ』を破壊!」

 

希望を潰す爆撃、スロットマシーンにスフィア・ボムが貼り付き、徳松のフィールドに特攻、修復しかけた壺のカケラと共に爆発し、木っ端微塵に吹き飛ばす。

 

「『強欲なカケラ』が……!」

 

「ドローも許しちゃくれねぇか……!」

 

「ターンエンドだ」

 

キース・ハワード LP1100

フィールド『リボルバー・ドラゴン』(攻撃表示)『BMー4ボムスパイダー』(守備表示)

『7カード』×2『機甲部隊の最前線』セット1

『鋼鉄の襲撃者』

手札0

 

「俺のターン、ドロー!速攻魔法、『魔力の泉』!お前さんのフィールドの表側表示の魔法、罠の数だけドローし、俺のフィールドに存在する表側表示の魔法、罠の数だけ手札を捨てる!4枚ドローし、1枚捨てる!」

 

徳松 長次郎 手札0→4→3

 

ここでドローカードを引くのは流石と言うべきか、相手の魔法、罠に発動と破壊の耐性を与えてしまうのが少々難点であるが、この際仕方無いだろう。

 

「魔法カード、『打出の小槌』。手札を交換、カードを2枚セット、ターンエンド」

 

徳松 長次郎 LP2350

フィールド

セット2

手札0

 

「俺のターン、ドロー!こんなもんか?バトルに移る!」

 

「罠発動!『威嚇する咆哮』!」

 

「チッ、しつけぇ野郎だ……ターンエンド……」

 

キース・ハワード LP1100

フィールド『リボルバー・ドラゴン』(攻撃表示)『BMー4ボムスパイダー』(守備表示)

『7カード』×2『機甲部隊の最前線』セット1

『鋼鉄の襲撃者』

手札1

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『命削りの宝札』!3枚ドロー!」

 

徳松 長次郎 手札0→3

 

「2ターン連続でドローカードを……!」

 

「罠発動!『サンダー・ブレイク』!手札を1枚捨て、『リボルバー・ドラゴン』を破壊!」

 

「させねぇ!速攻魔法、『禁じられた聖衣』!『リボルバー・ドラゴン』の攻撃力を600ダウンし、効果破壊耐性を与える!」

 

リボルバー・ドラゴン 攻撃力6000→5400

 

「これもかわすか……カードを2枚セット、ターンエンド」

 

徳松 長次郎 LP2350

フィールド

セット2

手札0

 

「俺様のターン、ドロー!『予見通帳』の効果で除外された3枚を手札に。装備カード、『7カード』!『リボルバー・ドラゴン』に装備!」

 

リボルバー・ドラゴン 攻撃力6000→6700

 

「魔法カード、『古のルール』!手札よりレベル5以上の通常モンスター、『デビルゾア』を特殊召喚!」

 

デビルゾア 攻撃力2600

 

現れたのは彼が持つマシーンモンスターには所属していない、青い悪魔のモンスターだ。喉を唸らせ、徳松を睨み付ける。

 

「バトルに移る!」

 

「永続罠、『デモンズ・チェーン』!『闇の呪縛』!『リボルバー・ドラゴン』の効果と攻撃を、『デビルゾア』の攻撃力を700下げ、攻撃を封じる!」

 

デビルゾア 攻撃力2600→1900

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

キース・ハワード LP1100

フィールド『リボルバー・ドラゴン』(攻撃表示)『BMー4ボムスパイダー』(守備表示)『デビルゾア』(攻撃表示)

『7カード』×3『機甲部隊の最前線』セット1

『鋼鉄の襲撃者』

手札1

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『マジック・プランター』!『デモンズ・チェーン』を墓地に送り、2枚ドロー!」

 

徳松 長次郎 手札0→2

 

「もう1枚、『闇の呪縛』を墓地に送り、2枚ドロー!」

 

徳松 長次郎 手札1→3

 

「魔法カード、『ハーピィの羽帚』!お前のフィールドの魔法、罠を全て破壊!」

 

「速攻魔法、『非常食』!このカード以外の魔法、罠を墓地に送り、LPを回復!」

 

キース・ハワード LP1100→6100

 

「魔法カード、『花合わせ』!デッキから攻撃力100の『花札衛』4体を効果を無効にし、攻撃表示で特殊召喚する!来な、『花札衛ー松ー』!『花札衛ー桐ー』!『花札衛ー芒ー』!『花札衛ー柳ー』!」

 

花札衛ー松ー 攻撃力100

 

花札衛ー桐ー 攻撃力100

 

花札衛ー芒ー 攻撃力100

 

花札衛ー柳ー 攻撃力100

 

1枚のカードで一気に4体のモンスターを呼び出す強力な効果、様々な制限はあるものの、1枚単体の力と考えれば恐るべき脅威だ。カカカカンッ、と甲高い音を鳴らし、連結する4体の『花札衛』。ここから雨四光を呼び出すのも悪くないが、それよりも上を目指す。

 

「柳をリリースし、手札の『花札衛ー柳に小野道風ー』を特殊召喚!」

 

花札衛ー柳に小野道風ー 攻撃力2000

 

これでチューナーも揃い、雨四光のシンクロが可能となった。だが徳松の狙いは更に上、小野道風の効果により、デッキトップに右手を添える。

 

「小野道風の効果でドロー!」

 

徳松 長次郎 手札0→1

 

「来たぜ!ドローしたのは『花札衛ー柳ー』!特殊召喚!」

 

花札衛ー柳ー 攻撃力100

 

これで――5体の『花札衛』がフィールドに揃った。

 

「柳の効果で墓地の柳をデッキに戻し、1枚ドロー!」

 

徳松 長次郎 手札0→1

 

「小野道風の効果でシンクロ素材をレベル2に!さぁ行くぜ!レベル2の松、桐、芒、柳2体に、同じくレベル2の小野道風をチューニング!その神々しきは聖なる光。今、天と地と水と土と金となりて照らせ。シンクロ召喚!『花札衛ー五光ー』!!」

 

花札衛ー五光ー 攻撃力5000

 

5体のモンスターを使ってのレベル10、超弩級のシンクロモンスターのシンクロ召喚、現れたのは徳松 長次郎の真の切り札。煌びやかな甲冑を纏い、美しき波紋を刀身に浮かべた日本刀を持つ鎧武者。攻撃力、5000。デュエルモンスターズの中でも、最大攻撃力と言って良い数値だ。

 

「攻撃力……5000……!」

 

「バトル!五光で『リボルバー・ドラゴン』へ攻撃!」

 

キース・ハワード LP6100→5700

 

五光が自身に光を纏わせ、圧倒的な速度で『リボルバー・ドラゴン』に肉薄、反撃はおろか、動く隙さえも与えず日本刀を斜めに振るい、『リボルバー・ドラゴン』の3つの銃身を真っ二つに切り裂き、爆発を巻き起こす。エース撃破、これで厄介なモンスター破壊は振るえなくなった。

 

「俺様の『リボルバー・ドラゴン』を倒すとはな……」

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ!」

 

徳松 長次郎 LP2350

フィールド『花札衛ー五光ー』(攻撃表示)

セット1

手札0

 

「俺のターン、ドロー!まさかここまでやるとは……だが、『リボルバー・ドラゴン』を倒した位で勝った気になられちゃ困るぜ!ボムスパイダーの効果!このカードと五光を破壊!」

 

「やらせはしねぇ!永続罠、『ディメンション・ガーディアン』!五光に戦闘、効果破壊耐性を与える!」

 

「チ、モンスターをセット、『デビルゾア』を守備表示に変更、ターンエンドだ」

 

キース・ハワード LP5700

フィールド『デビルゾア』(守備表示)セットモンスター

手札0

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『貪欲な壺』!松、桐、芒、柳、小野道風をデッキに戻し、2枚ドロー!」

 

徳松 長次郎 手札0→2

 

「『花札衛ー桐ー』を特殊召喚!」

 

花札衛ー桐ー 守備力100

 

「バトル!五光で『デビルゾア』へ攻撃!」

 

「ぐっ……!」

 

圧倒的な力をもって次々とキースのモンスターを切り伏せていく五光。最早キースは防戦一方、攻撃力5000の耐性持ち、しかも魔法、罠を1ターンに1度無効にする効果も持っているのだ。生半可な手は通じない。

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

徳松 長次郎 LP2350

フィールド『花札衛ー五光ー』(攻撃表示)『花札衛ー桐ー』(守備表示)

『ディメンション・ガーディアン』セット1

手札0

 

「俺のターン、ドロー!カードをセット、ターンエンドだ」

 

キース・ハワード LP5700

セットモンスター

セット1

手札0

 

「俺のターン、ドロー!どうしたどうしたぁ?こんなもんかい?」

 

「チッ、調子に乗りやがって……!」

 

「バトル!五光でセットモンスターへ攻撃!」

 

「破壊された『カードガンナー』の効果でドロー!」

 

キース・ハワード 手札0→1

 

「ターンエンドだ」

 

徳松 長次郎 LP2350

フィールド『花札衛ー五光ー』(攻撃表示)『花札衛ー桐ー』(守備表示)

『ディメンション・ガーディアン』セット1

手札1

 

「俺のターン、ドロー!リバースカード、オープン!『サイクロン』!『ディメンション・ガーディアン』を破壊!」

 

「五光の効果で無効!」

 

「ならモンスターをセット、魔法カード、『命削りの宝札』を発動!3枚ドロー!」

 

キース・ハワード 手札0→3

 

「速攻魔法、『ツイン・ツイスター』!手札を1枚捨て、『ディメンション・ガーディアン』とセットカードを破壊!カードを1枚セット、ターンエンドだ!」

 

キース・ハワード LP5700

フィールド セットモンスター

セット1

手札0

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『アドバンスドロー』!桐をリリースし、2枚ドロー!」

 

徳松 長次郎 手札0→2

 

「更に魔法カード、『暗黒界の取引』。手札を交換、バトルだ!五光でセットモンスターへ攻撃!」

 

「破壊されたのは『エア・サーキュレーター』!効果でドローだ!」

 

キース・ハワード 手札0→1

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

徳松 長次郎 LP2350

フィールド『花札衛ー五光ー』(攻撃表示)

セット1

手札1

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『ブラック・ホール』!フィールドのモンスターを全て破壊!」

 

「五光の効果で無効!」

 

「魔法カード、『オーバーロード・フュージョン』!墓地の『リボルバー・ドラゴン』と『ブローバック・ドラゴン』の2体で融合!融合召喚!『ガトリング・ドラゴン』!!」

 

ガトリング・ドラゴン 攻撃力2600

 

融合召喚、キースの背後に青とオレンジの渦が発生し、黒と赤の機械竜が混ざり合い、フィールドに爆音が轟く。現れたのは頭部と両腕をガトリング砲に進化させ、下半身を車輪に変えた新たな機械竜。このモンスターがキースの切り札か。凄まじい威圧感に徳松達が冷や汗を垂らす。

 

「『ガトリング・ドラゴン』の効果!コイントスを3回行い、表が出た数までフィールドのモンスターを破壊する!」

 

「速攻魔法、『禁じられた聖杯』!『ガトリング・ドラゴン』の効果を無効にし、攻撃力を400アップする!」

 

ガトリング・ドラゴン 攻撃力2600→3000

 

「こいつも凌ぐか、バトル!『ガトリング・ドラゴン』で五光へ攻撃!速攻魔法、『リミッター解除』!『ガトリング・ドラゴン』の攻撃力を倍に!」

 

「ならこっちは手札から『花札衛ー桜に幕ー』を捨て、五光の攻撃力を1000アップ!」

 

ガトリング・ドラゴン 攻撃力3000→6000

 

花札衛ー五光ー 攻撃力5000→6000

 

互いに手札から1枚のカードを放ち、自らの切り札に力を送る。攻撃力6000となった『ガトリング・ドラゴン』と五光のぶつかり合い。

『ガトリング・ドラゴン』が砲門から何十、何百もの弾丸を放ち、五光が光の速度で銃弾の間を縫うように駆け抜け、かわしきれなかった銃弾を刀で弾く。そのまま接近、超至近距離で『ガトリング・ドラゴン』の首を落とそうとしたその時、バカリ、『ガトリング・ドラゴン』の口の奥から4つ目のガトリング砲が出現、五光が首を切ると同時に弾丸が五光の眉間を撃ち抜く。

 

「五光の効果!このカードが戦闘破壊された事で、エクストラデッキから五光以外の『花札衛』シンクロモンスター、雨四光を特殊召喚!!」

 

花札衛ー雨四光ー 攻撃力3000

 

しかし、キースがただ切り札を失った事に対し、徳松は強力な後続を呼び出す。五光には劣るものの、このカードも攻撃力3000の耐性持ち。かなり厄介だ。

 

「ターンエンドだ」

 

「雨四光の効果で次のドローフェイズをスキップするぜ」

 

キース・ハワード LP5700

フィールド

手札0

 

「俺のターン、ドロー!バトルだ!雨四光でダイレクトアタック!」

 

「墓地の『クリアクリボー』を除外し、1枚ドロー!」

 

キース・ハワード 手札0→1

 

「くっ、モンスターじゃねぇ……ぐぅぅぅぅっ!?」

 

キース・ハワード LP5700→2700

 

雨四光の傘から発射される針がキースへと降り注ぎ、キースの身体を焦がさんばかりの熱が襲いかかる。攻撃力3000の大ダメージ、流石のキースもこれには悲鳴を上げる。

 

「どうやらツキに見放されたようだな」

 

「ハッ、そいつはどうかねぇ……!」

 

「俺はこのままターンエンドだ!」

 

徳松 長次郎 LP2350

フィールド『花札衛ー雨四光ー』(攻撃表示)

手札0

 

「俺のターン、ドロー!」

 

「雨四光の効果発動!」

 

キース・ハワード LP2700→1200

 

「ぐぅぅぅぅっ!?舐めるなよ……俺はカードを2枚セット、ターンエンドだ!」

 

「雨四光の効果でドローフェイズをスキップ!」

 

キース・ハワード LP1200

フィールド 

セット2

手札0

 

「俺のターン、ドロー!このまま決める!雨四光で直接攻撃!」

 

「罠発動!『ガード・ブロック』!ダメージを0にし、1枚ドロー!」

 

キース・ハワード 手札0→1

 

「ターンエンドだ」

 

徳松 長次郎 LP2350

フィールド『花札衛ー雨四光ー』(攻撃表示)

手札0

 

キースの残りLPは1200、対して徳松のフィールドには相手が通常ドローを行った場合、1500のダメージを与える雨四光が存在。これを何とかしなければ、キースの敗北。徳松の勝利となる。

緊張の一瞬、キースはデッキトップに右手を翳し、一気にドローする。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

「雨四光の効果ぁ!」

 

「……ツイてるぜぇ!手札の『ハネワタ』を捨て、効果ダメージを0に!」

 

「何ィ!?」

 

この土壇場で、逆境を切り抜ける一手を引き抜くキースの圧倒的幸運。恐るべきドロー力に徳松は勿論、遊矢と驚愕する。この男は、何故これ程までに。

 

「まだまだ終わらねぇ!魔法カード、『貪欲な壺』!墓地の『ガトリング・ドラゴン』、『ツインバレル・ドラゴン』、『BMー4ボムスパイダー』、『カードガンナー』、『ハネワタ』をデッキに戻し、2枚ドロー!」

 

キース・ハワード 手札0→2

 

「ここで……」

 

「更にドロー……!」

 

「魔法カード、『黙する死者』!墓地の通常モンスター、『デビルゾア』を守備表示で蘇生!」

 

デビルゾア 守備力1900

 

キースを昔から支えて来た1枚、青い悪魔がフィールドに舞い戻り、彼を守るように膝をつく。闇属性、機械族を中心としたデッキには首を傾げざるを得ないモンスターだ。何故キースはこのモンスターを投入しているのか、その謎は、今解き明かされる。

 

「罠発動!『メタル化・魔法反射装甲』を発動!『デビルゾア』に攻守300アップの装備カードとして装備!」

 

デビルゾア 守備力1900→2200

 

眩い光が『デビルゾア』を包み込み、フレーバーテキスト通り、『デビルゾア』の真の力を解放する。

 

「そしてこのカードを装備した『デビルゾア』をリリースする事で、デッキから『メタル・デビルゾア』を特殊召喚!」

 

メタル・デビルゾア 攻撃力3000

 

ガシャガシャと『デビルゾア』が身体を煌めく鋼の装甲で覆い、土煙を上げてフィールドに降り立つ。これこそが『デビルゾア』の真の姿。

闇属性、機械族に変化し、雄々しい咆哮を放つ。尚、『メタル化・魔法反射装甲』を装備した『デビルゾア』の方が強いのは密に。このカードにも『鋼鉄の襲撃者』の効果を受けられると言うメリットが一応存在するのだ。

 

「バトル!『メタル・デビルゾア』で雨四光へ攻撃!メタル・エックス・シザース!」

 

「迎え撃て!雨四光!」

 

『メタル・デビルゾア』が頭部の翼を発光させ、振るうと同時にX字のレーザーが雨四光に向かって突き進み、雨四光が放つ無数の針とぶつかり合う。

そしてフィールド中央で爆発を起こし、互いのモンスターがガラスのように砕け散る。互いの攻撃力は同じ3000、当然の帰結だ。爆煙がフィールドを覆い、両者の視界を塞ぐ。

 

「相撃ち……」

 

「ハッ、笑わせてんじゃねぇよ……今度はこっちが後続を呼ぶ番だ!」

 

瞬間、キースの声が響き渡り、煙の中より黒光りする銃口が徳松と遊矢の視界に写る。これは、このモンスターは――。

 

「俺様の闇属性、機械族モンスターが戦闘で破壊された事で、手札の『デスペラード・リボルバー・ドラゴン』を特殊召喚する!!」

 

デスペラード・リボルバー・ドラゴン 攻撃力2800

 

現れたのはキース・ハワードの真の切り札。『リボルバー・ドラゴン』を正当進化させた、機械の翼を広げる頭部、両腕がリボルバーとなった巨大な竜。最後の絶望が、徳松に照準を合わせる。

 

「これで終わりだ!撃ち抜けっ、デスペラードォ!」

 

ガシャリ、デスペラードの3つの銃口が徳松へと向き、3発の銃弾を放つ。モンスターは全滅、手札は尽きた、墓地にも希望は無い。その銃弾は――徳松のLPを貫く。

 

徳松 長次郎 LP2350→0

 

0を刻むLP、徳松はその一撃に吹き飛ばされ、倒れ伏す。勝者、キース・ハワード。圧倒的豪運をもってして、彼は徳松を下して見せた。その勲章を掴み取るが如く、彼はデュエルディスクを操作し、紫色の光を灯す。

これは、デュエリストのカード化。遊矢は何とか動き、徳松を守ろうとするが、ガクリ、回復し切れてないのか、膝が言う事を聞いてくれない。

 

「うぁ……!やめ、やめろぉっ!!」

 

そんな、時だった。

 

「ッ!?」

 

ガキリ、と。キース正面から何かが飛来し、デュエルディスクごと腕を弾き、跳ね上げたのは。

 

「――ッ!これ、は……」

 

突然の事に遊矢が目を見開き、キースも固まる。一体何が起こっているのか、飛んで来た何かがキースのデュエルディスクに当たってクルリと宙で回転し、地に突き刺さる。これは――カードだ。

たった1枚のカードが、猛スピードで飛来、キースのデュエルディスクを弾いたのだ。一体誰がこんな事を?そんな事は、カードを見れば一目瞭然だった。

 

「……『インフェルニティ・デス・ガンマン』……!」

 

遊矢がカードの名を呼んだ瞬間、響き渡るハーモニカの音色。西部劇を思わせる緩やかなそれを奏で、彼は月をバックに土を鳴らし、この場に現れる。

無造作に伸ばされた淡い青の髪、気だるげな眼に、顔に右に引かれた黄色いマーカー。黒いコートを纏い、カードを放ったであろう、銃型のデュエルディスクを手に持った彼。そう、シンクロ次元最強の男――。

 

「鬼柳……京介……!」

 

死神が、冥府の扉を撃ち抜き、蘇る。

 

「……地獄の底から、舞い戻って来たぜ……!」

 

ニヤリ、途端に好戦的な笑みを浮かべ、拳銃を空へと向ける鬼柳。そしてそのまま――パンッ、とデュエル開始の合図を送るが如く発砲、銃型よりデュエルディスクに変形したそれを左腕に装着し、光輝くプレートを展開する。

 

「良いもん持ってるな……俺が勝ったらそのデュエルディスク、貰おうか」

 

「さぁ……満足させてくれよ?」

 

生きるか死ぬか――今、死神が互いの眉間に、銃を突きつける。

 

「「デュエル!!」」


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