遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

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前回までのあらすじ
地下へと送られた沢渡。彼は痴漢冤罪で捕まったと言うジャンと言う男と行動を共にする事になる。「全く、俺は軽い女には興味がないと言うのに」そう事情を語りながら自身の尻を優しく撫でるジャンに、沢渡は身の危険を覚えるのだった。因みに部屋は一緒である。


第157話 俺はお前の中に光る原石を見た

フレンドシップカップ、2回戦第2試合が終わった頃、今まで軽いフットワークで零児の下と地下を行き来し、情報収集をしていた月影が動く。目的は突如シティに現れたアカデミアからの刺客、オベリスク・フォース達に対抗する為、ランサーズメンバーを地下から脱出させる為だ。折角アカデミアと闘う為に結成されたデュエル戦士がアカデミアと闘わない等、笑い話にもならない。

 

「アカデミアの手先が現れたか……その話、本当なんだろうな、月影」

 

「うむ、この目でハッキリと」

 

「ったく、余計な時に来てくれるぜ」

 

隼、月影、アリトの順で口を開き、状況確認と策を練るランサーズ。地下の警備は収容所よりも厳重だ。月影が何とかルートを確保しているが、上手く進むかまでは分からない。このまま通すか、それとも策を変更するか、その時、隼が何か妙案を思いついたのか、ニヤリと不敵に笑う。

 

「そうか……どうせなら、ここの奴等も連れていこう」

 

「はぁ!?そんなのバレちまうに決まってんだろ!」

 

「どうせお前がいる時点でバレる」

 

「にゃにおう!」

 

大胆にも程がある隼の台詞に、沢渡が反応するも、隼がお前が原因だとばかりに冷ややかな視線を送る。目立ちたがり屋で騒がしく、その上うっかりしている彼がいれば、そう考えても無理はない。前科もある事だ。

 

「俺達ランサーズは、シンクロ次元の奴等を含めると、少々多人数となってしまった。これではバレる可能性は高い。だから――」

 

「成程、囮か」

 

「そうだ、こいつ等には悪いが、森になってもらう。本物の犯罪者は既に気絶させて牢に放り込んである」

 

「何時の間に……」

 

木を隠すなら森の中、と言う事だろう、どうせバレるなら、大々的にバラしてしまえと言う隼らしい策だ。穴は残るが、それは都度サポートすれば良い。時間もない。

 

「その為に、奴に協力してもらう」

 

そうして――ランサーズメンバーは、この策の鍵を握るであろう人物の下に向かっていく――。

 

――――――

 

一方、地上に残るランサーズメンバーの1人、榊 遊矢は、ユーゴやセレナと別行動でシティをDーホイールで駆け抜け、1人のオベリスク・フォースと対峙していた。

 

「貴様が榊 遊矢か……その実力、どれ程のものか見せてもらおう!デュエルだ!」

 

「1人で良いのか?何時も3人行動だった気がするけど」

 

「フン、俺を他のオベリスク・フォースと一緒にされては困る!アカデミアにも、デュエリストとしての矜持を捨てず、恥を知っている者はいるのだ!」

 

「ならそのままカード化なんてやめて欲しいんだけどな。まぁ、そう言う話なら、遠慮なく!」

 

互いにデュエルディスクを構え、光輝くプレートを展開、遊矢は同時にアクションフィールドを発動し、フィールドが光の粒子に包まれ、姿を変える。アクションフィールド、『歯車街』。どうやらハズレを引いてしまったようだ。オベリスク・フォースもニヤリと笑みを浮かべ、轟音を鳴らしながらそびえ立つ、赤錆を纏った街並みを見つめる。

 

「ククク、始まる前に勝負が決まってしまったか?」

 

「そうでもないさ!」

 

2人はデッキより5枚のカードを手にし、前のめりになって決闘の口火を切る。

 

「「デュエル!!」」

 

このデュエルが、後に大きな影響を与える事は、まだ誰も知らない。

 

「まずは俺のターンからだ!何だか最近後攻ばっかだったから新鮮だな……俺は『EMモモンカーペット』と『相克の魔術師』でペンデュラムスケールをセッティング!これでレベル3から6のモンスターを同時に召喚可能!」

 

「出たか、ペンデュラム……!」

 

早速遊矢得意のペンデュラム。彼の背後に光の柱が2本伸び、中に魔法の絨毯とモモンガを合わせたモンスターと、大剣を構えた勇ましい『魔術師』が現れる。そしてモモンカーペットはくるりと宙で翻り、相克は剣を回転させ、天空に線を結び、輝く魔方陣を描き出す。これで準備は整った。

 

「揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!『EMキングベアー』!『EMウィップ・バイパー』!」

 

EMキングベアー 攻撃力2200

 

EMウィップ・バイパー 攻撃力1700

 

天空の振り子が揺れ、魔方陣より孔が開く。中より2本の光が飛び出し、フィールドを激震させ、現れたのは王冠を被り、マントを翻した熊とシルクハットを被った愛嬌のある紫のコブラ。

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ!」

 

榊 遊矢 LP4000

フィールド『EMキングベアー』(攻撃表示)『EMウィップ・バイパー』(攻撃表示)

セット1

Pゾーン『EMモモンカーペット』『相克の魔術師』

手札0

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『手札抹殺』を発動!手札を全て捨て、その分ドロー!クク、見せてやろう、進化したオベリスク・フォースのデュエルを!」

 

「何……!?」

 

新たに引き込んだ5枚のカードを見つめ、オベリスク・フォースが不敵な笑みを浮かべる。進化したオベリスク・フォースのデュエル、それは一体――。

 

「貴様等が強くなるように、俺達も成長するのだ!永続魔法、『補給部隊』、フィールド魔法、『歯車街』を発動!フィールド自体は変わらんが、こちらは破壊が出来る!早速墓地の『古代の機械射出機』の効果発動!俺のフィールドの『歯車街』を破壊し、『古代の歯車トークン』を特殊召喚!更に『歯車街』が破壊された事で、デッキから『古代の機械工兵』をリクルートする!」

 

古代の機械工兵 攻撃力1500

 

古代の機械トークン 守備力0

 

現れたのは右腕をドリルにした古びた機械戦士と小さな歯車。『歯車街』で呼べるモンスターはレベル制限や攻撃力制限が無い為、もっと強力なモンスターを呼べる筈だが――。

 

「疑問か?何故俺がこのモンスターを選んだのか」

 

「……」

 

「直ぐに分かる!魔法カード、『ナチュラル・チューン』!フィールドの通常モンスター、すなわち『古代の機械トークン』をチューナー扱いにする!」

 

「チューナーだって!?」

 

これが彼が工兵を呼んだ理由。工兵のレベルは5、トークンのレベルは1、つまりレベル6のシンクロモンスターを呼び出そうとしているのかと遊矢は驚愕するが、まだそれは正解には至っていない。

 

「シンクロ召喚か……!」

 

「惜しいな、シンクロ召喚も、だ!魔法カード、『異界共鳴ーシンクロ・フュージョン』!」

 

「そのカードは!?」

 

そう、これこそが彼の真の狙い。融合とシンクロ、2種を同時に行う、セルゲイと同じ戦術、今までのオベリスク・フォースの戦術を超えた新たな力。

 

「知っているようだな、話が早くて助かる。俺はこのカードの効果を使い、工兵とトークンで融合とシンクロを行う!まずは融合と行こう!今、隊列を組み交じり合い、新たな力と共に生まれ変わらん!融合召喚!現れろ!機械仕掛けの魔神!『古代の機械魔神』!」

 

古代の機械魔神 攻撃力1000

 

青とオレンジの渦が広がり、2体の『アンティーク・ギア』モンスターが混ざり合い、新たなモンスターとなって産声を上げる。ガシャンとフィールドに降り、駆動音を鳴らすのは黒鉄の細いボディを持った悪魔。背には骨が剥き出しになったような翼が伸び、腕は赤と黒のパーツで形成された3連の砲塔になっている。

 

「次はシンクロだ!レベル5の『古代の機械工兵』に、レベル1の『古代の機械トークン』をチューニング!荒ぶる獣の牙持て捕獲せよ!シンクロ召喚!『ゴヨウ・プレデター』!」

 

ゴヨウ・プレデター 攻撃力2400

 

歯車が光輝いて工兵を包み込み、一筋の閃光が歯車ごと工兵を貫く。天に輝く6つの星、フィールドで回転し、集束、人型に変化して肉がついていく。現れるのは覆面レスラーのようなマスクを被った岡っ引きのモンスター。本来セキュリティが持つシンクロモンスターだ。

 

「異界共鳴に『ゴヨウ』モンスター……やっぱり、セキュリティはアカデミアと繋がってたんだな……!」

 

「さて、どうかな?貴様にそれを確かめる術はない……何故ならここで俺に負けるのだから!魔法カード、『オーバーロード・フュージョン』!墓地より4体の『アンティーク・ギア』モンスターを除外し、融合を行う!融合召喚!この世の全てを形無き混沌に帰す究極破壊神!『古代の機械混沌巨人』!!」

 

古代の機械混沌巨人 攻撃力4500

 

更に、追い討ちをかけるように、いや、追い討ちと言うには余りにも強大なモンスターがフィールドに呼び出される。青いボディを、鈍く輝かせた巨大な猟犬達の王、『アンティーク・ギア』最強にして最大のモンスターが今、『歯車街』に地響きを鳴らして現れる。

 

「これが……進化したオベリスク・フォースのデュエル……!」

 

「そうだ!これが新たなオベリスク・フォースのデュエル!『古代の機械魔神』の効果により、貴様に1000のダメージを与える!」

 

榊 遊矢 LP4000→3000

 

「バトルと行こう!」

 

「その前に、ウィップ・バイパーの効果発動!『古代の機械混沌巨人』の攻守を反転!」

 

古代の機械混沌巨人 攻撃力4500→3000

 

「やるではないか、だがそれでも俺の勝利は揺るがない!『古代の機械魔神』でウィップ・バイパーへ攻撃!」

 

「自爆特攻……!?」

 

オベリスク・フォース LP4000→3300

 

黒鉄の重機が特攻し、ウィップ・バイパーに返り討ちにあって機械の身体がひしゃげ、ボロボロと錆が溢れ落ちる。そのまま爆裂――カラカラと歯車が飛び散っていく。

 

「『補給部隊』の効果でドロー!更に、『古代の機械魔神』が戦闘破壊された事で、デッキから『古代の機械巨人ーアルティメット・パウンド』を召喚条件を無視し、リクルートする!!」

 

古代の機械巨人ーアルティメット・パウンド 攻撃力3000

 

オベリスク・フォース 手札0→1

 

飛び散った歯車は『歯車街』へと回収、再利用されて新たな『アンティーク・ギア』モンスターへと生まれ変わる。ズズンと地に着地すると共に地響きを起こし、赤いモノアイを輝かせたのは『古代の機械巨人』の新たなる姿、アルティメット・パウンドだ。大型モンスターの連続に流石の遊矢も冷や汗をかく。

 

「『ゴヨウ・プレデター』でウィップ・バイパーを攻撃!」

 

「『EMモモンカーペット』のペンデュラム効果で戦闘ダメージを半減!」

 

榊 遊矢 LP3000→2650

 

「うぐっ――!」

 

「フハハハハ!どうしたどうした!?これがランサーズとやらの実力か?『ゴヨウ・プレデター』の効果で戦闘破壊し、墓地に送ったウィップ・バイパーを俺のフィールドに蘇生する!」

 

EMウィップ・バイパー 攻撃力1700

 

EMキングベアー 攻撃力2200→2400

 

「ウィップ・バイパーが……!」

 

超重量級の『アンティーク・ギア』モンスターに加え、モンスターのコントロールを奪う『ゴヨウ』モンスターによる攻撃的なデュエルが遊矢を襲う。幸いモモンカーペットの効果で何とか致命傷は避けられてはいるが、どこまでもつか。

 

「次はアルティメット・パウンドでキングベアーに攻撃ィ!」

 

榊 遊矢 LP2650→2250

 

巨人の歯車が鈍く回転し、ノロマな動きのまま右腕がキングベアーに吸い込まれるように襲いかかる。キングベアーもフンスと鼻を鳴らして応戦するも、余りに重い衝撃に吹き飛ばされる。

 

「更に!アルティメット・パウンドがモンスターを破壊した事で、手札の機械族モンスター1体を捨て、効果発動!もう1度続けて攻撃を行う!ダイレクトアタックだ!」

 

「させるか!罠発動!『パワー・ウォール』!相手モンスターの攻撃により、自分が受けるダメージ計算時、そのダメージが0になるように、500ダメージにつき、デッキトップからカードを墓地に送る!3枚のカードを墓地へ!」

 

デュエルディスクの処理により、遊矢のデッキから3枚のカードが墓地に送られる。決してデッキを投げる事はしない。そちらの芸は裏サイバー流の技である。

 

「逃れたか、だがこれはどうかな?『古代の機械混沌巨人』の攻撃!クラッシュ・オブ・ダークネス!」

 

「アクションマジック、『大脱出』バトルを終了!」

 

混沌巨人の右腕にエネルギーが集束、黒く輝く球体となって撃ち出されるも、遊矢がその場から消え、不発に終わる。これでこのターン、遊矢に手を出す事は不可能となった。

 

「チ、ターンエンドだ」

 

オベリスク・フォース LP3300

フィールド『古代の機械混沌巨人』(攻撃表示)『古代の機械巨人ーアルティメット・パウンド』(攻撃表示)『ゴヨウ・プレデター』(攻撃表示)『EMウィップ・バイパー』(攻撃表示)

『補給部隊』

手札0

 

強力な攻撃を何とか避け、自身のターンに漕ぎ着けた遊矢。とんでもないモンスターやプレイングのオンパレードだった。危うく1ターンキルされてしまう所だっただろう。状況は早速遊矢の不利、何とか巻き返したい。

 

「俺のターン、ドロー!ここからが本番だ!俺は魔法カード、『命削りの宝札』を発動!3枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札0→3

 

「ここで手札増強カードか……」

 

「良し、これなら……!俺はカードを3枚セット、ターンエンドだ!」

 

榊 遊矢 LP2250

フィールド

セット3

Pゾーン『EMモモンカーペット』『相克の魔術師』

手札0

 

「俺のターン、ドロー!さて、どこまでやれるかな?永続魔法、『古代の機械城』を発動!俺の『アンティーク・ギア』モンスターの攻撃力は300アップする!」

 

古代の機械巨人ーアルティメット・パウンド 攻撃力3000→3300

 

「バトル!」

 

「罠発動!『威嚇する咆哮』!攻撃宣言を封じる!」

 

「チ、当然防御札は引き込んでいるか……ターンエンド!」

 

オベリスク・フォース L3300

フィールド『古代の機械混沌巨人』(攻撃表示)『古代の機械巨人ーアルティメット・パウンド』(攻撃表示)『ゴヨウ・プレデター』(攻撃表示)『EMウィップ・バイパー』(攻撃表示)

『古代の機械城』『補給部隊』

手札0

 

「俺のターン、ドロー!ペンデュラム召喚!『EMキングベアー』!『EMラディッシュ・ホース』!」

 

EMキングベアー 攻撃力2200

 

EMラディッシュ・ホース 守備力2000

 

再びペンデュラム召喚、今度は先のターン召喚されたキングベアーに加え、大根の角を持った馬もいる。このカードが、逆転のピースを握っている。

 

「ラディッシュ・ホースの効果により、混沌巨人の攻撃力をこのカードの攻撃力分ダウンし、キングベアーの攻撃力をその数値分アップ!」

 

古代の機械混沌巨人 攻撃力4500→4000

 

EMキングベアー 攻撃力2200→2700

 

これでバトルに入ればキングベアーの攻撃力は3000までアップするが、それでも混沌巨人には届かず、ウィップ・バイパーの効果を使われれば大幅に下がってしまう。

 

「罠発動!『ダブルマジックアームバインド』!俺のフィールドからキングベアーとラディッシュ・ホース、2体のモンスターをリリースし、お前のフィールドから『古代の機械巨人ーアルティメット・パウンド』と『ゴヨウ・プレデター』のコントロールを奪う!」

 

「何ッ!?くっ、ウィップ・バイパーの効果により、『ゴヨウ・プレデター』の攻守を反転!」

 

ゴヨウ・プレデター 攻撃力2400→1200

 

遊矢のフィールドにシンバルのようなアームを持つマジックハンドが2つ、交差する形で合わさった物体が出現し、それぞれのアームでアルティメット・パウンドと『ゴヨウ・プレデター』を掴み、遊矢のフィールドへと運ぶ。コストこそ重いが、強力なカードだ。だがそれでも、混沌巨人のコントロールを奪えず、攻撃力も届かない。

 

「バトルだ!アルティメット・パウンドで混沌巨人へ攻撃!」

 

「『ダブルマジックアームバインド』でコントロールを奪ったモンスターはそのターンの終了時に相手フィールドに戻る。せめてこちらの戦力を削ろうと思ったか?迎え撃て!混沌巨人!」

 

互いのフィールドの巨人が歯車を回転させ、剛腕を振るい、フィールド中央で火花を散らす。『歯車街』で繰り広げられる、大迫力のバトル、だがやはり、混沌巨人が優勢なのか、圧倒的なパワーを前に徐々に押され始める。

 

「自爆特攻?違うね!墓地の『スキル・サクセサー』を除外し、アルティメット・パウンドの攻撃力を、800アップ!」

 

古代の機械巨人ーアルティメット・パウンド 攻撃力3300→4100

 

「馬鹿な……!」

 

だが遊矢がニヤリと不敵な笑みを浮かべ、左腕を天に向かって突き上げると同時にアルティメット・パウンドも同様の動きで混沌巨人の拳をかち上げる。僅か100の差が、溝を開いた。たたらを踏む混沌巨人に対し、右腕を振り下ろし、轟音を鳴らして混沌巨人が吹き飛び、『歯車街』を破壊しながら崩れ落ちる。

 

オベリスク・フォース LP3300→3200

 

「ぐっ、混沌巨人が……!俺は『補給部隊』の効果でドロー!」

 

オベリスク・フォース 手札0→1

 

「これで一番厄介なモンスターは消えた。『ゴヨウ・プレデター』でウィップ・バイパーへ攻撃、今度は自爆特攻だ」

 

榊 遊矢 LP2250→2000

 

「ターンエンドだ。アルティメット・パウンドのコントロールは元に戻る」

 

榊 遊矢 LP2000

フィールド

セット1

Pゾーン『EMモモンカーペット』『相克の魔術師』

手札0

 

「俺のターン、ドロー!まさか混沌巨人がこうも早く退場するとは……まぁ、そちらの消費も激しいようだが。バトルだ!アルティメット・パウンドでダイレクトアタック!」

 

「罠発動!『カウンター・ゲート』!相手のダイレクトアタック時、1枚ドローし、それがモンスターの場合、通常召喚する!ドロー!」

 

榊 遊矢 手札0→1

 

「良し、ドローカードは『EMアメンボート』!召喚する!」

 

EMアメンボート 攻撃力500

 

「この瞬間、モンスターが召喚された事で『古代の機械城』にカウンターが乗る」

 

古代の機械城 カウンター0→1

 

現れたのはアメンボ型の小さなモンスターだ。この状況では打ってつけのカードと言える。

 

「ならばウィップ・バイパーで攻撃!」

 

「アメンボートの効果発動!攻撃を無効にし、このカードを守備表示に変更する!」

 

「チ、ターンエンドだ」

 

オベリスク・フォース LP3200

フィールド『古代の機械巨人ーアルティメット・パウンド』(攻撃表示)『EMウィップ・バイパー』(攻撃表示)

『古代の機械城』『補給部隊』

手札2

 

「俺のターン、ドロー!ペンデュラム召喚!『EMキングベアー』!『EMラディッシュ・ホース』!」

 

EMキングベアー 攻撃力2200

 

EMラディッシュ・ホース 守備力2000

 

「ラディッシュ・ホースの効果発動!ウィップ・バイパーの攻撃力をダウンし、キングベアーの攻撃力をアップ!」

 

EMウィップ・バイパー 攻撃力1700→1200

 

EMキングベアー 攻撃力2200→2700

 

「ウィップ・バイパーの効果でキングベアーの攻守を反転!」

 

EMキングベアー 攻撃力2700→1500

 

このウィップ・バイパーの効果が厄介だ。このカードがあってはアルティメット・パウンドに攻めようにも攻められない。流石は自身のカードと言った所か、相手になって改めてその頼もしさを思い知らされる。

 

「バトルだ!キングベアーの攻撃力がアップ!」

 

EMキングベアー 攻撃力1500→1900

 

「キングベアーでウィップ・バイパーへ攻撃!」

 

オベリスク・フォース LP3200→3000

 

「『補給部隊』の効果でドロー!」

 

オベリスク・フォース 手札2→3

 

「アメンボートを攻撃表示に変更、カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

榊 遊矢 LP2000

フィールド『EMキングベアー』(攻撃表示)『EMラディッシュ・ホース』(守備表示)『EMアメンボート』(攻撃表示)

セット1

Pゾーン『EMモモンカーペット』『相克の魔術師』

手札0

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『強欲で金満な壺』!エクストラデッキのモンスター6体を除外し、2枚ドロー!」

 

オベリスク・フォース 手札3→5

 

「『古代の機械騎士』を召喚!」

 

古代の機械騎士 攻撃力1800→2100

 

古代の機械城 カウンター1→2

 

現れたのは槍と盾を持った古びた機械騎士。『アンティーク・ギア』唯一のデュアルモンスターであり、攻撃力も高い下級モンスターだ。

 

「バトル!『古代の機械騎士』でアメンボートへ攻撃!」

 

「攻撃を無効にし、守備表示に!」

 

「アルティメット・パウンドで追撃!貫通ダメージを受けろ!」

 

榊 遊矢 LP2000→1150

 

「ぐぁっ!?」

 

「まだだ!手札の機械族モンスターを捨て、更に追撃!ラディッシュ・ホースを蹴散らせ!」

 

榊 遊矢 LP1150→500

 

「こ、のっ……!」

 

「この効果は1ターンに2度まで使えるが――残念な事に、手札に機械族はもういない。カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

オベリスク・フォース LP3000

フィールド『古代の機械巨人ーアルティメット・パウンド』(攻撃表示)『古代の機械騎士』(攻撃表示)

『古代の機械城』『補給部隊』セット1

手札2

 

「俺のターン、ドロー!こっちも永続魔法、『補給部隊』を発動!ペンデュラム召喚!『EMラディッシュ・ホース』!」

 

EMラディッシュ・ホース 守備力2000

 

「ラディッシュ・ホースの効果でアルティメット・パウンドの攻撃力をダウンし、キングベアーの攻撃力をアップ!」

 

古代の機械巨人ーアルティメット・パウンド 攻撃力3300→2800

 

EMキングベアー 攻撃力2200→2700

 

「バトルに入る!」

 

EMキングベアー 攻撃力2700→3000

 

「キングベアーでアルティメット・パウンドへ攻撃!この瞬間、罠発動!『幻獣の角』!キングベアーに攻撃力800アップの装備カードとして装備!」

 

EMキングベアー 攻撃力3000→3800

 

オベリスク・フォース LP3000→2000

 

「ふっ――だがアルティメット・パウンドが破壊された事で、デッキから『融合』を、墓地からは『古代の機械巨人』を手札に加え、『補給部隊』の効果でドローする!」

 

「こっちも『幻獣の角』の効果でドローする!」

 

榊 遊矢 手札0→1

 

オベリスク・フォース 手札4→5

 

互いに手札を確保するが、その数はオベリスク・フォースの方が多い。リカバリー手段も豊富、これはやはり手強い相手だ。

 

「ターンエンド」

 

榊 遊矢 LP500

フィールド『EMキングベアー』(攻撃表示)『EMラディッシュ・ホース』(守備表示)

『補給部隊』『幻獣の角』

Pゾーン『EMモモンカーペット』『相克の魔術師』

手札1

 

「俺のターン、ドロー!成程な、混沌巨人に続き、アルティメット・パウンドまで破壊する腕前は流石だが――こちらの手は止まらんぞ!罠発動、『強欲な瓶』!1枚ドロー!」

 

オベリスク・フォース 手札7→8

 

「魔法カード、『打ち出の小槌』!手札3枚を交換、魔法カード、『融合』!手札の『古代の機械巨人』、『古代の機械箱』、『古代の歯車』で融合!今一つとなりて絶大なる力を示せ。融合召喚!出でよ、『古代の機械究極巨人』!」

 

古代の機械究極巨人 攻撃力4400→4700

 

3体ものモンスターを素材とし、現れたのはケンタウルスのように下半身が4足歩行となったゴーレムだ。攻撃力は4400、貫通効果持ちの上、攻撃時に魔法、罠の効果を封じる。つまり、ラディッシュ・ホースがこのカードの攻撃を受ければモモンカーペットのペンデュラム効果でダメージを半減しても、遊矢のLPが削り取られてしまう。

 

「バトルだ!究極巨人でラディッシュ・ホースへ攻撃ィ!」

 

「手札の『EMバリアバルーンバク』を捨て、戦闘ダメージを0に!そして『補給部隊』の効果でドロー!」

 

榊 遊矢 手札0→1

 

「かわしたか、騎士を守備表示に変更し、カードをセット、ターンエンドだ」

 

オベリスク・フォース LP2000

フィールド『古代の機械究極巨人』(攻撃表示)『古代の機械騎士』(攻撃表示)

『古代の機械城』『補給部隊』セット1

手札2

 

「俺のターン、ドロー!ペンデュラム召喚!『EMラディッシュ・ホース』!『EMパートナーガ』!『EMバブルドッグ』!」

 

EMラディッシュ・ホース 守備力2000

 

EMパートナーガ 守備力2100

 

EMバブルドッグ 攻撃力2300

 

再び揺れるペンデュラム、キングベアーに並び立つのはラディッシュ・ホースとウィップ・バイパーとは違う蛇型のモンスター、加えて頭にシャンプーノズル、下半身を泡で覆い、サスペンダーをつけた実に変態デザインの『EM』。攻め手は充分。究極巨人は混沌巨人に比べれば大いに勝機はある。

 

「パートナーガの召喚、特殊召喚時効果を使い、ラディッシュ・ホースの攻撃力を、フィールドの『EM』モンスターの数×300アップする!」

 

EMラディッシュ・ホース 攻撃力500→1700

 

「更にラディッシュ・ホースの効果により、究極巨人の攻撃力をダウン、キングベアーの攻撃力をアップ!」

 

古代の機械究極巨人 攻撃力4700→3000

 

EMキングベアー 攻撃力3000→4700

 

「そしてバトルに入り、キングベアーの攻撃力は更にアップ!」

 

EMキングベアー 攻撃力4700→5200

 

「キングベアーで究極巨人へ攻撃!」

 

「罠発動!『ハイレート・ドロー』!俺のフィールドのモンスターを全て破壊し、機械族モンスターの数だけドロー。『補給部隊』の効果でもドロー!」

 

オベリスク・フォース 手札0→3

 

「更に究極巨人の効果発動!破壊された事で、墓地に眠る『古代の機械巨人』を蘇生する!!」

 

古代の機械巨人 守備力3000

 

「なら攻撃対象を『古代の機械巨人』に変更!」

 

「むぅっ……!」

 

手札を補充しつつ、後続を呼ぶ見事なプレイング。とは言え今の遊矢は止められない。キングベアーの鋭い爪が巨人を切り裂き、残骸が『歯車街』へ飛び散っていく。

 

「『幻獣の角』の効果でドロー!」

 

榊 遊矢 手札0→1

 

「そしてバブルドッグで攻撃!」

 

「くっ、手札の『速攻のかかし』を捨て、攻撃を無効にし、バトルを終了!」

 

「へへっ、どんなもんだ!俺はカードを1枚セット、ターンエンドだ!」

 

榊 遊矢 LP500

フィールド『EMキングベアー』(攻撃表示)『EMラディッシュ・ホース』(守備表示)『EMパートナーガ』(守備表示)『EMバブルドッグ』(攻撃表示)

『補給部隊』『幻獣の角』セット1

Pゾーン『EMモモンカーペット』『相克の魔術師』

手札0

 

「俺のターン、ドロー。魔法カード、『打ち出の小槌』。手札を交換し、モンスターとカードをセット、ターンエンド」

 

オベリスク・フォース LP2000

フィールド セットモンスター

『古代の機械城』『補給部隊』セット1

手札1

 

「俺のターン、ドロー!バトルだ!」

 

EMキングベアー 攻撃力3000→3500

 

「キングベアーでセットモンスターへ攻撃!」

 

「ぐ、『補給部隊』の効果でドロー!」

 

オベリスク・フォース 手札1→2

 

榊 遊矢 手札1→2

 

「バブルドッグでダイレクトアタック!」

 

「罠発動!『カウンター・ゲート』!効果は知ってるな?1枚ドロー!」

 

オベリスク・フォース 手札2→3

 

「引いたカードは『古代の機械巨人ーアルティメット・パウンド』!上級モンスターだが……『古代の機械城』はそのカウンターの数のリリース要員に出来る!『古代の機械城』をリリース、アドバンス召喚!『古代の機械巨人ーアルティメット・パウンド』!!」

 

古代の機械巨人ーアルティメット・パウンド 攻撃力3000

 

これも見事なプレイング、モンスターが存在しないにも関わらず、最上級モンスターをフィールドに呼ぶオベリスク・フォース。本当にこのデュエル、驚かされてばかりだ。

 

「全く、楽しませてくれるよ。光る原石じゃないか。アクションマジック、『セカンド・アタック』!キングベアーに再度攻撃権を与える!やれ!」

 

「させん!手札の『工作列車シグナル・レッド』の効果!このカードを特殊召喚し、攻撃対象をこのカードに移し変える!また、このカードはその戦闘では破壊されない!」

 

工作列車シグナル・レッド 守備力1300

 

「やるな……俺はこれでターンエンドだ!」

 

榊 遊矢 LP500

フィールド『EMキングベアー』(攻撃表示)『EMラディッシュ・ホース』(守備表示)『EMパートナーガ』(守備表示)『EMバブルドッグ』(攻撃表示)

『補給部隊』『幻獣の角』セット1

Pゾーン『EMモモンカーペット』『相克の魔術師』

手札2

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『ペンデュラム・ストーム』を発動!」

 

「何ッ!?」

 

発動されたのは遊矢達の力、ペンデュラムに関するカード、こんなカードまで投入されているとは。

 

「互いのペンデュラムを破壊、そしてその後、『幻獣の角』を破壊!俺は更に魔法カード、『古代の機械融合』を発動!フィールドのアルティメット・パウンド、そしてデッキの『古代の機械巨人』とアルティメット・パウンドの3体で融合!」

 

「デッキ融合……!」

 

次は『アンティーク・ギア』専用の融合カード、『古代の機械巨人』系統を素材とするならば、デッキからも素材を選出出来る効果を持っている。遊矢とて、デッキ融合の強力さは知っている。真澄の『ジェムナイト』やねねの『シャドール』。デッキから素材とする事で消費を抑え、同時にデッキ圧縮をこなす新時代の融合と言える。

 

「融合召喚!『古代の機械超巨人』!」

 

古代の機械超巨人 攻撃力3300

 

3体の『古代の機械巨人』が混ざり合い、フィールドに激震を走らせるのは6本の腕と4本の脚を持つ合成巨人。究極巨人にも匹敵するその巨人さは正しくメガトン級、赤いモノアイが閃き、遊矢のフィールドを睨む。

 

「こいつは素材となった『古代の機械巨人』とアルティメット・パウンドの数が2体以上の場合、その数だけ攻撃が可能、つまり3回の攻撃が可能となっているのだ!バトル!」

 

「バトル前に罠発動、『レインボー・ライフ』!手札を1枚捨て、このターンのダメージを回復に!」

 

「チ、キングベアーへ攻撃!」

 

「『補給部隊』の効果でドロー!」

 

榊 遊矢 LP500→1600 手札1→2

 

「パートナーガとラディッシュ・ホースを攻撃!」

 

『古代の機械超巨人』が多数の腕を振るい、遊矢のフィールドのモンスターを殴る、殴る、ひたすらに殴る。鬼神を思わせる連続攻撃を脅威的な速度で繰り出し、遊矢のモンスターを粉砕する。

 

「ターンエンドだ!さぁ、どう出て来るかな?」

 

オベリスク・フォース LP2000

フィールド『古代の機械超巨人』(攻撃表示)『工作列車シグナル・レッド』(守備表示)

『補給部隊』

手札0

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、『金満な壺』を発動!エクストラデッキの『EMキングベアー』、『EMモモンカーペット』、墓地の『EMドラミング・コング』の3体をデッキに戻し、2枚ドロー!」

 

榊 遊矢 手札2→4

 

不利な状況からのソース、この引きの良さも遊矢の強みの1つだ。これで手札は4枚、充分に回復してくれた。

 

「『EMディスカバー・ヒッポ』を召喚!」

 

EMディスカバー・ヒッポ 攻撃力800

 

現れたのは遊矢のデッキのマスコット、ピンク色のカバ型のモンスターだ。余り活躍の場が無いが、それでも愛用してくれる遊矢の為、フンスと鼻息を荒くする。

 

「ディスカバー・ヒッポの効果で、俺はレベル7以上のモンスターをアドバンス召喚可能に!バブルドッグと共にリリース!来てくれ。誰をも笑顔にしてくれる楽しい仲間。アドバンス召喚!『EMラフメイカー』!」

 

EMラフメイカー 攻撃力2500

 

現れたのはステッキとトランプを持ったマジシャン。登場した途端、背後に笑顔のマークが咲き誇る。

 

「魔法カード、『マジカル・スター・イリュージョン』!互いのモンスターは、それぞれのフィールドに存在するモンスターのレベルの合計分×100、攻撃力をアップする!」

 

EMラフメイカー 攻撃力2500→3300

 

古代の機械超巨人 攻撃力3300→4500

 

工作列車シグナル・レッド 攻撃力1100→2200

 

「バトルだ!ラフメイカーで『古代の機械超巨人』へ攻撃!この瞬間、ラフメイカーの攻撃力は、このカードと相手モンスターの内、元々の攻撃力より高い攻撃力となったモンスターの数×1000アップする!ラフィングスパーク!」

 

EMラフメイカー 攻撃力3300→6300

 

オベリスク・フォース LP2000→200

 

ラフメイカーのステッキより雷が迸り、『古代の機械超巨人』を撃ち抜く。見事な攻撃、オベリスク・フォースのLPが大きく削り取られたが――まだ、彼の仮面の奥で光る眼は死んでいない。

 

「『補給部隊』の効果でドロー!」

 

オベリスク・フォース 手札0→1

 

「カードをセット、ターンエンドだ!」

 

榊 遊矢 LP1600

フィールド『EMラフメイカー』(攻撃表示)

『補給部隊』セット1

手札0

 

新たな力、新たな戦術を得て、遊矢の前に立ち塞がるオベリスク・フォース。その見事な腕前に遊矢は苦戦を強いられるが、負けじと自らの実力を見せつける。熱き火花を散らすデュエル。勝敗は、果たして。


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