遊戯王ARC―V TAG FORCE VS   作:鉄豆腐

153 / 202
あけましておめでとうございますー。今年もよろしくお願いします。
なんだかんだこの作品も結構長い事やってるんですよね。


第148話 妖仙ロスト・トルネード

フレンドシップカップ、2回戦第1試合にて、チームネオ5D'sのファーストホイーラーにして、リーダー、ジャック・アトラス・Dと、チーム沢渡のセカンドホイーラーにしてリーダー、沢渡 シンゴが激突する。

 

現在、ジャックのフィールドには『レッド・デーモン』を蘇生するベリアル、そして万能無効化効果を持つアビスの『レッド・デーモン』コンビと『シンクローン・リゾネーター』の3体、加えてモンスター破壊時に1枚ドローする『補給部隊』とセットカードが1枚。万全とも言って良い布陣だ。LPは3400、単純にアリトと沢渡の2人がかりで闘っていると考えればその凄まじさが分かるだろう。

 

対する沢渡のLPはジャック・Dの約半分、1500。モンスターはプリティ・ヒロインとワイルド・ホープの2体、セットカードは0。ペンデュラムゾーンには『妖仙獣右鎌神柱』と『魔界劇団ーデビル・ヒール』、レベル2から4のモンスターをペンデュラム召喚可能だ。とは言え不利な点には変わらない。このターンで挽回したいものだ。

 

「俺のターン、ドロー!プリティ・ヒロインをリリースし、アドバンス召喚!『光帝クライス』!」

 

光帝クライス 攻撃力2400

 

「効果発動!ベリアルとアビスを破壊!」

 

「アビスの効果で無効!」

 

「魔法カード、『命削りの宝札』!3枚ドロー!」

 

沢渡 シンゴ 手札0→3

 

「永続魔法、『修験の妖社』と『補給部隊』を発動!速攻魔法、『神秘の中華なべ』!クライスをリリースし、LPを2400回復!」

 

沢渡 シンゴ LP1500→3900

 

「ターンエンドだ」

 

沢渡 シンゴ LP3900

フィールド『魔界劇団ーワイルド・ホープ』(守備表示)

『修験の妖社』『補給部隊』

Pゾーン『妖仙獣右鎌神柱』『魔界劇団ーデビル・ヒール』

手札0

 

「俺のターン、ドロー!『シンクローン・リゾネーター』をリリースし、アドバンス召喚!『デーモンの召喚』!」

 

デーモンの召喚 攻撃力2500

 

現れたのは効果を持たぬバニラカード、白き骨の鎧を纏い、雷を翼に纏わせた上級悪魔。遠き地にて、伝説となったデュエリストも使用したモンスターだ。

 

「『シンクローン・リゾネーター』の効果で、『レッド・リゾネーター』を回収!バトルだ!『デーモンの召喚』でワイルド・ホープへ攻撃!魔降雷!アビスの効果で『補給部隊』を無効!」

 

「ワイルド・ホープの効果で『魔界劇団ービッグ・スター』をサーチ!」

 

「ベリアルでダイレクトアタック!」

 

「墓地の『光の護封霊剣』を除外し、ダイレクトアタックを封じる!」

 

ベリアルの炎剣が襲いかかり、沢渡のフィールドに光の剣が飛び出して剣戟を繰り広げる。流石に二刀流では3本の剣には分が悪いと考えたのか、ベリアルは飛び退く。

 

「フン、ターンエンドだ」

 

ジャック・アトラス・D LP3400

フィールド『炎魔竜レッド・デーモン・ベリアル』(攻撃表示)『炎魔竜レッド・デーモン・アビス』(攻撃表示)『デーモンの召喚』(攻撃表示)

『補給部隊』セット1

手札1

 

「俺のターン、ドロー!ペンデュラム召喚!『魔界劇団ーワイルド・ホープ』!『魔界劇団ーサッシー・ルーキー』!『魔界劇団ープリティ・ヒロイン』!」

 

魔界劇団ーワイルド・ホープ 守備力1200

 

魔界劇団ーサッシー・ルーキー 守備力1000

 

魔界劇団ープリティ・ヒロイン 守備力1000

 

振り子の軌跡で現れる3体の『魔界劇団』。これで少しは時間を稼げると良いのだが、やはりアビスが厄介だ。

 

「カードを1枚セット、ターンエンド」

 

沢渡 シンゴ LP3900

フィールド『魔界劇団ーワイルド・ホープ』(守備表示)『魔界劇団ーサッシー・ルーキー』(守備表示)『魔界劇団ープリティ・ヒロイン』(守備表示)

『修験に妖社』『補給部隊』セット1

Pゾーン『妖仙獣右鎌神柱』『魔界劇団ーデビル・ヒール』

手札1

 

「俺のターン、ドロー!ペンデュラムの特性を活かし、壁を作る。加えて全てのモンスターが破壊された際、デッキのカードを呼び出す。面倒な……『デーモンの召喚』をリリースし、モンスターをセット。そしてベリアルの効果でセットモンスターをリリースし、『レッド・デーモン』を蘇生!」

 

炎魔竜レッド・デーモン 攻撃力3000

 

「アドバンス召喚した『タン・ツイスター』がフィールドから墓地へ送られた事で2枚ドロー」

 

ジャック・アトラス・D 手札1→3

 

「魔法カード、『打ち出の小槌』。手札を交換。魔法カード、『名推理』!」

 

「レベル4を宣言するぜ」

 

「俺はデッキトップから通常召喚可能なモンスターが出るまでカードを墓地に送り、宣言したレベルのモンスターならば墓地へ、それ以外なら特殊召喚する。1、2、3、4『絶対王バック・ジャック』を特殊召喚!」

 

絶対王バック・ジャック 攻撃力0

 

「ベリアルとアビスを守備に変更!『レッド・デーモン』の効果発動!バック・ジャックを破壊し、バック・ジャックが墓地に送られた事でデッキトップの3枚を操作。『補給部隊』の効果でドロー!」

 

ジャック・アトラス・D 手札1→2

 

「魔法カード、『暗黒界の取引』を発動。カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

ジャック・アトラス・D LP3400

フィールド『炎魔竜レッド・デーモン・ベリアル』(守備表示)『炎魔竜レッド・デーモン・アビス』(守備表示)『炎魔竜レッド・デーモン』(攻撃表示)

『補給部隊』セット2

手札0

 

「俺様のターン、ドロー!」

 

「『絶対王バック・ジャック』を墓地から除外する事でデッキトップの罠カードをセット!発動!『貪欲な瓶』!墓地のカードを5枚デッキに戻し、ドロー!」

 

ジャック・アトラス・D 手札0→1

 

「サッシー・ルーキーとプリティ・ヒロインをリリースし、アドバンス召喚!来な!『魔界劇団ービッグ・スター』!!」

 

魔界劇団ービッグ・スター 攻撃力2500

 

現れたのは沢渡 シンゴのエースモンスターの1体、エレボスと肩を並べる『魔界劇団』の大スター。渦巻くメタリックなワインレッドの髪、隻眼を輝かせる悪魔だ。

 

「効果発動!デッキから『魔界台本』をセットする!」

 

「させん!アビスよ、無効化しろ!」

 

「チッ!」

 

ビッグ・スターが沢渡のデッキから一冊の本を抜き取ろうとしたその瞬間、アビスに鷲掴みにされて身動きを封じられる。やはりこの効果は厄介極まりない。だけどまだ、手段は残っている。

 

「舐めんじゃねぇ!罠発動!『ダーク・アドバンス』!墓地から『光帝クライス』を回収!そしてビッグ・スターをリリースし、アドバンス召喚!」

 

光帝クライス 攻撃力2400

 

「俺の『レッド・デーモン』を狙うか……?」

 

「違うぜ」

 

「何……?」

 

「俺様はワイルド・ホープとぉ、『妖仙獣右鎌神柱』の2枚を破壊!ワイルド・ホープの効果により、『魔界劇団ーファンキー・コメディアン』を手札に加え、2枚ドロー!更に『補給部隊』の効果でドロー!」

 

沢渡 シンゴ 手札2→4→5

 

「4枚の手札回復だと!?」

 

「オラァ!魔法カード、『金満な壺』!エクストラデッキ、墓地から合計3体のペンデュラムモンスターをデッキに戻し、更に2枚ドロー!」

 

沢渡 シンゴ 手札4→6

 

「これこそが俺様の最強のドロー!まだまだ行くぜぇ!ファンキー・コメディアンをセッティング!行くぜ行くぜ行くぜぇっ!ペンデュラム召喚!来な!俺様の忠実なる僕達!『魔界劇団ービッグ・スター』!!『魔界劇団ーワイルド・ホープ』!『魔界劇団ーサッシー・ルーキー』!『魔界劇団ープリティ・ヒロイン』!」

 

魔界劇団ービッグ・スター 攻撃力2500

 

魔界劇団ーワイルド・ホープ 攻撃力1600

 

魔界劇団ーサッシー・ルーキー 攻撃力1700

 

魔界劇団ープリティ・ヒロイン 攻撃力1500

 

何度も何度も、押し返されても突き進む。沢渡が描く虹のアーク。手札の超回復に超展開。とんでもないプレイングだ。流石のジャック・Dも苦笑いを溢す。

 

「たっぷり礼してやるよ。このペンデュラム召喚時、手札の『D.D.クロウ』を捨て、テメェの墓地から『復活の福音』を除外!ビッグ・スターの効果!デッキから『魔界台本「魔王の降臨」』をセット、オープン!『魔界劇団』は4体!よってモンスター全てと『補給部隊』を破壊ィ!」

 

魔王の降臨を読み込んだビッグ・スターが巨大な悪魔の翼を広げ、羽ばたきによる衝撃波でジャック・Dのモンスターを全て吹き飛ばす。容赦なしの一撃、これで強力な『レッド・デーモン』も一網打尽だ。

 

「ぐっ……!」

 

「ワイルド・ホープの効果発動!攻撃力を400アップ!」

 

魔界劇団ーワイルド・ホープ 攻撃力1600→2000

 

「カードを2枚セット、バトルだ!ビッグ・スターでダイレクトアタック!」

 

「フ、ハハハハハ!やるではないか!だが、2歩先を行く!墓地の『光の護封霊剣』を除外!このターンのダイレクトアタックを防ぐ!」

 

「チッ、墓地の『ADチェンジャー』を除外し、サッシー・ルーキーを守備表示に変更。ターンエンド!」

 

「速攻魔法、『デーモンとの駆け引き』!レベル8以上のモンスターが俺のフィールドから墓地に送られたターン、デッキより『バーサーク・デッド・ドラゴン』を呼び出す!血肉を貪り食らえ、美しくも醜悪なる亡竜よ!来たれ!」

 

バーサーク・デッド・ドラゴン 攻撃力3500

 

血の匂いに誘われ、飢えた亡竜が舞台に駆け上がる。肉を削ぎ落とした、黒い骨の体躯に翼を伸ばした醜悪なモンスター。ペンデュラム相手にも通じる強力なカードの登場だ。沢渡が冷や汗を垂らす。

 

「クッ、何つーもん出しやがる……!」

 

沢渡 シンゴ LP3900

フィールド『魔界劇団ービッグ・スター』(攻撃表示)『魔界劇団ーワイルド・ホープ』(攻撃表示)『魔界劇団ーサッシー・ルーキー』(守備表示)『魔界劇団ープリティ・ヒロイン』(攻撃表示)『光帝クライス』(攻撃表示)

『修験の妖社』『補給部隊』セット2

Pゾーン『魔界劇団ーファンキー・コメディアン』『魔界劇団ーデビル・ヒール』

手札2

 

「俺のターン、ドロー!永続魔法、『補給部隊』を発動。バトルだ!『バーサーク・デッド・ドラゴン』でプリティ・ヒロインへ攻撃!墓地の『ブレイクスルー・スキル』を除外し、プリティ・ヒロインの効果を無効にする!」

 

「罠発動!『ダメージ・ダイエット』!このターン受けるダメージを半分に!」

 

沢渡 シンゴ LP3900→2900

 

血肉に飢えた竜が耳をつんざく雄叫びを上げ、沢渡のフィールドに襲いかかり、鋭い牙でプリティ・ヒロインを引き裂く。

 

「プリティ・ヒロインの効果でデッキから『魔界台本「魔王の降臨」』をセット、『補給部隊』の効果でドロー!」

 

沢渡 シンゴ 手札2→3

 

「まだだ!ビッグ・スターへ攻撃!」

 

「こ、のっ……!?」

 

沢渡 シンゴ LP2900→2400

 

更に『バーサーク・デッド・ドラゴン』が地を蹴り、首を伸ばしてビッグ・スターを噛み砕く。恐るべき戦闘力で無双する亡竜。力だけなら『レッド・デーモン』に匹敵するだけの事はある。

 

「次だ、クライスへ攻撃!」

 

「ぬぁっ!?」

 

沢渡 シンゴ LP2400→1850

 

黒い牙が黄金の甲冑を噛み砕く。見る見る内に削られるモンスターとLP、更に荒々しさを増したジャック・Dのパワーデュエルを前に防戦一方だ。

 

「ワイルド・ホープへ攻撃!」

 

沢渡 シンゴ LP1850→900

 

「くっ、だがワイルド・ホープの効果で『魔界劇団ーティンクル・リトルスター』をサーチ!」

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ。『バーサーク・デッド・ドラゴン』の攻撃力が500ダウンする」

 

バーサーク・デッド・ドラゴン 攻撃力3500→3000

 

ジャック・アトラス・D LP3400

フィールド『バーサーク・デッド・ドラゴン』(攻撃表示)

『補給部隊』セット2

手札0

 

「俺のターン、ドロー!」

 

「罠発動!『砂塵の大嵐』!ペンデュラムを破壊!」

 

モンスターに加え、ペンデュラムまでも破壊、これで沢渡はスケールを崩され、再びペンデュラムでの展開は封じられた。恐らくはビッグ・スターと魔王の降臨による攻略を断ち切りに来たのだろう。だが何も、沢渡の武器は1つだけではない。

 

「上等……俺様は『氷帝家臣エッシャー』を特殊召喚!」

 

氷帝家臣エッシャー 守備力1000

 

現れたのは円盤状の頭部を持つ、青い騎士のようなモンスターだ。相手の魔法、罠ゾーンに2枚以上のカードが存在する場合特殊召喚可能であり、既に条件は満たしている。

 

「リバースカード、オープン!『魔界台本「魔王の降臨」』!『補給部隊』を破壊!『妖仙獣左鎌神柱』と『魔界劇団ーティンクル・リトルスター』をセッティング!2体のモンスターをリリース!烈風纏いし妖の長よ。荒ぶるその衣を解き放ち、大河を巻き上げ大地を抉れ!アドバンス召喚!出でよ、『魔妖仙獣大刃禍是』!!」

 

魔妖仙獣大刃禍是 攻撃力3000

 

修験の妖社 妖仙カウンター0→1

 

風がサッシー・ルーキーとエッシャーを包み込み、1つの竜巻となり、中を引き裂いて新たなモンスターが姿を見せる。1本の角を伸ばした風の化身。赤い眼を輝かせた巨大な獣だ。これこそがビッグ・スター、エレボスと並ぶ『妖仙獣』のエースモンスター。先の2体に匹敵する強力な効果を持っている。

 

「召喚時、テメェの『バーサーク・デッド・ドラゴン』とセットカードをバウンスする!ここで永続罠、『妖仙獣の眩暈風』を発動!レベル6以上の『妖仙獣』モンスターと、ペンデュラムゾーンに『妖仙獣』が設置されている事で、手札に戻るモンスターはデッキに戻る!これぞ妖仙ロスト・トルネード!」

 

「ぬぅ!」

 

凶暴な『バーサーク・デッド・ドラゴン』をも屈伏させる強力なコンボが炸裂し、ジャック・Dのフィールドががら空きとなる。だがまだ沢渡の手は止まらない。

 

「お次はこいつだ!ペンデュラム召喚!『魔界劇団ービッグ・スター』!!『魔界劇団ーワイルド・ホープ』!『魔界劇団ーサッシー・ルーキー』!『魔界劇団ープリティ・ヒロイン』!」

 

魔界劇団ービッグ・スター 攻撃力2500

 

魔界劇団ーワイルド・ホープ 攻撃力1600

 

魔界劇団ーサッシー・ルーキー 守備力1000

 

魔界劇団ープリティ・ヒロイン 守備力1000

 

更に展開、恐るべき少年だ。ジャック・Dの布陣を崩しつつ、自らは5体のモンスターを呼ぶ。しかも――。

 

「ビッグ・スターの効果で『魔界台本「オープニング・セレモニー」』をセット、オープン!LPを2000回復ぅ!」

 

沢渡 シンゴ LP900→2900

 

失ったLPまで回復すると来た。

 

「何と……!」

 

「これが俺様の本気よぉ!カードをセット、バトルだ!ビッグ・スターと大刃禍是で、ダイレクトアタック!」

 

ジャック・アトラス・D LP3400→900→0

 

「――ッ!」

 

ビッグ・スターと大刃禍是、二大エースによる強烈な合体攻撃がジャック・Dを貫き、全てのLPを削り取る。見事、パワーデュエルに対し、タクティクスでジャックを上回った。

 

「さぁ、お次はテメェだ!クロウの偽物野郎!」

 

ビシリ、ピットで純白のD-ホイール、ブラック・バード・アルビオンに跨がり、不気味にこちらを見つめるクロウ・ゴーストに対し、指を突きつける沢渡。彼はこの男に対し、内心怒っているのだ。熱も何もないデュエルで、クロウと同じ『BF』を使い、コナミ達を追い詰めたこの男に。

 

「良いだろう、クロウ。存分に奴から学べ」

 

「……了解」

 

ギン、ヘルメットの奥の眼がギラギラと輝き、沢渡を射抜く。ターゲットロックオン。クロウ・ゴーストは静かにジャック・Dの言葉に応え、D-ホイールを吹かし――猛スピードで発進、沢渡へと迫る。

 

「うぉっ!?」

 

突然来襲し、並走するクロウ・ゴーストに対し、沢渡が若干怯えつつも驚愕する。だが直ぐ様声を震わせ、「やんのかコラァ!」とファイティングポーズを取る。かなりの実力者の筈なのに今一小者感が抜けない男だ。

 

「「ライディングデュエル、アクセラレーション!!」」

 

セカンドホイーラーが、激突する。

 

「……俺のターン、ドロー。魔法カード、『強欲で金満な壺』。エクストラデッキのモンスターを6体除外し、2枚ドロー」

 

クロウ・ゴースト 手札5→7

 

「魔法カード、『名推理』」

 

「レベル4を選択するぜ」

 

「1、2……『BFー逆風のガスト』を特殊召喚」

 

BFー逆風のガスト 守備力1400→1600

 

現れたのは黒と緑の羽を風に靡かせた鳥人だ。少々条件を満たしにくいが、特殊召喚可能なレベル2の『BF』。これの改良版が『BFー砂塵のハルマッタン』となる。

 

「そしてガストをリリースし、手札の『ABFー霧雨のクナイ』を特殊召喚する」

 

ABFー霧雨のクナイ 攻撃力2100→2500

 

次はその名を指す通り、爪がクナイとなった『忍者』のような『BF』だ。『BF』の強化体、『ABF』。これがクロウ・ゴーストとクロウ・ホーガンの大きな違いだ。

最新鋭の『BF』と旧型の精鋭を合わせたハイブリッド型の混合デッキ。本人含めればこの大会で最も謎が多いと言っていい。

 

「この効果で特殊召喚したこのカードはチューナー扱いとなる。そして永続魔法、『黒い旋風』を発動し、『BFー極北のブリザード』を召喚」

 

BFー極北のブリザード 攻撃力1300→1700

 

更に展開、呼び出されたのは『BF』の名にも関わらず、白い羽毛に包まれた嘴の広いモンスターだ。

 

「召喚時、墓地の『BFー逆風のガスト』を蘇生」

 

BFー逆風のガスト 守備力1400→1800

 

「『黒い旋風』の効果により、『BFー砂塵のハルマッタン』をサーチ、特殊召喚」

 

BFー砂塵のハルマッタン 守備力800→1200

 

次は首周りに赤い数珠を巻いた脚の長い鳥だ。レベルは2、先程言った通り、使いやすくしたガストのようなモンスターだ。

 

「ハルマッタンの特殊召喚時、このカードのレベルをブリザードのレベル分アップする」

 

BFー砂塵のハルマッタン レベル2→4

 

「レベル4になったハルマッタンに、レベル2のブリザードをチューニング!シンクロ召喚!『BFー星影のノートゥング』!」

 

BFー星影のノートゥング 攻撃力2400→2800

 

ブリザードが2つの星となって弾け飛び、ハルマッタンを包み込む。閃光がフィールドを覆い、新たに姿を見せたのは全身を漆黒に染めた鳥人だ。手には刃に波紋を広げた剣を持っている。

 

「特殊召喚時、相手に800ダメージを与え、サッシー・ルーキーの攻守を800ダウン!舞い戻る剣!」

 

沢渡 シンゴ LP2900→2100

 

魔界劇団ーサッシー・ルーキー 守備力1000→200

 

「更にノートゥングの効果で『BF』の召喚権が増える。『BFー鉄鎖のフェーン』を召喚」

 

BFー鉄鎖のフェーン 攻撃力500→900

 

展開に次ぐ展開、現れたのは忍装束に身を包んだ『BF』だ。

 

「『黒い旋風』の効果で『BFー突風のオロシ』をサーチし、特殊召喚」

 

BFー突風のオロシ 守備力600→1000

 

「レベル6のノートゥングに、レベル1のオロシをチューニング!漆黒の翼翻し、雷鳴と共に走れ!電光の斬擊!シンクロ召喚!降り注げ、『ABFー驟雨のライキリ』!」

 

ABFー驟雨のライキリ 攻撃力2600→3000

 

更に現れる『ABF』のシンクロ体、鳥を模した兜に、刺々しい鎧、鳥獣の左翼と機械の右翼を広げ、美しい輝きを放つ日本刀を持ったモンスター。クロウ・ゴーストが持つ、準エース級のカードだ。

 

「オロシの効果でサッシー・ルーキーを攻撃表示に変更。そしてライキリの効果発動。このカード以外の『BF』の数まで相手フィールドのカードを対象とし、破壊する。3枚のセットカードを破壊する」

 

「くっ!罠発動!『仁王立ち』!ビッグ・スターの守備力を倍に!」

 

魔界劇団ービッグ・スター 守備力1800→3600

 

ライキリが刀に雷を這わせ、鋭い斬擊を放つ。これがライキリの効果だ。一気にカードを破壊する、今までの『BF』になかった突破力。

 

「まだだ。クナイの効果でライキリのレベルを3に変更」

 

ABFー驟雨のライキリ レベル7→3

 

「レベル2のフェーンに、レベル3となったチューナー扱いのライキリをチューニング!黒き烈風よ、絆を紡ぐ追い風となれ!シンクロ召喚!飛び立て、『ABFー五月雨のソハヤ』!」

 

ABFー五月雨のソハヤ 守備力2000→2400

 

シンクロ召喚、3回目。現れたのは青い翼と鎧を纏い、刀に雷を帯びさせた中型の『BF』だ。

 

「ソハヤのシンクロ召喚時、墓地の『ABFー驟雨のライキリ』を蘇生する!」

 

ABFー驟雨のライキリ 攻撃力2600→3000

 

「ライキリの効果発動。次はビッグ・スター、大刃禍是、『補給部隊』、ペンデュラムを破壊」

 

「ぐっ、『仁王立ち』除外してビッグ・スターに攻撃を絞る!」

 

「まだだ。レベル2のガストに、レベル5のクナイをチューニング!シンクロ召喚!『BFTー漆黒のホーク・ジョー』!」

 

BFTー漆黒のホーク・ジョー 攻撃力2600

 

次は『BF』達を統べる者、赤髪を靡かせ、黄金の飾りを身につけた鷹匠だ。『BF』唯一の戦士族と言えばその特異性が分かるだろう。

 

「ホーク・ジョーの効果により、墓地のクナイを特殊召喚する」

 

ABFー霧雨のクナイ 攻撃力2100→2500

 

「クナイの効果発動。ソハヤのレベルを2に変更」

 

ABFー五月雨のソハヤ レベル5→2

 

「この野郎……!」

 

とんでもない展開速度とルート確保。1回戦に比べ、明らかに成長したクロウ・ゴーストの実力を見て、沢渡が戦慄する。余り良い手札と言えなかった筈なのに――いきなり、彼のコンボがフィールドに揃う。

 

「レベル5のクナイに、レベル2となったチューナー扱いのソハヤをチューニング!黒き旋風よ、天空へ駆け上がる翼となれ!シンクロ召喚!『BFーアーマード・ウィング』!」

 

BFーアーマード・ウィング 攻撃力2500→2900

 

1ターン目から、5連続シンクロ召喚。余りにも馬鹿げたプレイングが沢渡に刃を向ける。速すぎるにも程がある。現れる黒い鎧に包まれた機械鳥。そして並ぶ鷹匠と日本刀。3羽烏が天空を駆る。

 

「カードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

クロウ・ゴースト LP4000

フィールド『ABFー驟雨のライキリ』(攻撃表示)『BFTー漆黒のホーク・ジョー』(攻撃表示)『BFーアーマード・ウィング』(攻撃表示)

『黒い旋風』セット1

手札1

 

「俺のターン、ドロー!サッシー・ルーキーを守備表示に変更し、魔法カード、『マジック・プランター』を発動!眩暈風をコストに2枚ドロー!」

 

沢渡 シンゴ 手札0→2

 

「手札の『帝王の溶撃』を捨て、墓地のエレボスの効果発動!クライスをサルベージ、溶撃を除外し、墓地の『真源の帝王』をモンスターとして特殊召喚!」

 

真源の帝王 守備力2400

 

「『真源の帝王』をリリースし、アドバンス召喚!『光帝クライス』!」

 

光帝クライス 攻撃力2400

 

「このカードとワイルド・ホープを破壊、ワイルド・ホープの効果で『魔界劇団ーエキストラ』をサーチしつつ、2枚ドロー!」

 

沢渡 シンゴ 手札2→4

 

「カードを2枚セット、ターンエンドだ」

 

沢渡 シンゴ LP2100

フィールド『魔界劇団ーサッシー・ルーキー』(守備表示)『魔界劇団ープリティ・ヒロイン』(守備表示)

『修験の妖社』セット2

手札2

 

「俺のターン、ドロー。ホーク・ジョーの効果発動。墓地の『BFー星影のノートゥング』を蘇生する」

 

BFー星影のノートゥング 攻撃力2400→2800

 

「特殊召喚時、相手に800ダメージを与え、サッシー・ルーキーの攻守を800ダウン」

 

沢渡 シンゴ LP2100→1300

 

魔界劇団ーサッシー・ルーキー 守備力200→0

 

「こっの……!」

 

「ライキリの効果発動。サッシー・ルーキーとセットカードを破壊する」

 

「罠発動!『威嚇する咆哮』!更に破壊された『運命の発掘』の効果で2枚ドロー!」

 

沢渡 シンゴ 手札2→4

 

「……カードを2枚セット、ターンエンドだ」

 

クロウ・ゴースト LP4000

フィールド『ABFー驟雨のライキリ』(攻撃表示)『BFTー漆黒のホーク・ジョー』(攻撃表示)『BFーアーマード・ウィング』(攻撃表示)『BFー星影のノートゥング』(攻撃表示)

『黒い旋風』セット3

手札0

 

「俺様のターン、ドロー!魔法カード、『暗黒界の取引』、手札交換。『魔界劇団ーエキストラ』を召喚!」

 

魔界劇団ーエキストラ 攻撃力100

 

現れたのは円盤状の投影器に写し出された3体の隻眼の悪魔だ。

 

「エキストラをリリースし、デッキの『魔界劇団ーファンキー・コメディアン』をセッティング!『魔界劇団ーデビル・ヒール』をセッティング!ペンデュラム召喚!『魔界劇団ービッグ・スター』!『魔界劇団ーワイルド・ホープ』!『魔界劇団ーダンディ・バイプレイヤー』!」

 

魔界劇団ービッグ・スター 攻撃力2500

 

魔界劇団ーワイルド・ホープ 攻撃力1600

 

魔界劇団ーダンディ・バイプレイヤー 守備力700

 

「ビッグ・スターの効果発動!」

 

「罠発動、『もの忘れ』。ビッグ・スターの効果を無効にし、守備表示に変更」

 

「く、ダンディ・バイプレイヤーの効果でこのカードをリリースし、エクストラデッキから『魔界劇団ーデビル・ヒール』を特殊召喚!」

 

魔界劇団ーデビル・ヒール 攻撃力3000

 

「デビル・ヒールの特殊召喚時、ホーク・ジョーの攻撃力をダウン!」

 

「ホーク・ジョーの効果により、効果対象をアーマード・ウィングに移す」

 

BFーアーマード・ウィング 攻撃力2900→0

 

「まだだ!墓地の『妖仙獣木魅』を除外し、『妖仙獣』の召喚権を増やす!サッシー・ルーキーとプリティ・ヒロインをリリースし、アドバンス召喚!『魔妖仙獣大刃禍是』!!」

 

魔妖仙獣大刃禍是 攻撃力3000

 

2体の『魔界劇団』を引き換えとして、沢渡の第2のエースが再びフィールドに現れる。

 

「大刃禍是の効果により、ホーク・ジョーとアーマード・ウィングをバウンスする!」

 

「ッ!」

 

「ファンキー・コメディアンのペンデュラム効果でビッグ・スターをリリースし、デビル・ヒールの攻撃力をアップ!」

 

魔界劇団ーデビル・ヒール 攻撃力3000→5500

 

「そしてデビル・ヒールのペンデュラム効果でワイルド・ホープをリリースし、ライキリの攻撃力をダウン!」

 

ABFー驟雨のライキリ 攻撃力3000→1400

 

「バトル!大刃禍是でライキリへ攻撃!」

 

「罠発動。『ブラック・ソニック』。自分フィールドの『BF』モンスターが攻撃宣言を受けた時、相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て除外する」

 

「な、に――!?」

 

窮地を脱出する、沢渡最後の反撃、それも届かず――目の前で黒い竜巻に呑み込まれ、モンスター達が消滅する。最悪の展開。最早、沢渡に残された手はない。

 

「ッ、ターン、エンドだ……!」

 

沢渡 シンゴ LP1300

フィールド

『修験の妖社』

Pゾーン『魔界劇団ーファンキー・コメディアン』『魔界劇団ーデビル・ヒール』

手札0

 

「俺のターン、ドロー」

 

相変わらず無機質で機械的な音声でデッキからカードを引き抜くクロウ・ゴースト。熱もない、ただ効率のみを重視したような淡々としたデュエル――どうしても好きにはなれない。

 

「クロウとは大違いだぜ……!」

 

だからこそ、認めたくない。この男が――クロウ・ホーガンより、強い事を。

 

「罠発動、『強欲な瓶』。1枚ドロー」

 

クロウ・ゴースト 手札1→2

 

「『ネクロフェイス』を召喚」

 

ネクロフェイス 攻撃力1200

 

「除外されているカードをデッキに戻し、その数×100攻撃力をアップ」

 

ネクロフェイス 攻撃力1200→2600

 

「墓地の『シャッフル・リボーン』をデッキに戻し、『ネクロフェイス』をデッキに戻して1枚ドロー」

 

クロウ・ゴースト 手札1→2

 

「カードをセット、ライキリの効果でファンキー・コメディアンを破壊。バトルだ、ライキリでダイレクトアタック」

 

突きつけられた指先に従い、ライキリが煌めく刀身で沢渡を貫き刺す。

 

沢渡 シンゴ LP1300→0

 

セカンドホイーラー対決、勝者、クロウ・ゴースト。そして同時に、チーム沢渡のラストホイーラー、黒咲 隼がD-ホイールに跨がり、フィールドを駆け抜ける。

 

「黒咲……っ、後は頼む!」

 

「ああ、任せておけ!」

 

バトンは託された。残る敵は万全の状態のクロウ・ゴーストと白コナミ。状況は絶望的に近いが――彼等は諦めない。仲間達の想いを胸に、サーキットを疾駆する。

 

「「ライディングデュエル、アクセラレーション!!」」

 

黒き鳥獣が、天空に舞う。




今年こそはせめてシンクロ次元編終了までは持っていきたいんですけどまだまだ話数が残っていると言う不安。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。