フレンドシップカップのサーキットにて、2回戦第2試合、決勝への切符を賭け、チームランサーズとチームセキュリティがぶつかっていた。
現在、ファーストホイーラー、榊 遊矢とセルゲイ・ヴォルコフのデュエルに決着がつき、遊矢が勝利、セルゲイが乙女ムーヴを見せて観客の一部が何かを察して驚きの表情を見せる中、完璧に食われたセカンドホイーラー、デュエルチェイサー227がDーホイールを発進し、戸惑いながらもデッキから1枚のカードを引き抜く。
「お、俺のターン、ドロー!『神の恵み』の効果で回復……」
デュエルチェイサー227 LP4000→4500
「完璧な手札だ……永続魔法、『補給部隊』を発動し、『ジュッテ・ロード』を召喚!」
ジュッテ・ロード 攻撃力1600
現れたのは着物に袴と奉行の姿をし、十手を構えたモンスターだ。セキュリティ御用達の戦士族モンスター、汎用性では『ゴブリンドバーグ』に劣るのが欠点ではあるが、攻撃力の高さや表示形式が変わらない点でシンクロを封じられた際に『ジュッテ・ナイト』の効果を活かせるのが利点だ。
「召喚時、手札から『ジュッテ・ナイト』を特殊召喚!」
ジュッテ・ナイト 守備力900
次は提灯を背負い、眼鏡に髷、着物と十手と役人風のチューナーモンスター。早速チューナーと非チューナーが揃った。
「レベル4の『ジュッテ・ロード』に、レベル2の『ジュッテ・ナイト』をチューニング!シンクロ召喚!『ゴヨウ・ガーディアン』!!」
ゴヨウ・ガーディアン 攻撃力2800
シンクロ召喚、『ジュッテ・ナイト』が2つのリングとなって弾け飛び、『ジュッテ・ロード』を包み込んで閃光がフィールドを照らし出す。真っ白な背景を裂き、現れたのは白化粧に赤い隈取りを描いた歌舞伎役者風の岡っ引き。『ゴヨウ』モンスターの代表格と言うべき強力なシンクロモンスターだ。とは言えペンデュラム相手では少々勝手が異なる為、真価を発揮出来ないが。
「バトル!『ゴヨウ・ガーディアン』で『降竜の魔術師』へ攻撃!ゴヨウ・ラリアット!」
榊 遊矢 LP1400→1000
「ぐっ――!」
『ゴヨウ・ガーディアン』が『降竜の魔術師』に向かって縄付きの十手を投擲し、グルグルに絡め取って自陣のフィールドに連れ込もうとするが――光の粒子となって消え去る。ペンデュラムモンスター故、墓地に送れない為だ。軽くカルチャーショックに陥る『ゴヨウ・ガーディアン』であった。
「カードを1枚セットしてターンエンドだ!」
デュエルチェイサー227 LP4500
フィールド『ゴヨウ・ガーディアン』(攻撃表示)
『補給部隊』『補充部隊』『神の恵み』セット1
手札2
「俺のターン、ドロー!ペンデュラム召喚!『降竜の魔術師』!」
降竜の魔術師 攻撃力2400
「カードを1枚セット、バトルだ!相克で『ゴヨウ・ガーディアン』へ攻撃!」
「罠発動!『進入禁止!NoEntry!!』攻撃表示のモンスターを全て守備表示に変更!」
発動されるのは表示形式変更カード。『地縛原』の効果で封じられているのはあくまでも1ターンに1度の表示形式変更のルール。カードの効果はその限りでない為、有効だ。『ゴヨウ』モンスターの戦闘補助の為、彼等セキュリティのデッキにはこのような表示形式操作系が投入されている。
「ターンエンドだ!」
だがそれでも勢いに乗っているのは遊矢だ。セルゲイとのデュエルで消耗しているとは言え、ペンデュラムモンスターを大幅に強化し、支える『涅槃の超魔導剣士』の力は絶大と言える。このカードと『オッドアイズ』が噛み合いさえすれば、ワンショットキルも夢ではない。今の遊矢は正しく手負いの獣。細心の注意を払わなければならない。
榊 遊矢 LP1000
フィールド『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』(守備表示)『降竜の魔術師』(守備表示)『相克の魔術師』(守備表示)
『闇次元の解放』セット1
Pゾーン『涅槃の超魔導剣士』『EMリザードロー』
手札0
「俺のターン、ドロー!」
デュエルチェイサー227 LP4500→5000
「『トラパート』を召喚!」
トラパート 攻撃力600
現れたのは円盤状の物体から上下に身体を持ち、双子に別れたマスコットのようなモンスターだ。
「俺のフィールドに戦士族モンスターが存在する事で、手札の『キリビ・レディ』を特殊召喚する!」
キリビ・レディ 守備力100
お次はたらこ唇が特徴的な、火打ち石をカチカチと鳴らす少女のモンスター。かなり容易な特殊召喚条件を持ったカードだ。
「レベル1の『キリビ・レディ』に、レベル2の『トラパート』をチューニング!お上の力を思い知れ!シンクロ召喚!現れろ!『ゴヨウ・ディフェンダー』!」
ゴヨウ・ディフェンダー 攻撃力1000
新たにフィールドに呼び出されたのはレベル3の『ゴヨウ』シンクロモンスター。シンクロモンスターとしても異質な低レベルモンスターだ。卵のような体型に、『ゴヨウ・ガーディアン』と同じ白化粧と赤い隈取り、岡っ引きの姿をしたカード。『ゴヨウ』デッキでは優秀な壁となる。
「『ディフェンダー』の効果で同名モンスターをエクストラデッキからリクルート!」
ゴヨウ・ディフェンダー 攻撃力1000
「2体目の効果も使う!」
ゴヨウ・ディフェンダー 攻撃力1000
あっと言う間に大量展開。これこそが『ゴヨウ・ディフェンダー』の強みだ。同系統のモンスターが存在する時しか発動出来ないと言う厳しい条件があるが、それさえ満たせば後は何のデメリットもない。
「そして永続魔法、『連合軍』を発動!俺のフィールドの戦士族の攻撃力は、自軍の戦士族と魔法使い族の数×200アップする!フィールドには4体の戦士族!よって800のアップだ!」
ゴヨウ・ガーディアン 攻撃力2800→3600
ゴヨウ・ディフェンダー 攻撃力1000→1800×3
数を活かした戦術を見せる227。本来であれば戦士族デッキに統一し、『一族の結束』にしておけば楽に安定した強化を受けられるのだが、このデュエルはフィールド、墓地を共有するチームデュエル。悪魔族を使用するセルゲイや、昆虫族を使用するセクトとは噛み合わない為、彼はデッキを調整している。
「『ゴヨウ・ガーディアン』を攻撃表示に変更、バトルだ!2体のディフェンダーで『魔術師』を、ガーディアンで『オッドアイズ』に攻撃!」
『ゴヨウ』モンスターの連続攻撃が遊矢のペンデュラムモンスターの布陣を崩す。これで、遊矢のモンスターゾーンはがら空きとなった。
「3体目の『ゴヨウ・ディフェンダー』で、ダイレクトアタック!」
榊 遊矢 LP1000→0
最後の『ゴヨウ・ディフェンダー』の十手が遊矢を貫き、LPを削り取る。これで1勝1敗、互角となった。グッ、と拳を握る227。そんな中――。
「なぁ……」
「?」
「アンタは何で、セキュリティになろうと思ったんだ――?」
不意に、遊矢が彼に問いかける。向けられる真剣な眼差しに、思わず227がたじろぐが、遊矢はそのままピットへと戻り、セカンドホイーラーであるセレナへとバトンを渡す。
「――俺が、セキュリティになった理由――?」
ポツリと呟き、思考する。セキュリティになろうと思った理由。何年前の事だろうか。朧気で、最早忘れてしまっている記憶。あれは確か――。
「おい、何をボケッとしている。随分余裕だな」
と、そこでセレナが並走し、思考を中断させる。今はそれよりデュエルだ。頭を振り、目の前の敵に集中する。
「「ライディングデュエル、アクセラレーション!!」」
セレナがジトリとした視線をデッキトップへと移し、カードを引き抜き、戦術を練る。まずは――。
「私のターン、ドロー!魔法カード、『マジック・プランター』!『闇次元の解放』をコストに2枚ドロー!」
セレナ 手札5→7
「速攻魔法、『ダブル・サイクロン』を発動!私のフィールドのリザードローと、相手フィールドの『連合軍』を破壊!そして『月光狼』をセッティング!ペンデュラム召喚!『月光紫蝶』!『月光狼』!」
月光紫蝶 攻撃力1000
月光狼 攻撃力2000
振り子の軌跡で現れたのは紫色の人型の蝶と、女性のワーウルフだ。
「リバースカード、オープン!魔法カード、『置換融合』!フィールドの『月光紫蝶』と、『月光狼』で融合!融合召喚!現れ出でよ!月明かりに舞い踊る美しき野獣!『月光舞猫姫』!!」
月光舞猫姫 攻撃力2400
融合召喚、セレナが得意とする召喚法で呼び出されたのは、赤い毛を揺らす、踊り子のような姿をした猫の獣人だ。
「墓地の『置換融合』を除外、『EMガトリングール』をエクストラデッキに戻し、1枚ドロー!」
セレナ 手札3→4
「そして墓地の『月光紫蝶』を除外し、手札から『月光蒼猫』を特殊召喚する!」
月光蒼猫 攻撃力1600
お次は青い毛並みをした猫の獣人。『ムーンライト』において重要な位置に存在するモンスターだ。シュタリとセレナのフィールドに降り立ち、毛を逆立たせて『ゴヨウ』モンスターに威嚇する。
「特殊召喚に成功した事で、舞猫姫の攻撃力を倍加する!」
月光舞猫姫 攻撃力2400→4800
「そして舞猫姫の効果で蒼猫をリリースし、このターン、相手モンスターは1度だけ破壊されず、このカードは全てのモンスターに2回ずつ攻撃可能となる!カードを3枚セット、バトルだ!舞猫姫で攻撃――」
「させん!アクションマジック、『ブラインド・ブリザード』!バトルフェイズを終了する!」
強化された舞猫姫が全体攻撃をすれば、227のLPは大きく削り取られ、オーバーキルとなってしまう。流石にこんなに早く退場は勘弁願いたいと227が必死にアクションカードを掴み、デュエルディスクに叩きつけ、難を逃れる。
「フン、ターンエンドだ」
セレナ LP4000
フィールド『月光舞猫姫』(攻撃表示)
セット3
Pゾーン『涅槃の超魔導剣士』『月光狼』
手札0
「俺のターン、ドロー!」
デュエルチェイサー227 LP5000→5500
「魔法カード、『マジック・プランター』を発動!『神の恵み』をコストに、2枚ドロー!」
デュエルチェイサー227 手札0→2
「魔法カード、『戦士の生還』を発動!墓地から『トラパート』を回収し、召喚!」
トラパート 攻撃力600
「レベル3の『ゴヨウ・ディフェンダー』に、レベル2の『トラパート』をチューニング!地獄の果てまで追い詰めよ!見よ!清廉なる魂!シンクロ召喚!出でよ、『ゴヨウ・チェイサー』!」
ゴヨウ・チェイサー 攻撃力1900→2800
現れたのはレベル5に調整された『ゴヨウ』モンスターの1体だ。白化粧と赤い隈取り、手に持ったのは十手。『ゴヨウ・ガーディアン』の後輩にあたるモンスターと言える。
「バトル!『ゴヨウ・チェイサー』で『月光舞猫姫』へ攻撃!『トラパート』を素材とした戦士族シンクロモンスターの攻撃時、相手はダメージステップ終了まで罠を発動出来ない!」
「だが舞猫姫は戦闘で破壊されない!」
セレナ LP4000→3600
227の武器は表示形式変更系のカードを駆使し、『ゴヨウ』モンスターの戦闘補助、そのまま破壊に繋げモンスターのコントロールを奪う事だ。
セレナはその事を知ってか、この戦闘耐性を持つ舞猫姫を場に残した。墓地に送られさえしなければ、ある程度コントロール奪取を封じる事が出来る。
「『ゴヨウ・ガーディアン』で追撃!」
「かかったな!罠発動!『幻獣の角』!舞猫姫に装備し、攻撃力を800アップ!」
「何ッ!?」
月光舞猫姫 攻撃力2400→3200
舞猫姫が持つナイフが神秘的な光を帯び、黄金に輝く『幻獣の角』を使用した物となり、『ゴヨウ・ガーディアン』を返り討ちにする。見事なカウンターだ。
デュエルチェイサー227 LP5500→5100
ゴヨウ・チェイサー 攻撃力2800→2500
「うぐっ――!」
「そして『幻獣の角』を装備したモンスターが相手モンスターを戦闘破壊した事で、1枚ドロー!」
「こちらも『補給部隊』の効果でドローする!」
セレナ 手札0→1
デュエルチェイサー227 手札1→2
戦闘破壊を引き金に、互いのデッキより1枚のカードが引き抜かれる。このままではセレナのペースに引き込まれる。227は舌打ちを鳴らし、何とか応戦しようと考える。
「カードを2枚セット、ターンエンドだ!」
デュエルチェイサー227 LP5100
フィールド『ゴヨウ・チェイサー』(攻撃表示)『ゴヨウ・ディフェンダー』(攻撃表示)×2
『補給部隊』『補充部隊』セット2
手札0
「私のターン、ドロー!手札の『月光黒羊』を捨て、デッキから『置換融合』をサーチ!ペンデュラム召喚!『月光狼』!」
月光狼 攻撃力2000
「罠発動!『ペンデュラム・リボーン』!エクストラデッキから『EMリザードロー』を呼ぶ!」
EMリザードロー 守備力600
「『月光狼』のペンデュラム効果により、墓地の『月光黒羊』と『月光蒼猫』を除外し、融合!融合召喚!『月光舞猫姫』!!」
月光舞猫姫 攻撃力2400
「そして魔法カード、『置換融合』!力を借りるぞ遊矢!フィールドの『月光舞猫姫』と『EMリザードロー』で融合!融合召喚!『EMガトリングール』!」
EMガトリングール 攻撃力2900
セレナと遊矢のモンスターが力を合わせ、フィールドに現れたのは遊矢の融合モンスター、ガトリングールだ。先のターン回収され、素材の相性の良さもあって呼び出されたのだろう。ガトリング砲を唸らせ、無数の弾丸が撃ち出される。
「効果発動!お前に2400のダメージを与える!」
「罠発動!『もの忘れ』!モンスター効果を無効にし、守備表示に変更する!」
「逃れたか、舞猫姫の効果で『月光狼』をリリースし、全体攻撃を可能とする!バトル!舞猫姫で攻げ――」
「そちらもさせん!罠発動!『強制脱出装置』!舞猫姫をバウンスする!」
「舞猫姫!?」
追撃にかかるセレナだが、227が発動したトラップにかかり、エースを失ってしまう。しまったと思うも、時既に遅し、舞猫姫は宙高く吹き飛ばされ、エクストラデッキへ戻る。
「おのれ――私はカードを1枚セット、ターンエンドだ!」
セレナ LP3600
フィールド『EMガトリングール』(守備表示)
セット2
Pゾーン『涅槃の超魔導剣士』『月光狼』
手札0
「俺のターン、ドロー!ふっ、厄介なモンスターもいなくなった事だ。反撃と行こう!バトル!『ゴヨウ・チェイサー』で『EMガトリングール』へ攻撃!」
「くっ、せめて罠が使えれば……!」
「『ゴヨウ・チェイサー』の効果により、『EMガトリングール』を墓地より攻撃力を半減し、特殊召喚する!」
EMガトリングール 攻撃力2900→1450
『ゴヨウ・チェイサー』が縄付き十手をガトリングールに投擲し、グルグルと巻きつけて自陣へと引っ張り込む。攻撃力が落ちるのは痛手であるが、やはりコントロール奪取は強力だ。
「そのままガトリングールで攻撃!」
「永続罠発動!『闇次元の解放』!除外されている『月光蒼猫』を特殊召喚!」
月光蒼猫 守備力1200
「守備表示……攻めるべきか、ガトリングールで攻撃!」
「かかってくれたか!罠発動!『月光輪廻舞踊』!蒼猫の効果で『月光虎』をリクルートし、このカードの効果で『月光彩雛』と『月光黒羊』をサーチする!」
月光虎 守備力800
意を決し、227が攻めるもそれはセレナの罠。直ぐ様小柄な虎の獣人がフィールドに呼び出され、2枚のカードがセレナ手札に渡る。これである程度反撃の準備が整った。
「チッ、カードを1枚セット、ターンエンドだ!」
デュエルチェイサー227 LP5100
フィールド『ゴヨウ・チェイサー』(攻撃表示)『ゴヨウ・ディフェンダー』(攻撃表示)×2『EMガトリングール』(攻撃表示)
『補給部隊』『補充部隊』セット1
手札0
「私のターン、ドロー!手札の『月光黒羊』を捨て、2枚目の『置換融合』をサーチ!さぁ行くぞ!ペンデュラム召喚!『月光彩雛』!『月光狼』!」
月光彩雛 守備力800
月光狼 攻撃力2000
天空の魔方陣が輝きを増し、振り子が揺れ、大穴が開く。中より2本の光が飛び出して、フィールドに現れ立ち、轟音を鳴らす。
再びのペンデュラムで呼び出されたのは先程のターンでも呼ばれたモンスターに加え、鮮やかな黄色に染まった『ハーピィ』の雛のようなモンスターだ。『ムーンライト』において、素材軽減やサルベージ等、どれをとっても欠かせない優秀な効果を兼ね備えている。
「『月光彩雛』の効果により、エクストラデッキから『月光舞豹姫』を落とし、このカードを墓地に送ったモンスターと同名扱いにする!そして魔法カード、『置換融合』!フィールドの『月光舞豹姫』となった『月光彩雛』と、『月光虎』、そして『月光狼』で融合!融合召喚!現れ出でよ!月光の原野の頂点に立って舞う百獣の王!『月光舞獅子姫』!!」
月光舞獅子姫 攻撃力3500
フィールドに舞い降りるのはセレナが持つ最強の切り札。装着した月の仮面がバキリとひび割れ、美しく、凛々しい顔が露となる。逆立つ白い鬣、左耳から伸びる三日月の飾り、左腕にも装備しており、右手には妖しい輝きを放つ剣が握られ、腰の赤布が尾とともに揺らめく。これこそが満月の百獣女王。全てを切り裂く最上級の融合モンスターだ。
「まだだ!『月光彩雛』が効果によって墓地に送られた事で、墓地の『置換融合』をサルベージ!『月光狼』の効果で墓地の『月光舞豹姫』、『月光彩雛』、『月光蒼猫』を除外し、融合!融合召喚!『月光舞獅子姫』!!」
月光舞獅子姫 攻撃力3500
更に2体目、恐るべきモンスターがフィールドに並び立つ。
「そして彩雛が除外された事で、このターン、お前はバトルフェイズ中に効果を発動出来ない!」
「ならここで使う!罠発動!『威嚇する咆哮』!攻撃宣言を封鎖する!」
「そう来るか……だが防戦一方でどうにかなるものかな?カードを1枚セットし、ターンエンドだ!」
セレナ LP3600
フィールド『月光舞獅子姫』(攻撃表示)×2
セット1
Pゾーン『涅槃の超魔導剣士』『月光狼』
手札1
「俺のターン、ドロー!魔法カード、『命削りの宝札』!3枚ドロー!」
デュエルチェイサー227 手札0→3
「カードを3枚セット、ターンエンドだ……!」
デュエルチェイサー227 LP5100
フィールド『ゴヨウ・チェイサー』(攻撃表示)『ゴヨウ・ディフェンダー』(攻撃表示)×2『EMガトリングール』(攻撃表示)
『補給部隊』『補充部隊』セット3
手札0
「私のターン、ドロー!私の優勢だな!このまま臆さず攻める!ペンデュラム召喚!『月光狼』!『月光虎』!」
月光狼 攻撃力2000
月光虎 守備力800
「そして魔法カード、『置換融合』!フィールドの『月光虎』と『月光狼』で融合!融合召喚!『月光舞猫姫』!!」
月光舞猫姫 攻撃力2400
「これで終わると思うなよ?『月光狼』のペンデュラム効果により、墓地の『月光舞猫姫』と『月光黒羊』を融合!月明かりに舞い踊る美しき野獣よ!漆黒のやみに潜む獣よ!月の引力により渦巻きて新たなる力と共に生まれ変わらん!融合召喚!現れ出でよ!月光の原野で舞い踊るしなやかなる野獣!『月光舞豹姫』!」
月光舞豹姫 攻撃力2800
更に融合、現れたのは艶のある黒髪を目を隠すように切り揃え、豹の獣耳を生やした獣人。肘からは三日月を模した黄金の刃が伸び、手首には三日月と鈴のブレスレットが回転、太く力強い手足を伸ばした捕食者が今、獅子の下、猫と共に集う。
「舞豹姫の効果発動!このターン、相手モンスターは1度の戦闘耐性を得、このカードは全ての相手モンスターへ2回攻撃が可能となる!更に舞猫姫の効果で舞獅子姫をリリース、このカードにも全体攻撃権を与える!バトル!舞猫姫でガトリングールに攻撃!」
「アクションマジック、『クイック・ガード』!舞猫姫を守備表示に変更!」
デュエルチェイサー227 LP5100→5000
「舞豹姫でガトリングールへ攻撃!」
デュエルチェイサー227 LP5000→3650
「『補充部隊』の効果でドロー!」
デュエルチェイサー 手札0→1
先陣を切ったのは2番手である舞豹姫。しなやかに場を跳躍し、ガトリングールに向かって飛び蹴りを放つ。衝撃が脚から伝わり、ガトリングールが倒れ、地面にキスしたままひびが走る。
「もう1度攻撃ィ!」
デュエルチェイサー227 LP3650→2300
更にその場で1回転、再びガトリングールが両足で踏みつけられる。
「くっ、『補給部隊』と『補充部隊』の効果でドロー!」
「こちらも舞豹姫がモンスターを戦闘破壊した事で、バトルフェイズ終了まで攻撃力を200アップ!」
月光舞豹姫 攻撃力2800→3000
デュエルチェイサー227 手札1→2→3
「続いて『ゴヨウ・チェイサー』へ攻撃!」
「速攻魔法、『神秘の中華なべ』!『ゴヨウ・チェイサー』をリリースし、攻撃力をLPに変換!」
デュエルチェイサー227 LP2300→4800
「なら『ゴヨウ・ディフェンダー』を攻撃!」
「『ゴヨウ・ディフェンダー』の効果により、このカードは自分以外の地属性、戦士族のシンクロモンスターの数×1000攻撃力をアップ!」
ゴヨウ・ディフェンダー 攻撃力1000→2000
デュエルチェイサー227 LP4800→3800
ガトリングールを破壊した後、舞豹姫がクルリと身体を翻してセレナのフィールドに舞い戻り、もう1度地を蹴って『ゴヨウ・ディフェンダー』に肉薄、相手が盾を構えるのにも気を止めず、野太い腕で殴り付ける。
「『補充部隊』の効果でドロー!」
デュエルチェイサー227 手札3→4
「もう1度だ!」
デュエルチェイサー227 LP3800→2800
ガツン、先程の攻撃を受け、持っていた盾が運悪く――いや、狙っていたのだろう。『ゴヨウ・ディフェンダー』の頭にぶつかり、クラリと来た所に第2擊が突き刺さる。残るは『ゴヨウ・ディフェンダー』たった1体。これで決まるか。
「舞豹姫の攻撃力アップ!」
「『補充部隊』の効果でドロー!」
月光舞豹姫 攻撃力3000→3200
デュエルチェイサー227 手札4→5
「『ゴヨウ・ディフェンダー』へ攻撃!」
「罠発動!『ガード・ブロック』!ダメージを0にし、1枚ドロー!」
デュエルチェイサー227 手札5→6
「堪えるか……もう一撃だ!」
デュエルチェイサー227 LP2800→600
度重なる攻撃を受け、227のLPがついに3桁を切る。モンスターも0。彼にあるのは大量の手札とリバースカード1枚だけだ。
「ッ……!『補充部隊』の効果で2枚ドロー!」
月光舞豹姫 攻撃力3200→3400
デュエルチェイサー227 手札6→8
「最後だ!舞獅子姫でダイレクトアタック!」
「させん!手札の『速攻のかかし』を捨て、攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了!」
間一髪、後一息の所で227の手札からモンスターが投げ出されて彼の危機を救う。一命をとりとめ、彼に残るは大量の手札。これならば逆転も不可能ではない。問題は効果の対象とならず、効果破壊もされない舞獅子姫だ。
「私はこれでターンエンドだ!」
セレナ LP3600
フィールド『月光舞獅子姫』(攻撃表示)『月光舞豹姫』(攻撃表示)『月光舞猫姫』(守備表示)
セット2
Pゾーン『涅槃の超魔導剣士』『月光狼』
手札0
ぶつかる2人のデュエリスト、セレナと227。この一戦が――ラストデュエルの、鍵を握る。